最強のふたり
フランス映画だったのね~,これ。ハリウッドの好きそうなテーマだけど。実話というのがまたなんとも幸せな気持ちにさせてくれる,確かに最強のハートフル映画だった。
あらすじ: 不慮の事故で全身麻痺(まひ)になってしまった大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、新しい介護者を探していた。スラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに面接にきた不届き者だったが、フィリップは彼を採用することに。すべてが異なる二人はぶつかり合いながらも、次第に友情をはぐくんでいき……。(シネマ・トゥディ)
フランスのコメディってあまり観たことがなく,出ている役者さんも知らない人ばかり。実話だと知らずに観たなら,まるでありえないくらい可笑しくて優しくてハッピーエンドなお話。障害を持った富豪と,天真爛漫なスラム青年の・・・・これは主従の関係ではなく友情の物語なのだ。
育った環境も嗜好も性格もまったく違う二人。もともとドリスはフィリップに雇ってもらうつもりはさらさらなく,介護人としての心構えもやる気も知識もまったく無い。しかしそんなドリスの言動や性格がフィリップには新鮮で・・・何よりもドリスが自分の障害を少しも気の毒だとも特別だとも思わず接することがフィリップには有り難くて・・・・。
無理もない。オマール・シーの演じるドリスは,ほんとうに魅力的なキャラなのだ。まっすぐであたたかくて面白くてポジティヴ・・・もちろんその生育の背景には貧困層ならではの複雑な苦労もあるのだが,それゆえの強さや明るさや優しさが感じられるのだ。
ドリスはフィリップを,そしてフィリップはドリスを,正反対ともいえる互いの個性や環境を面白がり,特にフィリップはまったく自分を「病人扱いしない」ドリスと行動することによって,それまで諦めていた人生がにわかに色づいてくるかのような楽しさを味わう。
最初から最後まで楽しくて観ているこっちもクスクス笑いっぱなし。特にフィリップの誕生会で楽団の演奏するクラシックの曲に,ドリスが好き放題に自己流の感想を述べるシーンは爆笑もの。ヴィヴァルディの「四季」は「職業安定所」のBGMで,たしかコルサコフの「熊蜂の飛行」(かな?)は「トムとジェリー」だなんて・・・面白すぎ。
全編を優しい笑いで包みながらも,ほろりと来るシーンも程よく盛り込まれていて,そして最後の最後までハッピーエンドで幕を閉じ,エンドロールではご本人たちの写真も見せてくれて,「ああ,こんなにあたたかいお話がほんとうに実話なんだ」と改めて感動。素敵な作品だった。落ち込んだ時・・・疲れたとき・・・特にお勧めの作品かな。
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