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2010年7月の記事

2010年7月31日 (土)

牛の鈴音

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韓国で300万人を泣かせたという,新人監督が撮った奇跡のドキュメンタリー映画である。ドキュメンタリー作品がウケない韓国で,わずか7館の上映からスタートしたにもかかわらず,口コミが広がり,「牛の鈴症候群」という社会現象まで引き起こしたという。

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作品は,冒頭からラストまでチェ老夫妻と老いた牝牛の日常を淡々と綴っていく。平均寿命が15年ほどにもかかわらず,40年も生きたチェ爺さんの牝牛は,その生涯の30年間を老人のために畑を耕し,重い荷を積んだ牛車を黙々と引いてきた。

何度もスクリーンに登場する牛のアップ。
どちらかというと不細工な毛むくじゃらの顔にも,よごれた毛に覆われた老いた身体にも,長年の苦労がくっきりと刻まれているが,その表情は,まるで悟りきったかのような静かさをたたえている。

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79歳というチェ爺さんもまた老いの点では牛に負けていない。若い時から足が悪かったお爺さんの腰は曲がり,足の指は変形し,時々酷い頭痛に悩まされながらも,現代的な農機具を一切使わず,牛と己の力のみを頼りに,まるではいつくばるようにして黙々と野良仕事をこなす。

60年もお爺さんに連れ添って共に重労働をしてきたお婆さんは,そんなお爺さんのやり方が不満で,畑仕事の合間にいつも愚痴をこぼしている。

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牛が食べる草にかかるといけないからといって農薬を使わず,売っている飼料も利用せず,手ずから牛の餌用の草を刈るお爺さん。畑に行くときはもちろん,町に行く時も牛車しか使わないお爺さん。牛が疲れてくるとお婆さんに「降りろ」というお爺さん。


わたしと牛とどっちが大切なんだい。
やってられないよ,こんなに苦労させられて。わたしほと不幸なものはいないよ。・・・・・果てしなく続くお婆さんの愚痴と,それを顔色一つ変えずにやり過ごすお爺さん。

何のナレーションもない静かなこの作品。
絶え間ないお婆さんの愚痴がナレーションの役割を果たし,牛の首につけられた澄んだ鈴の音をBGMに,チェ爺さん夫婦と牛の日常は,ひたすら淡々と過ぎていく。
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観ていると,これがドキュメンタリーであることを忘れそうになってくる。まるで素朴なドラマのような味わいがあるのだ。チェ爺さんもお婆さんも,実在の人物ではなく,老練な役者に見えてくるから不思議である。

チェ爺さんと牛との,夫婦か親子のように強い絆にやきもちを焼くお婆さん。牛が雌であるから余計に,三角関係のような不思議な錯覚が起こる。不満そうなお婆さんの表情のすぐ後に,それをじーっと黙ってみている牛の顔のアップなんぞが映るもんだから,余計に。
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牛とお爺さんの関係は,単なる主従関係ではなく,どちらも相手に尽くし合っている,ともいえる関係だ。老いた体に鞭打って,倒れて動けなくなるその朝まで,一日も休まずに働き続けた牛のために,お爺さんも手間を惜しまず飼料の草を刈り続ける。身体が楽になるように機械耕作にシフトすればよいものを,頑としてしなかったのも,本音は牛の居場所を無くしたくなかったためではないだろうか。


お爺さんも牛も,互いの存在が生き甲斐でもあると同時に,重荷にもなっている
・・・・それはまさに,血を分けたもの同士のの関係のようだ。
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売られるために牛市場に連れて行かれる牛が涙を流す場面。そしていよいよ動けなくなって息を引き取るその朝になって,ようやく外される鼻環。あんなに悪態をついていたお婆さんが,「まだ(逝くのは)早いよ」と言って泣く場面。牛のお墓注がれるマッコリ。泣くまいと思っても,やはり涙がこみ上げてきた。切ないのでも悲しいのでもなく,心の深いところから静かに湧いてくる涙だ。

