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2010年3月の記事

2010年3月28日 (日)

ハート・ロッカー

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本年度のアカデミー賞で,アバターを押さえてみごと作品賞,監督賞を含む6部門を勝ち取った作品。イラクに駐留するアメリカ軍の中で兵士の死亡率が最も大という,爆発物処理班の物語だ。

いやはや,最初から最後まで,爆弾処理,処理,処理,処理・・・・の場面がひたすら続く,骨太かつ,地味極まる物語である。

主演俳優たちは誰もみな,知名度の低い俳優さんばかり。レイフ・ファインズやガイ・ピアーズ,デヴィット・モースなどの名優たちが,カメオ出演であえてチョイ役で出ているが,主人公たちはあくまで無名(主役のジェレミー・レナーは,この作品で主演男優賞にノミネートされて知名度が上がったが),目を見張るようなイケメンも,ヒロインをつとめる美女も出てこない。
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人によっては,ドキュメンタリーのように淡々と進む爆弾処理のお話に,退屈さを感じるかもしれない。二日酔と発熱,というけっこう最悪のコンディションだった私も,「これは途中,もしかしたら寝るかも・・・」という懸念を持って鑑賞したが,これがなかなか,面白い・・・というか,終始ひりつくような緊張感が満載だったためか,眠気は皆無。

爆弾処理の場面も,仕掛けられた場所の違い(地面,車,そして人間!)やその数,周囲の状況,爆発によって犠牲者が出るかどうか・・・といったシチュエーションが毎回違うので,飽きることがない。
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それに何より,この作品で初めて知った,爆弾処理という任務の,想像をはるかに超える危険性や緊迫度から目が離せなかった。まるで宇宙服さながらの防護スーツ。わずかな判断ミスも許されない処理。その最中も,誰がいつなんどき爆破のスイッチを押すかもしれないので,援護する兵士たちは銃を構えて周囲のイラク人の野次馬たちに抜かりなく目を配り続ける。

恐怖を静かにあおるようなBGMや,ハンディカメラによるリアルな映像。腹の底に響く爆発音の凄まじさと,人が一瞬にして消え去る衝撃。そんな爆発がいつ起こるかわからない恐怖と緊張感を,「まるでそこにいるかのように」体感し続ける2時間は,下手なホラーよりよっぽど怖い。
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「ハート・ロッカー」とは,兵士用語で「行きたくない場所」「棺桶」を指すそうだが,まさに爆弾処理の任務は,棺桶に片足をつっこんだような、死と隣り合わせの任務。しかし,主人公のウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)は,そんな任務を,何の恐怖も感じないかのように,苦もなく遂行する。彼の時として無謀で協調性のない行動は,サポート役のサンボーン軍曹たちとの間に,不協和音を起こすこともあるが・・・・。

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彼はどうしてこんなにタフなのか?
もともとそういう人間なのか?

任務が明けて帰国しているときには別人のように生彩を失っている彼が,再び新たな任務へと向かう時,生き返ったかのように精悍さと自信に満ちた表情を見せるラスト。一歩間違えれば死ぬという,強烈なスリルと高揚感は,彼をすっかり戦争ジャンキーにしてしまっていたのだろう。戦争は麻薬であるという冒頭のテロップが脳裏によみがえり,テーマはこれだったのか!とラストに唸った。

これは反戦映画なのか?
それとも兵士をねぎらう映画なのか?

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そのどちらでもなく,ただ戦争の「ある一面」を乾いたタッチでリアルに描き切った作品なのかもしれない。どんなメッセージを受け取るかは,観客に委ねられているのかも。私はやはりこの作品から,やや変化球の「反戦」のメッセージを受け取った。

戦争が麻薬であるという以上,やはりそれはあってはならないものであり,それにハマってしまったジェームズ軍曹も戦争の被害者なのかもしれないから。

「アバター」とオスカーを争った本作。好みは分かれそうだが,私はこちらに一票を投じる。アバターももちろん素晴らしい作品だけど,やはりアカデミー賞としては,生身の俳優さんの演技や,監督の演出が冴えわたる,ずしりと重い見ごたえの本作の方がふさわしいと思うのだ。
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※余談だが,私はこの監督さんの「K-19」のファンだった。実際に起こったソ連の原子力潜水艦K-19の事故を描いたこの作品も,同じく骨太な作品だが,なんせ主役がハリソン・フォードだから,最後は奇跡的に助かりそうな錯覚が起ってしまったし,もう一人の主役のリーアム・ニーソンも,すごくカッコよすぎる台詞や行動があったりして,そこが少し違和感だった。それに比べると「ハート・ロッカー」での,わざと無名の俳優さんを主役級に据えてヒーロー的な要素を排したキャスティングは,素晴らしいと思った。

2010年3月17日 (水)

