カテゴリー「映画 さ行」の83件の記事

2022年4月24日 (日)

THE BATMAN ザ・バットマン

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ノーランの三部作のファンの自分としては興味と期待と不安が入り混じった鑑賞となりましたが・・・。

これがすごい面白かった!ノーラン監督、クリスチャン・ベイル主演のバットマンとはまた違った魅力がありました。本家バットマンに対しては私の中では揺るがない愛情があるのですが、これはこれで「別物」の素晴らしさが満載。

あらすじ
両親を殺害されたブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は探偵となり、夜は黒いマスク姿でゴッサム・シティの犯罪者を懲らしめていた。しかし、権力者を標的にした連続殺人事件の犯人として名乗り出たリドラーが、警察やブルースを挑発。そして、政府の陰謀やブルースに関する過去の悪事などが暴かれていく。(シネマトゥディ)

ロバート・パティンソンのブルース・ウェインが想定以上に(失礼)よかったんです、これが。トワイライトでお馴染みの彼ですが、色白で陰のある雰囲気をまとった彼は闇がよく似合うのですよ。ミステリアスで秘めた苦悩が感じられるダークなキャラがハマるのでしょうね、きっと。

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ストーリーは長いけれど割とわかりやすく、息つく間もない速い展開で繰り広げられる犯罪とバットマンの闘いも、おいてけぼりになることなく最後まで集中力がとぎれることはありませんでした。犯人役のポール・ダノもすごかった。一見無害そのものな外見とは裏腹に、獄中でキレたときのクレイジーさは鳥肌ものです。続編でもやらかしそうな予感です。

特筆すべきは夜のシーンの美しさ、スタイリッシュさ。闇の濃さや街の明かりや朝焼けの光などがとにかく美しい。構図も考え抜かれていて、戦闘シーンも芸術的な格調高さを感じました。そして音楽!これがまた最高。場面にぴったりで不穏さや緊張感を高めてくれる旋律。そしてこの旋律そのものもどれも美しいんです。何度でも聴きたくなります。

新しいロバートのバットマン、大好きになりました。キャットウーマンへの抑えた恋愛感情も切ない・・・。このシリーズ、これからも追いかけていこうと思います!

2022年1月31日 (月)

最後の決闘裁判

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アマゾンプライムで鑑賞。監督がリドリー・スコット。出演がマット・デイモンベン・アフレックアダム・ドライバーという名優ぞろい。史劇には定評のあるリドリー・スコットだから面白くないはずはない!しかしこの作品、確かに戦闘シーンや決闘シーンは見事だが、それ以外に心理的なサスペンスともいえる面白さがあり、二度繰り返して鑑賞してしまった。

舞台は1380年代のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・カルージュ(マット・デイモン)の妻マルグリット(ジョディ・カマー)が、夫の旧友であるジャック・ル・グリ(アダム・ドライヴァー)から強姦されたと訴える。しかし事件の目撃者はおらず、ル・グリは無罪を主張し、領主のピエール伯(ベン・アフレック)も彼を擁護する。カルージュは国王シャルルに上訴し、ル・グリとカルージュは決闘によって決着をつける「決闘裁判」を行うことになる・・・というあらすじだ。
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裁判の決着を決闘でつけるというなんとも仰天で野蛮な制度だ。この場合、裁きを神に委ねるという言い分らしい。そもそも女性の人権が確立されてなかった時代。強姦された妻本人が訴えることは認められておらず、妻の夫が「所有権の侵害」とやらで相手を訴えなければならないというから二重に驚きだ。おまけに訴えた夫が決闘に負けた場合、妻は偽証罪で火あぶりになるという、トンデモナイ制度なのだ。だから強姦された女性(けっこう日常茶飯事だったらしい)は泣き寝入りが当たり前で、訴えたマルグリットは自分の意志と根性を持った強い女性だったのだと思わされる。
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この作品、リドリー・スコット監督だから代表作の「グラディエーター」のように「不遇の憂き目にあった主人公が大活劇の末にみごと勧善懲悪!」という痛快な史劇に仕上がっているのかと思いきや、確かに訴えたカルージュが勝利するのだけど、勧善懲悪とは全く目指す方向が違った物語となっていた。非常に複雑でモヤモヤする心理劇になっていて、そこがこの作品の一押しポイントだと思う。

