カテゴリー「映画 ら行」の26件の記事

レイチェルの結婚

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「羊たちの沈黙」ジョナサン・デミ監督アン・ハサウェイ主演で撮った,ある家族の物語。なかなかの秀作で,ハサウェイはこの作品でオスカーの主演女優賞にノミネートされた。

ハサウェイが演じたのは,レイチェルの妹キム。ドラッグ中毒で更生施設を出たり入ったりしている彼女が,姉の結婚式に出席するために,家族のもとに帰ってくるところから物語は始まる。彼女が家に着いたその時から,ハンディカメラによる手ぶれの目立つ映像が,結婚式前夜から当日までの,キムの家族や招かれた客たちの様子を映し出す。
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そう,この作品,スザンネ・ビア監督やラース・フォン・トリアー監督らが得意とするドグマ形式に似た雰囲気で,まるで他人の家庭の結婚式のホームビデオを延々と見せられているような感じなのである。「ここはもっとカットしてもよいのでは?」という冗長に感じるシーンももあって,そこはやや退屈にも感じた。

それでも,「ワケあり家族の再生の物語かな?」と思いつつ最後まで惹きつけられて観たが,観終わった時の感想は,「再生ではなく,傷つけあっても,家族は家族」ということが言いたい物語だったのかな?」としんみり。
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キムの家族は過去に体験した大きな悲劇によって傷を受け,いまだに全員がそれを内心引きずっている。その悲劇とは,キムが薬でラリった状態で運転した車が橋から転落し,弟のイーサンを死なせてしまったこと。両親はそれがもとで離婚し,キムは未だに自分を許すことが出来ず,家族のキムへの思いもそれぞれ複雑だ。

レイチェルの結婚式前後の数日間,顔を合わせた彼らは,これまでの鬱憤や本音を爆発させることになる。それぞれが秘めてきた心の傷を,相手にさらけ出すシーンのリアルな迫力!しかし,これが他人相手なら,関係が決定的に断絶してしまうほどの暴言も,家族の場合は本音をぶつけ合うことで,かえってすっきりする時もあるんだな,と思った。
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特にレイチェルとキムの姉妹間の確執。
優等生の姉に,引け目と劣等感を感じていたキムと,常に騒ぎを起こす妹に両親を独り占めされたと思っていたレイチェル。本音を言い合った姉妹喧嘩は,ラストシーンを観る限りでは,彼女たちは以前よりいい関係になれたように思えた。

しかし,キムと母のアビーとの大喧嘩はもっと重く,痛い。
イーサンの死を互いに責任転嫁する二人の本音のぶつかり合いは,あまりにも痛々しく救いがない。互いに相手の最も痛いところに容赦なく切りこんだためか,衝撃や怒りも激しく,とっさに本気の殴り合いをしてしまう母とキム。
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家族の一員が,当の家族に悲劇をもたらす,ということは,こんなにも辛いものか。相手が他人なら,恨んだり責めたりするのに何の躊躇もないだろうに,家族が相手だとそれができない部分もあるから。責めたいけれど責めるに忍びない,というジレンマ。結婚式の晩,去っていく母のキムへ見せる表情は硬いままだった。母とキムが,いつか心から和解できる日は来るのか,とても気にかかった。

そしてどこまでも優しい,キムとレイチェルの父。イーサンの死を今も悲しみながらも,キムへの気遣いと愛を示す彼の姿もまた切ない。この父がいるからこそ,家にはキムの居場所があるのかもしれない。
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家族であることについて,いろいろと考えらせられる物語だ。問題が起こったとき,家族だからこそ逃げられない,という苦しみもあるけれど,家族だからこそわかり合える,理屈ぬきで受け入れることもできる,という癒しもまたあるのだろう。

オスカーにノミネートされたアン・ハサウェイの演技は,文句なしに素晴らしかった。

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ロルナの祈り

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ダルデンヌ兄弟の作品は・・・
実はちょっと苦手だった。

テーマは好きだけど,雰囲気が苦手と言うか・・・・静謐すぎて落ち着かないのだ。私にとって,「息子のまなざし」はよかったが,「ある子供」はそうでもなかった。(とちゅうで退屈してしまった)それでも新作が出たと聞くとスルーできず,ついついこの作品のDVDを手にとってしまったわけだけど。邦題にも惹かれた,というのもある。

で・・・この作品は・・・すごく心に来た。
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人の罪深さ,愛の誕生の不可思議さ。そして,
東欧社会で弱者として生きている人たちの,厳しい現実。
いろいろと考えさせられ,余韻を引きずる作品だ。

主人公のロルナは,国籍を取得するためにベルギーに滞在している,アルバニア移民の女性。国籍を得るために彼女は,闇ブローカーの手引きで,麻薬中毒の青年クローディと偽装結婚する。

