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2010年11月22日 (月)

ずっとあなたを愛してる

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私の好きな女優さんのひとりである,クリスティン・スコット・トーマス主演のフランス映画。

彼女が演じたジュリエットは,我が子殺しの罪で15年の刑に服した女性。刑を終えた彼女が,フランスにいる年の離れた妹レアのもとに身を寄せるところから物語は始まる。

刑を終えて出所してきた人間に対する世間の風当たりの強さと,更生の難しさ。これはBOY Aでも扱われたテーマであるが,今作はそれに加えて,迎える家族の葛藤や煩悶,そして心の繋がりの回復から再生までを描いた作品だ。

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ほとんどノーメイクのC・スコット・トーマスは,積年の痛みと哀しみを,心の奥にじっと秘め続けてきたかのようだ。その孤独の深さは誰にも理解できないだろうと思わせる,どこまでも暗い彼女のまなざしと,時折見せる,どこかがひどく痛むかのような表情。

彼女自身,肉親にさえも自分の本心を決して見せようとしない。カウンセラー達に何度か発せられる「何が分かるの?」という彼女の台詞からは,同じ痛みを経験したわけでもないのに不用意に触れてほしくない,という彼女の気持ちが伝わってくる。

彼女はなぜ最愛の息子を手にかけたのか。
それは十分情状酌量の対象にもなる理由からだったのに,彼女は法廷でも家族に対しても,一言の釈明もせず,自らを罰する道を選ぶかのように重い刑に服し,その結果血を分けた両親さえも,そんな彼女を見放す。
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そして,殺人者の姉の存在を世間に隠して生きてきた妹のレアは,姉を厭う夫に気を遣いつつ,最初は腫物に触るように姉に接するが,遠い昔の懐かしい姉妹の幸せな記憶が蘇るにつれて,二人の心は次第に寄り添っていく・・・。

言いようもないほどに重いテーマを扱いながらも,おおげさな展開も演出もなく,まるで静かに流れる水のように淡々と進む物語の静謐な雰囲気は,いかにもフランス映画らしい。

ずっとあなたを愛してる。

この邦題の示す「愛」とは・・・・。
自らの手で天に送った最愛の息子への,慙愧のこもった母の愛のことなのか。いやそれよりもむしろ,どんなに拒んでも断ち切れない絆に支えられた姉妹の愛のことなのだろうか。

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ジュリエットとレアが寄り添って座り,ピアノを連弾しながら歌うシーン。その中の歌詞の「むかしからずっとあなたを愛してる。あなたのことは決して忘れない」という言葉。

忘れたわけではない・・・・断ち切られたわけでもない。
ずっと心の奥で想っていた,あなたのことを。

その事実を少しずつ確認してゆく姉妹の姿が心を打つ。

いつだれが陥るかわからない理不尽な災難や,何をもってしても癒しようのないほど深い心の傷。それでもなお「愛してくれる存在」がもたらす奇跡は,ゆるやかに,しかし確実に,ひとを再生の道へと導いてゆくのだろう。ジュリエットの表情に次第に灯がともり,本来の美しさを取り戻してゆくのが嬉しい。

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特にラストシーンの,ジュリエットが息子殺害の真相を初めてレアに打ち明けるシーンは圧巻。それまで彼女がひたすら秘めてきた深い深い悲しみが,打ち明けることで解放されてゆく場面は涙なくしては観れない。

妹のレアの他にも,ジュリエットを温かく見守るミシェルや警部の存在(そして,あの,話さないけど何もかもわかっているかのようなお爺ちゃん!)にも,とても心癒されるものを感じた。人は孤独なようでいても,やっぱり一人ではないんだなと,静かな感動が満ちてくる秀作。姉妹を演じた二人の女優の,繊細な感情を表現した演技が素晴らしい。

