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2011年6月 7日 (火)

太陽に灼かれて

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黒い瞳
や,12人の怒れる男の巨匠,ニキータ・ミハルコフの1994年の最高傑作。このたび16年ぶりに続編の「戦火のナージャ」製作に当たって本編もDVD化されたので購入!ミハルコフ監督作品は「12人~」しか観ていないのだが,実は私は「イースト/ウェスト 遥かなる祖国 」以来,オレグ・メンシコフが大好きなので。   

Cap101
1936年の夏,10年ぶりにマルーシャの家にやって来た,かつての恋人ドミトリ(オレグ)。マルーシャは彼が去った後,ロシア革命の英雄コトフ大佐(ミハルコフ)の妻となり,ナージャという愛くるしい娘をもうけていた。突然のドミートリの出現に心を揺らせるマルーシャ。そしてドミトリの出現によって何かを覚悟するコトフ大佐。
Cap095
「ずっとここに帰って来たかった」と微笑み,ピアノを弾き,ダンスを踊り,一緒にサッカーに興じ,娘のナージャを可愛がる陽気なドミトリ。しかし彼は実は,スターリンの秘密警察の一員であり,突然の帰郷にはある目的があった

マルーシャをめぐる二人の男性の,政治的な背景も絡んだ愛憎劇。セリフで多くを語らない3人の秘めた心のうちが,わずか一日という設定の中で徐々に明らかになってゆく。
Cap068
燦々と降り注ぐ太陽の光に彩られたロシアの黄金色の大地と,そこに暮らす人々の牧歌的な雰囲気が大変のどかで美しい。しかしだからこそ,そんな平和な田舎にも忍び寄る,スターリンの大粛清の嵐は,言いようのない悲劇性を帯びて,観客の胸に重く切ない余韻を刻み付ける。

Cap112
イースト/ウェスト~」でもオレグのピアノ演奏シーンや社交ダンスシーンにうっとりしたが,本作でもピアノを弾く彼とタップを踊る彼が楽しめる。しかしなんといってもやっぱりその演技力が圧巻で,強烈なキャラでもあるゆえか,終始一貫して彼の存在感が際立つ物語だ。

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この作品のオレグは,中盤から正体を露わにし,さながら天使から悪魔へと大変貌を遂げる。かつて愛した女性の,幸せな生活を根こそぎ崩壊させる使命を帯びて,切望していた帰郷を果たすドミトリ。

ドミトリには恋人を奪われた怨念を晴らすための,秘めた復讐心はあったのか・・・それともやはりこれは彼にとって非常な心の痛みを伴う使命だったのか・・・。いやいや彼には選択の余地などなく,これは悲劇的な宿命としか言いようのないものだったのだろうか。
Cap121_2
ラストのあのシーン・・・・浴槽につかって手首を切るドミトリの虚ろな表情は,彼の心境を雄弁に語っているような・・・(しかし,続編でまた登場する彼。え?自殺していなかったの?未遂?・・・・それを言うなら処刑されたはずのコトフ大佐も,実は脱走して生きていた,という設定に続編ではなってるらしい)

美しい風景の中に漂う不気味で不穏な空気・・・・そんな中で唯一,天使のように汚れを知らないナージャの可愛らしさ,無邪気さが涙を誘う。
Cap109
ナージャを演じたのは,ミハルコフ監督の実の娘のナージャ・ミハルコフ。コトフ大佐役の監督とのツーショットは,実の親子ならではの親密で愛情にあふれた雰囲気がにじみ出ていて,それにやはり親子なのでどことなく似ている。

続編では成長したナージャを,やはり成長した彼女が演じているそうな。こちらは舞台が第二次世界大戦で,生き別れていた父娘の再会を掛けた絆の物語だそうで。またまたオレグにも会えるし,ぜひ鑑賞したいなぁ。ただ,壮大さや迫力は続編の方が上かもしれないが,切なさは絶対この本編が勝ってるだろうと思う。

