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2009年7月の記事

2009年7月30日 (木)

いつのまにか2周年

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みなさま,こんにちは。

いつも読んでくださってありがとうございます。このブログも,この8月で無事に2周年を迎えることができました。無我夢中で過ぎた最初の1年に比べると,なんとか自分のスタイルも確立し,落ち着いてきた・・・かな?

いつも言ってることですが,大好きなもの(=映画)について,同じ思いを持っておられるみなさんとのおしゃべりはとっても勉強にもなり,癒しにも励みにもなるんです。ネタと体力が許す限り,これからもこんな風に,このブログを続けていけたらいいなぁ・・・なんて願っています。

それにしても,自分がなんでこんなに映画にハマったんだろうって,ときどき考えるんですよね・・・・。考えてみれば,映画なんて自由に観にいける状況じゃなかった少女時代とかは,とにかく本ばかり読んでました。お話が好きで,それも外国のお話が好きでした。自分でお話を作って独り言を言ったり夢見たり・・・そんな変わった子供(ちょっと不気味?)だったように思います。

物語も,ストーリーの派手なものより,登場人物の気持ちの微妙な変化を追っていくようなデリケートなものが好きでした。そんなこんなで,対人関係でも,ついつい相手の心の裏とかを読もうとするような,可愛げのない人間になってしまったわけですが。

映画というのは,基本はお話の映像化なんですよね。
だから,お話の好きな私が,映画にもまたハマるのは考えてみれば当然のこと。・・・そしてお友達ブロガーさんのほとんどが,映画オタクだけではなく,同時に読書家でもあるのもまた当然なのかもしれません。

映画の場合,登場人物の心情の変化を伝えるのは,よく練られた台詞だったり,俳優さんの表情やしぐさだったり・・・・。特に原作がある映画の場合は,本来は文字で語られていたさまざまな事柄を,俳優さんの演技や,監督の演出や,BGMなどで総合的にこちらに伝えてきてくれるわけで・・・・。結果として,小説だけでは味わえない,視覚や聴覚に訴えてくる感動が映画からは得られますよね。

きっと私は,いつも映画をどこか「小説を読む」ような感覚で観ているのだろうと思います。小説と同じ感動を期待して観ているので,御贔屓の俳優さんも本当はルックスではなく完全に演技力重視です(嘘つけ!と言う声があちこちから・・・

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ま・・・でもやはり観る分には,
美しいお方の方が目の保養にはなりますなぁ・・・

こんな私ですが,
これからもよろしく付き合ってやってくださいませ。m(_ _)m

この世に映像化されるべき素敵な物語と,
素晴らしい俳優さんがいる限り,
映画への愛は不滅
だと思いますゆえ・・・・

2009年7月29日 (水)

アマルフィ 女神の報酬

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事件の真相を求め,
外交官・黒田がイタリアを駆ける。


すいません・・・・フジテレビ開局50周年記念作品と聞いて,まったく期待せずに観た~

あらすじ: クリスマス目前のローマ。亡き夫との思い出が詰まった街で、矢上紗江子(天海祐希)は最愛の娘の失踪(しっそう)するという最悪の事態に見舞われてしまう。身代金目的の誘拐か、それともテロか……? 犯人グループが警察の包囲網をかく乱し、捜査が一向に進展しない中、事件の真相に迫る外交官・黒田(織田裕二)は、ある事実に行き当たる。(シネマトゥデイ)
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でもね,結論から言うと,
これがなかなか楽しめたのだ。

オールイタリアロケ?
イタリアの中で日本人が活躍するというお話からして嘘っぽいなぁ~と斜めに構えて観始めたのだけど,この作品,どんどん尻上がりに面白くなってきて,ラスト近くでは,すっかり登場人物たちにもしっかり感情移入しながら,ハラハラドキドキすることができた。

娘を誘拐された紗江子と,外交官の黒田が犯人に翻弄されながら駆けまわるローマの名所。サンタンジェロ城やスペイン広場などは,どうしても先日観た天使と悪魔を思い出し,新鮮味に欠ける気もするが,映像はこちらの方がずっとオシャレで美しい。
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イタリアの街並みも,どんなお洒落なファッションもサラリと似合う福山さん(=友情出演)・・・・さすが。一方,織田さんはどんな作品でも同じファッション(=黒コート)にも思えるけど・・・それが一番似合うんだなぁ。いやしかし,中年になってもお二人とも素敵です。

