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    ブロークバックマウンテンの名シーンの数々です。

カテゴリー「映画 ら行」の41件の記事

2017年2月 3日 (金)

ロスト・バケーション

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世間でやたら高評価だったのでDVDで鑑賞した。まさに掘り出し物とはこの作品!ジョーズ以来のサメ映画の傑作が誕生したという宣伝に偽りなし!だった。

サーフィン中に負傷し満潮時には海に沈む岩場に取り残されたヒロインが、危険な人食いサメに狙われるパニックサスペンス。サメの恐怖や、時間とともに上昇する海面という悪夢のような状況で繰り広げられる決死のサバイバルを、『ラン・オールナイト』などのジャウマ・コレット=セラ監督が緊張感たっぷりに活写する。周りに誰もいない海で絶体絶命の窮地に陥ったヒロインを、ファッションアイコンとしても注目を浴びているブレイク・ライヴリーが熱演。 (シネマトゥディ)

時間は90分未満というコンパクトな作品。そしてヒロイン以外の登場人物も必要最小限,サメも一体だけ・・・・なのに内容はなかなか濃くて無駄がない。恐怖もスリルほんの少しの人間ドラマもほどよい具合に盛り込まれている。
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この作品のユニークなところは,人食いザメVS美女という点かも。人に知られていない「秘密のビーチ」,連れの友達のドタキャン,などの出来事が重なって,ヒロインは夕暮れ近く一人残った海でサメに遭遇する。

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岸はすぐそこ。なのに,ヒロインは。サメがまわりを旋回している岩礁から動くことができない。そしてその岩礁も,満潮時には沈んでしまうという恐怖のタイムリミットつき!おまけにヒロインはサメに足を噛まれて負傷していて,体力も刻々と落ちてきている。そのうえ無残にもサメの餌食になる人間を3人も目の当たりにするし・・・・。

はたしてヒロインはサバイバルできるのか?
おそらく最後は生き延びるのだろうと予想していても,ハラハラドキドキは止まらない。サメも全容をなかなか見せなかったりして,「いつ現れるかわからない」という恐怖心を煽るのがこれまた上手いのだ。
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ヒロインが体力・知力・運動能力ともに,人並みより優れていた女性だったこと,特に彼女が医学生で,怪我の応急処置のスキルを身につけていたことが,生き延びるための重要なポイントになっている。

メンタルの点でも,母を病気から救えなかった傷心を抱えていた彼女が,サメからのサバイバル体験によって,「闘って生き抜く」強さを取り戻す・・・というところがさりげなく描かれていて前向きになれる。サメなんかに遭遇する機会はまずなさそうだけど,サメ以外でもこれからはどんな災難に巻き込まれるかわからない世の中・・・・・「最後まで諦めるな!」というメッセージはどんなものでもありがたい。
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ヒロインを演じたブレイク・ライヴリーは,収録中は一日最大12時間もスタジオ内の水槽で過ごしたこともあったとか。サーフィン以外はほぼ全編スタント無しで演じたという彼女の運動能力と見事な肢体。もちろんジムでのワークアウトもしていたそうだけど,苛酷な長時間の撮影そのものが何より効果的なワークアウトになったそうだ。
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あと,印象に残る脇役が,羽を怪我してヒロインと一緒に岩礁に滞在するこのカモメ。ヒロインと心が通じ合うようにも思える仕草がなんとも可愛らしい。CGではなく実写のカモメだそうで。カモメの表情ってそんなにじっくりと見る機会はないけれど,なかなかかわいいもんだな~と思った。

面白すぎて,連続して2回もDVD観てしまった。

これ,昨年内に観ていたら,2016年のベスト10に入れてたかもな~~。   

2016年10月29日 (土)

ルーム

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はじめまして、【世界】

歳の男の子、ジャックはママと一緒に「部屋」で暮らしていた。体操をして、TVを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていく。しかしこの扉のない「部屋」が、ふたりの全世界だった。 ジャックが5歳になったとき、ママは何も知らないジャックに打ち明ける。「ママの名前はジョイ、この「部屋」の外には本当の世界があるの」と。(ウィキペディアより引用)

第88回アカデミー賞主演女優賞のほか,たくさんの賞を受賞した本作。
ほっこりするキャッチコピーや,DVDジャケットの写真とは裏腹に,この物語のモデルとなった実際の監禁事件(フリッツル事件)そのものは,すごく恐ろしく残酷である。

フリッツル事件の被害者の女性は,実の父親によって,何と24年間も実家の地下室に監禁され,彼女が性的虐待によって生んだ父親との子供は,流産した子も含めると7人にも!coldsweats02及んだというから凄まじい。
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こんなにも酷い事件がモデルになって書かれた物語の映画化なのに,なぜこんなにハートフルな感動を呼んだのか・・・・それは,これが,被害者である母親の視点ではなく息子のジャックの幼い目を通して捉えられた物語であるからかもしれない。