韓国というのはほんとに奥の深い国だ。今の時代にまだこんなお爺さんやお婆さんがいて,そしてこんな牛とのドラマがあって。それをこんな形でドキュメンタリー作品に仕上げることのできる新人監督がいて。この作品が韓国で社会現象を巻き起こした,というのも納得だった。不思議な感動に出会えた作品だった。

どうやらこうやら3周年

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当ブログもこの8月で3年を迎えました。さすがに更新速度や皆様のところに遊びに行く頻度はかなり落ちてまいりましたが(ごめんなさい)それでも,何とか無事に3周年を迎えることができたのは,いつも親しくさせていただいてる皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後も,自分の好きな映画や猫の話題を気ままに書いていく,というスタンスは変えずに,無理をせずにできるだけ長く続けていけたらなぁと思っています。

で,ついでに何か話題を・・・ということで,自分の人生をふりかえって(おおげさ〜)価値観までも変えてしまった生涯のベスト作品を10本紹介させていただきますね。マイ・ベストシネマの双璧であるブロークバックマウンテン藍宇はもう今更ここで述べるまでもないので,この作品以外の8作品は何かというと。


ショーシャンクの空に

シンドラーのリスト

ゴッドファーザー(partⅠ,Ⅱ)

ディア・ハンター

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

ブエノスアイレス

花連の夏

ダークナイト

次点で暗い日曜日鳩の翼恋におちて砂の器が来ます。

誰もが認める名作,大作も入っていますが,「だって好きなんだもん」的なマイナー作品もありますが,こうしてみると,普段はバッドエンドが好きな私でも,生涯の1本となれば,人間賛歌っぽい内容のものをチョイスしたりして,おや,案外ノーマルなんだなぁ,自分・・・と(苦笑)。皆さんの生涯の1本も教えていただけると嬉しいな。

これからもたくさんいい作品に巡り会えますように。時代は変わっても,映画とは一生付き合っていきたいですよね。

2010年7月26日 (月)

インセプション

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本日鑑賞。冒頭五分間は訳がわからなくて,「こりゃ失敗したかな?」と思ったが杞憂だった。設定や展開の面白さと斬新さ,摩訶不思議な映像体験にも圧倒されたが,今回改めて舌を巻いたのが脚本も手掛けたノーラン監督の頭脳だ。

ほんと頭がいいんだなぁ,この監督。
夢という仮想空間で起こる,一般常識では想像もできない出来事の映像化。特に後半の,複数の次元(夢の各階層)で同時進行する怒涛の展開を,ノンストップでみせるあの離れ業。そしてこんなにややこしいお話であるにも関わらず,すべての伏線が水も漏らさぬほどに辻褄が合う見事さ。

ノーラン監督は脳内で「細かく分解し緻密に絡み合わせた事柄を,一瞬にしてまた元のシンプルな形態にリセットする(もちろんその逆も可)」という複雑な作業が,いとも簡単にできてしまうらしい。

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人の夢の中に入り込んでアイディアを盗み取るという,特殊な企業スパイのコブ(ディカプリオ)。彼の妻モル(マリオン・コティヤール)は,かつてコブと一緒に夢の世界へダイブして過ごす時間を楽しむあまり、現実と夢の世界の区別がつかなくなって自殺,そしてコブは妻殺しの容疑者として追われる身だった。

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そんな彼に,ある任務を依頼してくる大企業のトップのサイトー(渡辺謙)。その仕事とは,彼のライバル会社の御曹司ロバート(キリアン・マーフィ)の潜在意識に潜入し,会社を解体するというアイデアを「植えつける(インセプション)」ことだった。

それは潜在意識の層を何層も深く潜る必要があり,極めて困難でリスクを伴う任務だが,コブは自分の犯罪歴の抹消を条件に依頼を引き受ける。逃亡以来生き別れになっている子供たちのもとへ帰りたい一心で。