誘拐犯人とのやり取りを中心に廻っていた物語は,次第に犯人グループの真の目的を少しずつ露わにしながらスピーディーに進む。謎解きやアクションはそれほど斬新でもない。それより,この物語はヒューマンドラマ的な感動の方が大きいかもしれない。
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気丈で気の強い紗江子と,無愛想と辛辣の塊のような黒田。最初はよそよそしく冷ややかな雰囲気だった紗江子と黒田の間に,少しずつ理解や共感,信頼といった感情が生まれていく過程がとてもよい。

そしてもう一つ・・・・,犯人たちの本当の狙いとその動機,そして目的を遂げようとしたそのクライマックスシーン・・・・。これもありがちではあるが,なかなかグッとくる場面だった。

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特にこの作品で,うっとりするほど美しいものは三つ・・・
それはクリスマス前のローマの街並みと
陽光あふれるアマルフィの景色と,
サラ・ブライトマンの甘く伸びやかな歌声。

あと,天海祐希さんも美しかった・・・・。

肩の力を抜いて楽しく観れるエンタメ作品としてお勧めです。

2009年7月26日 (日)

ハリー・ポッターと謎のプリンス

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ハリーポッター・シリーズはこれまでのも欠かさず観てるのだけど,なぜかこのブログに記事を書いたことはないなぁ・・・・。おまけに原作も「炎のゴブレット」までは読んだけどそのあとは飽きて買ってもいない・・・。でも,やっぱり映画化されると,気になって観てしまう。魔法大好きだし,ダニエル君たちの成長も見届けたいし。

あらすじ: ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)の支配力が強大になっていくなか、ハリー(ダニエル・ラドクリフ)とダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)は、ヴォルデモートの防御を解く手がかりを探るため、極めて重要な情報を握っているダンブルドアの旧友で元同僚ホラス・スラグホーン(ジム・ブロードベント)を学校に迎え入れる。(シネマトゥデイ)
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今作は全体的にとってもダークな雰囲気だった。

ヴォルデモートの闇の力が水面下で拡大していき,不穏な空気がそこここに立ち込めている感じ。いよいよ迫ってくる最終決戦に備えて,ダンブルドア校長とハリーは,ホグワーツ時代のヴォルデモート(=トム・リドル)の秘密を探ろうとする。
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今回も原作の大胆な省略などもあったようだけど,原作を読んでないので,どこを省略したかわかんない・・・・。今までの物語に比べると,「なんか緊張感や盛り上がりに欠けてない?・・・・地味?」と思いつつ観てたら,悲壮感の漂うラストで,「ああ,今回のは最終章へのつなぎの作品なのね~」と納得がいった。(←全然予習せずに観る主義なんで)

ふむふむ・・・
つなぎの割には面白く出来てるじゃん!

思えばこのシリーズがスクリーンに誕生してからもう8年・・・・。
少年だったラドクリフ君たちも,もう立派な青年だ。
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ハリーの成長とともに,ラドクリフ君やエマちゃんたちの外見も,素敵な青年に成長していってるのをスクリーンで確かめるのは楽しい。特にエマちゃんはすっかり女性らしく綺麗になった・・・・(ロンにゃもったいないんじゃないかい?)

ラドクリフ君もすっかり凛々しくなって・・・・。ハリー以外の役のイメージが浮かばないってのが,ちょっと心配なのだが。今後の俳優活動ね・・・・。
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ロンを演じるルパート君は,顔や雰囲気はまったく変わらずに,デカくなっただけ~,という感じもするが,今回もいい味出してた。惚れ薬が効いてるときの彼の演技最高!それと,ハリーとジニーの間に割り込んで邪魔するシーンとかも・・・。

ラドクリフ君とルパート君の二人は,もうずっとコンビを組んでるから,演技の呼吸を合わせるのもとっても上手い気がする。
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そして,11歳のトム・リドルを演じた少年が,レイフ・ファインズにやけに似てるな~,よくこんなにそっくりの子を見つけてきたな~と感心してたら,演じたヒーロー・ファインズ・ティファン君って,レイフの実際の甥なんだって?・・・・なるほど似てるわけだわ。芸能一族のファインズ家・・・,美形の家系でもあるのね。

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しかし,タイトルの謎のプリンスがあの人だった・・・という種明かし,あまりにもあっさりしすぎてて拍子抜け。原作はそこらへんもっと詳しいのかな?

