カテゴリー「映画 た行」の14件の記事

トロイ

Cap096
今頃~~?という古い作品の感想だが,この手の歴史スペクタクル(有名俳優が出演しているものに限る)は大好きなので,DVDも持っていて,定期的に見直している。「キングダム・オブ・ヘブン」とか「グラディエイター」とか「アレキサンダー」とか「ブレイブハート」とか,勇士たちの壮大な闘いの物語は,やはり何度観ても血が騒ぐのである。

これは特に出演陣が美しかったheart04 (第一声がそれって・・・sweat01
Cap067
もちろん主役のブラッド・ピットは,40歳とは到底思えない見事な筋肉と運動神経で,闘いの場では,文字通り「蝶のように華麗に舞いながら的確に敵を倒す」カリスマ的な戦士アキレスをパーフェクトに演じていた。

複雑で激しく,やや未熟な面もあるアキレスの性格面も,人物描写がやや雑な脚本であるにもかかわらず,彼はうまく演じていたと思う。
横っ跳びにジャンプして,目にも止まらない早業で敵の急所に槍を突き立てるあの技は何度観てもため息もの。

Cap054_2
・・・・しかし,私的には,この作品の中で私が一番シビレたのはエリック・バナが演じたトロイの王子ヘクトル。

もうもう,このひとは武勇もさることながら,人格者であり,理想的な王子,父親,息子,夫,そして兄なのだ。エゴイストでナルシストな面もあったアキレスとは対照的に,冷静で肝が据わっていて,広い心を持った,成熟度の高い「男の中の男」である。だからこそ,弟のしでかした歴史に残る不始末の尻拭いをするはめになるのだが・・・・。

Cap089
だもんで,アキレスとヘクトルの世紀の一騎打ちでは,内心ヘクトルを応援してしまう・・・。かれが倒されるシーンは,何度観ても辛いわ~~。

Cap080
そして,この作品では何度観ても「舌打ちしたくなるほど情けない」役なのがオーランド・ブルームが演じた,ヘクトルの弟パリス。

自国を滅ぼすもとになったヘレンとの軽率な恋とか,困ったときはすぐにパパやお兄ちゃんに泣きつくとことか,世間知らずな目論見の甘さとか・・・。
オ~,マイ・オーリー~~!(別にファンではない)
ほんとに,こんなキャラでよかったのか~~?crying

しかし,彼をダメ人間にしたのは,もしかしたら甘やかして庇ってばかりいた,父や兄の責任もあるかも~~?ママがいないから(早死にしたのか?)ふたりともついつい末っ子のパリスを甘やかしたのね,きっと。
どっちにしても,これを観てからしばらくは「オーリー=弱虫」をつい連想してしまったわ(ゴメンよ~)

Cap055_2
んで,パリスにそそのかされてトロイまで駆け落ちしてきたスパルタの女王ヘレンのキャラも不完全燃焼だった・・・。

演じたダイアン・クルーガーは,「完璧」ともいえる美貌を,この作品であますところなく見せつけてくれたけれど,敵国の王子を狂わせるファム・ファタールかと思いきや,これが案外「気弱でいじいじと後悔」なんかするシーンがあるから,歯切れが悪いったら!

002
ヘレンのキャラはね~~,なまじ善人の要素を入れずに,潔く悪女に徹した方がいいと思った。「わたしゃ,自分さえよければいいのよん♪」みたいなね。
「後悔して泣くくらいだったら,最初からするな!後悔しても後の祭りなんだから,いい加減腹くくれ!」と思ってしまうじゃんか。

Cap051
それに比べると,愛を知らないアキレスに,癒しのひとときを与える役のブリセイス(ローズ・バーン)は,セレブ的美女のヘレンとは対照的な愛くるしいタイプ。

しかし,彼女はしっかりと自分というものを持っていて,精神的にはずっとヘレンより強く,好感がもてた。

Cap076
でも,戦闘シーンやCGで再現したトロイの風景は圧巻だし,一度見始めたら最後まで,手に汗を握りながら,もしくはイケメンたちに見とれながら時間がたつのも忘れてしまう作品だ。

それにしても,何度観ても,鑑賞後は,
諸悪の根源のお前らが生き残るのかよ~~annoy 
と絶叫したくなるけどね。

Cap075
・・・・おまけ画像。やっぱルックスはアキレスが好みlovely

| | コメント (10) | トラックバック (2)

題名のない子守唄

Cap034 
近くの劇場では 公開されなかったので,DVDを心待ちにしていた作品。
・・・・これに限らず,私の観たい作品は,近くで劇場公開されないことが多いweep


「ニュー・シネマ・パラダイス
」や「マレーナ」のトルナトーレ監督作品だが,それまでの彼の作品の特徴ともいえる優しさや爽やかさがなく,まるで深い深淵を覗き込んだ時のような,得体の知れない暗い雰囲気を持った作品だった。
Cap024_2
あらすじ:
北イタリアのトリエステに長距離バスでやって来たイレーナ(クセニャ・ラポポルト)は、貴金属商を営むアダケル家のメイドになる。家事を完ぺきにこなす彼女は、アダケル夫人から瞬く間に信頼を得るようになる。また、4歳になるアダケル家の娘テア(クララ・ドッセーナ)とも心を通わせ合うようになるが……。(シネマトゥデイ)

冒頭から,サスペンスタッチで綴られる物語。
一番の謎はヒロインのイレーナの過去と,彼女がアダケル家に近づく理由だ。
地味な黒い服に身を包んだ,ミステリアスな漆黒の瞳のイレーナ。フラッシュバックで挿入される映像からは,彼女が何らかの売春組織に囚われて,苛酷な人生を送ってきたことが想像されるのだけど・・・・。そして,アダケル家の一人娘テアと彼女の関係も,最初からおぼろげに予想はつくのだけど・・・。
Cap035
東欧からの密入国する女性たちが陥る罠の中に,こんな非人道的なものがあるなんて・・・。人身売買,性の奴隷,そして代理出産と,生まれる子の売買。想像を超えた卑劣な悪の世界に絶句した。「売る」ための子供を12年のうちに9回も出産させられたイレーナ。彼女の「母性」はそのたびに踏みにじられ,人生はもはや修復不可能なほどに深い傷を負っていた。

これは,そんな想像を絶する試練を体験した女性が,奪われた「母性」を取り戻すための闘いの物語なのだろう。
Cap039
しかし,この作品,「母子の絆を描いた物語」であるくせに,単純にしんみりとした感傷にひたりながら観ることができない内容になっているような気もするのだが。