シャーロック・ホームズ

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ホームズをロバート・ダウニー・Jrが,ワトソンをジュード・ロウが演じる,と聞いた時から,これは,相当型破りなものになるだろうな~と予想はしていたが・・・・。

ううむ,これは従来のドイルのホームズとはまったく雰囲気が違う,新しいホームズ(と,ワトソン)でありました。物語の舞台および,登場人物の名前や背景は同じでも,推理ものというよりはヒーロー・アクションもの。一応謎解きもやってくれるが,物語の半分は派手なアクションシーンで占められていた。

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こんなにわんぱく坊主のようなホームズは見たことないし,
こんなに美形なワトソンも初めて。

まあ,原作でもホームズは武術に長けていたし,その暮らしぶりはかなり変人でもあったし,(あんなに部屋がぐちゃぐちゃだったかどうかは疑わしいが),ワトソンも美形だとは書かれていないが,従軍医師あがりなので戦闘にも明るかったとは思うけど。
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いや~~,この,ジュードとロバートの二人が醸し出すケミストリーが,なんとも魅力的だった。可笑しくて,カッコよくて,そして微笑ましくて。絆の堅さゆえに起こる,夫婦の痴話喧嘩レベルの諍いまでもが可愛らしくて。

原作でもホームズとワトソンの友情の深さは随所に書かれているけど,この作品のホームズって,婚約して自分との同居を解消する予定のワトソンに対して,拗ねてみせたり,ちょっとした嫌がらせをしてみたり,ほんと駄々っ子のようだ。(こういう役どころってロバートはほんと素敵に上手い!可愛いし。)
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原作ではひたすらホームズの才能に感心する役まわりのワトソンが,この作品では,やんちゃな弟の面倒を見る,頼れる兄貴分のようなキャラだったのも,とっても新鮮。兄貴キャラのジュード,とっても素敵で惚れなおした~,あの時代の英国ファッションもすごくキマっていたし。

そう,この作品のホームズは,確かに頭脳明晰で運動能力にも優れた人物ではあるものの,あらゆる意味でのトラブルメーカーでもあるので,ワトソンはその尻ぬぐい役,といったところ。それでも尻ぬぐいをする方もされる方も,互いにそれを喜んでるような信頼関係が二人の間にはあるみたいに感じた。
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私は原作のホームズものの,小市民が対象の,ちょっとした殺人事件や盗難事件などが好きなのだが,これはヒーローアクションなので,やはりお相手の敵役は小者ではなく,カリスマ性のあるブラックウッド卿(マーク・ストロング)で,目指すは世界征服というスケールのでかさ。

そしてやはりエンタメものにヒロインは不可欠,ということで,原作(ボヘミアの醜聞)で,ホームズがその生涯で敬愛 した唯一の女性である,アイリーン・アドラーが,悪女でありながら闘うヒロインとして登場。
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彼女とホームズとの絡みも,あるにはあるが,私はやっぱり彼女とホームズの絡みよりも,ホームズとワトソンのやり取りの方に心惹かれた。男同士の友情には女は邪魔!って感じが全編に強く漂っているもんだから,男女の色恋沙汰にはそんなに魅力を感じない。まあ,作品のスパイス,という程度かな?レイチェル・マクアダムスはキュートだったけど。

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これは続編(次回はモリアーティ教授が登場?)が待たれる,というかシリーズ化しそうな作品だけど,ロバート,あんなに見事に鍛えられた身体だし,これからも年齢に負けずに活躍していってほしいよね~,もちろん,ジュードも。

まったく新しいタイプのホームズを見事に誕生させた作品。
私個人は,もともとのホームズがやっぱり好きだけど,こちらのホームズの活躍にも注目していきたいと思う。だって,ほんとうにロバートとジュードが素敵なんですよ~heart04,この作品って。

色んなシーンの映像が,シックなイラストに変わっていくエンドロールもカッコいい!

2010年3月14日 (日)

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々

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久々の劇場鑑賞作品。実は,シャーロック・ホームズを観に行ったついでに観たのだけど(吹替版),これが案外面白かった~。(ホームズより気に入ったかも)子供向けのファンタジーなのだけど,けっこうドキドキわくわくしながら,最後まで楽しく観れました。

ハリポタの1作目を観たときの興奮をまた思い出した感じかな?クリス・コロンバス監督はやっぱり,こういう思春期の主人公たちのファンタジー・アドベンチャーが上手いね。
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この監督は,どんなに子供っぽい展開であっても,やっぱりその,「子供っぽい」という特徴が,かえって魅力的に映るように見事に作品を仕上げてくれるような気がする。

