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2015年8月31日 (月)

リスボンに誘われて

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ページをめくるたび,人生が色鮮やかに輝いていく・・・・

パスカル・メルシエのベストセラー「リスボンへの夜行列車」を,ジェレミー・アイアンズ主演,ビレ・アウグスト監督により映画化した作品。他にもメラニー・ロラン、シャーロット・ランプリング,ブルーノ・ガンツ、クリストファー・リーら豪華キャストが出演。DVDで鑑賞。

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妻と別れて以来,単調な一人暮らしを送っていたスイスの大学教授ライムント・グレゴリウス(アイアンズ)。彼は,ある雨の日の朝,通勤途上で橋の上から身を投げようとした若い女性を助けるが,彼女の持っていた一冊のポルトガルの古書に魅了される。その中には,彼自身の心境を代弁するかのような言葉が綴られていた。「人生の一部しか生き得ないなら,残りはどうなるのだ?」・・・・・。心を掴まれたライムントは,著者であるアマデウ・デ・プラドについて知るため,衝動的にポルトガルのリスボンへの夜行列車に飛び乗るのだが・・・・。
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身投げを図った女性が持っていたリスボン行きの夜行列車の切符。心を激しく揺さぶられた本との出会いと謎の筆者への興味に惹かれて・・・とはいえ,そんな唐突で思い切った衝動的な行動がよく取れたな~と,まずそこに感心した。仕事とか,家族とかいろんなしがらみを考えたら,無計画に身一つで外国に旅立つなんてこと,行動的な人間でもなかなかできるものではない。ましてやライムントは行動的で衝動的なキャラクターとは正反対にしか見えなかったから。逆に言えば,彼にとって,それほど運命の出会いだったのか。その本とは。
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舞台はベルンから,陽光あふれるリスボンへ。

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ライムントが巡るリスボンの,石畳の坂道や,18世紀のリスボン地震後に復興された,整然とした石造りの町並みが美しい。

彼は著者のアマデウの家を訪ね,彼の妹である老婦人と出会う。アマデウがすでに故人になっていることを知ったライムントは,彼の友人や知人を訪ねてまわり,1974年に起こったカーネーション革命の時代に,反体制派として生きたアマデウの人生を辿っていく。そこで彼が見つけた若き日のアマデウとその仲間たちの人生は,これまでのライムントの生き様とはまさに正反対の,活力に溢れたスリリングなものだった。
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自らを「退屈な」人間だと評価してきたライムント。5年半前に彼の元から去った妻。単調ではあったが何の疑問も不満もなく続けてきた大学教授の仕事と,変哲もない孤独な日常生活の繰り返し。おそらく残りの人生も同じような日々が続くものと,彼自身その日まで疑いもしなかったろう。

そんな彼が,アマデウの本と出合うなり,仕事を放りだして執りつかれたかのように異国へ「自分探し」の旅に出た。彼が授業中に女性の後を追って出ていったということを生徒から聞いた校長は「ありえない(impossible)」とつぶやいた。それほど,ライムントの取りそうにない行動だったのだろう。
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アマデウと親友ジョルジェ,二人の恋人だったエステファニアの物語は,劇中劇のように語られ,その中には恋愛もサスペンスも散りばめられてはいるものの,最終的には,これは人生における決断を表した映画だと思った。

ライムントは小説の中の設定では57歳。定年間際の,初老にさしかかった男である。日本であれば,老後の備えとか,人生の集大成とか,仕舞い支度や守りの体制に入る年齢だと思う。でも,同時に,人生が残り少なくなったからこそ,これまで自分が生きてきた道を振り返りたくなる年齢でもある。
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人生の一部しか生き得ないなら,残りはどうなるのだ?・・・・
あと少ししか残されていないから,諦めて生きるのか?
それとも,あと少ししか残されていないからこそ,「生き直す」道を選ぶのか?

ライムントにとっては,それまでは体験したことがなかった大きなターニングポイントが,人生の終盤でいきなり訪れたようなものだろう。考えてみれば,誰の人生も選択の連続で,どちらを選ぶかで道は全く変わってくる。あのとき本当は選びたかった道を進んでいたら,どこへたどり着いていたのか,遅まきながら今からでも辿ってみたくなる・・・そんな心境になったことって,誰でもあるかもしれない。

ライムントは,最後に駅でどんな決断をしたのだろう。きっと,彼は元の生活にはもう戻らず,マリアナのいるリスボンにとどまることだろう。彼の残りの人生は,その後どのような輝きを増すのだろうか。優しく幸せな余韻の残るラストシーンが素敵だった。
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私たちはこれまでの自分の人生に本当に納得しているだろうか。
もしやり直すチャンスがあれば,行動に移すことができるだろうか。
それとも実現できなかった別の人生に,心の中で思いを馳せるしかないのだろうか。
もはや冒険を避けたい年代であるにもかかわらず,それまで築いてきたものをすべて捨てて,別の人生を生きることができるだろうか。

