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2019年8月 7日 (水)

魂のゆくえ

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とてもスピリチュアルで地味な作品だが、クリスチャンの立場で観ると深く考えさせられることばかりだった。

主人公のトラー(イーサン・ホーク)は、ニューヨークにある小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師。彼は息子をイラク戦争に送り出して喪い、それがもとで妻にも去られるという過去の傷がある。ある日彼は、信徒のメアリー(アマンダ・セイフライド)から、夫マイケルについて相談を受ける。環境活動家のマイケルは環境が破壊された地球の未来を悲観し、メアリーに妊娠している我が子を産むべきではないと主張していた。トラーは出産を受け入れるようにマイケルを説得するが、マイケルの考えに次第に賛同の思いを抱くようになる。

そうこうしているうちにマイケルは自殺し、トラーはメアリーの依頼でマイケルが納屋に隠していた自爆ベストを預かることになる。マイケルの葬儀で環境問題に関するメッセージを発した件で教会から咎めと忠告を受けたトラーは、教会が環境汚染の元凶である大企業から多大な支援を受けていたことを知る。苦悩と葛藤の末に、トラーは教会の記念式典の朝、ガウンの下に密かにマイケルの自爆ベストを着こむのだが・・・・

Set08
トラーは、信条に反することに対して苦悩し、その矛盾に絶望し、自分も教会も破壊することで抗議のメッセージを届けたかったのだろうか。日記はつけているけれど、式典の席で自爆しようとした彼の決意を詳細に語る台詞はないので、彼の表情や行動から推し量るしかない。メアリーに惹かれていることも、一人の時は酒浸りになっている理由も、彼の口からは何も語られないけれど、神を信じてはいても、彼の内心が平安や幸せに満たされてはおらず、怒りや疑問が次第に広がってきていることは切々と伝わってくる。

天地創造のあの7日間、神が作った世界は美しく完全ですべて「よかった」はずなのに、被造物である人間が、神の創造物をここまで破壊してよいものだろうか。それは罪であるし冒涜だとトラーは主張する。それに反して、終末へと世界は確実に向かうことは神の御計画でもあり、人間がそれに加担するのも神の御心であると教会は言う。果たしてどちらが正しいのか。私は鑑賞中にずっとこのことを考えていた。環境問題だけではない。戦争や犯罪や病気や災害をも、なぜ神は野放しにされているのか。このような疑問から神に躓き、信仰を失うクリスチャンのなんと多いことか。

終わりの日には確かに世界は破滅へと向かう。神は人の心を支配されることはあえてなさらず、罪や悲しみは満ちるのを放任しておられるように感じる。それを許せないと感じるか、みこころだからと受け入れるか。環境破壊問題が切実になってきた今日だからこそ強烈なメッセージを語りかけてくる作品だった。

トラーが自爆を中止したのは、来ないばずだったメアリーが式典に来たから。そしてそれにトラーが気づいたから。そこに神の憐れみとみこころを私は感じた。この二人は今後どうなるのだろう・・・。

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