これは魔法使いのお話でも吸血鬼のお話でもなく,ギリシャ神話絡みのファンタジー。ギリシャ神話の神様たちって,もともと結構人間くさくって,不道徳でHで・・・というのは,なんとなく知ってたので違和感なし。
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主人公のパーシーは,海の神ポセイドンと人間の女性の間に生まれたデミゴット(あいの子)。ポセイドンの兄弟のゼウスから稲妻を盗んだ疑いをかけられ,同じデミゴットであるアテナの娘のアナベスと,下半身が山羊のサテュロスのクローバーとともに,ハデスによって冥界に連れ去られた母を救うため,冒険に出かける,という物語。

今作の見どころって,やっぱり,その世界観というか,ギリシャ神話の神々が今も生きていて,人間との間にボロボロと子供を作ってる~という点にあると思う。この地点で,「そんな馬鹿な」とか「神様がそんな俗っぽいことをするはずがない」などと思ってしまったら,この作品はまったく楽しめない。
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冒頭に登場する,現代社会に現れる巨人のような大きさのポセイドンの馬鹿馬鹿しい映像にドン引きすることなく,気を取り直して物語を追っていけば,ハリポタの時の「世界は実は魔法使いでいっぱい」という世界観を受け入れられたのと同じように,「世界は実はデミゴットでいっぱい」という世界観も,難なく受け入れて楽しむことができるだろう。

そしてそのあとは,「自分は実はポセイドンの息子だった~!あんなことも,こんなこともできちゃうんだー」という,パーシーの成長物語を,エキサイトしながら観ればよいかと。
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パーシーを演じたローガン・ラーマン君が,なんとも可愛いカッコいい。チャームポイントはあのブルーの瞳かな?ポセイドンの息子であることを最初は戸惑いながらも受け入れて,次第に成長していく過程とか,父親と対面した時の演技とか,とってもよかった。

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彼の冒険仲間のアナベスとクローバーは,ハリポタでいうところの,ハーマイオニーとロン,という役割なのだけど,彼らよりはちょっと大人な年齢で,特に足が山羊,というクローバーのキャラは面白かった。(ラスベガスのダンスシーンが最高!)

彼らの息もつかせぬアドベンチャーと,次々に登場するギリシャ神話の神々や怪物たちに圧倒されて,あっという間の2時間だったような。子供は特に大喜びする作品ではないかと思う。
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特に一見の価値があるのは,ユマ・サーマンのメドゥーサ。エンドロールの後にも,彼女は出てくるので,すぐに席を立たないように~

2010年3月13日 (土)

エスター

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ホラー好きの皆さーん!
これ,すっごくオススメですので,
ぜひぜひ観てくださいな〜。

・・・と,心から自信を持って断言できる作品。

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孤児院から引き取られたエスターという九歳の少女が,悪魔のように狡猾に,そして邪悪に,養父母の家庭を周到に崩壊させていく,というお話だ。

最初にこれだけはネタばれしておくが,この作品は,「悪魔オチ」や「幽霊オチ」ではない。オーメンの少女版や,エクソシストのような物語とは違い,あくまでも怖いのは「人間」。だから,この作品は実は,ホラーやオカルトではなく,サイコ・サスペンスだと思う。

ただ,主人公のエスターのやらかす,常識では考えられないほどの悪行と,振り回される家族の悲惨な状況,そして最後に明かされる,彼女の正体から受ける衝撃が,まさにホラー並みに怖いのだ。
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第三子を死産したため,養女を引き取ることにした,コールマン一家。母親のケイト役のヴェラ・ファーミガは,ディパーテッドのヒロインを演じた女優さん。縞模様のパジャマの少年でも,夫と異なる価値観を持ち,次第に心を病んでいく妻の役を演じていたが,こういう精神的に追い詰められていく役がとても上手い。

彼女は鈍感な夫(ピーター・サーズガード)とは違い,女の勘で,エスターの本性を見抜いたものの,周囲のだれにも信じてもらえず,施設に隔離されそうになる。
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主役のエスターをはじめとして,この作品,子役が非常に素晴らしいのだが,コールマン家の聾唖の娘,マックス役のアリアーナ・エンジニアちゃんが,動く天使かフランス人形みたいにすごく可愛い。

最初はエスターを姉と慕っていたマックスは,エスターの残虐な犯行の数々を目撃したり加担させられたりするのだが,恐怖のためにそれを誰にも言えない。聾唖のため台詞はないので,目で演技するのだけど,その怯えた訴えるような瞳の演技がすごくよくて,こんなに幼い子を,情け容赦もなく傷つけようとするエスターに対する,恐怖心と憤りが膨れあがり,加えて,我が子や妻よりも,エスターの言うことを信じる父親の鈍感さもまた,もどかしく腹立たしい。
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そして何といっても必見なのが,エスターを演じたイザベル・ファーマンちゃんの演技。彼女の顔・・・・天使のように愛らしく聡明な笑顔のときと,能面のように不気味な無表情のときのギャップが凄い。

