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    ブロークバックマウンテンの名シーンの数々です。

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2012年10月の記事

2012年10月30日 (火)

最強のふたり

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フランス映画だったのね~,これ。ハリウッドの好きそうなテーマだけど。実話というのがまたなんとも幸せな気持ちにさせてくれる,確かに最強のハートフル映画だった。

あらすじ: 不慮の事故で全身麻痺(まひ)になってしまった大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、新しい介護者を探していた。スラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに面接にきた不届き者だったが、フィリップは彼を採用することに。すべてが異なる二人はぶつかり合いながらも、次第に友情をはぐくんでいき……。(シネマ・トゥディ)

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フランスのコメディってあまり観たことがなく,出ている役者さんも知らない人ばかり。実話だと知らずに観たなら,まるでありえないくらい可笑しくて優しくてハッピーエンドなお話。障害を持った富豪と,天真爛漫なスラム青年の・・・・これは主従の関係ではなく友情の物語なのだ。

育った環境も嗜好も性格もまったく違う二人。もともとドリスはフィリップに雇ってもらうつもりはさらさらなく,介護人としての心構えもやる気も知識もまったく無い。しかしそんなドリスの言動や性格がフィリップには新鮮で・・・何よりもドリスが自分の障害を少しも気の毒だとも特別だとも思わず接することがフィリップには有り難くて・・・・。
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無理もない。オマール・シーの演じるドリスは,ほんとうに魅力的なキャラなのだ。まっすぐであたたかくて面白くてポジティヴ・・・もちろんその生育の背景には貧困層ならではの複雑な苦労もあるのだが,それゆえの強さや明るさや優しさが感じられるのだ。

ドリスはフィリップを,そしてフィリップはドリスを,正反対ともいえる互いの個性や環境を面白がり,特にフィリップはまったく自分を「病人扱いしない」ドリスと行動することによって,それまで諦めていた人生がにわかに色づいてくるかのような楽しさを味わう。

最初から最後まで楽しくて観ているこっちもクスクス笑いっぱなし。特にフィリップの誕生会で楽団の演奏するクラシックの曲に,ドリスが好き放題に自己流の感想を述べるシーンは爆笑もの。ヴィヴァルディの「四季」は「職業安定所」のBGMで,たしかコルサコフの「熊蜂の飛行」(かな?)は「トムとジェリー」だなんて・・・面白すぎ。

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全編を優しい笑いで包みながらも,ほろりと来るシーンも程よく盛り込まれていて,そして最後の最後までハッピーエンドで幕を閉じ,エンドロールではご本人たちの写真も見せてくれて,「ああ,こんなにあたたかいお話がほんとうに実話なんだ」と改めて感動。素敵な作品だった。落ち込んだ時・・・疲れたとき・・・特にお勧めの作品かな。

2012年10月22日 (月)

ラビット・ホール

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大きな岩のような悲しみは
やがてポケットの小石に変わる・・・

ピューリッツァー賞受賞の戯曲をベースに,劇作家のデヴィッド・リンゼイ=アベアー脚本,ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の作品。ニコール・キッドマン主演。DVDで鑑賞。

あらすじ: 郊外に暮らすベッカ(ニコール・キッドマン)とハウィー(アーロン・エッカート)夫妻は、愛する息子を交通事故で失った悲しみから立ち直れず、夫婦の関係もぎこちなくなっていた。そんなある日、ベッカは息子の命を奪ったティーンエイジャーの少年と遭遇し、たびたび会うようになる。(シネマトゥディ)
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突然の事故で子どもを失った夫婦が,その悲劇や喪失感をどのように受け入れ,再生への道を歩き出すか…そんな過程を繊細に丁寧に綴った物語だ。

この作品を観て,「喜びは似ているが,悲しみは千差万別」だという意味の言葉を思い出した。そして,悲しみの乗り越えかたも人によって様々で,決してマニュアルはないし,自分のやり方を押し付けてもいけないのだなあとも思った。

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ベッカとハウイー夫妻は,息子を亡くしたという悲しみや痛みは同じ筈で,だからこそ傍目には,二人は共に手を取り合って悲しみを癒し合えるのではないかと思うのだけど,それがそう簡単ではなく,男女の違いか,はたまた互いの性格や価値観の違いか,二人は互いのやり方にそれぞれが違和感と不満を持ち,気持ちは次第にすれ違っていく。

どちらかと言えば,一般的には夫のハウイーの方が普通の反応に見える。彼は亡くした息子の思い出の詰まった部屋や持ち物を大切にし,夜更けに息子のビデオテープを見て涙を流し,子を亡くした親たちのセラピーに参加して他人と悲しみを共有し,妻との間に新しい子どもを授かりたいとも願う。
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そんな彼に比べて,妻のベッカは,息子の遺品から極力目を背け,セラピーでは神の癒しについて語る他の親に毒舌を吐き,寄り添おうとする実母や妹に時には高飛車な態度を取ったりする。そして挙げ句のはてには,息子の命を奪った加害者の少年と交流したり・・・。ハウイーにとってそんな妻の言動は,なかなか共感できるものではなかった。
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わたしもベッカの言動には「なんで?」と思うこともあったけれど,やはり悲しみとの折り合いの付け方は人によって違うから,頑なで八つ当たりのように見えたとしても,彼女は今はああするしかないのだろうな・・・と切なく思いながら観た。特に遺品や思い出を封印したくなる気持ちはわかるような気がする。私だってもし彼女の立場に立ったら,遺品の処分は出来ないけど,見たら思い出して辛くて耐えられないかもしれないから。