そもそもスネイプ先生(←なにげにお気に入りなんだけど)って純然たる悪役なん?最終章まで観ないとわからないのだろうけど,気になって仕方ない。(←だったら原作読めよ~

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ラストは,決戦前夜のような静けさと悲壮感がそこはかとなく漂い・・・・次回作が待ちきれなくなってきたし,今までの作品も全部再見したくなっちゃった。
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このひとはやっぱりこうゆう役,最高にハマるねぇ~。   
 

2009年7月22日 (水)

ノウイング

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地球消滅
・・・その時,人類は何を残せるのだろうか。

あらすじ: 50年前の小学生たちが埋めたタイムカプセルから、数字が羅列されたメモを持ち帰った小学生ケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)。彼の父親で宇宙物理学の大学教授ジョン(ニコラス・ケイジ)は、その数列を解析し、激しく動揺する。その数列は、実際に起きてきた過去の惨事と、これから先の未来に起こる災難を予知するものだった。(シネマトゥデイ)

観終わったときに,「あれ~,これってテーマはもしかしてアレかなぁ?」と・・・・。
・・・・以下,独断と偏見とちょっとネタばれのレビューを展開しますので,よろしく。

人類や地球の滅亡の危機とその回避を描いた作品は数多くあれど,これはラストほんとに●●してしまうので,聖書に預言されている神の手によるこの世の終わりを描いたものなのだと思う。だとすれば,誰もそれを止めることはできないのは当たり前で。(厳密に言うと,日時までは誰も預言すらできないハズだが)
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聖書には,神は火と硫黄でこの世を滅ぼす・・・とあるので ,太陽が原因で滅亡する,という設定は理にかなっている。そして,この物語が一番描きたかったことって,「その時,選ばれた者が天に引き上げられる」ということなのかなぁと。・・・・キリスト教用語ではこれを携挙(=けいきょ=Rapture)と言うのだけど。

※この世の終わりに先だってやってくる大艱難(かんなん)時代の前にキリストの再臨が起こり,その時地上にいたキリスト者は,復活したクリスチャンたちと共に天に引き上げられ,「空中で主と会う」。これをクリスチャンは携挙(携え挙げられる)と呼ぶ。(携挙は大艱難時代の後という説もある。)
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↑再臨のイメージ

50年前にタイムカプセルに封印された予言の数々を紐解いてゆく主人公の宇宙物理学教授。従来の滅亡ものなら,彼が何とか滅亡を食い止めてくれるはずなのだが,ラスト近くまでいろいろ奔走するわりには,やはりそれは無理だった・・・・(この展開にがっかりした人も多いはず)

抗えない力によって滅んでいく地球,そして
救われるものと,残されるもの。

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うーん,これはやっぱり,パニックやSFの味付けをされた宗教映画なんじゃないかな?特に現代は,いつ何どき世界が滅んでもおかしくないと,キリスト教圏の人たちは内心思ってるはず。

ただ,滅亡と携挙だけを描いたって抹香臭くって面白くないから,予言の解読やら迫力ある災害シーンやらを組み入れて前半をサスペンスフルに盛り上げ,天使を登場させるとドン引きされる怖れがあるから宇宙人っぽくアレンジし,信者だけが救われるというストーリーにするとまったくの伝道映画になっちゃうから,信仰は関係なく予言を聴くことができた人間」が引き上げられたというふうにアレンジしたんじゃないかしら?・・・深読みしすぎ?
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あの,子供たちが空中に昇っていくシーン・・・・宇宙船のようにも見えたが,漂う神々しいまでの荘厳なムードは,やはりこれは携挙だわ・・・と,きっと白けて観ていたに違いない周囲の観客(そんな雰囲気だった)のなかで,私はちょっと感動して祈りたい気分になった。

ニコラス・ケイジが息子と別れるときに言った「今にわかるよ・・」という台詞も,最後を迎えるシーンで牧師の父が「これが終わりではないよ」と言った台詞も,クリスチャンなら腑に落ちる。なぜなら,残されて滅ぼされたかのように見える者にも,セカンドチャンスという救いの道が用意されていることを知っているから。(ややこしいのでこれの説明は省略)
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そんなわけで,キリスト教圏以外では,ラストの展開は???と思われても仕方ない作品かもしれない。

でも,中盤までの展開はなかなか斬新で面白く,また,航空機や地下鉄の事故の映像の迫力と臨場感はすごい!人々の苦悶する様子や音声も,とてもリアルでそれだけに恐ろしさが伝わってきた。これはやはり大画面で観るべき。

ただ,ラストのラストのあのエデンの園みたいな映像は・・・あれは要らんかったかな。
付け足しすぎ!あのシーンで終わられると脱力する人多かったのでは?

