カテゴリー「映画 は行」の31件の記事

バットマン・ビギンズ

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ヒース・レジャーの遺作となったダークナイト
8月9日の公開を控えて,実はバットマン・シリーズを未見の私は,
そもそも「バットマンとは何ぞや??
という問題を解決すべく,バットマン・ビギンズをレンタルしてみた。

あらすじ: 両親を殺害されたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、世の中に幻滅し、不当な闘いを終わらせ、弱者を餌食にする悪党を倒すことを心に誓う。(シネマトゥデイ)

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なんてシンプルなストーリー。(これ以上は言いようがない?)
わかりやすいこと,この上ないのは,アメコミらしいと言うべきか。

しかし,冒頭から驚いたのは,その豪華キャストの行列だ。
リーアム・ニーソン,マイケル・ケイン,ライナス・ローチ,ゲイリー・オールドマン,
モーガン・フリーマン,キリアン・マーフィー,そしてなんと渡辺謙さんまで・・・・。

男性陣の豪華なこと。一人残らず私の好きな俳優さん・・・・というのが
何とも嬉しいではないか。

それにひきかえ,紅一点ののケイティ・ホームズ(このひと誰よ?)が
地味なヒロインだった
のは,ちと不満だけど・・・

Cap040
キリちゃん(キリアン)の悪役って初めて観たけど~~
あのトレードマークの水色の瞳が冷酷そうで,厭味で,なかなか似合うでないの。
幻覚を起こさせる毒薬をあやつる精神科医の役なので
一部の隙もないスーツ姿が,悪役とはいえ,素敵~。

私は,バットマンって,糸を出すスパイダーマンみたく,
超能力の備わったヒーローかと思ってたら,基本はフツーの人間で
鍛錬や,お金をかけた最新兵器やグッズなどで,いろんな力を身につけた
いわゆる努力のひとなんだね。

Cap045
この「ビギンズ」は,両親を殺害された故に,悪を憎むようになったブルースが,
ゴッサム・シティにはびこる悪を成敗する目的で,
バットマンというヒーローキャラを作り上げてゆくまでのお話。

ダークで重厚な映像と,息をのむスケールのアクション,
ブルースがバットマンになってゆくまでの過程
とか,いろんな見ごたえがあった。

ベイルは鍛え抜かれた立派な体格だから,バットマンスーツがとてもキマルし
彼の,あの戦車のような乗り物(名前なんてゆうの?アレ)も超クール。

で,彼によって一時的にも平和を取り戻したゴッサム・シティに
新たなる悪の権化ジョーカーが現れる・・・というところでジ・エンド。
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・・・・・ということで,走る走るだけど,めでたく予習終了。
さ~,あとは8月9日を待つばかり。
公開のその日にはきっと見れないとは思うけど。
でも,「ダークナイト」のヒース,
一度もメイク落とした素顔は見せてくれないのかな?
・・・・・一瞬でいいから,素顔が見たいんですけど。

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僕のピアノコンチェルト

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ラスベガスをぶっつぶせだの,奇跡のシンフォニーだの,最近多い天才もの。
これもその一つだから,天才くんの感動のサクセスストーリーかと思いきや,
ヒューマンドラマというよりは,なかなか痛快で面白い洒落たお話だった。

主人公のヴィトスは,ピアノだけでなくIQも測定不能なほどの天才児。
幼児なのに難しい本を読みチェスで大人をまかし,幼稚園の先生をやりこめ,
ベビーシッターの少女に,ませた恋心を抱く。

当然同年代のこどもたちからは浮きまくり。無理もない。
両親,特に母親は彼に英才教育の機会を与え,
将来の輝かしい成功を夢みている。


おじいちゃんだけが,ヴィトスのよき理解者だった・・・。
「普通の人間になりたい」とつぶやく彼に,おじいちゃんは
大事なものを一度手放してみてごらん・・・」とアドバイスするが・・・・。
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天才の気持ちって理解できんな~~」と天才映画を見るたびに思ってたけど。
彼らにしかわからない苦労ってのも,あるのね・・・・と思った物語。

幼い時に才能がわかる場合が多いから
本人がその価値とか,進む方向とかを判断できないままに
周囲にコントロールされる危険性はあるんだよね・・・。

で,おじいちゃんのアドバイスをヒントに,ヴィトスが取った手段とは・・・・

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基本はネタバレの私でも,この作品はネタばらししませんので
どうかご自分の目で確かめてくださいな。

この作品,後半が俄然,面白くなりますよ~~。
え?そっちの方向いっちゃうの~~?真面目な天才ものじゃなくて・・・?
と,一瞬面食らうけど,先の読めない展開に,ちょっとはらはらするし
冒頭は,お高くとまってるようにも見えたヴィトス少年にも
とっても親しみを感じるようになるから・・・。

で,結局,才能は自分の意志で使いこなしてこそナンボのもんだと
私はそのようなメッセージも受け取ったのだけど・・・・。
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それにしても,ヴィトス少年の演奏は素晴らしかったな~
演じたテオ・ゲオルギュー自身が天才ピアニストってのも,すごい。
なかなか演技もうまかったし。

「人生はソロでなくコンチェルトのようなもの・・・」と銘打った感動作?
それも間違いではないだろうけど,私にとっては,感動作というよりは
痛快作の部類に入る。

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フロム・ヘル

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リリースされたばかりの,スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師のDVDを観たら,同じジョニー主演の,この作品を再見したくなった。

舞台は同じ19世紀の陰鬱なロンドン・・・そしてコスチュームが世界一似合うジョニーが演じたのは殺人鬼の役ではなく,捜査の指揮をとるアバーライン警部

白状すると,私は「実際にあった迷宮入りの連続殺人犯の物語」が大好き。
なぜ好きなのか,説明しろと言われても困るけど・・・。
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ゾディアックとか,「切り裂きジャック」とかはお気に入り殺人事件のベスト・スリーに入る。この作品を観て,「切り裂きジャック」関連の文献をいろいろ調べて,映画のストーリーと比べるのも楽しみの一つだった。(被害者の女性の名前とか,彼女たちの背景とか)

しかし,これは迷宮入りの事件だけに,いろんな犯人説が今も残っていて,映画ではフリーメイソンと王室の陰謀説を採用していた。

ロンドンの貧民窟の最下層の娼婦たちばかり狙った事件。
猟奇的な変質者の仕業と思われたこの事件の背後には,実は途方もなくスケールの大きい犯人がいた・・・・というのがなかなか面白いし,この時代の秘密結社の何とも不気味な雰囲気にも興味をそそられる。