ベッカはまだ受け入れられないのだ・・・たぶん。息子を亡くしたことを。そしてまた,それによって不幸になった自分をも彼女は受け入れられなくて苦しんでいたのかもしれない。
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結婚して家庭に入るまではキャリアウーマンだったベッカ。美しく,家事も堪能で裕福で…そんな彼女なら,息子を亡くしたことで他人に憐れまれたくないというプライドもあるだろうし,「麻薬の過剰摂取で死んだ兄と自分の息子を同列にしてほしくない」と実母にくってかかる気持ちもわかる。夫や肉親の慰めの手を素直に受けることができずに自らを孤独に追いやっている彼女は,もちろん痛々しくはあるのだが。
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そんなベッカの慰めになったのが,加害者の少年との触れ合いだったのは意外だった。これが犯罪ならもちろん加害者との交流などあり得ないのだが,不慮の事故であり,少年もまた痛みを抱えていたこともあって,ベッカは彼と共鳴したのだろうか。

少年の描いたSFコミックに登場する無数のパラレルワールド。世界はひとつだけでなく,別の世界では息子も自分たち夫婦も,何一つ失わず幸せに笑っているのかもしれない。この発想がベッカに不思議な慰めを与える。
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もはや取り返しのつかない悲劇や喪失。でも,もしかしたらそれらが起こっていない別の世界があるのかもしれない。そこで愛する息子は幸せに生きているのかもしれない。自分たちは彼の傍らでこれからもその成長を見守っていけるのかもしれない・・・・。

ベッカもハウイーも,いさかいやすれ違いの危機を体験しながら,それでもいつしか少しずつ同じ方向を向いて再生への道をゆっくりと歩き始める。人生はやはり続くのだから・・・どんな方法でも,人は悲しみのなかに立ち止ることなく,歩き出さなければ生きていけない。そう,人それぞれの方法でなんとか悲しみと共存しながら。
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和解した実母からの言葉,「悲しみは消えないけど変化していく。重さが変わっていく・・・岩のような大きさだったのがポケットの中の小石のようになる。時には忘れてしまうときもあるほどに。それでも消えることはなく依然としてそこにあるのだけれど。」 という意味の言葉が印象的だった。

失ったものは戻りはしない。後悔しても時は巻き戻せない。
悲しみは完全に消えはしない。
それもまた自分の一部であると受け入れながら悲しみと共に生きていくほかはないのだ。やがてその重みをほとんど感じなくなり,時には慈しむこともできる日が来ると信じて。

それにしても。
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ニコール・キッドマンの美しさ。不惑をとっくに過ぎてもこのひとの美しさは少しも色褪せない。髪形によってはまだまだ少女のように見えることも。まとめ髪にするとそれはそれで熟女の魅力も漂うし。あらすじを追いつつもニコールの出る作品は,やはりこのひとの容姿に見とれてしまう・・・・。

2012年10月 9日 (火)

シェイム

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愛なら毎晩 
ティッシュにくるんで捨てている

ゴールデン・グローブ賞 主演男優賞ノミネート,ヴェネチア国際映画祭男優賞受賞の衝撃作・・・・DVDで鑑賞。やり手のビジネスマンで実はセックス依存症の男ブランドンと,一途に愛を求める依存型の妹シシーの物語。

セックス依存症が主人公って・・・・あらすじを見ただけで「これって面白いの?」と素朴な疑問が。しかし「今年最も打ちのめされ、感じさせられた映画。鋭く五感に突き刺さる稀代の大傑作!(!リチャード・ローパー!)」とか,「こんなにも強烈な映画を他に知らない。言葉など意味をなさない。圧倒的で、情熱的で、完璧。(アンドリュー・オヒーハー)」とか,各評論家が絶賛の嵐。これは観るしかない!と観始めて・・・すぐに一気に虜になってしまった。
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ストーリーはあってないようなもの。大きな山場もなく展開もなく。この作品はストーリーではなく主人公ブランドンそのものを描いた作品なんだな・・・と気づいた。

表の顔はクールなビジネスマンなのに,行きずりの相手や娼婦とのセックスやアダルトサイト閲覧やマスタベーションなしでは日も夜も暮れないブランドン。彼は,愛の伴わない,快楽と排泄のみが目的のセックスしかできない男。本当に好意をもって進展したいと願っているガールフレンドとのセックスでは萎えてしまう男・・・・・そして,彼に愛情と怒りと自己嫌悪を抱かせる妹のシシーの存在。
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互に求め合いつつも激しく拒み合っているようにも見えるこの兄妹の間には,過去に何かがあり,そのことがお互いを苦しめ,特にブランドンにとっては彼の本当のシェイム(恥部)となっている。・・・・真相ははっきりとは語られていないが,そんな背景を十分に予想させる場面やセリフのやり取りが作品のそこここに散りばめられている。

過激な描写も呆れるような主人公の言動も,流れるようなBGMと美しい役者の体当たりの演技のせいか,場面によっては絵画のように美しく,それほど抵抗なく見入ってしまった。舞台がスタイリッシュな大都会だというのもこの作品の美しさのひとつになっている。

セックスしか語られていないのに,なぜこんなに心を切なく締め付けられるのか・・・愚かで孤独で痛々しいブランドン。抜け出したくても自分で自分をどうすることもできない呪縛にがんじがらめのブランドン・・・心情を語る台詞は皆無なのに,彼の苦悩や葛藤や隠された恥部がひしひしと伝わってくるこの物語は凄い。そしてそんなブランドンを演じたマイケル・ファスベンダーがとにかく素晴らしい。その渾身の演技も鍛え上げられた美しい肢体も。
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一途さと危うさを兼ね備えたシシー役のキャリー・マリガンも見事だった。派手な演出も面白いストーリー展開もCGも気の利いた台詞もなくても,こんなに心を打つ作品が撮れるのだと,感嘆した。

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