物語は,センチメンタルな要素より,サスペンスの要素の方が断然勝っている。
イレーナの過去に関する謎は,かなり残酷で暴力的な描写が多くて圧倒されるし,加えて現在の彼女の身辺にも,怪しげな事件が次々に起こるので,そちらも目が離せない。
Cap051
監督は,「子供の売買や売春組織を告発したいのではなく,あくまでも『母の愛の強さ』を描きたかった」と述べているけど,私は,母の愛うんぬんよりも,イレーナが囚われていた,売春組織の存在の方に,強烈な印象を受けた。

イレーナの辿ってきた人生って,平和な世界に生きてる私たちには,想像もつかない恐ろしいものだ。だから,まずその事実に「驚愕」したり「戦慄」したりするのに忙しく,そちらの方がどうしても強く心に焼きついてしまったのかもしれない。
Cap054
それでも,イレーナがテアに抱く「母の愛」のゆるぎなさと,彼女に心を開いていくテアの愛らしさは,暗鬱な物語の中で,唯一神々しい光のような輝きをもって,胸に迫ってくる。

イレーナの「行き場を求めていた母性」は,テアに惜しみなく注がれ,
テアもまた,それを全身全霊で受け止めたのだろう。

女は,子供を「生む」だけで「母」になるわけではなく,「愛する」という行為を経て初めて「母」になるのだろうか。この二人の間に一度生まれた絆は,のちに衝撃の事実が判明してもなお,消え去ることがなかった。

Cap058
イレーナを演じた女優さんは,ロシア系ということだが,まるでバレリーナのような優雅な美しさを持ったひとだ。回想シーンでは金髪だが,黒髪のほうがずっと似合っていた。恐怖,悲しみ,愛情,暗い情熱・・・・彼女は,さまざまな感情を,その美しい瞳に込めてしっかりと演じていた。

Cap064_2
ひりつくような緊張の糸がずっと持続していた物語のラストに,
ふいに訪れた,ほのぼのとした癒しのシーン。
艱難続きだったイレーナの人生だけど,
贖罪を終えた彼女に,やっと再生の光がさしこんだのだろうか。

まさか,この物語が,このようなあたたかなラストになるとは。

ここにきて初めて,私はためていた息を深々と吐き出した。
・・・・と同時に,じんわりとした涙が,ゆっくりとこみあげてきた。

| | コメント (28) | トラックバック (12)

ディスタービア

Cap043
DVDcdで鑑賞〜。
自宅軟禁中の高校生が,退屈しのぎに近所ののぞき見を始めたせいで,殺人事件に巻き込まれていくサスペンスドラマ。ヒッチコックの名作「裏窓現代版高校生バージョンみたいな物語だ。

あらすじ: 交通事故で父親を亡くしたケール(シャイア・ラブーフ)は自分を見失い,学校で教師を殴り,3か月の自宅軟禁処分を受ける。時間を持て余した彼は、退屈しのぎに近所ののぞき見を開始。彼の親友のロニー(アーロン・ヨー)と、隣に引っ越してきたアシュリー(サラ・ローマー)も巻き込み、3人はスパイ活動に熱中していく。(シネマトゥデイ)
Cap039_2
シャイア・ラブーフは,パニクったアクションものが多いけど,確かにあわてふためいたdash演技が上手い。それに,トランスフォーマーの頃に比べると,ちょっと大人になって凛々しさを増した感じ。彼って,美形というよりは,親しみやすい顔なのだけど,なかなかよい感じのナイスガイに成長するんでは?と今回思ってしまった。

最初に面白いなぁ,と思ったのは,自宅軟禁の彼が,足首に取り付けられた監視用のセンサー。自宅軟禁の場合,本当にあんなものをつけられるのか?自宅から30メートル外に出たら即センサーが作動し,ランプの緑が赤に変わって10秒以内に戻らなければ,警察が駆けつけるbomb・・・・なんて,なんだか生き残りゲームみたい。

Cap056_2
しかし,この監視センサーが,ケールの自由を制限し,彼は,殺人犯を目撃しても,自由に動き回って調べたり危険から身を守ったりすることができない。「自由を束縛された目撃者」という点では,「裏窓」と同じだ。「裏窓」では,たしか主人公は足を怪我して動けなかったけれど。

青ヒゲのごとく女性を殺害しては,遺体をおぞましい方法で隠匿する,隣のサイコ野郎に扮したのは,私としては未だにグリーンマイルの優しい看守役の印象の強い,善人顔のデヴィット・モース
のっそりとした大男の彼からは,なんとも薄気味悪い雰囲気が漂い,一見善人にも見える表情が邪悪なものに豹変する時の恐ろしさは,格別のものがあった。
Cap052

ケールの母親役の女優さんが,「やけにスタイルがよくて,綺麗なshineお母さんだな~,どっかで観たことあるけど誰だろ~~?」と思っていたら,なんと,マトリックスキャリー・アン・モスだった!wobbly
普通の格好してると,全然そうだとは気づかなかったわぁsweat01
004
身動きの取れない軟禁中のケールが,犯人に対抗する武器は,携帯電話やデジカメなど、現代の若者らしいハイテク機器。そして彼の味方は,同じく高校生の親友ロニーや,彼女のアシュレー。彼ら若者がチームを組み,素人捜査をするところなどは,その無謀さゆえにドキドキして目が離せない。

クライマックスになると,ケールと犯人との,手に汗握る追いかけっこやバトルも繰り広げられて,やっぱりシャイアは死に物狂いで逃げる役が,何故か似合う俳優だ。
009
全体的にみて,「先が読めないこともない」のだが,そうだとしても,なかなか面白く観ることができた作品だったし,俳優さんもみんな好演していたと思う。

私としては,自宅軟禁のシステムやグッズ(あのセンサー)が,一番もの珍しくて楽しめたような気がするけど。・・・・・それにしても,他人のプライバシーを覗き見すると,こんな風に,トラブルに巻き込まれることもあるので,気をつけましょう・・・coldsweats01 という教訓は・・・別に込められてはなかったよね?
Cap038
普通の少年っぽい雰囲気のわりに,セクシーkissmarkな美女とラブラブheart04になる役が多い(似合う?)シャイアくん。彼が出演すると,青春ムービーのような要素がどうしても強くなるのかな?そっちの方はちょっと削って,サイコ・サスペンスの部分をもっとしっかり見たかったかなぁ。(猟奇的な死体とかさ,もっと期待したんだけど・・・・

| | コメント (20) | トラックバック (8)

ダブリン上等!

