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2010年8月26日 (木)

第9地区

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レンタルで鑑賞。いやぁ,世間の評判通り,これは正真正銘の傑作だわ。まず,「エイリアン難民問題」という斬新な設定がいい。そのうえ,アクション,SF,社会風刺,ヒューマンドラマなどなど,あらゆる要素がぎっしりと詰まった,豪華な福袋のような作品なのだ,これ。

南アの第9地区に居住させられているエイリアンたち。所有する高度な技術とは裏腹に,なんともグロテスクな外見と,まるで野良犬のような生活ぶり。彼らを「エビ」と呼んで蔑視し,排斥しようとする人間たち。舞台が南アだけに,この作品が人種差別や偏見を風刺していることは明らかだ。
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冒頭部分は完全なドキュメンタリータッチ。20年間難民として第9地区で生活してきたエイリアンたちと,上空で静止したまま動かない宇宙船,エイリアンと人間たちの間に生じるトラブルと政府の対応などが,ニュース映像やキャスターたちのコメントを通してリアルに描かれる。なんだか現実に起こっている事件のよう。

え,これってこんな感じで最後までいくの〜?と呆気にとられていたら,主人公のヴィカス(=MNUのエイリアン対策課職員であり,立ち退き計画の現場責任者)が,あることをきっかけに自身の身体がエイリアン化し始めてから,物語はドラマ形式にとスムーズに切り替わる。
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それまで差別する側だった自分が,一転して差別され追われる側へとなるヴィカス。人体実験の犠牲者となりかけた彼は人間世界から逃走し,やむなく子連れのインテリ・エイリアンのクリストファーと協力して,停止した宇宙船を始動させようと試みるのだが・・・・。

どこにでもいそうなお役人的なキャラで,小心で自己中心的なところもあるヴィカスが,受難の果てに最後に取った英雄的な行動には,この手の作品の王道ではあるとはいえ,やはり「ヨッシャ!」と感動。

ヴィカスを演じたシャルト・コプリーは俳優ではなくお仕事はプロデューサーだというから驚き!映画初出演とはとても思えない演技力!そして台詞がみんなアドリブだったと聞いてさらにビックリ!こないだ観た特攻野郎Aチームでも変人キャラの天才操縦士を存在感たっぷりに演じていた。
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全員無名の俳優さんがほぼアドリブの台詞で通したというから,それを指導したり編集したりして,ここまで見事に仕上げた監督さんの力量はかなりのもの。監督さんも新人だというからこれまた驚きだ。

エイリアンはCGなのだが,キモかわゆいというか,見慣れると仕草や発語のあれこれが妙に可愛く見えて来るから不思議だ。(特に目の表情がいい)エイリアンの武器が炸裂する後半のバトルシーンは見ごたえたっぷりだし,ラストの切ないシーンもツボ。

人種差別について深く考察しつつ見ても面白いし,そんなこと何にも考えずに観ても最高に面白い作品だと思った。未見の方は是非どうぞ。続編の「第10地区」は製作されるのかな?楽しみのような,この作品で完結の方がいいような,複雑な気分である・・・・。

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映画 た行」カテゴリの記事

コメント

この映画、ほんと最高ですよね!
今年の1,2に入る傑作だと思ってますv

こちらのサイトは、今月で3周年を迎えられた
ようでオメデトウございます!!

自分は先月の7月から始めたばかりですが、
書きたい映画はたくさんあるけど、なかなか
書けませんw

これからもお互いにオモシロ映画を発掘していき
ましょう☆

ななさん
お久しぶりです。あづいですね~。

私、この映画、人生で1番くらいに嫌いですう~。

でも、世間の評判はものすごくいいですよね?とりあえずTBしてみました~。

くわばらくわばら・・・。こわいこわい。
途中退場しようと思いましたわさ、映画館で。

きくやんさん こんにちは はじめまして

ご訪問ありがとうございます。
>自分は先月の7月から始めたばかりですが
そうですか~まずはブログ開設おめでとうございます。
楽しく長く続けられますように応援しますね。

で,この作品ですがほんと傑作ですね。
新人・無名俳優・アドリブ・斬新な設定・鋭い社会風刺と
いろんなサプライズの詰まった奇跡のような作品でした。
ハリウッドのお金をかけた超大作や,ネタ切れゆえのリメイク作品などに比べると
そのユニークさが燦然と際立っておりました。
「ア○ター」よりずっと面白かったなぁ。

