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2017年3月の記事

2017年3月20日 (月)

ミッドナイト・スペシャル

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「ラビング 愛という名前のふたり」「MUD マッド」ジェフ・ニコルズ監督・脚本のSFスリラー。DVDで鑑賞。これ、日本では非公開だったのだろうか。新作コーナーからチョイスしてレンタル。消化不良のところもあったけど、全体としてはなかなか面白かった。

冒頭から始まるのは、緊迫感あふれる深夜の車での逃避行劇。

登場人物の背景の描写はほとんどない。逃げているのは、一人の少年とその保護者らしき二人の男性。少年は夜なのにゴーグルをつけ、さらに布をかぶっている。男性は一人は少年の父親で、もう一人は父親の知り合いで協力者らしい。TVのニュースによると、彼らは「誘拐犯」として指名手配されているが、これには政府機関が絡んでいるようで、彼らが追っているターゲットは、犯人の大人ではなくて、この少年のような感じがする。

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少年の名はアルトン。どうも超能力があるらしい。そして父親のロイを演じるのがマイケル・シャノン。父親の幼馴染で逃避行を助けて同行する役にザ・ギフトのジョエル・エドガートン(最近ほんとに活躍)。

さらに、少年アルトンは、政府機関だけでなく、「牧場」と呼ばれるカルト教団からも追われている。政府機関は、少年の能力を国家を脅かすものとして拘束・調査しようとしているみたいだし、カルト教団はやがて起こる世の終わり?から逃れる手段としてアルトンの能力を利用できると考えている・・・らしい。
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「・・・らしい。」とか、「・・・ようだ。」という書き方ばかりになって自分でも歯切れが悪いのだが、この作品、あえてそうしているのだとは思うけど、すべてにおいて説明不足なのだ。何もわからないまま逃避行を手に汗握りながら見守り続け、ストーリーが進むにつれて謎が解けていくかもという期待はみごとに裏切られた。その点はとても消化不良。

少年アルトンの能力。
それは「目から光を出す」「いろいろな交信ができる」「予知能力」「自分を監視している衛星を落とす」など、多岐にわたる・・・というか何でもありって感じもする。こんな人間がいたらそりゃ政府としては拘束していろいろ調べたくもなるだろう。カルト教団も、もともと少年の両親が所属していた集団らしいので、そりゃ少年の力に無関心でもいられないだろう。追われるのは仕方ない。

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出演陣はなにげに豪華で、少年の母親にキルステン・ダンストが、政府機関に雇われたNSAの専門家に、沈黙ーサイレンスーアダム・ドライバーが扮している。

アルトン少年には、決められた日時に行かなければならない場所があるらしい。政府に追われるのも大変だが、アルトン少年自身もなぜか体調がどんどん悪くなって弱ってきているし・・・・。そんな中で、彼の父親(マイケル・シャノン)と母親(キルステン)、ロイの友達(エドガートン)の三人は命をかけて少年を守りながら、その目的地までなんとかアルトンを届けようとする。

物騒な銃撃なんかに対抗しないで、話し合う余地って皆無だったのか?とか。そもそも宇宙人レベルの超能力を持ったこの少年が普通の地球人の夫婦からなぜどのようにして生まれたのか?とか。逃避行に至るまでどんな出来事があったのか、とか。頭のなかは疑問でいっぱい。そこ教えてほしい!という点が山のように出てくる。
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アルトン少年は可愛いです。ちょっとハリポタのダニエル君のようです。

で、この子が異次元の世界からこの地球に来たことと、最後に元の世界に帰っていっちゃったことは予想通りだった。そう、まるでこれは・・・・竹取物語のようだ。地球の両親はさしずめ、満月の夜に月に帰ったかぐや姫を見送る翁と媼のよう。

それならそれで、またまた疑問がいっぱい。

何しに来たの?この地球に。
ヒドゥンのように何か使命があったから送り込まれたの?
それともかぐや姫のように何かの罪を償うために一時的に追放された?
それともそれとも単なる実験かミステイク?
そして、なぜ彼らが両親に選ばれたの?なぜ?なぜ?なぜ?