生まれた時から彼の世界は「ルーム」がすべて。

友達はいないけど家具やおもちゃに語りかけ,大好きなママと過ごす時間。ママはいつも明るくいろんな遊びや勉強も教えてくれて,ジャックは寂しさや不自由さは感じずに来た。TVの中で繰り広げられる出来事は,全部ホンモノではないと思ってきた。だから今の状況にも不満やストレスは感じていない。

こんな悲惨な状況でも,いや,悲惨な状況だからこそ,息子の心だけは,誕生以来ずっと守り続けたママ,ジョイの愛情の深さがまず凄い。
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物語の前半は,ルームからの決死の覚悟の脱出劇が山場になっている。

外の世界の存在を実感したことのないジャックが,ママの言うことに忠実に従って命がけの脱出を試みる・・・その健気さに胸があつくなりつつも,上手くいくのかどうかドキドキハラハラ・・・・そしてなんといっても,ジャックを演じた天才子役のジェイコブ・トレンブリー君の,あの瞳の演技!初めて自分の目で,外界を見た時の,無垢な驚きの表情が素晴らしい。
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ジャックがまず警察に保護され,続いて「ルーム」が発見され,ママの救出。そこで涙ながらに抱き合う母子・・・・めでたしめでたし・・・で普通は終わるところだけど,この物語はそこで終わらない。もとの「世界」へ戻れたママと,初めて「世界」を体験するジャック。それは二人にとって新たな試練の始まりでもあったのだ。

ジャックの生物学的な意味での父親が,ジョイを拉致監禁した犯人であるという事実。「親とは子供に愛情を注ぐ存在」だという理由で「ジャックの親は私だけ」とインタビューで言いきるジョイ。でも,ジャックが生まれたいきさつは,彼がこれから成長していく過程で,乗り越えなくてはならない大きな障害になるということは誰もが思っていることで・・・実際に,行方不明だった娘の生還を喜びつつも,ジョイの父親(ウィリアム・H・メイシー)は,犯人の子でもあるジャックを孫として受け入れることができなかった。やはり父親としては無理もないのだろうか。
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その点,やはり母親は違うというか,ジャックのばあば(ジョアン・アレン)は,娘のジョイも孫のジャックのことも自然に受け入れることができる。いろいろな思いはあったにしても。ばあばの今の恋人(夫?)のさりげない優しさも救いとなって,自殺未遂までしたジョイの心もゆっくりと再生へと向かっていく・・・・。

ラスト近く,ジャックとママが,監禁されていた「ルーム」を訪ねる場面が印象的だった。ジョイにとっては地獄のような思い出もあっただろうこの部屋。でもジャックにとっては,生まれ育った懐かしい場所。かつて自分の全世界だった空間。ジャックは「さようなら」と思い出の家具の一つ一つに別れを告げる。まるで幼友達に話しかけるように。半ばパニック状態でここを脱出したあの日には,ゆっくりと告げることのできなかった別れの言葉を。

ジャックの「世界」での生活はやっと軌道に乗り始めたばかり。

この先には,楽しいことと同じくらい,生い立ちゆえの辛いことや理不尽な試練が待っているに違いない。でもママと一緒に乗り越えていってほしい。100万回のエールを贈りたい・・・と思った。

2016年10月22日 (土)

リリーのすべて

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劇場で観たかったのだけど,叶わず,DVD鑑賞となった本作。いろいろと見所はたくさん。
まず,実話であるということ。モデルは,世界初の性転換手術を受けたデンマークの画家エイナル・モーゲンス・ヴェゲネル 。ウィキで調べると,偏見に支配されていた1930年代に,妻のゲルダが夫の性別移行を支援したのは事実らしい。また,実際のリリーは手術後わずか3か月後に拒絶反応による死を迎えている。

その他にも主演のエディ・レッドメインの女装した演技にびっくり!
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優美なドレスをまとって,はにかみながら微笑む彼の表情は,まさに女性そのもの。鑑賞中は「でも,この人(エディ・レッドメイン)はもともと線が細くて,こんな女性っぽい雰囲気の男性だったよな。」という思いもよぎったのだけど,特典映像のインタビューで,普通の男性の服装でしゃべっている彼を見たら,やっぱり役を離れた本人はどうみても男性だった。(あたりまえか)