物語は3部構成になっていて、第一部は「マルグリットの夫カルージュの真実」、第二部は「訴えられたル・グリの真実」、そして第三部は「マルグリットの本人の真実」となっている。そして第三部のマルグリットの真実こそが「真相」であると考えられるので、第一部と第二部はカルージュとル・グリの「自分に都合のよいように解釈したり捻じ曲げたりした」主張ということになる。これが面白い。
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いや、二人ともおそらく嘘を言っているつもりはないのだろう。カルージュもル・グリもどちらも「自分がこう記憶している」「自分がこう思いこんだ」ことを主張しているのだ。そして、同じ出来事でも主観が違うとこうも違う場面になるのか・・と驚愕。人はみな誰しも自分に都合のいいように記憶を塗り替えてしまうものだということがよくわかる。自分が相手に与えた失言や暴挙は忘れたりささいなことになったりし、相手から受けた侮辱などは記憶の中で膨れ上がって定着する。

特に興味深かった場面は・・・
①カルージュとル・グリの宴会?での和解のシーン
どちらが先に「王の僕(しもべ)に敵意なし」という和解の言葉をかけたか?つまりどちらが先に歩み寄れる度量をもっていたか?カルージュもル・グリもどちらも自分から先に声をかけたことになっていた。そしてその場にいたマルグリットの記憶では(これが真実)なんと和解の言葉をかけたのは二人ではなく、背後で見守っていた友人だった。いや~面白い。カルージュもル・グリもどちらも記憶や主張を自分に都合よく修正している。
②カルージュの妻への態度
カルージュの記憶の中では、彼はいつも妻に優しい笑顔を向ける良き夫として描かれている。妻に「愛しい人」と呼びかけ、戦いから帰還してきたときは真っ先に妻を抱擁し、強姦されたと打ち明けられたときはル・グリに激しい怒りを表しつつも、妻には「守れなくてすまなかった。」とあくまでも優しい。
ところが同じ場面をマルグリットの視点からたどると、全く違うのだ。マルグリットの記憶の中の夫は、婚礼の席で妻の持参金を厳しくチェックし、戦いからの帰還のシーンでは妻のドレスが気に入らなくて彼女を黙殺し、強姦打ち明けシーンでは妻の首を絞めんばかりに激高し、極めつけに「あいつをお前の最後の男にするものか。」と彼女に迫っているのだ。おそらくこちらが真実だろうから、マルグリットにとってカルージュは優しくもないし良い夫でもなかったようだ。
妻は夫から愛されていると感じていないのに夫は妻を愛しているつもりだったので、このようなはっきりとした認識の違いが生まれているのか・・・。これって今の時代でも起こりうることだよね。
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③強姦シーンでのやり取り
館に一人で留守番していたマルグリットを不意打ちで訪れ、彼女を寝室まで追いつめて襲うル・グリ。この場面は同じセリフと同じいきさつなのにル・グリとマルグリットの認識がはっきりと違う。ル・グリの記憶の中ではマルグリットは「やめて、帰って」と口では言いつつ、表情やしぐさではまんざらでもないように描かれている。寝室へ移動するときも彼女の足取りはやや速足でまるで誘導しているかのよう。拒否するそぶりもあまり本気でないみたいな・・・。
ところがマルグリットの記憶の中では(やはりこちらが真実)彼女ははっきりと彼を拒絶し、寝室へと逃げ込む場面も全力で逃走しているし、本気で嫌がっているのである。日ごろから色男で女性にもてるル・グリが、マルグリットに好かれていると思いあがったゆえの思い込みから生じた記憶の温度差なのだろう。

・・・と、今作はこのようにまるで黒澤監督の「羅生門」のように、互いに食い違う証言が交錯する大変興味深くモヤモヤする作品となっている。とはいえ、決闘シーンはさすがにリドリー・スコット監督らしい大迫力で見ごたえがあった。
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それにしても。三人の主要男優陣、マット・デイモンとベン・アフレックとアダム・ドライヴァー、みんな大好きな俳優さんなのだけど、役の上では全員が嫌な奴だった・・・。^_^;

●マットが演じるカルージュは短気で頑固でなりふり構わず自分の権利を強く主張するモラハラ夫。
●アダムが演じるル・グリは知的でカッコいいのだが女にだらしない色男。
●ベンが演じるピエール伯は軽佻浮薄にしかみえないし・・・。

まさかまさかこの三人がこんな女性の敵のようなキャラを演じるとは、想定外すぎて、実はカルージュは本当はいいやつだったというオチでも用意されているのかと、かすかな期待を持ち続けていたけれど、やっぱり最後の最後まで嫌な奴だった。あはは。

なので勝利を勝ち取った決闘の場面でも当然のカタルシスはなく、マルグリットとの心からの抱擁もなく。そもそもこの決闘も、妻の名誉のためというより、己の意地からル・グリ憎さのあまり挑んだようなものだったし、負けたら妻も火あぶりになることを卑劣にも当の妻には隠していたし。