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おまけ。びみょ~に似合わないツーショット。   

2009年7月20日 (月)

アンティーク~西洋骨董洋菓子店~

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なんて素敵で可愛らしいお話~,
これ大好き!


映画を観てから,原作のよしながふみさんの漫画「西洋骨董洋菓子店」を即購入して読んだ!おおおお~,なんて原作に忠実なんだ!キャラも台詞も雰囲気もここまで原作通りだったとは!これは原作ファンにはたまらん作品だろう。
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過去に誘拐され,犯人から毎日ケーキを食べさせられたというトラウマから,甘いものが実は超苦手なオーナー,ジニョク(原作では橘)。彼が「アンティーク」を開いたのは実は「ある目的」もあったのだが・・・・・。ジニョクを演じたチュ・ジフンさん,(麻薬問題で今は大変そうだが・・・・)今作で初見。コミカルでダンディ,そして時にはデリケートなジニョク=橘のキャラを素敵に演じていた。
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ジニョクとは高校時代の同級生で,卒業間際にジニョクに告白し,こっぴどく振られた経験を持つ,天才パティシエにして魔性のゲイ,ソヌ(原作では小野)。

フジテレビでTVドラマになった時は,この小野くんの役は藤木直人さんだったらしいが,「魔性のゲイ」という設定がカットされてたそうで,それじゃ~,アカンやろ,小野クンの魅力が発揮できんだろ!と思ったのだが(私は未見です),この韓国映画版では,ちゃんと原作どおり,ソヌ=魔性のゲイのキャラになってて嬉しかった~。
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ソヌを演じたキム・ジェウクさん,厨房で働くときはソフトでシャイで癒し系のパティシエだが,いったんクラブに繰り出すと髪形から雰囲気からがらっと美しく妖しく変身して・・・・とってもいい感じ!(原作通りという意味よ)彼とジニョクとの腐れ縁的でどう転ぶかわからないスリリングな関係も原作通り。
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そして,ジニョクを「」と呼んでお仕えする幼馴染のスヨン(原作では千影)。原作の中でも最も好きなキャラだ。彼の純情さ,優しさ,不器用さ,そしてKYさ,頭の悪さ・・・・どれもがみんな愛おしい。TV版ではなんと阿部ちゃんがやってたそうで・・・う~む,阿部ちゃんの千影も似合うなぁ。

ただ,4巻もある原作では,彼のキャラの魅力やエピソードが,これでもかと堪能できるのだが,2時間の映画では,やはりそこらは時間不足。特に彼とソヌとのプラトニック・ラブの顛末はあっさり描かれすぎてて,ちょっと残念。(「雨の中でクルクル」・・・観たかったのに~)
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最後に,ソヌを師匠と崇拝する,元ボクサーの孤児,ギボム(原作ではエイジ)。TV版では,この役は滝沢クンがやってる。

彼は無類の甘いもの好きで,試食と称してお店のケーキを片っ端から食べるシーンがしょっちゅう出てくるが,あんな綺麗なケーキをまるで饅頭でも頬張るように食べられると・・・・ちっとも美味しそうじゃないんですけど~~と何度もつっこみたくなった。菓子職人としての彼の成長物語や,生い立ちのエピソードも,原作ではしっかりと描かれていたのに,映画版ではやっぱり薄くなってたかな?
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しかし,2時間の中に,「これだけははずせない」という要のエピソードや,スパイスの効いた台詞は原作通りきっちり盛り込んでくれていて,製作側の原作への敬意が感じられた。というか,よしながふみさんの原作を,ほんとに愛して読み込んでないと,ここまで忠実に作れないと思う。

TV{ドラマ版も観たくなってきたなぁ・・・・。
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2009年7月19日 (日)

アラトリステ

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ヴィゴさま祭り第2弾!
斜陽の時代を迎えた17世紀のスペインを舞台に,最高の剣士と謳われた歩兵連隊の古参兵,ディエゴ・アラトリステを主人公にした冒険小説の映画化。