本当にやりたかったことや手に入れたかったもの,そして自分の別の能力を発揮できる道と,もしかしたらそこでしか出会えない人たちとの関係とか・・・いろいろと自分の人生の来し方と将来を考えさせてもらえる哲学的な物語だった。原作も読んでみたい。こちらは映画よりもっと哲学的で難しいらしいけど。
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ジェレミー・アンアンズはやはり素敵だった。この作品ではわざと少し背を丸めたり,オロオロした仕草を演じたりして,ライムントのキャラクターを見事に演じていたけれど,枯れてもなおセクシーな俳優さんの一人で大好き。彼の作品ではミッションのガブリエル神父と,ダメージのスティーブンがとりわけ好きな役だったけど,この作品の彼が一番になったかもしれない。それにしてもこの作品でも感じたが,欧州の由緒ある美しい街並みがとてもよく似合う俳優さんだ。

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コメント

ななさん、こんにちはー^^
うわーい、素敵な写真が一杯だし、愛がある素敵な記事をありがとうー(^^)/
とっても楽しく拝見しました。
いやー、やっぱりこの映画、私好きだわー。

そうよね、彼らしからぬ、とっさに取った行動、そこまでさせる力が、その小説にあったのね。
ただでさえ、彼の琴線に触れる言葉が書かれていた本、そして、あまり先が無い(心臓病だっけか・・?)作家が書いた文章が、60歳手前の、やっぱりもう人生の終わりが近づいて来た彼の心になおのこと、響いたのかもしれないですね。

>枯れてもなおセクシーな俳優さん
うん、うん!!
私は、シェルタリング・スカイの時の彼が、なぜか印象にとても残っているの。退廃的な高貴さ?が漂っている俳優さんよね☆彡

latifaさん こんばんは!

>彼の琴線に触れる言葉が書かれていた本、そして、あまり先が無い(心臓病だっけか・・?)作家が書いた文章が、60歳手前の、やっぱりもう人生の終わりが近づいて来た彼の心になおのこと、響いたのかもしれないですね。
アマデウは動脈瘤持ちでしたね。脳の。だからいつか破裂して死ぬって分かってたのね、自分で。
琴線に触れる言葉が書かれている本との出会いって,なかなかないだけに行動を起こしたくなるんでしょうね。
老年になって人生をやり直すことは勇気がいるかもしれないけど
老年になったから見えてきたものもあるしね。

私は,衝動的に人生をやり直したりはもちろんしたくても出来ないと思うけど
ライムントみたいに,思い立ってすぐに身一つでふらっと旅に出たりはしてみたいなあ。

>退廃的な高貴さ?が漂っている俳優さんよね☆彡
落ちぶれた貴族のようなノーブルな魅力がありますよね。彼。


ななさん、初めまして。ベトナム在住の越子と申します。

ななさんの虎猫の気まぐれシネマ日記をいつも楽しく拝見しております。
ジェレミー・アイアンズ!私もファンです。
ベトナムに来て2年位になりますが、こちらにはTSUTAYAもありませんし、気に入った映画の日本語字幕のDVDを手に入れるのも難しいのです。映画好きの私にとっては悲しい状況でしたが、最近インターネットテレビに加入して、BSやらCSが
見放題になって、映画を観る事ができるようになりました!!
今日、ななさんの記事を読んで気になっていた、この映画を観ました。心に染み渡る静かな感動に包まれました。私もアラ還の身⁉︎なので、残りの人生はどれ位?なんて考えてしまうことが増えてきました。リスボンの光のように、残りの人生もあたたかく穏やかで、そして少しトキメキつつ歩けたらいいなあ〜と思いました。それにしても70年代にリスボンで起きていた出来事を全く知りませんでした。人間同士の争いが残す傷と癒されるまでの長い時間を、また思い知らされました。
また、ななさん、素敵な映画の世界を紹介してくださいね〜。

越子さん いらっしゃいませ 初めまして

ベトナムに在住しておられるのですね。
ジェレミーがお好きだとのこと,とってもお話が合いそうで嬉しいです!
この作品,初見時は私は実はそんなに感動しなかったんですよ。
でも,あとからじわじわ来るタイプの作品で,再見するほどに虜になってしまいました。
描かれているテーマが自分の年齢に合っていたということと
ジェレミーの魅力と(ついでに言えばアウグスト・ディールも好きなので)
それとリスボンの街並みの魅力や雰囲気が好きで何度観ても飽きませんね。

>リスボンの光のように、残りの人生もあたたかく穏やかで、そして少しトキメキつつ歩けたらいいなあ〜と思いました。
そうそう,私もそう思いました。
私の場合は日本の片田舎で仕事や家族に縛られてずっと生きてきたもので・・
映画やブログも現実逃避の一つなのかもしれないと常々思っていたものですから
ライムントみたいにある日ふらっとまったく違う世界を覗いてしまたことで
自分の中に思いがけない行動力を発見して
できれば今までの自分とは真逆のことをやってみるのもいいかな・・・と。
そんな憧れのような気持ちも抱かせてもらえる作品でした。


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