これね~,オンナの服着て化粧すればみんな女性に見えるというもんでもないと思うの。服装だけでなく,しぐさや表情が女に見えるというのが凄い。そういえば同じ感動をプルートで朝食をキリアン・マーフィーにも感じたっけ。あの作品の中の彼も,女性にしか見えなかったものね。
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愛する夫が,もしくは恋人が自分と同じ性になりたいという願いをもったらどうするか・・・・。これは,グザヴィエ・ドラン監督の名作わたしはロランス」でも描かれていたテーマで,だれしも混乱と苦悩を体験するはず。相手はもう引き返すことのできないところまで行ってしまっていて,受け入れるか別れるかどちらかの選択しかない・・・・。

相手が同性になっても愛せるというのは,本当に相手の存在そのものを愛しているのだろうと思う。性別を超えた愛?愛するがゆえに,相手がより自分らしく生きることを願う?
でも異性としてもう愛してもらえないことへの寂しさや鬱憤もまたかなりのものだと思う。想像するしかないけど…大抵の人ならやっぱりお別れしちゃうだろうなあ。
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ヒロインのゲルダも,やはり寂しさのあまり,「アイナー(男性だったころの夫の名)に会いたい。」と訴える場面もあるが,夫からは無残にも「無理・・・」と言われてしまう。まあ,そりゃ正直なところそのとおりかもしれないけど,残酷だ。普通ならそこで愛想が尽きて別れるところだろうが,ゲルダは夫を見捨てず,支え続ける。

強い女性だと思う。中盤からは,彼女の愛と献身ぶりは妻というより母のそれに近かったようにも思えた。相手のすべてをありのままに受け入れ,どこまでも見捨てないところなんかが。

主人公は・・・・リリーかもしれないけど,これはむしろ「ゲルダの物語」でもあるんだろうね。

2015年8月31日 (月)

リスボンに誘われて

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ページをめくるたび,人生が色鮮やかに輝いていく・・・・

パスカル・メルシエのベストセラー「リスボンへの夜行列車」を,ジェレミー・アイアンズ主演,ビレ・アウグスト監督により映画化した作品。他にもメラニー・ロラン、シャーロット・ランプリング,ブルーノ・ガンツ、クリストファー・リーら豪華キャストが出演。DVDで鑑賞。

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妻と別れて以来,単調な一人暮らしを送っていたスイスの大学教授ライムント・グレゴリウス(アイアンズ)。彼は,ある雨の日の朝,通勤途上で橋の上から身を投げようとした若い女性を助けるが,彼女の持っていた一冊のポルトガルの古書に魅了される。その中には,彼自身の心境を代弁するかのような言葉が綴られていた。「人生の一部しか生き得ないなら,残りはどうなるのだ?」・・・・・。心を掴まれたライムントは,著者であるアマデウ・デ・プラドについて知るため,衝動的にポルトガルのリスボンへの夜行列車に飛び乗るのだが・・・・。
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身投げを図った女性が持っていたリスボン行きの夜行列車の切符。心を激しく揺さぶられた本との出会いと謎の筆者への興味に惹かれて・・・とはいえ,そんな唐突で思い切った衝動的な行動がよく取れたな~と,まずそこに感心した。仕事とか,家族とかいろんなしがらみを考えたら,無計画に身一つで外国に旅立つなんてこと,行動的な人間でもなかなかできるものではない。ましてやライムントは行動的で衝動的なキャラクターとは正反対にしか見えなかったから。逆に言えば,彼にとって,それほど運命の出会いだったのか。その本とは。
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舞台はベルンから,陽光あふれるリスボンへ。

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ライムントが巡るリスボンの,石畳の坂道や,18世紀のリスボン地震後に復興された,整然とした石造りの町並みが美しい。

彼は著者のアマデウの家を訪ね,彼の妹である老婦人と出会う。アマデウがすでに故人になっていることを知ったライムントは,彼の友人や知人を訪ねてまわり,1974年に起こったカーネーション革命の時代に,反体制派として生きたアマデウの人生を辿っていく。そこで彼が見つけた若き日のアマデウとその仲間たちの人生は,これまでのライムントの生き様とはまさに正反対の,活力に溢れたスリリングなものだった。
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自らを「退屈な」人間だと評価してきたライムント。5年半前に彼の元から去った妻。単調ではあったが何の疑問も不満もなく続けてきた大学教授の仕事と,変哲もない孤独な日常生活の繰り返し。おそらく残りの人生も同じような日々が続くものと,彼自身その日まで疑いもしなかったろう。

そんな彼が,アマデウの本と出合うなり,仕事を放りだして執りつかれたかのように異国へ「自分探し」の旅に出た。彼が授業中に女性の後を追って出ていったということを生徒から聞いた校長は「ありえない(impossible)」とつぶやいた。それほど,ライムントの取りそうにない行動だったのだろう。
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アマデウと親友ジョルジェ,二人の恋人だったエステファニアの物語は,劇中劇のように語られ,その中には恋愛もサスペンスも散りばめられてはいるものの,最終的には,これは人生における決断を表した映画だと思った。

ライムントは小説の中の設定では57歳。定年間際の,初老にさしかかった男である。日本であれば,老後の備えとか,人生の集大成とか,仕舞い支度や守りの体制に入る年齢だと思う。でも,同時に,人生が残り少なくなったからこそ,これまで自分が生きてきた道を振り返りたくなる年齢でもある。
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人生の一部しか生き得ないなら,残りはどうなるのだ?・・・・
あと少ししか残されていないから,諦めて生きるのか?
それとも,あと少ししか残されていないからこそ,「生き直す」道を選ぶのか?