父親には巧みに媚を売り,母親には無邪気そうに近づいていって相手の一番触れてほしくないところをグサリと刺して敵意をあらわにし,事故に見せかけて夫婦の子供たちを抹殺しようとするエスター。「いったいなぜそこまでやるの?」と言いたくなるほど,彼女の悪意ある行動は度を越している。

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この手のお話は目新しくはないが,この作品は見せ方が上手いというか,エスターの不気味さや不可解さや,もともと問題のあった家庭が崩壊していく様を,じっくりと丁寧に描いていて,見応えのあるドラマになっている。とにかくこの,悪魔じゃないけど悪魔のようなエスターが次に何をやらかすのか,こっちも心臓をバクバクさせながら見守ってしまうのだ。

そして終盤近く,明かされるエスターの秘密。shock
このオチがとても斬新で仰天する。このオチを知ると,彼女のこれまでの不可解な行動も,その狂気も怨念もすべて辻褄が合うと同時に,エスターがいかに危険な人物であるか改めて背筋が凍る思いになる。そして物語は一気にクライマックスの氷上のバトルシーンへとなだれ込む。ラストまで一瞬たりとも気が抜けない。

面白いし,幽霊も悪魔もエイリアンもでてこないのに,しっかりと,手堅く怖い。昨今の音や映像だけで怖がらせようとするホラーとは一線を画する面白さを持った作品だ。

2010年3月10日 (水)

処刑人

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貧困も飢えも許す。
怠惰も堕落も許す。
しかし不正だけは許さない。


1999年公開作品。アメリカ本国では,限定上映の憂き目にあったが,日本ではなかなか話題になったらしい。新人監督がマイナー俳優を主役に撮った,必殺仕事人「兄弟」版。
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ボストンの裏路地に住む、双子の兄弟(二卵性?)コナー(ショーン・パトリック・フラナリー)とマーフィー(ノーマン・リーダス)。正当防衛でロシアン・マフィアを殺したことかきっかけで,「悪人を退治せよ」という,神からの啓示を受けた(と思った)二人は,次々と街の悪人を殺害して行く。

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もちろん,神が悪人への裁きをこういう形で人間に委託するわけがなく,真面目に考えれば,クリスチャンの私は怒らなければいけない作品なのだが,真面目に考えることを放棄して観たので,大変楽しめた。なんたって,映画だから,こういうのもアリなのだ,と。宗教がらみの深いテーマは実はなく,単なるヒーローもの,と軽く受け止めて楽しむに限ると思う。

それに,なんと言っても,この兄弟が,カッコよすぎなのである!いやー,映画史上,個人的には最も「イケてる兄弟」なのではないだろうか~。
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同じ服装,同じ刺青,同じクロスに同じ動作。
黒いピーコートにブルージーンズという,ホントにスタイルのよい男性にしか着こなせないシンプル・コーディネート。二人が揃って歩くシーンは,まるで絵のように美しい。特に弟役のノーマン・リーダスは,元プラダの専属モデルだっただけあって,さりげない歩き方そのものも見とれるくらい綺麗だ。
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いい年して女っ気もなく二人で暮らし,何でもお揃いで,まるで一心同体のように仲がいいのも,二人がただの兄弟ではなく,双子だからなのだろう。

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お兄ちゃんのコナーを演じたショーン。正統派の二枚目。優しげなまなざしが魅力的。弟を助けるために,繋がれた便器を引っこ抜き,屋上からダイブするシーンには痺れた~!(あのスローモーションのシーン,何度観ても好き~)

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弟のマーフィー役のノーマン。表情がなんとも可愛くてセクシー。ちょっと甘えたような響きの声もキュート。静止画像より,断然動画の方がその魅力がよく伝わるかと。上目遣いの目なんか特に悩殺もの。
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この兄弟,普段は結構,まるで少年のような,やんちゃで可愛らしい面があるので,(なんか,大学生のノリのようなのだ。)それと,処刑時のときのクールさとのギャップがまたいい。処刑前の,秘伝のお祈りを唱えるシーンなんかも超クールだ。