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あらすじ:
17世紀初頭、西欧を支配下に置くスペインでは、国王フェリペ4世の代わりにオリバーレス伯爵(ハビエル・カマラ)が国政を牛耳っていた。1622年、国王に仕える兵士ディエゴ(ヴィゴ・モーテンセン)は、遠征中のフランドルで果敢に戦い帰国する。1年後、マドリードに戻った彼のもとにイギリス人二人を暗殺せよという依頼が舞い込むが……。(シネマトゥデイ)

ハッキリ言って,原作を読んでいるか,世界史によほど精通してないと,ストーリーの細かい事情はわかりにくいかも。
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80年戦争ってなに?
フランドルってどこの国?
スペイン歩兵って?

頭の中が???でいっぱいになるうえ,役者も特に男優に至っては,鍔広帽子に黒マント,口髭ぞろいなので,誰が誰やら混乱する。最初からはっきり区別がついたのはヴィゴとノリエガくらい・・・・。
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デビルズ・バックボーンでイケメン悪党を演じたノリエガは,今作では,ヴィゴを支援する貴族,グアダルメディーナ伯爵を演じていて,なかなか素敵だ。

しかしそれ以外のスペイン圏の俳優さん,よく知らないし。いったい何が理由で誰と誰が闘ってるのか,どの場面でもいまいち確信が持てないまま,お話はどんどん進む・・・・あああ。
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凝った映像は,まるでその時代の絵画を観ているようで,たいそう美しく格調が高い。役者の演技もそれぞれにハマっている・・・ので,これでお話がもっとよくわかったら,ずっと楽しめただろうと思う・・・・。
しかしそれは私の予習不足が悪いのだろう。Σ(;・∀・)

しかし,ヴィゴの扮するディエゴは,
まことに惚れ惚れするほどのいいオトコぶりだった。
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豪放で果敢な戦いぶり。
亡き友人の息子,イニゴへの細やかな愛情。
闘いの合間には,
裏稼業で生計を立てることも厭わないしたたかさ。
そして,恋人マリアへの純情ともいえる深い想い・・・。

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ヴィゴの喋る,セクシーでハスキーなスペイン語の響きもうっとりするし,当時の剣士のコスチュームも,剣さばきもキマってる。(まあ,ヴィゴはすっぽんぽんも含めて,どんな格好でもキマるのだけど

もともとが冒険小説だから,痛快でロマンチックでドラマティックであればそれでよし!という物語なのかもしれない。
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この作品全体に漂う,中世のスペインならではの,ダークでエキゾチックな香りを堪能するのも楽しみ方の一つかと。

それにしても,原作は何巻もあるらしいし,映画も続編が製作されるのだろうか?ちょっと楽しみ。だって,ヴィゴのカッコよさは,年々磨きがかかってゆくみたいなんだもん・・・
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2009年7月14日 (火)

アパルーサの決闘

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エド・ハリスが監督,主演した西部劇。
出演陣がエド・ハリスの他にヴィゴ゙・モーテンセン,ジェレミー・アイアンズとくれば,おじさんフェチには眼福このうえない作品。私はおじさんフェチではないが,ジェレミーもヴィゴも好きなので・・・・

砂埃の舞う街アパルーサ。そこに居座り,街を乗っ取ろうとたくらむ悪党一味。ボスのブラッグを演じるジェレミー・アイアンズ。このひとは善人役も悪人役も幅広く演じ分けられる達人だけど,今回は粗野で抜け目のない悪党ぶりを好演。
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やりたい放題のブラッグ一味を取り締まるために雇われた,保安官ヴァージル・コール(エド)と,エヴェレット・ヒッチ(ヴィゴ)
このお二人のツーショットの様になること!
そして演技の呼吸の合うこと!
そして二人の服装やしぐさの,これまたキマっていること!

