カテゴリー「映画 は行」の55件の記事

ヒットマンズ・レクイエム

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この作品,2008年度のゴールデングローブ賞(コメディ・ミュージカル部門)でコリン・ファレルが男優賞を取ったそうだが,日本では劇場未公開。監督はマーティン・マクドナー(←知らん)。

とにかく出演してる俳優さんがみんな好きなのと,舞台がベルギーのブルージュというのに惹かれてDVDをレンタル。原題も,IN BRUGES(ブルージュで)だが,なぜ「ヒットマンズ・レクイエム」(=殺し屋たちの鎮魂歌)という邦題になったのかは,内容を観おわって納得がいった。 
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物語に登場する殺し屋は三人。ベテランのケン(ブレンダン・グリーソン)と,新米のレイ(コリン・ファレル)と,二人のボスであるハリー(レイフ・ファインズ)。

ロンドンで初仕事(神父殺し)を終えたレイは,直後にハリーから「ケンと一緒にブルージュに行き,そこで待機せよ」という指令を受ける。ブルージュがどこの国かも知らなかったレイは(←私も知らなかった),気が進まぬままケンと一緒にブルージュのホテルに2週間滞在することに。

観光を純粋に楽しむケンと違って,レイの方は仕事中に誤って殺してしまった子供のことで落ち込んでいたが,やがてハリーからケンにある指令が届き,物語はとんでもない方向へと進んでいく・・・。
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ブルージュはベルギー北西部の,中世の面影を濃く残す美しい都市で,その街並みは,世界遺産にも登録されているそうな。特に運河や鐘楼,中世に建てられた美しい教会や建築物が有名である。チョコレートや地ビールでも名高いベルギーは,ヨーロッパの中でもぜひ一度訪れてみたい国のひとつだ。

この作品は特にそのブルージュのクリスマスシーズンのお話で,ライトアップされた尖塔のある教会や建物は,まるでおとぎの国の世界のようにロマンチックで美しい。
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こんなブルージュを舞台に,なんとなくコミカルでスタイリッシュなプチ・アクションものが展開するのかと予想していたら,これが案外,背後に流れる哀しげなBGMが似合う暗いお話で。ブラックユーモアのような可笑しい台詞のやり取りは楽しいのだが,結局は,ちょっとひねった殺し屋の哀愁物語だ。

特にラストへ向けての展開は・・・・これ以上は語るのをよすが,あまりカタルシスを期待してはいけない。まさにレクイエムだった,とだけ言っておこう。コリンの極太下がり眉が,これ以上ないくらい情けなく,そして物悲しく見えた作品でもあった。
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役者陣の演技はみんないい味を出している。
画面に存在してくれるだけで嬉しくなるレイフ・ファインズは,冷徹なのか,ただの生真面目なのかよくわからない,つかみどころのないヒットマンのボスを好演。大真面目に演じているのだけど,そしてちょっと切ない役回りにもなるのだけど,なんとなく可笑しみのある不思議なキャラだった。

そして今作で一番個人的に魅力を感じたのは,ケンを演じた名脇役のブレンダン・グリーソン
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彼は,長髪とあご髭の古代の戦士役が多いので,キングダム・オブ・ヘブンの悪徳諸侯のルノーだとか,トロイのヘレンの元夫メネラウス(オーリーと決闘した役)のような彼ばかりを観ていて,現代劇の彼は,あまりなじみがなかったのだが,この作品の彼はとても人間味のある役だった。(あんなに優しくてヒットマンがつとまるのか?とは思ったが)
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あと,ブルージュでコリンと恋仲になる女の子の役を,ハリー・ポッターと炎のゴブレットでフラー・デラクールを演じたフランスの女優さん(クレマンス・ポエジー)が演じていた。

なかなか面白い秀作だと思う。賞を取ったのも納得で,劇場未公開は勿体ない。アクションやミステリーはそんなに期待できないけど,ヨーロッパの古都のクリスマス・ムードや,地ビールや,レイフ・ファインズやコリン・ファレルがお好きな方(←少数派か?)にイチオシである。

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ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~

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太宰治の小説は,「走れメロス」以外は読んだことが無い。なぜか自分の好みに合わなかったせいで。そして太宰治ご本人に関しても,あまり・・いやまったく思い入れは無い方であるが,この「ヴォヨンの妻」,モントリオール映画祭で,最優秀監督賞を獲った作品ということで観るのを楽しみにしていた。そしてその感想はというと。

う~ん・・・う~ん。何と言ったらいいんだろう。久々に言葉に窮する作品を観た。共感できる要素があまりないにもかかわらず,不思議と退屈せずに観ることができて,感動するシーンも,これといってないにもかかわらず,心に妙な残り方をする・・・・。哀しいような、腹立だしいような,それでもそれが決して不快ではなくて。ああ,やっぱり上手く言えない。

原作も未読だし,太宰治ワールドもよく知らない身としては,この作品の隠されたテーマ(もしあるとすれば)はよくわからなくて,大谷と佐知の夫婦のあり方ばかり考えらせられた2時間だったかな。
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とにかく,浅野忠信の演じた作家・大谷の駄目夫ぶりは,呆れ果てるほどひどい。酒びたりで女癖が悪く,妻子を養う気概もない。夫として駄目なだけでなく,二言目には「死にたい」と口にするところなど,人間としても「甘えんな!」と言いたくなるほど後ろ向きなやつで。

