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2014年12月30日 (火)

ゴーン・ガール

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大好きなデヴィッド・フィンチャー監督の最新作ということで,劇場で観てまいりました。

「ゴーン・ガール」=「失踪女性」でいいのかな?タイトル通り,結婚5周年を迎えた記念日に突如姿を消した妻(ロザムンド・パイク)を捜す夫(ベン・アフレック)が,警察やメディアに翻弄されたあげくに殺人犯の疑いまでかけられてしまうサスペンス作品。

いや~~ ある意味ホラーな作品でございました。怖い怖い
ネタバレ禁止なので詳しく書けないけど,これだけは。消えた妻は被害者ではなく,すべては彼女の茶番劇。それも失踪の目的は,結婚当初の期待を裏切って職を失い若い娘と浮気までしたヘタレ夫への復讐・・・・この展開は,なんとなく見る前からバリバリに予想はついた。
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妻が怪しいってことだけは最初から読めるんだけど,ではこの作品の見どころは?というととにかくロザムンド・パイク演じる妻のエイミーの悪女ぶりの凄さかな。ここまでやるか~~って感じで目が離せない。そしてそれがことごとく成功するし,彼女の仕業を見破れた人物がいたとしても手も足もでない展開に。

結婚は人生の墓場であるとか,女は怖いとか,そんな単純な話じゃない。

この作品を観たら結婚が怖くなるとか,そんなことはない。だって彼女のような女性は・・・・滅多にお目にかかれるものじゃないから。こんな相手を配偶者に選んでしまった場合はものすごく運が悪いとしかいいようがない。心の中ではみんな「私はこの結婚に失敗した。私の人生をどーしてくれるの!」とたとえモヤモヤしたとしても,実際にここまでの行動には移さないし,何よりも普通の人間は家庭を築いた相手に対して愛は消えても「情」くらいは持っているだろうから。

大丈夫,こんな命も危うくなるような,重い人間不信になるような結婚は普通はみなさん体験はされないでしょう。妻が、もしくは夫がありえないくらい冷血で,悪事の計画をパーフェクトにたてることができるくらい頭脳明晰でないと、起こらないでしょう。こんな事件は。
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この物語のエイミーは,恐ろしいほどに,いや天晴れなくらい自己中で,他人はみんな自分のために存在していると信じて行動し,邪魔になったり自分の不利益になったりする相手は容赦なく制裁したり廃棄したり・・・・こんなヒロイン,どこかで観たことがあるなぁと考えたてみたら,ニコール・キッドマン主演の誘う女のヒロインがよく似たキャラだった。

ニコールが演じたヒロインも自己顕示欲が強く自分大好きな女性で,夫はそのための道具でしかなかったような・・・・。完璧な人生を演じることが人生の目的って・・・・。もっとも「誘う女」のヒロインは最後に恨みを買った誰かに消されてしまうのだけど,この作品ではエイミーは勝利者として幕を閉じる。いや~~,いつか天罰が下れよ!って誰もがラストには思ったと思う。

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可哀想な夫役のベン・アフレック・・・・。キャスティングを見たとき,フィンチャーのサスペンス作品にベン・アフレック?うーんなんか違和感・・・と思っていたが,鑑賞後の今は彼でビンゴ!だったのだと感じる。お人好しで凡庸で,あがきつつもエイミーの張り巡らされた蜘蛛の巣から逃れることができない夫の雰囲気が・・・・これがブラピやトム・クルーズならしっくりこないだろうし。(ベン・アフレックさんは俳優さんとして大好きですが)

これ以上は詳しく書けないけど,とにかく長尺の作品にも関わらず,想定外の展開から目が離せないのでとても面白かった。しかし鑑賞後の余韻はあまり心地いいものではありません。この監督はそういう、消化不良でイヤーな気持ちになる作品多いですが・・・ゾディアックとかセブンとか。でも傑作だとは思いました。ロザムンド・パイクの背筋も凍る悪女ぶりは一見の価値あり!勧善懲悪やハッピーエンドが好きな方にはおすすめしません。