全編,ダークな映像だけど,そのなかで多用されている「赤」の色彩がはっとするほど美しい。多量に流される血の色は,まるでトマトジュースのようなオレンジがかった鮮やかな「赤」だ。
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そして,作中に使用されている当時の家具や小物や衣装なども,細部に至るまで,こまやかな配慮が見られる。特に,ジョニーがアヘン入りアブサンを飲みながら入浴するシーン浴槽の美しいこと!あれは芸術品だ。(中に入ってるジョニーもまた芸術品・・・)

ジョニー演じたアバーライン警部は,妻子を失ったトラウマや,こんな暗い時代の犯罪(なにしろスウィーニーやオリバー・ツイストの時代だから)に深く関わる仕事のストレスのせいか,アブサンやアヘンを常用している。そして彼は犯罪の予知夢めいたものまで見ることができる。

凄惨な犯罪の捜査だけでなく,
犯罪者の心の闇まで覗くことができるアバーライン。
ほとんど孤軍奮闘で巨大な陰謀と闘い,
愛する女性を犯人の毒牙から逃がそうとするアバーライン。

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彼を演じたジョニーの,知的だけど,どこか憔悴した,放心状態のような雰囲気.。
やっぱりなんてセクシーな男性(ひと)だろう・・・heart04

グロが極端に苦手な方にはお勧めしないけど,テンポのよいストーリー展開や,ダークな映像美や,迷宮入りの事件に,納得のいく犯人像をちゃんと描いている点では,高評価な作品だと思う。
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・・・それになんといっても,ジョニーが美しいったら!!!

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バンテージ・ポイント

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米大統領暗殺・爆破テロ事件の謎を,異なる8つの視点から追うことで,少しずつその全容を明らかにしていく ノンストップ知的サスペンス・アクション。

いや~~開始からおしまいまで ず~~~~っと頭をフル回転typhoon しながら見ないといけないので,しまいにゃ脳味噌が沸騰しそうだったわ。wobbly 
・・・90分と短めの作品でよかった。でないともっとヘトヘトよ。

冒頭に,スペイン・サマランカでの演説中のアシュトン米大統領(ウィリアム・ハート)を何者かが狙撃し,演壇を爆破するというテロが起こるわけだけど,この事件を目撃したり関わったりした8つの視点の8人とは,
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シークレット・サービスのバーンズ(デニス・クエイド)
その同僚テイラー(マシュー・フォックス)
ハンディビデオで演説を撮影していたハワード(フォレスト・ウィテカー)
スペイン警察の警官エンリケ
テレビ局の敏腕プロデューサーレックス(シガニー・ウィーバー)
事件の主犯の男 実行犯の男
そして当の大統領自身

映画は,事件が起こった時刻から23分ほど前の地点まで,それぞれの人物の時間を巻き戻して見せてくれる。これ,とても面白い見せ方だと思った。
ご丁寧に8人分みんな巻き戻すのかよ~~ダレるじゃないか!と思ったけど,人によっては端折ってくれるし,5人目あたりから全体像が少しずつ見えてきて,退屈する間もなかった。
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少しずつ事件の全貌が見えてくる面白さは,ジグゾーパズルに似てるかも。
最初は何だかわからなかった絵柄が,ピースが揃うにつれて,次第にはっきりした形を現してくるところ。ジグゾーパズルも,ひとたび取り掛かったら,完成まで没頭してしまうように,この物語も いったん観始めると,最後まで食い入るように観てしまう面白さがある

途中,一箇所 「えっ sign02 」と声をあげそうになった箇所があった。大統領役のウィリアム・ハート,「アンタ撃たれるだけの役かいな,勿体無い・・・・・」と思っていたら,とんだ仕掛けが・・・。

アイスをハワードにつけちゃった少女,アナちゃんは,どうして重要人物でもないのに,思わせぶりに何度も出てくるのかな?と訝しく思っていたら,ラスト近くにとっても重要な役割があって納得。
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犯人の目論見がおぼろげながら見えてきた後半になって,デニス・クエイドが犯人を追跡する怒涛のカーチェイスがスタートする!

・・・・・これがマジで凄いのなんの。

車でひしめく大通りを,追うデニスと逃げる犯人の車が,どう考えても絶対不可能な 暴走,逆走,ジグザク走(もう何でもあり,空を飛ばないのが不思議なくらい)を2倍速の早回しのような超高速でやってくれる。鑑賞しているこっちも,アドレナリン出まくりである。

・・・・そしてラストの犯人の末路は,ちょっとあっけなさ過ぎて,「へ???」とやや肩すかしだか,不満を感じる間もないくらい,その後はささっと,手早く幕が降りてくれる。
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語り口の斬新さと,超スピーディな展開で,観客を画面に釘付けにする手腕は,「いやはや,お見事!」としか言いようがない。

テロを扱っているからと言って,社会的なメッセージが込められているわけではなく,あくまでもエンタティーメントを狙った作品だけど,とっても面白かったです。

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ぼくを葬る

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余命あと3ヶ月と宣告された若者が,
切ない葛藤とともに,迫り来る死と向き合い
次第に 死を静かに受け入れてゆく物語。

パリで活躍しているファッション・フォトグラファーのロマン(メルヴィル・プポー)は,ある日ガンで余命3か月だと宣告される。
もしも自分が余命3ヶ月だと知らされたら,残された日々をどのように過ごすだろうか。死を告知された主人公の物語は,それまでにもいくつか見てきたけど,ロマンのような静かに心に沁みる物語は初めてだった。

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31歳という若さで断ち切られる人生に対する未練。
やり残した仕事や,残してゆく愛しい者たち,そして死そのものに対する恐れ・・・

さまざまな思いで,ロマンの心は乱れたことだろう。

彼は,死が迫っていることを,祖母以外の家族には打ち明けない。同棲していた恋人にさえ言うことができず,自分の方から別れを告げてしまう。
余命がいくばくもない場合,家族の支えの中で,彼らとともに過ごしながら死を迎えたいと思うのが普通なのに,ロマンはそれをしなかった。
・・・・いや,できなかったと言うべきか。
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これはとても静謐な作品で,彼の心情を言い表す台詞はとても少ない。
だから繊細な表情の変化で,彼の気持ちを汲みとらなければならないのだ。
確信はないのだけど,唐突に死を宣告されたばかりで,息も絶え絶えの彼の心は,予想される家族の反応に耐える自信がなかったのではないか。
母は感情的になり,父は問題から逃げ出す。そして不仲の姉は自分を憐れむだろう,とロマンは祖母に語っている。