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エド・ハリスの演じるコールは,ガンマンとしての腕は一流だが,純情な一面もあって,したたかな美女に手玉に取られたり,語彙が乏しく,しょっちゅう相棒のヒッチに「・・・なんて言うんだっけ?」と尋ねたりするところ,なかなか母性本能をくすぐられるヒーローだ。いくら強くても,メンタル面で「あんたってほんと世間知らずなんだから,も~」と構いたくなってくるキャラ。
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そして,そんな風に時々危なっかしくもあるコールを,控え目に,しかし頼もしく補佐する役目を果たしているヒッチ(ヴィゴ)。 彼はいわばコールの女房役で,そしてコールより頭もいいんじゃないか~?と思う。彼はいつも冷静だし,相手の本性や先の見通しも的確に読めるから。そしてコールのためなら,わが身を少々犠牲にしても厭わないほどの献身的な友情も抱いている。
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ま,ひとことでいえば凄く渋くてカッコいい,まさに「男は黙って・・・」というタイプなのだが,こりゃ当然,ヴィゴのハマり役。ヴィゴさま,ほとんど演技なんかしてないんじゃないか?と思うほど自然にしっくりとキマっていた。

ひとりミスキャストを挙げるとすれば,二人の男(いや三人か?)の間で,状況に応じて誰にでも身体を許す魔性の女アリーを演じたレニー・ゼルウィガー。
思いっきり似合わん!!

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もちろん彼女は素晴らしい女優さんだけど,ファム・ファタールというよりは,やはりコメディエンヌの器だ。恋人がいつ命を落とすかわからないあんな物騒な時代に,「トップの男をつかまえたい」野心を持った,したたかで計算高い女性を演じるのは,やはりもっとセクシー美女でないと。

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・・・・見よ!このカッコよさ!
初老の男のダンディズムに酔える作品だし,エドがこだわりまくって撮ったんだろうなぁ~と,その心意気は評価してあげたいなぁ。お話は・・・・まあまあかな?ヴィゴのファンはお見逃しなく! 

2009年7月 8日 (水)

劔岳 点の記

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明治時代末期に,陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が北アルプスの立山連峰で実際に行った山岳測量を題材にした作品。日本地図を作るために,前人未到の劔岳登頂に命を賭けた男たちの物語だ。

あらすじ: 明治40年、日本地図完成のために立山連峰、劔岳への登頂に挑む、陸軍測量手の柴崎芳太郎(浅野忠信)ら7人の測量隊。山の案内人、宇治長次郎(香川照之)や助手の生田信(松田龍平)らと頂への登り口を探すが、生田が足を滑らせけがを負ってしまう。大自然の厳しさを見せつけられた測量隊だったが、柴崎と宇治はある言葉を思い出し……。(シネマトゥデイ)
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不屈の信念を持って為すべきことをやり遂げた男たちの物語を,同じく不屈の信念をもった監督が,妥協することなく緻密に撮りあげた作品だった。その見上げた職人魂に,惜しみない拍手を贈りたい。

撮影助手出身だという,木村大作監督の映像の素晴らしさ。この映画の真の主役ともいえる,立山連峰の大自然を,目が覚めるほどクリアで美しい色彩と雄大なカットで映し出した各ショットには,ただただ息を呑むばかり。

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全編CGを一切使ってない
,という監督のこだわり。どうやって撮ったんだろう。」「日本にもこんな美しい場所があるのか・・・」と何度も心の中で唸りながら,大自然の美しさと厳しさは表裏一体だという,劇中の台詞に深く感銘。

手抜きすることなく,丹精込めて作り上げた作品は,やはりCG作品とは一線を画する重厚な輝きがあり,撮影するスタッフも,そしてそれに付き合った俳優陣もどんなにか大変だったろうと,その苦労が偲ばれる。聞けば,数ショットの場面のために俳優たちは9時間も山道を歩かされたとか・・・・うわぁ。

・・・と,ここまで映像のことばかり褒めてきたが,もちろん見どころはそれだけではなく,劔岳の登頂達成を通して,明治という時代に生きた人々の持つ強靭さや真摯さや,礼節を重んじる精神などなど・・・・日本人であることが誇らしくなってしまうような感動が詰まった物語だった。

劔岳登頂を目指す人々・・・・。
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主人公の測量官,柴崎芳太郎(浅野忠信)は,功を焦らず常に冷静に使命を果たそうとする誠実な人物で,予測のできない事態が連発する一行を率いるには,最高の司令官だったと思う。彼の礼儀正しく思いやりの深い人柄に触れるうちに,最初はぎこちなかった人足たちの心も,次第にひとつにまとまっていく。

浅野さんって私はこの作品が初見だったのだけど,和製ショーン・ビーンにも見えなくもない,お顔は地味ながら,なかなかカッコいい御仁で,スタイルや姿勢がいい!(足長っ!)
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そしてもう一人の主役といってもいい,山の案内人を務める宇治長次郎(香川照之)。まぁ,これ以上のハマり役はないでしょう。山のような荷物を背負って蓑や菅笠を身に付けた扮装のよく似合うこと!