518dw8nhs0l__ss500_
・・・・・少し古い作品だけど皆さん,これ,ご存知ですか?すっごく面白いですよ〜happy02

アイルランドのダブリンで,どん底人生から這い上がろうとする「負け犬人生」の人々の,おかしなおかしな群像劇。

主要登場人物は,冴えないスーパーの店員や,バスの運転手,銀行マン,やさぐれ刑事,小悪党,男性不信の女性,夫に出て行かれた妻などなど・・・・。

彼らそれぞれの,不器用きわまる生き方と,
少し常軌を逸した行動。

Cap009_2
職場を解雇されたり,自分を捨てた夫を見返そうといろいろやってみたり,けちな銀行強盗をたくらんだり,仕事に熱中するあまり孤立したり・・・・
みんな,少し愚かだったり,思慮が足らなかったり,不運だったりして,全員が自分の置かれた状態に多かれ少なかれ不満を抱いている。

前半は,ばらばらに同時進行してゆくかのように見える彼らの物語が,後半は滑稽に絡み合いながら,ラストへと見事に収束していく,「笑える」犯罪映画だ。
主要登場人物が11人という多さ。よく,こんなややこしいストーリーを成功させたなあ,と脚本家の腕に感心した。

キリアン・マーフィ目当てで観たのだけど,「小悪党を地そのままで演じてる」ようにしか見えないコリン・ファレルのハジケぶりimpact に釘付けになった。

Cap004_2
彼が演じたレイフは,冒頭,甘い言葉でレジの女店員をくどいた後,いきなり彼女の顔面を殴ってpunch 強盗をやらかすようなチンピラである。ちょいワルな表情や,だらしなく崩れた服装や仕草が,コリンにすっごく似合ってて,アレキサンダー大王役より,こちらのコリンの方が100倍もハマってて魅力的だ。

お目当てのキリアンは、この作品ではまったく普通の平凡な青年ジョン
彼は,思ったことを口に出すのが苦手なたちで,恋人のディドラと別れる羽目になり,その腹いせもあって,レイフが持ちかけた銀行強盗の話にのってしまう。

彼が大好きなブラウンソース
なんとwobbly 紅茶にまで!入れて飲んでいた。紅茶の入ったカップに,ソースをぶちゅ〜っとタップリ入れて,スプーンでぐるぐる・・・・。それをキモそうに見ていたレイフにもすすめ、半信半疑だった彼も,「マジでうめえゃ」とハマってしまう。
へぇー、どんな味かしらん?と興味をそそられて,私も紅茶に,お好み焼きソースをいれて飲んでみた。(ブラウンソースがお好み焼きソースと同じ味かどうかは知らないけど)
ん〜〜,・・・・・・甘酸っぱかった。catface

Cap007
物語が終わってみると,登場人物の大半が,最初よりほんの少し,自分の人生を希望あるものに変えていた。
・・・・・恋人とよりを戻したり,自信をつけたり,えらく強気になったり・・・・
もちろん例外もあるけれど。(レイフのように。)

それにしても,この映画の邦題「ダブリン上等!」は,作品の雰囲気にぴったりで,お見事だと思う。原題は「inter Mission」(幕間,とか休憩時間という意味)なのだから。
あと,ストーリーと同じく,はじけたノリノリの音楽note が,とってもクールだ!

| | コメント (10) | トラックバック (3)

遠い空の向こうに

Cap111 NASAのロケット・エンジニアホーマー・ヒッカムの自伝を基にしたヒューマンドラマ。観賞した人はほぼ例外なく,爽やかな感動を味わえる好感度100の作品。若くてみずみずしいジェイク・ギレンホールの魅力も満載だ。

ウエスト・ヴァージニアの小さな炭鉱の町コールウッドに住む高校生ホーマーは1957年10月にソ連が打ち上げに成功した人類初の人工衛星スプートニクに触発されて自作のロケットを打ち上げたいという夢を抱き,級友3人とともに本格的なロケットづくりにとりかかる・・・・・。
Cap055
特にひねりがあるわけでもなく,サクセスストーリーの王道をゆく物語なのだが,この作品には誰の心の琴線にも触れる,ストレートな感動がいくつも詰まっていた
それは・・・・

one 青春ものとしての感動
Cap077 思春期の少年たちのピュアな心や,堅い絆が素晴らしい。コールウッドでは,フットボールが上手くて,大学の奨学金を獲得するような体育会系はもてはやされても,ホーマーのような科学オタクは,やや軽く見られていたらしい。
周囲の揶揄にもめげずに,時々は喧嘩もしながら,「なんとかこの炭鉱の暮らしから抜け出したい」という思いを胸に,夢に向かってまっすぐに向き合う彼らの生き生きと輝く瞳や笑顔がまぶしい。

two  教師ものとしての感動
Cap052
不可能に思えたホーマーたちの夢を,あたたかく応援し続けたライリー先生の存在は大きい。彼女の精神的な支えやアドバイスがなかったら,彼らロケット・ボーイズは,果たしてあそこまで頑張れたかどうか。
教え子の才能を見抜き,進むべき道を提示できる教師は素晴らしい。コーラスマチュー先生を思い出した。「彼らの可能性を信じなければ,教えることなどできない」と言うライリー先生の台詞が心に残った。いい教師との出会いって,ほんとうに人生を変える。(逆も またしかりだが)


three 父子ものとしての感動
Cap115
息子に自分の跡を継いで 炭鉱夫になってほしかった父親と,炭鉱夫にだけはなりたくない息子との対立。内心は愛し合っているのにすれ違う父と息子。「リトル・ダンサー」も,こんな物語だった。あの物語も,バレエをやりたいという息子の夢を,なかなか受け入れられない頑固親父が登場した。そして舞台もまたさびれた炭鉱の町だった。
ホーマーは,フットボールのうまい兄に比べて,自分は父に軽視されていると思い,ロケットへの夢を少しも理解してくれない父へ不満を抱いている。それに対して,父の方は,自分の誇りである炭鉱の仕事を嫌う息子に,怒りや寂しさを感じている。
Cap087
ジェイクの,反抗心とやるせなさをたたえた瞳も素晴らしいが,クリス・クーパーの表情の演技が圧巻。不器用で一徹な頑固親父の,葛藤するさまがとてもよく伝わってきた。
この親子,価値観は正反対だけど,父も息子も頑固で志が高く,実は似たもの同士。それに気づいたときに,ようやく互いの心が素直に結びつく場面は,何度観ても感動する。

four  実話としての感動
Cap072_2  ・・・・考えてみれば凄いことだ。田舎町の高校生4人が,ロケット工学のイロハから独学して,様々な失敗や困難をひとつひとつクリアして,あれだけの偉業を成し遂げるとは。彼らはまさに「道なきところに道を造った」のである。
「炭坑の敷地内でやるな」と言われれば,13キロ離れた場所にまで通うド根性。資金調達のためには廃線の線路をはがして売り,最大の試練だった「山火事冤罪」にも,一度はメゲたものの,無実を立証するまであきらめない。
彼らのアイデアの柔軟さと,不撓不屈の精神には脱帽
(しかしまじめで頭がいいね,50年前の高校生って)

