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2010年3月28日 (日)

ハート・ロッカー

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本年度のアカデミー賞で,アバターを押さえてみごと作品賞,監督賞を含む6部門を勝ち取った作品。イラクに駐留するアメリカ軍の中で兵士の死亡率が最も大という,爆発物処理班の物語だ。

いやはや,最初から最後まで,爆弾処理,処理,処理,処理・・・・の場面がひたすら続く,骨太かつ,地味極まる物語である。

主演俳優たちは誰もみな,知名度の低い俳優さんばかり。レイフ・ファインズやガイ・ピアーズ,デヴィット・モースなどの名優たちが,カメオ出演であえてチョイ役で出ているが,主人公たちはあくまで無名(主役のジェレミー・レナーは,この作品で主演男優賞にノミネートされて知名度が上がったが),目を見張るようなイケメンも,ヒロインをつとめる美女も出てこない。
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人によっては,ドキュメンタリーのように淡々と進む爆弾処理のお話に,退屈さを感じるかもしれない。二日酔と発熱,というけっこう最悪のコンディションだった私も,「これは途中,もしかしたら寝るかも・・・」という懸念を持って鑑賞したが,これがなかなか,面白い・・・というか,終始ひりつくような緊張感が満載だったためか,眠気は皆無。

爆弾処理の場面も,仕掛けられた場所の違い(地面,車,そして人間!)やその数,周囲の状況,爆発によって犠牲者が出るかどうか・・・といったシチュエーションが毎回違うので,飽きることがない。
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それに何より,この作品で初めて知った,爆弾処理という任務の,想像をはるかに超える危険性や緊迫度から目が離せなかった。まるで宇宙服さながらの防護スーツ。わずかな判断ミスも許されない処理。その最中も,誰がいつなんどき爆破のスイッチを押すかもしれないので,援護する兵士たちは銃を構えて周囲のイラク人の野次馬たちに抜かりなく目を配り続ける。

恐怖を静かにあおるようなBGMや,ハンディカメラによるリアルな映像。腹の底に響く爆発音の凄まじさと,人が一瞬にして消え去る衝撃。そんな爆発がいつ起こるかわからない恐怖と緊張感を,「まるでそこにいるかのように」体感し続ける2時間は,下手なホラーよりよっぽど怖い。
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「ハート・ロッカー」とは,兵士用語で「行きたくない場所」「棺桶」を指すそうだが,まさに爆弾処理の任務は,棺桶に片足をつっこんだような、死と隣り合わせの任務。しかし,主人公のウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)は,そんな任務を,何の恐怖も感じないかのように,苦もなく遂行する。彼の時として無謀で協調性のない行動は,サポート役のサンボーン軍曹たちとの間に,不協和音を起こすこともあるが・・・・。

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彼はどうしてこんなにタフなのか?
もともとそういう人間なのか?

任務が明けて帰国しているときには別人のように生彩を失っている彼が,再び新たな任務へと向かう時,生き返ったかのように精悍さと自信に満ちた表情を見せるラスト。一歩間違えれば死ぬという,強烈なスリルと高揚感は,彼をすっかり戦争ジャンキーにしてしまっていたのだろう。戦争は麻薬であるという冒頭のテロップが脳裏によみがえり,テーマはこれだったのか!とラストに唸った。

これは反戦映画なのか?
それとも兵士をねぎらう映画なのか?

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そのどちらでもなく,ただ戦争の「ある一面」を乾いたタッチでリアルに描き切った作品なのかもしれない。どんなメッセージを受け取るかは,観客に委ねられているのかも。私はやはりこの作品から,やや変化球の「反戦」のメッセージを受け取った。

戦争が麻薬であるという以上,やはりそれはあってはならないものであり,それにハマってしまったジェームズ軍曹も戦争の被害者なのかもしれないから。

「アバター」とオスカーを争った本作。好みは分かれそうだが,私はこちらに一票を投じる。アバターももちろん素晴らしい作品だけど,やはりアカデミー賞としては,生身の俳優さんの演技や,監督の演出が冴えわたる,ずしりと重い見ごたえの本作の方がふさわしいと思うのだ。
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※余談だが,私はこの監督さんの「K-19」のファンだった。実際に起こったソ連の原子力潜水艦K-19の事故を描いたこの作品も,同じく骨太な作品だが,なんせ主役がハリソン・フォードだから,最後は奇跡的に助かりそうな錯覚が起ってしまったし,もう一人の主役のリーアム・ニーソンも,すごくカッコよすぎる台詞や行動があったりして,そこが少し違和感だった。それに比べると「ハート・ロッカー」での,わざと無名の俳優さんを主役級に据えてヒーロー的な要素を排したキャスティングは,素晴らしいと思った。

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コメント

おー!プロフ写真がななさんとななちゃんのツーショットに!
この写真イイ!ちょっとお二人、似てますね?

