50/50 フィフティ・フィフティ
DVDで鑑賞。ジョゼフ・ゴードン・レヴィットが好きということもあり・・・・そのわりにはリリースされてからなかなかレンタルしなかったけど。
ある日突然ガン宣告され,手術の成功は50%だと言われてしまった青年の,等身大の闘病物語・・・・なんだけど。主役のジョゼフは最近は,ノーラン監督のもと,インセプションやダークナイト・ライジングでアクション俳優づいてもいるけど,「500日のサマー」やこの作品のような,どこにでもいそうでちょっとシャイな好青年という役も,とても魅力的でハマってる・・・とも思う。こういう役柄だと華奢で童顔に見えてしまうから不思議。
命を脅かす病気になったとき,人はどんな受け止め方をして,その後の日々をどんなふうに過ごすのか?そしてまた周囲の家族や友人,知人たちもまた,どんな反応をし,どんな関わり方をするのか・・・それはもちろん人それぞれで,本人の価値観や年齢,置かれた環境や人間関係の違いで十人十色というべきものなのだろう。
タッチはあくまでも軽くて深刻な描き方ではないのだけど,もし自分がガンになったら,どこに心の持ちようを見出すのか?また自分の大切な人がガンになったら,自分はどんな風に支えたらいいのか?そんなことも折々の場面で考えさせられる作品だった。
この作品の主人公アダム(ジョゼフ・G・レヴィット)は若く,平凡な青年。彼にとって突然のガン告知はまさに青天の霹靂。しばしの茫然自失状態から覚めた後の彼は,健気にも明るく淡々とガンとの闘病に向かおうとする・・・・のだが。
彼を取り巻く人々のそれぞれの反応や順応。最初は支えると誓ったのに全うできずに去っていく恋人レイチェル。ガンを吹き飛ばせとばかりにナンパや遊びを進めてくる一見「お気楽」な親友カイル(セス・ローゲン)。オーバーに悲しみ心配する過干渉の母親と,彼が息子であることもわからなくなっている認知症の父親。そして,彼のメンタル面を担当した,まだまだ新米のカウンセラー,キャサリン(アナ・ケンドリック)。
アダムは彼らとの関わりややり取りの中で,その過剰反応に引いてしまったり,自分を励まそうとする相手に合せて明るく振舞ってみたり,反対に「誰も自分のことをわかってくれない。」と僻んでしまったり・・・・そしてやはり病状が進むにつれ,死への恐怖や虚無感から,穏やかな彼もどうしようもなく自暴自棄に陥る日もあったりして・・・・
さまざまな揺れを体験しながら,でも最後にはアダムは,両親との絆を再確認し,武骨な親友の秘めた愛情にホロリとし,キャサリンには恋心を抱くようになっていく。そう,ガンのような病気と直面したとき,誰でも自分の周囲の人間関係を見直したり整理したり新しい絆を芽生えさせたり・・・するのだろう。
飄々とユーモアを交えてあくまでも軽いタッチで爽やかに描かれているけれど,この作品のテーマは決して軽くないし,あたたかい感動が鑑賞後にじんわりと沁みてくる・・・・いい作品だ。
最後に私事を打ち明けると,先日の人間ドックの結果,とある「ガンの疑いあり」ということで,要精密検査になりました。そして精密検査では,針生検とやらまでしたのだけど,十分な量の細胞が取れず,いぜんとしてグレーのまま,今は数か月の経過観察状態。12月に再び再検査の予定。そんな私にとって,この作品はある意味他人事ではないのだけど,それだからこそ心に感じるものがたくさんあったのかもしれないです。今までも大病や手術をしたことはあるけれど,怖いな・・・と感じた病気は初めてかも。でも今から心配してもしようがないから,今は考えないようにすべて委ねて,淡々と楽しくこれまでと変わりなくを心がけて日々を過ごしています。さすがに生活や食習慣は以前より気をつけるようにしていますね・・・・。
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少し道に迷っただけ。
ごく普通の青年アダムは、ある日ガンを告知される。
はっきりと自覚ができずに、病院の他の患者を他人事の目でしか見られない。あまりに予想外で笑いすら浮かんでくる。
しかし周りから少しずつ明らかに変わり始める日常。
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ごぶさたしてます。