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映画 さ行」カテゴリの記事

コメント

ななさん、こんばんは。TB&コメント、ありがとうございました。

この作品は、クリスティン・スコット・トーマスの熱演あってこその作品ですね!ほとんどノーメイク、そして、どこか虚脱感を感じさせる役でした。そんな彼女が少しずつ、人生を取り戻していく。周りの人たちの優しさが胸にしみました。
ラスト、ジュリエットが感情を爆発させるシーンは、観ていて辛かったし、私がレアでも、やはり彼女を抱き締めずにはいられなかったと思います。
それにしてもあの警部さん、ちょっと私にはショックでした。いい人だったのに、寂しさを抱えていたんだな、と・・・。

どうもです!!
年末に近づいてきて、なんだか気ぜわしくなってきましたねぇ。
今年もあと少しですね。いろいろとがんばりましょう。
さて、この映画。
よく出来てましたね。
おっしゃる通り、C・S・Tが絶品。あの深い悲しみと絶望は、そう簡単には描き出せないですよ。
監督が新人さんでしたが、非凡なものを感じさせますね。要チェックですわ。
あの妹の存在がなかったら、破綻してしまう人生ですが、ああいう家族もいいですねえ。
今年もベストに食い込むかなあ・・・。

こんばんは。
コメントとTBをありがとうございました。

クリスティン・スコット・トーマス、お好きでいらっしゃるのですね。
本作では“メークダウン”して臨まれたらしいのですが、それでも憂いを含んだ眼差しを美しいと感じました。
本当、素敵な女優さんですね。

邦題の「愛」には様々な愛の形があったと思います。
そしてななさんが書かれている通り、「愛してくれる」ものの存在の、何と不可思議な力強さよ!
それを実感できないまま散っていった命があった分、その愛が導いてくれる「未来」を願いたい(信じたい)ラストでしたね。

mayumiさん こんばんは

C・スコット・トーマスの
虚脱感を感じさせる演技も雰囲気も
とってもよかったですね。

>周りの人たちの優しさが胸にしみました。
彼女の事情にうすうす気づいていて
絶妙な距離を取りながら見守っている友人たちの優しさが
きっと彼女を再生へと導いたんだと思います。

>それにしてもあの警部さん、ちょっと私にはショックでした。
そいですね,自殺したと聞くまで,
そこまで孤独を抱えていたとはわからなかっただけに
私もとてもショックでした。

sakuraiさん こんばんは

早いものでいつのまにか
文字通り「師走」の季節に突入ですね。

C・S・Tほんとうに絶品でした。
>あの深い悲しみと絶望は、そう簡単には描き出せないですよ。
まえから上手い女優さんだとは思っていたけど
主役を張るよりは
ヒロインの次に重要な役どころ,などが多かった気がする彼女ですが
今作での存在感はすごかったですね。

>監督が新人さんでしたが・・・
ですってね。新人でここまで深く描けるって
ほんとにこれからも期待大ですね。

私も今年のベストに食い込みそう・・・。

ぺろんぱさん こんばんは!

>クリスティン・スコット・トーマス、お好きでいらっしゃるのですね。
「フォー・ウエディング」や
「イングリッシュ・ペイシェント」の時から好きで。
彼女,骨格が美しいから
(イングリッシュ~でも鎖骨の美しさが印象的でした)
メイクしてなくても綺麗なのかしらね。

>「愛してくれる」ものの存在の、何と不可思議な力強さよ!
あの警部さんは「愛してくれる存在」がなかったから
死を選んだのかもしれませんね・・・・。

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 2008年/フランス、ドイツ  監督/フィリップ・クローデル   出演/クリスティン・スコット・トーマス     エルザ・ジルベルスタイン  重いテーマだけれど、後味は悪くない。人は支え合いながら哀しみを乗り越え、生きていくんだなと感じた。  15年の刑期を終えたジュリエットは、妹のレア一家に身を寄せる。姉妹には長い空白期間があり、2人はぎこちない。ジュリエットはなかなか心を開かないが、周囲の人たちとの触れ合いで、少しずつ打ち解けていく。そして、彼女の口から、何故最愛の息子を殺し... [続きを読む]

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