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2010年12月の記事

2010年12月25日 (土)

2010年劇場公開映画 私的ベスト10

今年は昨年に輪をかけて劇場へ行けませんでした。公開作品の中には,DVDでの観賞を余儀なくされたものもあります。そして今年はこれ以上,新作観賞作品が増える予定もないので,暮れが押し迫る前に,とっととベストテンを選んじゃいました。洋画,邦画取り混ぜています。の数は「好き度」を表しています。

第1位 第9地区 
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第2位 インセプション 
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第3位 ハート・ロッカー
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第4位 告白
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第5位 シャーロック・ホームズ 
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第6位 プリンス・オブ・ペルシャ 
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第7位 息もできない
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第8位 フィリップ、君を愛してる 
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第9位 小さな村の小さなダンサー 
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第10位  ロビン・フッド 
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のついている作品は,再見したいな~と思えた「個人的にも好き」な作品。テーマが私的なツボにきたり,俳優さんが好きだったりする作品かも。が4つ以上の作品はDVD購入も考えています。

一方,順位は高くてものついていない作品は,「好きではないけど素晴らしいと思った」作品です。

以上,今年も独断と偏見のベスト10選びでした。
みなさま,それではよいお年を!

2010年12月13日 (月)

ラストコンサート

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もう一度 弾いて。
そして喝采を浴びて。
あなたの夢のために
わたしは星になる。

1976年公開の宝石のように煌めく純愛物語。
当時話題作だった「カサンドラ・クロス」と二本立て公開作品で,「カサンドラ~」目当てに劇場に足を運んだ観客が,こちらの作品の方に感動してしまった,というエピソードをよく目にする。私は今回がDVDで初見。
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どこかで耳にしたことのあるような,軽やかで爽やかなBGMが流れる中,美しいモン・サン・ミッシェルの風景をバックに物語が始まる。まるで天から舞い降りてきたかのような,ピュアでどこまでも無邪気で可愛い少女,ステラ。そして彼女は父親探しのためにやってきたフランスで出会った,落ちぶれた中年のピアニストのリチャードに恋をする。

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一緒にいれるだけで幸せだと言わんばかりの,屈託のない愛情を直球で寄せてくるステラに対して,父親ほどの年齢のリチャードは,最初は戸惑いと困惑を隠せない。ステラが父と会えたらそこで別れようと思っていた彼だが,一途でキュートな彼女に次第に惹かれてゆく。

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実は白血病という不治の病で余命がわずかだったステラ。しかし彼女はそのことを隠して,リチャードのピアニスト再起にすべてをかける。ともすれば諦めが先に立つリチャードを,ある時は優しく励まし,ある時は激しく叱咤激励し・・・・

リチャードはステラと結婚し,やがて彼女のために「ステラに捧ぐ」というピアノ・コンチェルトを書き上げる。しかしその初演の日,ステージの袖でステラはウェディングドレスに身を包んだまま息を引き取った・・・。

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これって実は,ベタもベタ,少女マンガをそのまま映画にしたような物語である。そして人物の掘り下げも浅く,生活感もなく,ステラやリチャードのそれまでの背景も性格も詳しく描かれていないので,親子ほどの年齢差のある二人が恋に落ちる必然性も,さほど感じられない。

しかしそれだからこそ,本作は現実にはありえない寓話めいた美しい純愛物語としての魅力にあふれ,ステラの天使のような可愛さに,細かいことはすべて許してしまいたくなるのかもしれない。

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中年期も終わりに差し掛かって,もう人生を諦めてしまった男と,愛と希望と生きる意欲にあふれつつも,命の灯がまさに消えようとしている少女が出会い,少女は自分に残された時間を,彼を愛し支えることに費やす。そして彼は,まるで愛する彼女の命を受け継ぐかのように,再び生きる意欲を取り戻す。・・・・文句のつけようのないロマンチックな悲恋物語なのである。

