カテゴリー「映画 さ行」の87件の記事

2025年9月 7日 (日)

ジュラシック・ワールド/復活の大地

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あらすじ:生態系のバランスが崩れた地球で、恐竜たちは太古の環境に似た赤道付近の地域で生き永らえていた。一方秘密工作員のゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)は、画期的な新薬開発の鍵を握るという遺伝物質を持つ巨大恐竜のDNA採取を命じられ、傭兵(ようへい)のダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)、古生物学者のヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)らと共に目的地へ向かう。やがて一行は、かつて「ジュラシック・パーク」の極秘研究施設が存在した孤島にたどり着く。(シネマトゥディ)

前作の自立した続編ということもあり、従来のシリーズとは別に新たに作られた感の目新しさが魅力の作品となっている。 時系列では前作の5年後という設定だが、お馴染みのオーウェン一家やブルー親子は今作では出ないし、あらたなヒロインにはスカーレット・ヨハンソン。彼らの他に、旅行中の父娘連れ家族が、恐竜とのバトルに巻きこまれるというストーリー。
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ゾーラを演じるヨハンソンの、たくましいアクション女優ぶりがすっかり板についている。まるで肝っ玉母ちゃんのようで、若いころのイメージが少々変わった。新薬開発という目的のために恐竜を傷つけることなくDNAだけを採取するミッションではあるが、採取対象の恐竜たちが巨大だったり獰猛だったりするので命懸けなことは変わりがない。ミッションに参加する一行は一人またひとりと命を落としていく羽目になり、ちょっと気の毒だ(唯一、嫌な奴である製薬会社の社長を除いて)。

一方、全くの一般人で、太平洋横断の家族旅行中にモササウルスに襲われてゾーラたちに助けられ、恐竜島にやむなく上陸する羽目になったデルガノ一家は、次々と恐竜たちに追い掛け回される危機一髪の目にあいながらも全員無事にラストを迎えたので安堵した。真っ先にやられそうと思った長女の彼氏が案外いいやつで、勇敢でもあり、意外な面白さ。
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恐竜とのバトルシーンはすごくいい。舞台も海だったり絶壁だったりと、これまでとは違うパターンなので新鮮な緊迫感がある。そこが一番の見どころかと思う。テンポもいいし、ずっと手に汗握りっぱなし。

唯一の不満は、今回新登場したハイブリット恐竜のルックスがエイリアンみたいでよくなかった。ブルーたちやT. Rex に感じるようなカッコよさも美しさもなかった。そこは残念だし、こういうハイブリット化はやめてほしい。
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う~~~~ん、微妙。

 

2024年11月20日 (水)

11人の賊軍

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あらすじ:868年、鳥羽・伏見の戦いをきっかけに、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍と、旧幕府軍による戊辰戦争が勃発する。そんな中、新政府に対抗するため、奥羽越列藩同盟が結成。その同盟にやむなく加わった新潟の小国・新発田(しばた)藩は、官軍の進撃を食い止める起死回生の一手として、藩に捕らえられていた死罪になるべき11人の罪人たちを、決死隊として砦を守る任に就かせる。(シネマトゥディ)

劇場で2回鑑賞!

いやぁ、面白くて面白くて。爆破シーンや美しく迫力満点の殺陣にエキサイトし、個性的な役者陣のハマり具合と名演技に酔いしれた。最後は大団円でもなく勧善懲悪でもなく、いつの世も弱者はお上の犠牲や捨て駒になるという何ともやるせないメッセージも込められている本作品。

死罪を待つばかりだった罪人たちが、藩の都合で砦を官軍から守るという決死隊に任ぜられ、ラストはほぼ「そして誰もいなくなった」状態というカタルシスの無さなのに、久々に骨のある時代劇を見せてもらった心地よさを感じた。

罪人の数は10人。それがなぜ11人というタイトルになるのかは、終盤近くの場面で明らかになるので観てのお楽しみだ。10人の罪状はほんとに様々で、強盗殺人、姦通、密航、火付け、一家心中、賭博詐欺、辻斬などなど。この時代ならではの罪状もあり、配役が絶妙でそれぞれ魅力的だ。

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彼らを率いる剣豪・鷲尾兵士郎を演じる仲野太賀さんがとにかくカッコいい。

