ヒットマンズ・レクイエム
この作品,2008年度のゴールデングローブ賞(コメディ・ミュージカル部門)でコリン・ファレルが男優賞を取ったそうだが,日本では劇場未公開。監督はマーティン・マクドナー(←知らん)。
とにかく出演してる俳優さんがみんな好きなのと,舞台がベルギーのブルージュというのに惹かれてDVDをレンタル。原題も,IN BRUGES(ブルージュで)だが,なぜ「ヒットマンズ・レクイエム」(=殺し屋たちの鎮魂歌)という邦題になったのかは,内容を観おわって納得がいった。
物語に登場する殺し屋は三人。ベテランのケン(ブレンダン・グリーソン)と,新米のレイ(コリン・ファレル)と,二人のボスであるハリー(レイフ・ファインズ)。
ロンドンで初仕事(神父殺し)を終えたレイは,直後にハリーから「ケンと一緒にブルージュに行き,そこで待機せよ」という指令を受ける。ブルージュがどこの国かも知らなかったレイは(←私も知らなかった),気が進まぬままケンと一緒にブルージュのホテルに2週間滞在することに。
観光を純粋に楽しむケンと違って,レイの方は仕事中に誤って殺してしまった子供のことで落ち込んでいたが,やがてハリーからケンにある指令が届き,物語はとんでもない方向へと進んでいく・・・。
ブルージュはベルギー北西部の,中世の面影を濃く残す美しい都市で,その街並みは,世界遺産にも登録されているそうな。特に運河や鐘楼,中世に建てられた美しい教会や建築物が有名である。チョコレートや地ビールでも名高いベルギーは,ヨーロッパの中でもぜひ一度訪れてみたい国のひとつだ。
この作品は特にそのブルージュのクリスマスシーズンのお話で,ライトアップされた尖塔のある教会や建物は,まるでおとぎの国の世界のようにロマンチックで美しい。
こんなブルージュを舞台に,なんとなくコミカルでスタイリッシュなプチ・アクションものが展開するのかと予想していたら,これが案外,背後に流れる哀しげなBGMが似合う暗いお話で。ブラックユーモアのような可笑しい台詞のやり取りは楽しいのだが,結局は,ちょっとひねった殺し屋の哀愁物語だ。
特にラストへ向けての展開は・・・・これ以上は語るのをよすが,あまりカタルシスを期待してはいけない。まさにレクイエムだった,とだけ言っておこう。コリンの極太下がり眉が,これ以上ないくらい情けなく,そして物悲しく見えた作品でもあった。
役者陣の演技はみんないい味を出している。
画面に存在してくれるだけで嬉しくなるレイフ・ファインズは,冷徹なのか,ただの生真面目なのかよくわからない,つかみどころのないヒットマンのボスを好演。大真面目に演じているのだけど,そしてちょっと切ない役回りにもなるのだけど,なんとなく可笑しみのある不思議なキャラだった。
そして今作で一番個人的に魅力を感じたのは,ケンを演じた名脇役のブレンダン・グリーソン。
彼は,長髪とあご髭の古代の戦士役が多いので,キングダム・オブ・ヘブンの悪徳諸侯のルノーだとか,トロイのヘレンの元夫メネラウス(オーリーと決闘した役)のような彼ばかりを観ていて,現代劇の彼は,あまりなじみがなかったのだが,この作品の彼はとても人間味のある役だった。(あんなに優しくてヒットマンがつとまるのか?とは思ったが)
あと,ブルージュでコリンと恋仲になる女の子の役を,ハリー・ポッターと炎のゴブレットでフラー・デラクールを演じたフランスの女優さん(クレマンス・ポエジー)が演じていた。
なかなか面白い秀作だと思う。賞を取ったのも納得で,劇場未公開は勿体ない。アクションやミステリーはそんなに期待できないけど,ヨーロッパの古都のクリスマス・ムードや,地ビールや,レイフ・ファインズやコリン・ファレルがお好きな方(←少数派か?)にイチオシである。
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