しかし演じている浅野さんが上手くって,上手すぎて,時にはそんなダメ男ぶりが可愛らしく可笑しく見えて,自分も母性本能をついくすぐられたりもしたりして。(だから彼が女にモテたのも納得はできたが) 実を言うと,わたしもこういう男性に弱い。好きになって後悔するのが目に見えてるから,こんなタイプの男性には,ふだんから極力近寄らないようにしている。

そして,あの時代(戦後の混乱期)の男女や夫婦のありかたの価値観が今とは大きく違っていたとは言え,そんな夫に愛想をつかさずに支えてゆく妻の佐知(松たか子)の健気な明るさも,「どうしてそこまで耐えられるのか?」と頭のなかでは???マークが最後まで浮かびっぱなし。
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妻が駄目な夫(生活能力がないとか女癖が悪いとか暴力をふるうとか)に尽くす理由って,「夫が好きで好きで別れられない」というケースと,「自分がいなきゃこの人は駄目になるから捨てられない」というケースがあると思うけど,佐知の場合はどっちだったんだろう?夫が他の女性と心中未遂したときに,「わたし,うぬぼれてました。あなたに愛されてると思ってた」と言った台詞から考えると,どちらかというと後者だったのだろうか?

夫の大谷は,そんな妻の明るさや芯の強さに甘えてよりかかりながらも,心の中ではどこか妻に頭の上がらないものを抱えているようにも見えて。こんなによく「出来た」糟糠の妻の存在は,彼にとっては,時には自分の不甲斐なさをより自覚させ,落ち込ませるものだったのではないだろうか?とか思ってしまった。夫に振り回され,流されているだけのように見える妻の方が,実はリーダーシップをとっているのではないかと。
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昭和20年代の衣装や風俗や街並みや,佐知のしゃべる美しい日本語
にうっとりしつつ,役者さんみんなの達者な演技には大満足の作品だった。妻夫木くんが演じたシャイな青年もとてもよかったな~。(あんなピュアな感じの青年に「一緒になってください」と震えながら告白されたら私だったら即オーケーだな。)

鑑賞後,一緒に観に行った近所のおばちゃんが,「男はやっぱ駄目だね~」とひとこと。そして続いて,「ヒロスエは喋ると台無しだね。」とも。うん・・・たしかにそうかも。

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フライ、ダディ、フライ

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「これ,面白いよscissorsという同僚のお勧めでDVD鑑賞。

その言葉通りすっごく面白かった~!。暴力高校生に愛娘を傷つけられた冴えない中年サラリーマンのおっさんが,喧嘩の強い在日韓国人の高校生からトレーニングを受けて,見事に相手をやっつけるお話。リベンジものと,スポコンものと,人情ものの3つの要素が楽しめる,痛快なエンタティーメント作品だ。原作は「GO」で直木賞に輝いた金城一紀。
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気弱で体力のないおっさんサラリーマン鈴木一を演じているのは,堤真一。実はカッコいい彼がわざとカッコ悪い役に扮している作品は,容疑者Xの献身ですでに堪能済みではあるが,「容疑者~」の方はヴィジュアルまでドンくさく変貌していたのに比べると,この作品の堤さんは見かけはそんなにカッコ悪くない。老けてもいないし,メタボでもない。

しかし,その表情や動きが,最初はなんとも情けなく,ドンくさいのだ。それがトレーニングを重ねるうちに,どんどん表情が引き締まってゆき,動きも精悍になってゆく。その演じ分けがやっぱりとっても上手い。
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一方,おっさんをクールに鍛え上げる高校生パク・スンシンを演じた岡田准一は,ミステリアスで野性的な雰囲気がなんとも素敵で,ちょっと現実離れしたカッコよさだ。切れ長の瞳と,額にかかる前髪がとってもセクシー。

初めはぶっきらぼうで愛想もなかったスンシンと,必死に彼についていくだけだった鈴木が,トレーニングの成果が上がるにつれて少しずつ心を通わせてゆき,スンシンが自分の過去の出来事を鈴木に打ち明ける木の上のシーンはちょっとほろりとさせられた。
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もうここまで来ると,彼ら二人ともが,相手から「自分には無いもの」を教えられ,堅い絆ができたんだと思う。

最初は鈴木を「賭けの対象」としてしか見てなかったスンシンの仲間たちも,物語が進むにつれてみんなで一丸となって鈴木を応援するようになる様子も微笑ましく,彼らのおちゃめぶりもややクドい感じはするけれど,いい具合に物語を盛り上げてくれる。
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オヤジになっても,守りたいもののために闘うことができる,というのはなんと痛快なことか。「飛べ!おっさん」とスンシンが叫ぶラストのすがすがしさに,思わず笑みがこぼれた。

