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2012年9月の記事

2012年9月29日 (土)

ドライヴ

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第64回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作品。DVDで鑑賞。
シンプルだけど最高にクールな作品!
私はライアン・ゴズリングの寡黙なカッコよさにハマってしまったけど,作品自体は,絶対男性受けするだろうな~~~,と思った。というか,この作品の醍醐味はやっぱり男性にしかわからんのじゃなかろうか?女性でもフィルム・ノワール色の濃いバイオレンスやサスペンスが好きなら(=それはわたし)ハマるかも。
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ジェイムズ・サリスの原作を,デンマーク出身の新鋭ニコラス・ウィンディング・レフン監督が映画化。天才的なドライヴィング・テクニックを持ち,昼は自動車修理工と映画のスタント,夜は強盗の逃がし屋をしている主人公(ゴズリング)。

この主人公,名前すらなく,役名は「ドライヴァー」なのだが,とにかく寡黙。家族も友人もなく,もの静かでとても他人に害など与えそうもない,そして感情の高揚も乱れもまったく起こりそうもない・・・そんな表情の彼なのだが,冒頭の「逃がし」のカーチェイスの場面から,もうすでに「コイツ,ただものではない」と雰囲気が。派手な場面ではないのだが,無駄がなく,何が起こっても冷静で的確な判断と行動をする彼からは,静かで確かな凄味が感じられて・・・「なんなの?このひと・・・」と画面に釘付け。
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そんな彼が,同じアパートに住む服役中の夫を持つ人妻アイリーン(キャリー・マリガン)に恋をした時から,歯車が狂っていく・・・いや,本来の彼の別の面が出てきた,というべきか。アイリーンやその息子に対する彼の接し方は,あくまでもプラトニックでシャイで優しく,他の人には決してみせない笑顔さえみせる。しかし,アイリーンの夫が巻き込まれたマフィアとのトラブルから,彼女と息子にも危害が及びそうになったとき,ドライヴァーは驚愕の変貌をとげる。

いや,寡黙で静謐・・・というのはそんなに変わらない。その「寡黙さ」「冷静さ」を依然として保ったまま,顔色一つ変えずに敵をつぎつぎと情け容赦なく倒していく様子が異様に凄いのだ。
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いくら愛するひとを守るために,とはいえ,その徹底ぶり,迷いのなさをみると,もともと壊れている人間なんじゃないだろうか?眠っていた彼のサディスティックでバイオレンスを好む本能が覚醒されただけでは?とすら思ってしまう。後半の殺戮シーンはかなりグロイのでそっちが苦手な人は注意が必要。

エレベーターの中のシーン・・・・ アイリーンをかばい,口づけするときのドライヴァーの仕草のなんと優しく繊細なこと。そして次の瞬間に彼は同じエレベーター内の敵を無残に蹴り殺すのだが・・・とても同一人物とは思えないこの落差には,アイリーンでなくても誰でもショックを受けるだろう。
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それでも,なんだろうな・・・やはり主人公に対して抱く,憐みのような,エールを送りたくなるような不思議な肩入れの気持ちは。本来は善人であるのに,感情面で人とは違う病んだものを抱えている主人公の孤独さと,そんな彼の一途な恋心が切なくて,心惹かれてしまうのだろうか。

ライアン・ゴズリングの作品はラースと、その彼女くらいしかじっくり観ていない。ハンサムだと思ったことは今までなかったけど,この作品の彼はとても素敵です。まさにカメレオン俳優で,ちょっと,いや,かなーり変わった主人公を演じさせたらピカイチだと思う。

2012年9月25日 (火)

50/50 フィフティ・フィフティ

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DVDで鑑賞。ジョゼフ・ゴードン・レヴィットが好きということもあり・・・・そのわりにはリリースされてからなかなかレンタルしなかったけど。

ある日突然ガン宣告され,手術の成功は50%だと言われてしまった青年の,等身大の闘病物語・・・・なんだけど。主役のジョゼフは最近は,ノーラン監督のもと,インセプションダークナイト・ライジングでアクション俳優づいてもいるけど,「500日のサマー」やこの作品のような,どこにでもいそうでちょっとシャイな好青年という役も,とても魅力的でハマってる・・・とも思う。こういう役柄だと華奢で童顔に見えてしまうから不思議。

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命を脅かす病気になったとき,人はどんな受け止め方をして,その後の日々をどんなふうに過ごすのか?そしてまた周囲の家族や友人,知人たちもまた,どんな反応をし,どんな関わり方をするのか・・・
それはもちろん人それぞれで,本人の価値観や年齢,置かれた環境や人間関係の違いで十人十色というべきものなのだろう。

タッチはあくまでも軽くて深刻な描き方ではないのだけど,もし自分がガンになったら,どこに心の持ちようを見出すのか?また自分の大切な人がガンになったら,自分はどんな風に支えたらいいのか?そんなことも折々の場面で考えさせられる作品だった。

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この作品の主人公アダム(ジョゼフ・G・レヴィット)は若く,平凡な青年。彼にとって突然のガン告知はまさに青天の霹靂。しばしの茫然自失状態から覚めた後の彼は,健気にも明るく淡々とガンとの闘病に向かおうとする・・・・のだが。

彼を取り巻く人々のそれぞれの反応や順応。最初は支えると誓ったのに全うできずに去っていく恋人レイチェル。ガンを吹き飛ばせとばかりにナンパや遊びを進めてくる一見「お気楽」な親友カイル(セス・ローゲン)。オーバーに悲しみ心配する過干渉の母親と,彼が息子であることもわからなくなっている認知症の父親。そして,彼のメンタル面を担当した,まだまだ新米のカウンセラー,キャサリン(アナ・ケンドリック)。
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アダムは彼らとの関わりややり取りの中で,その過剰反応に引いてしまったり,自分を励まそうとする相手に合せて明るく振舞ってみたり,反対に「誰も自分のことをわかってくれない。」と僻んでしまったり・・・・そしてやはり病状が進むにつれ,死への恐怖や虚無感から,穏やかな彼もどうしようもなく自暴自棄に陥る日もあったりして・・・・

さまざまな揺れを体験しながら,でも最後にはアダムは,両親との絆を再確認し,武骨な親友の秘めた愛情にホロリとし,キャサリンには恋心を抱くようになっていく。そう,ガンのような病気と直面したとき,誰でも自分の周囲の人間関係を見直したり整理したり新しい絆を芽生えさせたり・・・するのだろう。
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飄々とユーモアを交えてあくまでも軽いタッチで爽やかに描かれているけれど,この作品のテーマは決して軽くないし,あたたかい感動が鑑賞後にじんわりと沁みてくる・・・・いい作品だ。

最後に私事を打ち明けると,先日の人間ドックの結果,とある「ガンの疑いあり」ということで,要精密検査になりました。そして精密検査では,針生検とやらまでしたのだけど,十分な量の細胞が取れず,いぜんとしてグレーのまま,今は数か月の経過観察状態。12月に再び再検査の予定。そんな私にとって,この作品はある意味他人事ではないのだけど,それだからこそ心に感じるものがたくさんあったのかもしれないです。今までも大病や手術をしたことはあるけれど,怖いな・・・と感じた病気は初めてかも。でも今から心配してもしようがないから,今は考えないようにすべて委ねて,淡々と楽しくこれまでと変わりなくを心がけて日々を過ごしています。さすがに生活や食習慣は以前より気をつけるようにしていますね・・・・。

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