ブローカーは,この後,用済みになったクローディを,なんと麻薬の過剰摂取をよそおって殺害し,未亡人になったロルナを,今度は国籍を欲しがっているロシア人男性と偽装結婚させる計画だ。
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クローディ殺害の計画に関してはロルナも承知で,ロシア人からブローカーに支払われるお金は,ロルナの手にも入る。彼女はそのお金を恋人との新所帯に使う予定。そう,彼女はれっきとした犯罪者なのである。

なんともやりきれないストーリー設定だ。
犯罪に手を染めてまで国籍を必要とするロルナのような移民たちや,彼らを利用して儲けているブローカーたち。利用している,と書いたが,考えてみればロルナたちにとっても,彼らブローカーの存在はなくては困るのだ。そして犠牲になるのは,クローディのように,密かに抹殺されても,誰も顧みないあわれな麻薬中毒患者という現実。

カメラは終始一貫して,ロルナの日常生活を静かに何の感情も交えずに追ってゆく。もちろん,BGMなど皆無なドキュメンタリー・タッチ。おまけに俳優たちのセリフも最小限で,淡々とした抑えめの演技なので,よほど感性を研ぎ澄まして観なければ,登場人物の気持ちの変化がわからないまま置いていかれそうな作品だ。

特にロルナの心境の変化はわかりにくい。
冒頭,クローディと形式上一緒に暮らす部屋でのロルナは,不機嫌で,ぶっきらぼうで,取り付く島もない雰囲気を漂わせている。クローディのことをほんとにうっとおしく感じているのか,それとも情が移るのを恐れているのか,彼女の無表情の演技からは何も読みとれない。仕事帰りにひそかに会う,本当の許嫁の青年に見せる笑顔とは別人のようだ。
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クローディを演じるのは,「ある子供」にも出演した,ダルデンヌ作品ではお馴染みのジェレミー・レニエ。役柄に合わせてか,痛々しいほど痩せやつれていた。彼の演じるクローディは,偽造結婚なのにもかかわらず,子供のようにロルナを一途に慕う。そっけない態度のロルナに,「トランプしよう」「話をしよう」と懸命に働きかけ,「麻薬をやめれるように力を貸してくれ」とロルナに縋る。

・・・・確かにどうしようもない情けない男だけど,ひたむきに懐いてくる傷ついた犬のようで,哀れすぎて愛しくなってしまう。

ロルナはいつから
彼を愛するようになったのか?

目的のために利用するだけの相手を。
そして用が無くなると冷酷にも殺すつもりの相手を。

それは決して愛してはいけない相手であり,彼女自身もまた,愛するなんて思いもよらなかった相手だ。
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劇中に唐突に登場するラブシーン
(それもロルナの方から)は,あまりにもいきなりに思える。しかしそれまでに彼女は,ブローカーに「クローディを殺すのは中止して」と何度も懇願するようになっている。きっとあの頃から,彼女の心境には変化が生じていたのだろう。ベルギーで恋人と所帯を持つという目的は果たしたいけど,クローディは犠牲にしたくないという,複雑な思いが起こってきたのだ。それが「愛」とまで呼べるものかどうか,おそらくロルナ自身も気づいてはいなかっただろうけれど。

クローディの子供を想像妊娠し,これまでの計画も,許嫁との未来もすべて投げ捨てて,「想像上のクローディとの赤ちゃん」のために森へと逃走するロルナ。そのとき,彼女のクローディとの行為は,始まりは憐憫の情や母性愛からだったとしても,今は確かに愛にまで昇華したのだと思った。・・・・ただし,相手のクローディはもうこの世にはいなかったのがなんとも哀しい。

お父さんは助けられなかったけど,あなたは絶対に守る」と実際にはいない赤ちゃんに語りかける彼女の台詞に,私は彼女のクローディへの確かな愛と懺悔の思いを感じた。

観終わっても,しばらく言葉が見つからなかった。
こんなにも,暗く,重く,そして静かで強烈な愛の物語。

犯罪者であったロルナの,ある意味これは,人間としての再生物語なのかもしれない。愛を知り,母となって再生したロルナの物語。愛した相手はもう存在せず,母としての彼女は幻想にすぎなかったとしても,それでも彼女の心は救いを得たのだと信じたい。


二人が初めて愛し合った翌朝,ロルナがクローディを追いかけてゆくときに見せた,一瞬の輝くような無邪気な笑みが忘れられない。

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レスラー

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人生は過酷である,ゆえに美しい。

遅ればせながら公開してもらえたのでとりあえず鑑賞・・・・。ミッキー・ロークに関して私が観た作品と言えば,その昔彼が聖人を演じた「フランチェスコ」に感心した覚えがある・・・くらいかな?あと,「シン・シティ」での怪演にも強い印象を受けたけど。

あらすじ:
かつては人気を極めたものの今では落ち目のレスラー、ランディ(ミッキー・ローク)。ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、レスラー生命を絶たれてしまう。家族とはうまくいかずストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)にも振られ、孤独に打ちひしがれる中で、ランディは再びリングに上がる決意をする。
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ありきたりの,老レスラーの再起物語かしらと,軽い気持ちで観たけど,鑑賞後にはこの作品の持つまっすぐなパワーに圧倒されていた。