ステラというのはラテン語で「星」の意味。
死期を悟ったステラが,「私が行けない時はこれを身につけて演奏して。そうすればいつも一緒にいられるから」とリチャードにプレゼントした星型のタイピン。それをつけたリチャードが演奏する「ステラのコンチェルト」の,えもいわれぬほどの壮大で美しい調べ。

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その調べに合わせて,出会いから現在までのステラのシーンが走馬灯のように蘇り,「あなたにすべてを捧げて幸せだった」という彼女の独白が流れるラストシーンは,これは泣かずにはいられないだろう。

邦画の砂の器でも同じように感じたけれど,この場面で,物語の感動のすべてが,ドラマティックで美しい音楽によって見事に収束されていくのだ。音楽がとても効果的に感動を盛り上げてくれる作品の代表ではないだろうか。有名俳優も出ていない小品ではあるけれど,多くの人の心に今でも残る,珠玉のような作品だろう。

2010年12月11日 (土)

ロビン・フッド

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ラッセル・クロウ&リドリー・スコットのロビン・フッド!
このお二人が組んだ作品の骨太さ,男臭さが大好きな私は,久々に劇場に足を運んだ。ロビン・フッドといえば1991年のケビン・コスナー主演の映画が大のお気に入りだったのだが,主演がラッセルと聞いた時から,「これは一味違うロビン・フッドになるな」と期待半分,心配半分・・・(だってキャラじゃないから)

で,鑑賞後の感想は・・・・一番に「ラッセル,前作の激太りが解消されててよかったなぁ」だった。いやなに,それを一番心配してあげていたので。
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グラディエーターが年取った感じ?

ロビン・フッドと言えばシャーウッドの森で活躍する義賊の,軽快な冒険物語を期待するわけだが,今作はシャーウッドの森なんてラスト近くに出てくるくらいで,物語のほとんどはその前置き,つまり,ロビンという荒くれた男が,「我いかにしてアウトローとなりしか」というお話だった。

ロビンは,リチャード獅子心王の十字軍に従軍した射手。瀕死の騎士ロバート・ロックスリーから「故郷の父に剣を渡してくれ」と頼まれて,仲間とともにフランスの戦場からイングランドに帰ってくる,という設定。そしてそこで父のロックスリー卿から「ロバートの未亡人と結婚して息子になってくれ」と言われ,それ以後はロバート・ロックスリーを名乗り,ジョン王の圧政に苦しむイングランドの救世主として活躍することになる・・・。

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短髪で固太りでタレ目のロビン・フッドというのもいかがなものか・・・と思わないでもないが(私はそんなラッセルが大好きですよ,もちろん)そこはうまく,彼の持ち味に合わせたロビンのキャラクターが設定されていて,ケビン・コスナーが演じた爽やかなロビンと比べると,いささかむさ苦しくしたたかでワイルドなロビン・フッド・・・・まあ,これもまたよろしい。

物語は混乱したイングランドの危機に乗じて戦いを仕掛けて来ようとするフランスとの攻防とか,諸侯たちがジョン王につきつけるマグナ・カルタにロビンの実父とロビン自身も深く関与,ということまで盛り込まれ,2時間20分の中にぎっしりと見どころが詰まっていて,登場人物も大御所がたくさんで,戦闘シーンはさすがに重厚で迫力たっぷりで・・・・いささか疲れた。1991年版の方が楽しくワクワクしながら観れたのに~と思っても仕方ない,なんせリドリー・スコットなんだから・・・。
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一番の宿敵役ゴドフリーにマーク・ストロング。この人,シャーロック・ホームズといい,今年悪役づいてる・・・。

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愚王のジョンの役の人って調べてみたら,あのマリアでひたすら心優しいヨセフを演じた俳優さんだった。役柄でこんなに印象が変わるのか。この作品ではホントに情けない嫌な役だった。

