ボヘミアン・ラプソディ
遅ればせながら劇場で鑑賞。すごく評判がいいので、「クイーン」のクの字も実は知らなかった(いや、ほんとです。ロックバンドに興味がなかったので)私も、そんなに素晴らしいならと観に行った。もともと「アマデウス」や「不滅の恋 ベートーヴェン」のような音楽関係の伝記映画は好き。ただし、クラシック限定だっただけで。クイーンの曲で知ってるのはなんと「ウィー・ウィル・ロック・ユー」だけだった。運動会の綱引きのBGMだったのでこれだけは聞き覚えがあったのだ。お恥ずかしい。

クイーンのメンバーの中でも、リード・ボーカルをつとめ、奇跡の歌唱力と独自のマイク・パフォーマンスで有名なフレディ・マーキュリーを主役に据えた今作。前半は、偉大なるクイーンがいかにして誕生したか、数々の名曲がどのようにして生まれたかが描かれ、後半はフレディ個人の孤独や葛藤が描かれる。

全編に流れるクイーンの名曲の数々。確かに「知ってる」と胸を張れるのはやはり「ウィー・ウィル・ロック・ユー」だけだったけど、彼らがなぜここまで有名で、後世にも影響を与えるほど偉大なロックバンドと呼ばれたかがよ~~~~~~く理解できた。フレディの伝記としても感動したが、私個人としては、この映画は「偉大なるクイーン」と初めて出会えたことが何よりも大きい。この映画を観てなかったら、私は一生、彼らの音楽と出会うことがなかったかもしれない。

フレディの美声のセクシーさとパワフルさは確かに唯一無二だが、聖歌隊経験のあるロジャーの高音(特にボヘミアン・ラプソディのオペラ部分で発揮される)や、ブライアンの魅力的な声がフレディの声に重なるとき、えも言われぬ完璧なハーモニーが生まれる。「キラー・クイーン」や「ボヘミアン・ラプソディ」や、「Don't Stop Me Now」[Somebody To Love」などのコーラスのハーモニーは本当に美しい。そもそもフレディの他にもハイクオリティの実力を持つヴォーカルが二人もメンバー内に存在していたことがすでに奇跡。そしてそれを言うなら、メンバーの誰もが、歌も複数の楽器も作曲もこなせる「マルチ奏者」だったということも、彼らの曲のクオリティの高さに繋がっているのだろう。

4人のメンバーを演じた俳優陣は、みんな本人に似ている。ブライアンなんてまさに本人!としか思えないそっくりぶり。しかし彼らが役作りで一番苦労したのは演奏とパフォーマンスの練習だったろう。一日何時間も実際に楽器や振り付けを練習したらしいが、4人とも見事だった。特にライブエイドの場面は実際の舞台と服装も動きも完コピできているから素晴らしい。これにはクイーン本人(音楽監修したブライアンとロジャー)も絶賛したという。


個人的には、4人の中で謙虚で温厚な性格でメンバーの間の衝突時の調整役を果たすことも多かったという、ベースのジョン・ディーコンのルックスや人柄が好きだ。彼を演じたのは子役の時に「ジュラシック・パーク」で少年ティムを演じたジョゼフ・マゼロ。あの忘れられない名演技をした恐竜少年が、こんなに素敵に成長していたのね。
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