レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
何ですか・・・この映画の意味不明なサブタイトル「燃え尽きるまで」って。内容と合ってないじゃん。これは,劇場予告を観た地点で鑑賞意欲を削がれて,(だって予告編,夫婦喧嘩のシーンばっかりで)DVDになっても,今まで観たいと思わなかった作品。このたびやっとレンタルで鑑賞~。
うん・・・やっぱりロマンスでもなんでもなく,夫婦間の危機を描いた地味で痛い物語だった。しかし,それはそれなりに見どころもあり,何よりもよく練られた脚本や美しい映像,そしてやっぱり名優のケイトとレオの演技に魅せられた。
夫のフランクを演じたレオの「ごく普通のサラリーマン」ぶり!どちらかというとブラッド・ダイヤモンドや,ワールド・オブ・ライズのような,ワイルドでハードボイルドやってるレオを見慣れていたので,これはなかなか新鮮だった。ごく普通の男の役って,案外難しいものだから,改めてレオって何でもこなせる上手い俳優さんだと感心。こんな地味な役でも,彼はやっぱり目が離せない上質な演技をしてくれる。
そして妻のエイプリルを演じたケイト・ウィンスレットは・・・・タイタニックの頃よりずっと細面になって(その分レオが丸顔になっていたが),そして愛を読むひとよりも,ゴージャスな美しさ!50年代の女らしいシルエットの衣装や濃いめのメイクがよく映えること。
で,肝心の物語は・・・・そんなに共感できないところもあったのだ。夫婦間の気持ちのズレや,そこから拡がってゆく溝の存在は理解できるし,どんな夫婦でも起こりうることだと思う。理解できなかったのは,やはり妻のエイプリルの価値観。
結婚して子育てもしている主婦が,いつまでも,自分たちは「特別な存在」だと信じ込んでいるところとか,パリに行きさえすれば,とにかく夢が叶うと思いこんでいるところとか,ラストに彼女が,絶望からか腹いせからか取ったあの行動とか・・・・
う~~ん,やっぱり彼女には同じ女性として共感はできないなぁ。こんな女性って本当にいるんだろうか,とさえ思う。だって,女性って,本来,巣作りを優先して安定性を求め,そのために必要な環境への柔軟性を男性より持ち合わせている生き物だと思うから。つまり,現状を受け入れ,その置かれている場で最善を尽くすことができる能力は女性の方が上ではないのだろうか?それとも,日本人とアメリカ人の価値観は違うのだろうか?
とにかく,全編にわたって,フランクが可哀そう~と思ってしまった作品。女遊びやギャンブルや借金で妻を苦しめたわけでもないのに,家庭への愛が報われなかった哀れな夫に見えてしまった。
それでも,いろいろと共感ができない点があるにもかかわらず,最後まで飽きずに面白く見通すことはできた。それは,エイプリルの行動や心境が理解不能すぎて,かえって目が離せなかったせいもあるけれど。
ラストの,キャシー・ベイツの夫の取った行動は・・・。円満な夫婦生活を送るための秘訣はこういうことか。この,ラストの辛辣な教訓が一番心に残ったかも。結婚に対して抱きがちな,非現実的な甘い夢を打ち壊してくれる,どこまでもリアルでシニカルな作品である。こんなテーマは好きだ。
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ななさん~こんにちは♪
これねぇ、ほんと、レオ君が不憫で、、可哀想になっちゃったな。
レイチェルは共感あんまり出来なかったなあ・・・。
思ったことは、ななさんと同じよ~。
でもラストの部分は、言えてるな~というか、ぴりっと辛口なウィットに富んでるセリフで良かったですよね。
そうかー、ななさんは南国育ちだったのね?でも、スキーはしなくても、あの場にいることで楽しむっていうのは、なんか解るわ^^ 私は北海道で育ったから、学校の授業で、毎年スキー学習ってのがあるんだよ。だから滑るのは下手だけど、まあ、まるで滑られないという子供は、あんまりいないんだ。とはいえ、大人になってから、自分でスキー場に行くことはほとんどなくて、あったとしても、つきあいで行って、のんびりロッジで待ってる~ってこともありました(^^ゞ
投稿: latifa | 2010年1月18日 (月) 09時03分
latifaさん こんばんは
ほとんど同じ感想を持たれたようで嬉しいわ~
作品としては,優秀だと思うし
役者はみんな演技が達者だし
でもやっぱりヒロインの発想に違和感があると
どうしても感情移入はできませんよね。
レオはいい夫ですよねぇ。
なんだかんだ言っても基本は妻を一番愛してるし
あんな可愛い子供も二人いて,経済的にも・・・
なんでパリなんだ~???って問い詰めたくなったわ。
ラストの部分は気がきいてたけど
もしかしてあれを言いたいがための物語だったのかしら?