この作品を韓国でリメイクしたのが「フライ・ダディ」で,岡田准一の役は王の男イ・ジュンギが演じている。見比べてみたいのだけど,ここ数日,レンタル屋をチェックしてもいつも貸し出し中でまだ観れていない。
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こちらはおっさん役の俳優さんが,最初はちゃんとメタボ体型だったのが,実際に物語が進むにつれて肉体改造されてゆく様子が見どころのひとつらしい。それに,「王の男」とはまた違った魅力のイ・ジュンギのアクションも観てみたい。

   

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花の生涯~梅蘭芳(メイ ラン ファン)~

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さらばわが愛チェン・カイコー監督久々の京劇もの。実在した京劇の名優,梅蘭芳(メイランファン)の半生を描いたものだ。「さらば~」とはまた訴えてくるものは違ったが,天才と呼ばれる芸人の背負う業のようなものが,ずっしりと伝わってくる作品だった。

実在した梅蘭芳は,京劇の近代化や海外公演を成功させ,世界的な名声を博した女形俳優。 日中戦争の間は,一貫して抗日の立場を貫いたのち,戦後舞台に復帰して東西冷戦時代には訪日京劇団の団長として,まだ国交のなかった日本で京劇公演を成功させたという。
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若き日の梅蘭芳を演じた,余少群(ユイ・シャオチュン)が美しい。京劇メイクを取った彼の素顔もあでやかで,何ともなまめかしいのだ。舞台の上の彼の顔や仕草の美しさは必見だ。その匂い立つような美には,女の私でもうっとりと見惚れてしまった。
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そして壮年になってからの梅蘭芳は,黎明(レオン・ライ)にバトンタッチ。顔立ちはともかく彼の体格が立派過ぎて,女形としてはどうよ?と思わぬでもなかったが。特に小柄なチャン・ツィイーが男形という設定で一緒の舞台に立つシーンはうーん,ビジュアル的に無理が。(どっちも似合わん)

そのせいかどうか知らないけど,レオン・ライが舞台に立つ映像は,必要最小限だったような。それでも壮年になってからの素顔の梅蘭芳のシーンは,深みのある落ち着いた内面の演技が求められるので,柔和と品格を絵に描いたようなレオン・ライのキャラは,よくハマっていたと思う。
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それにしても,彼ほどの才能を持った人間には,「孤高」がついてまわるのは,宿命なのだろうか。人生途上で選択を迫られたとき,梅蘭芳がいつも何よりも優先させなければならなかったものは,「京劇」だった。それは,時には自分の感情や大切な人との絆を犠牲にしてでも,彼が貫かなければならなかった道だったのだろう。

そしてその道は,彼の家族も,恋人も、友人も,真の意味では一緒に歩むのは無理な道だったから,だから彼はいつも独りで歩き通さなければならなかった。望むと望まざるに関わらず,彼には「京劇という芸術」に対する,彼にしかできない使命があったから。
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教え育ててくれた老師匠との演技対決で,師匠への恩義よりも,「京劇近代化への信念」を取った青年時代。愛人の孟小冬(モン・ツァオトン)が,彼の妻の「梅蘭芳は観客のものよ」という台詞を聞いて,彼のもとを去った壮年時代。義兄弟の契りを結び,マネージャーのように誰よりも彼を支えてくれた邸如白(チウ・ルーパイ)と意見が衝突し,裏切られもした日中戦争時代。

日本軍の要請をかわすために,自ら罹ったチフスで昏睡する梅蘭芳。その枕元で,邸如白が言う,「なんて孤独な人生だったんだ!生まれ変わった時には決して君の邪魔はしない。君は普通の人生を望んでいただろうに・・・・」という台詞が印象的だった。
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梅蘭芳を敬愛し,日本軍のために彼に京劇を演じさせようと骨折った軍人,田中。中国語も演技も上手く,「日本語の上手な中国人俳優さんかしら?」と思ってたら,日本の俳優さんだったんですね。
安藤政信さんという名前,この作品で覚えました。イケメンですよね~,要チェック!

「さらば、わが愛」ほどではないにせよ,久々にチェン・カイコー監督の見事な大作を楽しめた,と思う。映像の美しさは,さすがカイコー監督だと感動。

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パッセンジャーズ

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danger 初めにお断りしておきますが,私の感想は,映画のジャンルについてネタバレしています。そして,この作品は,ジャンルをばらすだけで,かなりオチが読めてしまうので,未見の方はご注意ください。まあ,もうDVDになってるので,ある程度のネタばれはご容赦していただけると思いますが,これからご覧になる予定の方は,予備知識はゼロの状態が絶対いいですから。

航空機事故で生き残った乗客たちが,セラピストのクレア(アン・ハサウェイ)にセラピーを受けるうちに,次々と姿を消す謎めいた物語。爆発事故があったらしいのに「人的なミスだ」と言い張る機長や,尾行する怪しげな人々。クレアは航空会社の責任逃れのための陰謀を疑うのだが・・・・。

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陰謀めいたサスペンスを思わせる物語に見えるが,これは実はあのシッ●スセ●スや,ア●ーズと同じジャンルである。つまり幽●ネタ。(ああー,言ってしまった~)