肉親であるがゆえの激しい嘆きも,憐れみも,このときの彼は欲しくなかったのかも知れない。だから彼は,自分でもまだ整理のついていない心を,動じることなく受け止めてもらえる祖母にしか,真実を打ち明けることができなかったのだ。人生を味わいつくし,すべてを達観しているような祖母は,孫の告白を静かに包み込むように受け入れ,ロマンはきっと彼女から大きな癒しを得たと思う。
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・・・・そして,彼はたった一人で誰の慰めも憐れみも受けず,迫りくる死と向き合うことになる。思い出の場所で時々現れる幼い自分のまぼろし。少年時代の無邪気ないたずらや,同性愛者である彼が,初めてその感情に目覚めたときの淡い記憶・・・。
それらを思い出し,見つめるロマンのまなざしは限りなく優しく,同時に悲しみに満ちている。

彼は,カフェで出会った中年女性とその夫の申し出を受け入れて,不妊症の彼女の代理父をつとめる決心をする。
自分の死後に自分の血を引いた子どもが生まれる・・・。ゲイの彼が女性に子供を産ませるなんて,死を目前にしていなかったら,思いつきもしなかったことかもしれない。彼は,自分の生きた証を残したかったのだろうか・・・?このあたりのロマンの心境は,女性である私にはちょっとわからないけれど。

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女性が妊娠すると,子供の誕生を見届けることができないロマンは,自分の全財産を生まれてくる子に譲ることで,まだ見ぬ息子への切ない愛情をしめす。
このころから,彼の顔には,やつれてはいるものの,不思議な明るさが射しているのがわかる。少しずつ,少しずつ,満ちてくる水のように,彼は自分の死を受け入れていったのだろう。

・・・・ラストシーンの美しさをなんと表現したらいいのだろう。
彼は,臨終の場に選んだ海水浴場で,見知らぬ人たちの喧騒の中に身を置いたあと,日暮れに人影の絶えた浜辺で,ひとり静かに息絶えるのだ。いささかも取り乱さず,限りなく穏やかに。
まるで沈んでゆく太陽とともに,彼の命の灯火もひっそりと消えていくかのようだった。あとに残ったのはただ,太陽の残照と潮騒の響きのみ。
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人は塵(ちり)から生まれ,塵にかえる・・・・そんなことばが脳裏に浮かんだ。
死というものを,こんなにも美しく描いた物語は他にない。

死は誰もが避けられないものであり,どんなに辛くても,自分ひとりで向き合わねばならないものであり,それを受け入れて初めて平安が得られるのかもしれない。
それにしても,このような死の迎え方ができたロマン・・・・
なんて優しくて,強いひとなんだろう,と思う。私にはとても真似できない。

オゾン監督の描いた洗練された映像,程よい音楽,世界観・・・すべてが夢のように切なく,美しかった。

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追悼ヒース・レジャー/ブラザーズ・グリム

Cap001 テリー・ギリアム監督作品にしては,毒気が少なく,オーソドックスにまとまりすぎとの評のある このブラザーズ・グリム
私は残念ながら他のギリアム作品は未見で,従ってギリアム風味がどんなものか,よく知らないので何ともいえないが,これは豪華出演陣に惹かれて劇場で観賞した。しかし,なんか思い描いていたものとは方向が違って,観賞後に損をしたような気持ちになったのを覚えている。文芸ものかと勝手に期待して観たら,ううむ,ホラーチックのドタバタ活劇だったとは!
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ほんとうは怖いグリム童話」というのがあるが,これは「ほんとうは詐欺師だったグリム兄弟」という思い切った設定。ウィリアムとジェイコブのグリム兄弟は,仕掛けを使って偽物の魔女を出現させ,それを退治してみせることで,迷信深い村人たちを騙して礼金をせしめてまわっているいかさま師として登場する。

兄のウィルマット・デイモン(初のコスチュームもの?残念ながらあまりブラウスは似合わない)弟のジェイク(ヒースがジェイクの役だって!)にヒース・レジャー。 この二人がいつもとは雰囲気をがらりと変えて,正反対の個性を持つ凹凸兄弟をコミカルに演じているのが見ものだ。
Cap023いくら何でもその格好・・・

兄のウィルは現実的で口達者。詐欺の場面では,もっぱらスポークスマンの役。それに反して弟のジェイクは夢見がちで内気。科学に関しても明るく,魔女の仕掛けを作ったりするのはもっぱら彼の担当。
マットとヒース。確かに実年齢もマットの方が上だけど,見た感じはヒースが老成して見えるので,兄と弟役は反対のほうがいいんじゃ?とも思ったが・・・・。

Cap013 助け合いながらも,お互いに相容れない部分も持ち,けっこう衝突の絶えないグリム兄弟。実は幼い頃,弟のジェイクは瀕死の病の妹の医者代を「魔法の豆」に使ってしまい,兄から責められたというトラウマを持つ。現実しか信じない兄と,おとぎ話を信じているロマンティックな弟の二人が,時には意見の衝突から ののしり合い,どつき合いながら(だいたい兄ちゃんが,弟をどついてるんだけど)珍道中を繰り広げるうちに,当時ドイツを支配していたフランス軍につかまって,11人の少女が消えたというマルバデンの村での調査を命じられ・・・・。

どうやらここからが本当の魔法の世界。
11人の少女が消えるシーンに,有名なグリム童話のいくつかが取り入れられている。「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」「ジンジャーブレッド・マン」など。
Cap040 ←魔女にメロメロ

また,森を魔法にかけている魔女(モニカ・ベルッチ)のキャラは「ラプンツェル」と「眠り姫」と「白雪姫のお后」をミックスしたような感じ。おなじみの童話のシーンが出てくるのは嬉しいが、出方が唐突で,中途半端な見せ方。まるでグリム童話のごった煮といった感じだが,こういう雑然とした見せ方もこの監督の特徴なのかしら。私は,なんか消化不良のまま次々に料理を食べさせられて 胃もたれする感じで,ちと苦手かも。また,事あるごとにグリム兄弟をつかまえて,脅したりいたぶったりする フランス軍の描き方は,風刺とブラックユーモアが効いている。こういう点がギリアム風の毒気?

