カテゴリー「映画 か行」の15件の記事

奇跡のシンフォニー

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見よ!この可愛さ! (フレディ・ハイモア君ね)

音楽の天才(ほとんど神童に近い)の家なき子物語。
と~っても純真で,かわいらしくて,優しいお話ではありました。

・・・・・ただし,期待してたほど,泣けなかったけど。(実はちっとも泣いてない)

あらすじ: 孤児院で育ったエヴァン(フレディ・ハイモア)には豊かな音楽の才能が備わっていた。ある晩、エヴァンは不思議な音を追い、施設からマンハッタンへと導かれる。さまざまな出会いにより、エヴァンの音楽の才能は開花。同じころ、離ればなれとなっていた両親も、それぞれの思いを胸にニューヨークへと赴いていた。(シネマトゥデイ)
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ハイモア君演じるエヴァンは,演奏が上手い,とかいうレベルじゃなく,自然に心に音楽が湧きあがるようなモーツァルト級の天才らしい。身の周りのあらゆる音が,彼には音楽に聞こえ,誰に教わらなくても,どんな楽器でもいつのまにか弾きこなす。

彼の両親もまたミュージシャン。
母のライラ(ケリー・ラッセル)はジュリアード出身のチェリスト。
父のルイス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)はバンドのヴォーカリスト。
彼らはロマンスに導かれて一夜を共にした後,別れることを余儀なくされるが,ライラはすでにエヴァンを身ごもっていた。出産は演奏活動の邪魔になると考えたライラの父は,交通事故で早産したエヴァンを,ライラには死産と告げて勝手に施設に預けてしまう。

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今でも愛しているかつての恋人が自分の子供を産んだことを知らないルイス。
自分の産んだ子が死んだと思っているライラ。
そして,いつの日か両親に巡り合えると信じているエヴァン。

巡り合うべき家族である彼らは,いつどのようにして出会うことができるのか。
賜物として天から彼らに与えられた音楽は,
どのような再会の奇跡を起こすのか。


まるで「君の名は」のような,はたまた韓国ドラマのような,出生の秘密と,やるせないすれ違いが描かれていたのだが・・・。
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エヴァンの音楽の才能が認められていきなりジュリアードで成功って,いくらなんでも不自然・・・とか,エヴァンもライラもルイスも,純情すぎて嘘っぽいとか,耳に残るほどの曲がなかった(あくまでも私の場合)とか,細かいところはけっこう気になった。(あと,ハイモア君のギターはうまかったけど指揮はイマイチだとか・・・sweat01

一番じ~~んとしたのが,街角でギターを弾いてるエヴァンと,ルイスが互いのことを知らないままギターを通した交流をする場面。weep
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父子ということはお互いまだ知らないのだけど,心が通じ合って二人でハーモニーを奏でるさまは,胸が熱くなった。
ここは場内でも,鼻をすする音がたくさん聞こえたなぁ。観客はおばさま連中が多かったし。・・・・え,私?いや,ここでもやっぱり泣くほどではなかった。

ジョナサン・リース・マイヤーズは,アクの強い役が多いし,またそれが似合うのだけど,この作品の彼は,爽やかで一途で,程よい哀愁も感じられて,素敵だった。彼自身,わけありの子供時代を送ってきたから,この作品にはもしかしたら思い入れがあるかもしれない。

それにしても,彼は歌もギターも上手い。(歌い方はちょっと癖があるけど,そこがまたいい。)

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ロビン・ウィリアムズが,「オリバー・ツイスト」のフェイギンのような,家なき子たちの面倒も見ながら食い物にもしているストリート・ミュージシャンを演じていて,異彩を放っていた。いまいち説明不足のキャラではあるが,さすがの貫録で作品を締めていたと思う。

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クローズZERO

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累計発行部数が3200万部を超える、高橋ヒロシ作の大人気コミック「クローズ」の実写映画化らしいけど、私は原作にはあまり関心はなく,「とてもいい!」という世間の評判を聞いてDVDで鑑賞。ひとことで言えば,最悪の不良学生が集まる鈴蘭男子高校の覇権争いのお話。監督は『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の鬼才・三池崇史。かっこいい若手俳優が多数出演しているのだが、私は小栗旬くんしかなじみがない。山田孝之くんなんか,初めて見た。

あらすじ: 偏差値最低、品性最悪の不良学生が集まる鈴蘭高校では、多数の派閥が覇権をめぐって勢力争いを繰り広げていた。現在の最大勢力は、3年の芹沢多摩雄(山田孝之)率いる“芹沢軍団”だった。そこへ、鈴蘭制覇を本気で狙う滝谷源治(小栗旬)が転入、鈴蘭OBで早秋一家矢崎組のチンピラ片桐(やべきょうすけ)と友人になり、勢力を拡大する。(シネマトゥデイ)
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わたしは暴力ものは平気だけど,もちろん大好き,というわけでもなく,全編ほぼ喧嘩映画,というのは,冒頭から違和感を覚えなくもなかったが・・・(食べ慣れない料理を食べてる感じだ)

しかし,すぐに,この世界にはまりこんで観てしまった。それは,この監督さんの描く,とてつもなくカッコよく美しく完成されている,映像というか画と,やはり主人公の源治をはじめとする不良たちの魅力に惹きつけられたのかもしれない。

ストーリーは,あってないようなもの。
「鈴蘭のテッペン(頂)を取る!」という覇権争いもうそれのみ
対戦するのは 源治軍団VS芹沢軍団。
Cap076
合間に,「おちこぼれのチンピラ片桐と源治の友情」や,「黒木メイサ扮するルカと源治との間の恋心」や,「源治と芹沢の共通の友人,時生の手術」などのストーリーも絡んでくるけど,片桐との友情はともかく,他の二つのエピソードは,別になくても全く支障はない。(この物語には,むしろ女は必要ないとさえ思う。センチメンタルな恋愛なぞ,場違いで邪魔に感じる。)

また,名前と顔とが結びつかない不良キャラもごちゃごちゃ出てきて,(みんな顔似てるし~),原作を知らない身としては,誰が誰やら,その相関関係も把握できないのだが,それでも最小限,源治と芹沢とそれぞれの主要メンバーの顔だけ見分けがつけば,ストーリーには何とかついていけた。