殺陣は初めてらしいけど、とてもそう見えない見事な姿勢と剣さばき。そしてみなぎる殺気と気迫が凄い。これまでも「泣き」の演技などすごく上手くって、好きな俳優さんだったけど、時代劇もイケる!役者としてほんとに才能のある人なんだなぁとファンになった。主演が予定されている大河ドラマも楽しみになってきた。

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このお爺さんもめちゃめちゃ強くて痺れました。なにより殺陣が芸術的な美しさだった。本山力さんという俳優さんで、聞くところによると、東映剣会及び一般社団法人武士道剣会所属で、時代劇の殺陣の専門家のような人らしく、そりゃカッコよくて当たり前だよなと。腰の入れ方、槍や剣の構え方など他とは一線を画する見事さ。

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女犯の罪状を持つ生臭坊主を演じた千原せいじさんも飄々としたいい味出してたし、賭博詐欺師を演じた歌舞伎役者の尾上右近さんは二枚目のヴィジュアルで演じる三枚目の役どころが楽しい。焚火の周りで盆踊りをするシーンではさすがに歌舞伎役者!という美しい手の動きについつい目が行ってしまった。

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家老の婿で決死隊の隊長・入江数馬を演じた野村周平さんも、昔から応援している好きな俳優さんだ。れっきとした正統派イケメンだけど、主演を支えるバイプレイヤーの役のことが多い。今作でも重要な、そして悲運な役どころだ。

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罪人の中では紅一点のなつを演じた鞘師里保さん。元モー娘というから驚きだった。自然な演技がとても上手かった。彼女が政をいさめるシーンで語られる達観した人生観としなやかな強い生き方はとても魅力的だった。

 

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そしてどう見ても善人顏なのに、極悪人も演じることのできる阿部サダヲが演じるご家老・溝口内匠(実在の人物)。いくら新発田藩のためとはいえ、弱者を餌で釣って騙すのはやはり許せない。彼の卑劣さは終盤まで明らかにされないし、それまでは、幼君を支えて藩政に苦悩する物腰柔らかな名家老にしか見えなかったので、彼の切腹が中断したシーンでは安堵したのだけど、仲野太賀さんと対決するシーンでの卑劣な行いを観たら「こいつやっぱりあの時切腹してたらよかったのに(-_-)」と思った。

爆破で肉片が飛び散ったり切断された指が転がったりと、グロいシーンもあるし、そういうのが苦手な人にはお勧めできないけど、本格的な殺陣や容赦のない戦闘シーンが見たければ絶対一押しだ。様々なバックボーンと個性がぶつかり、当初はバラバラだった罪人たちが、官軍と命を懸けて闘い、新発田藩の陰謀に気づいてからは一致団結し互いに絆も生まれるシーンは感動する。それぞれにストーリーがあり、得意技もあり、戦いでの個々の散り様も哀しくも見事だったと思う。

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山田孝之さん演じた政が、新発田藩への怒りや恨みから最初は脱走ばかり企てていたのが、ラストには仲間を想い、戦いの場に帰って華々しく散るさまにも、生還したなつとノロが、「めでたい、めでたい」と連呼する歌の流れる平和な城下を駆けてゆくふくらはぎを後ろから大写しにしたラストシーンにも、重い余韻が残った。

2024年10月21日 (月)

ジョーカー フォリ・ア・ドゥ

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ダークナイトも、一作目のジョーカーも大好きなので、とても楽しみに劇場に駆けつけたけど…。

私はこれ、駄目だった😖😖

途中で帰ろうかと一瞬思ったくらい。一作目の「ジョーカー」は三度も劇場に足を運んだのに、これはもうリピートは無し。帰ってからググると、やはり世間でも賛否両論で、なんと興行不振らしい。私と同じ感想の方が多かったと知り、ちょっと安堵したりして。

原因は多くの人と私も同じ。ミュージカル要らない!
失礼ながら、ガガ様はミスキャストかも。ファンなら大歓迎かもしれない歌って踊るシーンの数々も何の感動もなく。精神病院での彼女とアーサーの出会いシーンは、いくぶん控えめな歌声で始まるが、ストーリーが進むにつれて、歌いっぷりも衣装もエキストラたちもどんどん華やかになっていくし、歌うシーンのまあ多いこと!舞台は精神病院と法廷の二カ所しかなく、彼女とアーサーが歌うシーンは、アーサーの妄想でもあるわけだけど、いやいやいや、リアルなアーサーの演技をもっと観たいわけで、ガガの歌を聴きたいわけじゃない。まあ、天下のガガ様だから少しは歌うシーンあってもいいけど、やっとリアルシーンが登場と思ったらすぐに挿入される歌のシーンには、しまいには「まだ歌うのかよ!」とイライラ。