スキー・・・そうなんですよ,わたしは四国なので
周囲のみんな大人になってからスキーを始めたみたい。
それでも私の頃はなかったんだけど
最近は近隣の高校も
修学旅行が北海道へスキー教室,ってのも
増えたみたいです。
latifa さんは北海道育ちなのね~
子供のころから慣れてらっしゃるので
かえって大人になってスキーは目新しくないのかな?
私も来年はスキーに挑戦してみます~
投稿: なな | 2010年1月18日 (月) 22時43分
こんにちは~♪ななさん
タイタニックで美しいまでの悲恋を演じ、一世を風靡した二人が、こういう夫婦を演じるなんてねぇ~
時の流れは早いなぁ~
で、、、私もこの映画はピンときませんでした~
妙に余韻は残る映画でしたが、とにかくエイプリルって女性が訳分からなくてねぇ、、、エイリアンでも見るようだったので(笑)、かえって展開に目が離せなかったけど
投稿: 由香 | 2010年1月19日 (火) 08時02分
由香さん こんばんは!
そうよねぇ~,この物語が
あのジャックとローズのその後の物語だとは思いたくないわ~
>時の流れは早いなぁ~
小鹿のようだったレオが貫禄のあるサラリーマンになり
豊満なケイトはかえって前より美しくなっていましたが
今作ではケイトの演じるエイプリルって
甘ちゃんだと感じたわ~
一番イヤだったのは,母性の欠落かしら?
母親になったらもう腹をくくって
自分優先ではなくて地に足をつけて生活してほしいよね。
投稿: なな | 2010年1月19日 (火) 19時27分
コチラ、映画なかなか凄い内容の映画でしたよね!
昔タイタニックを観て好きだったし~久しぶりに映画でも観に行くか~という軽い感じで観た方には衝撃だったでしょうね、、。
私達夫婦はこの作品ディカプリオの気持ちの方が理解できて、ケイトの気持ちは分からないではないけれど理解しがたく思ってしまいました。
でも、、この作品を観た当時様々な評論やブログの意見で、ディカプリオの価値観を最低とし、ケイトが可愛そうだという意見も結構あるのにかなり驚いたものです。
『マーリー 世界一お馬鹿な犬が教えてくれたもの』は同じようにそれぞれが夢を抱えた夫婦の物語なのですが、、時代が違うというのもありますが、、この作分とは真逆な選択を常にして未来を開いていくので、コチラも合わせてみると面白いですよ~。
投稿: コブタです | 2010年1月21日 (木) 23時48分
コブタさん こんばんは
タイタニックのカップル再び,というウリで
この内容じゃ,詐欺ってもんでしょう。
別にシリアスな夫婦破綻物語でもいいのですが
これはあまりにもヒロインのキャラが意味不明でした。
>ディカプリオの価値観を最低とし、
>ケイトが可愛そうだという意見も結構あるのにかなり驚いたものです。
へぇぇ~,そうなんですか?
それは吃驚!結婚しても夢を追いかけたい,というのは
まだ許せるとしても,
彼女からは母性が感じられませんでしたので
私はちっとも可哀そうとはおもわなかったなぁ。
ラストの悲劇も彼女の自業自得で
レオこそが被害者のような気がしました。
投稿: なな | 2010年1月22日 (金) 22時50分
ななさん、こんばんは~♪
ほんっと!何ですか・・・このサブタイトルは?ですよね。
ケイトとレオの演技合戦に関しては、
やっぱり上手いなぁ~と釘づけになり、
物語の展開も飽きることなく惹き込まれましたが・・・
これがケイト&レオじゃなかったら、
観なきゃ良かった的な作品だったかなぁ~と。
だって、観終わって妙な疲れが残っちゃったんだもん。^^;
私も一番イヤだったのは、エイプリルの母性の欠落!
プロセスはどうあれ、共感できません。
ラストは良かったですね☆
投稿: Any | 2010年1月24日 (日) 20時38分
Anyさん こんばんは
サブタイトル,あんまりなミスマッチですよね。
レボリューショナリー・ロードっていうのも
レオたち夫婦の住んでる高級住宅街の名称だったのね。
サブタイトルは無い方がしっくりしてたわ。
>ケイトとレオの演技合戦に関しては、
>やっぱり上手いなぁ~と釘づけになり、
そうですよね~,喧嘩のシーンなんか
鳥肌たつくらいどちらも名演でしたね。
レオは別にアクションなどを排除した普通の役でも
こんなに上手に存在感のある演技ができるんだ,と感心。
この二人の作品だからこそ,集客できたのでしょうね。
無名の俳優さんたちでこのストーリーなら
「なにこれ?」って感じになったと思います。
>一番イヤだったのは、エイプリルの母性の欠落!
>プロセスはどうあれ、共感できません。
愛してない(?)夫の子供だからって
母親が自分であんなことをするなんてね。
あれはありえないと思いました。
投稿: なな | 2010年1月24日 (日) 22時08分