などなど そこが知りたいのに~!ということばかり。

しかし、これだけ書き込み不足にも関わらず、この作品、なぜが退屈せずに面白く観れてしまうところが凄いかもしれない。わからないこといっぱいなのに、それをスルーしても一向に平気な不思議な魅力がある。最近の凝りまくりのSF作品に食傷気味なら、かえって新鮮かもしれない。書き込み不足のところは、それぞれが勝手に想像すればそれはそれでまた楽しいのかも。

春の味覚

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すっかり春めいて、菜の花の季節になりましたね。

菜の花は、大好きなお花のひとつです。

活け花にも料理にも使います。

まだ柔らかいつぼみを収穫してきました。

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春の息吹を感じます。今日はこの菜の花でふた品。

ひと品目は、カニカマと菜の花の和え物です。

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菜の花はさっと茹でたらアクぬきはせずに、ほろ苦さを残します。

味付けはシンプル。ポン酢しょうゆとマヨネーズ。これは少量。

隠し味に、粉末の昆布茶を少し。

菜の花のほろ苦さと、カニカマの風味が素敵なハーモニーを奏でます。

もうひと品は、春キャベツと菜の花とベーコンのパスタ。

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味付けは、すこしペペロンチーノ風に。

にんにく、鷹の爪、お醤油と 鶏ガラスープ。

旬の食材はやはり美味しいし、体にいいですよね。

やがて訪れる筍の季節も楽しみです。

田舎住まいならではの良さですね。

旬の野菜が新鮮なのは、ほんとうに感謝。

2017年3月18日 (土)

とろとろビーフシチュー

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お休み前のほっとする夜・・・・ビーフシチューを作りました。

牛肉はフライパンで表面を焼いて旨みを閉じ込めて鍋に移します。

再びきれいにしたフライパンで玉ねぎを炒め、

バターと小麦粉を加えてさらに炒めて

ケチャップを加えていりつけ、牛肉の入った鍋に移し赤ワインを。

そこに水とローリエを加えて、小一時間コトコト煮込みます。

私は,お手頃価格のボルドーワインを使います。(好み)

煮込んですぐは、ワインの味が勝っているのですが,

煮込むほどに肉と玉ねぎの旨みで深い味わいに。

人参やジャガイモは最初から一緒にせずに別茹でしておき

仕上げの15分前に入れて煮込みます。

ブロッコリーも別茹でで、盛り付ける際に加えます。

手間がかかるようで、そうでもありません。(時間と費用は少しかかる)

レシピは私の大好きな土井善晴先生の「お箸で食べる洋食」から。

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この本だけでなく,愛用しているのは「土井善晴のレシピ100」も。

土井先生のレシピはどれもシンプルなのにすごく美味しいのです。

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自分の感覚で作るものも多いけど,土井先生のレシピだけは

分量も手順もきっちり守って作ります。

先生のレシピで初めて作ったのはゴーヤチャンプルー。

ゴーヤが大嫌いな私がゴーヤ大好きになりました。

それ以来,土井先生のファンです。

特に絶品で家族にも好評なのは

上記のゴーヤチャンプルーの他にも,ぶりの照り焼き・ハンバーグ。

なすの田舎煮。 魚の煮つけ。酢豚。べーじゃが。タルタルサラダ。

ほんとうに 美味しいです。基本もしっかり書いてくださっていて

お料理が好きになりますよ。

2017年3月13日 (月)

卒業式の活け花

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久々に活け花の話題です・・・・・。

明日の卒業式のための活け花です。7点ほど活けました。春らしいカーネーションやチューリップ,木瓜,こでまりなど。

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これは,シンビジウムを贅沢に使いました。

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こちらの木瓜は,我が家の庭から。

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明日は,よい卒業式になりますように・・・・。

あ,明日はホワイトデーでもありますね。

友チョコのお返しに,アイスボックスクッキーを焼いてみました。

私は料理は好きですが,お菓子つくりはしません。(それより酒のつまみを作るタイプ)。でも,このクッキーだけは家族が大好物なので年に一度だけ作ります。

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アーモンドプードルを入れるのが好き。

市松模様とうずまきを作ったのですが,うずまきは綺麗に出ませんでした。

2017年3月11日 (土)

ザ・ギフト

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『パラノーマル・アクティビティ』シリーズのジェイソン・ブラム製作,俳優のジョエル・エドガートンが監督を務めたサイコスリラー。DVDで鑑賞。なかなか良くできた作品でした。サスペンスお好きならお勧めです。       

転居先で幸せな生活を送っている夫婦サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)の前に、サイモンの高校時代の同級生だというゴード(ジョエル・エドガートン)が現れる。再会を祝いゴードは1本のワインをプレゼントし、その後もたびたび二人を訪ねては贈り物をし続ける。次第にその内容がエスカレートしていき、二人が違和感を抱くようになると、周囲で異変が生じ……。(シネマトゥディ)

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ジョエル・エドガートンといえば,武骨で男らしい兵士や騎士,といったキャラクターが私の中で定着している大物脇役俳優さんだけど,今回彼が初監督したのは,なかなか凝った上質のサスペンス。ほ~,こんな才能があったのかと改めて感心。

