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2009年5月10日 (日)

ヒート

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白昼のL.A.にこだまする銃撃のシンフォニー!

うーん,やはりさすがマイケル・マン!
極上の男のドラマに熱く痺れっぱなしの三時間だった。

凄腕の犯罪グループのボス,ニールを演じたデ・ニーロと,
彼らを追い詰めるやり手の警部ヴィンセントを演じたパチーノ
Cap058
二人とも,実際にモデルとなった人物がいた。ニールのモデルとなった強盗は,名前まで同じだ。ヴィンセントのモデルはマイケル・マンの友人である元シカゴ警官だそうで,これは監督の長年にわたる膨大なリサーチによって生まれた物語である。

追うものと追われるもの同士でありながら,ニールとヴィンセントは,強い信念とプロ意識,抱えている孤独などが,よく似ている。
Cap061
そういえばマイケル・マンは,よく二人の男の対決を描くが,登場するのは皆,自分の仕事に厳しいプロ意識を持っている熱い男たちばかりだ。

その仕事はデカだったり,殺し屋だったり,タクシードライバーだったり,TVプロデューサーだったりするけど,傾ける情熱と,譲れない信条には共通するものを感じ,そこに監督特有の美学を見ることができる。コラテラルしかり,インサイダーしかり。
Cap132
デ・ニーロの演じるニールは,30秒フラットですぐに高飛び出来るように,身辺を身軽にするよう,己を厳しく律している男。したがって,家族を持たず,人と面倒な絆を結ばない。情が薄いのではなく,大切な相手とのしがらみが足枷になるのを恐れて,孤高の生き方を選んでいるのだ。「自分への掟だ。それに耐えられなきゃ,他の生き方を探すことだ。」と言うニール。

「仕事」をするときの,妥協のない冷徹さとは裏腹に,プライベートな場面で恋人に見せる優しさや,少し哀しげな表情のデ・ニーロを見ていると,彼が悪党であっても,共感せずにはいられないような魅力を感じる。
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一方,パチーノの演じるヴィンセントは,一度食いついた獲物はとことん追い続ける男で,仕事にのめりこむあまり,何度も家庭を崩壊させている。仕事に賭ける情熱や執念はまるで炎のようで,どんな事態に陥っても瞬時に下す判断と指揮には,いささかも迷いがない。

この,二人の喫茶店での対面シーンは名場面だ。
Cap083
逮捕するためではなく,「相手を知るために」ニールをお茶に誘うヴィンセント。(この対面も,モデルとなった二人の間で,実際に似たようなことがあったそうである。)そしてそこで敵同士にもかかわらず,互いに共鳴するものを感じ取り,相手に共感や尊敬の念,ひいては友情のような感情を抱く二人。
Cap094
会話している間,パチーノもデ・ニーロも,相手から目をそらしたり,見つめたりをくりかえしながら,時折ふっとその目元や口元に,相手に対してかすかに優しい表情が浮かぶあたり,さすがに非常に上手い。それでも,別れ際には,「いざというときは容赦なくお前を倒す」というセリフをお互いに宣告する二人。

似た魂を持ってはいても,タイプの異なるニールとヴィンセント。
冷静で寡黙なニールを「静」だとすると,
常にハイテンションを保っているヴィンセントは「動」。

Cap067
ゴッドファーザーの時と比べると,年を重ねた分,ますます貫禄と深みを増したデ・ニーロとパチーノ。この作品では,お互いに喰い合うことなく,まさに互いに最高の演技を引き出し合ったのではないかと思えるほど,どちらも素晴らしい。

そしてあの,映画史に残る,白昼の銃撃戦の迫力!
大音響の銃声は,高層ビルにこだまして物凄い反響音を呼ぶ。市街が一瞬にして戦場と化すあの場面はまさに鳥肌モノ。
Cap108
俳優たちは刑事班と強盗班に分けられ,それぞれ異なるカリキュラムで,実弾による射撃訓練を3か月みっちり受けたそうだ。その成果が十二分に発揮され,あのようなリアルで迫力のある銃撃戦の場面を生んだのだろう。

また,この物語に出てくる女性たちもまた,出番は少ないながら印象的な役柄ばかりだ。特に「家族を持たない」主義のニールが,初めて「一緒に生きたい」という気持ちを起こさせたイーディ。ニールは彼女と一緒に高飛びを計画し,新しい人生をスタートさせるつもりにまでなっていたのに・・・・。
Cap049_2 

また,仕事面では凄腕でも,家庭人としてはヘタレのクリス(ヴァル・キルマー)の妻を演じたアシュレイ・ジャドの演技も光っていた。普段は夫に愛想を尽かしていた彼女が,張り込んでいる警察の存在を,わずかな手の動きで夫に知らせるシーンは秀逸だ。