敬虔なカトリック信者というのは確かにそうなのだが,結構二人とも喧嘩っ早いところとか,すぐにキレるところなどは,後で父親が誰か?ということがわかってからは,「やっぱり血だね~」と腑に落ちる。
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二人は殺しにかけては勿論素人なのだが,乗り込んだ敵の陣中でのアクションは,運がいいとしか言い様のない闘いっぶりで,(特にあの,吊しロープからの射撃とか)でもそれはそれで,どれもがワクワクするくらい斬新なアクションになっていた。コミカルだし,まぐれ当たり的なところまで,カッコいい。神のご加護があるから,どんな襲撃も上手くいく,という妙な説得力もあるし。
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あと,忘れてはいけないのが,FBI捜査官のポール・スメッカーを演じたウィレム・デフォー!もう最高のキレっぷりで,ある意味この作品の陰の主役といってもいいかもしれない。オペラを聴きながらの芝居気たっぷりの彼の名推理の見事さや,兄弟を助けるためにギャングのアジトに乗り込む時の女装とか,とにかく凄い。無名の若手俳優の中で彼の老練な演技が作品全体の格を上げている。(といっても,演技そのものは物凄い怪演なのだけど)
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この作品,なんと2009年に続編が製作されたそうで,その「処刑人Ⅱ」がこの5月に日本でも公開されるそうな。主役のお二人,10年たった現在は,どんな感じなのかしら?

下の画像がその続編のポスター。
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・・・・よかった。あんまり雰囲気変わってない。

2010年3月 8日 (月)

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

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1997年公開のドイツ映画。日本ではたしか「ヘブンズ・ドア」という題で2009年にリメイクされているが,こちらは評が賛否両論に分かれたらしい。今回,オリジナルを観て,その魅力にノックアウトされた。

いや〜どうしよう,この作品,
愛してしまったじゃないの〜〜!(絶叫)
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脳腫瘍と末期がんで,余命いくばくもないと診断された二人の男が,「死ぬ前にひとめ海を見たい」と,病院を抜け出し,盗んだ車で逃避行を開始する。どうせ明日にも死ぬんだから,と怖いものなしの二人が起こす強盗事件や,車に積まれていたギャングの金をめぐって,警察やギャングは二人を追うが・・・・。

そう,これはロード・ムービーでもあるが同時に,最高のバディ(相棒)・ムービーでもある。余命いくばくもない,という共通点を持った二人の中年男,マーチンとルディ。正反対のタイプの取り合わせが絶妙だ。
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行動的でアウトローなマーチンを演じたティル・シュヴァイガー。どっかで観た役者さんだと思っていたら,キング・アーサーで,アーサーの敵の首領の息子(スキンヘッドで顎鬚だったっけ?)を演じたひとだった。この人がもともとこの作品の脚本を気に入ってスポンサーを探しまわって製作にまで漕ぎつけたそうな。いやなかなかどうして,セクシーでワイルドで,素敵なドイツの殿方だ。このひとのハスキーなドイツ語の声,大好き。
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そして彼の女房役のような,まじめで内向的なルディ。マーチンと出会わなかったら,そして「余命があとわずか」という,特殊な状況でなかったら,おそらくこんな大胆な行動は起こさないだろうな~と思われるタイプ。演じるのはヤン・ヨーゼフ・リーファイスというドイツの俳優さんだが,ちょっとロバート・ダウニー・Jrに似てる。
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夕陽の沈む海を見に,フランスへと向かう二人。
ドイツのような国に住んでいると,本当にまだ海を見たことがない大人っているんだね。途中,一文無しの二人はガソリンスタンドや銀行を襲うが,車の中にギャングの大金を見つけると,それを使って,自分たちもささやかな散財をし,道中お世話になった人たちにも大金を惜しげもなくバラまいてゆく。
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道中に出会う脇役たちがみんな味のあるいい人ばかりで,反応もそれぞれちょっとボケていて,だから,強盗だの車泥棒だのという無法行為も,そんなに迷惑をかけたようにも見えず,かえって余命わずかの二人を,みんなが見逃してあげているかのような,あたたかい雰囲気も。特にあの腹の据わった銀行員の態度は最高!

それに彼らを追っかけるギャング二人組の抜け具合がこれまた最高で。二人の会話のやり取りは,漫才のボケと突っ込みそのままだし。
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そういえば警察の上司と部下のコンビも可笑しかった。二人を見逃してくれたギャングのボスもいい。(大物俳優のルトガー・ハウアーがギャラに関係なく出演してくれたそうだ)

とにかく,主役の二人も含めて,登場人物全員が好感度の高いキャラクター。シリアスな状況を描いているにも関わらず,この作品がなんとも心地よいのは,そのせいもあるのかもしれない。
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マーチンとルディの絆の堅さ。
これはもうやはり,同じ運命に見舞われた者同士ならではの絆だろう。死期が迫った者の心境は,そうでないものにはわかりっこない。同じ境遇であると知った途端に意気投合し,後はまるで生まれたときから親友だったみたいに,以心伝心,阿吽の呼吸で,互いにいたわり合いながら突っ走る二人が微笑ましくもあり,切なくもあり。