Cap051 知恵と勇気とハッタリを駆使しながら,フランス軍や魔女を相手に闘うグリム兄弟・・・なのだが、ほんとはキレのよいアクションが,お手のもののマットやヒースが,この作品では,あたふたと不器用に闘う様子が新鮮だ。(特にマットに対しては,どーしてもボーンの印象があって,『あなた、ホントは強いでしょ!本気出しなさいよ』と叱咤したくなる)
魔女の塔にたどり着いてからの戦いは,とにかく目まぐるしい。はっきり言って,よくわかりません。
バビューン,ドカーン,グサッ!ガッシャーン,
ギャー,あわわわわ・・・!

何の魔法がどう作用してそうなるのか,あんまし,よくわからないうちに,ともかく魔女は粉みじん,さらわれてたあの子もこの子も,無事に家に戻れましたとさ,というハッピーエンド。グリム兄弟の絆も深まってメデタシ、メデタシ。

Cap054 この作品のヒースは可愛くてかっこいい。
長い手足をバタバタさせてパニくるところとか,時折見せる気弱そうな表情とかで,弟らしい雰囲気をよく出していた。本人もきっと楽しんで演じていたと思う。

観おわった後,グリム童話の不思議な世界の魅力なんかは,あまり残らなかったかな。それより、ウィルとジェイクの兄弟愛みたいなもんの方が心に残った。この監督さんとヒースは相性がよいのか,次回作もヒースの主演が決まっていたそうだけど・・・・。返す返すも残念。

Cap057    うおお,マットとキスシーン(・・・未遂だけど)

うーん、この世界観と映像、ティム・バートンが描いたらまた面白かったかも。ギリアムさんが悪いというのではないけど,バートン版の怖いグリム童話も観てみたいかな。
それにしても,グリム兄弟を詐欺師に仕立てちゃって,彼らの子孫(←いるのか?)からクレームはつかなかったのか?確かにラストは,もう詐欺師はやめて,物書きに転じそうな予感を感じさせる終わり方ではあったが。
Cap061_2 ヒース,めちゃ可愛い・・・・。

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プロヴァンスの贈りもの

Provance_main 大好きなワインと,ラッセル・クロウが味わいたくてDVDで鑑賞。「南仏プロヴァンスの12か月」で有名なピーター・メイル原作で,監督はリドリー・スコット

少年時代,プロヴァンスのヘンリーおじさんのブドウ園で夏の休暇を過ごしたマックス(ラッセル)は,成人した今は,ロンドンの豪腕トレーダー。叔父のワイン談義に目を輝かせていた少年は,いつのまにか、超多忙な金融マンになっていた。そんなある日、叔父の訃報が届き,ブドウ園とシャトーを相続することになったマックスは,調査のためにプロヴァンスを再訪する。そこで彼はレストランを経営するファニー(マリオン・コティヤール)と出会う。陽光溢れる美しい南仏の風景のもと,繰り広げられる大人のラブストーリー。
本物の愛を知らなかった男と,愛に対してトラウマを抱えていた女の間に芽生えたロマンスの行方は・・・・・

Cap079 素敵なお話だったけど,これってもしかしてコメディ?というテイストも感じた。ラッセルの時にトボケた演技が特に。仕事中毒のビジネスマンの彼が,ゆったりと時間が流れるプロヴァンスで最初戸惑ってアタフタする様子とか,使用人のディフロとのやりとりとか,ファニーとのロマンティックとは,ほど遠い出会いとか・・・・。グラディエイターや、シンデレラマンで、私の中では、闘う渋い男のイメージの定着しているラッセル。おお~ロマンティック・コメディもできるんだぁー,と妙に感心した。
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この作品のラッセルは,普段の精悍なムードはどこへやらやや恰幅がよくて,やんちゃな子どもみたいなかわいい表情を見せたりして,いかにもキュートなおっさんだった。転んだり,はね飛んだり,わめいたり,ずっこけアクションも満載で,冒頭からけっこう楽しく笑わせてもらった。このラッセル,ほんとに可愛い!

そしてもう一つの主役は,なんと言ってもプロヴァンスの美しい風景。黄金色に輝く陽光と,したたるような緑の中で,ゆったりと流れる時間と,おいしいワインや食物は,誰の心にも魔法をかけずにはいられない

1週間でいいから,あんな場所でのんびりと命の洗濯ができたら,多忙な日々でささくれ立った心も,芯からリセットされるだろうな。(かなわぬ夢だ)
思いがけず与えられた休暇。よみがえる少年時代のピュアな思い出。そして運命のひと,ファニーの存在と,おじの宝のブドウ園。マックスは,本当に豊かな人生とは何か,言うことを悟る。

まるで,定年退職後に田舎に引っ越して農業を始めた都会のサラリーマンのような話だけど,(ちょっと違うか?)人間は自然の中で,そのサイクルに合わせて生活するのが,やっぱり一番心地よいのかもしれないな。最初の頃のマックスのせかせかした,いつも何かに追われているような話し方や表情が,ラストの庭園でのランチのシーンでは,まるで別人のように,ゆったりまったりとくつろいで,満ち足りていたのが印象的だった。
Cap073_2 ・・・・・そりゃ,こんな風に人生,再出発したいよね・・・誰だって。でもみんながみんな,南仏にブドウ園を持ってるわけじゃないけどさ(←ひがみ根性?) 監督のリドリー・スコットは持ってるらしいけど。

それにしても,ラッセルが出てる,と言う点以外は,まったくリドリー・スコットらしくない作品だったなぁ。・・・・こんなんも撮れるのか,彼は。

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ベオウルフ 

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2005年にカナダで公開され,わが国では,2007年の11月にDVDがリリースされた,ジェラルド・バトラー主演の,ベオウルフ。現在公開中のロバート・ゼメキス監督の全編CG版の大作,「ベオウルフ/呪われし勇者」と比べると,こちらは全編ロケで撮影され,実際に俳優さんたちが実戦する地味なつくりになっている。物語も,原作の古典に比較的忠実だ。先にCG版の「ベオウルフ/呪われし勇者」を観て,その脚色されたストーリー(繰り返される父親の罪)は面白く感じたものの,全編CGというのが今ひとつ好みに合わなくて,こちらのアナログ版も観たくなった。
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アイスランドやカナダで撮影されたという,まるで世界の果てのような荒涼とした大自然は,天地創造の時代のごとき雄大さと美しさで,観るものの胸に迫ってくる。そして,その大自然を背景に繰り広げられるのは,英雄譚というよりは,むしろ人間ドラマで,実際の俳優さんたちが演じてみせる,恐れや苦悩や,迷いの表情は,CGアニメとは説得力が違う。・・・・CGはCGの素晴らしさがあるのだが,やはり実物のもつ重みには敵わないこともあると痛感。

