ルイの9番目の人生
DVDで鑑賞。
あっと驚くラストというキャッチコピー。観ている最中にわかっちゃったという人も多かったらしいけど、私はこの手の作品には驚かされたいタイプなので 、余計な気をまわさずに素直に鑑賞。あっと驚くというよりは、へ~、なるほどそうだったのね~とすべて綺麗に腑に落ちてから、もう一度最初から観なおした。そして、真実を知ってからの再見は、なかなか切ない味わいだった。
生まれた時から一年に一度のペースで生死にかかわる事故に合い、8回も死にかけたルイ少年。そして、ルイはやはり9歳の誕生日に崖から転落し、一命はとりとめるものの、昏睡状態に陥ってしまう。なぜ彼はこんなにも「事故多発少年」なのか。9つの命を使い切ってしまった彼に10番目の人生はあるのか・・・。謎に満ちたサスペンスタッチで始まる物語は、昏睡状態のルイの意識を、深海のファンタジックな映像で描きつつ、ルイの美しい母親や担当医師、セラピストなどの主要登場人物を絡ませながら、先の読めない展開で進んでいく。

ネタバレはしたくないので、これ以上のあらすじを書くのは控えるが、観終わった後、騙し絵の謎が解けたような、ちょっとした感慨を感じた。そして、冒頭から抱いていた「ルイ」への印象が大きく変わった。印象が180°激変するのはルイだけではなく、むしろ彼以外の「ある人物」の方が強烈なのだが、わたしはそれまでルイに抱いていた「なんだか可愛げのない生意気な子ども」という印象が「自分の運命を受け入れざるを得なかった健気な子ども」に変わったことの方が心に残った。
なぜ自分は事故多発少年なのか。
ルイはいつ、その理由を、真実を、感じ取ったのだろうか。シングルマザーの母親や、血の繋がらない養父へのルイのさまざまな思いや気遣いを通して、わずか9歳にして シニカルな諦念に至った彼の心情を思うと、可哀そうで切なくてたまらなくなった。子供は親を選べない。そして子供はどんな親でも本能的に愛し、受け入れようとするものなのかもしれない。
昏睡状態でいる今の状態が、今までで一番幸せだと感じていたルイが、10番目の人生を生きるために目覚めたのは、この世を去ってもなおルイに健全な愛情を注いでくれていた「彼」の願いが通じたからかもしれない。ルイの10番目の人生に心から幸あれと願う。
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