ライムントにとっては,それまでは体験したことがなかった大きなターニングポイントが,人生の終盤でいきなり訪れたようなものだろう。考えてみれば,誰の人生も選択の連続で,どちらを選ぶかで道は全く変わってくる。あのとき本当は選びたかった道を進んでいたら,どこへたどり着いていたのか,遅まきながら今からでも辿ってみたくなる・・・そんな心境になったことって,誰でもあるかもしれない。

ライムントは,最後に駅でどんな決断をしたのだろう。きっと,彼は元の生活にはもう戻らず,マリアナのいるリスボンにとどまることだろう。彼の残りの人生は,その後どのような輝きを増すのだろうか。優しく幸せな余韻の残るラストシーンが素敵だった。
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私たちはこれまでの自分の人生に本当に納得しているだろうか。
もしやり直すチャンスがあれば,行動に移すことができるだろうか。
それとも実現できなかった別の人生に,心の中で思いを馳せるしかないのだろうか。
もはや冒険を避けたい年代であるにもかかわらず,それまで築いてきたものをすべて捨てて,別の人生を生きることができるだろうか。

本当にやりたかったことや手に入れたかったもの,そして自分の別の能力を発揮できる道と,もしかしたらそこでしか出会えない人たちとの関係とか・・・いろいろと自分の人生の来し方と将来を考えさせてもらえる哲学的な物語だった。原作も読んでみたい。こちらは映画よりもっと哲学的で難しいらしいけど。
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ジェレミー・アンアンズはやはり素敵だった。この作品ではわざと少し背を丸めたり,オロオロした仕草を演じたりして,ライムントのキャラクターを見事に演じていたけれど,枯れてもなおセクシーな俳優さんの一人で大好き。彼の作品ではミッションのガブリエル神父と,ダメージのスティーブンがとりわけ好きな役だったけど,この作品の彼が一番になったかもしれない。それにしてもこの作品でも感じたが,欧州の由緒ある美しい街並みがとてもよく似合う俳優さんだ。

2013年8月21日 (水)

ローン・レンジャー

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これ,めっちゃものすごく楽しかった〜〜!!!!!

特にラストの列車でのアクションシーンは,BGMのウィリアムテル序曲に合わせて,客席で踊りたくなるくらいテンションが上がりまくりだったよ・・・・いい年して恥ずかしい・・・けど。
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ローンレンジャーって,大昔から(どれくらい昔?)有名なドラマシリーズで何度も映画化もされたお話なんだって知らなかったが,この作品が由来という「インディアン,嘘つかない」という言葉はよく耳にしたことがある・・・そうか,あれはトントの台詞やキャラから来ていたのか。

法を遵守することに命をかけていたお固い検事だった主人公ジョン・リードが,札付きの悪党たちに,敬愛するレンジャーの兄を殺され,思いをよせていた義姉と甥をさらわれ,孤高のインディアン戦士トントとバディを組んで,追跡と復讐の旅に出る・・・ローン・レンジャー誕生のお話だ。
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ジョニーは最初から最後までトントの扮装で,すてきな素顔は拝めなかったけど,やはりこういう仮装キャラの彼も素晴らしい! トントの,信用していいのかどうかわからなくなる胡散臭さや,いざというときの胸のすくような活躍ぶりや,内心に抱えた孤独なトラウマなどなど・・・・一筋縄ではいかない魅力が一杯で。
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義足からズドーン!の、ヘレナ・ボナム・カーターのあり得ないキャラも楽しかったし,お馬のシドニーがの人を食ったようなとぼけぶりも,もう可愛くって!長身のヒーロー,アーミー・ハマーの スーツ姿にテンガロンハット,マスクもとっても素敵だ。

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息が合ってるのかいないのか,信頼しているのかいないのか・・・・トントとジョンのコンビの珍道中は,面白すぎて目が離せない。「キモサベ」の本当の意味をジョンに素直に教えないトントの天邪鬼ぶりも可笑しくて。