この実写版ベオウルフ,原作に付け加えた脚色は,グレンデルを単なるモンスターではなく,悲劇の巨人として描いていることだ。彼は幼い頃に,父親をデネの王フロースガールによって目の前で惨殺され,その復讐のために,成人してから,王の城を夜襲して殺戮を繰り返すのである。

洞窟に殺された父の首を祀り,父の思い出を慕う,孤独なグレンデル。王の城を襲うのは,あくまでも復讐のためで,余計な殺戮はしないグレンデル。そして荒地の果てに住む,魔女セルマ(サラ・ポーリー)とグレンデルの交流。

イェーアト族の英雄ベオウルフは,王の遠縁ということで,グレンデル退治のために,海を越えて駆けつけるが,はじめは聞かされていなかった,王とグレンデルの因縁が次第にわかってくるにつれて,複雑な思いにとらわれはじめる・・・。
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ジェラルドが演じるベオウルフが,とても素敵
。まるでキリストのようなロン毛が,よく似合っていて,スリーハンドレッドのレオニダス王のときよか,若く見えます。あ,実際に撮影時は若かったのか。

剣を振るって立ち回るシーンは,予想してたほど多くはなかったけど,物語の後半から,次第にグレンデルに同情の思いを抱き始めるベオウルフの心の変化や,人徳や風格のようなものが,彼の演技からは自然と感じ取れて,とても魅力のある人間らしい英雄として描かれていた。(「呪われし~」のレイ・ウィンストンのベオウルフも,別の意味で,非常に人間くさい英雄だったけどね)

物語が進むにつれて憔悴してゆくフロースガール王も,自分の過去の思慮の足りない行い(グレンデルの父殺し)が,後々まで災いを引きずったことに対して後悔し,そのことでベオウルフに恥じてもいるように思えた。
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やはり,グレンデルの悲劇が身につまされたのだろう。父の命を奪ったベオウルフをじっと見つめる,グレンデルの息子。復讐の宿命はまた繰り返されるのか?いやいや,グレンデルのために塚を築いたベオウルフの心づくしを,息子はちゃんと理解したに違いない。

哀愁の漂う,古代の英雄物語。主役は実はグレンデルかもしれない。(映画の題も,本当は「ベオウルフとグレンデル」だしね)・・・・・だけど,全体的に,とても好きな雰囲気の作品だった。
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やはり何といっても,イケメンは,生身がいい。
CGアニメじゃ,体温や体臭が伝わってこないもん(←何のこっちゃ)

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パンズ・ラビリンス

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2008年初の私の劇場鑑賞映画。隣県のミニシアターで公開されているとの情報を得て,行ってまいりました,山越えて1時間かけて。(←執念)世間で絶賛されている作品,という知識だけを頼りに,いつのものように,何の予備知識も仕入れずに,いきなり観てきました。

物語は,1944年のスペイン。フランコ将軍の圧政に抵抗するゲリラたちとフランコ軍は,山野で血なまぐさい抗争を繰り返していた。主人公の少女オフェリアは,母カルメンがフランコ軍のビダル大尉と再婚し,彼の子供を生むために山奥の軍の駐屯地を訪ねる。そこでの生活は,暗く,絶望的なものだった。オフェリアを疎ましく思う,残虐な継父ビダル大尉。彼に気を遣う母の身体は思わしくない。おびえる使用人たちと,立ち込める不穏な空気。周囲で繰り広げられる殺戮や戦闘。

そんな時,おとぎ話の好きなオフェリアの前に,牧羊神パンが現れ,「あなたは,魔法の国のプリンセスです。王国に戻るためには,3つの試練を乗り越えねばなりません」と告げる・・・・
Wallpaper01_1280_3 で,感想は・・・・。
私はこの作品,ものすごーく怖かった
メル・ギブソン監督の残酷描写も,バイオハザード系のゾンビたちも,はたまたオカルトやホラーの類も,「怖い」と思ったことのない私が,この作品ではけっこう目や耳をふさいでいた。・・・・いったい何が怖かったって?
あのファシストおやぢの所業が死ぬほど怖かったのである。
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私は,どんな残酷で派手な殺し方でも,相手がすぐに死ぬ場合は,結構平気で見れる。しかし半殺しや生殺しは・・・・苦手だ。改宗や自白を強要するための拷問シーンなどは,もっとも苦手。

ところが,このファシストおやぢビダル大尉は,邪悪の権化のような人間で,まるで虫けらのように人間を殺すし,拷問はするし,相手に抵抗されて切り裂かれた口の傷を,何と自分で針と糸でチクチク縫っちゃうし・・・,

このおやぢが登場すると,「こやつ,次はどんな非道なことをやらかすんだ?」と恐怖で心臓がバクバクした。物語全体を覆っている,言いようのない恐怖と絶望的な雰囲気は,大部分はこやつが醸し出していたと思う。そんな彼の支配下に囚われた,哀れな少女オフェリアが,どんな思いをしたか,想像すると胸がつぶれそうだ。
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この物語のいわゆる迷宮とは,苛酷な現実から逃避するために,少女が迷い込んだ架空の世界のようだ。少女は,辛く恐ろしい現実の世界から逃げ出して,永遠の命の待つ魔法の王国を目指すのである。物語は少女の目を通した空想の世界と,現実世界とが平行して描かれているが,その構成が素晴らしく,両者がうまく噛み合って物語が進んでいく様子は見事のひとことに尽きる。

少女が乗り越えなければならない3つの試練。一つ一つ詳しくは内容を書かないけれど,(←面倒なので。相すみません。ご自分の目で確かめてね。)そのファンタジーのシーンも,メルヘンチックとは言いがたい,むしろグロテスクな怪物や異形のものが登場し,どこまでもダークな雰囲気である。

巨大ガマガエルや,手のひらに目玉をはめ込んで追っかけてくる怪物(つかまったら食われてしまう,ひぇ~~)とか,どれもすごく個性的で,そしてめちゃくちゃ気味が悪い。(だいたい,牧羊神パン自体が不気味な外見だし)