かつてリング上で栄光をつかみ,落ち目になった今でも,パフォーマンスたっぷりの派手な八百長(?)試合を演じて,従来のファンを楽しませていたランディ。何でもありの大立ち回りの試合後は,いつも満身創痍のランディ。疎遠になってる一人娘と関係の修復を試みても,やっぱり彼女から幻滅されて去られてしまうランディ。シャワーキャップを被ってお惣菜売り場で慣れない店員の仕事をやってみても,最後にはキレて投げ出すランディ。
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これは一芸に秀でている,というよりは「自分にはこれしかない」という人生を貫き通した不器用な男の物語なんだろう。レスラーというのは,一生続けられる仕事ではない。年を取り,身体がきかなくなると辞めなければいけない仕事だ。しかし,彼は,その時が来ても,器用に方向転換ができなかった。彼の人生にはレスリングしかなかったから。家庭も,家族も,恋人も,彼は中途半端にしか持てなかった。なんて孤独なんだろう・・・と思う。

ランディのことを,彼が劇中で言っていた「クズみたいな男」とまでは思わないけど,確かに社会人として,また家庭人としては決して褒められた人間じゃない。(特に女性目線から見ると。)
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しかし,ランディを演じるミッキーの魅力と存在感の大きさといったらどうだろう!
どちらかというと淡々と進む,ひとりのレスリング馬鹿の地味な物語なのに,ミッキーの邪気のないくたびれた表情や,使いこんだ古木のような隆々とした身体から目が離せない。ミッキー・ロークという俳優の生き様と,ランディの生き様がリンクして見える。これ以上の適役はないだろうと唸らされるキャスティング。

ラスト,ランディは自分にとって唯一無二の存在だったレスリングと心中したのかもしれない・・・と思った。ファンの声援がこだまするリングの上こそが,唯一彼の生きる場所であり,死に場所でもあったから。

その潔さや悲壮さに感動しながらも,なんと不器用で,愚かな選択!と女性の私はちらりと思う。しかし・・・きっと男性陣の感想はまた違うんじゃないかな?ランディの生き方に共鳴するものは多々あるんじゃないかと思う。
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とにかくミッキー・ロークの演技に乾杯!
・・・そんな映画だ。必見。

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ラヴソング

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ピーター・チャン監督が贈る
切なくも温かい「10年の恋」・・・・・。

何と表現していいかわからないくらい,素敵な雰囲気の作品。心の底から好きheart01になっちゃった,これ。

シウクワン(レオン・ライ)とレイキウ(マギー・チャン)が出会ったのは,返還直前の活気あふれる香港。二人とも,中国大陸から夢を抱いて香港に出稼ぎにやってきた若者。ひとりは天津から。そしてもうひとりは広州から。
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われわれ日本人から見ると,香港も中国大陸も区別がつかないけど,この当時,香港は最先端をいく「大都会」で,夢の叶う場所であり,それに比べて大陸の方は「田舎」だと下に見られていたらしい。
広東語や英語が話せないと相手にされない香港。
大陸人であることに,引け目を感じさせる雰囲気の香港。


香港に出てきて「ひと旗あげ」ようとした大陸人の決意は,わたしたちが「東京」へいって成功したい,という感覚よりも,もっともっと悲壮なものだったのかしら,と感じた。
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そんな中で出会った シウクワンとレイキウ。
初めて接するキャッシュカードやマグドナルドにいちいち驚きの目を見張る,素朴で不器用な青年シウクワン。一方,さっさと香港の言葉やファッションをマスターし,がむしゃらに働いて一攫千金を夢見る,気丈でやり手のレイキウ。

正反対のタイプともいえる二人が「親友」になったのは,やはり大陸人同士,共鳴する悩みや苦労や夢を抱えていたからだろうか。
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シウクワンには故郷の天津に婚約者がいて・・・・。彼のつつましい夢のすべては,彼女との結婚で。それでも,香港の片隅で懸命に生きている彼にとって,同じ境遇のレイキウとの心の絆は日に日に深まっていき・・・。

衝動的に男女の関係になってからも,彼らは「自分たちは親友」だと思いこもうとする。身体は結びついていても,心は互いをどれだけ愛しているのか,まだこの地点では二人ともわかっていない。いや,それからはあえて目をそむけようとした,と言うべきか。
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やがてシウクワンは婚約者を香港に呼び寄せて結婚し,レイキウはヤクザのボス(エリック・ツァン)の恋人となり,事業家としても成功する。夢が叶ったかのように見えた二人だけど・・・・・。

最初の出会いから10年もの間,舞台を香港からニューヨークへと移しながら,愛し合いながらもすれ違いを繰り返すふたり。それは「君の名は」のように「探してるのに出逢えない」というすれ違いではなく,互いに別のパートナーがいるためにタイミングが合わない・・・というすれ違いである。
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素直に,一番愛している相手の胸に飛び込めばいいのに・・・とやきもきしつつ,二人の恋の行方をひたすら追い続けた2時間。それは,主演の二人がいかにも魅力的で,目が離せなかったせいもある。

