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2025年6月15日 (日)

金子差入店

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差入店という職業のことも、主演俳優さんの丸山隆平さんのことも全く知らないまま、テレビの番宣から興味を惹かれて劇場で鑑賞。一番の動機は、差入店という職業に対する純粋な興味だった。

差入店とは、拘置所・刑務所・少年院・少年鑑別所・代用刑事施設に収監や収容されている受刑者、被疑者、被告人などに差し入れる各種商品を販売している商店である。 差入屋・差入所と称する店もある。(ウィキペディアより) 
拘置所等に差入する品物は制限もあり、差入店はそれらを熟知しているのと、面会をしたくない、または出来ないとか禁止されている人に代わって差入や面会も代行してくれる職業らしい。

主演俳優の丸山隆平さん、本業はアイドルグループSUPER EIGHTのベーシストだとは初めて知った。ベーシストとしても非常に高い評価を受けていると知り、彼の演奏動画を検索したりして、さらに感激。そっち方面は全く興味なくて疎かったので失礼しました。

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 とにかく、この丸山隆平さんの演技がめちゃくちゃ良かった。演じる主人公の金子真司は元服役者で、出所後に叔父の差入店を継ぐという設定だが、冒頭に服役中の真司のところに妻の美和子(真木よう子)が面会に訪れるシーンがある。この時の丸山さん、坊主頭で眼光鋭く暴力的で妻に怒鳴り散らしたので、「このひと誰?」と思ってしまい、ポスターや番宣で見た丸山さん演じる真司と同一人物だと気づかないまま物語が始まってしまった。

その後、髪を伸ばし穏やかで控えめで子煩悩な真司が美和子と差入店を営む場面に移行した時、あらかじめストーリーなどノーチェックで鑑賞した私は、ここで初めて丸山さん演じる真司が登場したと勘違い。美和子は服役中のイカレた亭主とは別れ、亭主の子を連れて優しい真司と再婚したのかな?真司は美和子の連れ子を実子のように可愛がっているのかなあ、なんて良い人・・・などと中盤まで勘違いしていた(-_-;)。もちろん途中で、冒頭のあの人も丸山さん演じる真司だったと気づいて、全く別人を演じることのできる彼に驚いたし、一気に鑑賞のテンションが爆上がり。

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演技がすごいといえば、幼女殺人犯を演じた北村匠海さんの怪演も素晴らしかった。最後まで同情できないし救いもないキャラだけど、「君の膵臓をたべたい」の時のピュアな面影はどこにもなく、半目になった瞼や小首を不気味にかしげる仕草のなんと気味の悪いこと。病んだ犯罪者そのものにしかみえなくて、鳥肌が立った。

この作品では、差入店という仕事に対する世間からの偏見も描かれている。世間に後ろ指さされる服役者やその家族に便宜をはかる稼業だからだろうか。店主の真司が前科者だったということが知られ、ご近所の幼女が誘拐され惨殺される事件が起こってからは、妻の美和子は周囲からは軽く村八分的な扱いを受け、息子の和真は小学校でいじめられる。和真の友達でもあった幼女を惨殺した犯人(北村匠海)に差入を続けるという葛藤に苦しみ、自分の家族に向けられた理不尽な偏見や仕打ちへの怒りをあらわにする真司。しかし、「私たちは悪くない」と言い切る妻の美和子の強さとしなやかさに救われ、飄々とした伯父(寺尾聡)の言葉に、ささやかな慰めと希望を見出していく。

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もうひとつ、この作品で描かれる大切なエピソードは、母親に売春を強要されていた女子高生・二ノ宮佐知(川口真奈)と、佐知の母を殺した横川哲(岸谷五朗)との物語だ。佐知はなぜか自分の母を殺した横川に毎日のように面会を申請しては断られていた。佐知がなぜ横川に面会したいのか、そして伝えたいことは何なのかを知った真司は、ルールを破って面会を手助けする。真司が差し入れるものは、時には単なる物品だけではなく、ひとの大切な想いや願いでもあるのだと感じた。

良質な激渋ヒューマンドラマ作品としてかなりお勧めです!

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