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コブのチームは,彼の片腕役のアーサー(ジョゼフ・ゴードン・レヴィット)と,夢の世界の「設計士」アリアドネ(エレン・ベイジ),他者になりすます「偽装師」のイームス(トム・ハーディ),夢の世界を安定させる鎮静剤を作る「調合師」のユスフ(ディリーブ・ラオ)の5人。それにサイトーを加えた6人が作戦を決行する。

彼らは飛行機の機内で,ロバートの夢の中に潜入する。計画は,その後ロバートの「夢の夢のまた夢」というより深い階層の潜在意識の世界まで潜り込み,念の入ったインセプションを実行するはずだった。しかし潜入するやいなや,彼らはロバートが夢の中に投影させていた護衛部隊の攻撃を受け,サイトーが重傷を負い,ミッションは困難を極める。

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彼らが任務後に現実世界に生還するためには,夢の中で「死ぬ」か「キック」という「落下」行動を取らなければならないが,今回のケースは鎮静剤が強力すぎて「うまく死ねない」ので,場合によっては現実に戻ってこれない恐れがあるからだ。

それでも作戦通りに二層目,三層目と潜入していくメンバーと,一つ上の層に残って攻撃兵たちと闘うメンバーたち。この各層の場面の切り替えがよく練られていて素晴らしい。怒涛の展開の間中,私はずっと心の中で「すごいすごい」と感嘆しっぱなしだった。

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ほんとに,よく考えつくというかこんな映画よくぞ作った,と言いたい。役者の好演ももちろん花丸で,レオは例によって渋カッコよく,J・ゴードン・レヴィットも今作では大人びてて素敵。キリアン・マーフィも今作ではスマートなキャラだ。

そしてあの,意味深なラスト。はたしてコマは回り続けたのか,静止したのか。何とも絶妙なタイミングで画面が終わるが,コブとサイトーは無事に現実世界に生還できたのだろうか,それとも・・・・と,最後の最後まで捻りを効かせた心憎い作品だった。

2010年7月22日 (木)

プレデターズ

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元祖プレデター(1作目)はTVで観た覚えがある。主演がシュワちゃんだったことは忘れてしまっていたが,ジャングルとか,身体が見えなくなるカニのお化けみたいな顔のグロテスクなエイリアンとか,そんなことは覚えていた。エイドリアン・ブロディが主演と知って興味半分で鑑賞。

設定が面白いですね,これ。舞台が地球ではなく,プレデターたちの所有している「狩り」用の惑星で,そこに地球から極悪人や暗殺者や凄腕の軍人たちが狩りの獲物として拉致されてくる,というのがユニーク。

別にこのシリーズのファンでもなんでもないので,プレデターのヴィジュアルや戦闘力について何の知識もなく,それゆえにこれまでの作品と比べることもせずに素直に観た。いや~,たいがいのホラーはへっちゃらな私だが,こういう先の見えないジャングルみたいなところを進んでいって一人ずつ殺られていく,という展開はまるでお化け屋敷の中を歩かされているみたいで,結構怖かった。

こういった展開のサバイバル映画では,誰が先に退場するかなんとなく予想してしまうものだけど,この作品,いかにも強そうなキャラがあっけなく退場したり,その反対もあったりして,予想を裏切られるので目が離せなかった。
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あと,寄せ集め集団(それもみんなある意味殺人者)である彼らの結束力や信頼関係が弱く,「お荷物な存在は見捨てる」とか「味方であってもむやみに信用するな」という暗黙のルールが漂っていて,そんな中,一番そんなことをしそうもないキャラに見えたやつが実は鬼畜だったり,その反対に眉をひそめたくなるようなキャラが勇気ある散り様を披露したりして,ヒューマン面でも,なかなか捻りのある展開になっていた。

そしてなんといっても主演を演じ,ラストには最強のプレデターとガチンコ対決をするエイドリアン・ブロディが凄かった。
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なんといっても彼は戦場のピアニストのイメージが大だから。キングコングでジャングルの中でお化け昆虫や恐竜から逃げるシーンも演じたが,あの作品でも一応「劇作家」という文系のキャラだったし。しかし彼が,コングとのカーチェイスの場面を,スタントなしで楽しんで演じたという逸話から,その身体能力の高さは知っていた。