もともと、私はミュージカル映画は苦手で、まず観ないのだ。スクリーンでは役者にはちゃんと表情とセリフで演技してほしい、という人間なので。唯一例外はインド映画。あれは楽しい。いきなり全員が派手派手衣装で踊りだしても、ボリウッドなら大好きだ。ストーリーにマッチしているからだろう。しかし、ジョーカーや一連のバットマンシリーズのあのダークな世界で、歌と踊りを求めるファンは少ないだろう。
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とにかくコレジャナイ感が凄かった。中華を食べに行ってフレンチを出されたような気分だ。歌やダンスは多少は入るだろうと思ってはいたが、あそこまでミュージカルだとは。救いは歌うのがガガとホアキンだけだったこと。だけど、そのシーンが多すぎる。肝心のストーリーに集中できない・・・やっとストーリーに戻ってくれた!と安堵するも束の間、またまたそれをぶった切るかのように挿入される二人のミュージカルシーン。正直うんざりした。ホアキンの歌とダンスが上手いのはびっくりしたし、すごいなあと素直に思ったが、ガガ様のファンでも何でもないので、そちらは何の感動も無し。

いろんなレビュー見ると、今作はジョーカーの物語ではなく、アーサーの物語だと。確かにそうなっていて、アーサーももちろん私は好きで、演じるホアキンも素晴らしいし、彼の闇落ちも興味深い。しかし、たぶん私をはじめとする1作目のファンは、病院収監後のアーサーが、さらに覚醒して脱獄なぞやらかし、「ダークナイト」のジョーカーへと繋がっていくのが観たかったのだ。1作目があれだけヒットしたのに、そのジョーカー像を否定するような世界観になっていることも、そしてあのラストも、あんまりだと感じたのだろう。監督さんは1作目と違うことをあえてやりたかったらしいが、ファンの願いをわかっていないなぁと残念に思う。

改めて思う。やはりジョーカーはヒース・レジャーの「ダークナイト」のジョーカーが最高だと。一片の弱さもなく、純粋に犯罪を楽しんでいる「絶対悪」のジョーカーだ。

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呼んだ?

 

2023年12月15日 (金)

正欲

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最初から最後まで、正座してずっと目を凝らして鑑賞しているような、そんな気持ちにさせられた作品だ。もちろん映画館だから実際に正座していたわけではないが。

多様性を受け入れ、みんな違ってみんないい、という考えが浸透している現在でも、こんなに生きづらい指向を持った人たちがいるんだと初めて知った。何に対して性的に興奮するかは実はみんな違っていて、相手が異性であっても、惹かれるタイプや場面や身体箇所などは千差万別だ。しかし犯罪にさえ走らなければ、異性を愛することは排斥も差別もされない、当たり前のこととして受け入れられている。いや、相手が同性であってもこれは当てはまると思う。

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しかし、相手が人間でない、という指向は考えたこともなかったし、実際に想像も出来ない。犯罪に走るわけでもなく、誰に迷惑をかけるわけでもないのに、その指向を公言できずに隠し通して生きる登場人物たちの苦しみと諦め。それは、言っても理解してもらえない、という絶望感から来るものなのだろう。声高に叫んで理解や市民権を得るにはあまりにも異様で、受け入れがたいという反応が返ってくるだろうから。実際、稲垣吾郎が演じた検事の反応も、「あり得ない」だった。自分も明らかに彼の側だったと感じつつも、磯村勇斗や新垣結衣の、「やはり理解してもらえない」という、何ともいえない暗い表情には胸が締め付けられた。

忘れられない印象的なセリフはいくつもあった。
「この星に留学しているような感覚」「いなくならないで。」「社会のバグ」「この世界で生きていくために手を組みませんか。」「誰に説明したってわかってもらえない者同士、どうにか繋がり合って生きているんです。」「いなくならないからって伝えてください。」
・・・・彼らの孤独や絶望や憧憬が切ないほど伝わってくる。

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俳優さんたちの表情の演技が特に素晴らしく、ラストシーンでの稲垣吾郎の、瞳の動きだけで内心の動揺や敗北感を見事に表現した演技には感嘆した。