Cap110 頑張れば,みんなが夢を実現できる・・・・とまでは言わないけど,多くの青少年にこれを観てもらって,一度しかない青春時代の純粋なパワーを,夢の実現に向けて使ってほしいし,われわれ大人は,ライリー先生みたいに,彼らをサポートする心を持ちたいものだ,と素直に思えた。
そうだ,少年よ!大志を抱きたまえ!
(・・・とオバサンは叫ぶ。心の中で)

Cap063_3
この作品のジェイクは,食べちゃいたいくらいキュートheart04
食べたら,やわらかで甘くて,美味しそうな感じがする。(←ハンニバルかい!)
ひたむきなまなざしで語るところは,この頃から同じ。炭鉱で働いていた頃は,青いダンガリーシャツにジーンズ姿で,なにやらジャック・ツイストの少年版のようだ。
ああ~~かわいい~lovely

| | コメント (10) | トラックバック (2)

デッドマン

Cap071_2 13年も前のジョニー・デップの映画。ふと,レンタルショップで見かけて借りてみた。「これのジョニーはものすごく美しい」という話を聞いたことがあって・・・・・。きっと退屈するかも・・・と思っていたのだけど,意外にもすぐにその摩訶不思議な世界に引き込まれてしまった。

確かに 途方もなく美しかった。
ジム・ジャームッシュ監督の描くモノクロの映像の幻想的な美。(グレイがすごく美しい。森の木立や水辺の映像は、さながら水墨画のようだ)
リアルタイムで演奏したという,ニール・ヤングがかき鳴らすギターの旋律。
そして,哀愁と倦怠感の漂う,ジョニーの顔!

Cap073 それらは,この世のものとも思えない美しさだった。
ストーリーは,なんとも不思議で,理不尽で,残酷でさえある。
主人公のウィリアム・ブレイク(ジョニー・デップ)は,会計士の職を求めて西部の街にやってきた白人青年だが,手違いから職を得られず,おまけにひょんなことから殺人を犯してしまい,その首に賞金を懸けられて,殺し屋に追われる身となる。心臓近くに銃弾を撃ち込まれたまま,逃亡の旅を続ける彼を助けたのは,はぐれもののインディアン,ノーボディ。彼と過ごすうちに,ウィリアムの中では少しずつ何かが変わり始め,おとなしく気弱だった青年は,追っ手を平然と的確に撃ち殺すことができるようになるが・・・・・。
Cap079
これは,不運きわまる運命にみまわれ,どんどん追い詰められながら,じわじわと確実に死に向かってゆく一人の男の物語だ。救いの無い物語なのに,作品全体に,なぜか不思議な静謐さと,心が洗われるような癒しのムードが漂う。不条理な運命や,迫り来る死を,あるがままに受け入れるという,まるで仏教の悟りの境地のような,穏やかなものを感じるのだ。きっとそれは,ウィリアムの人生の最期を看取る役をつとめたインディアンのノーボディの持つ,何ものにも揺るがされず,大地と一体となってすべてを受け入れるような大らかさの影響かもしれない。
Cap088 登場する殺し屋は,途中で仲間を殺して食ってしまうような,極悪非道な男で,まじ怖いのだが,彼らの登場するシーンや台詞のやりとりは,なぜかコミカルタッチで,笑える場面となっている。

やがて,瀕死の状態で,小船に乗せられ,大海原へと送り出されるウィリアム。生きたまま,葬られるような体験だけど,生きていても,殺し屋に残酷に殺される運命しかない彼を,ノーボディはこの上なく丁重に,安らかな死出の旅へと送り出してくれたのだと思うと,まるで彼はウィリアムの守護聖人のように思えて,やはり鑑賞後はしみじみとした心地よい余韻に包まれた。
Cap093 運命に逆らわないこと,避けられない死をうけいれること・・・なんだか,日本的な無常観も感じる作品だった。おどおどとした普通の青年が,運命に翻弄されて吹っ切れ,次第にアウトローな強さを身につけてゆき,そしてインディアンの死生観に癒されて,静かに死を受け入れるまでの過程を,ジョニーは完璧に演じていた。しかし,モノクロになると,彼は瞳の美しさがなんて際立つんだろう・・・・,Cap102
徐々に身体が弱ってゆく彼の表情の変化の演技は,見事としか言いようがない。その哀しげな,虚ろなまなざしの美しさ。そしてまた,お河童ヘアや,稲妻メイクがこんなに美しく映えるのは,世界広しと言えども,この方しかいないだろう。(チャリチョコでもお河童だった)

追記;この映画,ガブリエル・バーンアルフレッド・モリーナのような御仁も,チョイ役で出ていて,楽しめる。(ガブリエルなんか,あまりにチョイ役なので,よく似た別人かと思った)・・・どちらもジョニーに撃ち殺される役だけど。
Cap101

| | コメント (10) | トラックバック (2)

ドレスデン 運命の日

070206_dresden_main
戦争を描いたドイツの映画は,真摯で秀逸なものが多いので,前々から気になっていたけど「冗長」とか言う評判も聞いて,いまいち手を出しかねていたこの作品。この度観ようと思ったのは,ドレスデンが空襲された運命の日が,2月13日だと知ったから。この日は実は私の誕生日なんです。なんか人ごとじゃない気がして,それで観ようと思った私も単純ですね。

