フライ、ダディ、フライ
「これ,面白いよ」という同僚のお勧めでDVD鑑賞。
その言葉通りすっごく面白かった~!。暴力高校生に愛娘を傷つけられた冴えない中年サラリーマンのおっさんが,喧嘩の強い在日韓国人の高校生からトレーニングを受けて,見事に相手をやっつけるお話。リベンジものと,スポコンものと,人情ものの3つの要素が楽しめる,痛快なエンタティーメント作品だ。原作は「GO」で直木賞に輝いた金城一紀。
気弱で体力のないおっさんサラリーマン鈴木一を演じているのは,堤真一。実はカッコいい彼がわざとカッコ悪い役に扮している作品は,容疑者Xの献身ですでに堪能済みではあるが,「容疑者~」の方はヴィジュアルまでドンくさく変貌していたのに比べると,この作品の堤さんは見かけはそんなにカッコ悪くない。老けてもいないし,メタボでもない。
しかし,その表情や動きが,最初はなんとも情けなく,ドンくさいのだ。それがトレーニングを重ねるうちに,どんどん表情が引き締まってゆき,動きも精悍になってゆく。その演じ分けがやっぱりとっても上手い。
一方,おっさんをクールに鍛え上げる高校生パク・スンシンを演じた岡田准一は,ミステリアスで野性的な雰囲気がなんとも素敵で,ちょっと現実離れしたカッコよさだ。切れ長の瞳と,額にかかる前髪がとってもセクシー。
初めはぶっきらぼうで愛想もなかったスンシンと,必死に彼についていくだけだった鈴木が,トレーニングの成果が上がるにつれて少しずつ心を通わせてゆき,スンシンが自分の過去の出来事を鈴木に打ち明ける木の上のシーンはちょっとほろりとさせられた。
もうここまで来ると,彼ら二人ともが,相手から「自分には無いもの」を教えられ,堅い絆ができたんだと思う。
最初は鈴木を「賭けの対象」としてしか見てなかったスンシンの仲間たちも,物語が進むにつれてみんなで一丸となって鈴木を応援するようになる様子も微笑ましく,彼らのおちゃめぶりもややクドい感じはするけれど,いい具合に物語を盛り上げてくれる。
オヤジになっても,守りたいもののために闘うことができる,というのはなんと痛快なことか。「飛べ!おっさん」とスンシンが叫ぶラストのすがすがしさに,思わず笑みがこぼれた。
この作品を韓国でリメイクしたのが「フライ・ダディ」で,岡田准一の役は王の男のイ・ジュンギが演じている。見比べてみたいのだけど,ここ数日,レンタル屋をチェックしてもいつも貸し出し中でまだ観れていない。
こちらはおっさん役の俳優さんが,最初はちゃんとメタボ体型だったのが,実際に物語が進むにつれて肉体改造されてゆく様子が見どころのひとつらしい。それに,「王の男」とはまた違った魅力のイ・ジュンギのアクションも観てみたい。
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» フライ,ダディ,フライ [夢の国・亞洲文化宮]
2005年/日本/2時間01分(レンタルDVD)
監 督 成島 出
原 作 金城一紀『フライ,ダディ,フライ』
出 演 岡田... [続きを読む]
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面白いんですね。
未見でした。
これは、見ておかないとな。
こちらで紹介してもらった作品を何本か観てますが、オススメのものは、間違いないですね。
なので、この映画も観ます。
投稿: 亮 | 2009年10月19日 (月) 07時45分
亮さん こんばんは
いつもコメントありがとうございます。ヽ(´▽`)/
これ,面白いですよ~
男性にも女性にも(子供にも?)楽しめる作品ですね。
痛快でちょっとほろりと来るオヤジ青春物語です。
>オススメのものは、間違いないですね。
そう言っていただけると嬉しいです~。
私は好みが偏っている場合もあるので
亮さんとは好みが共通しているのかもしれませんね。
投稿: なな | 2009年10月19日 (月) 21時20分
ななさん、こんにちは。
日記を読んで興味を持ち、観ました。
スンシンのトレーニングを受け始めたおっさんのヘタレぶりやこっそり呟く愚痴には笑いました。
堤さんのあーゆー演技、好きなんです。
仲間の高校生や、バスのおじさん達の姿に笑いながらも、なんだか色々考えさせられましたね~。そして心が温まりました。いい映画ですね。
投稿: junjun | 2009年10月22日 (木) 16時14分
junjunさん ご覧になっていただけて嬉しいです!
