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2017年10月の記事

2017年10月16日 (月)

LION/ライオン ~25年目のただいま~

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DVDで観賞。今年のアカデミー賞で、作品賞を含む6部門にノミネートされた作品。
25年間迷子だった男が、Google Earthを使って故郷を見つけたという驚きの実話を映画化した感動作品。その昔、ティモシー・ハットン主演の、ロングウェイホームという、生き別れた弟と妹を探す兄描いた映画をちょっと思い出したが、「ライオン~」の物語の方がよりアメイジングで、あり得ない実話かもしれない。
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なにしろ、主人公は、故郷の町の名前すらあやふやな5歳のときの記憶だけを頼りに、Google Earthからの風景を根気強く検索し続けて、遠く海を隔てた異国から生家にたどり着いたのだから。

インドの貧しい農村に生まれたサルー

5歳の時、兄グドゥの夜の仕事についていった彼は、兄の帰りを待つうちに間違って乗った回送列車の中で眠ってしまい、目覚めると1600キロも離れた都市コルカタに運ばれてしまっていた・・・・。そこでは故郷の言葉は通じず、駅で住んでいる町の名前「ガネストレイ」を伝えてみても、誰も反応もしてくれない。途方に暮れたサルーは、やむなく路上生活へ。
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人買いから、からくも逃げ出すという試練も体験しながら、保護されて劣悪な環境の孤児院へ。そこで彼は幸運にも慈善団体の世話で、オーストラリアの里親ブライアリー夫妻の家庭へと貰われていく。夫妻はまるで我が子に対するようにサルーに愛情を注ぐ。

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養父母のもとで幸せに暮らし、ホテルマンを目指して勉強に励むサルー。しかし、幼いころ兄にねだった「揚げ菓子」の記憶が蘇ったことから、彼は自分が25年間迷子だったことを思い出す。本当の家族を探したいという思いに突き動かされるサルー。兄とはぐれた駅はどこだったのか。記憶にある故郷の町「ガネストレイ」ははたして実在しているのか?

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サルーは当時の回送列車の速度と運行時間を手掛かりに、コルカタから自分が列車に乗った駅までの距離を割り出し、駅の近くには大きな給水塔があったという記憶だけを頼りに、該当する距離の駅をしらみつぶしにGoogle Earthでチェックしていく。養父母、特に養母に対する気遣いや葛藤などもあり、何度も諦めかけながら、ついにサルーは故郷の町の名を見つけ出すのだ。

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故郷へ向かう道すがら、フラッシュバックする思い出の数々。母や兄の笑顔や懐かしい風景。クライマックスのサルーの帰郷シーンは、まさに感無量としか言いようがなかった。老いた母カムラがずっと希望を捨てずに待っていたことも。なんていいお話!文句のつけようがないほど素直に感動が押し寄せてくる。兄のグドゥがもうこの世にいなかったことだけが残念だけど。

いや、この作品から感じるものは、再会を果たした家族に対する感動だけではない。光の陰には必ず闇が存在するように、治安の不安定な国で、迷子や行方不明になる子供の多さや、ストリートチルドレンの苛酷な現状も知ることができる作品である。そして、それを助けたいと願って実際に行動している里親の存在なども。
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サルーにとって第二の母となった養母のスー・ブライアリーを、ニコール・キッドマンが好演している。スー本人のヘアスタイルやファッションに似せていても、やはり美しいキッドマンだけど、さすがオスカー女優だけあって、内面的な演技も光る。恋人役にはルーニー・マーラ。そしてサルー役はスラムドッグ$ミリオネアデヴ・パテル

なんで作品の題が「ライオン」なんだろうとずっと思っていたら、エンドロールでその謎がとけてまた少し感動した。

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々な事情で生き別れになっている親子や兄弟・・・・
この広い地球の上で、いったいどれだけの家族が、涙と祈りの中で、今も再会の日を待ち続けているのだろうか。どうか一人でも多く、このような奇跡が起こりますように。そしてなにより、愛する家族から引き離されるような悲しい出来事そのものが、この地球上から少しでも減りますように・・・・・。そんなことを切に願ってやまない。

2017年10月 9日 (月)

哭声/コクソン

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チェイサー』や『哀しき獣』の ナ・ホンジン監督の最新作。