しかし,これまでの同ジャンルの作品と少し違う点は,この作品の舞台が,こちら側の生者の世界でもなく,あちら側の死者の世界でもなく,その中間,つまり,「自分が死んだと気づいていない」成仏していない人々の住む世界であること。そこがユニークだ。

突然死んだりした場合,魂はまだ死を受け入れられなくて,死者の世界に旅立つことができず,このような生と死の中間の世界に留まっている,という設定なのだろう。その世界は彼らが生きていた世界とよく似ている。

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そしてもっとユニークで,しかも心を打つのは,「死んだと気づいていない」彼らの世界へ,「お迎えに来る」死者たちの存在だ。つまり,それぞれ生前に彼らと親しかった死者たちが,彼らが「もう死んでいることを」告げるために,そして彼らを死者の世界へ旅立たせるために,彼らを迎えにやってくる。

もちろん言葉でそれを伝えるのではなく,接触してくるだけなので,人によっては自分が子供のころに死んだ肉親の顔を忘れていて,相手の意図にすぐには気がつかないことも多く,旅立ちに時間がかかるケースもある。

人によって,迎えに来る死者たちはさまざまだ。
先だたれた両親・・・叔母・・・祖父・・・恩師・・・
そして,子供の頃飼っていた愛犬。


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いったい,自分の場合は,
誰が迎えに来てくれるだろうか?

この作品を観た人たちはきっと,今は亡き懐かしいひとたちの顔を,もう記憶の中ではおぼろげになってしまっていたりするその顔を,いろいろと思い浮かべてしんみりしてしまったのではないかと思う。(私だったら,小さい時に飼ってた文鳥に迎えに来てもらいたいな)

ラスト近くになって,それまで主人公たちのまわりに出没していたちょっと不審な人物たちの言動や正体がわかったとき・・・・,こみ上げてくるものを感じた。
幽霊話(それも登場人物の大半が幽霊)ではあっても,ホラー色は皆無で,最終的にこの物語から一番感じたのは,生死を越えて永遠に存在する愛や絆だった。

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遥か昔に,愛の絆を結んだ相手が,死後の世界でも自分を慈しんで迎えに来てくれる。死は終わりではなく,別の世界へ先に行くだけのことであり,愛するものとは死後も再びいつか逢えるという考え方には,とても癒される。

主人公たちのラブストーリーを中心に進む中盤までは,退屈にも意味不明にも感じる作品だが,後半の「お迎えびとたち」の正体がわかってからはとても感動した作品だった。この手はどうしても賛否両論になるので,手放しでお勧めはしないけれども。

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HACHI 約束の犬

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化粧が取れるほど泣いた…。
泣けるとは聞いていたけど,これほどとは。


近くでは吹替え版しかやってなくて,雷雨の中を隣県まで行って字幕版を観てきた。やはりリチャード・ギア本人の声を聞きたくて。北大路さんだと,どうしてもCMの「お父さん犬」の声のイメージがあって,ハチがしゃべってるみたいに錯覚しそうだったから。

忠犬ハチ公。
主人亡き後も,何年も駅で帰りを待ち続けたこの犬の物語は,渋谷駅前の銅像とともに,日本人なら誰でも知っている。これをハリウッドでリメイクって?と一抹の不安もあったけれど,さすがラッセ・ハルストレム監督リチャード・ギア!
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舞台をアメリカに移し,登場人物もアメリカ人に変えつつも,主役のハチはちゃんと日本の誇りである秋田犬という設定で,秋田犬の魅力的な特質を余すところなく描いてくれていた。

私は猫派なんで,あまり犬のことは知らなくて,この映画を観るまでは,実は秋田犬と柴犬の区別もついてなかった。恥ずかしながら忠犬ハチ公が秋田犬だってことも知らなかったsweat01・・・・・もっとも映画では子役(?)のハチは柴犬だったけど。

成人?した秋田犬は,やはり威厳に満ちて,王者のような風格がある。足の長いこと!その顔は正面から見ると意外と丸顔で,愛嬌のある瞳をしている。そして何より,秋田犬ならではの賢さ,人に媚びない誇り高さ,忠誠心など,その性格もまた高潔なものを感じる。
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子犬時代のハチとリチャード・ギアとの触れ合いの場面は,犬も飼い主もひたすら可愛らしく,heart04観てるこちらも頬が緩みっぱなし。ギアはほんとに犬好きなんだと思う。ほとんど自分も犬と一体化して遊んだりキスしたり,一つ皿から一緒にポップコーンを食べたり。(ああいうことは,さすがに自分には無理sweat01

そしてまた,ハチ役の犬が子役?の犬も大人役の犬も,ちゃんと立派な演技をしている。それも仕草だけでなく,目の演技まで!こんなに表情豊かな演技のできる犬を観たことがない。
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甘える目,訴える目,哀しげな目,
そして駅から出てくる人々の中に教授を探すときのひたむきな目!