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映画 た行」カテゴリの記事

コメント

これ、最高です。
私も見事にこれでオレグさまにずきゅんとやられました!!!
なんだこの正邪取り混ぜた、悪だけど、ここまで悲しい人は!!!!!!と、見たとき、しばらくオレグ病にかかってましたよ。
そうなんす。「戦火のナージャ」!
最初は、ストレートに「太陽に灼かれて2」だったみたいですが、途中から変わったみたい。
で、結構水にのまれるシーンとか、溺れるシーンがあるんだそうで。でも、こちらでも上映することにしましたから、絶対に見ますよ。
そっか、DVD出たのね。
秘蔵のビデオを先日DVD化しましたが、買っちゃおうか。

当地でずっとやってるロシア文学館シリーズ。最近はネタ不足になって、名作シリーズに変えましたが、これでも若き頃のミハルコフの作品も何本か上映しました。
やっぱ見せますわ。

「イースト/ウェスト」も最高でしたね。これも見事だった。
NHKのBSでやってた「第一容疑者」の「姿なき犯人」にも出てたのですが、これも素晴らしかったです。
題名につられて、ふらふらお邪魔しました

こんばんは。
オレグ・メンシコフ若いですね!
わたしも「イースト/ウエスト 遥かなる祖国」の彼って素敵だなぁと思った一人です。
DVDになった「太陽に灼かれて」見たいですね。
「戦火のナージャ」の中に「太陽に灼かれて」の父子のシーンが何度か挿入されていてスゴく良かったです。
「戦火のナージャ」は戦争映画としては中々頑張ってましたが、ストーリーが中途半端なのは、前作、次作とあるので仕方がないのかも知れません。
「戦火のナージャ」機会があればご覧くださいまし。

ななさん、こんにちは!
ちょっとバタバタしていて、映画ブログの方を10日ほど放置していて、すいません!

イースト/ウェスト 遥かなる祖国は、恥ずかしながら今日まで知りませんでした。
さっそく検索したら、時々つか宅配GEOのサイトに在庫があったので、次回借りるチャンスがあった時に一緒に借ります。
サンドリーヌ・ボネールも出てるんですね~。ますます楽しみ。

ところで、猫のななちゃんとぬいぐるみの方の記事も見ました。すっごくキャワイイ~~~♪

sakuraiさん こちらにもありがとう~

私,これまで彼の作品を1本しか見てないのに
堂々と「オレグファン」だなんておこがましいんですが
でもほんとに彼の演技力も雰囲気も
音楽やダンスができるところも
お顔もスタイルも大好きなんですよね・・・

「イースト~」のオレグの演じた
忍耐強い旦那さんの役も素敵だったけど
この「太陽に~」のドミトリの役も最高ですね。

>なんだこの正邪取り混ぜた、悪だけど、ここまで悲しい人は!!!!!!
そうなんです~~
悪だけどこんな悲しさも纏ったキャラってツボに来ます!
ナージャの可愛さ,
ミハルコフ監督の貫録たっぷりの演技もいいんですが
やっぱりこの作品の主役はオレグですよね~~

「戦火のナージャ」は
この作品ほどの評価は難しいと思いますが
それでもまたオレグのドミトリに逢えるので絶対観たいです。

彼の演じた「コーカサスの虜」や
「シベリアの理髪師」も観てみたいけど
DVDお高いんですよ~レンタル屋にはないし。

margot2005さん こんばんは!

この作品のオレグ,若いですよね。
だって16年前・・・ですもんね。
ミハルコフ監督も若い!それなりに。
こちらの作品はとっても切なくて
人間の哀しさやスターリンの粛清時代の悲劇が
さりげなく,でも象徴的にじっくりと描かれていて
たしかにオスカーも納得の名作だと思います。
「戦火の~」はそうか,まだ次作もある
中間作なんですね,それじゃ中途半端にもなりますね。
でも観たいです。またスクリーンでオレグに会いたい!

latifaさん,こんばんは!