そして彼自身も,主人公夫妻にギフトを贈り続けるストーカーめいた重要な役で出演している。これがまた,これまでの彼のイメージと違って,根暗で冴えない雰囲気のキャラクター。たいしたカメレオン俳優さんだ。

で,この作品,かなり面白かった。題からして,裕福な若い夫婦に勝手に執着してストーカーまがいのことを続け,最後はその家庭を乗っ取ってしまう・・・・・というありがちなストーリーかと思ったら(それはそれで興味深いが),被害者だとばかり思っていた夫が,実は悪いやつで,これは復讐ものの一種だと気づいてから,ますます面白くなった。

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この物語,心理的にかなり怖いのだけど,流血騒ぎは一切ない。エドガートンの演じるゴードは,旧友夫妻にひたすら贈り物をするだけなのだ。最初はワイン,次に頼んでもないのに池の鯉・・・・というように頼んでもいないのにエスカレートしていく。そして,彼の真意が次第にわかってくるにつれて,次はどういう展開になるのか,その不穏さに目が離せなくなる。過去に二人の間にどんな因縁があったのか,徐々に明らかになっていく過程も面白い。

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なにも知らない美しい妻をレベッカ・ホールが演じている。彼女はなかなか美しく,好きな女優さんだ。プレステージや「暮れ逢い」などでクラシカルな衣装に身を包んだ彼女も美しいが,今作ではショートヘアにしていてそれもよく似合っていた。ゴードと夫の過去が明らかになるにつれて,どんどん夫への猜疑心や不信感を募らせていく役柄だ。

この作品,観終わってみたら,なんだか既視感が。なんだろう・・・と考えたら,あの衝撃的な韓国のパク・チャヌク監督の映画オールドボーイに少し似てるのだ。「オールドボーイ」をかなりソフトにした感じ。あそこまで驚愕のストーリーではないけれど,嘘には嘘を・・・というところや,復讐の手段が,相手の肉体ではなく精神にダメージを与え,しかもその苦しみは未来永劫続く・・・といった残酷なところも。

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ま,復讐された夫の方が,「自業自得」と思えるような人物で,何十年たっても,その性質は変わってなかったんだから,そこは「仕方ないじゃん」と思ったけれど,何の罪もない妻が可哀想かな・・・・巻き込まれて。

しかし,なんで「猿」なんでしょうか?置きものとかでもよく登場していたし,あの猿のお面。なにか意味があるんでしょうね。ゴードの言いたいことが。

初監督のエドガートン,天晴れでした!次回作にも期待したくなっちゃいました。

2017年3月 9日 (木)

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

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1920年代のニューヨーク。敏腕編集者パーキンズ(コリン・ファース)は、F・スコット・フィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイらの名著を世に送り出してきた。あるとき、彼は偶然手にした無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の原稿を読んでいち早くその才能に気付く。パーキンズはウルフの陰になり日向になり支え続け……。(シネマ・トゥディ)

キングスマンではキレッキレの英国スパイを演じたコリン・ファースが,実在した名編集者を演じる。実話に基づくこの作品の見どころは,コリンの演じるマックス・パーキンズの人柄の魅力と,天才作家ウルフとの親子にも似たあたたかな絆。地味だけど,しみじみと心に残る良い作品だった。

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1920年というアナログな時代,出版社の編集者の仕事って,持ち込まれた作家の原稿(もちろん紙媒体)に目を通し,筆記で添削するという手間のかかるもの(当たり前だが)。パーキンズは,まだ世に出る前の小説家の才能を見抜く目をもち,それまでの編集者とは違って,作品を丁寧に読み込んで助言をする編集者だった。

ジュード・ロウが演じたトマス・ウルフは,自伝的作家で,独創性に富んだ叙情的な文章で綴られた彼の作品は,1920年代後半から1940年代当時のアメリカ文化や風俗を鮮やかに反映している。現在では日本ではあまり知名度は高くないが、存命中は広く知られた作家だったらしい。

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めちゃくちゃな構成と膨大な量ゆえに,出版社をたらいまわしにされていた彼の原稿に天才のひらめきを感じたパーキンズは,大胆な削除も含めた編集作業を行い,処女作「天使よ故郷を見よ」を世に送り出す。ウルフは,登場人物の心情や動作を全て文章にするので,(つまり推敲が出来ないタイプ?)記述の分量などバランス感覚を,パーキンズの編集が補い、ウルフはその点を非常に感謝していたという。