それにしても,こんな男子校に「鈴蘭」という可憐な名前がついていることに,まず笑えたんだけど。
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学園内の,どの場面でも,不良学生たちは,喧嘩をしているか,睨みあっているかで,授業風景なぞ皆無だ。(教師もほとんど登場せんし・・・)いや,実際は授業もしてるんだろうけど,あの高校の教師にだけはなりたくないなぁ・・・。怖すぎ。

そして最近の不良ルックって,学ランをあんなふうに着こなすんだなぁ。ズボンは落としかけに穿いて(腰パン?)上着も短め?その下に何を着るかもセンスが問われるところか。しかし,小栗くんの不良学ランスタイルの決まっていたこと!
何着ても似合うんだな~lovely
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小栗旬も山田孝之も,どちらかというと,童顔なのではないだろうか。それなのに,この映画の中で,目を怒らせ,肩をゆすって闊歩する彼らの,ぞくぞくするほどの,ガラの悪さときたらどうだ。特に山田孝之は,いざ戦いが始まると,ほとんど目がイッちゃってる感じだ。・・・・やばい。

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この世界観は,現実に自分が住んでる世界とは,あまりにもかけ離れすぎていて,もちろん共感できはしないのだけど,勢力争いを繰り広げる彼らが,体を張って渡り合い,とことんやりあったあとは,負けた方は潔く勝者に従う,という生き方には爽快感を感じる。
豪雨の中の乱闘シーン。水しぶきで煙る校庭での,あの壮絶な泥まみれ,血まみれの闘いは,何度でも見たくなる。

ひとことで言えば,熱い映画。理屈抜きに,体も心も熱くなる映画だった。
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たまには,こんな作品を鑑賞するのもいいと思った。(気分が若返る。)
それにしても,このあいだ観たキサラギを思い出すと,小栗くんは,ルックスがいいだけでなく,つくづく器用な役者さんだと感心した。

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紀元前1万年

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いかにも歴史的な興味をそそるタイトルに騙されてはいけないという皆様のレビューを肝に銘じて,ローランド・エメリッヒ監督の,大味・大袈裟・大風呂敷の世界を,割り切って楽しんでまいりました! happy02 なかなか面白かったですsign03

紀元前1万年・・・・未だ誰も見た事のない世界・・・・うん,だから何でもアリだった!

時代考証の仕様がない
わけで,でもいくらなんでも,それはありえないんじゃ・・・・?と思わず口をついて出そうな建造物や衣装や文明も,ところかまわずバンバンでてくるし,主人公たちはまるでワープしてるかのように,雪山から砂漠まであっというまに移動するし,動物は恩返しするし,人は生き返るし・・・ううむ,こ,これはファンタジーの部類に入るのか・・・?

つっこんではいけない,というよりはつっこみながら観るのが正しい鑑賞法,のような楽しい作品だったよ~wink (←褒めてます)
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ストーリーはとってもシンプルで,襲ってきた敵にさらわれた恋人を奪い返しにゆく,ひとりの若者デレー(スティーヴン・ストレイト)の物語。彼が部族の指導者ティクティクとともに,苦難を乗り越え,仲間を募りながら,奴隷にされた仲間たちを救うために長い旅をし,遂に目的を遂げる『世界最古の英雄譚』なのだけどね。

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しかし,サーベルタイガーって恩返しをするのか・・・。大きさはぜんぜん違うけど,cat虎猫好きの自分としては,「可愛い~~heart04」と心の中で叫んでしまったわ。(←おばか?)

恋人と仲間が連れ去られた砂漠の中の都市・・・・マンモスを家畜がわりにしてピラミッドを建設中で,しかも指導者たちは弁髪って一体・・・・いろんな文明をごった混ぜにしてる。

絶対的な権力を持つ,神秘的な存在の「大神」。どんなパワーがあるのかと思いきや,デレーの槍の一投げであっさり・・・・エバレットを蘇らせた「巫母」のほうが余程パワーがあるよね~~。
・・・と,あげればキリのない,楽しいつっこみどころはさておき・・・・

みどころはやっぱり,CGを駆使した,映像の美しさや壮大さかな。
確かに,史実かどうかはともかくとして(絶対史実のはずはないけど)観たことのない世界は体感できる。

マンモスが群れをなして爆走するシーンは迫力満点!冒頭の狩のシーンもよいが,砂漠都市で,反乱を起こすマンモスたちのシーンは見ごたえがあった。もうすっかり「やれ~!やっちまえ~!」状態。

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アポカリプト」に似たストーリーでもあるけど,雰囲気は全然違う。

展開は笑っちゃうくらい強引で,ご都合主義なところもあって,お手軽で,なんとなく,映画・・・というよりはアニメのストーリーのようだ。 そこがまた,サックリと観れて,この作品のよい点でもあるのだろう。何も考えずに,勝手にめまぐるしく変わる雄大なシーンを味わうことができれば,鑑賞後は,きっと心地よい爽やかな気分に満たされるだろう。

え~と,ここまで書いて,自分の記事読み返してみると,まるでケナしてるみたいな書き方してますけど,けっして,そんなことはありません。しつこいようだけど,褒めてます(信じて~~sweat01)

 

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クローバーフィールド/HAKAISHA

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巨大都市ニューヨークが,“未知の何者か”によって,ある晩突然大規模に破壊される様子を描いた,SFパニック・アクション。

あらすじ: とあるニューヨークの夜、日本への転属が決まり、赴任することになったロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)のために、大勢の仲間たちがサプライズ・パーティーを開く。そのパーティーの最中、突然、とてつもない爆音が聞こえ彼らが屋上へ行くと、まるで爆撃を受けたかのようにニューヨークの街がパニックに陥っていた。(シネマトゥデイ)

未知の生物とやらが,都市を破壊するだけのシンプルな設定のはずなのに,ブロガーさんたちから,けっこう評価の高いこの作品。劇場で観て,その理由がよくわかった。

とにかく,度肝を抜かれっぱなし。
この作品,冒頭の,主人公ロブの送別パーティから、悲惨なラストに至るまで,全編を通して主人公の友人が撮影したハンディカムの映像だけで通している。だから,突然惨劇に襲われて,マスコミからの情報も皆無のまま,訳もわからす逃げる主人公たちと,われわれ観客は,全く同じ視点と情報量になるわけで、そこにものすごい臨場感が生まれる。(ひと昔まえの話題作「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をちょっと思い出した。)

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発端は地震のような衝撃。「天変地異か,はたまたテロかsign02」と戸惑って戸外へ出た住民たちの目の前に,自由の女神の巨大な首が地響きをたてて吹っ飛んでくる。(一瞬,大仏かと思ったsweat01 )まるで9.11事件のように倒壊するビル。