>ただ戦争の「ある一面」を乾いたタッチでリアルに描き切った作品なのかもしれない

私もそんな印象でした。
しかしそこから、戦争の虚しさや残酷さはじゅうぶん伝わってきましたね。
爆弾のさまざまな仕様や処理の方法も興味深くて、ズルズルっといくつも爆弾が連なってるのや、最悪の人間爆弾など・・・ゾッとしながらも目をギンギンに見開いて見つめておりました。

キャスリン・ビグロー監督の作品、振り返ってみると「ハートブルー」しか観たことなかったんだけどすごく好きな映画です。
「K-19」も観てみたいな

こんばんは~~。
淡々と描くことによって、より恐怖が・・・
怖かったです。

戦争は麻薬・・・最初に出るテロップの意味が最初イマイチ判らなくて。最後に納得させるという手法でしたね。

あんなに凄い重装備で歩く傍らで、一般人が普通に過ごしているのが“これが日常なんだ”と思わせて
余計恐怖を感じました。

ななさんとななちゃんとこの背景~
すご~~~く優しい雰囲気でマッチしてます。
2人とも(1人と1匹?)可愛い~!

kenkoさん こんばんは!

なかなかツーショットを撮らせてくれないうちの猫ですが
これはビデオのスナップショットです。
>ちょっとお二人、似てますね?
・・・えっ?
でもそう言われれば,一度知り合いのオバさんが
玄関に出てきたうちの猫を見て「あんたに似とる」と言いました。
猫に似てると言われても~~~
ペットも飼い主にだんだん似てくるんでしょうかね?

それはさておいて映画の話。
退屈かな~,と心配しながら行ったのですが
これが案外面白かった。考えさせられる作品ではあるけど
爆弾処理のお仕事の様子なんか
純粋に珍しくってドキドキしました。いろんなパターンがあるのね。
あの,最後の無理やり自爆テロさせられた一般人は
痛ましかったなぁ・・・・

「ハート・ブルー」未見なんですよ~
キアヌだし,この監督さんだし,観てみたいな!
「K-19」もオススメですよ!

マリーさんも御覧になったのね~

>あんなに凄い重装備で歩く傍らで、一般人が普通に過ごしているのが“これが日常なんだ”と思わせて・・・

そうですよね。爆弾処理の様子を遠巻きに眺めている
彼らの無表情(に見える)が怖かったです。
もう感覚も麻痺してるのかな。
あの最後の,自爆テロのシーンも
人が死んでるのにのんきに凧揚げしてる人もいて・・・
こんな日常に慣れてしまう,ということも
とっても悲惨なことですよね。
やっぱりさりげなく「反戦」映画なんでしょうね,これ。

>ななさんとななちゃんとこの背景~
>すご~~~く優しい雰囲気でマッチしてます。
いやいや,このときの猫は
実は怒っていましたね~
「えーかげんにせい!」という顔です,これ。

いつ爆発が起こるか分からない緊張感。
目の前に爆弾があっても、起爆装置がどこにあるか、いつスクリーン上に現れるか分からない緊迫感。

これに2時間縛られまくった映画でした。

この映画は『アバター』と違い、この時代だからこそ評価しなければならない映画。
だからこそオスカー作品になったのだと思います。

にゃむばななさん こんばんは。

ほんとに緊張しすぎて心身ともに「疲れる」作品でしたが
とっても見ごたえがあって素晴らしかったと思います。

>この映画は『アバター』と違い、
>この時代だからこそ評価しなければならない映画。
そうですね。アバターも一応反戦ものですが
こちらのような,「今まさに進行している問題」とは違いますよね。
アバターはやはり,エンタメ性の方が断然勝っていましたし。

こんばんは。

ぼくも「変化球」ながらこれはれっきとした「反戦映画」になっていると思います。
声高に言わずとも、このような麻薬中毒性を持っているということを見せることで、
戦争の非人間性を訴える。
やはり、よくできているなあ。

こんにちは~♪

>二日酔と発熱
うわっ!大変でしたね
手持ちカメラの映像で酔いませんでしたか?
それとも緊迫感で、酔いも熱も吹っ飛んだ?