磯村勇斗は社会問題を描いた作品に多く出演しているが、作品によってガラリと雰囲気を変えることのできる名優だと改めて感じた。かっちりとした装いで刑事や公務員を演じるのもハマるし、「昨日何食べた?」の小悪魔的で破天荒キャラのジルベールも可愛い。「月」でみせた心が壊れかけた殺人犯の役は、彼にしかできなかっただろう。彼の出演する作品はハズレがないので必ず観ることにしている。

2022年4月24日 (日)

THE BATMAN ザ・バットマン

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ノーランの三部作のファンの自分としては興味と期待と不安が入り混じった鑑賞となりましたが・・・。

これがすごい面白かった!ノーラン監督、クリスチャン・ベイル主演のバットマンとはまた違った魅力がありました。本家バットマンに対しては私の中では揺るがない愛情があるのですが、これはこれで「別物」の素晴らしさが満載。

あらすじ
両親を殺害されたブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は探偵となり、夜は黒いマスク姿でゴッサム・シティの犯罪者を懲らしめていた。しかし、権力者を標的にした連続殺人事件の犯人として名乗り出たリドラーが、警察やブルースを挑発。そして、政府の陰謀やブルースに関する過去の悪事などが暴かれていく。(シネマトゥディ)

ロバート・パティンソンのブルース・ウェインが想定以上に(失礼)よかったんです、これが。トワイライトでお馴染みの彼ですが、色白で陰のある雰囲気をまとった彼は闇がよく似合うのですよ。ミステリアスで秘めた苦悩が感じられるダークなキャラがハマるのでしょうね、きっと。

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ストーリーは長いけれど割とわかりやすく、息つく間もない速い展開で繰り広げられる犯罪とバットマンの闘いも、おいてけぼりになることなく最後まで集中力がとぎれることはありませんでした。犯人役のポール・ダノもすごかった。一見無害そのものな外見とは裏腹に、獄中でキレたときのクレイジーさは鳥肌ものです。続編でもやらかしそうな予感です。

特筆すべきは夜のシーンの美しさ、スタイリッシュさ。闇の濃さや街の明かりや朝焼けの光などがとにかく美しい。構図も考え抜かれていて、戦闘シーンも芸術的な格調高さを感じました。そして音楽!これがまた最高。場面にぴったりで不穏さや緊張感を高めてくれる旋律。そしてこの旋律そのものもどれも美しいんです。何度でも聴きたくなります。

新しいロバートのバットマン、大好きになりました。キャットウーマンへの抑えた恋愛感情も切ない・・・。このシリーズ、これからも追いかけていこうと思います!

2022年1月31日 (月)

最後の決闘裁判

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アマゾンプライムで鑑賞。監督がリドリー・スコット。出演がマット・デイモンベン・アフレックアダム・ドライバーという名優ぞろい。史劇には定評のあるリドリー・スコットだから面白くないはずはない!しかしこの作品、確かに戦闘シーンや決闘シーンは見事だが、それ以外に心理的なサスペンスともいえる面白さがあり、二度繰り返して鑑賞してしまった。

舞台は1380年代のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・カルージュ(マット・デイモン)の妻マルグリット(ジョディ・カマー)が、夫の旧友であるジャック・ル・グリ(アダム・ドライヴァー)から強姦されたと訴える。しかし事件の目撃者はおらず、ル・グリは無罪を主張し、領主のピエール伯(ベン・アフレック)も彼を擁護する。カルージュは国王シャルルに上訴し、ル・グリとカルージュは決闘によって決着をつける「決闘裁判」を行うことになる・・・というあらすじだ。
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裁判の決着を決闘でつけるというなんとも仰天で野蛮な制度だ。この場合、裁きを神に委ねるという言い分らしい。そもそも女性の人権が確立されてなかった時代。強姦された妻本人が訴えることは認められておらず、妻の夫が「所有権の侵害」とやらで相手を訴えなければならないというから二重に驚きだ。おまけに訴えた夫が決闘に負けた場合、妻は偽証罪で火あぶりになるという、トンデモナイ制度なのだ。だから強姦された女性(けっこう日常茶飯事だったらしい)は泣き寝入りが当たり前で、訴えたマルグリットは自分の意志と根性を持った強い女性だったのだと思わされる。
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この作品、リドリー・スコット監督だから代表作の「グラディエーター」のように「不遇の憂き目にあった主人公が大活劇の末にみごと勧善懲悪!」という痛快な史劇に仕上がっているのかと思いきや、確かに訴えたカルージュが勝利するのだけど、勧善懲悪とは全く目指す方向が違った物語となっていた。非常に複雑でモヤモヤする心理劇になっていて、そこがこの作品の一押しポイントだと思う。