現実の世界は希望の光がさすどころか,事態はますます絶望に向かう。オフェリアの母は難産で死ぬし,オフェリアの唯一の見方の小間使いメルセデスは,ゲリラのスパイだったことが大尉にばれて捕まるし・・・

果たしてオフェリアには現実世界でも,魔法の世界でも救いはあるのだろうか・・・?と,画面を祈るような思いで凝視せずにはおれない。
070125_pans_sub5_2 結果として,少女の魂は安らぐことができたので,そしてあの怪物ビダルも裁きを受けたので,救いがないこともないが,なんとも哀しみの残るラストだった。メルセデスの口ずさむ,哀しげな旋律のララバイが,いつまでも心に残る。

内戦時代の惨状
を描いた反戦映画の要素もあるのだろうか?思春期の少女の多感さや,絶望の中でも光を求める思い,母と子の絆,苦悩に満ちた人間の世界など,
さまざまなものが重厚に織り込まれた,傑作ダークファンタジー
その完成度の高さは疑うべくもない。
しかし,後味はとても苦かった。

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プレステージ

070327_prestige_sub3 DVDで鑑賞。プリーストの人気小説「奇術師」の映画化で,監督は「メメント」の
クリストファー・ノーラン。19世紀末の英国で繰り広げられる,二人の天才マジシャンの,イリュージョン対決の物語。互いにしのぎを削る,二人のマジシャンに扮したのは,
ヒュー・ジャックマンクリスチャン・ベイル。マジックの助手をつとめる美しい女性に
スカーレット・ヨハンソン。マジックの仕掛けを作る男にマイケル・ケイン
・・・・これは豪華だ。
Cap001 ロバート・アンジャー(ジャックマン)と,アルフレッド・ボーデン(ベイル)は,若い頃は,同じマジシャンの下で助手をつとめ,互いを認め合う仲だったが,ある日,ボーデンが結んだ縄目が原因で,アンジャーの妻のジュリアが水槽の中で溺死するという事故が起こる。それ以来二人は袂を分かち,アンジャーはボーデンに対し,復讐心やライバル意識を募らせてゆく。一方,ボーデンの方も,つきまとうアンジャーに憎しみを抱き,二人の間の確執は,それぞれ名が売れるようになってからも,ますます強くなっていき,・・・・
Cap008 それにしても,ヴィクトリア時代の英国では,マジックショーがこんなにも人気を博していたのか。今までマジックにさほど興味はなかったが,この作品では,この時代のマジックのタネや仕掛けがいくつか劇中で紹介されていて,面白かった。たとえば,サクラの存在とか,落とし穴や替え玉とか。(小鳥を叩き潰すアレはちょっとひどい!さすがに今はやってないでしょうね。)
アンジャーは,マジックのタネは,仕掛け人カッター(ケイン)の作るマシンに頼っていたが,優雅な身ごなしと,巧みな口調で観客を引きつけるショーマンの素養がある。
一方,素朴で天才肌のボーデンの方は,ショーの見せ方は下手だが,アンジャーがどう考えても見破れない,とっておきのタネを持っていた。

Cap004 ジャックマンとベイルの,脂の乗ったイケメン対決(←おお,ウルヴァリンVSバットマンだ~)は見ごたえたっぷりだ。
ジャックマンて,なんて見事な立ち方,歩き方をするのだろう。鍛えられた体は,上半身が綺麗な逆三角形で,足が長くて,舞台用の衣装のよく似合うこと。
また,ベイルの暗い情熱を秘めた目力もなかなかのものだ。私はこのベイルさん,若い頃から結構好きで,(若草物語のローリー役の頃から)年を重ねるにつれて,ますますいい俳優さんになってきているなあ,と思っている。

Cap009 やがて二人は,「人間瞬間移動」という究極の技を巡って,闘うことになるのだが,とにかくその執念のすさまじさ。互いのショーに出かけていって,妨害行動をしたり,タネの探りあいをしたり・・・。片方が行動を起こせば,すかさず片方も仕返しをする。まるでイタチごっこだ。マジックの道を究めることよりも「あいつに勝ちたい」という一念にとりつかれているとしか思えない。特にアンジャーの方は復讐心が混じっているからなおさら。

さて,この勝負,どちらに軍配が上がるのか・・・・。

と,最後まで目が離せないのだが,時間軸をわざとバラバラにしてあるので,観ている方は,けっこう混乱する。監督は,この映画自体をひとつの大きなマジックとして観客に提供する心づもりで作ったらしい。つまり,騙しのうまい監督が,騙しのプロのマジシャンを主役に据え,観客を騙す気満々で作った映画だ。
Cap019_3 ラストはマジックの仕上げプレステージ(偉業)が何と二つも観客にどーんと提示される。
消えたものが再びもとどおり現れて拍手喝采を浴びるあの最終段階。そのタネ明かしが二つ。(つまりアンジャーのタネ明かしと,ボーデンのタネ明かし。)観客はここで,二重にあっと驚く仕掛けだ。・・・・で,この明かされたトリックを,アリと見るか,しらけるかでこの物語の評価は変わると思う。

ボーデンのトリックは,「ああ,そうだったのか!」と納得できるものだった。そして,事実が明かされた後で物語を振り返ってみると,いちいち合点がいくのだ。確かに,天才マジシャンの「人生を犠牲にしても,マジシャンとしての目的を達成する」という生き方は,衝撃的ではあるけれど。
しかし,アンジャーのトリックは・・・賛否両論かも。これはもはやSFの世界,もっと言えば「デジャヴ」などで使われたドラ○もんネタみたいなもんだから。それでも面白かったから,私的にはアリ,ということで。原作者のプリーストがこれで世界幻想文学大賞を受賞したという予備知識があれば,はじめからSFの要素は,予想できたかも知れない。
Cap025 二人のマジシャンの仕掛けたトリックを知ったうえで,再度DVDを見直してみたくなる作品。実際にそうしてみたら,初見時より,ずっと面白かった。
スカーレットは,美しく,豪華な衣装もよく似合っていたけど,印象の薄い役で,勿体無かった。別に彼女でなくてもいい役だ。彼女が演じたオリビアより,事故で溺死したアンジャーの妻ジュリアとか,自殺したボーデンの妻サラの方がずっと存在感のある役柄だった。彼女の起用は・・・・客寄せのため?

