処刑人
貧困も飢えも許す。
怠惰も堕落も許す。
しかし不正だけは許さない。
1999年公開作品。アメリカ本国では,限定上映の憂き目にあったが,日本ではなかなか話題になったらしい。新人監督がマイナー俳優を主役に撮った,必殺仕事人「兄弟」版。
ボストンの裏路地に住む、双子の兄弟(二卵性?)コナー(ショーン・パトリック・フラナリー)とマーフィー(ノーマン・リーダス)。正当防衛でロシアン・マフィアを殺したことかきっかけで,「悪人を退治せよ」という,神からの啓示を受けた(と思った)二人は,次々と街の悪人を殺害して行く。
もちろん,神が悪人への裁きをこういう形で人間に委託するわけがなく,真面目に考えれば,クリスチャンの私は怒らなければいけない作品なのだが,真面目に考えることを放棄して観たので,大変楽しめた。なんたって,映画だから,こういうのもアリなのだ,と。宗教がらみの深いテーマは実はなく,単なるヒーローもの,と軽く受け止めて楽しむに限ると思う。
それに,なんと言っても,この兄弟が,カッコよすぎなのである!いやー,映画史上,個人的には最も「イケてる兄弟」なのではないだろうか~。
同じ服装,同じ刺青,同じクロスに同じ動作。
黒いピーコートにブルージーンズという,ホントにスタイルのよい男性にしか着こなせないシンプル・コーディネート。二人が揃って歩くシーンは,まるで絵のように美しい。特に弟役のノーマン・リーダスは,元プラダの専属モデルだっただけあって,さりげない歩き方そのものも見とれるくらい綺麗だ。
いい年して女っ気もなく二人で暮らし,何でもお揃いで,まるで一心同体のように仲がいいのも,二人がただの兄弟ではなく,双子だからなのだろう。
お兄ちゃんのコナーを演じたショーン。正統派の二枚目。優しげなまなざしが魅力的。弟を助けるために,繋がれた便器を引っこ抜き,屋上からダイブするシーンには痺れた~!(あのスローモーションのシーン,何度観ても好き~)
弟のマーフィー役のノーマン。表情がなんとも可愛くてセクシー。ちょっと甘えたような響きの声もキュート。静止画像より,断然動画の方がその魅力がよく伝わるかと。上目遣いの目なんか特に悩殺もの。←これ
この兄弟,普段は結構,まるで少年のような,やんちゃで可愛らしい面があるので,(なんか,大学生のノリのようなのだ。)それと,処刑時のときのクールさとのギャップがまたいい。処刑前の,秘伝のお祈りを唱えるシーンなんかも超クールだ。
敬虔なカトリック信者というのは確かにそうなのだが,結構二人とも喧嘩っ早いところとか,すぐにキレるところなどは,後で父親が誰か?ということがわかってからは,「やっぱり血だね~」と腑に落ちる。
二人は殺しにかけては勿論素人なのだが,乗り込んだ敵の陣中でのアクションは,運がいいとしか言い様のない闘いっぶりで,(特にあの,吊しロープからの射撃とか)でもそれはそれで,どれもがワクワクするくらい斬新なアクションになっていた。コミカルだし,まぐれ当たり的なところまで,カッコいい。神のご加護があるから,どんな襲撃も上手くいく,という妙な説得力もあるし。
あと,忘れてはいけないのが,FBI捜査官のポール・スメッカーを演じたウィレム・デフォー!もう最高のキレっぷりで,ある意味この作品の陰の主役といってもいいかもしれない。オペラを聴きながらの芝居気たっぷりの彼の名推理の見事さや,兄弟を助けるためにギャングのアジトに乗り込む時の女装とか,とにかく凄い。無名の若手俳優の中で彼の老練な演技が作品全体の格を上げている。(といっても,演技そのものは物凄い怪演なのだけど)
この作品,なんと2009年に続編が製作されたそうで,その「処刑人Ⅱ」がこの5月に日本でも公開されるそうな。主役のお二人,10年たった現在は,どんな感じなのかしら?