好きなシーンはいくつもあるが,ギャングに「金を返せば命だけは助けてやる」と言われ,二人が顔を見合わせて笑いだすシーンや,その後,あわや殺されそうになった瞬間に互いの手をギュッと握り合うシーン,そしてそれまで銃を撃ったことのないルディが,たった一度だけマーチンのために銃を撃つシーンや,救急車の中で視線を合わせて微笑み合うシーンが特に好きだ。
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いったい,彼らが病院を抜け出してから海にたどり着くまで,何日かかったのだろう?人生が終わる前のわずか数日間に,家族よりも深い絆で結ばれた親友を得て,あのような破格の冒険をした二人。それまでの彼らの人生がどのようなものだったにせよ,その幕切れは確かに幸せだったのかもしれないと思った。

旅の終着点である海岸で,荒々しく雄大な海を眺めながら,先に逝くマーチンの心境を察したルディが,マーチンに贈るはなむけの言葉。それがまた,すごくシンプルだけど,すごくいい台詞。それに力づけられて旅立ったマーチンの傍らに,静かに座るルディの後ろ姿のラストシーン。ものすごく切ないのだけど,不思議な爽快感にも満たされる。すべてをやり終えて,悔いもなく死を受け入れる彼らと,母なる海の咆哮・・・・哀しみと癒しとがそこにはあり,これはまぎれもなくハッピーエンドなのだろう。
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テンポのいい面白さ。
ちょっとトボけた洒落たセリフ。
魅力的な登場人物たち。
そして根底に流れる人間愛。

これは間違いなく,隠れた名作のひとつなので,未見の人はぜひ!

2010年3月 7日 (日)

ロバート・デ・ニーロ 作品記事

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アンタッチャブル

グッド・フェローズ

恋におちて

ゴッドファーザー

タクシー・ドライバー

ディア・ハンター

ヒート

ミッション

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

2010年3月 5日 (金)

好奇心は猫を殺す

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猫が死ぬお話
かと思って二の足を踏んでいたら,まったくの杞憂で,これは外国のことわざで「好奇心もほどほどに・・・」という意味だそう。胡軍(フー・ジュン)さん目当てに鑑賞。

物語の舞台は,重慶の高級マンション。高層階の豪華な部屋に住む金持ちの夫婦。妻は夫の会社の社長令嬢で,いわゆる逆玉に乗った夫には,マンションの向かいでネイルサロンを営む愛人がいる。
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そして,彼らの関係を盗撮する,好奇心旺盛な写真店の少女と,少女と親しくなるガードマンの青年。そんな登場人物たちの,ドロドロした人間模様が絡み合った,エロティック・サスベンスは,胡軍さんが出てなくても,わりと好きなジャンルの作品。

家庭を守るため,愛人と手を切りたい夫。
妻の身に次々と起こる奇怪な嫌がらせ。
誘拐される幼い息子。
思いつめたような目でマンションを見上げるガードマン。
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同じ事件が異なった人物の視点で描かれ,次第に物語の全貌がわかってくるという凝った展開。特に妻の目線で語られる章からが,俄然面白い。

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で,この作品の胡軍さんは,見た目は「ちょっと老けた捍東」。(生え際がすこしヤバくなった?)

しかし,表情は捍東よりずっと暗く,より身勝手で狡い雰囲気。妻と愛人の間の板挟みで,おそらく妻への愛情というよりは今の地位を失いたくないという理由で愛人を切り捨てようと画策する,「小者」っぷりは,哀れを誘う。いやまったく,逆玉男の悲哀を体現しているようなキャラで,そして最後は奈落の底へ突き落される役回りである。

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しかしなんといっても,見た目が捍東なもんだから,どうしたって彼の背後に藍宇の姿を連想してしまうわたくし。この作品中の,悩みまくる彼が「女と結婚したばっかりに失敗した捍東」に見えてしかたなかった・・・・。

いや~~,相手が藍宇なら,そんなびどい目にアナタを合わせたりしないのに」なんて。「過激すぎ」と評判だった濡れ場は,やはりセクシー(彼の筋肉が好き)なのだが,そんなに過激だとも思わなかったなぁ・・・・期待のしすぎ?(赤面)
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見終わった後味はちょっと苦い。
危険な情事のようなお話かと予想していたが,あれとはまた違った虚しさを感じる不毛な物語だ。不倫や好奇心の是非よりも,中国の格差社会がもたらす害の方が,もっと問題なのでは,と思える。

「誰もが平等」と確信できない社会では,上にいる者も,下の者も,共に心を病むことがあるのかもしれない。

2010年3月 4日 (木)

南極料理人

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面白いとは噂に聞いていたけど,ほんとにね~,これとってもいい作品。そう,さりげなく癒し系というか。

究極の単身赴任,行き先は南極。
ペンギンもアザラシもいない,ウイルスさえ生息できない,平均気温マイナス57度の地。そこに派遣されたチームのメンバーは,無論,生え抜きのエリートで,使命感に燃えた人々かと思っていたら,これがけっこうみんなかなりの「ゆるキャラ」で。作品全体をこの「ゆる~~~~い」雰囲気が最初から最後まで支配していて,「これでいいのか?」と思いつつも,なんだかほっとするこの心地よさ。