純情青年を絵に描いたようなレオン・ライのはにかんだ笑顔も,ハッキリして気が強いマギーが時折見せる,愛情深くて繊細な表情も,観ているうちに,どちらもすごく愛おしくなってくる。

10年に渡る恋とひとくちに言っても,よくありがちな,現実離れした波乱万丈の物語ではなく,そのなかに男女のささやかなエゴや弱さも散りばめられた,等身大の物語だ。それが,なんだかものすごく心地いいのは,やはりそのリアルさに共感できるからだろうか。
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ロマンスも非現実的すぎると興ざめするものだけど,この作品の場合,決して誇張せず,押しつけがましくもない淡々とした描き方のせいか,一瞬たりとも興ざめすることなく,どっぷりと二人に感情移入できた。

うまく言えないけど…必要以上にロマンチックすぎないのがいい。
それでも押さえるべきツボはきっちりと押さえてくれているのがいい。

そして,要所要所に絶妙のタイミングで登場する,二人にとっては思い入れの深い,テレサ・テンの歌。・・・・懐かしいなぁ。彼女の歌声!(よくカラオケで歌ったもんだ。「つぐない」とか「愛人」とか。) 彼女の若すぎる死は,日本人の私たちにもけっこうショックだったのを思い出した。
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ラストは素敵だ・・・・なんともいえない余韻が残る。
しあわせて,あたたかい余韻だ。

過去作品の中でも,私にとって,これはもっとも好感度の高いラブストーリーかもしれない。ラブストーリー好きで未見の方は,ぜひ一度ご覧になることをお勧めする。

エンドロールで流れるレオン・ライの「甜蜜蜜」の歌。
なんて甘くて優しい声!
テレサの歌う同曲とは,また一味違った魅力だった。

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レッドクリフ PartⅡ ―未来への最終決戦―

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いやー,これほどまで続編公開を待ち焦がれた作品は初めて!公開初日は仕事で無理だったが,2日目にはもちろん劇場へ駆け付けた〜!同じ日にクローズZEROⅡも観たので,ここ数日,仕事でたまっていたストレスが,豪快なアクション連発によって一気に解消されましたわ。

PartⅠでは,孔明(金城武)の奇策により,陸(おか)の戦いでは曹操軍を撤退させた孫権・劉備連合軍。PartⅡでは,いよいよクライマックスとも言える水上戦へ突入する!
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さてさて今回も前回同様,血沸き肉踊る英雄たちの活躍ぶりが堪能できたが,前回と比べると女性陣の活躍も目覚ましかった。

孫権の妹で男勝りの尚香は,身分を隠して曹操軍の内部に潜入する。前回のラストで孔明が敵陣に鳩を飛ばすシーンは,彼女の潜入を仄めかしていたのね。曹操軍に男装して紛れ込み,敵の情報を鳩の足につけて飛ばす尚香。
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彼女はそこで親友になった曹操軍の兵士の青年に心惹かれる。(たぶん初恋)決戦になった時はもちろん敵味方となって闘うわけで,彼の死を嘆く尚香の涙が切なかった。

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そして周瑜の妻,小喬は,風向き次第の火攻め作戦を成功に導くための時間稼ぎをするべく,単身で曹操のもとへ赴く。夫の軍勢に有利な風が吹くまで,彼女は茶なぞ点てて曹操(=スケベ心が命取りだね)の気をそらし,敵の先制攻撃を遅らせるのである。民のため,夫のため,そして生まれてくる子どものため・・・・PartⅡの彼女の凛とした美しさには目を見張る。

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周瑜を演じたトニー・レオンも今回は見せ場がいっぱい。前回は「彼だけ浮いてる~?」と思ってしまったアクションも,騎上ではなく室内での剣舞が多かったので,とってもキマッていた!もう決して若くはないのに凄いよねー,トニー。

時には頑固に感じられるくらい高潔な信念の持ち主で,円熟した策士でもある周瑜の魅力が存分に味わえた感じで大満足。

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そしてわれらが麗しの金城孔明heart04さまは・・・・・
今回はsun天気予報官sunのような活躍をいたしておりました。濃霧を予知して「10万本の矢の調達作戦」を成功させ,風向きの変化を予知して火攻め作戦のタイミングを指揮し・・・・それはそれは鮮やか,お見事に。前回同様,どんなときも余裕の爽やかスマイルでの華麗な羽根扇さばきは・・・・今回も素敵。

周瑜との頭脳合戦というか,互いに好敵手として認め合ってる雰囲気も,前回より色濃く感じられた。

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前回は大活躍だった劉備陣営の猛将たち・・・・
残念ながら,今回彼らは中盤はすっぽりと不在で・・・・疫病蔓延のために劉備が「いちぬ~けた」と言って,彼らを連れて孫権軍のもとを去ってしまったからなのだが,どうやらそれは敵を欺くための,周瑜と劉備が申し合わせたカモフラージュだったらしくて,決戦の時にはちゃんと加勢に駆け付けてくる。