謙虚で寡黙で,なんとも頼りがいのある山歩きのプロ,長次郎。ウィキで調べたところによると,登頂するときに登った三ノ沢雪渓は,彼の名にちなんで,長次郎谷,または長次郎雪渓と呼ばれているそうな。とにかく山が好きで,自然が好きで,純粋にその能力を使ってお役に立ちたい・・・というひたむきな思いが全身から伝わってくる香川さんの演技に今回も脱帽。

しかし,演技力だけでなく,
相当な体力が要っただろうな・・・この役

ほんに,御苦労さんでした。m(_ _)m
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あと,仲村トオルさん(ダンディ!)だとか,宮崎あおいちゃん(日本女性の鑑!)だとか,役所広司さん(渋い!)だとか,笹野高史さん(今回はヤな役)だとか,そのほかも,脇役に至るまで名優ぞろい。

鑑賞後は,ごく自然に衿を正したくなる作品だった。これからはどんな小さなことにも誠実に,困難にめげずに頑張ってゆこう・・とか,評価されてもされなくても,自分の務めは最後まで果たそう・・・とか,そんな思いにかられてしまった。・・・願わくば,この思いが三日坊主になりませんように。

2009年7月 4日 (土)

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン

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ジョシュ・ハートネットも・・・・イ・ビョンホンも・・・・そして木村拓哉さんも,大好きな俳優さんだ。

だから夢のような共演ということで,期待して観に行った
なんじゃあ?これは!(怒)

普通,感動した作品だけレビューを書くことにしてるが,他に書くものもないのであえて書かせていただく。
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あらすじ: 他人の痛みを身代わりとなって引き受ける特殊能力を持つ男シタオ(木村拓哉)が失踪(しっそう)。元刑事の探偵クライン(ジョシュ・ハートネット)は彼の行方を追って、ロサンゼルスからフィリピン、そして香港へとたどり着く。そこでシタオがある女性リリ(トラン・ヌー・イェン・ケー)と一緒にいて、彼女を愛する香港マフィアのボス、ス・ドンポ(イ・ビョンホン)もシタオを探していることが判明する。(シネマトゥデイ)

たぶん,物語のキーとなるのは,キムタクが演じるシタオの持つ,他者の痛みを身代わりに引き受ける能力だろう。この能力を,キリストの持つ赦しや癒しの力になぞらえた物語なのだと思う。

シタオを追う二人の男,
元刑事のクラインとマフィアのボス,ドンホ。

被害者のボディを切断してアートする殺人鬼を追ううちに,彼と精神が同化してしまい,その罪に苦悩するクラインには癒しを,残虐非道で冷徹な男,ドンホには赦しを・・・・その二つをシタオは与えるために存在しているかのようで・・・。
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こうゆうテーマも好きだし,3人の俳優さんも大好き,グロいシーンも全く平気な私。・・・・でも,クリスチャンとして言わせてもらえば,キリストを体現するキャラクターはもっと掘り下げて描いてくれ!と言いたい。

いや,キムタクに不満があるわけではない。彼はよく頑張っていたし,雰囲気や外見や演技や・・・ハマっていたとは思う。しかし,なぜ彼があの能力を持つようになったのか,とか深く描かれてないので,なんとも唐突で意味不明のキャラに感じてしかたなかった・・・。
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それと,せっかくビョン様が美しい肉体を十分に披露しながら臨んでくれた,ドンホというキャラクターも・・・残酷なのか?実はナイーブなのか? 罪を悔いているのか,どうなのか?彼の涙の意味がわからない・・・。など,イマイチ感情が見えてこなかった。これもビョン様の演技のせいではなくて,脚本や演出が悪いと思う。

結局,2時間にわたって何がしたいのか,伝わってこない作品だった。シタオの磔のシーンなぞ,パロディにしか見えんかったし。キリスト教に詳しくないと難解に感じるし,キリスト教に詳しければかえって,「ふざけてるのか?」と憮然としたくなる作品。
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観客は50代以上のおばさまばかりで,キムタクとビョン様目当てでの鑑賞なのだろうけど,さすがにストーリーがわけわからなくなると,あちこちで私語やため息が・・・なんか気の毒だったなぁ。

ビョン様の筋肉の美しさは十分に堪能できたし,彼はどんな悪趣味な柄物やド派手な色のシャツを着ても似合う!ということに妙に感心したり・・・・ウジ虫が這いまわるキムタクの顔のどアップシーンで,彼のお肌の美しさに見とれてしまったり・・・変な見どころはあったけど。

それでもこの内容で2時間はキツイと思う。グロシーンのインパクトと,イケメンパワーだけで押し切った物語に思える。役者さんが勿体ない作品かも。
後でバベルの製作者が関わってると知って妙に納得した。

ファニーゲームU.S.A.