むぎむぎさん お久しぶりです~
夏バテしていませんか~
ほんと,今年の暑さときたら殺人的ですよね。

この作品,私はとっても気に入ったのですが
むぎむぎさんはかなりイマイチだったようですね~
グロい描写や突っ込みどころの多い展開がネックだったのでしょうか?
私はジワジワとスプラッタされたりする拷問系はダメなのですが
この作品のように一瞬で飛び散るようなグロ系は大丈夫なので
拒絶反応は起きませんでしたよ~
ま、確かに観てて気持ちのいいもんではありませんが・・・

こんばんは!
お忙しそうだったけど、落ち着かれましたか?

この映画だいすきーー!!
今年のベストに入れますよ♪
リピートしたい!と思いつつ、結局行けなかったのですが
(そんなんばっか)DVD出てるんですね。
借りて観よっと♪

シャールト・コプリーが出てるAチームも観に行かなくちゃ。

ななさんこんばんは(^^)
更新ありがとうございます~
待ってました(笑)

第9地区みたんですね~‼
これ、劇場でやってる時から
気になってたんですけど
結局今のいままで見れずじまいでした(笑)
うーん。SFチックのエイリアンの話
と思っていたので、そんな見どころが
あるとは…ますます見たくなりましたよ
エイリアンをもってきて差別などの
社会問題を盛り込むってすごく斬新というか、設定に驚かされます(゚o゚;
あしたから休日なので、DVDで鑑賞
したいと思います(^^)/

あと。忙しかったようですけど大丈夫ですか⁇お体気を付けて下さいね~

kenkoさん こんにちは~

無事に再開しました~
落ち着いたというか,落ち着かせたというか・・・。
でもおかげで充電できてまた意欲が出てきましたよ。

>この映画だいすきーー!!
>今年のベストに入れますよ♪
私もベスト入り決定です。
今年は私の好きなジャンルの文芸大作なんかは当たりがないけど
これみたいな「ちょっと変わった」風の傑作が多いです。

「Aチーム」観たけどよかったですよぉ。
キレたパイロット役のコプリーさん
中盤まで誰だかわからなくって
途中で「あ!ヴィカスだぁ」と気がついた~
だって全然印象が違う役だったもん,これとは。
でもやっぱりお上手でしたね~,新人とは思えないくらい。

toyokaさん こんにちは

早速のコメントありがとうございます。
第9地区,あらすじだけ聞くと陳腐なので
というか思いっきりB級っぽい設定なので
スルーされがちな作品ですが
(アカデミーノミネートがなければきっと世間もスルーしてたでしょう)
いろんな見どころがあってなかなか深かったし
アクションや映像は凄いし,笑えるしホロリとできるし
なかなか贅沢な作品です。
あ、人間が一瞬にして飛び散ったり片腕がもげたりするので
そういう映像が大の苦手であればお勧めはしませんが
そればっかりでもないので,ぜひご覧になってください。
DVDはまだ新作扱いですが・・・
気に入れば,2回3回と続けて見直したくなる面白さです。

やはり観るなら、
今まで体験したことのない世界を観たいということで。
この夏は「インセプション」でしたが、
この作品の世界観も驚きでした。

他との比較で持ち上げるのはあまりしないのですが、
確かにリメイクや予算かけただけの
映画が乱発される時代だからこそ
輝きが増して見える作品ですね。

クラムさん こんばんは

>今まで体験したことのない世界を観たいということで。
そうですね~,わたしは日常の延長のような作品も
結構好きなのですが(描かれていることが深ければ)
でもこの作品や「インセプション」のような作品に出会うと
あ~やっぱりこれこそ映画の醍醐味だよねーって
感動しますね!

アイデアや脚本のよさが際立つ作品を観ると
監督の力量に感嘆しますが
この作品もそうでした。

この映画を語らずして今年は語れませんよね。
本当にアパルトヘイトと宇宙人差別をリンクさせた傑作。
人間の心の闇まで見事に描き出した映画でしたよ。

こんばんは!
傑作ですよね。私も満点にしちゃいました。
CGも大作なみだし、脚本もよくできてる。アイデアで勝負だね。
いろんな要素がつまっていておもしろい。
シャルト・コプリー、AチームはみてないんだけどTVに出ていて、ヒゲ剃るとハンサムでヴィカスとは別人にみえた。笑

おっ!ななさん、復活されたんですね(^_-)-☆
充電完了?(笑)少しは、のんびりできましたか?
プロフの写真も変わってるしぃ~~(笑)

この映画すっごく楽しみにしていたのですが、映画館で、悲しい出来事が~(T^T)
無名の俳優、新人監督でしたが、すごい作品でしたよね。WOWOWで放映したらまた観なおします^^
会社の男の子が今年のNO1だと言ってブルーレイも買っていました。ラストがたまらなく好きなんだそうです・・・と私の感想より会社の男子の感想でした
(笑)

にゃむばななさん こんばんは!
暑いですがいかがお過ごしですか!