それでもこんなキャラを演じた三人は、やはり名優だなぁと感嘆した。三部構成で同じ場面を二度三度演じることもあったわけだが、特にマットは表情や仕草を巧みに演じ分けていたのが、何よりすごいと思った。

2019年12月12日 (木)

ジョーカー

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本当の悪魔は笑顔の中にいる。

バットマンの宿敵であるジョーカーの誕生秘話。

わたしはノーラン監督のダークナイトで初めてジョーカーを知り、ヒース・レジャーの鬼気迫る怪演を観て、まさにジョーカー=モンスターなみの悪役だというイメージを持っていた。彼は人の心を弄び、善を悪に転じさせることに邪悪な喜びを見出している「狂った犯罪者」なのだと思っていた。生まれつきの悪魔、カリスマ的な悪の権化なのだと。しかし、この物語の主人公であり、後にジョーカーとなる男アーサーは、そんな既存のイメージとは全く違った哀しくも孤独な男だった。

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精神を病んだ母を持ち、自分も「おかしくもないのに笑ってしまう」という病気を持つ、いわば社会的弱者の立場に生まれ育ったアーサー。ゴッサムシティの貧しいアパート。寝付いた母の看護をしながら、「人々に笑いを届けたい」というささやかな願いを胸に大道芸人として生きている心優しいアーサー。それなのに彼は人々から時には愚弄され、努力は裏目に出て失意と孤独を味わい続ける。

不運だから、人から避けられるから、馬鹿にされたから、陥れられたから、努力しても全く報われないから・・そんなことの連続が必ず犯罪者を生むわけではない。そんな理由はもちろん免罪符にはならない。アーサーが失意と怒りと絶望の果てに、恐るべき怪物ジョーカーに変貌したのは、許されることではない。しかし、ここに描かれたジョーカー(アーサー)には、つい応援したくなるような、肩入れしたくなるような、そんな思いを抱いてしまう。
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格差社会が際立ち、下層の人々の不満や怒りが蓄積する殺伐としたゴッサム・シティだからこそ、アーサーはジョーカーへと変貌を遂げたのかもしれない。彼の登場をまるでヒーローのように歓迎した市民たちの存在。そして、ホアキン・フェニックスの渾身の演技は、私がこれまで抱いていた「ジョーカー=悪の権化」というイメージを根底から変えてしまった。善良な人間はいかにして反社会的な存在になりうるか?理不尽に殴られ続け、夢のすべてが砕け散ってしまったら、そしてそれに加えて狂気や病んだ精神が加わったら。恐るべきケミストリーが起こるさまを、ホアキンは見事に演じきったと思う。

孤独の中でうずくまるアーサー。
哄笑するアーサー。
号泣するアーサー。
そのすべてから目が離せなかった。悲しすぎて、切なすぎて。

ヒース・レジャーの演じたジョーカーも、私の中では突き抜けていたけれど、ホアキンの演じたジョーカー(いや、アーサーというべきか)は全く違う凄さをもって、強烈に心に刻まれた。またひとつ、忘れえない傑作に出会えた。

2018年8月 2日 (木)

ジュラシック・ワールド/炎の王国

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前作(ジュラシック・ワールド)がとても面白かったので、本作品もとても楽しみに劇場で観賞。

火山の噴火で絶滅の危機にさらされたイスラ・ヌブラル島の恐竜たち。クレアとオーウェンは恐竜たちの避難計画を、ロックウッド財団から持ちかけられ、島に向かう。前回生き残ったヴェロキラプトルのブルーとの再会を果たしたオーウェンたちだが、計画を依頼した財団の実質経営者ミルズの真の目的は、恐竜たちをペットや兵器として高値で売りさばくことだった。

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今回も荒唐無稽だけど、怒涛の展開でワクワクする面白さ。ジェットコースター・ムービーとしての迫力とスピード感がたっぷり楽しめた。

インドミナスとラプトルをかけあわせたハイブリッド恐竜の登場や、このシリーズではお約束ともいえる、恐竜で金儲けしようとする悪役たち。予想通り、彼らの末路は恐竜に喰われる。しかし恐竜を買いたい富豪があんなにいるとは驚きだった。買ったはいいがちゃんと管理できんだろ・・・。
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一番好きなのは、やっぱりブルーとオーウェンの心の交流シーン。特にブルーたちの幼いころの場面が出てきて、その可愛さと賢さに萌え~。ブルーが麻酔銃打たれて捕獲されたり、傷つけられたりした時はハラハラしたけど、オーウェンたちを助けるために、強敵のハイブリット恐竜に敢然と立ち向かっていく姿にはまた感動。

