アデル ファラオと復活の秘薬
リュック・ベッソンの描くパワフルなヒロインの物語は,どんな作品でもとりあえず観てしまうのは,あの名作レオンの後遺症かもしれない。マチルダのようなヒロインにまた会えるかと期待してしまうのだ。
案の定,マチルダを超えるヒロインには今回も会えなかったけれど,しかしこの作品,なかなか面白かった。予告から勝手に考古学+アドベンチャー+ハードボイルドを予想していたが,蓋を空けてみるとコメディ+辛口ファンタジーの要素の強い作品。
ベッソン作品なのに,この軽快さと,満載されたおバカすれすれのユーモア。しかしフランス発だと,ドタバタ劇もどこかしら粋でお洒落な風味があり,最初から最後まで楽しめた。
何よりヒロインのルイーズ・ブルゴワン嬢が作風にぴったり!もちろん豪華な衣装をとっかえひっかえ身につける彼女は,大柄な美人ではあるのだが,彼女の魅力はなんといっても,その猪突猛進さと破格の度胸のよさ。
植物状態の妹を助けるため,ファラオの侍医のミイラを蘇らせようと,あらゆる手を尽くす彼女の辞書には,「諦め」や「恐れ」「遠慮」という言葉は存在しない。目的達成のためには,他人の思惑も(時には命も)おかまいなしという突き抜けぶりは,一切の迷いがないだけに痛快でさえある。
ミイラや翼竜(どちらもなかなかキュート)が,当たり前のように蘇ったりすることへの説明もお座なりだし,おそろしく何でもアリの展開なのだが,とにかく楽しい。
ラストは続編の存在を匂わせていたが,物語の舞台はやはり,あの有名な豪華客船になるのだろうか?あの遭難事件を題材に,今作と同じテイストの冒険活劇を製作するのはちょっと不謹慎では~?と老婆心も。しかし,アデルの活躍ぶりは今後もずっと応援していきたいかも。
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アデル ファラオと復活の秘薬
(原題: Les aventures extraodinaires d'Adele blanc-sec"
----この映画って、リュック・ベッソン監督の作品ニャんだって?
あまり、そんな感じしないニャあ。
「そうだね。
ぼくなんか、観る前はフランソワ・トリュフォーの
『アデルの恋の物語』のリメイクかと勘違い。
ところが、宣伝サイドの言葉を借りれば
いわゆる“女性版インディ・ジョーンズ”。
でもそれをベッソンが撮るなんてありなのか?って…。
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こんばんは。
あのラストは大受けでした。
ここに、リュック・ベッソンの映画に対する
ポジティブな姿勢が出ていたと思います。
この監督は、素直に映画愛を出した方がいいような、
そんな気がしました。
投稿: えい | 2010年7月20日 (火) 23時15分
えいさん こんにちは
受けましたか~、あのラスト。
さてさて続編はどんなものになるか
楽しみなところですね。
>この監督は、素直に映画愛を出した方がいいような、
>そんな気がしました。
たしかに,そうかもしれませんね。
今作を観て,監督の溢れる愛を感じましたよ。
投稿: なな | 2010年7月21日 (水) 12時01分
ななさん、こんばんは!
僕もけっこう楽しめました。
アデルはベッソン作品に登場するヒロインの集大成という感じがしました。
>「諦め」や「恐れ」「遠慮」という言葉は存在しない
まさにベッソンのヒロインはみなそうですよね。
マチルダもそんな感じがします。
続編、作るのかな。
作ってほしいなあ。
投稿: はらやん | 2010年7月23日 (金) 23時00分
こんばんは~~♪
なんでもありのこの作品、私好きでした~。
あのインテリ軍団のミイラとか、バカバカしくて可笑しかったな~。
食べようとすると決まって電話がかかるお決まりのシーンとか。姉妹テニス対決に至っては、笑っていいの?と思いながら大爆笑(苦笑?)
こういうブラックユーモア好き好き。
思わぬ拾い物的な映画でした~♪
投稿: マリー | 2010年7月24日 (土) 21時16分
はらやんさん こんばんは
ベッソン監督の描くヒロインは
竹を割ったような男前の性格で
女の私から見ても清々しくてカッコいいです。
マチルダもそうでしたし
ミラの演じたジャンヌ・ダルクなんかもそう。
そしてこの「アデル」もでしたが
取り巻く男たちがヒロインに振り回されたり
圧倒されたりするところがまたよいのです。
続編,ほんと待たれますよね。
投稿: なな | 2010年7月26日 (月) 18時43分
マリーさん こんばんは!