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ボルベール〈帰郷〉

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遅ればせながら,やっとDVDで観れました!・・・だって地元の劇場で上映されなかったんだもん・・・ぐすん。「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」に続く,ペドロ・アルモドバル監督の女性讃歌3部作の最終章にして,最高傑作!・・・・だそうだ。(「オール〜」は観たけど,「トーク〜」は未見)「女性讃歌」!なーんていい響き!これはすべての女性必見かも。

なんたって,主演のペネロペ・クルスが美しいし,カッコいい!それまでセクシーなミューズ役の印象があったけど,この物語のペネロペからは,セクシーさだけではなく,内面に熱い血をたぎらせた肝っ玉母ちゃんのような逞しさを感じた。時折見せる,彼女の射るようなまなざしと,くっきりと引かれたアイライン。
彼女が演じたのは,激しい気性と,豊かな感情と,強い意志を持った,スペインの大地のような女性ライムンダ。この映画のペネロペは,ハリウッドで見せる輝きとはまた違う,強烈な魅力を放っていた。
Chn11_rpt516_volver2_2 ある日,ライムンダの娘のパウラは,養父に襲われて,彼を思わず刺し殺してしまう。動揺しつつも,周囲の人には「夫は出て行った」と偽り,死体を隠匿,始末するライムンダ。それは,娘をかばう母親の本能のせいだけではなく,彼女自身の辛い体験をも思い出して取った行動。
そんな彼女の前に,数年前の火事で,父親とともに焼け死んだはずの母が姿を現す。それまで母は,故郷の叔母の家にこっそり滞在して叔母を看取った後,姉のソーレのもとにいたのだった。死んだと偽って身を隠した母の秘密とは?そして火事の事件の真相は?長い間心を通わすことのなかった母と娘が,再会の涙を流すとき,衝撃的な事実もまた明かされる・・・・。

この映画のキャッチコピーは女たち,流した血から,花咲かすだ。
003 まるで極妻のようなオソロシゲナ台詞だが,花を咲かせることができる血は,やはり流される必要があったのだと,納得できる物語だ。ライムンダ,パウラ,ソーレ,そしてイレネ。苛酷な運命にひるむことなく立ち向かい,後ろを振り返らない彼女たちの生き様はすがすがしく,応援したくなる。と言うか,この物語に出てくる男性が存在感がなくて,同情できないせいもあるけど。
ライムンダの背負う秘密や試練(特に娘のパウラの出生に関すること)って,考えてみれば凄く重い。母イレネが,隣人のアグスティナの母にした事も、また。それでも彼女たちは,互いに支えあい,償えることは償いながら,現状を受け入れて,強く生きていくのだろう。

女の持つ生命力,包容力,そして耐え抜く力と,再生し,順応しようとする本能。それはまるで大地のような,太陽のような,力強さとあたたかさ。
女性って凄い・・・・やはり「生む性」の持つ底力かなぁ。
女性であることが誇らしくなるような,こんな作品を撮ったのが男性の監督であるということが,なんだか嬉しい。
それにしても,スペイン風の挨拶で交わされるキスって,なんであんなに大きな音をたてるの? チュッ!チュッ!チュッ!って。
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ベオウルフ/呪われし勇者

Beowulf21024x768 原作は,なんと英文学最古の叙事詩だそうで,
魔物や竜と戦う 最強の戦士ベオウルフの武勇伝だ。
物語の舞台は,年老いた王フロースガール(アンソニー・ホプキンス)が治めるデンマーク。この国を悩ます巨人グレンデルを退治するために,海を渡ってやってきた勇者ベオウルフ(レイ・ウィンストン)。彼は見事にグレンデルを倒すが,グレンデルの母親である魔女(アンジェリーナ・ジョリー)と対決するために沼地へ出かけてゆき,そこで妖しくも美しい彼女と,ある取引をしてしまう・・・。

この物語,今までも何度か映画化されてるらしいが,今回のロバート・ゼメキス監督作品の見処は,何と言っても最新の映像効果。なんと背景だけでなく、俳優の顔や体や動きまで全編CG映像。確かに初めてお目にかかる世界が展開されてはいたが,戦闘シーンなどはともかく、何でもない動きのシーンは,やはり人物の動きがぎこちなくて,違和感は最後までぬぐえなかったかな。私,こんな風にアニメっぽい動きはちょっと苦手。
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主要俳優のビジュアルも、それぞれ「うう~む・・・」と感じる点はあった。(感心する点も,そりゃたくさんありましたよ。)
アンソニー・ホプキンスの顔はそんなにご本人と変えてないように思えたけど,やけにつるんとした皺のない,まんまるいお腹とかが不自然?可愛かったけど。 マルコビッチは,抜け目のなさそうな目だけは確かに彼なんだけど,登場してきたときは若い役だったので,お肌なんか当然若々しくて,「誰?」と思ってしまった。
ベオ役のレイ・ウィンストンの筋肉は,あまりに完璧でバランスがとれすぎてて,いかにも作り物だが,それでもやはり見とれるくらい美しかった。(しかし,無理に全裸で戦わんでもよさそうなものだが)ご本人は普通のおっちゃんらしい。
そして何と言っても注目のアンジー。彼女が水の底から登場したときは,待ち構えていた場内が固唾を呑むのがわかった。私もついつい座席から身を乗り出してしまった。
黄金に輝くパーフェクトなグラマラスボディ。まるで蛇のように妖艶にうごめく,長く編んだ髪。そしてお顔は確かにアンジーなんだけど,目が違う。ご本人はもっとワイルドな目だが,まるで綺麗なマネキンのぱっちりした瞳と入れ替えたように,甘さとイノセントさが感じられる目だ。・・・・それは,ふるいつきたいくらい魅力的だった328545view007_2 空中や水中で繰り広げられるベオウルフと,ドラゴンの死闘はさすがに迫力満点で,見事の一言に尽きる。
しかしなあ・・・この壮大な英雄物語の真のテーマって,
   
◎ 男は所詮,色じかけには弱い。
   ◎ 蒔いた種は自分で刈らねばならぬ

ってことかなあ?もしかして。
どれだけ代償が大きいかわかっていても,三代の王たちに受け継がれていく呪い。先王フロースガール,ベオウルフ,そして後を継いだ家来もきっと,怪物の父親になるという運命には逆らえないのかしら。

