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2009年10月 9日 (金)

藍色宇宙(メイキング)

Cap087_2    

藍宇のDVDに特典として入っているメイキング。「藍色宇宙」という題名もロマンチックな響きで素敵だけど,内容がまた素晴らしい。ある意味,本編より感動ものだ。

まず最初に驚いたのが,撮影風景や作品中の印象的なシーンに被さるように,挿入される胡軍(フージュン)さんと劉燁(リウ・イエ)のコメンタリー。普通のメイキングの場合,撮影秘話や演技上の苦労や役作りの工夫など,役者本人の気持ちが語られるものだけど,このメイキングは違う。胡軍さんも劉燁も,役の中の人物になりきって,物語のその折々の場面で藍宇として,また捍東として感じたことを語っているのだ。これは嬉しかった。
Cap128
台詞の少ない本編だけでは推察しきれなかった二人の気持ちが言葉で表現されると,「ああ,あのときの藍宇はこう感じていたんだ」「捍東の気持ちはこんな風に変わっていったのか」と,主人公たちへの理解が深まり,二人への愛しさも増す。

特に劉燁が演じた藍宇の気持ちがわかると,この物語ってなんて切なさが増すんだろう!捍東と初めて出会ったとき・・・・・彼に捨てられたとき・・・・そして,偶然の再会から愛が再燃するとき・・・・それぞれのシーン,劉燁の言葉で綴られる藍宇の心の声。

特に好きなのは,藍宇の部屋で酔いつぶれた捍東を起こすシーンの藍宇の気持ち。彼の捍東への深い愛情が,たまらなく切なく心に沁みてくる。・・・しかし,このような心境がサラリと口を突いて出てくる劉燁という俳優の感性にも,空恐ろしいほどのものを感じるけれど。
Cap021_3
いったいこの懐かしさは何だろう。愛する人と過ごしたあの頃の感覚が戻ってくる。あの頃と同じ寝顔,僕が何年も思い続けた人だ。・・・・彼に抱きしめられた。一瞬で昔に戻ってしまった。一緒に過ごした頃に感じていた空気。声もまなざしもすべて昔のまま。だから,昔に戻るのに言葉はいらなかった。気持ちを確かめる必要もない。熱い誓いも甘い囁きも何もいらない。必要なのは心だけ。


ジョニー・キャッシュの曲「Spiritual」(歌っているのはジョシュ・ヘイデン)のシンブルで美しい調べを背景に,捍東が回想するさまざまな藍宇のシーンが連続して流れる場面に来ると,私はいつも号泣モードに心地よく突入。

それにしても胡軍さんも劉燁も,スクリーンの中では完全に捍東と藍宇として生きていたんだ,とあらためて脱帽。そうでないと絶対に出てこない迫真の泣かせるコメントばかり。
Cap168
スタンリー・クワン監督の演技指導
にも驚いた。とにかく細かいと言うか,ねちっこいと言うか。(←褒めてます) 特にラブシーンを指導するときの,監督のこだわりといったら!手の動きの順番まで細かくダメ出しする監督の指導に,比較的柔軟に対応している(ように見える)劉燁に比べると,ちょっと困惑した(ようにも見える)生真面目な表情の胡軍さんの様子がまたツボで。

カットされた二人のシーンも随所に入っていて,二人が絡むシーンは,とにかく全部観たかったのに~!と,悶々とすることしきり。
Cap186
私は本編と,このメイキングをいつもセットで観て,そして毎回メイキングの方で泣いてしまう。本編で飽和状態になった涙が,メイキングで一気に溢れる感じだ。今まで出会った作品のメイキングと言われるものの中で,最も愛してやまないメイキング・・・それが「藍色宇宙」。・・・・画質がイマイチなのだけが,唯一残念だけど。

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コメント

ジョシュ・ヘイデンの“Spiritual”のことを記事にしてくださって、どうもありがとうございます。

たとえ『藍色宇宙』で使われていなかったとしても、私はこの曲が大好きになったろうと思いますが、いまじゃ外出先でiPodでこれが流れると、反射的に劉燁の顔と声が浮かぶ体になってしまいました。

で、ななさんにお伺いしたいのですが。
ここでの胡軍と劉燁の「語り」は、「コメンタリー」なんでしょうか?
私はこれは、非常に精緻に作り込まれた脚本があって撮られたものだとばかり思って観ておりまして。
つまり彼らの語りは、「捍東」と「藍宇」としての独白(=脚本家ジミー・ガイがこのメイキングのために書きおろした台詞)なのではないかと。

メイキングではあるんだけれど、ある意味もうひとつの本編、『裏・藍宇』とでも呼ぶべき単独の「作品」として、スタンリー・クワン監督はこれを撮ったと思うんですね。それはもしかしたら、本編にクランクインする前に既に、監督の頭にあったことなんじゃないかと。
だって、それほどの完成度ですもんね(笑)。
なので敢えて、「おいおいなんでそれ本編に入れてくれん!!」なおいしいシーン(笑)を悉くばっさばっさとカットし、それらをこっちで再構成して、まったく違う世界を出現させようとしたのではないかしら、と。


自分はまだまだこの「作品」を噛み砕くところまで至っていないので、言語化には時間かかると思うんですが、彼らのあの語りがそれぞれ素の役者としてのコメンタリーだったのであれば、ちょっと解釈を改めなければなりません。
もしもななさんがそのあたりの事情をご存じでしたら、ご教示くださいませ。すいません、私、DVD観た限りじゃよくわかんないくて……。

レッドさん こんばんは。

メイキングの二人の独白がコメンタリーか脚本があるかどうかは,私も知らないのですよ〜。というかレッドさんにご指摘いただくまで,彼らの台詞が脚本だという発想が浮かんだことがなくって。普通,映画のメイキングに脚本が存在するなんて考えませんもの。でもこの監督さんの感性から考えると,そういうこともあるかもしれませんね。

彼らの,あんなに心を打つ台詞が脚本ありだったとすれば,ちょっとショックです。彼らが自分達の役になりきり,役を解釈したうえで自然と出てきた台詞だとばかり思っていましたから。
そこらへん,誰か本当のところをご存知の方がいたら教えていただきたいです。脚本ありだったとすれば,私の方こそ感想を修正しなければ。

レッドさん 続きです。そういえばメイキングの一番目おしまいに「脚本ージミー・ガイ」と出ましたが,その直前に本編の名台詞がいくつか出てましたので,私は本編の脚本家としての紹介だとばかり思っていました〜。ほんとのところはどうなのか,また調べてわかったら教えてくださいね。

私としては彼らのオリジナルコメントだと信じたい気持ちですけど…。

こんにちは。
お久しぶりです。

この映画の記事を何度も読んで、やっと気づいたのですが、この男の人は、レッドクリフの超雲役だった人ですね。
あのときも、バッサバッサと敵をなぎ倒すかっこいい男を演じてました。
ある意味、はまり役かもしれませんね。

亮さん こんにちは
あいかわらずお忙しそうな雰囲気ですが,三連休は少しはのんびりできましたでしょうか?

>この男の人は、レッドクリフの超雲役だった人ですね。
そうです~,このひと(=フージュンさん)はレッドクリフの超雲でした。この作品ではまったく雰囲気違いますが(レッドクリフは内面の演技はそんなに要らない作品ですので)こんな風な,繊細な難役も素敵に演じてくれる俳優さんですよ。また機会があればぜひ~。

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