このハチの目の表情にどれだけ泣かされたことか。

画面は時折,モノクロのハンディカメラの映像に切り替わり,ハチから見た世界を映し出す。この「ハチ目線」の映像とハチの表情の演技で,台詞などなくても(なくて当たり前だが)ハチの心情が伝わってきて,ああ,主役はギアじゃなくて,この犬なんだなぁということを改めて実感した。
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物語の中盤にさしかかり,ギアが「帰らぬ人」となる日の朝,本能でそれを察して必死で止めようとするハチの行動,特にボール遊びの場面は目頭が熱くなった。

・・・・そしてもうそこからラストまでは,
絶え間ない涙,涙,涙。

別に「泣かそう」と,これ見よがしな演出があるわけではない。物語はあくまでも淡々と,駅で待ち続けるハチの日常を映し出すだけなのに,なんでこんなに涙が後から後から湧いて出るのか。

毎日五時の列車の到着を待つハチ。
帰ってこない主人をひたすら待ち続けるハチ。
春も,夏も,秋も,そして冬も。
10年もの歳月が巡る間,来る日も来る日も
駅の出口をじっと見つめ続けるハチ。

こんないじらしい姿を見せられて,どうして泣かずにいられようか。
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この映画での教授とハチとの絆は,「主従関係」というよりは強い愛情で結ばれているように描かれている。10年間待ち続けるハチの目には,姿を消した恋人を恋い焦がれるような切なさがある。

大好きな教授に,何としても,もう一度逢いたい。
ここで待っていさえすれば,必ずいつかは逢える。
もう一度逢えなければ,生きている甲斐がない。
だから待ち続ける,あきらめずに。


思えば,ハチは,その一生の大半を待つことに費やしたことになる。この健気さ,一途さには,人間は到底かなわない。人間は愛する能力はあっても,雑念やこの世のしがらみに邪魔されて,こんなふうにまっすぐに,すべてを注ぎこんで愛したりはできない。
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そして晩年になったハチの,あのよぼよぼとした姿 (この老け演技がまた絶妙)を思うと・・・・いかん!また泣けてきた。crying

ラストは哀しい物語なのに,
ハッピーエンドの優しい香りも漂う。

天国に召されるハチの心に浮かぶ,教授との再会シーン。
ギアとハチが互いに駆け寄って,文字通り「抱擁」しているかのようなあのシーンは,号泣しつつも,やっぱり「よかったね,ハチ…」とあたたかい祝福の思いに満たされるから。
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こんな風に,哀しさと優しさが絶妙にミックスされた物語をさりげなく語るのは,ラッセ監督の真骨頂。そしてまた,愛犬家でもあるという監督の犬への愛情が詰まった作品にも思えた。

エンドロールで語られる実話のハチ公のエピソードを見ていると,秋田犬を生んだ我が国がちょっと誇らしくなった。

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ハリー・ポッターと謎のプリンス

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ハリーポッター・シリーズはこれまでのも欠かさず観てるのだけど,なぜかこのブログに記事を書いたことはないなぁ・・・・。おまけに原作も「炎のゴブレット」までは読んだけどそのあとは飽きて買ってもいない・・・。でも,やっぱり映画化されると,気になって観てしまう。魔法大好きだし,ダニエル君たちの成長も見届けたいし。

あらすじ: ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)の支配力が強大になっていくなか、ハリー(ダニエル・ラドクリフ)とダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)は、ヴォルデモートの防御を解く手がかりを探るため、極めて重要な情報を握っているダンブルドアの旧友で元同僚ホラス・スラグホーン(ジム・ブロードベント)を学校に迎え入れる。(シネマトゥデイ)
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今作は全体的にとってもダークな雰囲気だった。

ヴォルデモートの闇の力が水面下で拡大していき,不穏な空気がそこここに立ち込めている感じ。いよいよ迫ってくる最終決戦に備えて,ダンブルドア校長とハリーは,ホグワーツ時代のヴォルデモート(=トム・リドル)の秘密を探ろうとする。
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今回も原作の大胆な省略などもあったようだけど,原作を読んでないので,どこを省略したかわかんない・・・・。今までの物語に比べると,「なんか緊張感や盛り上がりに欠けてない?・・・・地味?」と思いつつ観てたら,悲壮感の漂うラストで,「ああ,今回のは最終章へのつなぎの作品なのね~」と納得がいった。(←全然予習せずに観る主義なんで)

ふむふむ・・・
つなぎの割には面白く出来てるじゃん!

思えばこのシリーズがスクリーンに誕生してからもう8年・・・・。
少年だったラドクリフ君たちも,もう立派な青年だ。
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ハリーの成長とともに,ラドクリフ君やエマちゃんたちの外見も,素敵な青年に成長していってるのをスクリーンで確かめるのは楽しい。特にエマちゃんはすっかり女性らしく綺麗になった・・・・(ロンにゃもったいないんじゃないかい?)

