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年末に駆け込みで観ることができた。ジュゼッペ・トルナトーレ監督のラブ・サスペンス?ストーリー。音楽はもちろんエンリコ・モリコーネ。そして主演はオルガ・キュリレンコとジェレミー・アイアンズ。
あらすじ
天文学者エド(ジェレミー・アイアンズ)と、教え子のエイミー(オルガ・キュリレンコ)は、愛し合っていた。だが、エイミーのもとにエドが亡くなったという知らせが飛び込む。悲しみと混乱の中、死んだはずのエドからのメール、手紙、プレゼントが次々と届く。不思議に思ったエイミーは、その謎を解くためにエドの暮らしていたエディンバラや、二人の思い出の地サン・ジュリオ島などを訪れる。やがて、エドが彼女の秘めた過去を秘密裏に調べていたことがわかり……。 (シネマトゥディ)
親子ほどの年の差のある,秘められた不倫の恋。
初老の天文学の教授エドと,若くて美しい彼の教え子エイミー。しかし,物語のほぼ全編を占めるのは,彼の死後の物語だ。突然別れも告げずに病でこの世を去った恋人。それなのに彼から届き続けるメールと手紙の数々。そして導かれる異国の別荘やDVDから語りかけてくる彼の映像。
本人がこの世にもういないのに,次々と指示が出される「謎解き宝探しのゲーム」みたいなこんなことが,いったいどうやって出来たのだろう。周到な準備のためには,財力や人脈はもちろんのこと,恋人の気質についての深い理解と,,彼女の反応や行動を先読みする力が必要だ。なんとめんどくさく,手の込んだことを考え付き,実行に移したのか,エドには半ばあきれつつも感心する。
エイミーは恋人の死によるショックに浸る間もなく,エドの仕掛けた道すじ通りに,時間差で届く彼からの手紙やメールを頼りに,彼の故郷や思い出の別荘へと足を運び,彼からのメッセージを受け取り続ける。受け取るばかりで返信のできないやり取りに悲しみや痛みやもどかしさを感じながら。
次はどんなメッセージに導かれるのか,最終的にはどこに着地するのか,けっこうハラハラする点はミステリーの味わいもあり,そして何より,ヒロインのオルガが美しく魅力的だ。トルナトーレ監督の作品は,けっこうさらりとさりげなくヒロインが脱ぐシーンがあるが,この作品も例外ではなく,それもラブシーンではない箇所で,オルガが美しい肢体を披露してくれている・・・・。
また,若い愛人を持つ教授という役柄に,ジェレミー・アイアンズはまさにハマり役。(ダメージとかもそうだっけ。あの作品の彼は教授ではなく,政治家だったけど。)いくつになってもダンディでセクシーだ。
いつまで続けるのか?
これは彼からの究極の愛なのか?それとも執着なのか?
エドが死後も彼女に求めているのは,束縛なのかそれとも・・・・・・
物語がすすむにつれて,自分の余命を熟知していたエドが,「自分の亡き後に最愛のエイミーに贈りたかったもの」が次第に見えてくる。それは,時間のない彼がやり残したこと。エイミーが抱えている重いトラウマから彼女を解放し,癒すこと・・・だった。エイミーに対する切ないまでの包容力は,やはり彼が父親のような年齢だからこそなのか。
あの星はもう存在しないが,光は君に届いている。
いかにも天文学者のエドらしい思い。しかし,存在が消滅したあとも届き続ける星の光も,いつかは完全に届かなくなる日が来る。その時,残された恋人は新たな道へと確かな足取りで踏み出していってほしい・・・・どこまでも行き届いた愛の姿。最後のビデオメッセージは,画面に背を向けたエドの姿だった。そしてラストは,エイミーに新しい恋が芽生えるような予感も感じさせるほのぼのとした終わり方。
感じ方は人さまざまだろうけれど、こんなふうに愛されたら,どんなにか女冥利に尽きるだろう・・・と思わされる一作。実際にはなかなかあり得ない設定やキャラなので,おとぎ話に近いのかもしれないけれど。
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