ウルフマン
ベネチオ・デル・トロの狼男物語。
こういった19世紀のイギリスを舞台にした,古色蒼然正統派ホラーは,その雰囲気からして大変好みなので,期待大で鑑賞。
結果は・・・う~~~ん。そこそこ良かったけど,期待ほどではなかった・・・かな。この時代の英国の田舎の貴族の館を中心とした陰鬱で不気味な雰囲気はたっぷりと堪能できたが,ストーリーや人物設定が薄くて中途半端だったような。
兄の死の知らせを聞いて,故郷のブラックムーアに帰郷したローレンス(デル・トロ)。無残に引き裂かれた兄の遺骸を目にした彼は,事件を自分の力で解明しようとするのだが・・・・。
満月の夜の奇怪な人狼らしき生き物。美しい兄の婚約者グエン(エミリー・ブラント)。そして,いかにもひと癖ありそうなローレンスの父(アンソニー・ホプキンス)。ロンドンから捜査にやってきたアバライン警部。・・・・と,役者は揃っている。
特にアンソニー・ホプキンスとデル・トロが親子って,な,なんて濃い取り合わせなんだ~!息子のデル・トロのヴィジュアルが老け過ぎてて,ちょっと違和感も。この親子間の確執,特に父のタルボット卿が何を考えてああいう行動を息子に取るのか,ちょっと書きこみ不足のような感は否めなかった。
驚いたのがヒロインを演じたエミリー・ブランドの美しさ!いや,綺麗な女優さんだとは思っていたが,こういうクラシカルな衣装もよく似合い,(ちょっとマデリーン・ストウのような雰囲気)狼男を愛してしまった苦悩や恐怖心,気丈な決断などを,繊細な演技で十二分に見せてくれていた。
ストーリーはシンプルでそんなに工夫もないので,この作品の見どころは,狼男へと変身する映像の見事さと,スプラッター系の残虐なシーンの数々だ。人間の心を残したまま狼男になってしまった主人公の苦悩を全身で表現するデル・トロの演技も,なかなか観ごたえがあるかもしれない。
しかし,デル・トロもホプキンスも,どちらもずんぐりしているので(デル・トロって太った?今回はやけに丸顔だなぁ~と。)狼男というよりは「熊男」に見えたりした・・・・。特に変身したホプキンスは。
古典的な直球ホラーが好きな方にはオススメ。ただし,わりと単調な話なので最後の方は飽きてくるかも。(実際私はラストに近づくにつれ,眠くなった)。それと,けっこう内臓が引き裂かれたり飛び散ったりするので,スプラッター系が苦手な方にはオススメしない。
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「ウルフマン 」★★★☆
ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ホプキンス、エミリー・ブラント主演
ジョー・ジョンストン監督、102分 、
2010年4月24日公開、2009,アメリカ,ファントム・フィルム
(原題:The Wolfman )
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こんばんは!
これ、とっても楽しみにしていた映画だったんですが・・・
変身シーンやスプラッタシーンはいい線いってるのに
おっしゃる通り、ストーリーや人物設定が薄くて残念!
変身したアンソニー・ホプキンスには
ちょっと笑っちゃいました。
なんかコロコロしてましたよね(笑)
エミリー・プラントってこういうクラシカルな衣装が
とっても似合う女優さんですね。
投稿: kenko | 2010年5月 6日 (木) 19時51分
こんばんは~~♪
本当に濃い濃い親子でしたね~(笑)
私、この前のレオから精神病院恐怖症に陥っていて・・・ブルブル。今回もそれが一番印象に残ってしまって~狼に変身より、あの治療?が怖かった!!!><;
ストーリーはまんまでしたね。
でも、この時代の雰囲気にはゾクゾク・ワクワクしました~。
投稿: マリー | 2010年5月 6日 (木) 21時19分
kenkoさん こんばんは!
わたしもこれ,予告で観てすっごい楽しみにしてたんですよ~
雰囲気は十分楽しめたのですが
なんだか肝心のキャラが説明不足で
イマイチその点では消化不良でした。
こういった不気味な19世紀の英国ホラーとしては
「フロム・ヘル」(あれはホラーではないかも)とか
「インタビュー・ウィズ・バンパイア」とかに比べると
主役に感情移入できなかったな~。
ホプキンスの狼男はちょっと太り過ぎでしたねぇ。
過去に観た狼男で一番似合ってたのは
ジャック・ニコルソンかなぁ,やっぱり。
投稿: なな | 2010年5月 7日 (金) 00時06分
こんにちは~♪
バタバタと忙しかったり、遊びまくっていたりで(汗)お邪魔するのが遅れました~ゴメンネ!
ああ~!!いっぱい記事がアップされてる~~~
ゆっくりお邪魔しちゃお♪
で、、、この映画ですが、、、
>陰鬱で不気味な雰囲気はたっぷりと堪能できたが,ストーリーや人物設定が薄くて中途半端だったような。
全く同感でございます。
ちょっと勿体なかったよね~
脚本を上手くすれば、古典的ホラーの名作になりえたんじゃないかな?役者も良かったんだし。
特に父親の行動が意味不明で消化不良だったわ~
投稿: 由香 | 2010年5月 7日 (金) 12時25分
ぎゃははは!熊男!!!って、ぴったり。
精悍って言う感じじゃなかったですもんね。
ま、狼男ですから、深みのあるストーリー・・・って言うのを求めるのも濃くかもしれませんね。
それにしたって、もうちっと丁寧に描いてくれてもよかったかもです。
エミリー・ブラント!雰囲気ありましたね。あごの割れ目も気になりました!
