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    ブロークバックマウンテンの名シーンの数々です。

カテゴリー「映画 ま行」の24件の記事

2017年2月18日 (土)

マリアンヌ

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第二次世界大戦下の1942年のモロッコ。夫婦を装ってナチスの要人暗殺の任務についたケベック出身の空軍情報員マックス(ブラッド・ピット)と,フランスの女性工作員マリアンヌ(マリオン・コティヤール)。二人は任務を通して恋に落ち,結婚して娘をもうけ,ロンドンで幸せな生活を送っていたが,ある日妻のマリアンヌに二重スパイの疑いがかかる。もしそれが事実なら,「妻を自分の手で始末するように」との指令を上官からうけたマックスは,妻の無実を証明しようと奔走するが・・・・。

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物語の筋はわりと先読みしやすく,終盤になって驚愕のどんでん返しなどもない。あー、やっぱりこう来てこういう結末よね・・・・という感じに終わったので、ストーリーは王道かもしれない。それでもマリアンヌの秘密が明らかになっていく見せ方はサスペンスフルでどきどきする。

この作品の見所のひとつは、ブラピとマリオンのカップルのゴージャスぶり。なんといっても,お二人とも華があり,それに加えて演技派でもあるから。戦中戦後(1940~1950年代)のファッションは,男性も女性もとても素敵だと常々思っていたけど,この作品の二人も最高に美しく,そしてまあ似合うこと似合うこと!
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軍服も似合うブラピ

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はぁ~~~ ため息 なんて美しいのlovelyマリオン・・・・

ブラピは,久々に(失礼)ダンディで麗しいです。50歳過ぎてるなんてとても見えない。特殊メイク?それとも単に髭を剃ったから?ベンジャミン・バトンのころのブラピを見ているようで,ほんとこのひとかっこいい~~。

マリオンも41歳だなんて!ラストシーンの彼女の表情はまるで少女みたいにも見えた。ロング・エンゲージメントで初めて彼女を見てから10年はたっているのに,老けるどころかますます美しくなっている。
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恋人や妻が敵のスパイかも・・・という物語はあの有名な韓国映画「シュリ」を少し思い出した。「シュリ」では実際に恋人を撃ち殺してしまうが,この作品は・・・・。それはネタバレなので書かないけど,悲恋ということで,予想はつくと思う。「シュリ」の場合は相手が婚約者だったけど,この物語は妻で二人の間に子供までいたので余計に切ない。

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実話がベース・・・というよりは,実際にあったらしい出来事をヒントにして作られた物語らしい。国籍の違う工作員同士が任務がもとで結婚し,後に妻が二重スパイの疑いがかかった夫婦が実際にいたんだね・・・・。なんともシビアな世界だなぁ。

この時代,ネット情報もメールもないから,妻が偽名を使っているかどうか確かめるのに,夫は妻の写真を持って問い合わせに奔走する,というところも,顔や雰囲気は似ていても決め手になるのがピアノを弾けるかどうか,だった・・・とかいう展開も面白かった。

ブラピの作品の中では,かなーりお気に入りの一つになりました。ちなみに今までの彼の作品で好きなのは

ベンジャミン・バトン 数奇な人生
トロイ
③インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
セブン

で,5番目くらいにこの作品が来ますね。

2015年8月16日 (日)

ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション

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どこまで続くのかこのシリーズ,そしてどこまでエスカレートするのか,50代になってもなお限界に挑戦し続ける天晴れなトムの命知らずのアクション・・・・絶対に絶対に劇場で鑑賞したいこのシリーズの作品,夏休みの時期に公開してくれて嬉しい限り。

あらすじ:正体不明の多国籍スパイ集団“シンジケート”をひそかに追っていたIMFエージェントのイーサン・ハント(トム・クルーズ)は、ロンドンで敵の手中に落ちてしまう。拘束された彼が意識を取り戻すと、目の前に見知らぬ女性と、 3年前に亡くなったはずのエージェントがいた。拷問が開始されようとしたとき、その女性は思わぬ行動に出る。 (シネマトゥディ)

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いやー,やはり面白かった。
私的には,前作ゴースト・プロトコルを超える面白さとまでは言わないが,やはりすごく面白い!冒頭からトムの「クルーズ走り」の後はノースタントの軍用機張り付きアクションが展開され,いきなりこんなハイテンションで始まって,あとあと息切れしないの?と心配になったが,監督・脚本がユージュアル・サスペクツクリストファー・マッカリーだけあって,先の見えない展開続きで最後まで緊張の糸も途切れず,謎解きの面白さも十分すぎるほど。

