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2017年5月 8日 (月)

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

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ケン・ローチ監督が、英国の緊縮財政によって切り捨てられる弱者の姿を、怒りを込めて描いた作品。淡々とした語り口ながら、ずっしりとした見ごたえがあった。観終わったときには、自国のことではないにせよ、やり場のない怒りがこみあげてきた。こんなこと、間違っている・・・ゆるされてはいけないことだ。

主人公のダニエルはニューカッスルに住む59歳の大工。心臓疾患のためにドクターストップを受けているにもかかわらず、「就労可能」と判断される。不服申し立てをしたくても、そこにたどり着くまでに、さらに複雑な手続きの壁に阻まれてしまう。

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一方、ロンドンからニューカッスルに越してきたシングルマザーのケイティは、職安での面接の時間に遅れただけで給付金が受けられなくなり、職探しもままならないまま、二人の子供を抱えてフードバンクに頼らざるを得なくなる。

職安で門前払いを受けるケイティ母子を見て義憤にかられるダニエル。彼は、暖房の切られたケイティの家の窓に緩衝材を貼って暖を取る方法を教えたり、部屋に飾るモビールをプレゼントしたり、ケイティの家族をことあるごとに応援し、寄り添っていく。
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生活保護の不正受給に対しては、いい気持ちはもちろんしないけれど、英国のように、弱者を容赦なく切り捨て、彼らの尊厳まで奪うのは、あまりにもひどい。人はみな生まれながらにして幸せになる権利を有しているというのに

犯罪を犯したわけでもなく、怠慢でもなく、真面目に誠実に税金を納めて生きてきた人々だ。病気や事故やその他の事情で働けなくなったのに、簡単な質問のやり取りだけで「就労可能」と宣告される。そして彼らは、煩雑で困難な手続きに疲弊して、抗議することも諦めてしまう・・・・・。

最後まで尊厳を失わず、抗議しようとしたダニエル。彼の残した「私は、犬でもなく、登録番号でもなく、一人の人間だ。」という言葉は、まさに今、英国で緊縮財政に命を削られている人々の心の叫びなのだろう。

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映画 わ行」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」考えさせられる作品でしたね。
日本でも昨今、生活保護を受けるためのシステムが煩雑でなかな受給できない...と聞きますが、かつては福祉先進国といわれたイギリスも似たような状況であることに驚きました。

高齢化や移民の問題など、昔のやり方ではなかなかうまくいかない...という事情はわかるのですが、何十年も税金を払ってきたダニエルが、いざ困った時に福祉の恩恵が受けられないというのは、やはり納得がいきませんね。

最後のダニエルの手紙には、名もなき市民たちを代表しての心の叫びが伝わってきました。

この映画は、音楽も効果的な演出も無く、ただエピソードごとにぶつ切れのように淡々と終わっていて、エンドロールもそっけなく、観客に感動に浸る余韻を与えてくれません・・。

いってみれば、サービス精神の無い映画で、もっといえば、もともと映画を観ての感動など、この監督は求めていませんね。

でも、それが、ケン・ローチの作風で、言葉本来の意味で、サービス精神に欠けた英国の現状にもの申し立ていているのですね。

サービスの語源は、「神に仕える」という意味で、自分のされたいことを相手に行え・・他者に対する善行が神に代わる行為になるのだ、と聞いたことがあります。

かつて、揺り篭から墓場まで、といわれたイギリスの高度福祉政策が破綻し中国に頼らざるを得ない財政状況になってしまった。
その反省から、弱者が切り捨てられこの作品のようなことが頻繁に起きているようです。

弱者、とひとくちに言ってもさまざまで、ケイティのような女性は、日本だと、自己責任という範疇に入ってしまうのだと思います。
厳しいようですが、人はそれぞれ程度の差はあれ、親の介護や自らの障害やら苦悩や困難を抱えているものだからです。
実際、逆境にあっても、負けずにがんばっている人も多い・・。

 ただ、周囲からのサービス、まさに、今、それをしてほしい人への助力は必要ですね。

ケイティ一家の食事は、いつもパスタ。
パスタって日本人にはオッシャレーな食べ物だと思いますが、外国ではインスタントラーメンよりも安い食材で、家庭ではキロ単位で買うのが普通の、まあ、日本だと標準米以下、でしょうか・・。

 豆腐や,モヤシ、納豆など、安くて栄養価の高い食材にあふれた日本は、恵まれているかもしれませんね。


セレンさん お返事がおそくなりました。

この作品、観てよかったです。
ケン・ローチ監督の作品は
社会や政治の問題を取り上げたものが多いですが
この作品は地味だけど心に響きました。
なんかね・・・・他人事じゃないんですよね。
イギリスほどではないにしても、
今後、日本でも年金もどんどんもらいにくくなりますし
国全体が財政難になったときに
やっぱり真っ先に切り捨てられるのは弱者からなんですよね。
年金もまともにもらえないという未来が透けてみえるなら
そりゃ誰もまじめに税金を納めたくもなくなりますよね。

最後のダニエルの手紙は,本当に一言一句が正当な訴えで
監督の怒りが伝わってきましたね。

浅野さん

この作品はほんとうに淡々としてドキュメンタリータッチにも思えましたが
それでも観客をひきつけてやまない演出や演技は
さすがだと思いました。
イギリスの緊縮財政は日本では考えられないほどひどく
弱者も特に障害者が
容赦なく手当を切られているそうですね。
大げさに言えば指が一本でもあれば
就労可と判断されてしまうくらいだと読んだ記憶があります。
実際に手当を不正受給しようとする輩も
どの国にもどの時代にも存在するので
そちらの方は同情の余地もありませんが
本当に働けない、これまで真面目に税金も納めてきた人までが
生きていけないことになるのは
もはや国家として機能していないのではと思います。