ブルーが出なかったら観てないかも!というくらいブルーが好きだけど、主役のクリス・プラットも前作を超えるカッコよさだし、ヒロインのブライス・ダラス・ハワードも美しい。
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ラストはまさかの恐竜追い放し・・・それもカリフォルニアに?この流れで続編が作られるとまたまたぶっ飛んだ設定の作品になりそう。どんどんエスカレートする遺伝子組み換えに対する警鐘も感じる作品だった。

2018年2月14日 (水)

スリー・ビルボード

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アメリカの片田舎の3枚の看板に、ある日突然、現れた真っ赤な広告。それは、地元で尊敬されている警察署長への抗議のメッセージだった──。

本年度アカデミー賞最有力とされている本作。劇場で鑑賞。

ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め……。 (シネマトゥディ)
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クライム・サスペンスというよりは、重厚で深い、見事なヒューマンドラマだ。ひとつの怒りの感情から起こした抗議が、関係者のさらなる怒りや憎しみを生み、暴力や放火などの過激な報復騒動を引き起こすという、絵に描いたような「負の連鎖」。

些細なことから生じた怒りが、八つ当たりも含めた連鎖を経てどんどん大きく発展し、多くの関係ない人たちまで巻きこみながら、しまいには収集がつかなくなってしまうことって、こういうことなんだな、と思う。もちろん、娘を殺されたことは些細なことではないけれど。一石を投じたことで水面に生まれたさざなみが、次第に大きな波紋や奔流になっていく様子にも似ているかもしれない。
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憎しみに対して憎しみで応じることは何の解決にもならず、さらに大きな憎しみを生むだけだということが、この作品の前半からリアルに伝わってくる。

看板のことで息子が学校で虐められようが、神父から説得されようが、ターゲットの署長がガンで余命わずかであろうが、一歩も引かないミルドレッドを純粋に応援する気にもなれないが、警察もウィロビー署長以外は誠実な仕事ぶりにも見えないし、広告代理店を経営する青年レッドも何か頼りなさそうだし、極めつけは、人種差別発言の酷い暴力警官のディクソン(サム・ロックウェル)の悪行の数々。前半は、誰にも感情移入できないような殺伐とした場面が続く。

ウィロビー署長の自殺、ディクソンによるレッドへの暴行、ミルドレッドへの住民からの嫌がらせ、看板への放火、警察署に火炎瓶攻撃を仕掛けるミルドレッド・・・と事件はいっそう深刻に過激になっていき、まさに「目には目を」とばかり、負の連鎖は頂点に達する。
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しかし、まさにその最中、それまでの流れが180度転換する出来事が起こるのだ。受けた憎しみを、愛や優しさで返す、という行為をした人物が二人いたことによって。

こう来たか~と思った。
こういうテーマの物語だったのか。とも。

憎しみは憎しみを呼び、反対に愛は愛を生む・・・・誰でも頭ではわかっていることだけど、実践は非常に難しい。憎しみの連鎖を愛の連鎖に変えるには、まず誰かがどこかで受けた憎しみを愛の行為で返さねばならない。これができないと奇跡は起こらない。

署長から、ディクソンへ宛てた最後の忠告と励ましを綴った遺書。そして病室で、自分が痛めつけたレッドから差し出しされるオレンジジュース。これらが、ディクソンのまさかの改心を生み、広告費を払ってくれたのが署長だと知ったミルドレッドの頑なな心にも、変化が表れる。
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そう、一気に雪解けが来たのだ。

憎むべき犯人は、結局明らかにはならなかったけれど、暴力と憎しみと怒りの連鎖は終わった。ラストシーン、ミルドレッドとディクソンは真犯人ではないけどレイプ犯には違いないあの男を殺しに行くのだろうか?いや、たぶん途中で取りやめるだろうな、そうしてほしいと願わずにはいられなかった。哀しみと緊迫感をもって始まった物語が、穏やかな終わり方をしたことに、安堵を覚えた。

人の心の弱さや恐ろしさは、まるで底知れぬ闇を覗くようだ。どこまで拡がっていくのか見当もつかない。しかし同時に、人の心の優しさや寛容さも、限りない可能性を秘めて、あらゆる希望へとつながっていく力を持つ。そしてその二つは表裏一体となって、同じ人物に宿ることもあり、人から人へと拡がっていくのだと思った。

いつまでも心に残る素晴らしい作品だった。

2018年2月10日 (土)

新感染 ファイナル・エクスプレス

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韓国発のゾンビ映画。昨年のベストランキングでみなさんがベストテンに選んでいたので、期待を込めてDVDで鑑賞。