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ロビンの妻になるマリアン役のケイト・ブランシェットはさすがの貫録!男勝りで気丈なキャラクターで,ラッセル・ロビンともよくお似合いのカップル。はじめは反発していた夫代理のロビンに徐々に惹かれていくあたりが好きなシーンだ。フランスとの戦いに,女だてらに武装して戦うあたり,どうしてもエリザベス・ゴールデンエイジを思い出してしまったが。

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やっぱりケビンのロビンが個人的には好きだけど,今作もなかなかよかったです!何度でも観たい見事なシーン(一番はやっぱりあの矢がゴドフリーの首に命中するシーン!)がたくさんあったので,DVDが楽しみ。

2010年12月 4日 (土)

息もできない

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二人の時だけ,泣けた・・・。

漢江、その岸辺。引き寄せあう二人の魂に涙が堪えきれない。偶然の出会い、それは最低最悪の出会い。でも、そこから運命が動きはじめた…。(公式サイトの作品解説より)

ラブストーリーの分野でも,クライムサスペンスやヒューマンドラマの分野でも,「そこまで描くか?」と呆れるくらい,軽々と「一線を越え」てみせる韓国映画に,また一つ傑作が誕生していた。韓国って,高度な演技力を持つ俳優や,実力派で個性的な監督が無尽蔵な国なんだなぁと,改めて感嘆した。
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少年時に父の暴力によって母と妹を失い,自らも高利貸しの取り立て屋となって,日々暴力に明け暮れるサンフン。彼は暴力と口汚い言葉でしか,他者とコミュニケーションを取れない人間で,心の奥底には常に父親への激しい憎しみや,母や妹を守れなかった自分への怒りや哀しみを抱えている。

サンフンが出会った高校生のヨニ。彼女もまた,母親の死によって家庭が崩壊し,妄想と暴力に取りつかれた父親と,同じく暴力の連鎖に逆らえない兄に苦しめられながらも,一人気丈に振る舞っている少女である。
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陰惨な家庭内暴力と,それでもなお
断ち切れない家族のしがらみ。

同じような傷を持つ二人は無意識に共鳴し,相手を「チンピラ」「クソアマ」と呼びつつも親しくなっていくが,互いの傷を見せ合うことはしない。気安く口にできないくらい,それぞれの傷は深い。サンフンがなぜチンピラになったのか,なぜ人を殴るのか,その背景を彼は語らないし,ヨニはヨニで,自分を両親の揃った幸せな家の娘だとサンフンに思わせている。

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どんなときも無表情のサンフンが,たった一度だけヨニに見せた笑顔と涙。たった一度だけ,というのがかえって鮮烈だ。特に,二人ともがそれぞれの理由でとても辛かったあの晩に,漢江の岸辺で理由も言わずに二人で泣いたあのシーン

泣く理由など説明しあう必要はなかった。抱えている傷が我慢できないくらい痛む,という共通点だけで十分だったんだろう。同類であるがゆえに,彼らは二人でなら泣くことができたのだ。 

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そのことをきっかけに,サンフンの凍てついた心にも少しずつ変化が見えるようになる。憎んでも憎み足りないと思っていた父親への情・・・甥をいとおしむ思い・・・・暴力に明け暮れる生活から足を洗う決心・・・

しかし,やはり物語は容赦なく悲劇へと向かう。
「暴力の連鎖」という現実からは最後まで逃げられないのだ。サンフンの心が,少しでも希望の光を見出していた,ということだけが救いなのかもしれない。

全編にわたってリアルかつ執拗な暴力シーンの連続。
役者たちの自然な演技は,フィクションであることを忘れるほどの臨場感を醸し出す。製作,監督,脚本,編集,そして主演と5役をつとめたヤン・イクチュンは,この映画製作のために家を売り払うほどの熱意をもって「自分の抱えている問題をすべてを吐き出したかった」そうだ。そのねらい通り,彼のメッセージや情熱が痛いくらいパワフルにそしてダイレクトに伝わってくる快作だ。

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