今作では鍛え上げたマッチョな身体を披露するとともに,主人公の精悍さや冷酷さといった内面も見事に演じ上げていたように思う。
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・・・・しかし,プレデターのヴィジュアルは・・・・何度見てもグロいです。(あんまり直視したくない。)

うーーん,予想してたよりはずっと楽しめたことに自分でも驚いた作品。(あまりこの手は得意ではないので) 従来のプレデター・シリーズのファンの皆さんの感想はどうなんでしょうね?賛否両論のような気もします。

続編がありそうな終わり方だったが,どちらにしてもエンドレスに続くサバイバルゲームなんだろうなぁ・・・。

2010年7月17日 (土)

アデル ファラオと復活の秘薬

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リュック・ベッソンの描くパワフルなヒロインの物語は,どんな作品でもとりあえず観てしまうのは,あの名作レオンの後遺症かもしれない。マチルダのようなヒロインにまた会えるかと期待してしまうのだ。

案の定,マチルダを超えるヒロインには今回も会えなかったけれど,しかしこの作品,なかなか面白かった。予告から勝手に考古学+アドベンチャー+ハードボイルドを予想していたが,蓋を空けてみるとコメディ+辛口ファンタジーの要素の強い作品。

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ベッソン作品なのに,この軽快さと,満載されたおバカすれすれのユーモア。しかしフランス発だと,ドタバタ劇もどこかしら粋でお洒落な風味があり,最初から最後まで楽しめた。

何よりヒロインのルイーズ・ブルゴワン嬢が作風にぴったり!もちろん豪華な衣装をとっかえひっかえ身につける彼女は,大柄な美人ではあるのだが,彼女の魅力はなんといっても,その猪突猛進さと破格の度胸のよさ。

植物状態の妹を助けるため,ファラオの侍医のミイラを蘇らせようと,あらゆる手を尽くす彼女の辞書には,「諦め」や「恐れ」「遠慮」という言葉は存在しない。目的達成のためには,他人の思惑も(時には命も)おかまいなしという突き抜けぶりは,一切の迷いがないだけに痛快でさえある。
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ミイラや翼竜(どちらもなかなかキュート)が,当たり前のように蘇ったりすることへの説明もお座なりだし,おそろしく何でもアリの展開なのだが,とにかく楽しい。

ラストは続編の存在を匂わせていたが,物語の舞台はやはり,あの有名な豪華客船になるのだろうか?あの遭難事件を題材に,今作と同じテイストの冒険活劇を製作するのはちょっと不謹慎では~?と老婆心も。しかし,アデルの活躍ぶりは今後もずっと応援していきたいかも。

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あの食いしん坊の警部と猛獣ハンターがかぶっていた,羊の被り物が可愛いかった~~~

2010年7月10日 (土)

キング・アーサー

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マッツ祭り第3弾はちょっと古いけど2004年製作のこれ,キング・アーサー。実はこれは劇場で観たんだけど,初見時はイマイチで。

後半の戦いがクライマックスになるあたり,ストーリーがよくわからなくなったのと(なんでアーサーたちは残って戦ってるの?とか)クライヴ・オーエンが中世の騎士というよりは現代のサラリーマンの容貌に見えるとか,アーサー王伝説ってほんとはあんなもんじゃないよな~とか,キーラのあの原住民メイクは,さすがにあれはないだろうとか,雑念がいっぱい出てきちゃって。
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それでもこの手の史劇ものは大好きなので,DVDになってからも何度もレンタルして観てるうちにストーリーやキャラ設定の細かいところも掌握でき,だんだんお気に入りの作品に。

そして気づいたのだ…この作品,後に知名度の上がる欧州俳優たちがたくさん出てるってことに!英国はもちろんのこと,デンマーク,ドイツ,スウェーデン出身の俳優さんたちが,それぞれハリウッドにはない味わいを見せてくれている。その多彩な顔ぶれとキャラ立ちが楽しい。
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ランスロット役のヨアン・グリフィズは英国の俳優さん。タイタニックで助けに戻る救命ボートの舵取りをしていた乗組員役の時とは打って変わって,二刀流を操る騎士姿のカッコいいこと,クールなこと。