別居中の妻がいるプサンへ、幼い娘スアンを送り届けることになったファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)。夜明け前のソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込むが、発車直前に感染者を狂暴化させるウイルスに侵された女性も乗ってくる。そして乗務員が彼女にかみつかれ、瞬く間に車内はパニック状態に。異変に気づいたソグは、サンファ(マ・ドンソク)とその妻ソンギョン(チョン・ユミ)らと共に車両の後方へ避難する。やがて彼らは、車内のテレビで韓国政府が国家非常事態宣言を発令したことを知り……。 (シネマトゥディ)
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なるほどね、韓国がゾンビ映画を作ると、こういう感じね~と楽しくハラハラドキドキそしてウルウルしながら観た。面白いし、スリリングだし、感動や切なさもちゃんとあって、やはり映画の質が高い。高評価なのもうなずける作品だった。

この作品のゾンビの特徴は、噛まれることで発症したり、発症すると凶暴化し暴走する点は他のゾンビ映画と同じだが、暗いところでは目が見えないが音や動きに反応する、というところがユニーク。噛まれて絶命すれば瞬時に発症するが、傷を負った程度だと、徐々に発症する。ゾンビを生みだしてしまった原因については深く語られていないが、楽品会社が関連しているらしい?

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なんといってもユニークなのは、主人公たちが逃げ回る舞台が、疾走する特急列車の中や駅の構内というところだ。列車そのものがクローズド・サークルを形成している面白さ。列車から無事に脱出できても駅でまたゾンビ集団に追いかけられて新たに列車の中に、という息もつかせぬ展開になっている。上の画像のシーンなんか、凄すぎる迫力だ。

韓国映画だと必ず丁寧に描かれる人間模様も手を抜いていない。こういうパニック&サバイバルものだと必ずと言っていいほど父と子の絆が描かれるけれど、この作品、子役の女の子がとてもいい。もちろん父親のソグ役のコン・ユも。(優しいお顔だけどなんというスタイルのよさ!)

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途中から一緒にゾンビと対戦するサンファが、わが身を犠牲にして身重の妻やソグたちを救い、生まれてくる子供の名前を妻に言い残す場面や、ソグのあの最後・・・などなど、泣かせどころはきっちりと押さえていた。

自分だけ助かればいいという自己中な考えの人物もえげつなく描かれていたが、頑張って運転を続けた人のよさそうな運転手さんや、なにより主人公のソグやサンファのような主要人物まで犠牲になってしまう容赦のなさも、ある意味韓国映画らしい。(ハリウッドなら、コン・ユは生還させるよね~)

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で、軍隊に守られたプサンに生き残った二人がたどり着いた場面で終わったけれど、ゾンビ騒動自体は解決しないまま・・・。続編いけそうですね。

2017年5月27日 (土)

ザ・コンサルタント

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表の顔はごく普通の会計士、実は凄腕の殺し屋、そしてアスペルガー・・・という異色のヒーロー物語。DVDで鑑賞。

小さな町で会計士として働くクリスチャン(ベン・アフレック)のもとに、ある日大手企業からの財務調査のオファーが寄せられる。調査を進めるうちに彼は重大な不正を発見するが依頼は突然取り下げられ、それ以来クリスチャンは身の危険を感じるようになる。実は、彼は闇の社会の会計士として各国の危険人物の裏帳簿を握るすご腕の暗殺者だった。 (シネマトゥディ)       

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これ、すっごい面白かった!続けて2回観てしまった。

表稼業と裏稼業の二つの顔を持つヒーローは今までもあったかもしれないが、主人公のクリスチャンはアスペルガー(高機能自閉症)なので、それゆえの孤独さや複雑な生い立ちを持ち、そしてそれゆえの特技というか天才的な才能も独特だったりして、行動も闘い方も想定外で先が読めないところが多く、その点が新鮮で面白かった。

それと、この作品、基本は謎解きサスペンス。
クリスチャンの命を狙う大企業の黒幕は誰なのか?という謎解きと並行して、クリスチャン本人の複雑で苛酷な生い立ちも、彼に目をつけた財務省の長官たちの捜査によって、次第に明らかになっていく仕組み。つまり、大企業の犯罪を謎Aとし、クリスチャンの過去や能力や稼業を謎Bとすると、AとBの謎が同時進行で目まぐるしく提示されながら、ラストでは散りばめられた伏線もすべてきっちりと残すことろなく回収されて、AもBも同時に解決するのだ。この爽快感は格別だ。まったくお見事としか言いようがない。