私はこの映画の感想を書くのを断念しようと思いました。感じたことは確かにあるのに、それが言葉にならなくて、、、
戦争のある一面を描いていましたね。で、、、強烈だったなぁ・・・

ロスト・シンボルをお読みなんですね!
やっぱりダン・ブラウンは面白いよねぇ・・・
だけど・・・ちょっと物足りない?(笑)

こんにちは!
コチラ、、映画みている間ずっと緊張しっぱなしで疲れました!

そして見終わったあと喉がカッラカラになってしまいました!

それだけ、、臨場感と緊迫感が堪らなかったです。
最初命知らずの主人公の行動は何?この人?と思うのですが、、見ているうちにこうなざるえなかったんだというのが分かってくるという描き方が見事でした!
コチラがオスカーとって当然だなと私は思いました!


えいさん こんばんは!

>声高に言わずとも、このような麻薬中毒性を持っているということを見せることで、
>戦争の非人間性を訴える。
そうですよね~,こういう表現で反戦を伝えるという方法はは
上級者の技だと思います。
中毒にでもならなければやっていけない戦争というものについても
暗澹とした気持にさせられましたよ。
凄い作品だし,凄い監督さんだなぁと。

由香さん こんばんは

わたしが劇場に行くときって
だいたいいつも体調悪いんですよね。
仕事の合間に疲れがたまっているのに無理して出かけるから・・・。
でも精神的なストレス解消のためには
多少の身体的な無理には目をつぶってしまいます。
>手持ちカメラの映像で酔いませんでしたか?
ああ,それは得意なんですよ,なぜか,手持ちカメラの映像は。

で,この作品,私も感想書くのに時間がかかりました。
感じるものは多大なのに,なかなか言葉で言い表せない作品ですよね。

ロスト・シンボル,まだ最後まで読んでません。
寝る前にベッドに持ち込んだのだけど
疲れて爆睡してしまいました。
今夜こそは読み終わりたいです。
確かに新鮮さには欠けるのが物足らないのですけどね。

コブタさん こんばんは!

すごい緊張感と,臨場感でしたよね。
本物の戦場の怖さって,こんな感じなんでしょうね。
私は喉も渇きましたが
目を見開いていたので目も渇きましたよ~

>最初命知らずの主人公の行動は何?この人?と思うのですが、
>見ているうちにこうなざるえなかったんだというのが分かってくるという描き方が見事でした!
こういうタイプの主人公の戦争映画というのは
ほんとに意表をつくもので
憑かれたように楽しげに爆弾処理をする主人公からは
強烈な違和感を感じて目が離せませんでした。
ラストのテロップですべてが腑に落ち
「うわぁ~~」と改めて唸ってしまいました。

ななさん、お久しぶりです。

『ハート・ロッカー』、"戦争は人の精神を狂わせる"ということを
これまでの戦争映画とは違う切り口で示したことが画期的でした。

『ハート・ロッカー』に関して
反戦映画かどうかということが
よく議論されているようですが
あまり意味がないような気もします。

メッセージ性の良し悪しではなく
"単純に映画としてよく出来ていた"ことが
アカデミー賞受賞の理由だと思います。

ななさん、こんばんは!

ほんとにひりひりするような緊張感がありましたよね。
あのたくさんつながった爆弾が釣れたときは、ふええってなりましたもん。
ドキュメンタリータッチのカメラワーク、無名の俳優さんということで、ほんとにそこにいるかのようでした。
これを女性監督が撮っているというところがまたすごいです。
「Kー19」も「ハートブルー」も男らしい映画でしたが、それが極まった感じがしますね。

こんにちは。

この映画を観ると、若干アメリカ寄り(アメリカ兵は「味方」、イラクのゲリラは「敵」)に描かれているのは、実際の兵士たちの現状を描く上で、仕方の無いことなのだと頭では理解しているのですが・・。
 どうしても引っかかるのは、
「そこを戦場にしたのは誰なんだ」という事なのです。私は国際政治に詳しい訳でもない俗物ですが、
「華氏911」「キャピタリズム~マネーは踊る~」の監督マイケル・ムーア氏は「そもそもイラクに大量殺戮兵器(核兵器だったかどうか失念いたしましたが)などなかった」と語っています(相当ブーイングを受けたそうですが)。
私自身が行って調べた訳でもないので、何も言えませんが、この作品は、アメリカという国がよその国の領土へ行って、今現在なお続いている戦争があるんだよと、そしてそこの最前線ではこのような緊張感の中で
爆弾を処理している人たちがいるのだと。
はたして「同じ地球に住む人間同士でこのような殺し合いを続けて」、このままでいいのか・・というキャスリン・ビグローの痛烈な反戦メッセージがこの映画にはこもっていると、私は思います。