ラドクリフ君もすっかり凛々しくなって・・・・heart。ハリー以外の役のイメージが浮かばないってのが,ちょっと心配なのだが。今後の俳優活動ね・・・・。
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ロンを演じるルパート君は,顔や雰囲気はまったく変わらずに,デカくなっただけ~,という感じもするが,今回もいい味出してた。惚れ薬が効いてるときの彼の演技最高!それと,ハリーとジニーの間に割り込んで邪魔するシーンとかも・・・。

ラドクリフ君とルパート君の二人は,もうずっとコンビを組んでるから,演技の呼吸を合わせるのもとっても上手い気がする。
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そして,11歳のトム・リドルを演じた少年が,レイフ・ファインズにやけに似てるな~,よくこんなにそっくりの子を見つけてきたな~と感心してたら,演じたヒーロー・ファインズ・ティファン君って,レイフの実際の甥なんだって?・・・・なるほど似てるわけだわ。芸能一族のファインズ家・・・,美形の家系でもあるのね。

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しかし,タイトルの謎のプリンスがあの人だった・・・という種明かし,あまりにもあっさりしすぎてて拍子抜け。原作はそこらへんもっと詳しいのかな?

そもそもスネイプ先生(←なにげにお気に入りなんだけど)って純然たる悪役なん?最終章まで観ないとわからないのだろうけど,気になって仕方ない。(←だったら原作読めよ~annoy

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ラストは,決戦前夜のような静けさと悲壮感がそこはかとなく漂い・・・・次回作が待ちきれなくなってきたし,今までの作品も全部再見したくなっちゃった。
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upこのひとはやっぱりこうゆう役,最高にハマるねぇ~。   
 

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ファニーゲームU.S.A.

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オリジナルをビデオで観たのは何年前か・・・・。
その,強烈で,吐き気を催すほどの後味の悪さは,あまりにも衝撃的で,思わず「こんな作品があっていいのか?」と,直後にもう一度最初から観てしまった作品。2回続けて観終わったあとは,夜が明け始めていたっけ・・・。なんともハードなオールナイト鑑賞の一夜で,その後はくたびれて結局一睡もできず・・・・。

あらすじ: 別荘で過ごすアン(ナオミ・ワッツ)とジョージ(ティム・ロス)夫妻のもとに、ポール(マイケル・ピット)とピーター(ブラディ・コーベット)と名乗る青年が訪れる。ふてぶてしい訪問者の態度に業を煮やしたジョージがポールのほほを平手打ちすると、突然二人の男は凶暴な顔を見せ、生死をかけたゲームをしようと告げるが……。(シネマトゥデイ)
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一見無害そうに見える行きずりの二人の若者に
家族が皆殺しにされてしまう物語。

なんでこれを今更セルフリメイク?と思いつつも,大好きなナオミ・ワッツ出演と聞くと,やはりスルーはできない。一度観てるから免疫がついてるだろうし,と思ってレンタルしてみた。

観終わってまず一番に感じたことは,ストーリーから各シーンの詳細に至るまで「オリジナルのまんま!」じゃん・・・ということ。セルフリメイクだから許されることなのだろうが,細部に至るまでほとんどオリジナルのままだったような?
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リメイクした意義って,これをハリウッドの演技派の名優たちが演じてみた・・・ということだけなのかな?なにはともあれ,ハネケ監督は,この作品が非常にお気に入りなんだろう。

ストーリーは先を知ってるので,初見時に比べると,衝撃や不快感は,私の場合かなり弱まっていた。それより,オリジナルの俳優さんたちと,リメイク版の俳優さんたちの個性を比べてみたりして,そういった面では楽しめた。
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ナオミ・ワッツがヒロインだと,やはり華がある。

それに彼女は,こんな風なボロボロにパニクる役が非常にハマるし,スタイルが抜群なので昔から下着姿もハマる。しかしこの作品の場合は,長時間下着姿でいる彼女を,セクシーだと感じる余裕はなかったが。
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一家の父親役を演じたのはティム・ロス。いい具合に老けたくたびれ具合が,この役にぴったりだ。オリジナルではあの善き人のためのソナタウルリッヒ・ミューエさんが演じていた。ミューエさんの哀しげな瞳もまたこの役にぴったりで・・・。

ハリウッドのお約束の,「最後には敵を撃退するお父さん」はこの物語には存在しない。また,「子供は生き残る」というハリウッドのお約束も容赦なく破られる。
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びっくりしたのが,主犯格の青年を演じたマイケル・ピットが超ハマっていたこと!今まで観た彼の作品の中で一番似合ってた・・・・。

彼がシルクで,ラブストーリーの主役を演じたときには「何とかしろ!その丸顔」とか思ってしまったものだが,この作品の彼は,その丸顔やガラスのような瞳が・・・笑顔の中に凶悪さや狂気を隠した不気味な美青年にぴったりだった。
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それにしても・・・やはり
何度観ても胸糞の悪くなる不快な作品だ。

日常に潜む,暴力の恐ろしさをまじめに描くのが目的ではなくて,ただ観客に不快感を与えたくて作ったような底意地の悪ささえ感じる。犯人の挑発的な台詞や目線は,観客を傍観者に留め置くことを許さず,殺人ゲームに加担しろと誘っているかのようだ。

それでも,映画としての完成度は高いと思う。監督の感性や嗜好にはとてもついていけないけれど,観終わった後には,たとえ不快感だとしても,半端でない感情を残すことは間違いない。