「破壊者の正体はいったい・・・?」と,観客も,衝撃の度に激しく揺れるビデオの映像と細切れになるシーンを,懸命に目を凝らして追うことになる。だって,よく観ないと,ちらっと一瞬しか映らないものが多すぎるからだ。

やがて,程なく,破壊者は,何か見たこともない巨大なモンスターらしいことがわかるのだけど,その全貌はなかなかはっきりとはつかめない。
主人公たちは,惨劇の現場であるマンハッタン島から,さっさと逃げ出せばいいものを,ロブがアパートで怪我をして動けない恋人を助けに戻ると言い出し,友人たちは(ビデオを撮影しながら),彼といっしょに彼女の救出へと向かう。
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え~とですね,この展開は少し無理があるとは思ったけど。だって,あんなパニック事態で,あの程度の人間関係の相手を命がけで助けに戻るかなぁ・・・?(おまけにロブはその直前に兄さんが死んでるんだから,そっちのショックの方が大きいのでは,普通。)
友人だって,自分の恋人じゃないんだから,あそこまでは付き合わないよ。あんな得体の知れない恐怖の中をね~。
ここらへんの不自然さは,製作側に,彼らを最後まで事件の目撃者にしなくてはならない都合があったからでしょうね~。さっさと逃げ出されちゃ,お話が続かないわけで。

それに,ビデオも「いつまで撮影し続けられるかな~,撮影不能になった地点で,お話は終わるんだよね」と心配しながら観てたら,これが結構しぶとく撮影を続けるのだ。ロブの友人とやらは。(あんな状態で,いつまでも撮影しながら逃げるなんて,普通はありえないけどな~.,カメラなんて,ほっぽり出して逃げるわよね)

しかし,そこらへんもよく考えてあって,撮影する友人のキャラは,ややKY気味の,お調子者っぽい青年を設定していたように思う。確かに彼なら,「撮影してる場合じゃないでしょ!」という時でもカメラを回していそうだ。
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モンスターは2種類いて,地上で暴れまわる巨大なやつと,トンネル内で襲ってくる大グモみたいなやつ。トンネル内のやつに噛まれると,バイオハザードみたいに何かに感染して死んだりして・・・・。とにかく予測不可能な恐怖は凄かった。巨大なほうは,ラスト近くになって,その全貌のビデオ映像が映し出される。

やつらが果たして宇宙から飛来してきたものなのか,それとも何か国家機密にでも関わる極秘の研究の副産物として生まれたものなのか,最終的には軍はやつらを根絶できたのか,被害はニューヨークだけですんだのか。
答えは観客には示されないまま終わる。ロブたちが認識できたこと以上の情報は,最後まで観客には与えられないままだ。もちろんロブたちにもハッピーエンドは訪れない。しかし,この設定の場合,ハッピーエンドなんかにしたら,かえってぶちこわしだろう。

とにかく,「面白い」と言う感想とは,ちょっと違うような気もしたけど,恐怖と臨場感が凄い作品で,メチャメチャ圧倒された。
今日は久しぶりに劇場へ行けたので,3作品を連続して観たのだけど,この前に鑑賞した「紀元前1万年」と「大いなる陰謀」の余韻が,見事にどこかにすっ飛んでしまったわ。

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キサラギ

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世間でとても評判がいいので cdDVDで鑑賞note
・・・・で,結果,ものすご~く,面白かったぁsign03
もう,マジで最高だった。脚本も,役者も,何もかも。
おかしくて,お洒落で,クールで,そして何故かあたたかい・・・・素敵な作品だった。

物語は,一言で言えば,密室の中の5人の登場人物たちの台詞のやりとりで進行する,一風変わった心理サスペンス劇のようなもの。
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ストーリーは・・・・
2月4日は,自殺した売れない清純派アイドル如月ミキの一周忌。彼女のファンサイトで知り合った5人の男たちは,追悼会をすることに。当日,初対面の彼らは一室に集い,如月ミキの思い出話に花を咲かせるはずだった。しかし,「彼女は自殺じゃなくて殺された」という発言が飛び出し,たちまち事態は急変。さまざまな机上の推理が,二転三転しながら展開してゆくうちに,ハンドルネームしか知らないお互いの秘密もまた,明らかになってゆく。はたしてミキはほんとうに殺されたのか?そして犯人はこの中に・・・?
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サイト上でハンドルネームでの交流は,別人を装えるし,プライベートは隠せる。ハンドルネームだけで知り合った彼らが,実際に顔を合わせて一定の時間を過ごす,という設定がまず面白い。インターネットやブログが普及した時代ならではのスリルがあって,ひとごととは思えない。われわれだって,共通の趣味を持った気の合うブロガーフレンドを持っているわけだが,実際にご当人と顔を合わせてみたいと,時々ふと思うことはある・・・。

5人のハンドルネームと第一印象を並べてみると・・・・
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sun
「家元」(小栗旬)
ファンサイトの管理人で,追悼会の仕掛け人。ミキのパーフェクトコレクションを誇る,気配りタイプのまじめそうな好青年。「しがない公務員」と自己紹介するが・・・。


thunderスネーク(小出恵介)
「俺,スネーク。如月ミキを愛する気持ちは誰にも負けない,ヨロシク!」と言う台詞が示すように,ややお調子者で直情的な感じの若者。雑貨店に勤務しているらしい。

typhoonオダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)
礼節を重んじる,とっつきにくく,堅苦しい感じの男。楽しい雰囲気をぶち壊すような発言もする。彼が最初に「ミキは自殺じゃない」と口火を切る。
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cloud安男(塚地武雅)
田舎から出てきた不器用で朴訥な太目の農業青年。本名をハンドルネームにしている。持参したお手製のアップルパイを食べて食あたりを起こし,開会そうそうトイレにこもる羽目に・・・。

rainいちご娘(香川照之)
サイト上では,女の子を装っていたオッサン。何故かミキのカチューシャを持っている。無職で,なにやら胡散臭い雰囲気がプンプン・・・・。

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練りに練られた脚本が素晴らしい。
一室の中だけで展開してゆく,ドタバタ推理劇の面白さ。
これは決してネタバレを言ってはいけないタイプの物語なので,これ以上ストーリーについて触れることはできないけど,話が進んでいくにつれて,彼らがみんな(一人を除いて)一介のファンなどではなく,それぞれミキと,個人的なつながりがあったことが判明してゆき,ミキの死の責任は誰に・・・sign02 と,緊迫感が高まってゆくのだ。
そして,役者がまた全員達者なこと!