前回ほどはたくさん彼らのアクションが楽しめなかったのはさびしかったかなぁ。
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↑これは関羽。やっぱり胸がすくようなカッコよさ。

お目当ての趙雲を演じた胡軍さんは今回も槍や火のついた縄を振り回して「不死身ぶり」を披露してくれた。あ,今回は棒高跳びもやってます。
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しかし,胡軍さん,ほんとに顔立ちや体格が中国大陸の方だよねー。こういった時代劇の髪型がよく似合う・・・現代劇のときは「いまどきパンチパーマ?・・・sweat01」とか思う時もあるけど。(←藍宇参照)
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↑ちょっと埴輪(はにわ)っぽいですが

とにかく今回の戦闘シーンは
火・火・火・火
もひとつオマケに火!

そして矢・矢・矢・矢
これでもか矢!
って感じで。
まことに熱そうで,痛そうでございました。

決戦の火ぶたが切られてからは特に面白くって,固唾をのんで観入ってしまいました。よかったです!ラストの小喬救出アクションでの趙雲と周瑜のスーパーマンぶりにはさすがに「それは無理やろ~~」とつっこんでしまいましたが。
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ラースと、その彼女

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これ,昨年のアカデミー賞脚本賞にノミネートされた作品なんだってね。普通ならありえないような風変りな設定の物語なんだけど,とってもハートフルheart02で繊細なお話だった。

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主人公のラースを演じたのは「君に読む物語」ライアン・ゴズリング(太ったのは役作りのため?) 彼はいかにも柔和そうな雰囲気の優しい青年なのだが,極端にシャイで人とのコミュニケーションが苦手。トラウマが原因なのか,触覚過敏体質があるため,相手に触れられるのを苦痛としている。

そんな彼を心配してあれこれ世話を焼こうとする兄嫁のカリン(エミリー・モーティマー)。しかし事あるごとに抱擁しようとする彼女の親切も,ラースにとっては実は苦痛だったりして。職場の同僚の中にはラースに好意を寄せている可愛い娘マーゴもいるが,彼女のストレートすぎるアプローチを前にすると,ラースはやはり困惑してしまう。
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そんなラースが初めて兄夫婦や町の人に紹介した恋人は,なんとリアルドールのビアンカだった!ビアンカを前にして固まってしまった人々を意にも介せず,ラースは彼女が生きているかのように接するのだ。

ここらへんからお話はどんどん面白くなってきて目が離せなくなる。「ついに弟がイカレた!」とあわてて医者に診せる兄夫婦。もちろん名目はビアンカの体調不良ということで・・・・。しかし,相談を受けた女医さんが素晴らしい人だった。・・・彼女は「ラースのために話を合わせなさい」と指示する。ビアンカの存在が今のラースの心には必要だと見抜いたからだ。
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医者の指示に従って,ビアンカをまるで生きているように接し,あたたかく歓迎したのは兄夫婦だけではなかった。なんとラースを知っている町中の人たちがそうしたのだ。職場の同僚や教会の仲間たち・・・・なんて優しい人たちなんだろう。それにみんなラースのことが好きなんだな,と嬉しくなる。

この周囲の人たちの優しさと,医者の慧眼の素晴らしさ。そしてそれらの人々のおかげで,コミュニケーション障害を克服していくラースの姿が,なんともいえないほのぼのとした感動を呼ぶ。
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考えてみれば,ラースがビアンカしか愛せなかったのは,人形の彼女は,決して自分からはラースに触れてきたり,しゃべったりしない存在だったからだろう。 愛する相手からのリアクションを受け止めることができなかったラース。・・・・しかし女医の根気強く適切な対応や,人々の優しさに触れるうちに,ラースは少しずつ変わっていく。

「あいつは一生,人形と暮らすかも」という兄の心配に反して,いつしかラースはビアンカを必要としなくなり,それに従って彼の中で,ビアンカは少しずつ「物言わぬ存在」となっていき,そしてついに・・・・。ビアンカとの別れはラースが,無意識のうちにも自ら決断を下したもの。生身の女性と接する自信の芽生えとともに,ビアンカと別れる時が来たことを悟ったからだろう。
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最初から最後まで,一貫して町の人々は,ラースとその彼女に対して思いやりと忍耐と愛を示した。そしてラースもそれに応えた。そこに感動。ラースがマーゴと,素手で握手をすることができるようになったシーンはおもわず小さく拍手してしまった。

殺伐とした世の中で,こんな物語に接すると,たとえありえない設定でも,心がほっと一息ついて,心地よさを感じます。

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落下の王国

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いやはや,映像が素晴らしいとの評判は聞いていたけど,これほどとは!「ザ・セル」のターセム監督による,まさに美しい芸術工芸品のような作品。奇跡のような色鮮やかな場面は,CGを使わず,ほとんど実写というから驚く。
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なんでこんなに色彩が鮮やかで,それもお互いに引き立て合うような思い切った使い方で,そして美しいけど大胆な映像ばかりなのかと思ったら,この劇中に挿入されているおとぎ話の映像って,ロイの語るお話を,少女アレクサンドリアが心の中で映像化したものだからなのね。