物語は3部構成になっていて、第一部は「マルグリットの夫カルージュの真実」、第二部は「訴えられたル・グリの真実」、そして第三部は「マルグリットの本人の真実」となっている。そして第三部のマルグリットの真実こそが「真相」であると考えられるので、第一部と第二部はカルージュとル・グリの「自分に都合のよいように解釈したり捻じ曲げたりした」主張ということになる。これが面白い。
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いや、二人ともおそらく嘘を言っているつもりはないのだろう。カルージュもル・グリもどちらも「自分がこう記憶している」「自分がこう思いこんだ」ことを主張しているのだ。そして、同じ出来事でも主観が違うとこうも違う場面になるのか・・と驚愕。人はみな誰しも自分に都合のいいように記憶を塗り替えてしまうものだということがよくわかる。自分が相手に与えた失言や暴挙は忘れたりささいなことになったりし、相手から受けた侮辱などは記憶の中で膨れ上がって定着する。

特に興味深かった場面は・・・
①カルージュとル・グリの宴会?での和解のシーン
どちらが先に「王の僕(しもべ)に敵意なし」という和解の言葉をかけたか?つまりどちらが先に歩み寄れる度量をもっていたか?カルージュもル・グリもどちらも自分から先に声をかけたことになっていた。そしてその場にいたマルグリットの記憶では(これが真実)なんと和解の言葉をかけたのは二人ではなく、背後で見守っていた友人だった。いや~面白い。カルージュもル・グリもどちらも記憶や主張を自分に都合よく修正している。
②カルージュの妻への態度
カルージュの記憶の中では、彼はいつも妻に優しい笑顔を向ける良き夫として描かれている。妻に「愛しい人」と呼びかけ、戦いから帰還してきたときは真っ先に妻を抱擁し、強姦されたと打ち明けられたときはル・グリに激しい怒りを表しつつも、妻には「守れなくてすまなかった。」とあくまでも優しい。
ところが同じ場面をマルグリットの視点からたどると、全く違うのだ。マルグリットの記憶の中の夫は、婚礼の席で妻の持参金を厳しくチェックし、戦いからの帰還のシーンでは妻のドレスが気に入らなくて彼女を黙殺し、強姦打ち明けシーンでは妻の首を絞めんばかりに激高し、極めつけに「あいつをお前の最後の男にするものか。」と彼女に迫っているのだ。おそらくこちらが真実だろうから、マルグリットにとってカルージュは優しくもないし良い夫でもなかったようだ。
妻は夫から愛されていると感じていないのに夫は妻を愛しているつもりだったので、このようなはっきりとした認識の違いが生まれているのか・・・。これって今の時代でも起こりうることだよね。
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③強姦シーンでのやり取り
館に一人で留守番していたマルグリットを不意打ちで訪れ、彼女を寝室まで追いつめて襲うル・グリ。この場面は同じセリフと同じいきさつなのにル・グリとマルグリットの認識がはっきりと違う。ル・グリの記憶の中ではマルグリットは「やめて、帰って」と口では言いつつ、表情やしぐさではまんざらでもないように描かれている。寝室へ移動するときも彼女の足取りはやや速足でまるで誘導しているかのよう。拒否するそぶりもあまり本気でないみたいな・・・。
ところがマルグリットの記憶の中では(やはりこちらが真実)彼女ははっきりと彼を拒絶し、寝室へと逃げ込む場面も全力で逃走しているし、本気で嫌がっているのである。日ごろから色男で女性にもてるル・グリが、マルグリットに好かれていると思いあがったゆえの思い込みから生じた記憶の温度差なのだろう。

・・・と、今作はこのようにまるで黒澤監督の「羅生門」のように、互いに食い違う証言が交錯する大変興味深くモヤモヤする作品となっている。とはいえ、決闘シーンはさすがにリドリー・スコット監督らしい大迫力で見ごたえがあった。
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それにしても。三人の主要男優陣、マット・デイモンとベン・アフレックとアダム・ドライヴァー、みんな大好きな俳優さんなのだけど、役の上では全員が嫌な奴だった・・・。^_^;