・・・・恥ずかしながら coldsweats01  わたくし,ドラマを観ないもので,巷で大人気の小栗旬くんが演技するのを観たのは初めてでございます。(あ,石を投げないでぇ~~)
ただのアイドルかと思ってたら,彼,すごい演技が上手いですね
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コミカルな演技も,シリアスな演技も器用にこなせる,素敵な役者さんじゃないですか!(ちょっぴり萌え~~heart04)

・・・・で,ラストは,ほのぼのした。
まさかこの物語ではゆるまないだろうとタカをくくっていた涙腺が,ほんの少しゆるんだ。それに,一度観てそれぞれの登場人物の秘密を知った上で,最初から見直してみると,また違った面白さが味わえて,DVDで観るには最適の作品かもしれない。
未見の方,邦画はちょっと・・・・と言う方(=それはわたし)にもオススメ!

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キャンディ

Cap098
DVDで鑑賞cd 
キャッチコピーは「ドラッグに溺れて愛し合い,
傷つけあった恋人たちを描く,鮮烈なラブストーリー」
・・・・正直,やりきれないほど痛ましいお話だった。

舞台はオーストラリア。恋人たちの名は,
キャンディ(アビー・コーニッシュ)とダン(ヒース・レジャー)
・・・・この二人の性格や考え方や人生観が,
この物語の大きな核だと思う。特にダンの。
Cap075 キャンディは,若く美しく,みずみずしい女の子。彼女は厳格な母親にけなされながら育ったストレスや劣等感で,実は心の奥に傷を抱えているようにも見受けられた。

そして一方ダンの方は,・・・これは結構どうしようもない,オトコだ。優柔不断で,努力が嫌いで,こそ泥くらいは平気でやっちゃうくらい,道徳的な観念が欠如してて・・・。もちろん定職にもついてない。だらしない性格であることは,ルーズな服の着方からも一目瞭然。しかし,心根は優しく,愛情深い。ただし,自分にも優しいから,いやなことを我慢してまで生きるつもりはないらしい。

shock おお,こいつは・・・・
典型的な,だめんずではないか。(既視感が・・・・)

ただし,「悪気のない」だめんずだ。(だからと言って女性に及ぼす害が少なくなるわけでは決してないが。)
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1 天国
二人の恋人時代。ダンはキャンディにドラッグを教える。
次第にエスカレートするふたり。楽しみ,愛し合い,
何ものにも束縛されずに,生き生きと愛を謳歌する恋人たち。
そりゃ,楽しいだろう。求めるものも,人生観も,よく似てるふたり。
何の責任もなく,目的もなく,享楽的で,刹那的で。
恋人たちの表情は,無邪気な幸福に輝いている。

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2 地上
結婚した二人。職につかないダンと,家事ができないキャンディの暮らし。
まるで子供同士の結婚のように,生活能力ゼロのふたり。
部屋はすぐにゴミ溜めのようになり,ドラッグを買うお金欲しさに
キャンディは売春をするように。それでもダンは働かない。
すさんだ顔でキレるキャンディを,情けなさそうに見返すだけ。・・・ああ。weep

やがてキャンディは妊娠し,おなかの子のために,
二人はドラッグをやめる決心をする・・・・。それも二人で自己流に。
しかし思ったとおり,禁断症状はそんな生易しいものではなかった
結局キャンデイの赤ちゃんは,この世で産声を上げることはできなかった。
Cap104
3 地獄
ドラッグに蝕まれ,壊れてゆくキャンディ。
子どもが早産死してから,復活するドラッグ漬けの日々。
田舎に引っ越しても,生活はすさむばかり。
何も言い返さないダンに,憎しみと怒りの罵声を浴びせるキャンディ。
彼女の言動は次第に常軌を逸するようになり,ついに入院する。

涙ぐみ,血走った目で「どうすれば・・・・?」と問うダンに
お前にできるすべてをしろ。彼女に必要なすべてを」と冷たく言い放つ義父。
そこで,退院して訪ねてきたキャンディのために,ダンが下した最後の決断は・・・・・。
Cap115
DVDのパッケージに,この映画を「ベティ・ブルー」以来の衝撃!と記述してあったが,残念ながら,ベティ・ブルーほどの深みや凄みはない。あえておちゃらけた言い方を許してもらえるなら,これはドラッグの怖さを織り込んだ「だめんず君の成長物語」のように思える。

ラストでとったダンの行動は,「あんなの,たいしたことない」とも見えるかもしれないけど,だめんず君が愛する人から,自分で身を引くというのは,普通はなかなかできることではない。だめんず君の辞書には,「ストーカー」という言葉はあっても,「身を引く」という言葉は載っていないから。

彼女は俺のすべて」今までずっとそう思っていたダン。入院し,回復して彼の元を訪れたキャンディの瞳には,まだ彼への愛が宿り,自分も今は仕事についている。
さあ,やりなおそう!とダンはなぜ言えなかったのか?
彼はやっと悟ったのだ。自分といると,またキャンディが傷つくことに。
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二人の間に愛さえあれば,必ずうまくいくなんて,幻想だ。
ダンも,キャンディも人並み外れて弱く,未熟な人間だから,この二人は,たぶんいっしょになっちゃいけない。自分をリードして,カバーもしてくれる,しっかりした相手を,お互いに見つけるべきなのだろう。幸せになるためには。

彼女を幸せにできるのは,俺じゃない。

・・・それに気づくことができたなんて,あなたは偉いよ,ダン!成長したね。
・・・・私には,そんな物語に思えて,かつてボロボロに傷ついたこの二人に,心の中で小さくエールを送った。
Cap125キャンディを演じた アビーが素晴らしい。「プロヴァンスの贈り物」や「エリザベス・ゴールデンエイジ」での彼女は,ただ美しいだけで,あまり演技力を発揮する場が無かった印象だけど,この作品の彼女は,ドラッグの禁断症状に苦しむ壮絶な演技とか,とても上手い女優さんだなあ,と思った。