・・・・・子供の時に思い描いたファンタジーの世界って,たしかにこんな風に,現実離れした衣装や背景で,とんでもなく美しいものだったような気がする。常識にとらわれない小さな子供の思い描く世界を,映像化したら,こんな風に摩訶不思議な美しさに満ちているのだろう。
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少女アレクサンドリアを演じた新人,カティンカ・ウンタールが素晴らしい。ありきたりの美少女ではなく,それどころか太めの女の子なのだが,彼女の喜怒哀楽の表情の,なんと自然で愛らしいこと。あるときは大人びた思案顔を見せるかと思えば,次の瞬間にはあどけなさ全開の笑顔を見せる彼女を観ているだけでも,この作品は一見の価値がある。

5歳だというのに,過去に苦労もしているらしいアレキサンドリアは,大人のような気づかいもできる女の子で,病院のみんなから愛されている。
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彼女がロイの話から頭の中に思い描く登場人物たちの顔が,彼女の身近な人々であるのも面白い。ロイや,看護師や病院職員や,氷売りや牧師やオレンジ園の使用人や・・・。「あ,物語のあの人の役は,現実世界のこの人がやってたんだ~!」と次第にわかってくるのも楽しみのひとつ。
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一方,ロイの目当ては,お話で少女を操り,自殺のための薬を手に入れようとすること。お話を創作する場合,必ずその人の人生観が投影されるものだからして,絶望と厭世感に囚われた彼の語るおとぎ話は,負のパワーに満ちていて,キャラクターがみな死へと向かって「落下」してゆく。ひとり,またひとりと・・・・。自殺願望のある彼は,ハッピーエンドを語ることができないのだ。そしてそれが少女の素直で無垢な心を悲しませる。

「これは僕の物語だ」,というロイに「ううん,二人の物語よ」と言い,ハッピーエンドを望むアレキサンドリアのひたむきな訴えは,ロイの心を少しずつ変えてゆく。
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死んじゃいや。
生きなきゃ。
お願いだから立ち上がって,戦って。


主人公の黒山賊が瀕死の危機にさしかかった時のアレクサンドリアの涙と叫びは,ロイに向かって発せられたものとも言えるだろう。 そして彼女の涙ながらの懇願は,ロイに生きる希望を与えるのだ。
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俳優さんはみな知名度の高くないひとばかりを起用しているので,有名俳優の強すぎるオーラに邪魔されることなく,映像やストーリーの秀逸さが際立つ。そうは言っても,どの俳優さんもみんな役にぴったりで素晴らしい演技だったと思うけど。

もちろん見どころは映像だけでなく,物語が進めば進むほどに,どんどんその不思議な魅力に惹きこまれてゆく見事な作品だ。・・・・手元に大切に置いておきたい宝石のような美しさを持っている。
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リバー・ランズ・スルー・イット

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ベンジャミン・バトンのブラピの若返り映像を見て,この「リバー・ランズ~」のブラピにまた会いたくなった。若い頃のレッドフォード監督そっくりの容貌のブラピが,そのみずみずしさと輝くばかりの美しさで,強烈な存在感を放ち,彼の出世作となった作品だ。

古きよき時代のアメリカ。
舞台は,雄大で美しい大自然のあふれるモンタナ。過不足のない淡々としたタッチと心に沁みる美しい映像で綴られる,ある兄弟の物語。
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釣り好きの牧師を父として育った二人の兄弟,ノーマンとポール。兄のノーマンは堅実な優等生。弟のポールは無鉄砲で天真爛漫。幼い時からいつもいっしょに釣りをして過ごした仲の良い二人は,正反対のタイプ。成長するに従い進む道は異なってゆき,お互いに相手に対して,自分にはない魅力を内心うらやましく思う気持ちを秘めている。
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兄のノーマンは,賭け事に明け暮れている弟の自由奔放な生き方を心配しながらも,彼の天才的な釣りの技術に一目置き,同時に生真面目で面白みのない自分に比べて,誰からも愛される弟の魅力をうらやましく感じる気持ちもあったと思う。

そして,ブラピの演じたポールは,順調にエリートコースを進み美しい女性と婚約する兄に対して,やはり複雑な劣等感めいた思いを秘めている・・・・。

愛情深い牧師の家庭で育ったこの二人は,それゆえに兄弟間の愛情も深かったけれど,兄弟ゆえに生じる競争心や嫉妬心・・・・もうこれは本能的なもので,どの兄弟姉妹のあいだでも見られる普遍的な業(ごう)のようなものだろう。
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二人の両親がまた素晴らしくて。