●マットが演じるカルージュは短気で頑固でなりふり構わず自分の権利を強く主張するモラハラ夫。
●アダムが演じるル・グリは知的でカッコいいのだが女にだらしない色男。
●ベンが演じるピエール伯は軽佻浮薄にしかみえないし・・・。

まさかまさかこの三人がこんな女性の敵のようなキャラを演じるとは、想定外すぎて、実はカルージュは本当はいいやつだったというオチでも用意されているのかと、かすかな期待を持ち続けていたけれど、やっぱり最後の最後まで嫌な奴だった。あはは。

なので勝利を勝ち取った決闘の場面でも当然のカタルシスはなく、マルグリットとの心からの抱擁もなく。そもそもこの決闘も、妻の名誉のためというより、己の意地からル・グリ憎さのあまり挑んだようなものだったし、負けたら妻も火あぶりになることを卑劣にも当の妻には隠していたし。

それでもこんなキャラを演じた三人は、やはり名優だなぁと感嘆した。三部構成で同じ場面を二度三度演じることもあったわけだが、特にマットは表情や仕草を巧みに演じ分けていたのが、何よりすごいと思った。

2019年12月12日 (木)

ジョーカー

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本当の悪魔は笑顔の中にいる。

バットマンの宿敵であるジョーカーの誕生秘話。

わたしはノーラン監督のダークナイトで初めてジョーカーを知り、ヒース・レジャーの鬼気迫る怪演を観て、まさにジョーカー=モンスターなみの悪役だというイメージを持っていた。彼は人の心を弄び、善を悪に転じさせることに邪悪な喜びを見出している「狂った犯罪者」なのだと思っていた。生まれつきの悪魔、カリスマ的な悪の権化なのだと。しかし、この物語の主人公であり、後にジョーカーとなる男アーサーは、そんな既存のイメージとは全く違った哀しくも孤独な男だった。

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精神を病んだ母を持ち、自分も「おかしくもないのに笑ってしまう」という病気を持つ、いわば社会的弱者の立場に生まれ育ったアーサー。ゴッサムシティの貧しいアパート。寝付いた母の看護をしながら、「人々に笑いを届けたい」というささやかな願いを胸に大道芸人として生きている心優しいアーサー。それなのに彼は人々から時には愚弄され、努力は裏目に出て失意と孤独を味わい続ける。

不運だから、人から避けられるから、馬鹿にされたから、陥れられたから、努力しても全く報われないから・・そんなことの連続が必ず犯罪者を生むわけではない。そんな理由はもちろん免罪符にはならない。アーサーが失意と怒りと絶望の果てに、恐るべき怪物ジョーカーに変貌したのは、許されることではない。しかし、ここに描かれたジョーカー(アーサー)には、つい応援したくなるような、肩入れしたくなるような、そんな思いを抱いてしまう。
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格差社会が際立ち、下層の人々の不満や怒りが蓄積する殺伐としたゴッサム・シティだからこそ、アーサーはジョーカーへと変貌を遂げたのかもしれない。彼の登場をまるでヒーローのように歓迎した市民たちの存在。そして、ホアキン・フェニックスの渾身の演技は、私がこれまで抱いていた「ジョーカー=悪の権化」というイメージを根底から変えてしまった。善良な人間はいかにして反社会的な存在になりうるか?理不尽に殴られ続け、夢のすべてが砕け散ってしまったら、そしてそれに加えて狂気や病んだ精神が加わったら。恐るべきケミストリーが起こるさまを、ホアキンは見事に演じきったと思う。

孤独の中でうずくまるアーサー。
哄笑するアーサー。
号泣するアーサー。
そのすべてから目が離せなかった。悲しすぎて、切なすぎて。

ヒース・レジャーの演じたジョーカーも、私の中では突き抜けていたけれど、ホアキンの演じたジョーカー(いや、アーサーというべきか)は全く違う凄さをもって、強烈に心に刻まれた。またひとつ、忘れえない傑作に出会えた。

2018年8月 2日 (木)

ジュラシック・ワールド/炎の王国

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前作(ジュラシック・ワールド)がとても面白かったので、本作品もとても楽しみに劇場で観賞。