ドレスデン爆撃とは、第二次世界大戦において米軍と英軍によって1945年2月13日から14日にかけて、ドイツの都市ドレスデンに対して行われた無差別爆撃を指す。この爆撃でドレスデンの85%が破壊され、3万とも15万とも言われる一般市民が死亡した。第二次世界大戦中に行われた都市に対する空襲の中でも最大規模のものであった。ソ連軍の侵攻を空から手助けするという一応の名目はあったが、実際は戦略的に意味のない空襲であり、国際法にも違反していたことから、ナチスの空襲を受けていたイギリス国内でも批判の声が起こったという。      出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Cap032
ドレスデン爆撃は,このような未曾有の規模の被害を出したにもかかわらず,これまで世界では,声を大にして語られたことがなかった。それはひとえに,ドイツがこの戦争に対して罪を背負う立場だったからだ。今回の映画化で,おそらく初めて,ドレスデン爆撃の全貌が世界に紹介されたのであるが,だからといってこの映画は,「ドイツだってこんな被害にあったんだ!」と居直っているわけでは決してない。

劇中では,ナチスの横暴や,一般市民によるユダヤ人差別の現状も容赦なく描かれているし,その反対に「ナチスに神の裁きを下してやるんだ」と武者震いしながら爆弾を投下するイギリス側の兵士の言動もきちんと描かれていて,あくまでも中立の立場で,戦争そのものの悲惨さをひしひしと訴える,ドキュメンタリーのような反戦映画になっていた。
そう,監督は忠実に,ドレスデン爆撃の事実を再現して訴えたかったので,本当はドキュメンタリーが作りたかったのかもしれない。
Cap027
しかしそれではストーリーとしての面白みに欠けるので,一応看護師のドイツ女性アンナと,イギリス兵ロバートとの恋愛を軸に持ってきている。この映画,冒頭から爆撃開始までの間,実に1時間半にも渡って,アンナとロバートを中心としたドレスデンに住む市民たちの物語が描かれる。

反戦思想を持つ、気性の激しいアンナと,敵機の攻撃に会って空から敵国に落ちてきたロバートとの許されない恋。アンナの婚約者である誠実な医師アレキサンダー。
密かにスパイ活動を行い,私腹を肥やすアンナの父。そしてユダヤ人の夫を持つアンナの親友マリア。
Cap035
自分達が数日後に爆撃に合うとは夢にも思わず,それぞれの立場で戦争を生き抜こうとしている人々の事情や思惑が,丁寧に綴られ,そしてまた彼らの物語と平行して,連合軍によるドレスデン爆撃計画が着々と進行してゆく様子が映し出される。だから,まもなく惨劇がふりかかるということを知っている私たち観客は,何ともやるせない思いで彼ら市民を見守ることになる。

そして運命の日。いよいよ爆撃が始まった。
Cap064
石造りの建造物でできた街を破壊するためには,膨大な量の爆弾が必要だったろう。炸裂する夥しい数の爆弾を受けて,建物は倒壊し,街は瞬く間に紅蓮の炎に包まれる。

舞い上がる灼熱の火炎地獄の中を逃げ惑う人々。(実際に最高1500℃もの火災旋風が起こったという。) 地下の防空壕の中で一酸化炭素中毒で命を落とす人々。
まさに阿鼻叫喚の地獄絵図が,一晩中繰り広げられる。

燃えさかる乳母車を押しながら,放心したようにさまよう女性。死を覚悟して静かに祈りを捧げる人々。涙を流しながら彼らの頭に銃弾を打ち込む兵士・・・。

Cap068
その中を,アンナは恋人のロバートと,婚約者のアレキサンダーと3人で,地下に逃げる。(こんな非常事態だからこそ一緒に行動できたけど,普通は三角関係だよね,この人たち。)やがて崩れた壁に足を挟まれたロバートと残ると主張するアンナ。結局アレキサンダーは二人と別れることになる。(この人,なんだかかわいそう。みんなに振り回されて)

一夜明けると、世界一美しいと謳われた街は,完全に瓦礫の山と化していた。
その中で、主要な登場人物は、ほぼ生き残ったというのは,かなり無理があるけど,(死んだのはアンナの父のみ。ちょっと不自然)まあ,そこは映画だから。
Cap070
ラストは現代によみがえった聖母教会で,平和の式典を行う人々の実際の映像で幕を閉じる。アンナを演じた女優さんの最後のナレーションは,映画の訴えたいことをやや言葉で語りすぎの感もするけれど,ああ,やっぱりこの映画は,反戦の強い強い思いをもって製作されたんだなあ,ということを改めて感じた。

国の主導者が仕掛けた戦争であっても,その背後には大勢の命を奪われる罪のない国民たちがいて,彼らもまた被害者なのだ。そこには戦勝国も,敗戦国もなく,死んでいった人々の無念の思いは,いつの時代も,どこの国でも変わらない・・・。
わかっていると思っていたことだけど,映像を見るとやはり,言葉を失うほどの哀しみや痛みを感じる。

この映画を観て,それまで全く知らなかったドレスデンの爆撃について,知ることができてよかったと,心から思う。・・・2月13日。自分の誕生日と同じだから覚えやすい。これから誕生日を迎えるたびに,私はきっと,ドレスデンのあの日に思いをめぐらすと思う。

| | コメント (12) | トラックバック (7)

