好きなシーン−劉燁−
藍宇の映画の中でも特に好きなシーンについて。
劉燁(リウ・イエ)と胡軍(フー・ジュン)さんのお二人それぞれについて,一つずつあげるとすれば・・・。(なぜか兄貴キャラの胡軍さんにだけ「さん」づけになっちゃう癖が・・・)
まず劉燁のシーンから。一番好きで,この人上手いなあとつくづく感心したのは・・・
↑このシーン。
再会後にアパートで捍東に手料理をふるまった後,台所で洗い物をする藍宇。彼に向って,懐かしげに昔の思い出を語る捍東。
「今住んでる貸家の裏庭に花を植えた」と言う藍宇に捍東は,「今も花が好きなのか。覚えてるか?ある年の俺の誕生日に,部屋中を花で飾って,オレの花粉症を悪化させただろう?」と言う。そして,その台詞に対する藍宇の反応が,すごくデリケートなのだ。
この時の二人は,再会はしても,まだ元の恋人関係に立ち戻ってはおらず,肉体的なヨリが戻るのはこのすぐ後。捍東は自分が捨てた藍宇に対して,どこか後ろめたそうで,機嫌を取ってるような雰囲気も感じる。一方,藍宇の方には,やや身構えているような他人行儀な硬さがある。
笑顔で思い出を話す捍東と違って,鏡に映る藍宇の顔は真顔だ。顔を上げ,捍東の顔をいっとき何か言いたげに凝視する。この時の劉燁の表情がいい。まるで古傷に不用意に触れた捍東を咎めるかのような,ちょっと微妙な表情をするのだ。
そして一拍遅れて「・・・そう?」と答え,捍東から視線をそらして,ようやくうっすらと微笑み,「そうだった・・・」と言葉を続ける。
藍宇が昔のことをすっかり忘れてしまったのかと思った捍東は,「何もかも忘れているようだな。俺の会社の電話番号も(忘れてたし。)」とからかうが,「忘れた方がいいこともあるから。」と藍宇に返されて,ちょっと気まずそうな顔になる。
あのね,捍東。
藍宇があなたとの思い出や,
会社の電話番号を忘れるわけがない。
でも,楽しかった過去を思い出すのが辛い気持ちもあったから,忘れたふりをしたんだと思うよ。あなたを諦めるのがあまりにも辛かった藍宇は,あなたを忘れようと,思い出を封印して生きてきたのかもね・・・・と,私はこのシーンを観るたびに捍東に言いたくなる。
この地点ではまだ藍宇を運命の相手だと自覚してなかった捍東と,捍東だけを深く愛している藍宇。これは,そんな二人の気持ちの温度差がよく表れているシーンだと思う。そしてまた,捍東に捨てられたことが,藍宇をどれほど傷つけたか,というのもよくわかるシーンだ。
鏡を使った演出も,風情があって心憎い。
それにしても劉燁!なんて深くて,それでいて自然な演技。特にこのシーンの彼は,ほんのわずかな表情や声音の変化だけで,藍宇の心情をよく表現していた。考えたり計算して演技してるのではなく,もはや藍宇が憑依しているとしか言いようがない。このシーンを観るたびに,藍宇のいじらしさに萌える・・・。
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