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2024年12月18日 (水)

グラディエイターⅡ 英雄を呼ぶ声

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あの、神作・グラディエイターが26年ぶりにまさかの続編!これは駄作に終わろうと絶対に観なければ!と劇場に駆け付けた。26年ぶりでも前作からしっかり話を繋げている。

あらすじ:ローマ帝国が繁栄した時代。静かな暮らしを送っていたルシアス(ポール・メスカル)は、将軍・アカシウス(ペドロ・パスカル)が率いるローマ帝国軍の侵攻によって妻を失い、捕虜となる。アカシウスへの復讐(ふくしゅう)を誓う彼は、奴隷商人・マクリヌス(デンゼル・ワシントン)との出会いをきっかけにローマへ向かう。そこで剣闘士「グラディエーター」となったルシアスは、円形闘技場「コロセウム」で行われる闘いに身を投じる。(シネマトゥディ)

どこが繋がっているかというと、ルシアスはアウレリアス帝の娘ルッシラの息子で、前作では少年王子として登場していたが、コモドゥス帝亡き後、命を狙われる危機から救うために母ルッシラにより異国へ逃がされていた、という設定。つまりルシアスは実は皇帝の後継者であり、さらにさらに実はルッシラとマキシマスとの子だった!という設定。そして父マキシマスや祖父アウレリアス帝の遺志を継いで、ローマを悪政から人民の手に取り戻すべく闘う・・・という流れ。

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ルシアスを演じたポール・メスカルさんは今作で初めて見たけど、この画像はショーン・ペンに似てる。

なんといっても、ルッシラ役のコニー・ニールセンが26年の年月を経て続投していただけたのが、この「ある意味都合よすぎる?」続編のストーリー設定に説得力を与えている。実は前作もじっくり見返してみたけど、ルッシラとマキシマスが昔恋仲だったようなことはふんわりと描かれていたが、マキシマスがルシアスの父親だということを匂わせる描写は無かった。そもそもマキシマスにはコモドゥスに殺された愛する妻子、それもルシアスと同じくらいの年齢の息子がいたわけで。マキシマスはルシアスが自分の息子だとは全然知らなくて、ルッシラだけが胸に秘めていた・・・ということになるのだろうか。しかしやはりそこらは続編のための後付けの設定に思えてならないのは私だけだろうか。

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しかし、26年前と大きく容姿も変わらないルッシラが「マキシマスはルシウスの父だ」というのだから、説得力が半端ない。マキシマスの形見の指輪まで登場し、そんなん前作ではチラリとも出なかったやん!とつっこみつつ、コニー・ニールセンの若さにはひたすら恐れ入る・・・。前作のとき33歳の彼女は今作では59歳。スタイルもちゃんと維持していてほんとにお美しい。ぶっちゃけ、私は彼女が続投すると知って続編を観たい!と思ったほどだ。

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今作の悪役というか、ローマの民を苦しめる悪帝は、カラカラ帝とゲタ帝の兄弟。史実ではゲタのほうが弟らしいけど、映画ではどう見てもゲタ(右)は兄っぽい。どちらも狂ってる感が半端ないけど、カラカラのほうがより狂気や闇を感じるキャラで、弟のゲタ帝殺しは史実に基づいている。カラカラ帝って、大浴場を作った人やん、としか知らなかったが、かなりやばい奴だったのね。ペットのおサルはかわいかったけど。

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で、今作で実は最も腹黒く、ローマを手中におさめようという野望を隠し持ち暗躍するもと奴隷だった商人役のデンゼル・ワシントン。彼とコニー・ニールセン以外は知名度の低い俳優を揃えているので、まあ存在感が際立つこと際立つこと。影の主役というか、実は主役を完全に食っていた。

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で、結論だけど、本作は続編としてはよく頑張ったと思う。前作への回想シーンや音楽を効果的に使い、前作との繋がりをしっかりと示したところや、監督お得意の迫力ある戦闘シーンが、いろいろと工夫され、前作に引けを取らなかったところが勝因だろう。・・・ただ、やはり前作をしのぐことはできなかったと思う。いや、前作が神作品すぎたのかもしれないけれど。

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元祖グラディエイターと、本作の違いはやはり、主役のオーラの圧倒的な差だろう。ラッセル・クロウもポール・メスカルもどちらも爽やかなイケメンではない。男臭く、武骨なおっさんキャラであることは同じだけど、ラッセルのセリフ回し、まなざしや表情の動き、立ち居振る舞い、それらすべてから感じる名優のオーラは、やはり別格である。メスカルも鍛え上げた肉体と見事な動きの戦闘シーンは素晴らしかったが、それ以外の演技はどうしたってラッセルにはまだ及ばない。

それに、ストーリーに関しても、前作のマキシマスが剣闘士になり、仇のコモドゥス帝に闘いを挑む理由や置かれた状況が、あまりにも過酷で悲惨で、それゆえに漂う決死の覚悟というか、悲壮感が凄かった。有能なローマの将軍で皇帝の後継者にまでなりかけた彼が、コモドゥスの歪んだ妬心により命を取られかけ妻子も惨殺され、奴隷の身にまで落とされる。絶頂から一転、死の淵にまで沈んだ彼がそこから蘇り復讐を誓って再起する物語は、巌窟王やベン・ハーにも通じるものがあり、結果が悲劇に終わろうとも観るものをひきつけてやまない魅力があった。悪役コモドゥスを演じたホアキン・フェニックスはどこまでも卑劣で、彼が死んだときのカタルシスと言ったらなかった。そういう唯一無二のストーリーが、やはり今作ではどうしても弱かったと思う。妻をローマ軍に殺されたルシアスではあるが、戦で亡くしたのであり、謀りごとによって惨殺されたマキシマスの妻子の悲哀に比べればやはり弱い。

いろいろ書いたけれど、今作でマキシマスが「ルシアスの父」として再び蘇り、作品の中の重要な役割を果たしたことはやはり前作のファンとしては嬉しかった。

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コメント

こんばんは♬

グラディエイターⅡ、私も11月に見に行って参りました。

戦闘場面の多い映画はあまり見ないほうですが、
『アフターサン』で熱演していたポール・メスカルを見たくて
行ってきたんです(*´∀`)
繊細な役どころを演じるメスカルががらりと変わってたくましい演技をするのは
どうなのかとハラハラしながら(笑)みましたが
私の中では合格でした(えこひいき?)
デンゼル・ワシントンの演技も良かったので、とても感動して見終えました。

エンドロールには「看護隊」と思える方々の名前も出てましたネ。
CGを使わない迫真の戦闘シーンではケガ人もきっとたくさん出たことでしょう。
画像としても素晴らしかったと思います。

初代グラディエーターは見たことがありませんで
比較することなく、見れたことは良かったと感じてます。

ポール・メスカルについては、『異人たち』も見ました。
こちらも心を打たれた作品でした。

ポール・メスカルさん、私は初見だったのですが、繊細な演技の俳優さんなのですね。
勉強不足でたくましい役専門かと思っていました。
戦闘シーンや鍛え上げられた筋肉を拝見して、すごいなぁと改めて思いました。

>エンドロールには「看護隊」と思える方々の名前も出てましたネ。
それは気づきませんでしたが、この監督さんだから、怪我人もたくさん出たことでしょう。
それだけに生身の迫力が半端なかったです。

機会があれば、初代のグラディエーターもぜひご覧になってください。
若いころのラッセル・クロウのカッコよさとコニー・ニールセンの変わらなさ
そしてホアキン・フェニックスの怪演をぜひどうぞ。

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