映画史上に残りそうな列車でのアクションシーンは、敵も味方も入り乱れて、命懸けで戦っているはずなのに双方みんな楽しそう…まるで壮大な障害物競走のようで。だいたいBGMが運動会でおなじみの曲だから。ドキドキハラハラワクワク!このシーンは何度でも観たい!
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もちろん、このキャストで続編作ってくれるんでしょうね~。
すっかりトントのにわかファンになりました

2012年12月27日 (木)

レ・ミゼラブル

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大好きな原作,大好きな俳優さんたち!ということで師走の慌ただしいスケジュールを調整して劇場まで足を運びました。始まってすぐに,え?ミュージカルだったの?これ。と驚く私。相変わらずまったく下調べもせずに行ったもので。(実はアニメとミュージカルはあまり得意ではありません。歌と芝居は別々に楽しみたいタチで,映画はあくまでも生身の俳優さんが普通の台詞でがっつり演技してくれるのが好みなもので・・・)

後で調べてみたら(遅いっつーの)ミュージカルの最高峰と言われた舞台版の完全映画化だそうですね。なるほどなるほど・・・・と,気を取り直して鑑賞。

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で,感想ですが,この物語って,天下の文豪ヴィクトル・ユゴーの原作だけに,ストーリーは波乱万丈で壮大だし,登場人物はみんな個性的でキャラ立ちしてるし文句なしに感動的で,どこに焦点を当てて作っても面白くて,失敗の仕様がないのですよね。(原作が長く登場人物も多くて複雑なので映像化されるときはどうしても細部が端折られるのは仕方ないですが。)だから私にとっては,映像化されるたびに,今回は誰がバルジャン役で誰がジャベールで・・・・というキャスティングを楽しむ作品でもありました。

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今回の「レ・ミゼラブル」はミュージカル映画ということで,一番感動したのは「みんな演技だけでなく,なんて歌もうまいんだ!」ということでしょうか・・・・。

歌いながら演技する・・・いや,演技しながら歌う?みなさんそれはそれはお見事でした。男性陣よりは女性陣の歌声と演技により感心したかもしれません。痛々しく哀れなファンテーヌ役を渾身の演技と歌で見せるアン・ハサウェイや,スウィーニー・トッドの怪演ぶりを彷彿とさせるヘレナ・ボナム・カーターの貫録・・・
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そしてエポニーヌ役のサマンサ・バークス,この人の歌が一番表現力も音域も豊かで上手かったと私は感じました。

主役のジャン・バルジャンを演じたヒュー・ジャックマンの朗々とした歌声は素敵でした。踊りもアクションもできるし,歌えるし・・・・器用な役者さんですね,さすがに。惚れ直しましたよ。
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ジャベール役のラッセル・クロウの歌声は,彼本来の話し声と違って,甘くてソフトで高めだったので思わず耳を疑った・・・・だってラッセルの話し声は低音で渋くってそれが彼のキャラにピッタリだったのに・・・・えええ~~彼ってこんな優しい歌声なんだ~~?と意外でしたね。(吹き替えじゃないでしょうね?)男優さんたちは総じて高めの声質の歌声だったので,一人くらい地の底に響くようなバスの声の人がいたらよかったなぁ・・・ラッセルはそんな声かと期待したのだけど。
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ラッセルが歌わずに喋る台詞は,やっぱりいつもの彼の渋い低音(でも滅多に喋らずに歌ってばかりだったが)で,歌とのギャップが可笑しかったです。ま,きれいなお声でしたが・・・・。ヴィジュアルの雰囲気はジャベールぴったりなんだけど,歌声が優しすぎ。

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老いも若きも,原作好きも初めての人も,みんな楽しめる見事な作品になっておりました。特にこれの舞台版のファンの方にはきっと満足いただける作品になっていたのではないでしょうか。申し訳ないけど私は個人的な好みで,最初から最後まで台詞を歌いっぱなしという作品はイマイチ感情移入できないので,やや消化不良でしたが・・・・・。(「オペラ座の怪人」なんかも同じ理由で苦手)

2012年10月22日 (月)

ラビット・ホール

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大きな岩のような悲しみは
やがてポケットの小石に変わる・・・

ピューリッツァー賞受賞の戯曲をベースに,劇作家のデヴィッド・リンゼイ=アベアー脚本,ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の作品。ニコール・キッドマン主演。DVDで鑑賞。

あらすじ: 郊外に暮らすベッカ(ニコール・キッドマン)とハウィー(アーロン・エッカート)夫妻は、愛する息子を交通事故で失った悲しみから立ち直れず、夫婦の関係もぎこちなくなっていた。そんなある日、ベッカは息子の命を奪ったティーンエイジャーの少年と遭遇し、たびたび会うようになる。(シネマトゥディ)
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突然の事故で子どもを失った夫婦が,その悲劇や喪失感をどのように受け入れ,再生への道を歩き出すか…そんな過程を繊細に丁寧に綴った物語だ。

