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2010年3月 5日 (金)

好奇心は猫を殺す

Cap023
猫が死ぬお話
かと思って二の足を踏んでいたら,まったくの杞憂で,これは外国のことわざで「好奇心もほどほどに・・・」という意味だそう。胡軍(フー・ジュン)さん目当てに鑑賞。

物語の舞台は,重慶の高級マンション。高層階の豪華な部屋に住む金持ちの夫婦。妻は夫の会社の社長令嬢で,いわゆる逆玉に乗った夫には,マンションの向かいでネイルサロンを営む愛人がいる。
Cap003
そして,彼らの関係を盗撮する,好奇心旺盛な写真店の少女と,少女と親しくなるガードマンの青年。そんな登場人物たちの,ドロドロした人間模様が絡み合った,エロティック・サスベンスは,胡軍さんが出てなくても,わりと好きなジャンルの作品。

家庭を守るため,愛人と手を切りたい夫。
妻の身に次々と起こる奇怪な嫌がらせ。
誘拐される幼い息子。
思いつめたような目でマンションを見上げるガードマン。
Cap018

同じ事件が異なった人物の視点で描かれ,次第に物語の全貌がわかってくるという凝った展開。特に妻の目線で語られる章からが,俄然面白い。

Cap010
で,この作品の胡軍さんは,見た目は「ちょっと老けた捍東」。(生え際がすこしヤバくなった?)

しかし,表情は捍東よりずっと暗く,より身勝手で狡い雰囲気。妻と愛人の間の板挟みで,おそらく妻への愛情というよりは今の地位を失いたくないという理由で愛人を切り捨てようと画策する,「小者」っぷりは,哀れを誘う。いやまったく,逆玉男の悲哀を体現しているようなキャラで,そして最後は奈落の底へ突き落される役回りである。

Cap021
しかしなんといっても,見た目が捍東なもんだから,どうしたって彼の背後に藍宇の姿を連想してしまうわたくし。この作品中の,悩みまくる彼が「女と結婚したばっかりに失敗した捍東」に見えてしかたなかった・・・・。

いや~~,相手が藍宇なら,そんなびどい目にアナタを合わせたりしないのに」なんて。「過激すぎ」と評判だった濡れ場は,やはりセクシー(彼の筋肉が好き)なのだが,そんなに過激だとも思わなかったなぁ・・・・期待のしすぎ?(赤面)
Cap009
見終わった後味はちょっと苦い。
危険な情事のようなお話かと予想していたが,あれとはまた違った虚しさを感じる不毛な物語だ。不倫や好奇心の是非よりも,中国の格差社会がもたらす害の方が,もっと問題なのでは,と思える。

「誰もが平等」と確信できない社会では,上にいる者も,下の者も,共に心を病むことがあるのかもしれない。

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映画 か行」カテゴリの記事

コメント

猫ちゃん殺されないのね。
よかった・・・(笑)

上の写真 カリーナ・ラウさんが怖いよぉ。
これって、チャン・イーバイ監督なんですね。観てみたいな。

マリーさん,こちらにもありがとう~

私,この監督さんの作品初めてで。
胡軍さんだけを目当てに観たのですけどね。
サスペンスがお好きなら,それなりに最後まで楽しめますよ~
猫を殺す・・・って,猫好きには二の足を踏ませる題よねぇ。
「好奇心は猫を殺す」って,
イギリスかどこかの諺らしいけど,初めて聞いたわ。なんで猫なんだろうね???
確かに猫はある意味,好奇心は強いかもしれないけど。
この物語,殺されるのは猫ではなくて
人間ですからご安心を(猫出てこないし)
カリーナ・ラウは,画像のとおり,なかなか怖い役です~

こんばんは~。
またお邪魔しま~す。

チャン・イーバイ監督・脚本で『夜の上海』って日中合作映画があって~
本木雅弘、もっくんとヴィッキー・チャオ共演。
これが面白いんです~。
それで、この監督作観たいなぁって思っちゃった。

「好奇心は猫を殺す」って、怖い諺だね~。なんか深い・・・

マリーさん またまたありがとう~

>チャン・イーバイ監督・脚本で『夜の上海』って日中合作映画があって~

それ,聞いたことあるわ~
モックンの演技には「おくりびと」以来
全幅の信頼を置いているのよ~
機会があればまた観てみるね!