そしてヒースは・・・・。またまた別人格の彼を見せてもらった。
無邪気で,気弱で,恋人に手も上げれないほど優しいくせに,売春なんかは平気でさせる,どうしようもない,だめんず君。おどおどした目や,情けなさそうな微笑や,子供みたいな一途だけど幼稚な愛し方や・・・・。
根は善人なんだけど,人に迷惑ばかりかけていて,愚かでどうしようもない人間だけど,憎めない・・・そんな難しい役ができるなんて・・・・
ヒース,あなたも,ほんとに偉かったんだね。

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傷だらけの男たち

Cap001  クールで切ない映画の内容に比べて,邦題のセンスのなさには,やや不満を感じるけれど。さすがインファナル・アフェアの アンドリュー・ラウ監督作品だけあって,美しくスタイリッシュな映像,緊張感や切なさを効果的に盛り上げる洗練された音楽,そしてトニー・レオン金城武の二人のセクシーな男たちの,哀切でスリリングなストーリーに酔いしれた2時間だった。

Cap002 トニーの演じるヘイと,金城の演じるポン(←子ダヌキみたいな名前だね)は,警察の上司と部下の関係だった。しかしクリスマスに恋人に自殺されたポンは,それ以来警察を辞め,私立探偵に転身,悲しみを忘れることができず,酒浸りの毎日を送るように。一方ヘイは富豪の娘スクツァンと結婚し、幸せな生活を送っていたが,ある日スクツァンの父チャウとその秘書が,自宅で何者かに惨殺される。容疑者の二人のチンピラは,仲間割れのため数日後に遺体で見つかったが,「真犯人は他にいる」と疑いを持ったスクツァンは,ポンに調査を依頼する。殺されたチャウの過去をたどるうちに,ポンは彼がマカオである一家を惨殺したことを知る。一方,スクツァンの命もまた何者かにねらわれ・・・・。

Cap038
これは,心に深い傷を負った二人の男たちの物語。
一人は最愛の恋人に,ある日突然自殺されてしまった男,ポン。
もう一人は,少年時に家族を目の前で惨殺され,
人生の全てを瞬時に奪われた男,ヘイ。

彼らの傷は深く,(どう考えても,ヘイの傷の方が深いとは思うが)その痛みから逃れるために、また傷を癒すために,
片方は酒に溺れ,もう片方はその一生を復讐にかけた

ヘイは復讐を遂げるために,自分の過去を隠し,憎い敵チャウの娘を妻にして義父に近づく足がかりとし,目的を達した後は,妻の命まで奪おうと試みる。(・・・いやはや,すごい方法だ。いくらなんでも,もっと手軽にできなかったのか?
それに目的のためとはいえ、憎い仇の娘となんか,結婚する気には,なかなかなれないものだが。恨みが激しく傷が深いほど,復讐への執念は常人には理解不能なほど膨れ上がるものなのだろうか。
Cap013
ヘイを演じたトニー・レオンは初の悪役

過去を隠し、周囲を欺いている彼は、相反する二つの顔を持つ。
よき社会人、よき夫である善人の顔と復讐者,殺人者としての悪人の顔

その表情の演じ分けが見事だった。ポンや妻に見せるのは善人の柔らかな笑顔。しかしひとたびその仮面を脱ぐと,その下に暗く険しい一匹狼の表情が現われる。じっと動かない石のような表情の下に,秘められた決意が,常にめらめらと燃えているような感じだ。そして復讐を決行するときの彼の表情は,まさに冷徹そのもので背筋が寒くなる。Cap014
また,実際に酔って演技をしたともいわれている金城武は,その端正な顔が自暴自棄な悲しみにすっかりすさんでいるのに,これまで観た彼の作品の中で一番美しく,セクシーに見えた。

二人の男のそれぞれの傷は,
物語の終わりには少しでも癒えることができたのか。


ポンの傷を癒したのは,思いもしなかった方法によってだった。
恋人の死の原因になった恋敵を赦し,彼を見舞うことで,ポンは再生への道を歩きだす。傍らには底抜けに明るい新しい恋人の笑顔が彼を支える。
Cap023 しかし,より深い傷を抱えていたヘイの方はどうだろう。
彼の策略によって昏睡状態に陥った妻が,実は仇チャウの実子ではないと後でわかり,ヘイは,たった一人の家族である妻を,自分が再び失おうとしている事実に愕然とする。いまさらのように,妻への愛に気づくヘイ。しかしどんなに献身的に看護しても,事実を知った妻は,もはや彼の愛を信じることを拒否して死んでいく。
インファナル・アフェアのように、この物語もまた,二人の男の生きざまを対比させて描いている。
憎しみを捨てることで,知らぬ間に傷を癒したポンと,
復讐を遂げることで,実はより深い傷を負ったヘイ。

復讐と赦しと,どちらの道がたやすい道だろう。
時には,赦す勇気を持つほうが,復讐するより,もっと困難な道ではないかと思う。しかしもし赦すことができたなら,そのとき初めて,ひとは他者から受けた理不尽な傷の痛みから解放されるのかもしれない。
Cap051_3 とはいえ,ヘイが選んだ道も責める気持ちにはなれない。たとえ心の平安は復讐によっては得られないとわかっていても,復讐によってしか晴らせない恨みもまたあるものだ。ヘイの場合はそれほどの恨みだったろう。彼の傷は,やはりポンとは比べ物にならないくらい深かったのだ。

事件の真相を
突き止めたポンが,病院の屋上でヘイと対決するシーンは,インファナル~の対決シーンを思い出した。(ただし,こちらはあちらよりずっと静かな対決だけど)すべてを包み隠さず話すヘイの心が,復讐を終えてもなお,より深い哀しみにとらわれていることを感じたポンは,黙ってその場を後にする・・・・。

鑑賞後に感じる,やるせない哀しさ,切なさをどう表現したらいいのか・・・。
しかし・・・なんだな。
傷の痛みに耐えているイケメンって,セクシーheart02

トニー・レオンは・・・・年齢を重ねるごとに,新しい魅力も重ねていってる気がする。
Cap028
これ,ハリウッドでリメイクが決定してるらしいけど,トニーのような,繊細な男の色気を出せる俳優さん,ハリウッドにいるのかな・・・・?
・・・・レオ? 健闘を祈る!