この作品を観て,「喜びは似ているが,悲しみは千差万別」だという意味の言葉を思い出した。そして,悲しみの乗り越えかたも人によって様々で,決してマニュアルはないし,自分のやり方を押し付けてもいけないのだなあとも思った。

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ベッカとハウイー夫妻は,息子を亡くしたという悲しみや痛みは同じ筈で,だからこそ傍目には,二人は共に手を取り合って悲しみを癒し合えるのではないかと思うのだけど,それがそう簡単ではなく,男女の違いか,はたまた互いの性格や価値観の違いか,二人は互いのやり方にそれぞれが違和感と不満を持ち,気持ちは次第にすれ違っていく。

どちらかと言えば,一般的には夫のハウイーの方が普通の反応に見える。彼は亡くした息子の思い出の詰まった部屋や持ち物を大切にし,夜更けに息子のビデオテープを見て涙を流し,子を亡くした親たちのセラピーに参加して他人と悲しみを共有し,妻との間に新しい子どもを授かりたいとも願う。
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そんな彼に比べて,妻のベッカは,息子の遺品から極力目を背け,セラピーでは神の癒しについて語る他の親に毒舌を吐き,寄り添おうとする実母や妹に時には高飛車な態度を取ったりする。そして挙げ句のはてには,息子の命を奪った加害者の少年と交流したり・・・。ハウイーにとってそんな妻の言動は,なかなか共感できるものではなかった。
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わたしもベッカの言動には「なんで?」と思うこともあったけれど,やはり悲しみとの折り合いの付け方は人によって違うから,頑なで八つ当たりのように見えたとしても,彼女は今はああするしかないのだろうな・・・と切なく思いながら観た。特に遺品や思い出を封印したくなる気持ちはわかるような気がする。私だってもし彼女の立場に立ったら,遺品の処分は出来ないけど,見たら思い出して辛くて耐えられないかもしれないから。

ベッカはまだ受け入れられないのだ・・・たぶん。息子を亡くしたことを。そしてまた,それによって不幸になった自分をも彼女は受け入れられなくて苦しんでいたのかもしれない。
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結婚して家庭に入るまではキャリアウーマンだったベッカ。美しく,家事も堪能で裕福で…そんな彼女なら,息子を亡くしたことで他人に憐れまれたくないというプライドもあるだろうし,「麻薬の過剰摂取で死んだ兄と自分の息子を同列にしてほしくない」と実母にくってかかる気持ちもわかる。夫や肉親の慰めの手を素直に受けることができずに自らを孤独に追いやっている彼女は,もちろん痛々しくはあるのだが。
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そんなベッカの慰めになったのが,加害者の少年との触れ合いだったのは意外だった。これが犯罪ならもちろん加害者との交流などあり得ないのだが,不慮の事故であり,少年もまた痛みを抱えていたこともあって,ベッカは彼と共鳴したのだろうか。

少年の描いたSFコミックに登場する無数のパラレルワールド。世界はひとつだけでなく,別の世界では息子も自分たち夫婦も,何一つ失わず幸せに笑っているのかもしれない。この発想がベッカに不思議な慰めを与える。
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もはや取り返しのつかない悲劇や喪失。でも,もしかしたらそれらが起こっていない別の世界があるのかもしれない。そこで愛する息子は幸せに生きているのかもしれない。自分たちは彼の傍らでこれからもその成長を見守っていけるのかもしれない・・・・。

ベッカもハウイーも,いさかいやすれ違いの危機を体験しながら,それでもいつしか少しずつ同じ方向を向いて再生への道をゆっくりと歩き始める。人生はやはり続くのだから・・・どんな方法でも,人は悲しみのなかに立ち止ることなく,歩き出さなければ生きていけない。そう,人それぞれの方法でなんとか悲しみと共存しながら。
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和解した実母からの言葉,「悲しみは消えないけど変化していく。重さが変わっていく・・・岩のような大きさだったのがポケットの中の小石のようになる。時には忘れてしまうときもあるほどに。それでも消えることはなく依然としてそこにあるのだけれど。」 という意味の言葉が印象的だった。

失ったものは戻りはしない。後悔しても時は巻き戻せない。
悲しみは完全に消えはしない。
それもまた自分の一部であると受け入れながら悲しみと共に生きていくほかはないのだ。やがてその重みをほとんど感じなくなり,時には慈しむこともできる日が来ると信じて。

それにしても。
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ニコール・キッドマンの美しさ。不惑をとっくに過ぎてもこのひとの美しさは少しも色褪せない。髪形によってはまだまだ少女のように見えることも。まとめ髪にするとそれはそれで熟女の魅力も漂うし。あらすじを追いつつもニコールの出る作品は,やはりこのひとの容姿に見とれてしまう・・・・。