>この映画を語らずして今年は語れませんよね。
これは掘り出し物ですよね~
一つの作品の中に
SFや社会風刺や人間の本質や
いろんなものがとても巧みに盛り込まれていて
見事な作品ですね!

アイマックさん こんばんは!

>CGも大作なみだし
役者にはお金をかけてないけどCGにはきっとお金をかけたんでしょうね。
エイリアンのリアルで自然な動きは見事でした。
話の設定からしてもう目の付け所が凄いんですが
奇想天外な設定だけに下手すりゃ駄作になり危険性もあったろうに
上手く作りましたよね~~

コプリーさん,そうですね~Aチームでは
ヴィカスの時より若く見えましたが
そっか,お髭がなかったのか!

ひろちゃん こんばんは!

充電完了です。
のんびりというか,ブログ以外のことで
いろいろと忙しく充実してました~
さすがに3週間も記事を書いてないと
こちらにも禁断症状が・・・。
そんなわけでまた再開しましたのでよろしくね!

>映画館で、悲しい出来事が~(T^T)
え?なになに?どんな出来事なのか知りたいわ~
後で遊びに伺いますね~~

>ラストがたまらなく好きなんだそうです・・・
私も大好きですよ~、あのラスト。
でもあれが好きってことは
ひろちゃんの会社のその彼って
ロマンチストなんでしょうねぇ・・・


社会風刺は痛烈ですが、それを真面目な問題提起にするつもりがないんですよね。しっかりエンターテインメントにしちゃってる。
それがこの作品の凄いところだと思います。
ほんと傑作でした。

後半、逃げ続けるヴィカスが反撃に転じる様はどことなく『ゴールデンスランバー』を連想させられました。あの切ないラストシーンも含めて。

SOARさん こんばんは!

そうですね,きっちりエンタメしているので
説教臭さを感じることなく,
監督の言いたいことが伝わってきてよかったです。
バランスがいんですよね。

ゴールデンスランバーって似たとこらがあるんですか?
未見ですがそちらも見たくなりましたよ。


ななさん、こんばんは。二学期も始まりましたがお元気でしょうか

そうですね。この映画イケメンは出てこないけどなんとなくななさんが空きそうな映画だと思ってました。この映画ラストをゲラゲラ笑って見てるか、素直に感動してしまうかでその人の性格がわかるような気がします(笑)

監督は続編を作るならたぶん前日談、というようなことを言っていたのですが、他のお仕事も入ってしまったようで実現は五分五分でしょうか。わたしはこのまま終っていいと思います

SGAさん こんばんは!

恐怖の二学期しかも運動会の練習つき!が始まっていますが
筋トレの成果か,何とか元気ですよ~
毎日着替えを4枚と水筒を二つ持って登校していますが~

この作品,ご推察どおり私のツボでした~
ラストのシーンは感動しましたよ~
ってことは,素直な人間なんですかね,自分・・・・

>わたしはこのまま終っていいと思います
わたしもそう思いました。
続編が楽しみな部分もありますが
続編でコケる,というリスクを冒すよりは
このまま終わってくれたほうがいいような・・・。

 こんにちは。僕も最後はエイリアンに同情してしまいました(可愛くは思いませんでしたが)。
 しかし、この映画は色々とテーマがあり、再度観たら新しく発見する事もありそうで、機会があれば観たい映画です。
 しかし、この映画に続編があるとは。このまま終わった方が良いと僕も思いますね。せっかく奥が深い映画なのに続編が出るとせっかく色々なテーマが薄っぺらくなってしまいそうなのが怖いです。

ディープインパクトさん こんばんは!