南極でのお仕事の様子や,単身赴任特有の悩みは,そんなに深刻に描かれていない。そう,焦点はあくまで調理担当の吉村さん(堺雅人)の作る,「おいしいごはん」

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のっけから,食卓に並ぶ料理の豪華さに目を見張る。和洋中華,何でもござれの腕利き料理人の西村さんが,丹精込めて作る食事を食べる隊員たちが羨ましい。いや,別に南極へは行きたくないけど…。

男ばかりの食卓の風景は,食材や調理法や味付けについてのおしゃべりに花が咲くこともなく,食器のたてる音がせわしなく響くばかりだが,それでも誰もが,西村さんの作る食事をとても楽しみにしているのが伝わってくる。
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ワルキューレの騎行
の曲をバックに,「皆さ~ん,今日のお昼は,おにぎりと豚汁ですよ~note」という,西村さんのアナウンスが雪原に響くと,我先にと転がるように帰ってくる隊員たちが可愛い。

だからこの後で,別の隊員が「皆さん,一時半になりました。ぞうすいの時間です。」というアナウンスをしたシーンでは,「え,さっきお握りたらふく食べたのに,また雑炊食べるのかよ?」と突っ込んでしまったが,ぞうすいって雪を集めて生活水を造る「造水」のことだったのね。自分の勘違いに大笑い。
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とにかく全編を通して出てくる豊かな食事,そしてそれをめぐる,ちょっとしたアクシデントや南極ならではの工夫や苦労が面白い。それも爆笑する面白さではなく,ちょっとトボケたゆるい面白さ。

ストレスで,夜中にバター丸かじりとか,やっと完成した手作りラーメンを食べたいばかりに,オーロラ観測を全員がサボっちゃうとか。折々の,隊員たちの名台詞がなんともまた笑えるのだ。

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南極氷のオンザロック

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西村くん,僕ら,気分は海老フライだからっ!!!

Cap099
西村くん,どうしよう~,これ,面白いよ~~

Cap108
西村くん,僕の身体はね~,ラーメンでできているんだよ。(泣)

とりたてて大事件や盛り上がりがあるわけでもなく,こんな感じで隊員たちの日常と食事の物語が淡々と,ゆったりと続くのだけど,なんだかこれをいつまでも観ていたいような,終わってほしくないような気持ちになった。 

食は生きる源。
食は癒しとコミュニケーションを担うもの。
そして食とは,作り手の創意工夫と愛情の賜物。

そんなあたりまえのことを教えてもらえる作品。
大好きな堺雅人さんの癒し顔を思い浮かべながら,私も家族のために,美味しいごはんを作りたくなった。

2010年3月 3日 (水)

グッド・バッド・ウィアード

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韓国を代表する人気俳優たちの,
ハチャメチャ韓流ウェスタン!

キャッチコピーも,ムチャクチャデ イイノダ,とおもいっきり開き直っているし。しかし観てみると,これがけっこう面白くて,面白くて!「夕陽のガンマン」のようなウェスタン好き,もしくはイ・ビョンホンやソン・ガンホ,チョン・ウソンのファンには最高にオススメ。
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グッド・バッド・ウィアード
とは,英語で「いい奴・悪い奴・ヘンな奴」という意味。韓国人やロシア人,日本軍など,さまざまな民族が入り乱れて好き勝手やってた1930年代の満州を舞台に,三人の無法者たちその他が繰り広げる,宝の地図の争奪戦,ただそれだけのお話。

しかし,あらすじなんかどうでもいいと,この際断言してしまえるほど,CGなしの体を張ったアクションの迫力や,ぶっ飛んだ登場人物のキャラクターが魅力的なのだ。
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いい奴担当は,賞金稼ぎのパク・ドウォン(ウソン)。


悪い奴担当は,ギャングのボス,パク・チャンイ(ビョンホン)。
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そしてヘンな奴担当は,こそ泥のユン・テグ(ガンホ)。

チョン・ウソンって,凄く身体能力が高いんだなあ,とつくづく感心。三人の中では,一番身長も高く脚も長く,スタイル抜群だし,このひとは絶対,じっとしている役より活劇の方が魅力が際立つ。今回特にカッコよかったのは,疾走する馬上からのライフル射撃シーン。前傾したフォームも凄く美しいのだ。
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↑これ,全力疾走の馬の上でやってます,手離しで。

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そして最近悪役が多いビョンホンだが,この作品の悪役ぶりは最高にキマッている。細身の黒いフロックコート風のジャケットに白いシャツは,甘い人生の時の彼を彷彿とさせるが,鬼太郎ヘア,下瞼のアイライン,口髭がブラスされてとっても怪しい。そして妖しい。