ご自身の状況と重ね合わせると、
より深く思うところがあるのでしょうね。
私は幸いなことに、
生まれてこの方大病どころか1日の入院すらないまま、
半世紀が少し先に見える年齢まで来ました。
ただ、健康に自信ありと発言しつつもどこかに恐怖心はあります。
自分が、家族がいつそういう立場になるかと考えたときに、
なかなかイメージが湧きづらい中で、
一つの実像を示してくれた物語でした。
投稿: クラム | 2012年9月30日 (日) 00時22分
クラムさん お久です。
そうですか~,一日の入院すらないって素晴らしいですね。
私も成人するまでは健康でしたが(今も病弱ではないけど)大人になってから脳神経外科で手術を2度するようなやっかいな病気にかかりました。命にかかわる病気ではなかったけど,手術しないと完治しなかったのでその病気の専門医のいる京都まで行って入院しました。幸い完治しましたが・・・。自分の病気って案外腹が据わるものです。そうですね~,家族の病気のほうがこたえるかも・・・・。これもなってみないとわかりませんが。
ガンのような病気って案外,いつだれがなるかわからない怖さもありますね・・・自分も周囲もそのときどういう対処をするのか,いろいろ考えさせられた作品でした。
投稿: なな | 2012年9月30日 (日) 12時43分
ジョゼフとセスの共演!ってことで、DVD化されて直ぐに観ました(^-^)/
ジョゼフはこういう役やらせたら上手いですよね〜。ダークナイト・ライジングやインセプションのジョゼフもいいけど、どっちかって言うと、ちょっとオタク入って、天然で、ナイーブな役が好きかな(笑)
ななさん、再検査ってことですが、何でもないことを祈ってます。私も多分同じ経験あります。数ヶ月たたないと、細胞がどう変化するかわからないって言われて(^^;; でも、大丈夫でしたよ!
どうか、お身体ご自愛下さいね(^_−)
投稿: ちー | 2012年10月 1日 (月) 01時57分
ななさん、こんにちは!
ななさんの体調の方、12月にハッキリするまで、なんだか落ち着かないですね・・・。
検査の結果がすぐに解らなかったり、グレーのままなのは、不安だし、色々考えてしまいます・・。
早く、なんでもないってことが解って、スッキリ爽快な気分になられること、祈っています!!
私の回りでも、子宮系なのだけれど、今すぐ手術しなければならないってわけじゃないけれど要観察の子がいるし、もっと大変な状態だったけど今は元気にされている方もいます。
ななさんは以前に脳外科の方で手術も2回経験されているんですねー!!そんな大手術の経験があるなんて・・・。
PS ダークナイト・ライジング、見たかったのに、今年の夏、寝込んでいて、結局見に行けませんでした。
シクシク・・・。
投稿: latifa | 2012年10月 1日 (月) 17時14分
ちーさん こんばんは!
セスもいいですよね!私はグリーン・ホーネット以来ですが。ジョセフとの絡みもとっても息がぴったりで。
>どっちかって言うと、ちょっとオタク入って、天然で、ナイーブな役が好きかな
私もです。500日のサマーの彼も好きだなぁ。
髪形がね,好青年役の時は前髪をおろしてたりして可愛いね。
この作品では途中からスキンヘッドになっちゃったけど。
ちーさんも再検査とか経験あるんですね。私は乳癌なんですけど,マンモで影がみつかり,再検査のエコーでシコリあり、とのことでした。その日のうちにマンモトームとかいう針をさして細胞を取るのもやってもらったのだけど,乳腺が固くて往生して。結局わずかしか細胞が取れず,その細胞からガンはみつからなかったけど,細胞が少なすぎるので全くシロとも言い切れないと・・・・。今後のしこりの経過具合で判断するしかないそうです。しこりも手ではまったく触れないんですけどね・・・。
>お身体ご自愛下さいね(^_−)
ありがとう~~ ちーさんの「なんでもなかった」談,心強いです。今のところ,念のため乳製品やアルコールを断っています。身体は至って元気なんですけどね。
投稿: なな | 2012年10月 1日 (月) 19時42分
latifaさん こんばんは!