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加えて、主要な登場人物は、クリスチャンとの関係で、「この人って実は・・・・」というどんでん返しのネタを持っていたりして、途中で「え~っ!」と驚いたり「やっぱりね~。」と予想が当たってすっきりしたり。

ラストまで観たら、もう一度確認のために観たくなるし、何度でも観たいお気に入りのシーンも複数あったりして、久々に興奮した。ちなみに私が何度か巻き戻して観返したシーンは、クリスチャンが懇意になった顧客夫婦の農場での殺し屋とのバトルシーンと、弟との再会シーン。幼少時の回想シーンではいつも一緒だった彼の弟・・・・成人してからはいったいどうなったんだろうなと思ってたら、まさかあんなシーンであんな登場をするとは!いや、これ以上は語りません。未見の方はぜひご自分の目で確かめてくださいませ。

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これは、シリーズ化してほしいし、きっとシリーズ化されるよね。クリスチャンの今後の活躍も、一作目で登場した彼を取り巻く人物との今後の絡みも、これからもぜひ追っていきたいところだ。

2017年3月11日 (土)

ザ・ギフト

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『パラノーマル・アクティビティ』シリーズのジェイソン・ブラム製作,俳優のジョエル・エドガートンが監督を務めたサイコスリラー。DVDで鑑賞。なかなか良くできた作品でした。サスペンスお好きならお勧めです。       

転居先で幸せな生活を送っている夫婦サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)の前に、サイモンの高校時代の同級生だというゴード(ジョエル・エドガートン)が現れる。再会を祝いゴードは1本のワインをプレゼントし、その後もたびたび二人を訪ねては贈り物をし続ける。次第にその内容がエスカレートしていき、二人が違和感を抱くようになると、周囲で異変が生じ……。(シネマトゥディ)

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ジョエル・エドガートンといえば,武骨で男らしい兵士や騎士,といったキャラクターが私の中で定着している大物脇役俳優さんだけど,今回彼が初監督したのは,なかなか凝った上質のサスペンス。ほ~,こんな才能があったのかと改めて感心。

そして彼自身も,主人公夫妻にギフトを贈り続けるストーカーめいた重要な役で出演している。これがまた,これまでの彼のイメージと違って,根暗で冴えない雰囲気のキャラクター。たいしたカメレオン俳優さんだ。

で,この作品,かなり面白かった。題からして,裕福な若い夫婦に勝手に執着してストーカーまがいのことを続け,最後はその家庭を乗っ取ってしまう・・・・・というありがちなストーリーかと思ったら(それはそれで興味深いが),被害者だとばかり思っていた夫が,実は悪いやつで,これは復讐ものの一種だと気づいてから,ますます面白くなった。

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この物語,心理的にかなり怖いのだけど,流血騒ぎは一切ない。エドガートンの演じるゴードは,旧友夫妻にひたすら贈り物をするだけなのだ。最初はワイン,次に頼んでもないのに池の鯉・・・・というように頼んでもいないのにエスカレートしていく。そして,彼の真意が次第にわかってくるにつれて,次はどういう展開になるのか,その不穏さに目が離せなくなる。過去に二人の間にどんな因縁があったのか,徐々に明らかになっていく過程も面白い。

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なにも知らない美しい妻をレベッカ・ホールが演じている。彼女はなかなか美しく,好きな女優さんだ。プレステージや「暮れ逢い」などでクラシカルな衣装に身を包んだ彼女も美しいが,今作ではショートヘアにしていてそれもよく似合っていた。ゴードと夫の過去が明らかになるにつれて,どんどん夫への猜疑心や不信感を募らせていく役柄だ。

この作品,観終わってみたら,なんだか既視感が。なんだろう・・・と考えたら,あの衝撃的な韓国のパク・チャヌク監督の映画オールドボーイに少し似てるのだ。「オールドボーイ」をかなりソフトにした感じ。あそこまで驚愕のストーリーではないけれど,嘘には嘘を・・・というところや,復讐の手段が,相手の肉体ではなく精神にダメージを与え,しかもその苦しみは未来永劫続く・・・といった残酷なところも。

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ま,復讐された夫の方が,「自業自得」と思えるような人物で,何十年たっても,その性質は変わってなかったんだから,そこは「仕方ないじゃん」と思ったけれど,何の罪もない妻が可哀想かな・・・・巻き込まれて。

しかし,なんで「猿」なんでしょうか?置きものとかでもよく登場していたし,あの猿のお面。なにか意味があるんでしょうね。ゴードの言いたいことが。

初監督のエドガートン,天晴れでした!次回作にも期待したくなっちゃいました。

2016年8月 8日 (月)

