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2011年12月11日 (日)

ミスター・ノーバディ

Mr_nobody_ver2
さまざまな異なる運命の選択をすることによって,何通りもの人生を生きる男を描くSFドラマ。
舞台は不死の世界となった近未来。唯一残った死を迎える人間ニモの過去を回想し,彼の人生に関わった3人の女性とのそれぞれの運命を映し出すユニークな設定のファンタジーだ。パラレル・ワールドのお話だから,ストーリーも先が見えなくて面白いし,驚異的に映像が美しいし・・・俳優さんもジャレット・レトやダイアン・クルーガ―とかみんな好きなので・・・・私はとってもお気に入りの作品。

Cap198
この作品を観て,つくづく人生って選択の連続なんだなぁ・・・・と思った。そしてその選択の結果が全く異なる人生へと自分を導くものなのだとも。「もし,あの時,違った選択をしていたらどうなっていただろう。」と考えることは誰しもあるだろうけれど,それを実際に映像化して何通りもの「ニモの人生」を観客も同時に見ることができるなんて,面白い設定だと思った。
Cap253
どの選択をすれば・・・というよりは,「どれも選択しなければ,どんなことが起こりうるか?」って言うのを見せてくれたわけで,いったいどれが本当のニモの人生なのよ?って混乱はなはだしいけれど。

Cap207
「もしあの時,ああしていたら今頃は・・・・」という思いは,人生が折り返し地点を過ぎた私のような年代の方が,切ない共感が多いかもしれない。長く生きるほど,人生の選択場面は増え,同時に異なった運命を生きる自分の姿を想像する機会も増えてくると思うから・・・・たとえ現在の人生に取り立てて不満がなかったとしても。
Cap185_2
ニモの場合,最初に大きな選択の場面が訪れたのは両親の離婚のとき。母についていくか,父と残るか・・・駅のプラットホームで,土壇場まで迷って母の乗る列車に向かって駆け出したニモのスニーカーの紐が切れるか切れないかで・・・,もうそこで彼の運命は枝分かれする。その後どんな暮らしをしてどんな女性を愛するかも・・・・。

Cap227
ニモと関わる三人の女性,アンナ,エリース,ジーン
・・・・。彼女たちとの人生もまた,折々の選択によっては,別れることになったり,結婚したり,自分や相手が死んだり死ななかったり,幸せだったり不幸だったりと幾通りにも枝分かれしてゆき,それをごたまぜに見せてくれるわけなので,解り辛い面もある。しかしまあ,大筋のところでは,「このニモは誰をパートナーにしているニモなのか?」というのは,彼の髪形や雰囲気をちゃんと決めてくれているので混乱はしなかった。それでもこれ,一度だけじゃ全部のシーンの理解ができないので,何度か再見しているうちに新しい発見がいくつもありそうな作品だと思う。
Cap233
アンナ役のダイアン・クルーガーは,いつもの大人っぽくスノッブな印象ではなく,くしゃっとしたセミロングにガーリーなメイクで,素朴で可愛らしい雰囲気が魅力的だった。彼女とニモとの深く堅い絆や結びつきに,ちょっと切ない気持ちになった。また,ニモ役のジャレッド・レトは好きな俳優さんだけど,役作りのために激太りしたり,前髪を引っこ抜いたりという荒業もこなす方なので,今作では本来のカッコいいジャレが見れて嬉しかった・・・かな。彼のブルーのガラスのような瞳が美しい。

Cap214
細部はよくわからないところもあるのだけど,音楽も映像も洒落てて美しく,とても惹き付けられる作品だ。日々の些末な選択や偶発する(ようにも見える?)出来事の影響で,こんなにも幾通りもの可能性が私たちの人生に起こりうるんだなぁ・・・と,鑑賞後は不思議な不思議な気分になっちゃった。もし1度だけ過去の選択をやり直せるとしたら・・・・あの時のあの選択だけはやり直す!と心密かに思ったりもして。どんな選択かはもちろん誰にも言えないが。

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コメント

こんばんは。

シュールな映像に平衡感覚を失いつつも、酔うように楽しめた一作でした。
しかし人生って“限りがあるからこそ”選択が重要な意味を持つものなのですよね。そこんところにも気付かされた作品でした。

ななさんの「もし一度だけ…」の密かな想いに思いを馳せながら。(*^_^*)

ぺろんぱさん こんばんは!

そうそう,シュールな作品なんですよね。
でもこの切なさは何でしょう?って面もあって
理由は説明できないのに大好きな作品です。
ジャレが好きだというのもあるんですがね。
彼の顔立ちも好きなんですが
誠実そうで,小心そうで・・・こんなタイプ好きです。

>ななさんの「もし一度だけ…」の密かな想い・・・
私の場合は「この選択をしたために明らかに苦労した」という
とある大きな選択があるのですよ。
あの選択さえしなければ人生は大きく変わっていただろうなという。
でもそれも過去のこととなり,今はその後の平穏も得ているので
う~~ん,どうかなぁ,今のこの悟りや幸せはあの選択のおかげもあるんだろうかと
この作品を観て感じました。

お邪魔します~
ジャレッド・レト好きな、ななさんを十分満足させる映画でしたよね。確かに彼の瞳は素敵だものね♪
他の出演者も皆、魅力的で本当何度でも観たくなってしまう作品ですよね。あのラストには不思議な爽快さがあるし、流れる音楽もウキウキしてくる感じだものね。意外と気分よく見ることができるよね。
こういう映画を観ると自分の場合はどうだろうって
考えちゃうの、わかるわ~~。ななさんの最後の感想にもあるように誰でも忘れられない決断っていうものがあるよね。
まあ、今こうして私たちが交流もっているのも、運命の一つだとも思うし。
お互い選択したことはすべて正しいと思ってやっていくしかないよね。

みみこさん こんばんは

テーマが重い割に軽妙なつくりで,そうそう不思議な爽快感もありますね。

>流れる音楽もウキウキしてくる感じだものね。
この作品のテーマ音楽,大好き!南国の風景がなぜか浮かびます。

自分にあてはめて考えたくなるよね。
人生は小さな決断の連続でもあるけど
誰にでも明らかに「ここで大きく運命が変わる!」という
大きな選択の場面があるよね・・・
進学とか結婚とか就職とか・・・だけど。
選ばなかった方の道に進んでいたらどうなったのか、
けっこうよく想像します。

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