そうなんですよ,ちょっと落ち着きませんね,確かに。
日々の忙しさにまぎれてあまり考えずにすんではいますが,いろいろ食べものとかには気をつけてます。お祈りありがとう。嬉しいです。たぶん大丈夫だと思うのですが,お医者さんってなかなか安請け合いはしてくれないものですね。なかなか無罪放免にはなりません。脳の手術も体験済みで闘病自体はけっこう腹を括ってやり過ごせるたちなんですが(痛みにも強い)でもガンは命にかかわる場合もあるので,気の持ちようが違いますね。
ダークナイト・ライジング,残念でしたね。体調を崩されていたんですね。もうすっかりよくなりましたか?やっと涼しくなりましたものね。この夏はほんとに苛酷でした。引き続きご自愛くださいね。
投稿: なな | 2012年10月 1日 (月) 19時49分
お久しぶりです。
いつも拝見しておりますが、久しぶりのコメです。
最近は肩の凝らない映画ばかり観ております。
そろそろ脳を休ませたくなったのかも知れません(笑)
ななさんの近況を知り、最初は驚きましたがその後の詳細で少し安心しました。
再検査でよい結果になる事を祈っております。
私自身も十数年前に、入退院を繰り返しオペの経験があります。
まだ若い時だったので病気に対する怖さも分からず、生も死も深く考える事などありませんでした 。
最近は、年齢を重ねる事に健康の大切さを感じています。
季節の変わり目になりました。お体ご自愛ください。
投稿: nonnon | 2012年10月 2日 (火) 02時52分
nonnonさん お久しぶりです,嬉しいです。
私も最近は鑑賞数が減り,観ても全部はアップしなくなりました。だんだん怠慢になってきているようです…歳とともに。
病気のこと,お気遣いありがとうございます。nonnonさんも入退院やオペの体験がおありなのですね。
>まだ若い時だったので病気に対する怖さも分からず、
>生も死も深く考える事などありませんでした 。
わかります~~、私もまったく同じだったかも。今度の「乳癌の疑い」は,病気が病気と言うこともあってちょっと身構えましたね。さすがに。私はキリスト教なので死も闘病も,いざとなれば受け入れやすいのだろうと常々思っています。それでも「乳癌」って完治するにしてもそれまでの治療や手術・・・とくに女性にとってはやはり抵抗もありますね。真っ先に頭に浮かんだのは「人生の計画が狂う」という思いでした。でも今思えば,自分で自分のこれからの人生をどんなに思い描こうが,それが実現するかどうかはまさに神のみぞ知る…のかもしれません。どう転ぼうが精一杯のことをして後は委ねるしかないとそんな心境でいます。
>最近は、年齢を重ねる事に健康の大切さを感じています。
ほんとにそうですよね。年と共に確実に身体は少しずつ不調になってきますものね。お互い,自分に優しく,労わりながら生きていきましょうね。
投稿: なな | 2012年10月 2日 (火) 22時26分
ななさん、こんにちは。
近況報告を見てびっくりしました。
再検査で良い結果が出るといいですね。
お体大事になさってください。
映画の方は、お涙頂戴にならないリアルなテイストが新しくてよかったと思います。
ジョゼフはわたしも大好きです。
ノーランに気に入られたみたいで凄く嬉しかったり。
ノーラン作品以外でも、こうした等身大の青年役でも光る人ですよね。
それでは、またお伺いします。
猫ちゃんたちの記事も楽しみにしていますね♪
投稿: リュカ | 2012年10月 3日 (水) 19時51分
リュカさん こんばんは
痛い思いをして3度もトライした細胞診は
ちゃんとしこりに針がささってなかったみたいで・・・。
でもなんだか,もう喉元過ぎれば何とやらで
当初の不安が薄らいでいる楽観的な私ですが
12月の再検査が近くなると
やっぱり不安になるのかもしれません。
>映画の方は、お涙頂戴にならないリアルなテイストが新しくてよかったと思います。
カイル役のセスの実際の友人の脚本だそうですね。
だからこのリアルさが出たのか~~と。
そしてアダムはほんとに快癒したんですね、
実在のモデルが健在だから。
笑いと涙のバランスが絶妙です。
何度でも観たい闘病ものですよね。
ジョゼフはどんな役もこなせる俳優さんかもしれません。
結構アウトローな役もやってるし・・・
でもこの作品のようなどこにでもいそうな好青年役の彼は
ほんとに自然体で大好きです。
投稿: なな | 2012年10月 6日 (土) 23時00分