シン・ゴジラ

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怪獣映画にもゴジラシリーズにも,実はなんの思い入れも予備知識もない私である。(ただ、ギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』だけは観た)
本作品は邦画としては久々のゴジラであり,評価もめちゃ高く長谷川博己さんも大好きな俳優さん (お顔が好み)なので観に行った。これが大正解! ゴジラ初心者にもすごく面白かったしストーリーといい迫力といい,完成度の素晴らしい傑作だった。

あらすじはこちら
東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが……。(シネマトゥディ)

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この作品,登場人物の人間関係や背景に関してはほとんど描かれず,ヒューマンドラマの味付けはきれいさっぱり排除して,純粋にゴジラの脅威とその対策について焦点を絞っている。それがすごくよかった。現代の東京にゴジラが現れたら実際にどういう騒動が起き,政府はどんな対応を取るのか。様々な立場の人たちが最善を尽くし知恵を絞って死闘を繰り広げるなか,問題は国連にまで広がってゆき,東京が核兵器の攻撃にさらされるという事態にまで発展していく。
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想定外の未曽有の有事に対する危機管理能力に関して,今の日本政府が抱えているであろう弱点(埒のあかない会議や手続きの際の融通のきかなさとか,米国に強く出ることができない事情とか)への風刺も効いているし,そんな中でも,問題に真摯に対処しようとする日本人特有の粘り強い頑張りも,後半では描かれていたように感じた。 
CGで作られたゴジラの進化や自衛隊が全面協力したという戦闘シーンは素晴らしかった。一番最初に登場した金魚目玉の巨大ぬいぐるみのような怪物には「これがゴジラ?」とぎょっとしたけど,それが進化して立ち上がり、ゴジラになったときは,思わず おおーと拍手したくなった。都心の高層ビル群のかなた,仁王立ちのゴジラのなんと絵になることか。個人的にはゴジラの背中からのレーザービーム光線のシーンや無人運転の列車爆弾のシーンがお気に入り。戦闘シーンのちょっぴりレトロなBGMもよかった。

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怪獣映画の凄さや面白さがぎっしりと詰まった作品。大画面で観れてよかった!
世代を問わず,筋金入りのゴジラファンもゴジラ初心者も,ともに大満足を得られるこの夏イチオシの作品です!

2016年6月12日 (日)

さざなみ

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妻の心はめざめ、夫は、眠りつづける・・・・・

神話的大女優シャーロット・ランプリングが,本年度アカデミー賞主演女優賞ノミネートをはじめ,様々な賞に輝いたヒューマンドラマ。原題は「45years」。結婚45周年を迎え,穏やかな日常を送っていた夫婦に突如訪れた出来事とは・・・・。

舞台は英国の片田舎。熟年夫婦のジェフとケイトが結婚45周年の祝賀パーティーを週末に控えた月曜日の朝,夫のジェフに一通の手紙が届く。それは,アルプスの氷河の中から,50年前に行方不明になったジェフの元恋人の遺体が発見されたという知らせだった。

何の手紙か訊ねる妻に,やや放心状態の夫は悪びれることも躊躇することもなく,さらりと内容を告げてしまう。(あまりに驚いてしまって思考が停止していたのかも)50年前の恋人とのアルプスへの旅と彼女の遭難。当時のジェフは恋人と,夫婦として現地の宿に宿泊していたため,遺体発見の通知が,年月を隔てても彼のところに来たのだ。

Set11
驚きつつも最初は平静を装うケイト。「遺体の確認に行くの?」「まさか,こんなに老いぼれて山歩きなんか今さらできるわけがない。行かないよ。」その朝の会話はそこで終了するのだけど。

これってすごい設定だ。
まず起こりそうもないくらい皮肉で残酷な設定。妻は45年間,夫との生活は平穏で幸せだったと信じていた。あと5年で金婚式を迎える夫婦。まさに半世紀近く連れ添ってきた夫婦なのだ。もちろん,夫が不倫をしたのでもなく,結婚前に二股をかけていたのでもない。恋人のカチャの存在もその不幸な死も,すべてはケイトがジェフと知り合う前の出来事なのだから,ケイトに対する裏切りではない。だからこそ,ケイトは初めは,内心の動揺を隠して普段の通りにふるまい,記念のパーティの準備も予定通りにこなそうとする。

しかし・・・・ケイトの心の中に刺さった棘の痛みはボディブローのように後からじわじわと効いてくる・・・・。どんな女性だったのか?彼女が生きていたら夫は私と結婚していなかったのか?自分は夫の人生にとって二番手の選択にすぎなかったのか?