ローグ・ネイションとは「ならず者国家」という意味だそうで,世界平和に対する脅威を画策する国家や体制」のこと。この作品でイーサンが追うローグ・ネイションは,死んだことになっている元エージェントたちが集結した多国籍スパイ集団「シンジケート」。後ろ盾になるはずのIMFは解体の危機にあり,相変わらずイーサンは国際手配されてたりして,孤軍奮闘なのはお約束通りの展開。
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今作で一番注目せずにおれなかったのが,↑のお方。
イーサンを拷問から救い,その後も敵なのか味方なのか立ち位置が謎のままイーサンと一緒にシンジケートを追う美女イルサ。実は彼女はシンジケートに潜入中の英国の諜報員なのだが,このイルサを演じた女優さん(レベッカ・ファーガソン)が,身体能力も美しさもお色気も凄い。今までのこのシリーズの中でも一番魅力的なヒロインかもしれない。スウェーデン出身の,碧眼の惚れ惚れするほどの正統派美人さんだが,華麗な太ももさばきで敵を締め上げて殺したり,男顔負けのバイクアクションをこなしたりする最強の女性エージェントだ。
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そのほかにも,このシリーズではおなじみになっているベンジーやルーサー,ブラント(ジェレミー・レナー)たちもしっかり脇を固め,特に今作ではベンジー(サイモン・ペッグ)が大活躍している。

新作が出るたびに過去のミッション・インポッシブルも再見してみるのだが,思えば20年も続いているこのシリーズ,これだけ回を重ねても,主役も交替せず面白さを保っているというのはすごいことだと思う。ひとえにトムの頑張りのおかげか。彼も今さら地味なヒューマンドラマにも戻りにくい俳優さんだと思うので,これからもスパイものやSFものでアクションをし続けるしかないのかもしれないけど,その路線で頑張ってほしいよね・・・・。できる限り。やっぱりかっこいいもの。アクションしているトムは。

2015年8月 1日 (土)

めぐり逢わせのお弁当

O0434062013055348053マダム・マロリーの魔法のスパイスに続いて,インド料理が食べたくなる映画をもう一つ。こちらは従来のインド映画のイメージとは違って,とても繊細で静かなラブストーリーだ。お弁当に登場するインド料理が美味しそうなのは言うまでもなく,この映画の鑑賞後ももちろん,インド料理専門店に足を運んだし,映画に出てきたインドのお弁当箱も欲しくなった。DVDで鑑賞。お気に入りで何度も観ている作品だ。

この物語の背景には,インド特有のダッパーワーラーという弁当配達業の存在がある。

Title_2インドでは,三食をきちんと調理したあたたかい食べ物を食べるという文化があり,文化や宗教が入り交じっているインドでは,タブーとなる食べ物が人それぞれに違うことから,必然的に昼食は,外食ではなく家庭で調理した弁当を食べる労働者が大多数を占めるそうだ。お弁当は「ダッバー」と呼ばれる金属製の弁当箱に入れて,「ダッバーワーラー」と呼ばれる配達人に集められ,お昼に届けられる。下の画像はダッバーというお弁当箱。金属製のお椀にそれぞれ違うおかずが入れられて,汁ものも漏れない。これを保温機能のある袋に入れて届ける。
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ダッバーワーラーたちの届け間違いのミスは1600万回に1回、驚異の低エラー率なのだが,なんとこの物語は,このダッバーワーラーの届け間違いによって起こる設定になっているから面白い。ある日,妻イラの作ったお弁当が,全然違う見知らぬ男性のもとに間違って届けられる・・・・。イラの夫はそれまで妻の弁当に感想も感謝もなく,完食することもなかったのに,その日イラの手元に帰ってきたお弁当箱は綺麗に完食されていた。

はじめは夫がやっと完食してくれたのだと喜んだイラだが,帰宅した夫の話の食い違いから,食べたのは別の人だと気づく。普通はその地点で配達会社に苦情を入れ,翌日からは正確に夫に届くようにするものなのだが,イラはそうしなかった。かわりに「食べてくれてありがとう」という手紙を弁当箱にしのばせるのだ。こうして,夫に顧みられない寂しい人妻イラと,早期退職を目前にした男やもめのサージャンの間に,お弁当箱を介した手紙のやり取りが始まる・・・・。

10295731_729435773773903_5617187558顔も知らない相手とのお弁当箱を介しての不思議な文通。顔も知らない他人だからこそ打ち明けることができる,ささやかな悩みの数々。次第に生まれていく親愛の情。やがて互いに実際に会いたいと思うようになる二人。この設定は,手段こそ違えど,「ユー・ガット・メール」の二人のいきさつややり取りのようで・・・・。いや,こちらは「お弁当」を作ってあげてるぶん,実はもっと絆が深まっているのでは?と感じた。