火山の噴火で絶滅の危機にさらされたイスラ・ヌブラル島の恐竜たち。クレアとオーウェンは恐竜たちの避難計画を、ロックウッド財団から持ちかけられ、島に向かう。前回生き残ったヴェロキラプトルのブルーとの再会を果たしたオーウェンたちだが、計画を依頼した財団の実質経営者ミルズの真の目的は、恐竜たちをペットや兵器として高値で売りさばくことだった。

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今回も荒唐無稽だけど、怒涛の展開でワクワクする面白さ。ジェットコースター・ムービーとしての迫力とスピード感がたっぷり楽しめた。

インドミナスとラプトルをかけあわせたハイブリッド恐竜の登場や、このシリーズではお約束ともいえる、恐竜で金儲けしようとする悪役たち。予想通り、彼らの末路は恐竜に喰われる。しかし恐竜を買いたい富豪があんなにいるとは驚きだった。買ったはいいがちゃんと管理できんだろ・・・。
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一番好きなのは、やっぱりブルーとオーウェンの心の交流シーン。特にブルーたちの幼いころの場面が出てきて、その可愛さと賢さに萌え~。ブルーが麻酔銃打たれて捕獲されたり、傷つけられたりした時はハラハラしたけど、オーウェンたちを助けるために、強敵のハイブリット恐竜に敢然と立ち向かっていく姿にはまた感動。

ブルーが出なかったら観てないかも!というくらいブルーが好きだけど、主役のクリス・プラットも前作を超えるカッコよさだし、ヒロインのブライス・ダラス・ハワードも美しい。
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ラストはまさかの恐竜追い放し・・・それもカリフォルニアに?この流れで続編が作られるとまたまたぶっ飛んだ設定の作品になりそう。どんどんエスカレートする遺伝子組み換えに対する警鐘も感じる作品だった。

2018年2月14日 (水)

スリー・ビルボード

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アメリカの片田舎の3枚の看板に、ある日突然、現れた真っ赤な広告。それは、地元で尊敬されている警察署長への抗議のメッセージだった──。

本年度アカデミー賞最有力とされている本作。劇場で鑑賞。

ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め……。 (シネマトゥディ)
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クライム・サスペンスというよりは、重厚で深い、見事なヒューマンドラマだ。ひとつの怒りの感情から起こした抗議が、関係者のさらなる怒りや憎しみを生み、暴力や放火などの過激な報復騒動を引き起こすという、絵に描いたような「負の連鎖」。

些細なことから生じた怒りが、八つ当たりも含めた連鎖を経てどんどん大きく発展し、多くの関係ない人たちまで巻きこみながら、しまいには収集がつかなくなってしまうことって、こういうことなんだな、と思う。もちろん、娘を殺されたことは些細なことではないけれど。一石を投じたことで水面に生まれたさざなみが、次第に大きな波紋や奔流になっていく様子にも似ているかもしれない。
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憎しみに対して憎しみで応じることは何の解決にもならず、さらに大きな憎しみを生むだけだということが、この作品の前半からリアルに伝わってくる。

看板のことで息子が学校で虐められようが、神父から説得されようが、ターゲットの署長がガンで余命わずかであろうが、一歩も引かないミルドレッドを純粋に応援する気にもなれないが、警察もウィロビー署長以外は誠実な仕事ぶりにも見えないし、広告代理店を経営する青年レッドも何か頼りなさそうだし、極めつけは、人種差別発言の酷い暴力警官のディクソン(サム・ロックウェル)の悪行の数々。前半は、誰にも感情移入できないような殺伐とした場面が続く。

ウィロビー署長の自殺、ディクソンによるレッドへの暴行、ミルドレッドへの住民からの嫌がらせ、看板への放火、警察署に火炎瓶攻撃を仕掛けるミルドレッド・・・と事件はいっそう深刻に過激になっていき、まさに「目には目を」とばかり、負の連鎖は頂点に達する。
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しかし、まさにその最中、それまでの流れが180度転換する出来事が起こるのだ。受けた憎しみを、愛や優しさで返す、という行為をした人物が二人いたことによって。

こう来たか~と思った。
こういうテーマの物語だったのか。とも。

憎しみは憎しみを呼び、反対に愛は愛を生む・・・・誰でも頭ではわかっていることだけど、実践は非常に難しい。憎しみの連鎖を愛の連鎖に変えるには、まず誰かがどこかで受けた憎しみを愛の行為で返さねばならない。これができないと奇跡は起こらない。