追悼ヒース・レジャー/チョコレート

Cap064 これは恋愛が主題の物語ではない。これは,それまで愛を表現するすべを知らなかったひとりの男が,大きな痛みを経て生まれ変わる物語。そして,深く傷ついたふたつの魂が,常識を乗り越えて互いに癒し合う物語だった。
ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は、人種差別の激しい、南部ジョージア州の刑務所の看守。彼の父も看守だったし、ひとり息子のソニー(ヒース・レジャー)も彼の後を継ごうとしていた。ある日、死刑執行の任務を満足に果たせなかったことで、ハンクに激しくなじられたソニーは、祖父と父の前で自殺してしまう。ショックで看守を辞めたハンクが出会ったのは、レティシア(ハル・ベリー)という黒人女性。自分と同様、息子を亡くしたばかりの彼女にハンクは惹かれるが、実は彼女は、ハンクが処刑執行を行った死刑囚の未亡人だった・・・。
Cap039 冒頭に登場するハンクの、まるで感情が感じられない,冷たく乾いた表情に、まず驚かされる。彼の家庭は,老いた父と息子のソニーの3人暮らし。殺伐とした男所帯で,父もハンクも,妻には逃げられたような雰囲気がある。ハンクの父親は,いかにも頑固で傲慢そうな老人で,ハンクの冷淡さは,すべて父からの影響と思われる。
たとえば,敷地に入ってきた黒人の少年たちを銃で追い払うほどの強い差別意識とか,女性を物のようにしか扱えないところとか,息子に対して愛情のある言葉を決してかけないところとか
そのように父親に育てられたから,ハンクもまた,息子に冷たく接することしかできないのだろう。息子に決して笑顔や褒め言葉を与えず,プレッシャーだけを投げつけ、「女の腐ったような奴」「母親そっくりだ」と罵倒する。
Cap034 ソニーは心の優しい青年で,黒人少年とも親しくつきあい,繊細すぎて,看守という仕事には向いていない。父親に愛されたいと願いながらも,愛されるどころか,、疎まれているという実感しかないソニーの切なく寂しげな表情。彼は父や祖父の考えや生き方を押しつけられ,頑張ってもひとことも褒めてもらえない。
そんなソニーを演じたヒースの演技は,すばらしかった。台詞はあまりないが,彼の傷ついた目の表情は,ソニーの心の痛みや悲しみを雄弁に物語り,哀れさに胸がしめつけられた。「父さん,俺を愛してないだろ?」という問いに,「ああ,愛してない。昔から」と答えたハンク。「俺は父さんを愛してた」と言うやいなや,自分の心臓に拳銃の弾を撃ち込んだソニー。何てことを息子に言うのだ,この親父は!とこのシーンはハンクに怒りを覚えたが,考えてみれば,あのとき,あの場には祖父もいて,一部始終を観ていた。冷酷な祖父の手前,ハンクはソニーに「愛している」と素直にいえなかったのではないか。
Cap049_3 彼は息子を愛していたはずだ
その証拠に,その後彼は「息もできないくらいの苦しみ」を味わい,看守もやめてしまう。自分も父親に愛された経験のないハンクは,ソニーに対して愛情の示し方を知らなかったのだろう。「自分の殻を破りたくてもできないんだ」と,レティシアに告白するハンクの台詞が切ない。ソニーの死後,レティシアと出会ってからは、ハンクはまるでつきものが落ちたかのように,哀しげで静かな表情になる。父親から受け継いできた「愛せない」という呪縛から、解き放たれることを願い始めたのかも知れない。

人種差別主義者だった彼が,黒人女性の彼女と結ばれる・・・・。最初のそれは多少は酔った勢いだったかもしれない。しかし,彼も彼女も,大きすぎる心の空隙を埋めるために,互いのぬくもりを必要としていたのだろう。
同じような痛みを体験したものでないと理解できない苦しみがある。
彼らは互いに,ことばの慰めでは得られない癒しを,与えあうことができる。

Cap050 どんなに悔やんでも,,取り返しのつかない息子の死。その衝撃は,ハンクのこれまでの生き方を変えた。仕事を変え,呪縛となっていた父親と決別し,「愛する人を大切にする」生き方をしたいと願うようになったのだろう。一方、苛酷な人生に疲れはて、最愛の息子を亡くしたばかりのレティシアは、息子の代わりに誰かの温もりを必要とし、大切にされたい」という思いを持っていた。

彼ら二人は互いを満たし合い,癒し合える条件を備えていた。ただ,彼が彼女の夫の処刑執行を行った、という事実にどう向き合うか・・・ハンクは早い時期にそれを知り,それでも彼女を愛する道を選択するが,レティシアがそれを知ったのはラスト近くだ。激しいショックを受けた彼女だけど,チョコアイスを買って戻ってきたハンクを迎える彼女は,彼に対して何も言わない。入り口の階段に並んで腰掛け,アイスを食べながら,「俺たちきっとうまくいくよ・・・」とほほえむハンクをじっと見やって,レティシアもまた,うっすらと微笑する。
Cap061 彼女はこのとき,いったいどんな心境だったのだろう。
物語はそこで終わり,彼女が真実を知った後も,彼を受け入れたのかどうか,説明する台詞は何もない。観客のそれぞれの解釈に委ねられているかのようだ。

このラストの余韻は強烈で,私は彼女の心境をいろいろ想像して,昨夜はなかなか寝付けなかった。私が彼女なら,どう感じるだろう・・・・?ハンクの愛を,良心の呵責から来る憐れみの一種と思って,素直に受け入れられないかもしれない。
しかし,微笑む前の彼女の視線が,庭に立てられた三つの墓石に向かうのを思い出したとき,やはり彼女は,ハンクを受け入れることにしたのだろう,と思った。
レティシアの夫と,息子と,ハンクの息子ソニー。三人の死を悼みながら,悲しみを克服して生きるためには,彼らはやはり,お互いを必要としているのだから。過去の因縁も,人種の壁も関係なく,寄り添って生きる道を選んだのではないだろうか・・・・と,私は思う。

追記: ヒースが劇中で自殺してしまう作品・・・・それがこのチョコレート。今,これを観るのは確かにかなり辛いものがあったけど,私は初見時に彼の演技をじっくり観てなかったので,出番は少ないけど,絶賛されたという,この作品での彼を再見してみた。そして,やはりソニーが死ぬ場面では泣けてしまったのだけど,こんな複雑でデリケートな役ができるヒースは,やっぱり凄い!と思った・・・。

| | コメント (8) | トラックバック (3)

ドニー・ダーコ

Cap040_2
2001年,サンダンスを熱狂させた,リバース(反転)映画の草分け的な作品。

主人公のドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)は,精神科のセラピーを受ける17歳の高校生。ある晩,彼は不気味な銀色のウサギに呼び出され,「世界の終わりまで,あと28日と6時間42分12秒」だと 告げられる。帰宅してみると,ドニーの部屋には,飛行機のエンジンが落下していた。危うく命が助かったドニーだが,その日以来,銀色のウサギはドニーの前に現れるようになり・・・。
Cap031_2とにかく,難解な作品で,何度観てもはっきり答えが分からない、というか,いかようにも解釈できる点もある。飛行機の落下事故で,死んでいたはずのドニー。そしてネタバレ覚悟で言えば,彼はウサギのフランクが言った「世界の終わり」が自分にとってどんなものかを28日後に見届けた後,実際に「死ぬため」に事故の時間まで戻るのだが, じゃあ,彼が生きていたあの28日間は何?ということになる。

精神疾患を持つ思春期の若者の妄想かもしれないし,神の啓示,あるいは予知夢?とも思えなくもないが,私はこれをSFととらえると,ドニーは「自分が死ななかった世界」というパラレルワールド(平行世界)に迷い込んだのではないか,と思った。
Cap029 彼の死の原因を作ったエンジンは,実は実際に落下する28日後に上空を飛んでいた飛行機のもの。ドニーの母が帰宅のため乗っていたあれ。エンジンは時空の渦に巻き込まれて,タイムスリップし,なんと28日前のドニーの部屋に落ちてきたのだ