毎日毎日,相手の顔や心情を思い浮かべながらお弁当を作り続けるって・・・やっぱり関心や好意を持っている相手にしかできないよね…普通。特にその相手が喜んで食べてくれるなら,余計に気持ちは深まっていくと思う。これって,食べてもらえる相手に対して思い入れや親愛の情がないとなかなかできない。(プロは別としてね。)

Img_cast02食べるほうもまた,赤の他人の手作りを毎日食べ続けるって,もちろん味がとても美味しかったのも理由の一つではあるかもしれないけど,作り手に対して気持ちがないとできないよね。両者の間に生まれた,プラトニックでありながら疑似夫婦のようなときめきは,妻を亡くして殺伐とした生活を送っていたサージャンの心に潤いを与え,夫に愛されないイラの生活にも張り合いを与えてくれるものだったに違いない。

Img_introで,いよいよ二人が「実際に会いましょう」という展開になって,これはプラトニックから一気に進展するのかしらと思ったら,サージャンの方が待ち合わせ場所まで出向きながらも,結局イラの前に姿を現すことなく帰ってしまう。彼を思い止まらせたのは,唐突に自覚した彼自身の「老い」による気後れ。それは,洗面所で気がついた祖父と同じ匂い(加齢臭?)や,電車の中で若者に席を譲られそうになった出来事など。若いイラの前に姿を現して失望させるのが怖くなったのだ。うーーーん,すごくなんだか・・・よくわかります。その気持ち。そして会うことがないままサージャンは転勤する。「良い夢を見させてくれてありがとう」という言葉をイラに残して。

物語はサージャンの部下の青年との,心温まるエピソードも盛り込みながら,インド映画には珍しく始終ゆっくりと静かに進んでいき,結局白黒つけないまま・・・というか,イラがはたしてサージャンの元へ行くのかどうかわからないまま,余韻を残して終わる。

O0600040013055348051イラは思いを綴った手紙を実際にサージャンに出せたのだろうか?行動に起こしたかどうかはともかく,それまで自分を顧みてくれない夫へ向けられていた彼女の心が,そんな寂しい呪縛から解放されたことだけは,確かだと思う。

心にじんわり沁み入るようなプラトニックラブのお話。それも大人のしっとりとした・・・・こういう作品大好きだ。花様年華恋におちてのような。

イラの手紙に書かれた,「人は間違った電車に乗っても正しい場所に着く」・・・・いい言葉だなぁ。運命とか宿命とかを感じさせる言葉。でも個人的には間違った電車に乗ったら別の場所に着いて,それもまた面白いというか受け入れて生きていくのも場合によってはありかも・・と思うのだけど。この言葉がこの物語の中でイラの口から語られると,サージャンへの確固たる愛のメッセージに思えてしまう。彼女のたどりつくその場所には,果たしてサージャンは居るのだろうか・・・。

2015年5月 6日 (水)

マダム・マロリーと魔法のスパイス

Mv5bmtq3mjg2mte4m15bml5banbnxkftztgラッセ・ハルストレム監督作品で主演は大好きなヘレン・ミレン
劇場でも観たし,DVDも購入し,加えて原作も買って読んでしまった。感想を書くのは今ごろになってしまったけど,とっても素敵で美味しそうで,心があたたかくなる大好きな作品。ストーリーもテーマも異なるけど,同監督の「ショコラ」に少し感じが似てるかな。

インドで曾祖父の代から飲食店を営んでいたハッサン・カダム一家は、繁盛していたレストランと母を,暴徒の襲撃によって失ったことをきっかけに故国を後にする。彼らは英国滞在を経てから欧州に渡り,家財道具一式を積み込んだ車で,落ち着く先を探して旅をするうちに,南フランスのとある片田舎にたどり着く。

Mv5bmtq4mdu1ndkwnf5bml5banbnxkftz_2そこでハッサンのパパは,通りすがりに目にした売り家の田舎屋敷を気に入り,家族の反対や心配を押しきってその屋敷を買い取りインド料理レストラン「メゾン・ムンバイ」を開店することに。 しかし、あろうことか,その屋敷と道を隔てたお向かいに建っていたのは,マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)経営のフレンチ・レストラン「ル・ソール・プリョルール」。それは,ミシュラン一つ星を獲得した有名老舗レストランだった。
1421381792924「マダム・マロリーと魔法のスパイス」なんていうファンタジックな邦題のお陰で,なんか魔法使いの出てくるお伽話のようだが,この物語は一言で言えば異文化(ことにその中でも食に関する文化や伝統)の対立と融合をテーマにしたものなんだろう。

