ジュリー&ジュリア
ダイエットおよび節酒しているときには(←それはわたし)絶対に観てはいけない映画だなぁ~,これ。出てくる食べ物がめちゃめちゃおいしそう~という点では,南極料理人と双璧かも。
これは二人の実在の女性の物語。
ひとりは,1960年代に「Mastering the Art of French Cooking」という本でフランス料理をアメリカに紹介し,「アメリカ料理界の母」とまで呼ばれた,伝説的料理研究家のジュリア・チャイルド。そしてもうひとりは,2002年にジュリアの全レシピを,1年で制覇することに挑戦し,その奮闘の日々を自らのブログに綴ったジュリー・パウエル。カリスマ・ブロガーの先駆けとなったジュリーのブログは,本として出版され,2006年にルル・ブルッカー賞を受賞している。
メリル・ストリープの変幻自在の(ここまでくるとまさに神業)魅力は,この作品でも大炸裂。彼女の作品はどれもハズレがないが,実在した人物を演じた場合も,話し方やしぐさなど本人そっくりに化ける。たしか,「ミュージック・オブ・ハート」で,ブルックリンの小学校のバイオリン教師を演じた時も,実在する主人公の家族がメリルの演技を,「しぐさが彼女そっくり」だと絶賛していたような記憶が。
身長185㎝と,当時の女性としてはかなり(いや,今でもか)大柄だったジュリア・チャイルド。そんな彼女を表現するために,遠近法のマジックなどを駆使して,メリルは見事にスクリーンの中で大女に変身。底抜けに明るく,食べることが何より好きで,猪突猛進タイプの型破りな女性ジュリア。実際の彼女が出演している映像を見たが,独特の声や話し方がメリルそっくり!いや,メリルの方がジュリアを真似ているのだけども。
そして,現代女性のジュリーを演じたエイミー・アダムス。この作品の彼女は等身大のキャリアウーマンで,どこにでもいそうなタイプの女性なのだが,やはり彼女が演じると可愛らしい。あれだけこってりしたフレンチを毎日毎日こしらえたら,本来なら体重もかなり増えそうなものだが(実在のジュリー・パウエルは太ったらしい)エイミー・アダムスのヴィジュアルは最後まで標準体重のままで,それに食材の費用も一般人には大変だっただろうなぁ~なんて,妙なことが気になってしまった。
なにはともあれ,料理を作ること(そして食べることも)が大好きな二人の主婦が,何かにチャレンジして成功するさまを時代を超えて描いたこの物語(というか実話)は爽快である。そして料理プロジェクトというだけでなく、同時にわれわれブロガーに共通する心理もよく書かれていると思う。
ブログを始めて間もないころの,コメント数に一喜一憂するさまや,読者が増えてから出てくる欲のような感情,私生活を多少犠牲にしてまでも,のめりこまずにはいられない中毒性などなど・・・。彼女の作るフランス料理の数々は,こちらには作り方もお味もあまりなじみがなくてピンと来ないものも多いのだが,(でもすごく美味しそうではあったが),それよりも新米ブロガーからカリスマブロガーに登りつめる彼女の気持ちの変化の方が,より共感できて面白かった。
女性には特にお勧めの一本。元気が出ますよ~~。
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この映画大好きでした!
そして、あまりのヨダレものの内容にパンフに載っていた『プフ・ア・ラ・ブルギニオン』作っちゃいましたよ~時間かかったけど美味しかったです♪
女性がいろんな意味で前向きな元気になれる映画ですよね~!
投稿: コブタです | 2010年6月25日 (金) 20時13分
こちらのこの記事を読んでから、
週末のDVDは、これだ!って思ってたのですが・・・
残念ながら貸し出し中でした。
楽しみが先延ばしになったと思ってゆるしてます。
投稿: 亮 | 2010年6月27日 (日) 17時24分
コブタさん こちらにもありがとう!
フランス料理とワインが無性に欲しくなる
ダイエットの敵のような映画ですよね。
>プフ・ア・ラ・ブルギニオン』作っちゃいましたよ~
うわぁー,すごい!
コブタさんお料理上手なんだ~~!うらやましい!
美味しかったですか~
私もレシピを入手してチャレンジしてみよう!
鴨の骨抜きは無理だけど,牛肉なら何とか扱えるかな?
投稿: なな | 2010年6月28日 (月) 10時12分
亮さん こんにちは!
いつもコメントありがとうございます~
貸し出し中でしたか、人気作品なんですね。
淡々としたお話ですが
メリルのなりきり演技が素晴らしいですよ!
次回,ぜひレンタルしてください!
投稿: なな | 2010年6月28日 (月) 10時14分
こんにちわ〜^^
私もこれみました〜
うちの母がみていたので何見てるの〜??と
わたしも参戦^^最初これコメディーなのかな?