マリーさんも楽しめたようですね!
これ,大笑いというのではないけど
ずっとクスクス笑いっぱなしでした。
そうそう,ブラックユーモアなんですよね。
フランス人の笑いのツボはハリウッドとまた違って
ちょっと粋なんだけどイジワルも混じってたりして
味わい深いわ~~
インテリミイラ集団の声や動きが
ほんとミイラっぽくてツボでした。
投稿: なな | 2010年7月26日 (月) 19時36分
ななさん、おはようございます。夏休み突入ですね。でもその間も研修そのほかで忙しいんでしたっけ? ともあれこの暑さですから体調にはお気をつけて
あんましいい評判を聞かない本作品ですが(笑)、こちらではわりと好評ですね。ななさんとこの常連さんはお笑いに寛容な方が多いのかな?
まあわたしもギロチンとか妹さんのおでことかに若干ひきながらも、楽しませていただきましたよん
このシリーズは原作は全9冊くらいあるそうなので、たぶんあの船に乗ってもアデル嬢が不慮の死をとげることはないでしょう。ディカプリオを押しのけながら平然と生き残ることと思われます
投稿: SGA屋伍一 | 2010年7月27日 (火) 07時39分
SGAさん こんばんは
夏休みです~~
ちょっと時間に余裕が。
でもサマースクール(学校で宿題を教える)や出張や
鼓笛の練習やら何やらで毎日出勤してはおりますが。
夏が苦手なわたしとしては
夏バテやら夏風邪やらで体調も崩す季節です。
で,この作品ですが
やはり世間では評判がよろしくないのですね?
予告の印象とは全く違った方向の作品だったので
裏切られた感が強いのでしょうかね。
あまり期待しないで観た方がよほど楽しめたかもしれません。
>ギロチンとか妹さんのおでことかに
あれは確かに悪趣味なユーモアでしたね~
でもこの作品だから許せるムードがあったかな?
これ,原作あるんですね~
じゃあこれからも続編が期待できますね。
>ディカプリオを押しのけながら平然と生き残ることと思われます
あはは,ウケましたよ~,ディカプリオって。
そう思うとますます続編が楽しみになってきました。
この作品ではあまり出番がなかったマチュー・アマルリックも
次回は大活躍してくれるでしょうね。
投稿: なな | 2010年7月27日 (火) 19時06分
面白い映画でしたね!
インディって思って見に行ったから違っていてちょっとあれ?って感じだったけど・・・
最初からコメディだって言ってくれたらもっと良かったのに・・・
アデル役の女優さんが綺麗で良かった!
ミイラもお茶目で可愛らしかったし^^
なんのかんの言いながらも、満足です♪
投稿: みすず | 2010年7月28日 (水) 00時36分
みすずさん こんばんは
そうですよね~、予告を見ると
なんとなく「女インディ・ジョーンズか?」と
そっち方面の期待をしてしまいますよね。
で,蓋をあけたら思いっきりコメディで。
でもこれはこれで気持ちを切り替えれば楽しめました。
主役の魅力もありますが
あのミイラたちがやけにキュートでした。
投稿: なな | 2010年7月28日 (水) 23時09分
私もやっぱり『レオン』の後遺症で観てしまいました(笑)
まあそれなりに面白かったのでよかったです。
>あの遭難事件を題材に,今作と同じテイストの冒険活劇を製作するのはちょっと不謹慎では~?
同感です。そう考えるとやはりあのラストは続編への布石ではなく、あくまでブラックなオチという解釈でいいんじゃないでしょうかね。
どっちにしても続編は厳しいでしょうし。
投稿: SOAR | 2010年8月 1日 (日) 23時47分
SOARさん こちらにもありがとう。
やっぱりレオンの後遺症は強烈ですもんね。
きっとこれからも,「ベッソンの強いヒロインもの」ときくと
懲りずに観に行ってしまいそうな気がします。
>あくまでブラックなオチという解釈でいいんじゃないでしょうかね。
なるほど,そういう解釈もできますね。
続編,個人的には楽しみなんですが
興行成績がふるわないと,製作はむずかしいでしょうね。
投稿: なな | 2010年8月 2日 (月) 19時54分