いや,あれは「呪い」ではなくて「過ち」ではないのかな?まぁ,その過ちも,アンジーに魔法をかけられたからかもしれないけど。勇者も人間としての弱さを持っているという教訓がこめられているのかしら。原作には,この部分(魔女にたぶらかされる)というのはないらしいけどね。

それにしたって・・・まったく,男って 男って 男って~~!
( 男性諸君,言いすぎたら ゴメンナサイ )

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春の日は過ぎゆく

Cap015 八月のクリスマスや,四月の雪ホ・ジノ監督作品
仕事のパートナーとして知り合った美しい女性ウンス(イ・ヨンエ)
純朴な年下の青年サンウ(ユ・ジテ)。
二人の間の愛の芽生えから別れに至るまでの過程を
移ろいゆく美しい自然を背景に  きめ細やかに綴った珠玉の恋愛物語。
出会いは冬。ウンスはラジオのDJ兼プロデューサーで,サンウは録音技師。
片田舎での取材や,自然の中での録音で,二人きりの時間をともにするうちに
ごく自然に愛し合うようになる二人。
Cap003 愛が生まれたばかりの時,誰もが体験するときめきや高揚感。
長身のユ・ジテと並ぶと,いかにも小柄で可憐な イ・ヨンエ。
彼女は、普段は、仕事のできる 独り立ちした女性特有の 
クールな雰囲気を身に纏っているが、年下の恋人に対して
時として少女のように甘え,ピュアでかわいらしい表情を見せる。

やがて冬が去り,春が訪れ,移りゆく季節とともに 二人の愛も深まってゆくが
サンウが「父親に紹介したい」とウンスに切り出してから
ウンスの態度や愛には,変化や翳りが見え始める・・・。
彼女の傍らで無邪気にほほえむサンウとは対照的に,思い詰めた顔のウンス。
取材した老夫婦のアリランの歌詞,
「私を捨てるあの人は 去りたくて去るのか」に表情を曇らせるウンス。
やがて 唐突に告げられる別れに戸惑うサンウ。
Cap025 ウンスの心変わりについては,何の説明もされていない。
新しい恋人ができたから,サンウから心が離れたのではなく
サンウから離れるために,新しい出会いを求めていったようにも見える。
自分に背を向けようとするウンスを,必死で引き止めようとするサンウ。
叶わない望みと悟って,涙ながらに演歌を歌う,彼の表情がやるせない。

愛から受ける喜びや痛みを,繊細に表現してみせたサンウに感情移入すると
どうしてもウンスの方は,身勝手な悪女に見えてしまう。
「愛がどうして,変わるんだ?」と苦しげにつぶやくサンウに対して
「愛は,変わることの方が多いよ・・・。」と心の中でつっこみながらも
何の返答もしないウンスに,あんまりじゃないの,とも思う。
Cap021 しかし、年上で離婚経験のある彼女の気持ちも,何となくわかる気がする。
彼女の結婚がどんなもので、別れた理由は何だったのかは語られていないが
何の傷も受けない離婚は 普通考えられないから
彼女が愛や結婚について,懐疑的な反応を示してしまうのも無理はないと思う。

愛は互いだけを見つめていられるが,
結婚となると,その背後の家族をも,視野に入れなければいけない。


もしかしたら,ウンスの結婚の破綻の原因は,夫の家族との軋轢だったかも。
それなのに,年下の恋人の一途さで,サンウは無邪気に彼女に尋ねる。
「ウンスさん,キムチ漬けられる?」と。(キムチ漬けはよい嫁の条件らしい)
私は,ウンスは愛が冷めたから,サンウに冷たくなったのではないと思う。
きっと彼女は,そこから先へ進む勇気がなかったのだ。
再び傷つくのが怖かったのかもしれない。
サンウとの幸福な人生を夢見ることができなかったのだろう。

立ち止まってしまって,先へどうしても進めないなら,引き返すしかない。

それでも,愛が冷めたわけではないから,時には会いたくなる時もあるだろう。
会って関係を復活させても,やはりどうしても彼と結婚する決心だけは
つかなかったのだろう。

別れる決意は変わらなかったかもしれないが,彼女もまた苦しんでいたと思う。
ポーカーフェイスを装っていても,心は切なく揺れていたはずだ。
それでも,結果的には 彼女に振り回されたサンウの方が
やはりどうしても,可哀想に見えたのは事実だ。
子供のように泣いたり,友人に愚痴をこぼしたり,あてつけがましい行動をしたり・・・。
そんなことを繰り返しながら,サンウは時と共に 少しずつ気持ちを落ち着けてゆく。
祖母の言葉「女とバスは追いかけるもんじゃないよ」は 名言だ。
相手が男だって,あまり追いかけるもんじゃないとは思うが,
女がいったん別れを決意した場合,男よりずっと潔いような気がする。(←私説)

Cap030 2度目の春が訪れ,再会した二人の間の空気は 前とは微妙に変化していた。
ウンスからは,ほのかな未練が感じ取られたのに対し
サンウの方はずっと冷静で,彼が苦しみながらも,
何とか自分の気持ちにやっと決着をつけることができたのだな,と思えた。
ラストシーン,何度かサンウを振り返りながら去ってゆくウンスと
呼び止めたい衝動を押さえていたサンウの表情が心に残る。

考えてみれば,これはなんと等身大で 日常的な愛の物語だろう。
このような すれ違う愛,成就しない愛は 誰でも多かれ少なかれ体験してるわけで
そういう意味では,リアルすぎてかえって切なくなった。
恋愛って 実際はこんなものだし,傷つくことはあっても
みんな,何とか立ち直りながら人生を続けていってる。そう,ラストのサンウのように。

劇的な事件も 特異な設定もなく,
とある男女の間の 愛の始まりから終わりまでを 淡々と綴っただけの 
とても地味な物語なのに,主演俳優の魅力と,監督の描き方のせいか
宝石のような美しさを感じる物語だった。

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フランシスコの二人の息子

Cap369 なんてパワフルで愛すべき物語だろう。鑑賞後に 心地よい余韻の残る作品はたくさんあるけど,この作品からは,まるで大地のような素朴な力強い温かさを感じる。これは,ブラジル音楽界きってのトップ・アーティスト,ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノの半世記を綴ったもの。彼らの父フランシスコが,息子たちをミュージシャンにするまでの物語だ。
Cap354
彼らの故郷は,ブラジルのゴイアス郡の とある田舎の村。今の時代と思えないほど,本当に何もない,電気さえない,(学校さえ初めはなかった)素朴なブラジルの