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サクソン王の息子シンリック役にドイツのティル・シュヴァイガー。あの名作ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアイングロリアス・バスターズではあんなにかっこいい役だったのに,この作品ではちょっと浮かばれない役かも・・・・もったいない。

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ガラハット役のヒュー・ダンシーは,この作品の後でブレイクしたので,これにも出てたとは,再見時にやっと気づいた。円卓の騎士の中ではヴィジュアル的には弟キャラのようなちょっとかわいい感じ。

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悪役のサクソン王セルディックには,スウェーデンの名優ステラン・スカルスガルド。

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そして鷹を連れた寡黙な騎士トリスタンにデンマークのマッツ。
こうやって画像を見るとさすがに今より若い。頬に施されたメイク?やこめかみの三つ編みも妙に似合ってて,口数も表情の変化も少ないのにめっぽう強いトリスタン。

古い言葉だけど「男は黙ってサッポロビール(←死語?)」という感じで他の騎士たちに比べて出番が多いわけでもないのに,存在感があった。騎士たちが余興でダーツのようなナイフ投げ遊びに興じているときに,一発で的中させたトリスタンが,仲間にコツを聞かれてただ一言「真ん中を狙う」と言った台詞が超クール!・・・そう,確かに真ん中を狙えばいいわな,できれば。
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鷹を連れてる,というのも動物好きの私にはポイント高い。マッツが,いやトリスタンが討死したときに,悲しげに鳴きながら上空を舞う鷹の姿が可哀そうだった・・・。

その他にも氷上での戦いで自らを犠牲にして仲間を救った心優しいダゴネット(レイ・スティーヴンソン)や,荒くれで子煩悩なボウズ(レイ・ウィンストン)も素敵だった。円卓の騎士たちは誰もが印象的で,ともすれば主役のアーサーを食っていたかもしれない。男臭いワイルドなイケメンたち(オッサンも可)に萌えたければこの映画を観るべし。ストーリーなど細かいところは目をつぶろう。
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素顔のマッツ。こうやって見ると目のあたりなんぞ,案外東洋的な「和顔」かも。   

2010年7月 4日 (日)

活け花あれこれ

映画,読書の他にも活け花も趣味の一つです。いや,趣味というより必要に迫られて習った,といった方がいいかな?今は週に一度教会の講壇に活け花の奉仕をしています。おかげでいろんな花の名前を覚えました。活け花のコツは「どの花もその魅力が引き立つように」だと自分では思ってます。特にお気に入りの作品をいくつか・・・・。
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椿 オンシジウム


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手毬草 薔薇 ストック 紫陽花(葉)

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ぜんまい 向日葵 ドラセナ デルフォニウム 

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フトイ トルコ桔梗 デルフォニウム ハイブリットスターチス

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紫陽花 サルビア・グァラニテカ 星咲きカーネーション

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ギンガジウム 向日葵 ニューサイラン

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水仙 チューリップ 雪柳

写真撮影は教会の牧師先生。
牧師になる前にカメラマンをなさっていたので,本格的な機材できれいに撮ってくださいました。花に触れるとき,ひとつひとつが完全な美しさを持っていることに改めて感動します。

2010年7月 2日 (金)

誰がため

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ただ「生きる」ためなら降伏を。
だが「存在する」ためなら戦いを。


マッツ祭り第2弾は,デンマーク映画のこの作品。
第二次世界大戦中の,ナチス・ドイツ占領下のデンマークで,その勢力に敢然と立ち向かった二人のレジスタンスの生きざまを描いた物語。実在した彼らのコードネームは,フラメンとシトロン。その任務は,レジスタンスグループの上司の命を受けて,対独協力者たちを暗殺すること。
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徹底した反ファシズム主義のフラメン(トゥーレ・リントハート)は祖国を思う純粋で一途な信念から,そして心優しい家庭人でもあるシトロン(マッツ・ミケルセン)は,愛する家族を守るために,レジスタンス運動に身を投じる。