下の画像がその続編のポスター。
・・・・よかった。あんまり雰囲気変わってない。
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自分もこの映画、当時ちょっとはまりまして。
ノーマン・リーダス、かなり好みのステキ爬虫類顔なんですけど、一昨年くらいに画像検索してたら、さすがにおっさんになっちゃったなあとちょっと愕然としまして。
(1969年生まれ、胡軍さんより1コ下だったんですね。知らなかったです)
このポスターだとあんまり変わってないですね。
ちょっと安心しました(笑)。
この映画はでも、やはりなによりウィレム・デフォーがものすごかったですね。
『プラトーン』(古い映画ですみません)で出逢って、このひとのためだけの劇場通いまくるほど激惚れした男・ウィレム・デフォーなんですけれども、そんな男が40過ぎてまさかの女装(網タイツがセクシー・笑)とは。
人生奥が深いな、と思ったものでした。
(リウイエさんは、若くて綺麗なうちに女装なさってくださって、ある意味幸いでしたね)
投稿: レッド | 2010年3月11日 (木) 22時45分
おお!レッドさんもこれお好きでしたか~
それは大変嬉しいです。
ノーマンはほんと,爬虫類系の美青年でしたね。
わたしも最近のお顔をググってみたら
やっぱりおっさんにはなってました。
兄ちゃんのショーンもそれなりにおっさんに・・・
でも確かにこのポスター観る限りでは
素敵ですよね,お二人とも♪
「Ⅱ」では,中年の渋さが全開の
必殺仕事人兄弟ぶりを見せてくれるのでしょうか?
ちなみに,本国ではけっこうⅡは好評だったとか。
日本公開が待たれますが
きっとうちの県には来ないのでDVD待ちかなぁ。
元祖「処刑人」のDVDも,廃盤だったのが
「Ⅱ」の公開に合わせたのか,4月末に再販されるそうですよ。
ウィレム・デフォーの怪演は文句なしに素晴らしかったですね。
彼以外にこの役はできんでしょう~
女装は見ようによっては「ジュリア・ロバーツ」に
見えませんでしたか?(←嘘)
私も彼の若いころの作品結構好きで
「プラトーン」もですが
十字架を降りてマグダラのマリアと結婚するキリストを演じた
スコセッシの「最後の誘惑」での彼が一番好きかな?
>リウイエの女装・・・
え~,そんなんあるんですか~,初耳です!
女装した作品ってあったっけ?観たいですね~彼の女装姿。
投稿: なな | 2010年3月11日 (木) 23時44分
これ、当時試写会で観ました。
ノーマン・リーダスがほんっとにカッコイイんですよね~
彼はこの「処刑人」とこの後に公開された「バロウズの妻」が最盛期ですね。この頃、彼はダーバンのモデルをしていたのですが、だんだん体格がよくなるというか・・・少々太っちゃったんですよね・・・。
「処刑人」は続編が作られる作られるとずーっと言われてて、ファンがあきらめかけた頃、ようやく製作されたんですね~。これは是非とも観に行かなければ。
投稿: mayumi | 2010年3月12日 (金) 00時31分
mayumiさん,こんばんは!
ノーマン,見ようによっちゃ
ショーン・ビーンにも見えるし
横顔はディカプリオにも見えるんですが
何と言っても際立っていたのは
そのスタイルと身ごなしでもあったので
中年になって体格がよくなったのは残念!ですね。
「Ⅱ」でもそうなのかな?
それとも撮影に備えて身体を絞ったかな?
このお話は,主役が変わらない限り
絶対に続編も成功可能と思っていたので
実現してくれて嬉しいですね。
10年というブランクも,
「渋く成長した」という新たな魅力につながるといいですね~
私も「Ⅱ」は絶対観たいです~
劇場に来なくても,DVDでも絶対観ます~
投稿: なな | 2010年3月12日 (金) 01時38分
すみません、リウイエさんが女装してるのは映画じゃなくて、5年前に出した写真集です。残念ながらこれ既に廃版で入手出来ないんですが、ちらっと拝見した限りではどえらい美人でしたよ。
そのうち映画でもぜひお願いしたいものでございますね(笑)。
40過ぎたウィレム・デフォーの女装も、美人といっていえないことも無いんですが……かなりパンチ利いてましたものね(笑)。口のでかさなんか、確かにジュリア・ロバーツ似てるかもしれません。ちょっとベティ・デイヴィスにも似てるかな、と思いました。
投稿: レッド | 2010年3月12日 (金) 14時12分
レッドさん,またまたありがとうございます。
そうですか~,リウイエの女装は写真集ですか~
5年前ったら,わたくし,彼の存在も知らなかった頃ですわ。
>ちらっと拝見した限りではどえらい美人でしたよ。
そうでしょう,そうでしょう・・・ムフフ。
ちょっと大柄すぎる気もしますが
さぞかし細面の,横顔美人に化けたことと思います。
彼に限らず,映画の中で女装した俳優さんって多いですよね。
いままで観たのは,ジョニー・デップ,
マッド・デイモン,キリアン・マーフィー,レイフ・ファインズあたりですが
一番綺麗だったのは(仕草も含めて)キリアンでした。
デフォーの女装は,お顔もなかなかイケてましたが
あの悩殺ポーズが,それらしく見えたのには
度肝を抜かれましたよ~(あのパンチラ!)