ウルフ自身は周囲に理解されにくく,人を振り回すタイプだったようだ。パーキンズは家族ぐるみで彼を受け入れ,息子を持たないパーキンズと,父を亡くしたウルフの間には,父子にも似た絆が生まれていた。

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「パーキンズなしでは書けない」と言われるのが嫌で,一度はパーキンズの元を去るウルフと,引き留めることはせずに見守るパーキンズ。ウルフが脳腫瘍であんなにはやく命を落とさなかったら,彼は果たしてパーキンズの編集なしでも傑作を生み出し続けることができたのだろうか。

死の床でウルフはパーキンズに宛てて感謝の手紙を書く。彼の死後にそれをオフィスで読むパーキンズが,室内でも脱ぐことがなかった帽子を取る場面は胸があつくなった。

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コリンが演じたパーキンズの,公私に渡って作家の面倒も見る懐の深さと思慮深さがいい。穏やかで,それでいて信念も持っていて。彼を慕い,恩人と思う作家はたくさんいたのではないだろうか。彼がいなかったら,フィッツジェラルドの「グレート・ギヤツビー」や,ヘミングウェイの「日はまた昇る」「誰がために鐘は鳴る」などの名作は,おそらく世に出てなかったことだろう。そう思うと,偉大な業績をなした編集者だったんだなと改めて思った。

2017年3月 5日 (日)

未来を花束にして

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本日鑑賞。
20世紀初頭の英国での,婦人参政権論者サフラジェットの活動を描いた作品。ロマンティックで洒落た邦題とは裏腹に重く暗く,考えさせられる内容だったが,女性なら観ておくべき作品だと感じた。もちろん男性にも観てほしいが。

主人公のモード・ワッツ(キャリー・マリガン)は,低賃金と劣悪な環境のもと,洗濯工場で働く平凡な女性で,夫のサリー(ベン・ウィショー)と幼い息子のジョージとともに,ささやかな家庭を築いていた。

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7歳の時から洗濯婦の仕事につき,女性の参政権など,「もともと無くて当たり前」だと疑問にも思わなかった彼女が,活動家のイーディス(ヘレナ・ボナム・カーター)との出会いや,議会の公聴会で友人の代わりに証言したことをきっかけに,運動にかかわっていくようになる。
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キャリー・マリガンは今作ではナチュラルメイク?すっぴん?とにかくアイメイクをほとんどしていないので,素朴であか抜けない感じ。(それでも十分可愛らしいが)でも,それがとても役の雰囲気に合っていた。子供の時からの働きづめの生活,男性よりも労働時間が長いのに男性よりも低賃金で,健康を損なう重労働に加えて工場長からのセクハラ・・・そんな待遇に慣れてしまっている忍耐強く悲しげな表情。そんな彼女が,公聴会での証言をきっかけに「もしかしたら,異なる生き方があるのかも・・・」と思うようになる。

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「もし,娘が生まれていたら,どんな人生かな?」と夫に問いかけたモード。その問いに対して事もなげに,「君と同じさ。」と答えた夫。女に生まれるということは,未来に何の可能性もないということ。自分の人生だけでなく,これから生まれる娘たちすべての人生も。もしかしたら,モードが集会やデモに参加しようと決意を固めたのはあの夫のセリフを聞いたときではないだろうか。
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サフラジェットの投石や爆破などのテロまがいの活動は,一見過激すぎて賛同しにくい面も確かにある。活動のリーダー,エメリン・パンクハースト(メリル・ストリープ)の「言葉ではなく行動で!」という主義は,同じサフラジェットの中でも賛否両論があったようだ。

しかし,何十年も穏便な方法で訴え続けても何も変わらなかった事実があるからこそ,過激な行動によって注目させるという手段を取ったのだろう。テロ活動なので当然活動家たちの払う代償も大きい。度重なる逮捕と投獄,警官からの暴力。そして獄中のハンガーストライキに対して取られる強制摂食。まさに命がけの運動だったのだ。
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モードもまた大きな犠牲を払う。夫から強制的に離縁されて家を身一つで追い出され,息子を取り上げられてしまうのだ。参政権と同じく,男性にしか認められていない親権。だのに,自分では育てられなくて息子を養子に出す夫。なんと理不尽なのかと思うけれど,夫もまた妻と同じ職場で雇われている身としては仕方がなかったのだろうか・・・・。「ママの名前はモード・ワッツ。いつか見つけに来てね。」と,モードが涙ながらに息子と別れる場面は辛かった。