2012年1月15日 (日)

リアル・スティール


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2012年の初鑑賞映画
はこれ!
すっごくエキサイティングで感動的で,そして前向きにもなれる素晴らしい作品だった!昨年観てたら絶対ベストに入れてたなぁ。・・・・まぁいいか,来年のベストに入れるのはすでに私の中で決定。

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何がいいかってこれね,世代や性別や嗜好を越えて,ほぼ万人が楽しめるよく出来たエンタメなのだと思う。ほんの少し近未来のロボット・ボクシング界で起死回生のチャレンジをする,父と息子の物語なのだけど。

登場するロボットたちの迫力満点のリングシーンや格闘技ロボットの驚くべき性能などは,ロボットオタクの男性にとってはおそらくたまらないだろうし,「シービスケット」や「シンデレラマン」のような不可能を可能にする不撓不屈のサクセスストーリーとしても万人の感動を呼ぶ。

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そしてそれまで互に面識がなかった父と息子が,反発しあいながらも次第に絆を強めていくあたり・・・・特に,冒頭はまるで父親の自覚ゼロで,行き当たりばったりの人生観を持つ主人公チャーリーが,次第に「父親」として成長していく過程は・・・・これは子役のダコタ君の上手さや魅力も手伝って,かなり心にグッとくる。

個人的に私はヒュー・ジャックマンの「まるで人造人間のよう」な完璧なマッスルボディに感動したけど。いや~~,あの胸板,腕の筋肉,そして脚の長さ!素晴らしい・・・

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そしてみょーに嬉しかったのが最初に出てきた日本製のロボット「超悪男子」のボディ全面に燦然と輝くインパクトの強い漢字熟語。なんかもう,劇場でひとりニヤニヤしてしまった・・・。この漢字たちには。

後半は父チャーリー,息子マックス,そしてロボットのアトムの三者の心の絆というか根性に渾身で応援したくなる。素朴な外見とハートを持つ「人間のような動き」で敵に立ち向かうアトムが愛おしくなってきて。何度ノックアウトされてもマックスの声で立ち上がるアトム。そうそう,まさにダビデとゴリアテの闘いだ。終盤近くの感動はシンデレラマンの終盤に感じたそれに似てるかな。
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ヒュー・ジャックマンはカッコよくて,運動神経抜群でダンスもできて,身体を駆使する役柄も素晴らしいのだけど,今作の,身体はマッチョで強いけど精神面はいい加減でヘタレという情けないけど味のあるキャラもとても上手かった。前半には,まだまだ父親の自覚がなく,小学生の息子と対等に口げんかしたりしていた彼が,息子から「ダディ」と呼んでもらえるまでの道のり・・・そして心の中で父に期待し,父を慕ってきたマックスのラストの幸せいっぱいの笑顔。

いや~~,実に爽快で元気になる作品で一年がスタートできて嬉しい。

2011年2月 7日 (月)

RED/ レッド

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若造は引っ込んでな

RED(=RETIRED EXTREMELY DANGEROUS)
つまり,引退した超危険人物
元CIAの凄腕工作員だったメンバーが再結集する,同窓会みたいなスパイ映画。もうこの設定だけでワクワクするではないか。しかも出演するのがブルース・ウィリス,モーガン・フリーマン,ジョン・マルコヴィッチ,ブライアン・コックス,ヘレン・ミレンときた日には,(平均年齢もギャラの総額も高そう〜)期待するなという方が無理だ。

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田舎に引退して穏やかに年金生活をしていた元凄腕CIAエージェントのフランク(ブルース・ウィリス)の家に何者かが侵入し,フランクが命を狙われたことから,事件は始まる。フランクは恋心を抱いていた年金課のサラを連れて,謎の解明と協力の要請のために,かつての仲間たちを訪ねる…。