だから,実際に落ちてきた日から,28日後までは,実は原因のエンジンは存在しないわけだから,その間は「ドニーが死ななかった世界」という,別世界が存在してもおかしくない気がする。(ややこしいですね。自分で言っててわかりません)そして、そのパラレルワールドを案内し,「ドニーが死ななかった場合に起こる悲劇」を見せれくれたのが,ウサギのフランクだったのではないか。
Cap015_2 それは,ドニーだけでなく,この28日間に知り合った恋人のグレッチェンにふりかかる悲劇であり,ウサギのフランクにもふりかかる悲劇だった。(フランクが誰かわかった時は驚いた。)それを知ったドニーは,今まさに飛行機のエンジンが時空を越えて落下しようとするときに,「帰ろう」とつぶやいて一気に時をさかのぼり,28日前の自分の部屋へと戻って行くのだ。(←でも,どうしてそんなことができたんだよ??)そう,自分にさえ出会わなければ,グレッチェンも,フランクも悲劇に会うことはなかったのだから・・・・・。
Cap045_3 無事に時間を巻き戻して,自室のベッドに戻れたときの,ドニーの心から幸せそうな笑顔が切ない。その顔には,これから訪れる死への恐怖は見られない。「世界の終わりには安心していよう」・・・未来を見届けたうえで,過去へ戻って死ぬことを選び取り,穏やかにそれを受け入れたドニー。グレッチェンの記憶の中から,彼がいなくなることも厭わずに。(時間を巻き戻す前に,車の中で,まるで別れを告げるみたいに,グレッチェンの顔をじっと見つめていたドニーの目!)

そう思うと,これは「バタフライ・エフェクト」や「ジャケット」と同じような哀しいハッピーエンドの物語で,それゆえにラストは,やるせなさとともに,一種の清清しい余韻を感じた。
Cap053_2
ジェイクは,この当時は21歳?17歳の高校生の役がよく似合っていて,
若い,若い!白いカッターシャツがハマっていた。お顔の方も,「ただいま製作途中です。あと2,3年で仕上がります」という,今よりは詰めの甘い顔をしている。難解な物語の難しい役なのに,この作品で彼が見せた,繊細で大胆な演技は強く心に残る。時に愛らしく,時には狂気をはらんだ哀しげなその瞳の表情。ガラスのように脆く,複雑な感性を持つ思春期のドニーは,ジェイクだからこそ,演じることができたのだと思う。

そして,この作品のわずか4年後にブロークバック・マウンテンなんだよね。やはり,この人の俳優としての才能は,ただものじゃないものを感じる。
Mkp_ros_img_161220051540230_2






今はこんな大人です・・・・。

| | コメント (14) | トラックバック (5)

ダイ・ハード4.0

Cap204これも実は劇場で観たのだけど,なぜ記事を書いてないんだろうと思ったら
ブログを開設したばかりの頃だったので,慌ただしかったんだわ。
で、遅ればせながら今頃失礼します。DVDも出たことだし。
帰ってきたウルトラマン!じゃなくてジョン・マクレーンさま!
別に期待して待っていたわけじゃなかったけど(ブランクの期間
長すぎたからねぇ)やはりあなたに逢えるのはどきどきしちゃいます
この何十年間か,世間には出なくても,お元気で勤務されてたようですね。
Cap215 50過ぎで「ダイ・ハード」(死ぬほどキツイ)を演じられるのかブルース?
っていろいろ心配していましたが,全くの取り越し苦労でございました。
むしろ,むかしより貫禄のついた体格でのアクションは,
若かりし頃のアクションより 余裕,余裕のノリでした。
ダイ・ハード1は不滅の大傑作ですが,あのころのマクレーンさまは,
満身創痍になられた時,いかにも痛そうで,
それでも歯を食いしばって頑張っているお姿が
等身大のヒーローとして新鮮だったわけですが。
今回のマクレーン様は余裕たっぷりでアクションを楽しんでおられる様子が,
なにやらスティーブン・セガールを観ているような気に・・・。
まあ、その分安心して観ていられましたが。
Cap187 しかし,何ですね,時代が変わればアクション映画のスケールも
どんどん大きくなっていくわけで,今回はサイバーテロによる国家の危機
たった一人でアメリカ合衆国を救うだなんて,なんてまあグレードアップ!
1作目の ビル内に限定されたテロが懐かしゅうございます。
従ってストーリーは どうしても無理はありますが,そこは目をつぶります。
公共物破壊しすぎだろとか,絶対今の攻撃でアンタ死んでるはずじゃんなんてつっこみません。
いや,つっこむ暇ないくらい 怒濤の展開が面白かったです。

今回の相棒が,これまでとタイプが違って,
息子のような年のハッカー小僧マシュー(ジャスティン・ロング)というのも
絶妙な取り合わせ。二人のやり取りも,掛け合い漫才みたいでよかったです。
また,それでいて,やるときゃやるんですよね,
互いに得意分野をフルに生かして助け合う。

窮地に陥っても,マクレーンさまのジョークは今回も炸裂。
「俺は確かにアナログな人間だが,まだ生きてるぜ」と敵に言う台詞とか,
「救出作戦は?」とビビる相棒に「娘を助けて後は殺す」と
いたって単純明快に答える台詞にしびれました。
あー,私もあなたのようにシンプルに力強く生きてみたい〜!

今回の敵役は,異様な感じはしたけど,そんなに怖くなかったです。
(私的には,1のアラン・リックマンが一番不気味でした。)
Cap219それよりもマギー・Qのアクション,すごかった。この人はかっこいいですね〜。
あんな美女を,悪態つきながら,ためらいもなく
ボコボコにやっつけるマクレーン様、あなたもまた凄い。
愛娘もまた,普段はマクレーン様に反発していても
いざというときはやっぱり
この父にしてこの娘あり」の気概を見せてくれましたね。
劇場で観てよかったです!私にとっては1の次におすすめのダイ・ハードです。
しかし,今回で「マクレーン健在!」の証明をしたこのシリーズ。
もし5を作るとしたら,救出する相手は孫かしら?
そして地球の危機を救うためにエイリアンと一人で戦う・・・とか?
Cap209

そこまで来ると,もはやホラ話の域ですわねぇ。

| | コメント (20) | トラックバック (9)

タイタニック

Cap050これもまた 太陽と月に背いて記事はこちら)と同様に美しかったレオ様を偲ぶ作品(今のレオも男らしくて別の意味で好きだけど)