 

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コメント


ロザムンド・パイクって、ひと癖もふた癖もありそうな役がピッタリの女優さんて気がします。

いつか“背筋の凍る悪女振り”を私も体感してみたいです。^^;

ななさんの新着記事、楽しみに伺いました。佳いお年をお迎え下さいね。(*^^*)

ぺろんぱさん あけましておめでとうございます。

ひと癖ふた癖どころか,み癖もよ癖もあるキャラでした。
わりと正統派美人なのですが知的なクール・ビューティでもあるので
きっとこの役がぴったりなのでしょうね。

対する夫役のアフレックさんは、悪女にしてやられるタイプのお人よしさんという役柄をうまく演じていましたね。

遅ればせながら。この映画についてどなたかが「夫婦なんてみんなこんなもん」みたいなことをおっしゃってましたが、こんな夫婦がゴロゴロいたら世の中大変なことになりそうな気がします(^_^;
それはともかく、あの結末自分にはそれなりにハッピーエンドのように思えました。この辺も人によっていろいろ意見が分かれそうですね
心理的に追い詰められるような話の中、ベンさんちが飼ってたでっかい猫がかわいくて妙に心癒されました

SGAさん,こちらにもありがとうございます。

>、こんな夫婦がゴロゴロいたら世の中大変なことになりそうな気がします(^_^;
…恐ろしすぎですね。こんな妻はそうそうはいないことを願います。
まぁ,被害者が夫や彼氏の範囲でとどまってるならまだいいかも・・・・
逃げ出すことも報復することもしないで子供のために仮面夫婦を続ける道をチョイスしたアフレックさんには頭が下がります・・・・。

そうそう猫!みかん色の猫チャン、かわいかったですよね。
あの猫ちゃんが殺されたり怪我したりする流れになったらどうしようと気をもんでいましたが
そんなこともなく終わってくれたので胸をなでおろしましたっけ。

ななさん、こんにちは!
劇場鑑賞されていたのねー。
私はお家でだったので、ちょっと冷静に見れた分、突っ込みながら、でも楽しく鑑賞しました。

そうそう、天罰当たれー、当たるぞーと、私も思いました。
それと、キャスティングもその通り、旦那がトムさんとかブラピなら、こういう風な印象にはならなかった。

あの夫、猫ちゃんがいてくれて、双子の兄弟がいてくれて、よかったね、って何度も思いましたわ。
あ、でも若い娘と浮気してたんだっけか(^^ゞ

latifaさん!こんばんは

劇場でも観たし,DVDもレンタルしてみました。二度目鑑賞はいろんな意味で面白かったなぁ・・・・ヒロインの本性をはじめから知ってストーリーを追うのもなかなか興味深いですね。

>それと、キャスティングもその通り、旦那がトムさんとかブラピなら、こういう風な印象にはならなかった。

そうそう,主役を張れる男優でないといけないけど,トムやブラピは最後に反撃してそれが成功しそうですもんね。ヘタレオーラがない・・・。その点,アフレックさんは適役でした。

>あの夫、猫ちゃんがいてくれて、双子の兄弟がいてくれて、よかったね、って何度も思いましたわ。
猫ちゃん,かわいかったなぁ・・・いい味出していましたよね。
若い娘と浮気・・・そういう俗物っぽいところも,悪女の毒牙にかかりやすい・・・・

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とある女が失踪したからミステリー、と決めつけるよりもサスペンス・スリラーなんだな、これは。何故ってひたひたとぞくぞくと怖かったから。最初はニック(ベン・アフレック)の妻が失踪した事を巡って、妻エイミー(ロザムンド・パイク)の行方探し、誰が関与しているのか、などのミステリー仕立てになっているが、途中から加速度的にスリラーになっていく。アカデミー賞のノミネート(主演女優賞)もされたこの作品。面白かったし、すごいな、とは思ったけれど…。何かを深く考えさせられたり、衝撃を受けたりする事はない。ちらっと人の業... [続きを読む]

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