面白かったでしょ?これ。
>スンシンのトレーニングを受け始めたおっさんのヘタレぶりやこっそり呟く愚痴には笑いました。
バナナをやる,というスンシンの言葉に
堤さんが「サルじゃねーぞ・・・」とぼそっと言うとかね(笑)
堤さんって硬派な演技も上手いけど
こんなトボケた演技も上手いですねぇ。
韓国版もやっとレンタルして観ましたが
こちらも別の意味でよかったですよ。
おっさんがイケメンじゃないところがリアルでよかったし
イ・ジュンギくんもカッコよかったし
韓国版で一番気に入ったのは,バトルシーン。
運動場じゃなくて,
体育館のボクシングリングで本格的にやるんですが
そこにけっこう時間も割いていて,感動しました。
投稿: なな | 2009年10月22日 (木) 21時07分
ななさん、こんにちは~!
韓国版、見たい見たいと思いつつ、いまだ見てないんだよなあ・・・。
韓国版のオヤジの方が、へたれ度が高そうに見えるんだけど、日本版は堤さんってことで、カッコ良すぎないか?って最初は思ったんだけど、なかなか良かったですよね。
この親切な高校生達、ゾンビーズだったかな・・・名前忘れちゃったけど、ほんとに良いヤツらなんだ~。他のシリーズもとっても面白いですよ!!もちろん、スンシンも出てきます。
TBだめだったので、アドレスを書いておくね♪
http://blog.goo.ne.jp/latifa/e/c0cb4b3ad4cfb456479617bc0ec7fc36
投稿: latifa | 2009年10月23日 (金) 09時59分
ななさん、こんにちは♪
とってもいい作品でしたね。
鈴木さんとスンシンの交流がいつまでも胸に残っています。
鈴木さんがどんどん引き締っていく様子、おっしゃるように印象的でした。(役者さん自身元々引き締った方ですもんね~)
私は原作小説、韓国版、そしてこの日本版の順に楽しみました。
で、しばらくゾンビーズにはまる日々を過ごしました。(笑)
ななさんのレビューを拝見してまた観たくなりました。
投稿: 孔雀の森 | 2009年10月24日 (土) 11時14分
latifaさん こんばんは
堤さんはルックスがカッコいい分,仕草や表情で
ヘタレぶりを好演してましたね。
韓国版のおっさんは,最初から子だぬきみたいな感じで
カッコ悪いんだけど笑顔がとってもかわいかったりして
イ・ジュンギくんも彼を「父親」みたいに思うようになるとか
そういう演出が心に来ました!
>この親切な高校生達、ゾンビーズだったかな・・・
ゾンビーズって言うんですか。
彼らの他のシリーズもあるなんて知らなかったなぁ。
投稿: なな | 2009年10月24日 (土) 20時16分
孔雀の森さん,コメントとTBありがとう!
いい作品ですよね!
何度観ても,今観返してもきっと新鮮な感動がありますよね。
一見不可能なことにチャレンジして
どんどん変貌していく人間の挑戦物語って
いつも勇気をもらえるような気がします。
原作小説も読みたくなってきました~。
>しばらくゾンビーズにはまる日々を過ごしました。(笑)
おちゃらけメンバーだけどいい味ありますよね。
リーダーの男の子,爽やか系のイケメンだし。
投稿: なな | 2009年10月24日 (土) 20時35分
岡田くん、本当に現実離れした格好よさでしたね~。
すっかり魅了されてしまいました。
木の上のシーン、良いですよね。作り物っぽい夕日もメルヘンチックで雰囲気でていたと思います♪
投稿: IHURU | 2010年6月29日 (火) 00時36分
IHURUさん こんばんは はじめまして
お越しいただいてうれしいです♪
わたしはこの作品で初めて岡田くんを知りましたが
(なんせ普段はTV観ないもんで)
なんか性別を超越した美しい青年ですね。
物語のテーマそのものも
万人受けする爽快感にあふれるものでしたが
岡田くんや堤さんの魅力で
より一層素晴らしい作品になっていたと思います。
投稿: なな | 2010年6月29日 (火) 23時18分