  


ななさ~ん、こんばんは!アカデミー賞を獲得した本作、わたしもぜひ観たいのですが、スクリーンでは、ちょっとしばらくシリアスものはパスしたいので、TV放送・または配信待ちをしようと思っています。

地味この上ない作品なんですね。でも、だからこそ真実味があって怖いんですね・・・主人公が戦場に行くと生き生きとする、というところがなんともいえないものがあります。人の神経には興奮・満足機能が、人によってそのつくりというか度合が違い、生死の境を経験しない限り満足感を得られない人たちがいる、というのを聞いたことがあります。この主人公もそうなのかもしれないですね。

ところで、ななさんのお写真が今度は猫ちゃんとのツーショット~♪何歳ですか??かわいすぎる~!!

moviepadさん こんばんは!

>「ハート・ロッカー」に関して
>反戦映画かどうかということが
>よく議論されているようですが
>あまり意味がないような気もします。

そうですね,反戦映画かどうかは
観た人それぞれが感じ取ればいいことであって
監督はあくまでも客観的な視点を貫いていると思いました。
反戦であろうとなかろうと
訴えるものの強烈さと,訴え方の的確さ,その手腕など
とても卓越したものを感じました。
この監督さんの作品はこれの他は1作品しか観てないのですが
きっと本作は彼女の最高傑作だと思います。


はらやんさん,こんばんは!

>あのたくさんつながった爆弾が釣れたときは・・・・
わたしもあの場面は息を呑みました。
観客の皆さん,きっと同じだったと思いますが
ジェームズ軍曹はそういうときも「すげぇ・・」とつぶやくのみで
決して取り乱したり,ビビったりしないんですよね。
爆弾の恐ろしさもさることながら
彼の冷静さもまた不気味に感じた場面でした。

これを撮ったのが女性監督,というのはほんとに驚きです。
彼女の他の作品も残らず観てみたくなりました。
「ハートブルー」今度レンタル屋で探してみます。

ひきばっちさん こんばんは!

>どうしても引っかかるのは、
>「そこを戦場にしたのは誰なんだ」という事なのです。
あー,よくわかります,それ。
国家としてのアメリカ(=敗戦を知らない)の立場から見ればイラク戦争は,あのベトナム戦争と同じ過ちを冒しているとしか思えないですし,加害者が被害者づらして反戦を語るな,というような意見は様々なレビューでも目にしますよね。
ただ,この手の作品って,おそらくプラトーンやディア・ハンターなどもそうだと思うのですが,国家と言うよりはあくまでも一兵士の立場から描かれているものが多く,被害者や加害者,戦勝国や敗戦国という立場を超越して,戦争の虚しさや非道さを訴えているんだと思うんですよね。
ビグロー監督はこの作品で,麻薬とさえなりうる(あるいはそうでなければやっていけない)戦争というものの恐ろしさを観客に伝えてくれましたね。そういう意味ではとても心に残る反戦映画だと思います。

JoJoさん こんばんは!

この作品,アカデミーを受賞しただけあって
さすがの傑作です。
でもおっしゃるように,
鑑賞の際はかなり体力と気力を要する作品なので
劇場で観るのはエネルギーを消耗しますね~
うんうん,無理してご覧にならないで
配信待ちしてくださいな~,
名作なので必ず目にする日が来ますよ~
その時はまた感想を聞かせてくださいね。

>生死の境を経験しない限り満足感を得られない人たちがいる、
そうなんですよね~,あんまりそういうタイプは
個人的には知らないのだけど
それは平和な日本にわれわれがいるから出てこないだけであって
戦場に置かれてはじめて開花する素質なのかもしれません。
この映画の主人公のように戦争ジャンキーになるタイプは
結果としては軍人として優秀な働きをして,
軍隊を支えているのかもしれませんが
その世界でしか生きられない,という精神状態って
あきらかに異常ですよねぇ。
戦争に冒されている,としか言いようがありません。