まぁ,それでも私は,
あまり人様に手放しではお勧めしませんね・・・・この作品。

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僕は君のために蝶になる

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ジャケットの美青年と,エグザイル/絆ジョニー・トー監督作品ということに惹かれてDVDで鑑賞。ノワール作品ではなく,不思議なラブストーリーだった。ふ〜ん,こんな作品も撮れるんだ。・・・・で,けっこう好きかも,これ。
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あらすじ:
エンジャ(リー・ビンビン)は密かに思いを寄せていた大学の人気者アトン(ヴィック・チョウ)と結ばれるが、幸せな時間もつかの間、アトンが事故に遭い亡くなってしまう。3年後、法律事務所で働くエンジャは周囲に心を閉ざし、精神安定剤に頼る日々を送っていた。そんなある夜、アトンが当時のままの姿で目の前に現れる。(シネマトゥデイ)

主人公のイケメン(実は幽霊)役を演じたヴィック・チョウ(初見)。ちょっと濃いめの顔立ちと甘めの声が,なかなか素敵。
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死んでしまった恋人が,幽霊になって現れる・・・と聞くと,しさのあまりかなぁ?と思いがちだけど,この物語はちょっと理由が違った。「君のために蝶になる」という邦題に惑わされてはいけない。蝶に生まれ変わっていつまでも恋人を見守る・・・というおセンチな純愛ものではない。そういうありきたりな内容ではなかったところが,新鮮で面白かった。

幽霊アトンは,彼女恋しさで出てきたのではなく,成仏できない自分の悩みを解決したくてエンジャの前に姿を現したのだ。なぜなら,彼にはぜひとも決着をつけたい心の問題がいくつかあったから。ケリがつかないままでは,死んでも死にきれなかったのだろう。
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付き合い始めたばかりのエンジャと痴話げんかになり,「僕を本気で好きなのか?」と問い詰めていた最中に,突然死んでしまったアトン。


途中で中断された喧嘩。
聞くことができなかった彼女の答え。

それが未練となって,
アトンの魂は3年間もこの世から離れられなかったのだ。
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だから,アトンの幽霊とエンジャとの初対面(?)の会話も,「会いたかった~heart04」とかいうものではなく,初めから険悪なムード。


「君のせいで僕の人生終わったんだ」とか「あなたなんか大嫌い,私だって苦しんできたのよ」という,売り言葉に買い言葉のようなセリフさえ交わされる。
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まだ互いの愛が確信できてない,ごく初期のつきあいの段階で,喧嘩の真っ最中に片方が事故死した・・・というカップル。幽霊になって戻ってきた相手と語り合ううちに,互いの真意が徐々に理解できてくる・・・そんなお話。

なんだか,片方が死んでしまってから,やっと始まるラブストーリーのような不思議な設定の物語。アトンの幽霊とエンジャとは,ある時は反発し合い,ある時はしんみりと本音を語って心を通わせながら,次第に互いの間のわだかまりを解いてゆく。
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そして,アトンはエンジャの助けを借りて,もうひとつの未練断絶状態だった父親と仲直りもせずに死んでしまったこと)とも向き合うことができる。この父親を,レッドクリフで劉備役だった俳優さんが演じている。息子と和解していればよかった,と心の中では深く悔いている,不器用で一徹な父親の役を,味わい深く演じていた。

その他にも,エグザイルに出てた俳優さんが何人か,これにも顔を見せていた。(こちらの作品では,しっかり台詞をたくさんしゃべっていた。)

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観終わって,一番心に残ったのは,大切な相手には,手遅れになる前にちゃんと思いを伝えなくては,ということだった。

ある日突然,何の準備もできずに,
逝ってしまう場合もあるのだから。
言い残したことや,やり残したこと,
相手に伝えるべきだった思い。


ほんとは愛してた…言ってやればよかった
と後悔することは,逝く者にとっても,残される者にとっても,なんとも哀しいものだから。
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ラストに,未練が清算できて「やっと最初の僕らに戻れた・・・」と爽やかに笑うアトン。彼の事故死の日から,二人とも後悔やら相手を恨む気持ちやら,自分を憐れむ気持ちやらにさいなまれて,出会ったころの愛を見失っていたのだろう。・・・それがやっとリセットされたすがすがしさ。

今ではきっと,以前とは比べものにならないほどの強い絆を感じている二人にとって,今度こそ本当に訪れる別れはちょっと切なかったが,エンジャにもまた新しく「あの青年」との未来が待っているのだろう。

軽妙な語り口の物語なのに,深いテーマもそこはかとなく感じられて,ほんと不思議な魅力の作品。繰り返し言うけど,これ,けっこう好きだ。

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ヒート

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白昼のL.A.にこだまする銃撃のシンフォニー!

