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2013年2月20日 (水)

ゼロ・ダーク・サーティ

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ハート・ロッカー
キャスリン・ビグロー監督が,米国特殊部隊によるアルカイダの指導者オサマ・ビン・ラディン殺害の真相と,その作戦の陰の中心人物だったCIAの女性分析官を描いたサスペンス映画。劇場で鑑賞。

「ハート・ロッカー」同様,ビグロー監督らしい,骨太でドキュメンタリータッチのズッシリとした味わいの作品だが,描かれている内容が内容だから,話題性は前作を凌ぐものがあるに違いない。私個人は,ビンラディン氏の死の真相・・・・恥ずかしながらちっとも知らなかった。彼が米国によって殺害されたのは知っていたが,その報道を聞いて「彼を捕まえないことにはアメリカは気が済まないだろうけど,それでもまた第2,第3のビンラディンが現れてきて報復合戦になるよね」と思ったくらいだろうか・・・・。

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今作を観てはじめて,困難な追跡の裏事情や,CIAイスラマバード支局のビンラディン追跡チームに所属する女性情報分析官マヤの執念や活躍を知った。また,トップシークレットでもあるこの事件について,ビグロー監督がどのようにして正確な情報を入手したのか,そもそも映画に描かれているのは100%事実なのか,事実だとしても,ここまで暴露してしまったことに対して政府筋から抗議や非難は無かったのか…いろいろと考えさせられた。

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ヒロインのマヤを演じたジェシカ・チャスティンツリー・オブ・ライフで貞淑で敬虔な古風な母親を演じていた彼女は,華奢で色白,繊細な容貌の美人だが,この作品では色気も生活感も微塵も感じさせない男性顔負けの行動力を持った仕事の鬼のようなハンサム・ウーマンを演じている。過酷な拷問や尋問にも立ち合い,ビンラディンの連絡員を勤める重要人物を執拗に追い,確たる証拠がないというリスクも恐れることなく、ビンラディンが潜伏していると思われるアジトに夜襲をかける作戦をゆるぎない信念を持って執拗に主張する。

その一途な執念は何かに取りつかれたかのようで,もし彼女がいなかったら,成果の上がらない長年の追跡に疲弊して弱腰になっていた追跡チームは,もしかしたらあの賭けのような夜襲作戦を強行できなかったのではないかとさえ思える。彼女をあそこまで突き動かしたのは何なのか,信念なのか意地なのか・・・・?ひとたび足を踏み入れたら途中で降りることのできない中毒のようなパワーに支配されていたのか・・・・。

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クライマックスのアジトの屋敷の奇襲シーンは生々しくて固唾をのんで画面に釘付け…思わず劇場の椅子の上で背筋を伸ばして食い入るように見入っていた。どうなるのか?本当にビンラディンは居るのか?と。

彼を殺害できたことは,あの同時多発テロの被害者やアメリカにとっては大勝利なのだろうか・・・神と祖国のために?神はキリスト教の神だけではなく,彼らアルカイダの信じる神もまた彼らにとっては唯一無二の神なのだ・・・・。しかしこの作品はアメリカ礼賛のための映画ではなく,米国のことを決して美化したり擁護したりはしていない。アルカイダに報復するために非道な尋問を行ったこともはっきりと描いているし,あの成功した奇襲作戦そのものも,まるで押し込み強盗のような有無を言わさぬ殺戮にも見え・・・

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すべてが終わった後ひとり涙を流すマヤ。
彼女の胸には万感迫る思いがあったのか?それともそれまでの緊張感や使命感から解き放たれたゆえの反動的な涙だったのか?鑑賞後に感じた,爽快感や達成感とはかけ離れた疲労感・・・・これはいったいなんなのだろう。まだ闘いは終わっていない。これからも報復合戦は続くという予感。しかしいろいろな意味で必見の作品であることは間違いない。

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映画 さ行」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
そう、またこれからも≪報復合戦≫は続き、
世界に平穏の日が訪れることはない。
日本の無常観にも似たラスト、
見ごたえあるものの、
どっと疲れる映画でした。
こういうのを作るなんて
ハリウッドも変わってきたな…と思います。

えいさん こんばんは

>日本の無常観にも似たラスト、
>見ごたえあるものの、 どっと疲れる映画でした。
カタルシスはなかったですね。
かえって,ここまでの執念で争いや報復は続くのだと
それならば終結は無理ではないのかと
どちらかの勝利は,つまり相手側にとっては
受け入れられない敗北を意味するので・・・・

ハリウッドというか
この監督さんの作品がこうなのかもしれませんね。
でもずっと注目していたい監督さんです。
女性というのがまたすごい・・・・。

政府筋からの抗議や非難はどうだったのでしょうね。
この映画は肯定でも否定でもないので、
表立って論評することは難しいでしょう。
その代わりもちろん明快な答えもありません。

あ、ひとつだけ言えることがありました。
言葉で平和を唱えるだけでは何も解決しません。
それを自覚しつつ、次善を探っていくしかないのだと思います。

クラムさん こんばんは

そうですね たしかに
この作品は上手に中立の立場を保ちながら
問題提起というか真実を淡々と伝えてくれて
観客それぞれにこの問題について
考えさせてくれているような気がしますよね。

>言葉で平和を唱えるだけでは何も解決しません。
>それを自覚しつつ、次善を探っていくしかないのだと思います。
おっしゃるとおりだと思います。
ただ,平和って,この世界ではもう無理なのかもとも思いますね・・・・。

ななさん、こんばんは!

単にアメリカ礼讃とか、一方的な正義とかそういったことではないように撮ろうと気を使っている感じはしましたね。
事実を粛々と伝えようという感じといいますか。
監督の硬派なタッチとあわせて、緊張感があった作品でした。

TB、コメ!ありがとう。
お久しぶりです。
腰が重くて、まったく面目ないです。すいません。
寒いですねえ。
3月になったというのに、まだまだ周りは雪だらけ。
気持ちまで滅入ってきますが、この映画もほんとに滅入りました。
事実がどうの・・というよりも、手段はどうあれ、アメリカの選択したことはこうなんだ!というものを淡々と見せた?そんな感じですかね。
途中、ぐだぐだと動かない状況はマジに眠くなった。それも経過として大事なことだったのかも。
で、怒涛のクライマックス!
お目目パッチリ!背筋しゃきんとなりました。
でも、見終わったあとのむなしさは半端なかったですねえ。それはしっかと伝わりました。

はらやんさん こんばんは

>事実を粛々と伝えようという感じといいますか。
そうですね、監督が自国のことを告発したいのか
はたまた礼賛したいのかそこらへんはあえて
曖昧にしてジャーナリストのような視点で描いていたみたいですね。
この映画を観てどう感じるかは観客それぞれの視点や
価値観,判断力に任せているのでしょう。
そういう客観的な立ち位置に居れるところも
この監督さん,男性的です。

sakuraiさん こんばんは

ほんとお久しぶりですね~
この作品は政治や歴史や時事に詳しいsakuraiさんの感想
ぜひ拝見したいな~と鑑賞時から思ってました。
そちらはさすがにまだ雪ですか。
こちらは四国なので,そろそろ春の気配です。

途中は事態が進展しないのと
人物の相関関係がつかめなくって
冗長に感じられましたが
あの怒涛のクライマックスは一気に緊張感!
あれが見れただけでもよかったかな・・・・。
あの時一気に上がったテンションと
ラストの無常感が対照的で・・・いやはや凄いなぁと思いました。

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