「好奇心は猫~」って諺,イギリス産らしいけど
猫好きとしては,やっぱり由来とか気になるよね。
猫が出てくる諺は日本にもたくさんあるけど
私はこれは初めて聞いたわ。

この作品,私は胡軍さんが出てなかったら観てないけど
それでもなかなか面白かったわ~
ちょっと凝った火サスのような感じもしたけど
カリーナ・ラウがいいですよ~

エロサスってジャンルはじつはあんまりすきではないのですが、胡軍さんにほだされてけっこう面白く観ました。
『木更津キャッツアイ』の「表と裏」みたいな構成でしたね。ちょっと『ユージュアル・サスペクツ』も思い出しました。

もともとミュージックヴィデオを撮っていた監督さんだけあって、とにかく色彩と構図の設計がうまくて、画面そのものがどこを切り取っても非常に美しかったと思います。
新世界と旧世界の鬩ぎ合う重慶の風景も、現代中国そのものの象徴のようにみえたり、異空間のように幻想的だったり。

胡軍さんは、趙雲とか項羽とか喬峯みたいな豪放磊落なキャラも素敵なら、その真逆に振れる捍東とかこの鄭重みたいな俗物感を醸し出すのもうまいですよね。
『藍宇』では別れ話してて泣くのは藍宇のほうでしたが、この映画の鄭重のあの子供みたいな(ちょっとみっともない)グダ泣きには殺られました……。
泣かれた暁霞のほうがびっくりして、
「なんであんたが泣くのよ。あたしなんか悪いことした!?」
みたいに半分逆ギレなのが非常に身につまされる感じだったです(笑)。

ななさんこんばんわ^^

今まであまり見たことのないジャンルの作品でしたが、
胡軍さんの「小男っぷり」と「エロサス」の響きに大いに期待して鑑賞しました。
わたしもえr・・じゃない、いろいろと期待しすぎだったみたいです(照)
でもその分を差し引いても十分、面白く見られました!
胡軍さんと暁霞の絡みにジェラジェラ~する必要がなくなり、
事件の全貌が明らかになってくる後半にかけては特に(笑)

タイトルを見ててっきり、不倫に顔を突っ込んだモモが胡軍さんにどうにかされてしまうんだと思ってましたが、違いましたね@@
エロサスというより、現代中国の抱える深刻な格差問題を描いた社会派映画だなぁと思いました。
舞台が北京とか上海ではなく、内陸の後発都市重慶だからこそ起こった悲劇なんでしょうね。

レッドさん こんばんは

わたしはエロの方はどうでもいいクチですが
サスは大好きで,この二つがあわさったエロサスも
なかなか好きなジャンルです。
サスペンスを生むには,やはり男女の泥沼人間模様が不可欠で
エロはそれにほどよい彩りを添えてくれますゆえ・・・

>新世界と旧世界の鬩ぎ合う重慶の風景・・・
重慶という街がどのようなものか不勉強ゆえに知りませんが
高層マンション群のような都市部と
愛人の住まいのあった昔ながらの貧しげな路地裏街。
その正反対の世界の描写が際立っていましたね。

>胡軍さんは、趙雲とか項羽とか喬峯みたいな
>豪放磊落なキャラも素敵なら、
>その真逆に振れる捍東とかこの鄭重みたいな
>俗物感を醸し出すのもうまいですよね。

いや~,ほんとそうですね。
私は兄貴の作品は藍宇とこれの他は
レッドクリフくらいしか観てないのですが
個人的には豪放磊落なキャラより
俗物を演じてる彼の方が
芸が細かくて好きですね。
いや・・・母性本能をくすぐられるというか。
あの泣き方なんかもねぇ~~,抱きしめてあげたくなりますね。

Falさん こんばんは

胡軍さんだけが見どころかな?と思っていたら
案外お話そのものもなかなかでした。
胡軍さんよか,あの警備員とカリーナの
「やりそうでやらない」絡みの方が
なんか、なにげにエロかったように思います・・・
胡軍さんのだめんずぶりと
あの警備員青年の踏みつけられっぷり・・・・
これは男性をイジメル物語でしたねぇ。(かわいそ)

>タイトルを見ててっきり、不倫に顔を突っ込んだモモが
>胡軍さんにどうにかされてしまうんだと思ってましたが・・・・
そうですよね~,好奇心もほどほどにって
別にこの話,好奇心はそんなにキーワードになってないよね。
あのモモという少女も,単なる目撃者なだけで
そんなにお話に絡んでこないのね・・・。意外でした。

>現代中国の抱える深刻な格差問題を描いた社会派映画・・・
思ったよりずっとまじめな後味でしたね。
中国の価値観って,あんなに「金持ちは偉い」っていうのが強いのね~
そちらの方がぞっとしました。イヤなもの見せられたなって感じ。
こういう役の胡軍さんも好きだし
カリーナはやっぱり上手いなぁ。(トニーの奥さんでしたっけ?)