私がこれまで観たレオの作品で,好きな順は(彼の若い頃のばかり)タイタニック>仮面の男>太陽と月に背いて>キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン>ギルバート・グレイプ。このチョイス,レオが美しいかどうかという基準で選んでるかも。(汗)
Cap025
さて このタイタニック キャメロン監督がこだわりまくって作った大作だけに,見どころは山ほど。たとえば・・・・・
当時はまだ 今ほど一般的でなかったCGの大胆な使用。
迫力溢れる映像で,忠実に再現してみせてくれたタイタニック沈没の全貌。
そして 胸を打つジャックと
ローズの悲恋。
Cap013
意に添わない婚約をした上流階級の少女が,身分違いの少年と恋に落ち,片方が死ぬ
という筋書き自体は,別に目新しいものではなく,日常の世界を背景に描かれていたら,いくらレオが主演でも凡庸なものになっていたかもしれない。

しかし,タイタニック沈没という世にも悲劇的で有名な事件を背景に持ってきたからこそ,二人の恋はかくも激しく,観る者の心を揺さぶったのではないだろうか。
客船の中という限定された空間と,沈没までのタイムリミット。結ばれた次の瞬間から,甘い余韻に浸る間もなく,過酷なサバイバルゲームの渦中に投げ込まれる恋人たち。

Cap097 生死にかかわる非常事態の中に咲いた悲恋の花は,その背景が修羅場であるからこそ、美しさが際立つような気がする
それにしても,レオが演じたジャック・ドーソンというキャラの 何と魅力的なこと。容姿ももちろんだけど,その生きる姿勢に引き付けられる。何より自由で,誇り高く,勇敢であるところに。

Cap142 金持ち連中との晩餐会でも,少しも臆するところなく,「どんなカードが配られても,それもまた人生」と胸を張るジャック。そして,惨劇が起こり,どんなに絶望と思われた時も,ローズへの愛と,生きる希望を絶対に放棄しなかったジャック。

・・・・これは,ローズでなくても惚れるでしょ~。

Cap090_2
観ている間,ローズ同様に彼に恋をした人も多かったはず。
彼とだったら,私だって,地獄の底までご一緒したくなりますよ
ジャックは,レオの持ち味が最も活かされ,彼が一番まぶしく輝いた役かもしれない。しかしジャックがローズを愛した理由は,いまいち説得力がないかな?

一目惚れ?ローズの美しさに惹かれたのかな?確かにローズは,体型はともかくとして,フランス人形のように綺麗だけど。
ジャック・ドーソンのような個性的なキャラが,命を賭けて愛する理由としては,ちと弱いような気がする。彼は,ローズの内面の自由な精神に,自分と似たものを感じて惹かれたのかもしれない。
Cap055
一番好きなシーンはやはり,あの肖像画を描く場面
ケイト・ウィンスレットのクラシカルな美しさにも目を奪われるけど
彼女を見つめるレオのまなざし(セクシー♪)に,こちらまでドキドキ。

Cap056
ジャック・ドーソン
ほんとうに彼はまるで天から舞い降りてきたような,抗いがたい魅力があった

だから、彼が死んだ時は,本当に絶望的に悲しかった。
穏やかに目を閉じたジャックの身体が,凍てついた海の底に沈んでいく映像は,何度見ても「嘘でしょ〜,死ぬなんて」と叫びたくなる。これがもし連続ドラマなら,TV局に助命嘆願書を出す,絶対。そして私がローズなら後を追うかも。でも、ローズは彼の遺言に従って,生きる道を選ぶ。

Cap126 あんなに愛した人を,その後何十年も,誰にも言わずに心の奥に秘め続けたローズは,やはり強い女性だなあと思った。(←したたかと言うべきか?)

音楽がまたすばらしく,主題歌を耳にする度に,あの日 タイタニック号と共に沈んでいった大勢の人々の,それぞれの物語と,ジャックとローズの愛に思いを馳せてしまう。

・・・・間違いなく,映画史上に燦然と輝く名作だ。
Cap148_2
劇場で観たとき,エンドロールが完全に終了するまで,観客は 誰ひとりとして席を立つことができず,圧倒的な余韻に浸っていたことを,昨日のことのように覚えている。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

太陽と月に背いて

Cap003_2 この映画、詩人のランボーヴェルレーヌの自伝的な物語なのだそうだけど,ランボーを演じている若き日のレオナルド・ディカプリオすごく美しいらしいので,観てみた。(理由はそれだけなんだけどね)。最近やや堅肥りになり 眉間の縦じわもめだってきたレオ様の、(失礼)まぎれもなく美青年だった頃を懐かしんで・・・。
Cap022_2   おお〜!
確かに輝くばかりの  匂い立つような若さと美しさ!
タイタニックのレオより美しく,魅力的ではないか。
スレンダーで,初々しくて。まるで子鹿のようにしなやかで。
物語は,一口に言えば,彼らの間に繰り広げられた,
破天荒で破壊的な愛憎劇
史実に基づいているらしいけど,本当にランボーってこんな男だったのだろうか?

彼の詩がどんなものか,読んだことはないけれど,この物語のランボーは,際だった才能を持ち,傲慢で,不遜で,他人の思惑など一片も顧みない,まことに鼻持ちならない人物に思えた。同時に,彼の天真爛漫で,どんなときにも物事に捕らわれない自由な生き方は,確かに麻薬のような魅力があると言えなくもない。Cap019
お相手のヴェルレーヌは,全くもってどうしようもなく情けない男として描かれている。美しい妻の体を愛しながらも,ランボーの才能や魂にメロメロになり,彼との逃避行に踏み切るが,妻との関係も断ち切れない。(まあ,最後はあいそをつかされて離婚されちゃうのだが)おまけにアルコール中毒ときた。

優れた才能を持った芸術家は,
平穏で凡庸な恋愛とは,やはり縁がないのだろう。
新しいものを創り出す才能を持って生まれた彼らは,同時に容赦無く破壊する習性もまた持っているのかも知れない。彼らの間の愛は 常軌を逸脱した激しさと危うさを持ち,互いに深く傷つけ合いながら、痛ましい終焉へと進んでゆく。 Cap017 ランボーは、ヴェルレーヌの手のひらをナイフで刺し貫くが,ヴェルレーヌもまた、自分から去ろうとした ランボーの手のひらを,拳銃で撃ち抜いてしまう。(まるでキリストの磔刑の傷のようだ)