と思いつつ、見ていると…
でてくるでてくる
種類の違う料理!!!
どんどんお腹がすいてきちゃって〜
よだれを拭うのに一苦労でした(笑
ななさんの言う通りダイエット中に見るのは禁物ですねー^^
ジュリーもジュリアも負けず嫌いでジュリアの場合は料理をつくるにも、本を出版するにも
ジュリーの場合は料理を作りながらブログを欠かさず更新するにもどちらとも夢中になったものに向かう
一生懸命さや一途さが似てて
私は、その一生懸命さや一途さに
下をまくばかりで、みなわらないとな
とも思いました。ジュリアを支えてていた
旦那のポールもすてきでした(><
映画を見るまでジュリアのこと
この人だれ〜??っていうくらい
知らなくてお義父さんに聞いてみたんですよ
(うちのお義父さんはアメリカ人です)
『Who is this??』
って聞いてみたら
『You really don't know Julia Child??』
って聞き返されました(笑
アメリカでは本当に誰でも知ってる
くらいジュリアって有名な方らしいです。
そういえばブログ初めて3年なんですね〜!!!
ななさんスゴいですよね
本当尊敬しちゃいます(><
私結構ななさんのブログ拝見してるんですが
私の見た映画をななさんスデに見ていて
いつも『さすがだな〜』と思っていました。
ななさんのおかげでBBMの存在も
知ったんですよね^^
話それてしまったんですが
ジュリー&ジュリアも色々な人に
見てほしい作品ですよね!!!見たら楽しくなれますし!^^
まだ書きたいコトいっぱいあるんですが
長くなるのでここらへんで終わりましょうね。
これからもブログ愛読しますv
更新頑張ってください(^^/
投稿: toyoka | 2010年8月 2日 (月) 16時40分
toyokaさん こんばんは そしてはじめまして
お越しいただいてとっても嬉しいです。
また,以前から拙ブログを読んでくださっていたのですね。
ありがとうございます。特にBBMを紹介できたと伺って
とても嬉しいですね!
BBMはなんといってもぶっちぎりのマイベストシネマですので。
toyokaさんのお義父さまはアメリカの方なんですね
(素敵~,インターナショナルな家族ですね。)
ジュリア・チャイルドって
アメリカではそれほど著名なんですね~
でも確かに日本では
この映画で初めて彼女の業績を知った人が多いでしょうね。
美味しいお料理や,パワフルな生き方,
そしてブログのいいところや悪いところ
いろんなエッセンスが詰まった素敵な作品ですが
なんといってもメリルのなりきり演技が素晴らしかったです。
案外,ご覧になっていない方も多い作品なので
皆さんに声を大にしてお勧めしたいですよね。
>更新頑張ってください(^^/
はい,ありがとうございます。
toyokaさんのコメントで元気をもらえました。
マイペースで頑張りますね。また遊びに来てください。
投稿: なな | 2010年8月 2日 (月) 20時32分
初めてじゃないですよ〜(笑
前に告白にコメントした中学生ですv
自分でもBBMという素敵な映画を
知る事ができてよかったです。
BBMの存在を知らずに過ごしていた
日々がもったいなく感じるくらいですから(笑
ななさんのブログに出会えたことが
運命に感じました(><
確かに、ジュリア・チャイルドの業績について
この映画を見て初めて知った人はたくさんいる
でしょうね〜
映画はを見る人にいろんな事を
伝える影響力といかすごい力がありますよね^^
私なんかでよければ毎日きますよー
というか、実際毎日きてるんですけど(笑
受験生なのでななさんのブログを
見て息抜きしたいと思いますv
じゃあ勉強頑張ってきます!!!
投稿: toyoka | 2010年8月 3日 (火) 09時11分
toyokaさん こんばんは!
)
そうか~2度目のご訪問だったんですね。
お名前を覚えていなくってごめんなさい。
(アルファベット名にヨワイんです
コメントもしっかりした文章なので
まだ中学生とは思い至らず・・・。
BBMはもちろん感受性の強い青春時代に観ても
純粋な感動が味わえると思いますが
これから年齢を重ねるにつれて
また感動のツボが変化していくのではないかと思います。
ぜひ,人生の節目節目に観かえして頂きたい作品です。
小説もそうですが映画が私たちにもたらす影響は
良かれ悪しかれとても大きなものがありますね。
限られた実体験だけでは到底味わえない感動や共感や知識を
視覚を通して体験できる,というのは素晴らしいことです。
映画で息抜きもしながら,勉強も頑張ってくださいね。
投稿: なな | 2010年8月 3日 (火) 23時36分