インド料理VSフランス料理。味や調理法だけでなく、お店の内装からBGMからサーブの仕方からすべて天と地ほど違いのある文化だ。そして戦闘を率いるのは家長であるハッサンのパパVSマダム・マロリー。始めに仕掛けたのは,「この土地に下品なインド料理なんて!」と怒り狂ったマロリーの方だが、迎え撃つパパもなかなか強烈なキャラクターで負けていない。どちらも長年の経験とプライドと頑固で一徹な性格の持ち主ゆえ、互いに一歩も引かない。面と向かっての喧嘩はもちろん,食材の買い占め合戦やら町長への直訴やら…スタッフ同士の反目も加わって両レストランの競争は加熱していく。

Mv5bmjm2nti1nzuznl5bml5banbnxkftztgそんななか、シェフとして生まれつき天才的な腕を持つハッサンと,マロリーの店の副シェフのマルグリットは,互いに淡い恋心を抱く。食に関して柔軟な発想と好奇心をもつハッサンは独学でフランス料理の勉強をし,マロリーは彼の才能に密かに衝撃を受けることになる。いわば「敵」である彼の中に,たぐいまれな料理人の才能を感じ取ったマロリーは,最初こそ落ち込むものの,やがてその才能を伸ばし,生かしていこうと決心する。

マロリーの意識の変化とハッサンの橋渡しのおかげで,反目していた両家の間には和解と親愛の情が生まれ,マロリーの店に修行に行ったハッサンは,伝統的なフレンチにオリジナルのスパイスを加えて次々に新しい味を生み出していく。マロリーの店はハッサンを迎えてから悲願だった2つ星を獲得し,ハッサンはパリの斬新な店に引き抜かれることになり…。
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ハラハラドキドキする場面や展開も程よく盛り込まれてはいるが,あくまでよく効いたスパイス程度で、全体にはとても優しく、あたたかくて最後は大団円!という物語に仕上がっていた。しかし,出てくる料理のなんと美味しそうなこと!ハッサンの鳩のロティとオムレツ,特に食べてみたい… そんなわけで 映画の帰りに立ち寄ったのはもちろん,タンドリ料理が食べられるインド料理専門店でした。

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映画の後に読んだ原作は、読みごたえ十分で,特にハッサン一家のインド時代の出来事や,料理の師匠としてのマロリーの存在や,さまざまな食材や料理がハッサンの視点で綴られていて,長尺な物語でも少しも飽きずに楽しく読めた。ただ、映画と違う設定も多々あり,小説ではマロリーとパパの間にはロマンスは発生しないし,ハッサンもフレンチにインドのスパイスを加えた料理を作り出したりはしないけれど。映画はハルストレム監督独自のほのぼのスパイスが加えられて、味わい深い癒し系グルメ作品に仕上がっていたような気がする。

2012年6月 8日 (金)

ミッション:8ミニッツ


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私の好きなジェイク・ギレンホール主演作品。
SFサスペンス?のジャンルなのかな…これ。
劇場で見逃して,DVDリリースされてすぐに購入していたのだけど、なぜか勿体なくて,今まで観ずに仕舞い込んでいた。
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冒頭,まどろむジェイクの,私の好きなアングルの顔のアップから物語がスタート,ちょっと年は取って渋さは出てきたけど,やっぱりジェイク好きだな~特に瞳が。と思いつつ,最初から彼が演じる主人公の置かれている立場がイマイチわからん…しかし何一つ見逃すまいと,目を皿のようにして観ているうちに,ジェイク同様にこちらにも徐々に状況がわかってきた。

ジェイクが演じるのは米軍のスティーヴンス大尉
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彼は軍から命じられた極秘ミッションの遂行中で、それは列車爆破事故の被害者の死亡8分前の意識に潜入し,爆弾犯を突き止めるというもの。スティーヴンスは,犯人がわかるまで何度も何度も,被害者のひとりであるショーンという青年の,事故8分前の意識へと転送される。

観ているこちらとしては、なになに,これ何の罰ゲーム?そもそも死んだ他人の過去の記憶の中に他人が入り込めるなんて,出来るのか?なぜに8分?とか,いろいろな?マークが脳裏を駆け巡る。一応このプログラムの責任者から,このプログラムがなぜ可能なのかそのシステムはサクッと説明はされたが,わかったようなわからんような・・・
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しかし慌ただしく何度も転送されるうちに,はじめは戸惑って混乱していたスティーヴンス大尉が,犯人を見つけようと任務に従って,あれこれ挑戦する様子を矢継ぎ早に見せられるので,飽きないし先が気になって目も離せない。不可能だろ,とか矛盾点とか考える間もなく気がついたら応援させられてる感じだ。
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そして中盤から,大尉がなぜこの任務につかされたか,その恐るべき真相と,彼と父親とのエピソードなどが明らかになって来ると,さらに面白く,ヒューマンドラマ的な要素も加わって味わい深くなってくる。ここからは演技派でもあるジェイクの真骨頂かもしれない。

