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2010年2月 8日 (月)

バーナード・アンド・ドリス

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実在した大富豪の女性,ドリス・デュークと彼女の執事だったバーナード・ラファティの物語を描いたアメリカのTVドラマ。主演がレイフ・ファインズとスーザン・サランドン。 ゴールデングローブのミニシリーズ/TV映画部門で作品賞や主演男優賞,女優賞も取ったらしい。孤独な女富豪がなぜ,ゲイの執事に多額の財産を遺したか?というお話だ。

ヒロインのドリスは,煙草王の娘で億万長者。やり手の事業家でもあり,大酒のみで気難しい女傑だ。そんな彼女が雇ったバーナードは,エリザベス・テイラーにも仕えていたことがあるというアイルランド系の執事。彼はゲイで,アルコール依存症だった過去もあるのだが,ドリスは彼が気に入って常に手元に置くようになり・・・・。
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いやー,サランドンのドリスもよかったが,やはりゲイの執事を演じたレイフがよい!ゲイゆえの女性的な感性というか,かゆい所に手が届く細やかな気配りや,少々ねちっこいソフトな雰囲気や,気弱で憂鬱そうな優しい表情・・・・。使用人に対しても女の上司みたいに細かく指示を出し,その行きとどいた控え目な配慮はドリスに気に入られる(使用人たちからは,うっとおしがられていたと思うが。)

最初はいかにも執事,という服装(一番上の画像のような)だったが,次第にドリスと打ち解けた仲になると,ドリスの薦めもあって髪はポニーテイル,派手な柄物のシャツなども着るようになる。あ,女装シーンもちゃんとあります(下の画像)
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女装レイフが美しい…といえるかどうかはさておき,表情や仕草は十分なまめかしかったレイフ。さすが役者だわ~。

しかし,昔のアルコール依存性がぶり返し,ドリス所有の高価な酒を山ほど盗み飲みしていたことが発覚するバーナード。一時は彼を遠ざけるドリスだが,彼女自身も病に倒れ,再びバーナードは彼女の世話をするために戻ってくる。

看護師も雇わずに自分一人でドリスの看病をするバーナードは,ドリスの身を案じる警察さえ遠ざけようとする。そんなこんなで,実在のドリスがバーナードに遺産を遺して亡くなったときは,実際,殺人説まで出たらしい。
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しかし,このドラマでレイフが演じたバーナードは,そんなヨコシマな下心の持ち主には見えない。たしかに,レイフが表現してみせたバーナードというキャラは,優しさや繊細さと共に,意志薄弱さや,多少のずるさという人間的な弱さも持っていたが,「あなたの望みはなに?」と聞くドリスに「私の望みは奥様のお世話です」と答えた彼の言葉に嘘はなかったと思う。

ただし,実在したバーナードの本心はどうだったのか疑いも残るが。(この物語は,実話とは同じ部分もあれば,異なる部分もありますと,最初に監督が断っている。ちなみの実在のバーナードは太ったやや強面のオジサンである。レイフと違ってかなり胡散臭そうに見えるのである。)
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しかし,少なくとも,このドラマの,バーナードとドリスとの絆は,純粋なもののように思えた。もちろん,バーナードがゲイであるからして,二人の間に恋愛感情や関係はない。その代わりに,二人の間には,互いへの理解と思いやりがあったと思う。

バーナードとドリスに共通する点は,二人とも個性的で孤独だということ。幼いときから大金持ちで,若いときに肉親を亡くしているドリスは,お金の力で人を意のままにできても,無心で無欲の愛情や友情とは無縁だったろう。そしてまた,内向的なゲイのバーナードも,家族も友人も持たず,自分を理解してくれる相手なしでこれまでやってきただろう。

そんな二人の間には,主従関係を越えた友情や信頼が生まれていたと思うし,レイフとスーザンがとにかく名演技を披露していて,二人の心情だの性格だの,細かいところまで手に取るように伝わってきた。クスリと笑える要素も満載だが,しんみりした思いに浸ることもできて,ゴールデングローブ賞も納得の秀作ドラマだ。

とくにレイフファンは必見の作品。
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いろんな作品の中でも,私は,気弱で悶々とした役の彼が好きなので,このレイフはツボ。勝ち気なヒロインと気弱なレイフ,という取り合わせは相性がよく,大好きなオスカーとルシンダを思い出した。