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そんな二人が,ある標的と対峙したことをきっかけに,自分達の任務に対して次第に疑惑と迷いを感じるようになる。上司が暗殺リストの中に,ナチスとは関係のない者を紛れこませていたことを知って愕然とするフラメン。そして,何よりも守りたかった妻子に活動が理解されずに去られてしまうシトロン。いったい自分たちは何のために,そして誰のために戦ってきたのか・・・・。
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それでも今更後戻りはできず,信念を貫いて戦い抜く道しか残されていなかった二人は,不純な上層部の駒として動かされることを拒み,彼らの命に背いてゲシュタポの最有力者を狙い,その結果,それぞれ壮絶な最期を遂げることになる。時代に翻弄された二人の辿った道は,まことに哀切に胸に迫ってくるものがあった。

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フラメンを演じたトゥーレ・リントハート
彼の出演作で日本でも目にすることができるのは,この作品の他はドイツ映画の青い棘(アウグスト・ディールの恋人ハンス役)と,ハリウッド映画の天使と悪魔(ヴァチカンの書庫で窒息しかけたスイスの衛兵役)の2本。「青い棘」ではドイツ語を,「天使と悪魔」では英語を流暢に話していたが,北欧風のお名前だなぁ,と思っていたら,案の定デンマークの俳優さんだった。
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ちょっと顎がとんがりすぎているような気がしないでもないが,金髪で白皙の,いかにも北欧美男子,というたたずまい。180㎝ある長身は,銃を構えるシーンでもとても絵になる。「天使と悪魔」でも,チョイ役なのに不思議な存在感があったが,この「誰がため」の彼は,演技派でもあることを見せつけてくれた。凛としたところと,デリケートなところが共存している雰囲気がぴったりだ。

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そして,お目当てのマッツが演じたシトロン

もう~ね,この役はやっぱりマッツしか演じられないでしょ,というくらいはまってた。強さと優しさと,そしてちょっぴり哀れを誘うところ・・・。父親のような包容力もあるのに,不思議とその反面,母性本能もくすぐられてしまう繊細さもある,そんな彼の魅力が全開のキャラだった。

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殺人に対して強い逡巡を感じていたシトロンが,フラメンが負傷したとき,彼の代わりに標的を倒し,その勢いで妻子のために強盗までしたのに,あっさり妻には三下り半を突き付けられてしまう・・・。

その語の彼は,次第に冷徹な暗殺者の表情を身につけていく。そんな風に,フラメンは最初から最後まで苦渋に満ちた表情が多かったけれど,マッツって,汗と涙がほんとによく似合う。今回の作品では特に。
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フラメンとシトロン。
日常のありふれた幸せをほとんど犠牲にして共に戦い,最後には孤立無援になる二人。彼らにしかわからない苦悩ゆえにか,ふたりの絆は最後まで堅く,シトロンの死の3日後に,フラメンも襲撃の際に自ら命を絶つ。違った時代に生きていればこのような運命を背負わずともすんだろうに,と痛ましい思いがよぎるが,やはりナチの圧政時代に,信念を貫いた人物の物語には,感動を覚えずにはいられないし,このような人々は,きっと欧州各国にまだまだ沢山実在していたのだろうな,とも思った。

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余談;この映画,いろんな場面でビールがたくさん出てくる。酒場のシーンはもちろんのこと,密談や作戦会議の場でも白昼でもテーブルの上にはビールやワインの酒瓶が。ちょっとググってみたらデンマークはビールの消費大国で,みんなお酒が大好きで,昼間だろうがお仕事中だろうが飲むそうな。ビールも安いらしいし,・・・・・なんとなくうらやましい。

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トゥーレとマッツの仲良しツーショット。劇中ではこんな楽しそうな二人の笑顔は見られなかったけれどね。

 

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