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追悼ヒース・レジャー/ケリー・ザ・ギャング

Cap005 2003年製作のこの映画は,オーストラリアに実在した伝説的なブッシュ・レンジャー(山賊)ネッド・ケリーとその一味の物語。

19世紀半ばのオーストラリア。アイルランド系移民は,土地所有法と警察によって迫害されていた。ネッド(ヒース・レジャー)の父はアイルランドからの流刑者で,彼の死後,
その家族もまた無法者として,警察からは常にマークされ,嫌がらせを受けていた。ある日,冤罪がもとで母のエレンが投獄されたことがきっかけになり,ネッドとダンのケリー兄弟と,仲間たちは,ブッシュ・レンジャーとなる。彼らは銀行強盗や殺人に手を染めながらも,警察の容赦ない追跡をかわし,奪った金を貧しい者に分け与えるなどして,権力への反骨精神を示し続ける・・・・・。
Cap002 オーストラリアの歴史には全く詳しくないけど,このネッド・ケリー,オーストラリアでは大変有名な伝説的ヒーローらしい。山賊というよりは,義賊のようなとらえられ方で,彼の生きざまは多くの小説や演劇,絵画などに取り上げられ,as game as Ned Kelly’「ネッド・ケリーのように勇敢に」という表現が一般化しているという。過去に映画化されたときは,ネッドがスクリーンに登場すると,観客が拍手喝采したそうな。「犯罪を助長する」という恐れから,上映禁止になったときもあったらしい。
Cap006
さて,役によっては,繊細だったり,キュートだったり,はたまたエレガントだったりと,七変化の魅力を見せてくれるヒース
だけど,この作品でネッドを演じたヒースは,苦みばしっていて,ワイルド。馬に乗るのは,お手のものの彼だが,今回はオーストラリアの荒涼とした大地やブッシュの中を自在に駆け抜け,射撃のポーズも惚れ惚れするほど決まっている。
運動神経,ほんとに抜群だな,この人

リンカーンのようなあごひげをたくわえ,眼光鋭い瞳,血や土で汚れた顔。しかし,みすぼらしい上着を着ていても,スタイルがよくて身のこなしが綺麗なので,まるでディナー・ジャケットを無造作にまとっているような,洗練された雰囲気が垣間見えるときも。
Cap016 共演陣も豪華で,ネッドの親友ジョー・バーンにオーランド・ブルーム。(おヒゲをたくわえても,やっぱり可愛く,なかなかの色男ぶりで好演しているので,オーリーファンにもおすすめ)ネッドと情を交わすイギリス女性(人妻だけど)に美しいナオミ・ワッツ。(この共演でヒースと恋仲に)Cap004
そしてネッドを追いつめる警視役に名優ジェフリー・ラッシュ

これだけ揃っていて,なんで日本では劇場公開されなかったのかな。ネッド・ケリー自体,日本ではほとんど知られてない存在だから,仕方ないのかしら。

抗争を描いた物語だから,どうしても暗く地味な印象になるし,ネッド・ケリーや,時代背景について予備知識がないと,わかりにくい部分もあるけど,ヒースをはじめとする出演陣の真摯な演技で,虐げられたゆえにギャングにならざるを得なかったアウトローなヒーローと,彼の仲間たちの哀しい生き様はひしひしと伝わってくる。

支配者の横暴な行為に決して屈しなかった,ケリー家の人々の誇り高き強靱さ。
「いつかは命を落とす」という不安と闘いながらも,

ギャングとなって前に進むしかなかった,ケリー兄弟の心の葛藤。
そして,投獄されても決してネッドを売らず,彼の処刑に当たっては
膨大な量の助命嘆願書を提出したという,貧しい民衆たちの思い。

Cap013 社会の底辺に弱者として位置付けられた人々の,権力への憤りや飽くなき抵抗を目にすると、たとえ無法者のギャングと言えども,彼らを応援せずにはいられなかった。しかし史実を曲げられない悲しさで,ラストの悲劇はやはり避けられず,警官隊の乗った列車の転覆と警視の誘拐計画に失敗したケリー・ザ・ギャングは全滅,傷ついたネッドは逮捕される。

彼が倒れるまで片時も離さずに身につけていたのは,幼少の日に,溺れる子供を助けたことを賞されてもらった,栄誉ある帯だった・・・。彼は望んで無法者として生きたのではなかった。劇中で弟に語ったように「虐げられつづければ,誰でも道を誤る」という彼の言葉は,非常に重く心に残る。その帯を「・・・くれないか?」と頼む警視のことばからは,ネッドを尊重する思いが感じ取れた。
Cap019_2 やはりヒースは、強いだけでなく,悲しみや葛藤を内に秘めたヒーローを演じるのがうまい。日本ではあまり有名でないこの映画だけど,オーストラリアにはこんな悲劇の英雄がいて,今も国民の心に誇らしく生き続けているのだなあ,と感無量になる。
Cap011
そしてネッドを演じたヒース・レジャーもまた・・・・・・。
祖国オーストラリアにとっては,若くして逝った才能ある俳優として,どうかいつまでも,国民の心に残ってほしいと願う。

ヒース・レジャー出演作の記事索引はこちら
  

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グッド・ガール

Cap022 ジェニファー・アニストン主演のオフ・ビート・コメディー。田舎のディスカウント・ストアに勤める主婦ジャスティン(アニストン)が,年下のオタク青年ホールデン(ジェイク・ギレンホール)との情事にはまり,次第に抜き差しならない状態に追い込まれてゆく物語。2002年作。

これって,いい俳優さんを使っているのに,全体的にB級の香りがそこはかとなく漂うのだが,その奇妙な味わいゆえに,鑑賞後にもう一度繰り返して観たくなった不思議な作品だ。Cap039 主演のジャスティンの髪型や服装,ディスカウント・ストアの内装や客の雰囲気などは、田舎町という設定に合わせて、何ともダサい。
美人女優のアニストンが、髪を殺風景にひっつめ、それこそディスカウント・ストアで売っているようなオバサンルック(チェックやボーダー模様の服とか)に身を固めているのも驚きだが,好青年のジェイクが,始終どんよりしたまなざしと,腹に力のこもらない声の,見るからにアブナく暗い,オタク青年を演じているのもまた驚きだった。Cap008

大学をドロップアウトし,小説家を夢見る文学青年で,とにかく考え方が暗い暗い。「誰も自分のことをわかってくれない」とぼやき,書く小説の主人公は自分を投影していて,必ず最後は死んでしまうという救いようのない筋書き。
そんなホールデンに,ジャスティンがなぜ惹かれたかというと,彼女自身も,自分のことをわかってくれない夫(十分やさしくていい夫なのだがね)や,何の変哲もない平凡な田舎に埋もれたような日々に,強い欲求不満を抱いていたからだろう。