投稿: なな | 2010年3月12日 (金) 23時51分
ななさん、お久しぶりです。
今年も宜しくお願いいたします^^
こちらでななさんの解説でこの映画のことは知ってたのですが、
邦題が邦題なので、ちょっと怖そうで敬遠してるうちにすっかり忘れてましたが、
この映画が昨年12月に、1日だけの限定公開ってことで、主演の二人が来日!っていうニュースを見て、え~~~!
今頃になってまたリバイバル公開されるなんて、
それも二人が揃って来日だなんてとビックリで、これは観なきゃと♪
そしたらもうすっかりノーマンのとりこですよ(笑)
「処刑人」って、今ではカルトムービーなんですね~~
もうクールすぎてDVD買ってしまいました(笑)
Ⅱは、やっぱり少し老けちゃいましたが、カッコよさは変わらず、素敵でした。
ゾンビとか苦手なのに、勢いで、ドラマ「ウォーキングデッド」まで見るはめに(笑)
なんたって主役より断然かっこいいですもん♪
すみません、暫くぶりでお邪魔したのに長々と

ジェイ・チョウは相変わらず追っかけてまして、
昨年は上海と台北のコンサに行き、「言えない秘密」に続くジェイの監督作「天台」は、
これまた台北まで観にいっちゃいました^^;
日本でDVDになったら見て頂きたいです。
ちょっと笑えるミュージカルです
投稿: ちー | 2014年1月 4日 (土) 01時27分
ちーさん あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
「処刑人」ご覧になったのですか~
ノーマンかっこいいでしょ!可愛いでしょ。
わたしは「ウォーキングデッド」は未見ですけど
最近のノーマンの出てる映画は
「声をかくす人」というリンカーン暗殺をめぐる冤罪ものを観ました。
ノーマンが出てるとは知らないで主演のJ・マカヴォイ目当てで観たのですが
たまたまノーマンも出ていて(暗殺者一味でしたが)お得な気持ちになりました。
「処刑人」の頃のキュートなカッコよさはさすがにないけど
渋くなりましたね。DVDになってるのでまた機会があればどうぞ。
ジェイ・チョウを追っかけて上海や台北まで・・・羨ましい!
彼の作品も日本でどんどん観られるようになるといいですね!
投稿: なな | 2014年1月 7日 (火) 21時02分
ななさん。
たったいま「声をかくす人」を見たところです^^
レッドフォード監督作品だったんですね!
最後までグ~っと引き込まれてみてました。面白かったです(o^-^o)
暗殺者の一味のノーマン、
セリフは少ないながらも渋くてクールでした♥
最初だけかなぁって思ってたら、最後まで出てたし^^;
今は「ウォーキングデッド」シリーズ4がスタートして、
人気も出てきて忙しいでしょうけど、もっと映画でノーマン見たいですね~
投稿: ちー | 2014年1月 8日 (水) 22時28分
ちーさん
不覚にもインフルエンザで寝込んでしまい返信が遅くなりました・・・
「声をかくす人」そうそうレッドフォード監督で骨太でいい仕上がりでしたね。
歴史サスペンスなんだけど社会派作品のような色合いで。
ノーマンは台詞は少ないけどやっぱり目力がありますよね。
「ウォーキングデッド」のようなシリーズものは長すぎてたぶん見ないと思うけど
私の方はインフルの快復期にこの「処刑人」を久々に観ました。
黒いピーコートとジーンズのノーマン,やっぱりカッコよかった~~
投稿: なな | 2014年1月13日 (月) 22時44分