Funnygames
オリジナルをビデオで観たのは何年前か・・・・。
その,強烈で,吐き気を催すほどの後味の悪さは,あまりにも衝撃的で,思わず「こんな作品があっていいのか?」と,直後にもう一度最初から観てしまった作品。2回続けて観終わったあとは,夜が明け始めていたっけ・・・。なんともハードなオールナイト鑑賞の一夜で,その後はくたびれて結局一睡もできず・・・・。

あらすじ: 別荘で過ごすアン(ナオミ・ワッツ)とジョージ(ティム・ロス)夫妻のもとに、ポール(マイケル・ピット)とピーター(ブラディ・コーベット)と名乗る青年が訪れる。ふてぶてしい訪問者の態度に業を煮やしたジョージがポールのほほを平手打ちすると、突然二人の男は凶暴な顔を見せ、生死をかけたゲームをしようと告げるが……。(シネマトゥデイ)
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一見無害そうに見える行きずりの二人の若者に
家族が皆殺しにされてしまう物語。

なんでこれを今更セルフリメイク?と思いつつも,大好きなナオミ・ワッツ出演と聞くと,やはりスルーはできない。一度観てるから免疫がついてるだろうし,と思ってレンタルしてみた。

観終わってまず一番に感じたことは,ストーリーから各シーンの詳細に至るまで「オリジナルのまんま!」じゃん・・・ということ。セルフリメイクだから許されることなのだろうが,細部に至るまでほとんどオリジナルのままだったような?
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リメイクした意義って,これをハリウッドの演技派の名優たちが演じてみた・・・ということだけなのかな?なにはともあれ,ハネケ監督は,この作品が非常にお気に入りなんだろう。

ストーリーは先を知ってるので,初見時に比べると,衝撃や不快感は,私の場合かなり弱まっていた。それより,オリジナルの俳優さんたちと,リメイク版の俳優さんたちの個性を比べてみたりして,そういった面では楽しめた。
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ナオミ・ワッツがヒロインだと,やはり華がある。

それに彼女は,こんな風なボロボロにパニクる役が非常にハマるし,スタイルが抜群なので昔から下着姿もハマる。しかしこの作品の場合は,長時間下着姿でいる彼女を,セクシーだと感じる余裕はなかったが。
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一家の父親役を演じたのはティム・ロス。いい具合に老けたくたびれ具合が,この役にぴったりだ。オリジナルではあの善き人のためのソナタウルリッヒ・ミューエさんが演じていた。ミューエさんの哀しげな瞳もまたこの役にぴったりで・・・。

ハリウッドのお約束の,「最後には敵を撃退するお父さん」はこの物語には存在しない。また,「子供は生き残る」というハリウッドのお約束も容赦なく破られる。
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びっくりしたのが,主犯格の青年を演じたマイケル・ピットが超ハマっていたこと!今まで観た彼の作品の中で一番似合ってた・・・・。

彼がシルクで,ラブストーリーの主役を演じたときには「何とかしろ!その丸顔」とか思ってしまったものだが,この作品の彼は,その丸顔やガラスのような瞳が・・・笑顔の中に凶悪さや狂気を隠した不気味な美青年にぴったりだった。
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それにしても・・・やはり
何度観ても胸糞の悪くなる不快な作品だ。

日常に潜む,暴力の恐ろしさをまじめに描くのが目的ではなくて,ただ観客に不快感を与えたくて作ったような底意地の悪ささえ感じる。犯人の挑発的な台詞や目線は,観客を傍観者に留め置くことを許さず,殺人ゲームに加担しろと誘っているかのようだ。

それでも,映画としての完成度は高いと思う。監督の感性や嗜好にはとてもついていけないけれど,観終わった後には,たとえ不快感だとしても,半端でない感情を残すことは間違いない。

まぁ,それでも私は,
あまり人様に手放しではお勧めしませんね・・・・この作品。

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