うーん,やはりさすがマイケル・マン!
極上の男のドラマに熱く痺れっぱなしの三時間だった。

凄腕の犯罪グループのボス,ニールを演じたデ・ニーロと,
彼らを追い詰めるやり手の警部ヴィンセントを演じたパチーノ
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二人とも,実際にモデルとなった人物がいた。ニールのモデルとなった強盗は,名前まで同じだ。ヴィンセントのモデルはマイケル・マンの友人である元シカゴ警官だそうで,これは監督の長年にわたる膨大なリサーチによって生まれた物語である。

追うものと追われるもの同士でありながら,ニールとヴィンセントは,強い信念とプロ意識,抱えている孤独などが,よく似ている。
Cap061
そういえばマイケル・マンは,よく二人の男の対決を描くが,登場するのは皆,自分の仕事に厳しいプロ意識を持っている熱い男たちばかりだ。

その仕事はデカだったり,殺し屋だったり,タクシードライバーだったり,TVプロデューサーだったりするけど,傾ける情熱と,譲れない信条には共通するものを感じ,そこに監督特有の美学を見ることができる。コラテラルしかり,インサイダーしかり。
Cap132
デ・ニーロの演じるニールは,30秒フラットですぐに高飛び出来るように,身辺を身軽にするよう,己を厳しく律している男。したがって,家族を持たず,人と面倒な絆を結ばない。情が薄いのではなく,大切な相手とのしがらみが足枷になるのを恐れて,孤高の生き方を選んでいるのだ。「自分への掟だ。それに耐えられなきゃ,他の生き方を探すことだ。」と言うニール。

「仕事」をするときの,妥協のない冷徹さとは裏腹に,プライベートな場面で恋人に見せる優しさや,少し哀しげな表情のデ・ニーロを見ていると,彼が悪党であっても,共感せずにはいられないような魅力を感じる。
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一方,パチーノの演じるヴィンセントは,一度食いついた獲物はとことん追い続ける男で,仕事にのめりこむあまり,何度も家庭を崩壊させている。仕事に賭ける情熱や執念はまるで炎のようで,どんな事態に陥っても瞬時に下す判断と指揮には,いささかも迷いがない。

この,二人の喫茶店での対面シーンは名場面だ。
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逮捕するためではなく,「相手を知るために」ニールをお茶に誘うヴィンセント。(この対面も,モデルとなった二人の間で,実際に似たようなことがあったそうである。)そしてそこで敵同士にもかかわらず,互いに共鳴するものを感じ取り,相手に共感や尊敬の念,ひいては友情のような感情を抱く二人。
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会話している間,パチーノもデ・ニーロも,相手から目をそらしたり,見つめたりをくりかえしながら,時折ふっとその目元や口元に,相手に対してかすかに優しい表情が浮かぶあたり,さすがに非常に上手い。それでも,別れ際には,「いざというときは容赦なくお前を倒す」というセリフをお互いに宣告する二人。

似た魂を持ってはいても,タイプの異なるニールとヴィンセント。
冷静で寡黙なニールを「静」だとすると,
常にハイテンションを保っているヴィンセントは「動」。

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ゴッドファーザーの時と比べると,年を重ねた分,ますます貫禄と深みを増したデ・ニーロとパチーノ。この作品では,お互いに喰い合うことなく,まさに互いに最高の演技を引き出し合ったのではないかと思えるほど,どちらも素晴らしい。

そしてあの,映画史に残る,白昼の銃撃戦の迫力!
大音響の銃声は,高層ビルにこだまして物凄い反響音を呼ぶ。市街が一瞬にして戦場と化すあの場面はまさに鳥肌モノ。
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俳優たちは刑事班と強盗班に分けられ,それぞれ異なるカリキュラムで,実弾による射撃訓練を3か月みっちり受けたそうだ。その成果が十二分に発揮され,あのようなリアルで迫力のある銃撃戦の場面を生んだのだろう。

また,この物語に出てくる女性たちもまた,出番は少ないながら印象的な役柄ばかりだ。特に「家族を持たない」主義のニールが,初めて「一緒に生きたい」という気持ちを起こさせたイーディ。ニールは彼女と一緒に高飛びを計画し,新しい人生をスタートさせるつもりにまでなっていたのに・・・・。
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また,仕事面では凄腕でも,家庭人としてはヘタレのクリス(ヴァル・キルマー)の妻を演じたアシュレイ・ジャドの演技も光っていた。普段は夫に愛想を尽かしていた彼女が,張り込んでいる警察の存在を,わずかな手の動きで夫に知らせるシーンは秀逸だ。

ラストは・・・やはりニールとヴィンセントの一騎打ちは避けられず・・・。最期にかわすセリフと,握り合う手,パチーノの目にうっすらと浮かぶ涙が心を打つ。その瞬間に,二人とも相手を認め合ったのだろう。自分たちは似た者同士だ,もしかしたら唯一この世でわかり合える相手なのかもしれないと。
Cap135
泥棒と警官が共感し,互いに認め合う・・・・この一見あり得ない複雑なテーマが,この作品の大きな魅力となっている。3時間弱の長い映画だが,男たちの駆け引きや対決から目が離せず,緊張感は途切れることがない。ガン・アクションももちろん見どころだが,人間ドラマもまた素晴らしい。個性的な登場人物も,一人ひとり丁寧に作りこまれているので物語に深みがある。
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とにかく,
男と生まれたからには,
ぜひ一度は 観ていただきたい作品。

男でない私でも,この熱くもあり,クールでもある物語にはすっかり魅せられてしまった。傑作!

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