>何歳ですか??
13歳くらいかな?もうお婆さん猫です。

コメントとTBを随分前にいただいていたのに、
こちらに来るのが遅れてしまいました。

いろいろな方のコメントにもありますが、「反戦」という言葉。
「意味がない」という意見、なんとなく分かります。
大昔じゃないんだから、戦争を題材にする時点で
少なからぬ意図が透けて見えるわけで、
逆にそれを全篇通して声高に叫ぶ方がスマートじゃないと思います。

そこをどこにも偏ることなく、
どっしりと構えて描き切っているところが
本作の高評価の一因だと思います。

飛行機や戦車に乗ったり、激しい銃撃戦を展開したりといった戦闘とは少々違う次元で戦争に参加している主人公たち。ひたすら地味な部隊ですが、命がけという点では最高レベルの職種かもしれませんね。見応えがありました。

戦争の是非について明確に触れている作品ではありませんが、淡々と兵士たちの任務を描いていくと結局見る側に伝わってくるのは「反戦」なんですよね。
これこそが戦争の正体なのでしょう。

クラムさん こちらにもありがとう~

>大昔じゃないんだから、戦争を題材にする時点で
>少なからぬ意図が透けて見えるわけで・・・
そうですね,言われてみれば
戦争を題材にする地点で
テーマはおのずから「反戦」になりますよね。今の時代は。
ですから確かに,ステレオタイプでなく
またわざとらしくもなく,
ひたすらリアルにブレない視点で淡々と描き切った
この作品の訴えてくる力は強いのでしょうね。
派手ではないけど衝撃が後を引きますね・・・。
オスカーにふさわしい作品だと思います。

SOARさん こんばんは!

通常の兵士より5倍も死亡率が高いと言う
「爆弾処理班」の部隊の任務のことなど
いままで全く知りませんでした。
だから,この作品でそれを知ることができただけでも
観てよかったな,と思いました。

>淡々と兵士たちの任務を描いていくと
>結局見る側に伝わってくるのは「反戦」なんですよね。
そうですね,派手な戦闘場面やカッコいいヒーローがなくても
実際の戦場での兵士の任務と
彼らの精神状態を丁寧に綴るだけでも
「反戦」の精神は伝わってくるんだなぁ,ということが
この作品を観てよくわかりました。
一見無造作に作っている様に見えて
実はかなり考え抜かれた
周到な演出がされてはいるのでしょうけど。

ななさん、こんばんは
この映画、観る人によって「反戦映画だ」と言われたり「プロパガンダだ」と言われたり、丸きり意見が違ってたりするのが面白いな、と思いました

確かに戦争中毒といえば中毒なんですよね。でもラストできっと前を見据える彼の姿には心打たれるし、その活動によって救われる人もいるわけで
人の役に立つ中毒ってのもあるんだなあと(笑)
そういえば『レスラー』の時も、体中を血まみれにして戦うランディの姿に、異常だと思いつつもさわやかなものを感じましたっけ

SGAさん こんばんは

観る人によって正反対のテーマに見えてしまう作品と言うのは
ある意味,監督は中立の立場を貫き通すのに成功している,と
言えるのかもしれませんね。
観る側に深い思索や討論を呼ぶ作品は
やはりいい作品なのだろうな~と思います。

>人の役に立つ中毒ってのもあるんだなあと・・・
アル中やヤク中は自分も傷つけ
人さまに迷惑もかけますけど
確かに戦争中毒の彼のような蛮勇行為がなければ
爆弾処理などという任務は先に進まないのかもしれませんね。
中毒にかかってしまった人間は
やはり後遺症や副作用みたいなものに苦しむのでしょうけど・・・。

こんばんは。
今年はなんだか息が詰まり喉が渇く映画が一杯。
これはそんな作品の中でも一番キツイかったです。
戦争はドラッグ、だからこそなくなる事は無いのでしょうね。
ちなみに私も「K-19」は大好きな作品。
ハリソン・フォードが久々に良かった一本ですね。

ノラネコさん こんばんは!

>今年はなんだか息が詰まり喉が渇く映画が一杯。
おおそうなんですか~
今年はあまり劇場鑑賞できてないのでピンときませんが
これは確かに喉が渇く身体によくない作品でしたね。
面白かったけど,疲れました・・・
戦争ジャンキーのお話ですもの,当然か・・・

「K-19」いいですよね。
この監督の「ハートブルー」もレンタルしてきたので
これから見る予定です。


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