韓国の静かな山あいの村「谷城(コクソン)」で起こった連続猟奇殺人事件に翻弄される警官や村人たちと、謎の日本人や村の女などの訳ありげな登場人物たちが織りなす物語。

実はこれ、DVDで3回も観てしまった・・・・・。最初は監督の名にひかれて、純粋な興味から。二度目はあまりにも強烈な後味に打ちのめされて即再見。クリスチャンのホンジン監督がこの作品でいったい何を訴えたかったのか・・・・・。回収されずに放置された伏線の意味が気になって気になって。

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三度目は、いろいろ映画評などもググってから再々見。それでもなお、モヤモヤがつのる後味は変わらない。結局、この作品、最終的には観客に判断を委ねていることは間違いない。

寒村で起こる猟奇殺人事件といえば「殺人の追憶」みたいな感じかと思いきや、謎解きサスペンスではない。犯人は人間だけど、原因はどうも「悪魔」「悪霊」らしい。ならば闇の勢力VS神を描いた宗教的なメッセージが込められた作品かと思えば、純粋にそうとも言いきれない。そもそも、誰が悪魔で誰が善の側なのか、途中でわからなくなる展開になってくるので混乱する。そしてエクソシストっぽい展開からいきなりゾンビ映画ぽくなったりして、いったいこの作品はどこに向かっていくのか予想がまったくつかないまま、最後に國村さんの衝撃映像で唐突に幕が下される・・・。
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一般的な解釈としては、悪魔は謎の日本人(國村さん)で、ファン・ジョンミンが演じた祈祷師も悪魔の崇拝者で、謎の女は実は悪魔に敵対する側(=神とは限らないが)だった・・・と、わたしも思う。最後に國村さんがあんなド迫力の変身を見せてくれたから、それがすべての答えになったような感じだけどね。

ここからはクリスチャンとしての感想になるけれど。
宗教がテーマのひとつになっている作品の中でも、パッションベン・ハーヤコブへの手紙などは、神の存在や救いや信仰の在り方を描いた作品だと言えるだろう。しかし、キリスト教をテーマにしていても、神そのものよりも、悪魔の恐ろしさや人間の弱さや罪や教会の無力さなどに焦点を当てて描く監督さんもいて、韓国の監督さんには、この傾向が多いような気もする。(ホンジン監督の「チェイサー」の救いのなさなどを思いだしてほしい。)終末の世だからこそ、悪の支配や勝利を描き、人間の危機感のなさに対して警鐘を鳴らす作品なのではないかとも思う。
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聖書には、悪魔について警告する言葉がいくつも出てくる。

悪魔の策略に対して立ち向かうことができるために、神のすべての武具を身につけなさい。わたしたちの格闘は、血肉に対するものではなく、主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、また天にいるもろもろの悪霊に対するものです。 (エペソ人への手紙6.11~12)

身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを探し求めながら歩き回っています。 (ペテロの手紙第一5.8)

悪魔は世の終わりまでの限られた期間、少しでも多くの人間を自分の側に引き入れて滅ぼそうとしている。手あたり次第、まさに餌に食いついてくるなら誰でもいいのである。その手段は誘惑すること、偽ること、惑わすこと・・・時には善人の姿をして、いや、聖職者の姿をして近づいてくることもある。
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惑わされるな
餌を飲み込んだな、バカな奴だ

・・・・などなど、悪魔の本質を鋭く表現するセリフはこの作品中にもみられる。悪魔が偽る者であり、罠を仕掛けたり、人の弱みにつけこんで言葉巧みに誘惑する存在であることを、よく表していると思う。

そして、人間は、自分が見たいと思ったものを見てしまう存在であることも、よく描かれていたと思う。誰を信じ、誰を敵と見なすのか、一歩間違えれば中世の魔女狩りのような悲劇も起こりかねない。

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人の力を超越したものに翻弄される世界…悪魔や悪霊といったものの凄まじいパワーと破壊力をこの作品から感じた。人間の力や知性や感情ではまるで太刀打ちできない。劇中で、老いた神父が「教会ができることはありません。」としれっと語るシーンも「おいおい」と思ったが、虫の息の主人公ジョングが、「大丈夫だ、(警官の)父さんがすべて解決するから・・・」と言いつつ画面が暗闇に包まれていくラストシーンには心が冷えた。

とにかく強烈。そして難解。なのにすごく惹きつけられる作品だった。ただ、その難解さから賛否両論を巻き起こす作品であることは間違いない。國村さんは凄かった。世界に誇れる名優だ。邦画でも、好々爺も演じれば悪役も演じれるカメレオン俳優さんだが、この作品の國村さんの不気味さと存在感は際立っていた。彼を見るだけでも一見の価値はあるかも。

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