・・・・あんまりジェイクにこんな役をやってほしくはなかったけど,とにかくこの作品の彼は,ほんとに根暗で世間からは落ちこぼれた,どうしようもない青年が乗り移ったかのように,うまかった。これが決して彼の地ではないことを知っているから,なおさらその演技力の高さに驚く。
Cap019_2 情事が始まったばかりの頃は有頂天でも,やはりそこは,普通とは違う根暗のオタク青年との関係は,いったんこじれ始めると,予想もつかなかった愚かな泥沼にはまり込む。
夫の親友のババに不倫がばれて,彼から身体の関係を強要されるジャスティン。激昂するホールデン。「両親の金を奪って逃げよう」とかなんとか,めちゃくちゃなことを言いながら暴走する彼を,ジャスティンはもてあますようになり・・・・。
Cap029
物語後半のホールデンは,ほんとに困った存在になる。「一緒に逃げよう」とだだをこね,泣くわ騒ぐわ,うっとおしいことこの上ない。こんな恋人がもしいたら,いくらお顔がジェイクでも,私も とっとと逃げ出したい。いつか刺されそうな恐れさえ感じるもの。というか,私はこういうタイプに惹かれない・・・とは思う(でもお顔がジェイクなら・・・わからないかな?)

しかし,しかしである!この物語のタイトルが「グッド・ガール」であるのは皮肉?といいたくなるほど,ジャスティンがその後に取った行動は,身勝手極まるのである。
ホールデンが自分の安泰な生活を脅かす存在になると,なんとか彼と手を切ろうと,あれこれ画策するし,(毒殺まで考えた!)彼との子供は人のよい夫の子としてごまかそうとするし,ホールデンがお店のお金を奪ったことがわかると,彼女はあろうことか・・・・。

さすがにこの結末は,ホールデンが哀れで,ジャスティンに憎悪を覚えてしまった。あんた自分さえよければいいのかよ・・・・。
Cap031 彼女に欺かれて道化役を演じたのは,ホールデンだけではない。夫のフィル(ジョン・C・ライリー,美人妻にコケにされるお人よしの夫の役はピカ一)や,浮気相手と間違えられて,フィルにぼこぼこに殴られるジャスティンの同僚も被害者だ。これは新聞の三文記事にあるような愚かな事件を,毒気たっぷりに描いたブラック・コメディーなのだろう。

知名度の低い,実力のない役者が演じると,もっともっと魅力のない作品になったかもしれないが,アニストンとジェイクの二人のオーラや演技が,この作品の救いになっているような気がする。事実「あ~~~あ」というような結末にもかかわらず,後味は決して悪くなかった。(よくもないけど)
Cap024 ◎余談その1・・・・ストアの支配人役に,「ゾディアック」で容疑者のリーを演じたジョン・キャロル・リンチが出てました。この作品では,ジェイクを呼びつけて叱ったりしてました。
◎余談その2・・・・特典映像の,NG集のベッドシーン大笑い場面が可愛いです。撮影現場は和気あいあいだったのね♪ジェイクがやけにはしゃいでいて,ちょっと妬けます。 

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カサノバ

Cap095実はこれはレンタルで二度目の鑑賞。
一度目はリリースされてすぐに観てみたのだけど,その頃は,私的にまだヒース=イニスのイメージにとらわれていて,冒頭,華麗な宮廷風の音楽をバックに,スクリーンに映し出されたセクシーなヒースの流し目を見るなり、「冗談だろ」と思って,続きを観る気が失せてしまったのだ。(しばらくお蔵入り)
で,ほとぼりもさめた今回,あらためて鑑賞しなおしてみたというわけ。
Cap061 これは 稀代の色事師カサノバのお話だということだが,カサノバについては,その名前と「中世のプレイボーイ」かしらん?というくらいしか知識が無かった私は,一応カサノバご本人について予習してみた。(私の中では,ドンファンとかとごっちゃになってる部分もあるし)

ジャコモ・カサノヴァ
(Giacomo Girolamo Casanova(1725年4月2日〜1798年6月4日)は、ヴェネツィア出身の術策家(adventurer)であり作家。その女性遍歴によって広く知られている。彼の自伝『我が生涯の物語』Histoire de Ma Vie(邦題『カザノヴァ回想録』)によれば,彼は生涯に1,000人の女性とベッドを共にしたという。
                      
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Cap069 おお,ただの色事師ではなく,どうやらかなりのインテリでもあったらしい。しかし,術策家って,なんだ?・・・なんだか胡散臭いなぁ。

しかし、ラッセ・ハルストレム監督は,このカサノバを,セクシャルな要素を薄めて,爽やかでお洒落な ロマンティック・コメディに仕上げていた。いや,ロマンティック・コメディというよりは,華やかなドタバタ喜劇というか,シェークスピアの喜劇のような風合いの物語だった。
Cap077 それにしてもヒース・レジャー
あのブロークバックマウンテンの直後に,あのイニス臭イニス癖を きれいさっぱりぬぐい去って,おしゃれで口が達者で(身分の詐称なんかへいちゃらでやってのける)スマートでセクシーで可愛いカサノバになりきっていた。

ヒースのコミカルな演技は初めて見たけど,イニスと比べると,ここまで真逆なキャラを よく演じられるなあと感嘆。・・・器用な人だ。演じるのが難しかったブローク~の後だから,ヒース本人もこのカサノバでは,肩の力を抜いて,楽しみながら演じている雰囲気がある。
ロック・ユー!では彼のダンス姿に魅せられたが,今回は彼のフェンシングのあざやかな剣さばきに萌えた。(この人ほんとに足長い)
Cap065 ブローク~の後なので,余計にイニスとの違いが際立ち,「いろんな役を演じわけられる実力派」という評価を得たのではないだろうか。

物語は,ひとことで言えば色事師のカサノバが,自由な魂と知性を持ったフランチェスカと出会い,真の愛に目覚めるお話だが,フランチェスカには,自分がカサノバだということを隠していたり,彼を逮捕しようと,ヴァチカンから派遣された司教との絡みがあったり,フランチェスカも,偽名を使って異端とされる女性解放論を書いていたりと,ひとことでは説明できないくらい,ごちゃごちゃとストーリーが絡み合い,立ち止まって いちいち感情移入するような 深みのある物語ではない。あくまでも軽妙で可愛らしく,華やかな物語だ。爆笑場面も盛りだくさん。
役者はみんな,おおまじめにコメディアンに徹しているような感じがした。
Cap083_2 特にカサノバの敵役の司教を演じたジェレミー・アイアンズのボケぶりが絶品だ。いつもの物静かな英国紳士ぶりはどこへやら,目をむき,唾を飛ばしてカサノバを罪に定めようと躍起になる姿が笑える。どぎつい紫の色を多用した衣装も似合っていた。