Set06
これって,彼女が結婚前に夫の元恋人の死の事実を知って納得済みで結婚したのなら,全然違っただろう。それでも平穏な心に多少のさざなみはたったかもしれないが。ケイトの場合は,45年もたって初めて知らされ,おまけに恋人の遺体は氷河によって若い時のまま冷凍保存されているのだ。自分はすでに初老の域に達しているというのに・・・。ただでさえ死者の思い出には生者は敵わないというのに,これでは初めから全く勝負にならないじゃないか。

そして無神経なジェフの言動が,さらに彼女を刺激する。「彼女が死ななかったら私ではなく彼女と結婚していた?」という妻の問いに,「イエス」と答え,アルプスに遺体を確認しに行かないと言いつつも妻に内緒で旅行社に行ってみたり,(バレバレ),氷河に関する専門書を調べてみたり,妻が寝た後の夜中に,元恋人の写真やスライドを収納している屋根裏に籠ってみたり・・・。
Set12
男女がもし逆の設定だったら?とも思った。
妻の方が元恋人の遺体発見の手紙を受け取ったら,きっとジェフのように即座に伴侶に正直に告げたりはしないのではないか。告げて自分の感情を共有してもらうか,それとも告げずに自分だけの胸にしまい続けるか・・・それはもしかしたら伴侶の性格を考慮して決めるかもしれないけれど,告げない場合は,相手に衝撃を与えたくない,長年培ってきた穏やかな夫婦関係に余計な波風を立てたくないという思慮深さゆえなのだ。そしてそういう秘密を墓場まで持っていけるのは,やはり女性の方が得意のような気もする(もちろん人によるかもしれないけど)。

観ていて,ジェフに対して「なんでそこでそれを正直に言うかな~」ともどかしく思ったことが何度もあった。嘘をつくのも優しさになる場合だってあるのに。長年連れ添った妻に対する甘えがそこにはあったのか?母親のように何でも受け入れてくれると勘違いしたのか?そうじゃない。妻は母ではないから信頼は些細なことで揺らぐこともあるのに。

そして元恋人のスライドや写真やなんか,結婚後も保管しておくなよ~とも思った。女性は元恋人のものを保管したまま結婚したりはしない人が多いと思う。これは別れた相手に対して上書き保存ができる女性と,別フォルダに保存してしまう男性の違いなのかも。

ジェフの無意識で無神経な言動のせいで,最初はさざなみだった動揺が,次第にケイトの中で暴風雨にまで発展していく・・・・。
Set10
ケイトが一番ショックを受けたのは,元恋人とのスライドから,彼女が夫の子供を妊娠したまま死んだ事実を知った時だった。自分は夫の子供を授からなかった。だのに,夫にとって初めての,そして唯一の子供が,恋人のお腹に中に彼女と一緒に氷河の底に今も眠っている。それを知ったときの夫の思いはどんなだろうか。自分のこれまでの人生はなんだったのか?これはキツイ…きつすぎる。さざなみが一挙にハリケーンになって当然だ。

ジェフにとって,記念のパーティでケイトに捧げた「君との結婚が人生で最良の選択だったよ」という言葉はもちろん嘘ではないと思う。それはそれで彼にとっては真実なのだ。結婚するはずだった相手を不本意ながら亡くし,その次の選択だったとしても,彼にとってはそれも運命であり,その条件下でのケイトとの結婚は,その地点で最良の選択だったし,彼の妻への愛情も偽りではないだろう。

Set13
しかし,ケイトは「白々しい」と思ったのではないだろうか。この1週間のうちに夫の心に鮮やかに蘇ったに違いない元恋人の存在と,自分が傷ついたことに対してあまりにも無理解で鈍感な夫の言動はもはやケイトの許容を超えていたのだろう。

彼女の心境を語るセリフは多くない。しかし,結婚記念日のために買うつもりだったジェフへのプレゼントを最後まで迷って結局買わなかったことや,ラストシーンのダンスの後,夫の手を思い切り振り払った仕草が・・・・ケイトの気持ちを雄弁に語っていた。

さざなみはやがて凪ぐ時が来るのだろうか?
それともケイトが45年間夫に対して抱いてきた信頼や愛情は,
壊れたカップのようにもう二度と元には戻らないのだろうか・・・・

エンドロールを眺めながら,「私も無理だな」とつぶやいてしまった。過去は仕方がない。それでもこだわってはしまうだろうけれど,元恋人の存在よりも,私も夫の無神経さが悲しいかな。妻の傷ついた心を伝えても完全には理解してもらえないところがやりきれない。45年間も連れ添ってきたとしても,残りの歳月を共に過ごす自信はないかも。

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