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もちろん凶暴で,冷酷なキャラなのだが,「何でも一番でないと気が済まない」という病的なまでのこだわり以外は,実はさほど複雑な人物ではないらしく,「絵にかいたような悪役」の体現,という感じだろうか?ビョンホンも,インタビューで,「彼の内面の深いところまで役作りをする必要はなかったよ」という意味のコメントを言っている。

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それでもビョンホンが演じると,そんなキャラでも,どこか悲しい事情でも抱えているかのような深みとセクシーさが醸し出されてくるから不思議。完全にイッちゃってる目付きも,返り血をぬぐう仕草も,ヤバいほどサマになっている。

最後に流石の存在感の名優,ガンホ。
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彼もまた結構大変なアクションをこなしているのだが,それでもその動きや表情はやはりコミカルで笑いを誘う。三人の中では,一番人間味があるキャラだが(善人という意味ではない),それでもいざというときはメチャクチャ強いし,しぶとい。
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さて,この三人のうち,生き残るのは一体?
そしてまた宝の正体とは?


そこが知りたくて,最後まで一気に観てしまう作品だが,それ以外にも,「ほんとうに悪い奴はだ~れだ?」といった意外なオチもある。

役者やスタッフたちが,おそらく死ぬほど苦労して撮影したと思われる,もうもうと砂塵が巻き上がる砂漠でのバイクと騎馬のチェイサーは必見。

2010年3月 1日 (月)

恋におちて

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ニューヨークのマンハッタンが舞台の,切ないプラトニック・ラブストーリー。演じたデ・ニーロ41歳,ストリープ35歳の,まさに大人の恋の物語。

リアルタイムで観た覚えがあるけど,その時は自分も若かったので,それほどピンと来なかった。主人公たちが中年男女だったので,共感しにくかったのだろうか?しかし彼らの年代を越えた今,久々に再見してみると,しみじみといい作品だなあと感動,そして共感。
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互いに配偶者に何の不満もないのに,ある日突然出会い,やがて恋に落ちる,ひと組の男女,フランクとモリー。どちらにも幸せな家庭があり,フランクの場合は可愛い子供もいて。

二人とも,失うものの大きさも予測できる年代だけに,情熱だけで突っ走るわけにはいかず,特にモリーは一線を越えることに強いためらいを感じるのだが…。
Cap020
恋のごく初期の段階には,屈託のない笑顔だった二人が,気持ちが真剣になるにつれて,次第に辛そうな表情になっていく。分別盛りの中年になってから訪れた本当の恋は若いときよりずっと重症なのだ,ということが伝わってくる。(これ,すごくよくわかるなぁ~。だって,若いころほどのエネルギーもない年代で,分別を超過させるほどの強い想いなんだから。)

もちろん配偶者にとっては,情事以上に許しがたい裏切りで,フランクが妻に「僕たちは何もせずに終わってしまった。」と告白したとき,妻が「その方がよほど悪いわ。」と言って夫をひっぱたいた気持ちもまた,よくわかる。肉体的な裏切りよりも,はるかに悪い精神的な裏切り。
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この作品のデ・ニーロは,アクの強さも,強烈な個性も皆無の,ごく普通の中年男性を演じていて,それはそれでとても難しい役だと思うのだけど,その「普通っぽさ」が見事にハマっていた。まったくこの方は,稀代の名優で,ギャング,ボクサー,与太者,悪魔,殺人者,難病患者・・・・なんでもござれなのだけど,ごく普通の人間の役って,珍しいんじゃないだろうか?
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この作品では,デ・ニーロの繊細な目の演技に注目してほしい。どちらかというと全身で演技するイメージの強い彼が,主にまなざしの表情の変化だけで,恋に落ちた中年男の気持ちをデリケートに表現している。

少年のようなときめきや,妻への自責の思いや,抑えきれない情熱や,諦めきれない想いなど・・・・・,デ・ニーロの表情を観ていると,彼の妻に何の落ち度もないことがわかっていても,彼の恋を応援せずにはいられなくなる。
Cap055
そしてもちろん,名女優メリルも素晴らしい。この二人だからこそ成立した珠玉の傑作と言っていいだろう。逢瀬を重ねる度に,生き生きと綺麗になっていくモリー。彼女のためらいや恥じらい,そしてフランクを想うときの少女のような瞳の輝きのなんと美しいこと。前髪を立ち上げた彼女の髪形や,肩パットの目立つジャケット,フレアースカートなどのファッションも,なんだかとても懐かしかった。

シンプルなのに,何度見返しても飽きない,素晴らしいラブストーリーだと思う。これもまた,クリスマスになると,観たくなる作品のひとつ。

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