投稿: sakurai | 2010年5月 7日 (金) 12時58分
マリーさん こんにちは!
イケメンは皆無でしたが
デルトロとホプキンスの濃さで
満腹感はげっぷが出るくらい感じましたわ
>この前のレオから精神病院恐怖症に陥っていて・・・
おお,それ,わかるわ~
で,この作品もデルトロさん
氷水に漬けられたり,さんざんでしたね~
それにそんな時の彼がまた,白眼になっちゃって怖いこと!
いやべつに,デルトロさんって
狼男に変身しなくても十分怖い御面相だと思いました。
投稿: なな | 2010年5月 9日 (日) 16時29分
由香さん こんばんは!
ここのところ,劇場鑑賞が続きました~
記事更新のペースはのんびりですが。
由香さんもGWが終わって,
また落ち着いた生活に戻りましたか?
で,この作品,「惜しい!」と思ったのよね。
全体的にみて,好きな雰囲気なんだけど。
スッキリ説明してくれないままの伏線や小道具けっこうあったし
何よりも,あのパパのキャラがヘンよね~
デルトロさんとヒロインの恋愛も
なんだかリアルじゃなかったわ
あんな状況であんな相手と(ごめんデルトロさん)
恋に落ちるか~?普通!とか考えちゃった。
>脚本を上手くすれば、古典的ホラーの名作になりえたんじゃないかな?
そうそう,きっと脚本ミスよね!
俳優さんはみんなよかったと思うから。
投稿: なな | 2010年5月 9日 (日) 21時40分
sakuraiさん,こんばんは
熊男にウケテてくださってありがとう~
>精悍って言う感じじゃなかったですもんね。
怖いのは怖いけど,体型がコロコロしてるんだもん。
それに丸顔の狼男って・・・・(汗)
父子の死闘のシーンは,なぜかコミカルにも見えました。
エミリー・ブラントは大女優になりつつありますね。
そ,あごの割れ目・・・この作品で初めて気がついたわ。
投稿: なな | 2010年5月 9日 (日) 21時43分
ななさん、こんばんは!
そうですねー、古典的な雰囲気はよかったんですけれど。
お話まで古典的で書き込み不足なところはありましたよね。
もうちょっとキャラクターの葛藤とか掘り下げれれば、ドラマとしてもおもしろくなりそうな感じもあったので、ちょっと残念でした。
投稿: はらやん | 2010年5月12日 (水) 22時51分
はらやんさん こんばんは!
>もうちょっとキャラクターの葛藤とか掘り下げれれば・・・・
そうですよね~
舞台設定といい,役者といい
いい線いってる作品なのに
登場人物の感情の描写が
どの人のもみんな中途半端で・・・
ホラーものもやっぱり,ヒューマンドラマの要素は
とっても大事ですよね。
ただ怖いだけのお話になってしまって残念でした。
投稿: なな | 2010年5月17日 (月) 00時35分
ななさん、こんばんは。こちらはだいぶ過ごしやすい気候になってきましたけど、そちらの方はいかがでしょうか
ホプキンスさんとデルトロさん、体型は似ているけれど、顔はあんまり似てないな(笑) ま、そんなことを言っていたらキリがないけれど
ホプキンスさんは何かのインタビューで「本当は人肉を食う役なんてやりたくないんだ」とおっしゃってたそうですが、やはりどうしてもそういう役が回ってきてしまうようで。お気の毒であります
『世界最速のインディアン』の彼は別人のようにさわやか100なんですが
投稿: SGA屋伍一 | 2010年5月17日 (月) 20時43分
SGAさん こんばんは
善い気候になりましたね~
といっても,私はイネ科の草アレルギーで
目がかゆくなる季節ですわ。
学校の裏が山になってて
そこへ草刈りや探検につれていくので
どうしてもそんな晩は目が腫れあがって
お岩さんみたいに・・・ううう。
>ホプキンスさんは何かのインタビューで「本当は人肉を食う役なんてやりたくないんだ」とおっしゃってたそうですが・・・
おお,そんなことをおっしゃっていたのですが。
でも,そういえばレクター博士といい
そんな役ばかりですね。
ま,運命とあきらめてもらいましょう。
だって似合うんだもん・・・
たまーに爽やかヒューマン系に出たりしてますが
やっぱりちょっと物足らないですね。
投稿: なな | 2010年5月17日 (月) 22時22分
ななさん こんにちは~
これ、、本当に良い役者がそろっていて、それぞれが良い演技しているのですが、脚本がなんとも中途半端でしたよね~
特に アンソニー・ホプキンス父ちゃん!何がしたいのかまったく分からない(><)
それにおっしゃるとおり、普通狼男というと、、口部分が前に出てきてもう少しソリッドな感じなものなんですが、、それがなく、、狼男?という感じですよ、、熊男と言われて妙に納得してしまいました~
投稿: コブタです | 2010年5月23日 (日) 09時31分
コブタさん こんばんは!
>アンソニー・ホプキンス父ちゃん!何がしたいのかまったく分からない(><)
そうですよ!
とっても興味深いキャラで,名優を使ってるのに
背後の事情や,どういうつもりなのか感情面が
まったく描けていない脚本!
欲求不満がたまりました。
>普通狼男というと、、口部分が前に出てきてもう少しソリッドな感じなものなんですが・・・
そうそう,「狼」って「面長」ですよね。
この作品の「狼男」は完全な丸顔系でした。
とくにホプキンス狼は熊っぽかった・・・。
投稿: なな | 2010年5月23日 (日) 20時51分