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2020年2月 3日 (月)

ボーダー 二つの世界

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「ぼくのエリ 200歳の少女」の原作者が描く、現代のファンタジーともSFともいえる摩訶不思議な魅力に満ちた物語。公開からかなり遅れてそれでも劇場で鑑賞できた。これは原作を先に読んでいた。原作と少し異なる展開もあったが、主要キャストのイメージや、その不思議な世界観は見事に映像化されていたと感じた。

ヒロインは税関職員のティーナ。違法物を持ち込む人間を本能的にかぎ分ける能力を持つ。そしてその「醜い」ともいえる一種独特の風貌から社会の中では孤独や疎外感を感じている。(同居している男性と老人ホームに入っている父親はいたが)そんなティーナの前に、自分と似通った風貌を持つヴォーレという男性が現れる。不思議な親近感から、ティーナはヴォーレに自分から接触を試みるのだが・・・・。

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この作品の題になっている「ボーダー」は「境界」のこと。文字通り二つの世界の境目だ。そしてこの物語で描かれる「二つの世界」とは、「人間世界」と北欧神話ではおなじみの「トロールの世界」。実はティーナは人間ではなくトロールで、赤ん坊のときに実の親から引き離されて人間世界で育てられたのだった。ティーナはヴォーレによってその事実を知らされ、それまでこの「人間世界」で彼女が感じていた違和感や生きにくさの理由に思い当たる。そして自分たちの「種」の特性に目覚めたティーナはヴォーレの導きによって「境界」を越え、本来の自分を取り戻していく。しかしそこには当然様々な葛藤も生じてくるのだが・・・。
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これね~~~、サスペンスタッチで始まるので、何の予備知識もなく観た場合は途中で、え?トロール?それって神話の中の生き物じゃん、これってファンタジーなの?とまずそこで驚く。トロールって我々にはムーミンのイメージが強くって、可愛くほっこりとした印象なのに、この物語では、人間たちはトロールを捕獲したり生体実験したり、人間として生かすために尾を切ったり・・・といろいろ非道なことをしていた・・・つまり人間とトロールは友好的に共存しているのではなく、敵対する存在のように描かれている。

そんな設定の世界で、自分が実はトロールだと知らないまま成人したティーナがヴォーレによって「自分が何者か」知らされ、本来の自分を取り戻していく過程は驚きの連続だった。虫を食べ、雷を恐れ、そして生殖の仕方も出産も人間とは男女の役割が反対になる彼らの生態。見た目は人間に似ていても全然違う面があるのだ。

人間世界からトロールの世界へとボーダーを超えるティーナの驚きや葛藤を通して、鑑賞するこちらもそれまで持っていた美醜や男女や善悪の価値観が揺すぶられるように感じた。
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今まで観たどの作品とも違う不思議な世界に強烈な印象を受けるこの作品、見どころのひとつとして、トロールを演じたこのおふたりの特殊メイクの凄さが挙げられると思う。実際の素顔とメイク後のお二人を比べてみるとよくわかるが、特にティーナを演じた女優さんの変身ぶり!役作りのために20キロ増量し、分厚い特殊メイクであえて醜い容姿に変身。それが全くメイクにみえないくらい高い技術だ。(メイクに3時間かかったそうだ・・・。)

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