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コメント

こんにちは♪
先日はコメントありがとうございました。
ようやく復活★そして、初鑑賞作品には
是非こちらを鑑賞したいと再度思いを強く
しましたわ・・・笑
未見なのにコメントですが・・・
く細やかな気配りや,少々ねちっこいソフトな雰囲気や,気弱で憂鬱そうな優しい表情・・・・>
ツボです・…もろに・・・!!
こういう役演じると上手いんですよね・・・
それにしても↑の女装にはビックリ・・・
う~~ん・・・・・。こちらは驚きでコメントできない状態だけれど、なかなか他の作品では見られない貴重な場面よね。
ななさん、紹介で、多くの人が見てくれると
うれしいわ~~
また鑑賞の折にはきます・・・・ね。

みみこさん,こんばんは!
おめでとうございます。一安心ですね~

この作品のレイフはとっても愛おしいですよ~
わたしと同じツボにはまるなら
強くイチオシですぅ~~
>細やかな気配りや,少々ねちっこいソフトな雰囲気や,
>気弱で憂鬱そうな優しい表情・・・・
いや~~,だいたい彼ってこういうキャラ多いんですが
この作品のレイフはまた別格というか・・・・
ゲイ特有の女々しい雰囲気(刺繍が趣味なんですよ~)も加わって
何気にとっても可愛いレイフになっております。
彼が歌うシーンもあるのですが,その歌声の甘いこと~

女装シーンはわたしも実はぶったまげたんですがね~
そんなにいつも女装してるわけでもないのでご安心を。
ドリスにお化粧を教わって,
ちょっとやってみただけ~って感じでした。
でもメイクしてドレスを着て
晩年のドリスをお姫様だっこして階段を降りてくるレイフのシーン
笑えましたが素敵でしたよ~。

またみみこさんの感想も楽しみに待ってます!

ななさん、こんばんは~☆^^

ほんと、これはレイフファンには見逃せない作品ですよね~!
必見ですね(^ー^* )フフ♪
あんな彼や、こんな彼が見れるなんて、ものすごいお得(笑)

そうそう、この二人の共通点、私もななさんが書いてらっしゃる通りだったなぁって思いました。
それにしても、あんなに莫大なお金があっても、やはり人間って心底幸せにはなれないんですよねぇ~。
全くないのも困るけど、ありすぎるってのも困りもんですよね。
もう、何が真実か見えなくなっちゃいそう。

メリハリに欠けたかなぁと思ったけど、二人の演技に酔わせてもらった作品でした♪

↑のコメントはメルさんですよね~~

>あんな彼や、こんな彼が見れるなんて・・・・
そうなんですよ~
わたしもレイフは大好きな俳優さんなので
女装レイフや刺繍レイフ,アル中レイフなどなど
とっても堪能できました。
ハマり役ですね~~~

お金はやはり,ほどほどにあるのが一番幸せですよね。
ドリスほどの億万長者だと
近づいてくる人間みんなが下心があるように思えちゃう。
その中では,バーナードは唯一
なんの邪心もなくドリスのためを思ってくれる人間に思えたのでしょう。
アル中の彼の弱点までが親近感・・・。

>二人の演技に酔わせてもらった作品でした♪
うんうん,これってキャスティングの勝利のような気もしますね!

お邪魔します~~
遅くなってごめんね。
やっぱりゲイでもレイフ・・よかったです♪
最後の方は長髪にもなっていて・・・
目の保養いっぱいさせてもらいました。
そうそう・・・実在のバーナードさんって
ちょっと胡散臭いですよね・・・笑
前に見たミルクの俳優陣が実際とイメージが同じだったのでこちらもかしら・・・と思っていたのですが
まったく逆のお姿で・・・笑
今回の執事役も新境地でよかったのですが
ごくごく普通の執事役でもう一回みたいところです。
それにしても、何でもやってくれる
いい男って・・欲しいですよね~~

みみこさん,こんばんは

レイフ,素敵でしたよね,あんな役でも。
ま,彼は殺人鬼をやっても
魔法使いをやっても,ナチの将校をやっても
何をやっても素敵なんですが。

彼のソフトな雰囲気に,この役は合ってたような気がします。

>今回の執事役も新境地でよかったのですが
>ごくごく普通の執事役でもう一回みたいところです。
そうですよね~
わたし、彼の初めのころの普通の黒服の執事姿も
とっても好きでした。
「日の名残り」のアンソニー・ホプキンスのような
背筋の伸びた誇り高い執事役をやっても似合いそうです。

>それにしても、何でもやってくれる
>いい男って・・欲しいですよね~~
「何でもやってくれる男」だけでも有り難くて涙が出るのに
それが「いいオトコ」ときたらもう・・・・。

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