こういうパラレルワールドの物語で,ジェイクの主演と言えばどうしても,あのドニー・ダーコを連想するが,この作品もドニー・ダーコに似て,ラストはちょっと難解だ。ネタバレしないけど…というか,自分でも消化不良の点もあるので,はっきりしたネタバレも出来ないのだけどね。切なくもあるけどハッピーエンドみたいな終わりかただ。私は好き。
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奇想天外な設定を,着眼の面白さと役者の演技と気合いで,面白く観せきった作品かも。監督のダンカン・ジョーンズ(デヴィット・ボウイの息子さん)の前作品は「月に囚われた男」だと聞いて,なるほど~と納得した。あれも不思議な魅力の作品だったので。
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ジェイクのファンじゃなかったら観てなかった作品だったけど,それを抜きにしても面白く楽しめる作品だ。こういったジャンルがお好きな方はぜひ。

2012年4月16日 (月)

ミケランジェロの暗号

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これは面白い!おすすめ。
ヒトラーの贋札のスタッフが,ユダヤ人であるポール・ヘンゲの実体験を基に執筆された原作を映画化したもの。異色のナチスものは多々あるが,「こんな史実もあったんだ~」と楽しめるだけでなく,純粋にストーリーが面白い。サスペンス仕立てにもなってるし,途中の展開もハラハラドキドキの見せ場もあるし,最後は「してやったり」というカタルシスも味わえる・・・・作品の雰囲気は違うが,鑑賞後の痛快感が,大好きな暗い日曜日と似ていた。

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あらすじ:
ユダヤ人美術商の一家に代々伝わるミケランジェロの絵画をイタリアのムッソリーニに送り付け、優位な条約を結ぶ材料にしたいナチス・ドイツは絵画の強奪に成功するも、贋作であることが判明。一方、本物の絵を隠した一家の息子ヴィクトールは、父親が遺した謎のメッセージを受け取っていて家族の命を守るためナチスと駆け引きをしようとするが……。(シネマトゥディ)

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主人公のユダヤ人青年ヴィクトールを演じたのは,ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアでとぼけたアラブ人を演じたモーリッツ・ブライブトロイ。収容所に入れられていた時もあるという設定なのに,彼が最初から最後までちっともやせておらず、むしろ,やや太り気味なのが妙に気にはなったが,なかなか味のある実力派の役者さんだ。

ミケランジェロの絵画を何とかナチから守り抜こうと知恵を絞った画商とその息子。彼ら一家に可愛がられて育ったにもかかわらず,ナチに入党し彼らを裏切ったドイツ青年ルディの密告により,ヴィクトール一家は収容所に送られ,絵画はナチの手に。
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しかしそれが実は贋作だったことがとわかり,本物の有り場所を吐かせるために,ナチは収容所のヴィクトール尋問しようとする。本物の在り処を知る唯一の人物だったヴィクトールの父親は,すでに謎の遺言をヴィクトールに残してこの世を去っていた。絵の在り処など知らないまま,尋問へと移送されるヴィクトール。しかし移送途中のヘリが墜落し,彼と護送役のルディだけが生き残った時ヴィクトールは,今も収容所に囚われている母を助け出すために,一か八かの賭けに出る。
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この,ヴィクトールが捨て身でナチとの駆け引きを始めてからが,とにかく面白くて目が離せない。裏切り者でどこまでも卑劣なルディとヴィクトールの対決や,途中からこの駆け引きに参加するヴィクトールの恋人レナとの絡みなど,先の読めない展開にハラハラしつつ,そして根っこにはやっぱり「で,本物のミケランジェロはいずこに?」という謎があって,最後まで緊張感や期待感が持続する。ヴィクトールの作戦が何度もバレそうになりながらも,運の良さやなにやらでなかなかバレずに上手く進むあたり,手に汗を握る。あまりに上手く行く展開に「ほんまに実話?」と首をかしげつつ,やはり面白くて。
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同じスタッフ作でも,ヒトラーの贋札よりこちらがエンタメ色が強く,見やすいかも。それは,この作品が,結局ハッピーエンドと言うか,勧善懲悪の色合いがあるからかもしれない。

ラストシーンの,ヴィクトール一家がルディに対して,静かに「逆転満塁ホームラン」を宣言するかのような笑みを満面に浮かべて去っていくシーンは,心憎くて何度でも観たくなるシーンだ。

2011年12月18日 (日)

ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル

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ミッション・インポッシブルシリーズ4作目!このシリーズは,前作でイーサンが婚約者を助けて無事に引退したところで終わってたんじゃないのか?と思いつつ,やっぱり好きなので観に行った。

あらすじ: ロシア・クレムリン爆破事件の犯行容疑がかけられたイーサン・ハント(トム・クルーズ)。アメリカ大統領は政府の関与への疑いを避けるべく、ゴースト・プロトコルを発令。イーサンと仲間は組織から登録を消されるも、新たなミッションを言い渡される。真犯人への接近を図るイーサンは、世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファの高層階へ外部からの侵入にチャレンジするが……。(シネマトゥディ)
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前作とうって変わって,今作ではやたらと暗く厳しい表情のイーサン。冒頭から彼はロシアの監獄に収監されてて,あんなに仲の良かった奥さんはなぜか影も形もなく・・・・。でも憂いを帯びてちょっとくたびれた雰囲気のイーサンもなかなか素敵だ。彼の脱獄から物語は始まり,そこからはノンストップでインポッシブルなミッションの連続で息つく暇もなく面白かった。それはもう,盛り沢山すぎるほど,不可能なミッションの連続で。

ゴースト・プロトコルってなに?と思いながら観たが,これは「やり取り」「手順の指示」などを意味するプロトコルの前にゴーストがついているので「空指令」「孤立無援」のような意味合いだろうか。
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本部の指令を受けてクレムリンに潜入したイーサンだが,盗み出す予定の資料は何者かに抜き取られた後で,おまけにその後起こった爆破の犯人にまでされてしまう。そのためにイーサンのチームは政府から援助を受けることができなくなり,まさに孤立無援で新たなミッションに挑むことになるが,それは核戦争をもくろむある人物を追い,核テロを未然に防ぐというものだった・・・・。

このシリーズが回を重ねる度に,「トム,まだアクション大丈夫なんだろうか?」と作品のストーリーそっちのけで心配になる私だが(だって彼はスタント使わないし49歳だし)今作の見せ場のアクションは,ドバイの超高層ホテル,ブルジュ・ハリファの壁面,なんと地上約800メートルを吸盤手袋ひとつでよじ登るというもの!命綱一本でトムはあれを実際にやったというから,凄すぎて言葉もない。
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その他にもこのシリーズにお約束の,侵入も脱出も不可能な場所に,最新のテクノロジーを駆使した兵器を使って潜入する指令とか(今作ではクレムリン),「クルーズ走り」と呼ばれるイーサンの全力疾走とかも健在で,やはりそんなシーンではワクワクと血が騒ぐ。

それに今作は脇役の存在感や,彼らの背後にあるちょっとしたドラマなども,いい味を出しているし,絶妙なタイミングで入るジョークもセンスがよくて秀逸だった。3作目では技術屋として登場したベンジーが今回エージェントに昇格してユーモラスな役まわりで笑わせてくれる。
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イーサン・チームに今回参加した,分析官(実は元諜報員)のブラントを演じたのは,ハート・ロッカージェレミー・レニー。性格はちょっと繊細で,あるトラウマを抱えているキャラなのだが,キレのいいアクションは,やはりハート・ロッカーの猛者ぶりを思い出した。

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このシリーズはどれも好きだけど,この4作目が一番よく出来てるんじゃないだろうか。スパイアクション,人間ドラマ,ユーモアのセンス,俳優のキャラ立ち・・・どれをとってもバランスよく仕上がっている。面白い。

それにしても,前から思ってはいたけど,トムが高いところ,本当に得意goodだってことがよ~~くわかった作品だった・・・・彼は実はその気になれば空も飛べるんじゃないかな?なんて。

2011年12月11日 (日)

ミスター・ノーバディ

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さまざまな異なる運命の選択をすることによって,何通りもの人生を生きる男を描くSFドラマ。
舞台は不死の世界となった近未来。唯一残った死を迎える人間ニモの過去を回想し,彼の人生に関わった3人の女性とのそれぞれの運命を映し出すユニークな設定のファンタジーだ。パラレル・ワールドのお話だから,ストーリーも先が見えなくて面白いし,驚異的に映像が美しいし・・・俳優さんもジャレット・レトやダイアン・クルーガ―とかみんな好きなので・・・・私はとってもお気に入りの作品。

Cap198
この作品を観て,つくづく人生って選択の連続なんだなぁ・・・・と思った。そしてその選択の結果が全く異なる人生へと自分を導くものなのだとも。「もし,あの時,違った選択をしていたらどうなっていただろう。」と考えることは誰しもあるだろうけれど,それを実際に映像化して何通りもの「ニモの人生」を観客も同時に見ることができるなんて,面白い設定だと思った。
Cap253
どの選択をすれば・・・というよりは,「どれも選択しなければ,どんなことが起こりうるか?」って言うのを見せてくれたわけで,いったいどれが本当のニモの人生なのよ?って混乱はなはだしいけれど。