質実に,手塩にかけて二人の息子を育て,折に触れて適切な教えを与え,しつけてきた,今の時代にはとてもお目にかかれないような,理想的な両親の姿がそこにはある。よい意味での父権が健在で,母親はそれをしっかりサポートしている家庭という感じ。
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もちろん両親は,ノーマンもポールも,どちらもわけへだてなく愛していたろう。しかし,あえて言うならば,両親が誇りとしていたのは優等生のノーマンの方であり,愛しく思っていたのはやんちゃなポールの方だったのではないだろうか。どちらも比べようのないくらい大切な息子。しかし,正反対の二人だったからこそ,それぞれの個性に応じて,両親の愛の深さは同じでも,愛し方は違っていたと思う。
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そして,二人の息子は,それを敏感に感じ取っていたに違いない。

シカゴで大学教授の職を得たノーマンの報告を喜ぶ両親を前にした,ポールの寂しそうな表情。・・・・・このときの演技を観て,抱きしめたくなるほどブラピが愛おしくなった。ベンジャミン・バトンでも存分に見せてくれた,寂しげな表情・・・・この頃からもう観客の心をわしづかみにしていたんだ~。

両親は自慢の息子のノーマンとは別の愛し方で,ポールを愛していたと思うけど。ポールがあんな非業の死を遂げた後の両親の失意ぶり・・・・。「あの子は釣りの名人だっただけではなく,美しい子だった・・・」とつぶやく父親のセリフが忘れられない。(「美しい子」には深く同意)
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しかし,この作品のブラピは,驚くほどレッドフォードの若いころに似ている。彼の息子だと言っても通用しそうなくらいに。・・・・・この作品では特に,きらめく川の流れを背後にしたブラピの爽やかな笑顔が,くらくらするくらい魅力的なのだ。

面白いことに,40代になった現在のブラピと40代の頃のレッドフォードは,ここまで似てはいない気がする。きっと互いに,20代の頃が一番似ていたのだろう。
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スローモーションで撮られたフライ・フィッシングのシーン。
優雅な弧を描いて水面に放たれる釣り糸は,
まるでしなやかな鞭のよう。
川面にきらめく漣(さざなみ)も,
澄んだせせらぎの音も・・・・

そして,理解ができなくても,愛さずにはいられない家族の絆の確かさも・・・・

何もかもがたまらなく美しく心に沁みる作品。
レッドフォード監督の,繊細で優しい感性がうかがえる作品だ。
Cap109
※余談・・・・この作品で出てくるボイラー・メーカーというお酒の飲み方が面白い。酒場でノーマンが注文するシーンがあるが,ビールのジョッキにウィスキーを満たしたショット・グラスを放り込んで沈め,一緒に飲む飲み方。つまりウィスキーのビール割りなのだが,ショットグラスを沈めるやり方がワイルド。この飲み方,イーグル・アイでもヒロインのレイチェルがバーで女友達と乾杯するときにやっていた。

ためしにやってみたら,美味しい。当然酔いは早くなるが。誰に見せるわけでもないのにグラスをボトン!と放り込んでも虚しいだけなので,私の場合はタンブラーにウィスキーを注いでビールを注ぎ足して作っているけど。ウィスキーはこの場合,バーボンがいい。ちなみにこの飲み方,韓国では爆弾酒というそうな。

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ラッキーナンバー7

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2006年製作のこの作品,豪華キャストに惹かれて,リリースされてすぐにDVDで鑑賞したけど,記事はアップしてなかった。久々に観たらやっぱり最高に面白くて。

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最初は唐突な殺人とか,登場人物の人間関係がつかみにくくて,ちょっと戸惑うけれど,テンポ良く進んでいくので,物語に置いて行かれることもない。

人違いされた哀れな青年の,巻き込まれ型のクライム・サスペンスかと思いきや,・・・違った。これは,どんでん返しものに分類されるサスペンス。この手の映画に目の肥えた方なら,オチはけっこう早い段階に読めるかもしれないので,ラストのどんでん返しで「おおお~」とはならないかも。 

しかし,この作品の魅力は,オチがわかったときの衝撃度で計るものではないと思う。ある程度,予想可能なネタだし,ラストで一気にネタをばらすのではなく,物語中盤から少しずつ小出しにばらしていってくれる。「もしかして・・・?」と思わせておいて,最後の20分くらいで,全てのネタを完全にばらしきってくれる。

この映画,そのラストでのネタばらしの「見せ方」がいいのだ!テンポよく一気に,それまでにあちこちに提示されていた伏線を,余すところなく明らかにしてくれるのだが、その「見せ方」がすごくわかりやすい。観客の頭のなかで,「ああ,あれがこうなってああなって,あのときのこれは,こういうことだったのか!」と,順序よくパズルのピースがカチカチと音たててはまっていけるように,見せる順番や間の取り方を計算しつくしている。
Cap049
すべての謎がきれいに残さずとけて,
ハイ,ゲームオーバー!

