蛇の道
黒沢清監督が1998年に製作した同名映画を、舞台をフランスに移し、主演を柴咲コウに迎えてセルフリメイクした作品。リベンジものもイヤミス風味も大好きなので観に行った^_^; ちなみに高評価で名作だという1998年のオリジナルは未見。私が入っているアマプラでは扱ってないので今後も観ないまま終わりそう・・・。
実は映画が始まり、序盤から帰りたくなった・・・(-_-;) ホラーもグロも耐性がしっかりある私だが、なんというか、この作品、登場人物や舞台の雰囲気などすべてが何となく「気持ち悪い」「胸糞悪い」。小説のイヤミスって、ラストの後味がいや~~~な感じのものが多いのだが、この作品、全編通して「いや~~~な雰囲気」が漂ってる。良いやつが一人も出てこないし、じっとりとした不穏な空気が実に居心地が悪い。でも、タイトルが「蛇の道」ですからね。そこは仕方ないのかなと思いつつ、拉致監禁の相手がどんどん変わっていく展開や、つかみにくいヒロインの本性に目も頭も奪われて、最後までしっかり見届けた。
で、観終わった感想だけど、ぶっちゃけ、「私は」再見したいとは思わないし、オススメするには人を選ぶとは思うが、すごい作品であることは間違いない。気持ち悪いが面白い。そしてなんといってもヒロインの柴咲コウさんが素晴らしい。
彼女が演じているのは、幼い娘を惨殺されたアルベールの復讐の手伝いを申し出る精神科医の役だが、無感情で冷徹な瞳のまあ怖いこと怖いこと。手伝うといいつつ主導権を握り、「もう終わりにしたい」と弱音を吐くアルベールを言葉巧みに操作して、復讐劇を完遂するよう誘導する。かと思えば監禁されてる男たちに「誰か他の人の名を言えば助かるわよ」などどこっそり提案し、拉致する相手を芋づる式に増やしていく。遺体をめった刺しにする場面もあるし、彼女は実は単なるサイコパスで復讐を手伝いたいのではなく連続殺人がしたいためにアルベールを利用しているのでは?などと思ってしまった。
で、結局アルベールが彼女に騙されていたのは想像通りだったけど、その理由や彼女の意図は私の想像と全く違っていて、彼女はサイコパスではなかったけど、怖さは変わらなかったなぁ・・・。ラストシーンで夫を見つめる彼女の目は、このストーリーがまだ終わってないことを暗示していたし。
全編通してフランス語のセリフというのもすごい。髪型もたたずまいもファッションもとてもクールビューティー。でも半端なく怖い柴咲コウさんでした。彼女を観るためだけでも一見の価値あるかも。
あ、西島秀俊さんの無駄遣いのような気もしましたが、彼は彼ですごく不気味な存在感をはなっていた・・・。ただ、事件には直接絡まないから、何のために出てきたのかなぁ。もったいない。
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