ラストは・・・やはりニールとヴィンセントの一騎打ちは避けられず・・・。最期にかわすセリフと,握り合う手,パチーノの目にうっすらと浮かぶ涙が心を打つ。その瞬間に,二人とも相手を認め合ったのだろう。自分たちは似た者同士だ,もしかしたら唯一この世でわかり合える相手なのかもしれないと。
Cap135
泥棒と警官が共感し,互いに認め合う・・・・この一見あり得ない複雑なテーマが,この作品の大きな魅力となっている。3時間弱の長い映画だが,男たちの駆け引きや対決から目が離せず,緊張感は途切れることがない。ガン・アクションももちろん見どころだが,人間ドラマもまた素晴らしい。個性的な登場人物も,一人ひとり丁寧に作りこまれているので物語に深みがある。
Heatcinema
とにかく,
男と生まれたからには,
ぜひ一度は 観ていただきたい作品。

男でない私でも,この熱くもあり,クールでもある物語にはすっかり魅せられてしまった。傑作!

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コメント

こんばんは。
大っ好きな作品なので、レビューを読むことができてうれしいです!
いや本当にマイケル・マンは男同士のドラマを描かせたら右に出る者はいないですね。
敵同士がカフェで出会うシーン、昼間の銃撃戦、ラストの一騎打ち…。どれも痺れました。
そしてやっぱりアシュレイ・ジャドが光っていましたね。あの無言の「行って」のサインのシーンがせつなくて…。
にしてもこの作品の大ファンであるのに、今の今まであの二人にモデルがいたことを知りませんでした…。
すごくドラマティックですね。
それを三時間全く中だるみせずに描ききった監督さんと役者さんの演技がとにかく見事で。
また見たくなりました。ビデオは持っているのですが…DVD買おうかなあ。

リュカさん,コメントありがとう!

これは名作ですよね。
アシュレイ・ジャド・・・気丈な極妻ぶりがハマってました。
いつもは「甲斐性なし」と非難してる夫のことも
いざというときは愛してるんですよね,やっぱり。
愛妻家のヴァル・キルマーもよかった・・・
しかし昔はスリムでカッコよかったのねぇ,ヴァル。

そう,このお話モデルがいるそうです。
2枚組のDVDが発売されているのですが
特典ディスクに監督の裏話でくわしく語られていました。
ヴィンセント役が監督の友人の元警官だったとは!
ニール役は同名の強盗がモデルで,やはり射殺されたとか・・・。
特典ディスクも盛り沢山で見ごたえありました。
マン監督ってほんとこだわりの人!
彼もまた,熱いプロ意識のかたまりのような仕事に生きる男ですね。

こんにちは!
良い映画ですよね。
ななさんの記事読んでまたみ観たくなりした。
この作品、映画館で観てないんです。
大画面で観たかったなぁ…。
ふとした、表情や仕草が最高なんですよね、二人共♪
アル・パチーノが義理の息子を抱きしめて叫ぶ所…泣きました。
デニーロが恋人を残して引き返す時、「駄目、駄目!」って(>_<)
あー!
やっぱり、素敵な作品ですね!!!

百香さん コメントありがとう!

申し分のない素敵な作品です!
女性よりは男性の方がファンが多いかもしれませんが
女性の私でもこれはクラクラしました。
男たちの生きざまに。

>ふとした、表情や仕草が最高なんですよね、二人共♪
なんたって天下のパチーノとデ・ニーロですもんね。
この作品ではデ・ニーロ側に少し肩入れしながら観てしまいましたが。
一匹狼の美学・・・って感じでカッコよかったです。

>デニーロが恋人を残して引き返す時、「駄目、駄目!」って(>_<)
あそこは切なかったですねぇ。
彼なりにかなり恋人のことは愛していたと思うのに
それでも自分の信条は変えられなかったのですね。


ななさん、こんばんは~。コメントありがとうございました。
「恋におちて」を観て以来、デ・ニーロにハマリ気味だったのですが、この「ヒート」を観て、完全に惚れました(笑)。カッコよすぎる~。ホント、男なら絶対にこの作品を観るべきですよね!男の美学ですよ。
そして、仰るとおり、長いのに緊張感が続く作品でしたね。素晴らしかったです。

mayumiさん こんばんは

ヒートのデニーロは,もうもう反則なくらいカッコいいです~
わたしはやっぱり一番好きなデニーロは「ゴッドファーザー」なんですが
次に好きなのがこの「ヒート」のデニーロ。
デニーロ演じるニールのような男,関わり合いになると大変そうだけど
それでも一度出会ってみたいです~。
オトコでも惚れそうなカッコよさですね。

 おひさしぶりです。なな様。delicious

なな様は なんて男泣きさせる作品をとりあげるんですか~crying

マイケル・マンは ハード・ボイルドな男の美学をテーマにした作品をスクリーンでえがいているのがよくわかります。

 

zebraさん お久しぶりです。

>男泣きさせる作品・・・
コラテラルといい,これといい
マイケル・マン監督の作品は男泣きしますね。
こういった作品,大好きです。
軟弱ではないハードボイルドの世界で生き抜ける男たちの
ちょっとひねった友情や美学が魅力的です。


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