これは気持ちよかったー。
消化不良もおこさず,爽快な気分になった。

俳優陣は一流。脚本のすばらしさで出演をOKした大物もいるとか。なるほど,この脚本なら納得だ。

対立するギャングのボス,キングスレーとフリーマンの対決のシーンは圧巻だが,撮影の日は,オフのスタッフも全員,二人の演技を見学にきたそうな。当然ですな。

そして,主演のジョシュ・ハートネットは,これまで素朴なあんちゃん役が多かったけど,いつのまにか味のある,いい俳優に成長してきましたねえ。前半のちょっとトボケた感じの不運な青年の雰囲気もよかったが,後半にガラリと雰囲気を変えてからの彼のカッコよかったこと!
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そしてブルース・ウィリス!
この作品では,「寡黙でミステリアスな殺し屋」やってます。ダイ・ハードのマクレーンとは雰囲気が別人。知的でクールで凄みがある。殺しまくるのは同じだけど。最後に美味しいところ全部持っていくような,そんな粋なキャラだ。
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この作品,部屋の調度類や壁紙などもスタイリッシュだし,主人公やヒロインのファッションもお洒落,そしてシーンシーンにぴったりな音楽もとてもいい!エンドロールの「カンザスシティ・シャッフル」最高にしびれる。歌詞になにか意味はあるのかな?「みんなが右向く時に左を向く」って,ウィリス演じる殺し屋グッドキャットが昔,雇い主の命令に背いて取ったあの行動のことなのか?

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レッドクリフ Part I

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三国志について全く詳しくないのだけど,十分楽しめた。・・・・字幕にやたら画数の多い漢字(それも見慣れてないもの)が出てくるので,ちょっと脳が疲れたが。

お話は一言で言えば,皇帝の座を狙う悪い武将(曹操)VS同盟を結んで対抗する二人の武将(劉備と孫権)の戦いの物語。そして見どころは何といっても,劉備孫権に仕える武道に秀でた勇猛な将軍たちと,天才軍師である,諸葛孔明と周瑜の活躍。時間の限られた映画の枠の中で,各人の強烈な個性を十分に描き尽くすことは不可能だが,それでもそれぞれの持ち味や得意技,魅力などはよく伝わってきた。

最初は登場人物の名前や所属が混乱したが,ご親切にも,誰かが新しく登場するたびに,名前と所属を説明する字幕が入る(某大河ドラマみたい)ので有り難かった。さすがに中盤になってもそのサービスが続くと,ちょっとうっとおしくなったりしたけど。・・・もういいよ~,覚えたよ,名前~(^-^;)
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目元涼しく爽やかイケメンの金城さん
が,孔明のイメージかどうかはともかく,砂ぼこりと血しぶきの舞い上がる戦闘シーンで,合間に映し出される彼の麗顔は,私にはとっても癒し効果があった。
そして音曲を愛する風雅さを持ち,頭脳明晰で冷悧な周瑜はトニー・レオンのハマり役。戦闘を指揮するだけでなく,アクションまで見せてくれるが,強面(こわもて)でも大柄でもない彼に,騎馬戦は少し似合ってなかったかも。
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劉備に仕える猛者たち
の,それぞれの立ち回りがなんとも見事。重い武具に身を包み,身の丈を越える武器を振り回すアクションは重量感たっぷり!劇中の台詞ではないが,彼らが敵をなぎ倒すさまは,いかにも痛快の極みだ。
槍の趙雲。
薙刀(矛?)の関羽。
そして肉弾戦の張飛。
羽根扇と白鳩の孔明。

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クライマックスの戦闘シーンでは,一人ずつちゃんと見せ場が順番に用意されてあり,スローモーションを多用してくれるので,芸術的といっていいほど美しい彼らのアクションが堪能できた。武器も動きもものすごく新鮮で,私は口をぽかーんと開けて見入ってしまった。ああ,何度でも観たい・・・彼らのアクション。

個人的には,藍宇でハントンを演じた胡軍(フー・ジュン)さんの趙雲がお気に入り。赤子を背中にひっかついで闘う決死の脱出劇や,疾走する馬に乗ったまま槍をキャッチするシーンに萌え~heart02男だねぇ~~,たくましくって,とっても素敵!

あと,いかにも三国志の絵本からそのまま出てきました,という風貌(あご髭がすごい)の関羽の強さ!もはや人間離れしてる。なんか・・・中国の英雄って・・・桁が違うとつくづく感心。
 
それと,三国志の面白さって,アクションもだけど,頭脳戦を味わうことに醍醐味があるのかな。敵の動きを読み,最適な兵法を指揮する軍師の度量と才覚が,まさに戦の明暗を分ける。この Part I は,陸での騎馬戦が中心で,Part Ⅱは,いよいよ水軍による戦いが開始される模様。二部構成にしてほしくはなかったというのが本音ではあるが,完結編の公開は来年の4月らしいし,そう待ちくたびれるほどでもないかな?今から公開が楽しみだ。
Gonin_komei_ph22
三国志ファンにとってはエンタメ色が強すぎるとか,いろいろ突っ込みもあるかもしれないけど,三国志に明るくない私には,とっても満足できる作品だった。

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