「イースト~」おすすめですよ~~
ラブストーリーというよりは冷戦時代のロシアの悲劇かな
命懸けで亡命しようとした人々の壮大な物語ですし
夫婦愛,家族愛も深くって。
サンドリーヌ・ボネールもいいし
カトリーヌ・ドヌーヴも素晴らしい。
オスカーにもノミネートされた作品です。
ご覧になったら感想聞かせてね!

>猫のななちゃんとぬいぐるみの方の記事も見ました。
今でもときどきダヤンのぬいぐるみを
じゃらして遊ぶのが好きなななちゃんですよ~

その二本は、やはり「太陽に・・」ほどじゃないです。
オレグ度でいうと、太陽⇒イースト⇒シベリア⇒コーカサス・・かな。独断と偏見。
お手軽なところで、「第一容疑者 姿なき犯人」ってのがありますから、これだとレンタル屋に気軽にありました。
ヘレン・ミレンのTVシリーズ。

sakuraiさん またまた情報ありがとうございます~

そうですか,その2本より
「第一容疑者 姿なき犯人」の方がおすすめなのですね。
ヘレン・ミレンも好きだし
さっそくレンタル屋で探してみます。

こちらにも。
これも好き。やっとDVD出たのね。
ななさんは主演男優さんよく御存じなのね。
カッコいいものね。
私はなにがきかっけかは忘れちゃったけれど、
ずいぶん昔に見てね、その内容の素敵さに
ず~~と惹かれていたって感じ。とにかく
映像がきれいなのよね。子ども可愛いし☆
続編もあるのね・・。忘れている部分もあるので
久々に再見したいです。

みみこさん こちらにもありがとう。

主演男優のオレグ・メンシコフさん,これの他は
1作しか知らないのだけどその1作で惚れて
名前を知ってる数少ないロシア俳優さんの一人になりました。
この作品は名前しか聞いたことなかったけど
さすがの名作ですよね。
そうそう,映像が綺麗・・・
昔の映画なのにね・・ロシアの黄金の大地が。
それに子役のナージャの愛らしさ!
監督の実の娘ってのもいいですよね。

ななさん、こんにちは!
暑いですねぇ~~ お元気ですか^^
台風の進路や災害が気になります・・。

さて、この映画ではないんですが、こちらで以前お話が出た、イースト/ウエスト 遥かなる祖国を、見たばっかりなんですよっ!!
いや~~~ 良かったです!!。
映画を見たぞ、っという充実感と、重みがずっしり来る内容でした。すごく良い映画ですね。
見終わったばかりで、ちょっと興奮気味です。
あのラストシーン、ドカンと来ますね・・・(T_T)
見て良かった~~。

latifaさん こんばんは

台風,今日の午後には四国を抜けて
風雨もなんとかおさまりました。
我が家のあたりでは幸い被害はありませんでした。

イースト/ウェスト,ご覧になったのね!
記事は書いてないけど
大大大好きな作品です~~~
オレグもいいんだけど
作品自体が素晴らしいですよね。
大河ドラマ風の壮大さを感じますよね。

私はあの映画,亡命のために海を泳いで渡る若者と
ラストのオレグの決断に
何度観ても泣かされるんですよ。
もっとたくさんの人に観てほしい名作よね。

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「Utomlyonnye solntsem 2」…aka「Burnt by the Sun 2:Exodus」 2010 ロシア 監督、製作、共同脚本、出演(セルゲイ・ペトローヴィチ・コトフ)に「12人の怒れる男/2007」のニキータ・ミハルコフ。 ナージャにナージャ・ミハルコフ。 ドミートリ・アーセンティエフに「イースト/ウエスト 遥かなる祖国/2000」のオレグ・メンシコフ。 マルーシャに「ラフマニノフ ある愛の調べ/2007」のヴィクトリア・トルストガノヴァ。 スターリンにマクシ... [続きを読む]

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