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強い信念と長い年月と,大きな犠牲を払って勝ち取った権利。エンドロールで,各国で女性が参政権を勝ち取った年が表示されたけど,ごく最近やっと女性の権利が認められた国もあった。日本は戦後に与えられたものだから「勝ち取って」はないのかな・・・・。自爆テロのような方法はともかくとして,今は当たり前のように手にしている権利を,こんな風に命がけの運動で獲得してきたなんて,知らなかったし,知ることができてよかったと思う。

2017年3月 2日 (木)

沈黙 (原作小説) 感想

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スコセッシ監督の映画,沈黙ーサイレンスーとの出会いの方が先である。原作小説のほうは,テーマが「キリシタン宣教師の棄教」ということもあって,クリスチャンの端くれの身としては,なんとなく今まで敬遠してきた。今回,この原作を手に取った理由は,ひとえに映画に深く心を打たれたから。感動とも共感とも違う,この衝撃をなんと表現したらいいのか。私にとっては,「強烈すぎて忘れることができない」物語だった。

江戸時代初期のキリシタン弾圧の嵐のさなか,拷問に耐えきれず棄教した師フェレイラ神父の真実を確かめるため,長崎にたどり着いた,ポルトガルの若き宣教師ロドリゴ。彼がそこで体験したのは,想像を絶する苛烈な弾圧と,その中で極限まで苦しめられる弱き信徒たち,そして苦しむ彼らに対する神の恐ろしいまでの「沈黙」だった・・・・。

肉体の苦痛は,それが自分自身のものだけなら,もしかして耐えられることはあるだろう。しかし,他者の命が自分の意志にかかっているとしたら?そして肝心の神は沈黙している(ようにしか思えない)としたら?

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遠藤周作氏が,かくれキリシタンの取材で訪れたという黒崎教会

この小説では,ロドリゴの棄教は,不名誉でも不信仰でもなく,宣教師としての信念や栄誉を投げうってまで他者を救う自己犠牲と愛の行為であると描いている。そしてそれをイエス・キリストも赦し,望んだと・・・・。この点はキリスト教会はすんなりと共感はできないところだろうし,それは当たり前かもしれない。聖職者による踏み絵の行為を正当化したようなものだから,キリスト教会からの反発はしごくもっともなことである。

遠藤周作氏は、日本人とキリスト教の矛盾について生涯悩み続けた人だったと思う。日本という国でキリスト教が根付くことの難しさについては,この小説のなかでも,フェレイラ神父や,通辞や,井上筑後守の言葉を通して繰り返し繰り返し,語られているが,これがまた,説得力が半端ないのである。

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日本は沼地のようなもので根が腐ってしまう・・・日本人はキリスト教の神を本来の姿から似ても似つかぬ得体のしれないものに変えてしまう・・・・日本にキリスト教が根付きにくいのは本当だと思う。どんな宗教も「そこそこ」しか浸透しないのが日本ではないかと実は思っている。それゆえに宗教による内戦や対立も他国よりは少ないのかもしれないが。


「沈黙」の物語の中で,ロドリゴ神父が出会った神は,「弱者の神」であり「共に歩む神」でもあった。その神は「わたしはお前たちに踏まれるためにこの世に生まれ,お前たちの痛さを分かつために十字架を背負ったのだ。」とロドリゴに語りかける。これを,作者の都合のよいように改変された神だと感じるキリスト者も多いと思う。日本では受容されにくいキリスト教の排他的で厳格な一面を和らげ,本来の教義を変えてしまったと。

弾圧の中では,心の中で信じてさえいれば,
信仰を表明しなくても許されるのか?
動機が愛や自己犠牲であれば,
踏み絵のような行為も神のみこころに叶うことなのか?
弱いもののために死なれたキリストは,
棄教者の弱さをも,非難することなく寄り添ってくださるのか?


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正直,わたしには,わからない。
いや,理屈では上記のことは「ダメ」なのだとは知っている。そう教わったから。聖書にも記されている。でも,この小説を読んで,そしてまたスコセッシ監督の映画を観て,理屈ではなく感覚的に,わたしもまたロドリゴが出会ったような神に心惹かれるものを感じたのかもしれない。このような神であれば,日本でも根付くことができたのではないかと。

映画の中でも原作の中でも,一番印象にのこる登場人物が「キチジロー」である。遠藤氏自身を投影したともいわれるキチジロー。弱者の代表のように何度もたやすく転び,それでも神の元から離れがたく,何度でも臆面もなく戻ってくるキチジロー。

わたしもこのキチジローの中に自分を見る。日常生活の中で,信仰と自己とどちらを優先するべきか,判断を迫られる時・・・試練の中でやはり神が沈黙しているとしか思えなくなったとき・・・・わたしも,繰り返し何度も,小さな踏み絵を踏み続けている自分を感じる時があるから。

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