Cap207
「もしあの時,ああしていたら今頃は・・・・」という思いは,人生が折り返し地点を過ぎた私のような年代の方が,切ない共感が多いかもしれない。長く生きるほど,人生の選択場面は増え,同時に異なった運命を生きる自分の姿を想像する機会も増えてくると思うから・・・・たとえ現在の人生に取り立てて不満がなかったとしても。
Cap185_2
ニモの場合,最初に大きな選択の場面が訪れたのは両親の離婚のとき。母についていくか,父と残るか・・・駅のプラットホームで,土壇場まで迷って母の乗る列車に向かって駆け出したニモのスニーカーの紐が切れるか切れないかで・・・,もうそこで彼の運命は枝分かれする。その後どんな暮らしをしてどんな女性を愛するかも・・・・。

Cap227
ニモと関わる三人の女性,アンナ,エリース,ジーン
・・・・。彼女たちとの人生もまた,折々の選択によっては,別れることになったり,結婚したり,自分や相手が死んだり死ななかったり,幸せだったり不幸だったりと幾通りにも枝分かれしてゆき,それをごたまぜに見せてくれるわけなので,解り辛い面もある。しかしまあ,大筋のところでは,「このニモは誰をパートナーにしているニモなのか?」というのは,彼の髪形や雰囲気をちゃんと決めてくれているので混乱はしなかった。それでもこれ,一度だけじゃ全部のシーンの理解ができないので,何度か再見しているうちに新しい発見がいくつもありそうな作品だと思う。
Cap233
アンナ役のダイアン・クルーガーは,いつもの大人っぽくスノッブな印象ではなく,くしゃっとしたセミロングにガーリーなメイクで,素朴で可愛らしい雰囲気が魅力的だった。彼女とニモとの深く堅い絆や結びつきに,ちょっと切ない気持ちになった。また,ニモ役のジャレッド・レトは好きな俳優さんだけど,役作りのために激太りしたり,前髪を引っこ抜いたりという荒業もこなす方なので,今作では本来のカッコいいジャレが見れて嬉しかった・・・かな。彼のブルーのガラスのような瞳が美しい。

Cap214
細部はよくわからないところもあるのだけど,音楽も映像も洒落てて美しく,とても惹き付けられる作品だ。日々の些末な選択や偶発する(ようにも見える?)出来事の影響で,こんなにも幾通りもの可能性が私たちの人生に起こりうるんだなぁ・・・と,鑑賞後は不思議な不思議な気分になっちゃった。もし1度だけ過去の選択をやり直せるとしたら・・・・あの時のあの選択だけはやり直す!と心密かに思ったりもして。どんな選択かはもちろん誰にも言えないが。

2011年1月24日 (月)

モーリス

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以前に,DVD化,もしくは再版してほしい作品という記事の中で取り上げたこの作品,先頃,手の届く価格でHDニューマスター判が再版されて,ようやく念願の購入を果たした。二十世紀初頭の,伝統と階級に縛られた英国で,自らのセクシャリティーに苦悩する,上流階級の若者たちの物語。

いや~,もう10年ぶりくらいですね,これ観たの。
Cap010
ハマっていたころは,なんというか,ヒュー・グラントをはじめとする英国美青年heart04たちの美しさと,舞台となるケンブリッジ大学やマナーハウスの醸し出す,格調高くスノッブな雰囲気にひたすら酔っていた記憶が・・・・。でも観返してみると,なかなかに深いヒューマンドラマで,主人公たちが己のセクシャリティーに苦悩するさまからは,花蓮の夏の切なさもまた思い出したりして。

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原作者のE・M・フォースターもまたケンブリッジ大学出身で,彼の小説は,「階級を越えて理解し合おうとする人物たち」を描いたヒューマニックなものが多く,また彼自身も同性愛者であったため,セクシャリティーも重要なテーマとなっている。

同性愛者は逮捕され,投獄された時代の英国。それは同時に,「階級制度」が強固に人々を支配していた時代でもあった。

Cap034
上流階級の子弟のモーリス(ジェームズ・ウィルビー)とクライヴ(ヒュー・グラント)は,ケンブリッジ大学の学生寮で出会い,互いに惹かれ合うようになり,社会に出てからも世間や家族には親友と偽ってプラトニックな恋人同士の絆を保ち続ける。

しかし弁護士を志し,着実に上流階級の花道を歩んでいたクライヴは,同窓生のリズリー子爵が,同性愛者として社会的制裁を受けるのを目の当たりにして怖じ気づき,モーリスとの関係を終わらせようと決断,平凡な女性と結婚し政治家になる道を選ぶ。