「そんなに簡単に恋に落ちるかなあ」とか「そんなにうまくいかないっしょ」なんてつっこまずに,ヒースのさわやかなお色気を楽しみながら楽しく鑑賞した後は,心をデトックスしたような爽快感が残った。
Cap085 これは,なかなか愛すべき物語である。もっと早く観ればよかった。
演じたヒースと同様に,肩の力を抜いて軽やかに楽しみたい作品だ。

余談ですが,下のシーン,まどろみの抱擁を思い出しませんか?
Cap079 Cap574

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「危険な情事」と「運命の女」

エイドリアン・ラインの世界Cap038 実はこの二つの映画,ものすごく好きだ。
二つとも、描かれているテーマは 不倫とその代償について。
「危険な情事」で描かれているのは夫の不倫,「運命の女」の方は妻の不倫
かなり間隔を空けて 製作されたにも関わらず,この二つの作品は まるで対のような面白さがある。設定の共通点も多い。どちらの物語も,夫たちはエリートといってもよい成功した職業を手にしていて,夫婦は,何不自由のない幸せな暮らしをしている。
「危険な情事」のダン(マイケル・ダグラス)は弁護士だし,「運命の女」のエドワード(リチャード・ギア)は会社社長だ。
美しい妻たち(アン・アーチャーと,ダイアン・レイン)と愛くるしい子ども。
夫婦仲もよく,不倫の原因も,配偶者に対する不満や愛の欠如からではない。
いわゆる出来心,魔が差したというやつか。
Cap041 「危険な情事」で ダンが浮気をしたのは「一夜限りの情事」のつもりだった。相手のアレックス(グレン・グローズ)は,クールで大人の魅力あふれる女性に見え,彼女となら,割り切った関係が持てると考えていたのだ。ところが,それはとんでもない間違いで,ダンが関係を清算しようとすると,アレックスはみるみる豹変し,まるで狂ったように執拗にダンを求め始める。
この映画が公開された当時は,確かストーカーという言葉は一般的でなかったような気がするから,アレックスのダンへの執着ぶりや,異常な行動(特に覚えているのはダンの娘の兎を鍋で煮るシーンとか)は,観客の目にはすごく衝撃的に映り,これまでにない恐怖を覚えたことだろう。
Cap043  一方,「運命の女」で夫を裏切る妻のコニーは,買い物先で強風にあおられて転び 手当をしてくれた若者ポールと関係を持つ。彼女もまた,それまでは夫を愛し,子供を愛し,人生に何の不満もなかった。
彼女は特に浮気っぽいタイプには見えないのに,そして夫とも愛し合っているのに,若い恋人のミステリアスでセクシーな魅力に惹かれる気持ちを,抑えることができない。そしてこの物語にもまた,悲劇が訪れる。真実を知ってポールを訪ねた夫が 衝動的に彼を殺害してしまうのだ。

二つの物語は,いずれも 偶然の出会いと一瞬の気の迷いが平穏な人生の歯車を狂わせてゆく恐ろしさを描いているが,もしかしたら自分の世界でも起こりそうな出来事,犯しそうな過ちに,観客は人事とは思えない怖さを感じ,その代償の大きさに戦慄する。

どちらにも,可愛い子ども(危険~は女の子,運命~は男の子)が登場するが,父や母の情事のツケがまわってきて,家庭が崩壊を始めると,「一番の被害者は子ども」だということも,感じ取れるような演出がされている。(どちらの子も まだ小さくて素直ないい子だから,余計に痛々しく感じるのだ)

ほんの少しの選択の過ちが,堅牢だと思っていた夫婦の絆をいとも簡単に脅かす。
誰の心にもある人間としての弱さと,それが原因で引き起こされる悲劇。
スタイリッシュともいえる,美しく洗練された映像の中で,描かれる世界は やけに生々しく,辛辣でクールである。
Cap055 二つの物語は,最後に夫婦の絆が修復されるのが,一応救いにはなっている。「危険な情事」は,夫婦で力を合わせてアレックスを撃退する。「運命の女」のコニー夫婦の場合は,もっともっと切ないラストだ。
しかし,この二つの物語,
セットにすると最強の不倫防止映画である・・・・。
これから結婚しようとするカップルが鑑賞するのもよいだろうし,「もしかしたら夫(妻)が浮気してるかも・・・」と疑わしいときに,適切な方を選んで,相手にわざと鑑賞させるのも いいかもしれない。

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グッド・シェパード

001 タイトルは,よいシェパード(犬?)かと思ったら,よき羊飼いという意味だった。新約聖書のヨハネによる福音書10章11節のキリストの言った聖句 「わたしは良い牧者(羊飼い)です。良い牧者は,羊のために命を捨てます」からの引用だが,普通,この箇所は,聖職者が信徒を導く心得として使われる。しかし,この物語で良い羊飼いに例えられるのは,CIAに一生を捧げた男エドワード・ウィルソン(マット・デイモン)
004
いやー,なんせ私はCIAも,FBIも,KGBも,YKK(←違うって)もみーんなごっちゃ人間なので,ネタばらししたくても,ストーリーの細かいところがよくわからん。しかし,にもかかわらず,退屈せずに3時間近く観れたのだから,この作品のパワーはすごい!(途中で3秒くらい寝たところはあったけど・・・後半は退屈する間もなかった
070705_goodshepard_sub1 まず,冒頭から引きこまれたのが,マットの表情と雰囲気
ただ者でない知性のひらめきを漂わせた,全く物に動じない静かな眼。
まるで,いつもどこかが痛んでいるみたいな,暗ーい石のような表情。
そして,身体の周辺に,「寄るな,さわるな,話しかけるな」という目に見えないバリヤーを張ってるみたいな,何とも近づきにくい雰囲気。「オーシャンズ」や「ボーン・シリーズ」や「ディパーテッド」のマットとは,まったく別人の,鉄のような意志を持った筋金入りの諜報部のリーダーの姿。

この世界に入る前のエドワードは,もっと明るい,普通の青年だった。
イエール大学の学園祭(?)