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肝臓ガンを患い老人介護施設で余生を過ごしている,かつての上司ジョー(フリーマン),湿地の隠れ家で,妄想と共に潜伏している元宿敵&同僚のマーヴィン(マルコヴィッチ),そして今は優雅な洋館で暮らしている,凄腕の狙撃手だったヴィクトリア(ミレン)。それに加えて,旧ソビエトの元スパイ,イヴァン(コックス)がタッグを組んで,何年も前に葬り去られていた,ある村の虐殺事件隠滅にまつわる陰謀に鮮やかに立ち向かう。
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当たり前だが,それぞれの演技もキャラ立ちも一級品。
ダイ・ハード4.0の時より若々しく見えるブルースの冷静沈着で万能なカッコよさ(若い子と恋ができるのも納得)や,老いた分だけ余計にキレた演技が冴えわたるマルコヴィッチの怪演ぶり。フリーマンは相変わらず味があるし,ヘレン・ミレンに至っては,ゴージャスで気品のある彼女が,夜会服姿+夜叉さながらの形相で,マシンガンを撃ちまくるシーンの痛快さといったら。
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個人的には,若いころのヴィクトリア(ミレン)との禁断の恋のエピソードを持つ,旧ソビエト側のスパイ,ブライアン・コックスのキャラが一番好きかもしれない。このあたり,人物造形が見事で,作品に深みや厚みがある。
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この作品,何がいいかって,そりゃあ,年金生活者の彼らが若いモンに一歩も引けを取らず,各人が場面ごとに仰天するような特殊能力を発揮してくれる姿が実に爽快なのである。登場する武器も作戦も,破格のものばかりで,REDの面々それぞれがみなとても個性的で魅力的で,おまけにこの上なく役者がみんなハマっている。敵のキャラや陰謀の細かいことはこの際どうでもいい,とにかく彼らがカッコよすぎて!
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・・・・・誰がジジイってか?

最初から最後まですごーく楽しみながら観た!
機会があれば大スクリーンで何度でも再見したい,ストレス解消にはうってつけの怪作!

2010年12月13日 (月)

ラストコンサート

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もう一度 弾いて。
そして喝采を浴びて。
あなたの夢のために
わたしは星になる。

1976年公開の宝石のように煌めく純愛物語。
当時話題作だった「カサンドラ・クロス」と二本立て公開作品で,「カサンドラ~」目当てに劇場に足を運んだ観客が,こちらの作品の方に感動してしまった,というエピソードをよく目にする。私は今回がDVDで初見。
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どこかで耳にしたことのあるような,軽やかで爽やかなBGMが流れる中,美しいモン・サン・ミッシェルの風景をバックに物語が始まる。まるで天から舞い降りてきたかのような,ピュアでどこまでも無邪気で可愛い少女,ステラ。そして彼女は父親探しのためにやってきたフランスで出会った,落ちぶれた中年のピアニストのリチャードに恋をする。

Cap001
一緒にいれるだけで幸せだと言わんばかりの,屈託のない愛情を直球で寄せてくるステラに対して,父親ほどの年齢のリチャードは,最初は戸惑いと困惑を隠せない。ステラが父と会えたらそこで別れようと思っていた彼だが,一途でキュートな彼女に次第に惹かれてゆく。

Cap008
実は白血病という不治の病で余命がわずかだったステラ。しかし彼女はそのことを隠して,リチャードのピアニスト再起にすべてをかける。ともすれば諦めが先に立つリチャードを,ある時は優しく励まし,ある時は激しく叱咤激励し・・・・

リチャードはステラと結婚し,やがて彼女のために「ステラに捧ぐ」というピアノ・コンチェルトを書き上げる。しかしその初演の日,ステージの袖でステラはウェディングドレスに身を包んだまま息を引き取った・・・。

Cap010
これって実は,ベタもベタ,少女マンガをそのまま映画にしたような物語である。そして人物の掘り下げも浅く,生活感もなく,ステラやリチャードのそれまでの背景も性格も詳しく描かれていないので,親子ほどの年齢差のある二人が恋に落ちる必然性も,さほど感じられない。

しかしそれだからこそ,本作は現実にはありえない寓話めいた美しい純愛物語としての魅力にあふれ,ステラの天使のような可愛さに,細かいことはすべて許してしまいたくなるのかもしれない。

Cap014
中年期も終わりに差し掛かって,もう人生を諦めてしまった男と,愛と希望と生きる意欲にあふれつつも,命の灯がまさに消えようとしている少女が出会い,少女は自分に残された時間を,彼を愛し支えることに費やす。そして彼は,まるで愛する彼女の命を受け継ぐかのように,再び生きる意欲を取り戻す。・・・・文句のつけようのないロマンチックな悲恋物語なのである。

ステラというのはラテン語で「星」の意味。
死期を悟ったステラが,「私が行けない時はこれを身につけて演奏して。そうすればいつも一緒にいられるから」とリチャードにプレゼントした星型のタイピン。それをつけたリチャードが演奏する「ステラのコンチェルト」の,えもいわれぬほどの壮大で美しい調べ。

Cap017
その調べに合わせて,出会いから現在までのステラのシーンが走馬灯のように蘇り,「あなたにすべてを捧げて幸せだった」という彼女の独白が流れるラストシーンは,これは泣かずにはいられないだろう。

邦画の砂の器でも同じように感じたけれど,この場面で,物語の感動のすべてが,ドラマティックで美しい音楽によって見事に収束されていくのだ。音楽がとても効果的に感動を盛り上げてくれる作品の代表ではないだろうか。有名俳優も出ていない小品ではあるけれど,多くの人の心に今でも残る,珠玉のような作品だろう。