署長から、ディクソンへ宛てた最後の忠告と励ましを綴った遺書。そして病室で、自分が痛めつけたレッドから差し出しされるオレンジジュース。これらが、ディクソンのまさかの改心を生み、広告費を払ってくれたのが署長だと知ったミルドレッドの頑なな心にも、変化が表れる。
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そう、一気に雪解けが来たのだ。

憎むべき犯人は、結局明らかにはならなかったけれど、暴力と憎しみと怒りの連鎖は終わった。ラストシーン、ミルドレッドとディクソンは真犯人ではないけどレイプ犯には違いないあの男を殺しに行くのだろうか?いや、たぶん途中で取りやめるだろうな、そうしてほしいと願わずにはいられなかった。哀しみと緊迫感をもって始まった物語が、穏やかな終わり方をしたことに、安堵を覚えた。

人の心の弱さや恐ろしさは、まるで底知れぬ闇を覗くようだ。どこまで拡がっていくのか見当もつかない。しかし同時に、人の心の優しさや寛容さも、限りない可能性を秘めて、あらゆる希望へとつながっていく力を持つ。そしてその二つは表裏一体となって、同じ人物に宿ることもあり、人から人へと拡がっていくのだと思った。

いつまでも心に残る素晴らしい作品だった。

2018年2月10日 (土)

新感染 ファイナル・エクスプレス

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韓国発のゾンビ映画。昨年のベストランキングでみなさんがベストテンに選んでいたので、期待を込めてDVDで鑑賞。

別居中の妻がいるプサンへ、幼い娘スアンを送り届けることになったファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)。夜明け前のソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込むが、発車直前に感染者を狂暴化させるウイルスに侵された女性も乗ってくる。そして乗務員が彼女にかみつかれ、瞬く間に車内はパニック状態に。異変に気づいたソグは、サンファ(マ・ドンソク)とその妻ソンギョン(チョン・ユミ)らと共に車両の後方へ避難する。やがて彼らは、車内のテレビで韓国政府が国家非常事態宣言を発令したことを知り……。 (シネマトゥディ)
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なるほどね、韓国がゾンビ映画を作ると、こういう感じね~と楽しくハラハラドキドキそしてウルウルしながら観た。面白いし、スリリングだし、感動や切なさもちゃんとあって、やはり映画の質が高い。高評価なのもうなずける作品だった。

この作品のゾンビの特徴は、噛まれることで発症したり、発症すると凶暴化し暴走する点は他のゾンビ映画と同じだが、暗いところでは目が見えないが音や動きに反応する、というところがユニーク。噛まれて絶命すれば瞬時に発症するが、傷を負った程度だと、徐々に発症する。ゾンビを生みだしてしまった原因については深く語られていないが、楽品会社が関連しているらしい?

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なんといってもユニークなのは、主人公たちが逃げ回る舞台が、疾走する特急列車の中や駅の構内というところだ。列車そのものがクローズド・サークルを形成している面白さ。列車から無事に脱出できても駅でまたゾンビ集団に追いかけられて新たに列車の中に、という息もつかせぬ展開になっている。上の画像のシーンなんか、凄すぎる迫力だ。

韓国映画だと必ず丁寧に描かれる人間模様も手を抜いていない。こういうパニック&サバイバルものだと必ずと言っていいほど父と子の絆が描かれるけれど、この作品、子役の女の子がとてもいい。もちろん父親のソグ役のコン・ユも。(優しいお顔だけどなんというスタイルのよさ!)

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途中から一緒にゾンビと対戦するサンファが、わが身を犠牲にして身重の妻やソグたちを救い、生まれてくる子供の名前を妻に言い残す場面や、ソグのあの最後・・・などなど、泣かせどころはきっちりと押さえていた。

自分だけ助かればいいという自己中な考えの人物もえげつなく描かれていたが、頑張って運転を続けた人のよさそうな運転手さんや、なにより主人公のソグやサンファのような主要人物まで犠牲になってしまう容赦のなさも、ある意味韓国映画らしい。(ハリウッドなら、コン・ユは生還させるよね~)

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で、軍隊に守られたプサンに生き残った二人がたどり着いた場面で終わったけれど、ゾンビ騒動自体は解決しないまま・・・。続編いけそうですね。

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