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2018年4月15日 (日)

女の一生

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モーパッサンは翻訳された短編集は読破しているが、この「女の一生」は未読。日常の人々の生活の中から、喜怒哀楽を美化せずに描く、自然主義といわれるモーパッサンの世界は、時に残酷で絶望的な人間性の一面を浮き彫りにする。ふとしたことがきっかけで露わになる人間の本音や、不運としかいいようのない出来事に翻弄される人々。読後感があまりよくないものもあるが、「確かにその通り」と納得もできてしまうのは、それが「ありのままの事実」だからだろう。そんなモーパッサンの代表作とも言える「女の一生」の映画化。遅れて公開してくれていた劇場での鑑賞。
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19世紀のノルマンディー。修道院の寄宿学校から両親や女中ロザリ(ニナ・ミュリス)のいる家に帰ってきたジャンヌ(ジュディット・シュムラ)は、近所に引っ越してきた子爵ジュリアン(スワン・アルロー)と付き合い、その後結婚する。ところが未婚のロザリが出産して、彼女とジュリアンが結婚前から関係を持っていたことが発覚する。ジャンヌは自身も子供を宿し、神父に諭されたこともあり、離婚を思いとどまる。やがて、息子の誕生で明るさを取り戻すが、友人である伯爵夫人(クロチルド・エム)とジュリアンの不倫が発覚する。 (シネマトゥディ)

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セリフもナレーションもBGMも控えめの静かな映画だ。ヒロインのジャンヌを中心に物語は進んでいくが、ところどころ時間軸をシャッフルさせているところもある。夫の不倫で苦しむ場面の後に無邪気で幸せだった娘時代や新婚時代が挿入されたり、反対に幸せな時代の場面の合い間に、孤独に年老いていくジャンヌの映像が挿入されたりする。そのためか、常に彼女の人生を俯瞰的に「美化せずに」眺めているような気分になる。また至近距離で、手持ちカメラで撮ったかのようなカットも多く、こちらは自分もその場にいて光景を覗き見ているような臨場感がある。とても「自然」でありのままの描写は、おそらく原作の忠実な実写を意識しているのだろう。
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結婚してから少しずつ陰ってゆくジャンヌの人生。妻の侍女や友人と不倫を重ねる夫。寂しさのあまり甘やかした息子は、お金をせびるときだけ手紙を寄越し、それ以外は家に寄りつこうともしない。ラストにようやく孫娘を腕にしてほんの少し光明が見えたように描かれている彼女の人生は、全体的に見たらやはり「悲劇」なのだろうと思う。

「女の一生」だなんて、まるでジャンヌの生き様が、この時代のフランス女性の代表みたいに取れる題がつけられているけど、女なら誰でも彼女のように不幸な結婚をするかというとそうでもないような気がした。結婚相手次第・・・今もそれは言えるかもしれないけど、この物語でも、人生の明暗を分けるのは配偶者によるところは大きいと感じた。
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ただ、やはり箱入り娘で修道院育ちというジャンヌの境遇や、相手のことをよく知らないまま結婚してしまう習慣など・・・そういう点は、この時代の彼女のような女性特有だったのかしらとも思った。いったい彼女はどこでどう方向転換したら、少しでも悲劇が食い止められたのか、ずっと考えながら観たけれど、「何とかできたでしょ、そこは」と感じたのは、息子を甘やかす場面くらいだった。彼女の父親以外は、夫も神父も息子も・・・男性はみんなちょっと酷かった。不倫や借金やスポイルされた子供に苦しむ問題は、今も昔も変わらないところがあったかも。

美しい映像で淡々と綴られる、女性にとっては気が滅入るような物語。でも確かにこれがモーパッサンの世界だよね・・・と本屋で原作を買って帰途についた。こういう、写実的で救いのない物語も嫌いではない。共感できる部分に心惹かれる自分がいる。

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