Cap035
一方,クライヴから一方的に別れを告げられたモーリスは悩み苦しみ,自分の性癖は病気ではないかと医師の催眠治療を受け,ボクシングに打ち込んで苦悩を紛らわせる。その後,クライブの屋敷の狩猟番の青年スカダー(ルパート・グレイブス)に性癖を見抜かれたモーリスは,彼と関係を持ち,タブーも階級をも越えてスカダーと共に生きる決心をする。
Cap038

当時の社会からは受け入れられないセクシャリティーを,共に抱えていたモーリスとクライヴ。愛し合いながらも,彼らがそれぞれに選択した道は正反対のものだった。

片方は世間と妥協し地位や名誉を守る道を選択し,
もう一方はすべてを捨てて「本来の自分らしく」生きる道を選択する。

クライヴが保身の道を選んだ,というか「選べた」のは,彼が女性との性生活も可能なバイセクシャルだったからかもしれない。それに彼の方が,モーリスよりも社会的地位も高く,失うものが多かったせいもあって,保身の道を選ばざるを得なかったのだろう。

Cap045
一方,労働者階級の恋人と同性愛を貫く決心をしたモーリスは,世間から見たら敗者かもしれない。しかし,鑑賞後はなぜか,モーリスではなく成功者としての人生を歩んだクライヴの方に同情したくなった。

ラストシーン,別れを告げて庭園の夜の闇の中に消えていったモーリスを思うクライヴに,妻は「誰と話してるの?」と言葉をかける。その時のクライブの複雑な表情・・・そこに込められた,ケンブリッジ時代を懐かしみ,自分は選び取らなかったものに憧れるかのような寂しげなまなざしが切ない。

Cap028
今ではすっかり,ラブコメキングの異名を取って久しいヒュー・グラントが,この作品では正統派美青年として輝くばかりに美しい魅力を放っている。(私はこれで彼のファンになったっけ)

2010年10月29日 (金)

マディソン郡の橋

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大人の切ない恋愛映画の金字塔。これもまた,私にとっては初見時より,年を重ねた現在のほうが,ずっと心に響く作品だ。

アイオワ州マディソン郡の農家で,夫やティーンエイジャーのこどもたちと平穏に暮らしていたフランチェスカ(メリル・ストリープ)。人生の折り返し地点をとっくに過ぎ,家族のためにだけ生きていた中年の彼女に,突然降ってわいたように訪れた恋の相手は,ローズマン・ブリッジの写真を撮るために町を訪れたロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド)だった。
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夫とこどもたちが留守にしている四日間,恋に落ちた二人は夢のような日々を過ごすが,結局フランチェスカは,ロバートと一緒に行かない選択をする。家族を犠牲にするわけにはいかない,一緒に行けば必ずこの恋が色褪せ,後悔する日が来るからと。それきり二人は会うことはなかったが,この恋は二人にとって生涯の恋となる。

初見時にはやや消化不良ぎみだったこの作品だが,フランチェスカの年齢に近くなってから観ると,何と身につまされることか。
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突然目の前に現れた,ミステリアスで自由で,セクシーな雰囲気をまとった男性,ロバート。彼はフランチェスカに,若い頃の夢や情熱を思い出させてくれ,子供たちの母としてより,女として生きる喜びやときめきを甦らせてくれた。

へそくりをはたいて彼のためにドレスを買いに行くフランチェスカの高ぶりは,まるで少女のそれのよう。そしてまた,ロバートを諦めるときの彼女の表情の切なさ。雨の街角で,夫の車を降りてロバートの車へと走っていきたい気持ちを必死で押さえるシーンは何度観ても泣けてしまう。

この作品はもちろん,大女優メリルの上手さを見せつけられる作品だが,硬派の作品専門のようなイメージがあったイーストウッドの,意外なくらいソフトで優しい物腰や声音にも驚かされた。

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それにしても,たった4日間だけの恋を生涯のものとして,その後は一度も逢うこともなく,死ぬまで秘め続け,想い続けるなんて可能だろうか?若い者同士ではなく,人生の様々なことも経てきた年代の二人だからできたことだろうか。

駆け落ちすることを拒み,
4日間の愛を美しいまま心に保ち続けたフランチェスカ。
家族のために捧げたこの身の残りはせめて彼に捧げたいと
遺灰を思い出のローズマン・ブリッジから撒くことを
子供たちに言い残して逝ったフランチェスカ。

あまりにもきれいすぎる,寓話めいた物語のようにも感じるが,このような運命的な恋をしたいという願いは女性なら誰でも持っているのかもしれない。いくつになっても。