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2025年5月18日 (日)

異端者の家

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昔からヒュー・グラントのファンだった。

モーリスで知り、フォー・ウェディングでどハマリ。ラブコメ界の帝王として名を成し、シリアスな作品では今ひとつの評価が定着し、ブリジット・ジョーンズシリーズコリン・ファースの天敵の不実なプレイボーイ御曹司役がまたアタリ役となったヒュー・グラント。歳を重ねてまさかホラー映画の悪役とは!昔の爽やかでソフトなインテリ癒やしキャラからは全く予想できなかった進化ぶりに、嬉しくもドキドキしながら劇場に駆けつけて鑑賞。

あらすじ∶二人のモルモン教宣教師のシスターが、大雨の降る中、ある家を訪ねる。玄関に現れたミスター・リード(ヒュー・グラント)は、雨に濡れるからと二人を家の中へ誘う。妻が中にいるという言葉を信じて、家へと入っていった二人だったが、そこは一度入ったら脱出不可能な仕掛けの張り巡らされた家だった。(シネマトゥデイ)

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得体の知れない恐怖に襲われると評判の今作。

たしかに絶叫ジェットコースター系もしくはスプラッター系の派手なホラーではない。そんなわかりやすい怖さではなく、一見穏やかなジェントルマンに見える人物が実は最恐の狂ったサイコパスで、囚われた少女たちが少しずつそれに気づいてゆき、気がついたら罠の中にどっぷりとはまって脱出不可能、という恐ろしさがまさに絶望的で、恐怖度がラストに向けて確実に上がってゆく作りになっているところが、本当に不気味で居心地悪いのだ。肝が冷える、とはまさにこのこと。途中で、ええ〜っ!と驚愕したり眼を覆いたくなる場面もある。回数は少ないけど。

原題の「Heretic」は「異端者」という意味だけど、邦題の「異端者の家」は秀逸だと思う。ミスター・リード本人が恐ろしいのは勿論だけど、脱出できないような仕掛けだらけの迷路のような彼の家こそが本作の面白さと恐怖を高めているのだから。観客はお化け屋敷や恐怖の館に迷い込んだような緊迫感をじっくりと味わえる。
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それにしても、ヒュー・グラントの笑顔がこんなに恐ろしいとは!

声を荒げたり恫喝したりは一切なく、物腰もソフト。真顔と笑顔が繰り返し現れ、凶行の際の無表情とその後の微笑がさらに恐ろしい。

宗教問答のような会話場面も多いので、キリスト教の知識があれば余計に楽しめるかもしれない。私はクリスチャンなので、ミスター・リードが少女たちに投げかける問答はよく理解できた。しかし、キリスト教の知識が無くても、何となく言わんとするところはわかるし、彼がやりたいことは信仰ではなく支配で人を操りたいのだということがわかればそれでいい話かもしれない。

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彼が犯罪を犯すきっかけになったのは何なのか?とか、何故サイコパスになったのか?とか背景や生い立ちなどがもっと知りたかったかな。あと、少女たちを演じていた女優さんたちがとても良かった。

ヒュー・グラントファンの人、ちょっと風変わりで歪んだホラーサスペンスが好きな人、監禁脱出ものが好きな人に特にお勧めします。
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若かりし頃の美しいヒューもどうぞ!

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