ななさん、こんばんは。
この作品、なんとなーく残尿感が残る・・・
いえスッキリ感が足りないんですよね。
サスペンスとしてもいまひとつツッコミ切れず、
そこはかと漂うスタイリッシュさも浮わついていて。
全体的に「もう一歩です」という感想でした。
重慶は是非行ってみたい都市なのですが、
この作品を観て重慶に行ってみたい!とは思いませんね。
邦題も直訳で面白さを狙ったのかもしれませんが
ちょっと空振り・・・?

sabunoriさん こんばんは

残尿感・・・たしかにそうかもしれません。
私は胡軍さんが出てなかったらきっとこれは
観てなかっただろうなぁ。

物足りないというよりは
言いたいことが伝えきれてないだろ?という
もどかしさ・・・確かに残尿感といえるかも。

>邦題も直訳で面白さを狙ったのかもしれませんが
>ちょっと空振り・・・?
そうですね,この物語の主題は
「好奇心」とはそんなに関係ないような気がしますし。

こんばんは。この映画、見たい見たいと思っていたのですが近くに最近できた○タヤで発見したのでやっと見ることができました!胡軍目当てでしたので内容はさほど期待しなかったのですが・・意外な拾い物でびっくり!よくできたサスペンスだと思います。映像がとにかく美しく、音楽もいいし、キャスティングもぴったり!いやあ、感心しましたです。悪いけど、リウイエの「藍宇」以降の作品群よりよほどいいかも?と思っちゃいました。2、3度見て伏線を確認するのも面白く、胡軍のちょっと香港黒社会物に出てきそうな表情にも魅せられました(あの衝撃場面です・・)。ジョニー・トーの映画に出てほしくなりました!ななさんのおっしゃるように、今の中国社会の格差問題を重く投げかけてくる映画でしたね。あの奥さん、もともと心が病んでいたということなのでしょうか。浮気は、それもあるのかな。

藍宇迷さん こんにちは

コメントありがとうございます。
レスが遅くなりました。
胡軍さん目当てに鑑賞されましたか。それは私も同じですね。なかなか深い社会問題も描かれたサスペンスでしたね。
香港黒社会の似合う胡軍…確かに兄貴はそんな役も似合います。ジョニー・トーの作品も似合うでしょうね。渋くて華麗なガンアクションとか決まりそうです。
カリーナの演じた奥さんは病んでもいたし,富裕層特有の傲慢さ等ゆえに人格にも問題があったのかもしれませんね。

こんにちは♪
私も最初、猫が関係する物語かと思いました。
でも、ことわざの意味ともあまり関係のない話でしたね。
『藍宇』の後でご覧になったとのこと。
やはり印象の強い前の作品が思い浮かびますよね~
私は、フー・ジュンさんといえば時代劇の印象が強かったので、
以前初めて現代風ヘアースタイルを見たとき別人かと
びっくりしたのを覚えています。
で、この作品、おっしゃるように格差社会の問題を
浮き彫りにしていると思いました。
有閑マダムのぞっとするような雰囲気と、
ガードマンの鬼気迫る行動が、衝撃的でした。

孔雀の森さん こんばんは!

そうそう,猫全然関係ないじゃん!って
拍子抜けしたり安心したり・・・
現代劇のフージュンさんは
時代劇の彼とは結構趣が違いますよね。
私は現代劇の繊細な演技をする彼も大好きです。

>有閑マダムのぞっとするような雰囲気と、
>ガードマンの鬼気迫る行動が、衝撃的でした。
なんですか,このお二人光っていましたよね。
それぞれ心の深部に病んだものを抱える同士が
息詰まるような駆け引きをするあたり
手に汗を握りました。

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