エイリアン,キモい外見ですけど
あの大きな目や顔の動かし方がキュートだと思いません~?
(思わないか・・・・
ま,それはともかく,確かに続編は失敗しそうな予感がしますね。
この作品だけで完成度が高いので
これを超える出来でないと,せっかくの今作の余韻までが
なんだか壊れちゃうような気がして心配です。

ななさ~ん、こんばんは!
ようやく本作観ましたよ~そして!
ななさんのおっしゃるとおりでした。
素晴らしかった!

久しぶりに洋画で興奮しました。
よくこれだけの重苦しい社会問題を
うまくSF化させたな~と感心しました。

そして、そうそう、まさにキモカワ(笑)
あのインテリ・エイリアンのひとり息子(?)
が、最後のころ、めちゃめちゃかわいくて。
それにしても、あの宇宙船が母船に到着するまでが
長いので、いつ撃ち落とされるかとハラハラしたな~(笑)

この映画をきっかけにまた洋画を観る気になれそうです♪

JoJoさん こんばんは!
ご覧になりましたか~
素晴らしい作品でしょ!
私も世間の評判がよかったので観たけど
本来は好きなジャンルの作品じゃないのよ。
でもこれって食わず嫌いは勿体ない傑作ですよね。

>よくこれだけの重苦しい社会問題を
>うまくSF化させたな~と感心しました。
社会風刺とエンタメが上手く融合してましたよね。
ヒューマンドラマ的な要素もあり
そうそうエイリアン親子に「胸キュン」となりますよね。

>この映画をきっかけにまた洋画を観る気になれそうです♪
それはよかった~
沢山おすすめ作品や掘り出し物ありますよ~

こんばんは、ななさん。

この映画「第9地区」は、ピーター・ジャクソン製作、ニール・ブロムカンプ脚本・監督で、公開以来大いに話題を呼び、作品賞枠が10本に拡大された米アカデミー賞にノミネートされて、一躍名を上げた異色SF作品ですね。

南アフリカ、ヨハネスブルグ上空に出現した巨大宇宙船からの「難民」であるエイリアンたちが、被差別民的に暮らすスラム街、第9地区。

このエイリアンたちを、別の専用居住地区へ強制移住させるための現場監督を任せられた職員を主人公にして、フェイク・ドキュメンタリーのタッチで現実社会における人種隔離や差別、文化の衝突を風刺的に描きつつ、B級魂が炸裂するアクション・アドベンチャーになっていると思います。

テーマ、スタイル、エンターテインメントのユニークな融合と、映画好きの心をくすぐるディテールや笑える設定、描写山盛りのサービス精神に思わず顔がほころんでしまう快作だ。

エイリアンと人類が共存する世界といえば、エイリアンを(ヒスパニック系の)移民になぞらえた「エイリアン・ネイション」を想起するのだが、この作品はもう、あからさまに、かつての南アフリカにおけるアパルトヘイト政策や、黒人たちの強制移住など、現実に起きた事件をなぞっていて、「エビ」と呼ばれて蔑まれている、エイリアンたちの人権なぞどこ吹く風という主人公の言動に、皮肉がパンチが効いていて面白い。

エイリアンの設定も、知能程度の高くない2級市民的な種族としていて、二重の意味で、被差別的な存在に置かれているあたりが、いいアイディアである。

彼らをコントロールする立場にあった、おそらく宇宙船や超絶兵器を使いこなす高等な種族が、事故か疫病でほとんど死滅したからこそ、辺境の星である地球で立ち往生する羽目になっているというわけだ。

謎の液体を浴びた主人公のDNAが変化をはじめ、「エビ」へと変貌してしまうあたりは「フライ」等へのオマージュだろうか。

今度は主人公の人権もなにもあったものじゃなくなり、当局に監禁され、実験台にされてしまう。
なぜ当局はそこまでするのか、といった動機付けの設定が、この作品で最高のアイディア。

エイリアンの持ち込んだ超絶的な武器、兵器類は、「エビ」のDNAで起動するので、人類は使用できないのである。
後半は、その設定を活かした大活劇になるのだが、あまり高尚ぶっておらず、良い意味で、なんでもありのB級展開である。

そういう部分がかえって清々しく、好印象のよくできた娯楽作品である。

SFチックな意味での避けがたいグロテスク描写が、ネックになって手を出さない人もいるかもしれないが、さしてハードなものではないので、よほどこういうのが苦手な人でなければOKなんじゃないだろうか。

グロ描写を理由に、この作品を避けるとしたら、ちょっともったいないと思うので、食わず嫌いをせず、手を出して欲しいと思いますね。

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