イギリスのパスタだけの食卓・・・・
日本の食卓が品数が多すぎるのかもしれませんね。
ランチやディナーがパスタだけ、というシーンは
「ゴッドファーザー」や「恋におちて」とかでもありました。
どちらもデ・ニーロが食していましたが・・・。
でもイタリアのパスタは
ケイティの家のパスタより美味しそうでした。

 「ゴッドファーザー」のパスタシーンは、デ・ニーロとその仲間たちが、街の顔役から上納金を要求され、その対策を練るときの場面で、台所からデ・ニーロの妻がパスタを作って持ってくる・・。
ぼくは、その前の、デ・ニーロが勤め先の食料品店から、林檎ひとつをもらってきて妻に渡し、そっとキスをするシーンがいいですね・・。

「恋におちて」の食事シーンは覚えてないんですが、本気だからこそ安易に関係をもてない、「本物の恋」に落ちた二人・・。。

デ・ニーロが妻に懺悔するシーンで「彼女とは何もなかった」と言うと、妻が「そのほうがもっと悪いわ」と詰るシーンは、どちらも大人だからこそわかる恋愛の機微かなぁ・・。

最後にデ・ニーロに会いに行こうとするメリルを旦那が止めるシーンで、。今までなーんにも気付いてないような、静かなインテリって感じだった旦那が、実は全部分かっていて、冷酷に妻を止めるコワイ場面です(笑)

数年後のクリスマスに、偶然同じ書店で再び出会い、それぞれの待つ人のもとへ戻る二人もせつなく、静かに胸に迫るラブストーリーでした・・。

この映画、地味ながらしっとりと心に残るいい映画でした。
私たちが子どもの頃はイギリスの福祉は
「揺り籠から墓場まで」なんて習ったものなのに
変われば変わるものですねえ。
一つ不満だったのは、あの職人気質の、訛りだらけの英語を話すダニエル、
「私は」じゃなくて「オレはダニエル・ブレイクだ!」の方がずっと合ってるのじゃないかと。

浅野さん

>デ・ニーロが妻に懺悔するシーンで「彼女とは何もなかった」と言うと、妻が「そのほうがもっと悪いわ」と詰るシーン

まさにそのシーンなんですが、告白の前に妻が夫のために食卓に準備したメニューがパスタと白ワインでした。
遅れて帰宅したデ・ニーロに「お腹は?」ときいて
「用意してあるのよ」とか言って
お鍋からパスタをよそって給仕をするのですが
ホワイトソースの、平打ちパスタか
マカロニっぽいものだったので
あまりパスタという印象がなかったのかもしれません。
私は映画で出てくるメニューは興味があるのでよく注意してみるけど
「夕食、あれだけ~?野菜がない!」と衝撃だったので。

日本の食卓は豊かですよね。
でも、中国や韓国の映画の食卓は
それなりにメニューも豊富なので
アジア圏は家庭料理の皿数が多いのかもしれません。

zooeyさん

>私たちが子どもの頃はイギリスの福祉は
>「揺り籠から墓場まで」なんて習ったものなのに

まさにそうですよね。
日本よりずっと福祉が手厚い国なんだという印象だったのに
ここまで変わってしまうとは・・・・。

>「オレはダニエル・ブレイクだ!」の方が
>ずっと合ってるのじゃないかと。
そうそう、そういえばその通りです!
ダニエルは昔気質で頑固で情にあつい人間でしたね。
「わたしは~」なんて紳士的な言葉遣いよりも
江戸っ子風の言葉のほうが彼のキャラクターをよく表していますね。
英語では同じ言葉になるので翻訳のセンスですかね。


>ホワイトソースの、平打ちパスタか
マカロニっぽいものだったので

ああ、なるほど・・。それで、ぼくもパスタだとは気付かなかったかと・・。
それにしても、料理が得意なななさんらしい・・すごく詳細に覚えていらっしゃる(笑)

 >「夕食、あれだけ~?野菜がない!」
用意してあるのなら,せめてミートローフとか、メインディッシュを一皿持ってきてくれてもね・・。
白ワインとパスタじゃ、日本でいえば有り合わせのお茶漬けとお銚子一本ってところです・・。

この奥さんも、勘は鋭いので、半ばデ・ニーロの浮気は気付いていたので、「もう終わった・・」という言葉で許したのに,夫が余計なひと言を言ったものだから(笑)・・。
げに男の弱さでしょうか?

ところで、デ・ニーロの奥さん役の女優は、「危険な情事」で、マイケル・ダグラスの妻役もやった人でした。
役とはいえ、奇しくも二人の名優に浮気されるとは、因果なことですね(笑)

浅野さん

そうですね。パスタというよりマカロニ料理のようにも
見えました。
美味しそうではあったのですが
野菜が0の献立だったので
ディナーというより夜食のようでした。
あれだけでは日本ではブーイングでしょうね。

恋におちてのデニーロの妻役はどちらかというと
脇役の多い女優さんで
ジェーン・カツマレクという知名度の低い方ですが
危険な情事のマイケル・ダグラスの奥さんは
もっと知名度の高い女優さんで(当時は)
アン・アーチャーという人なので、似てはいますが別人ですね。
アン・アーチャーのほうが美人ですね。

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