恋の風景
リウ・イエの出演作品ということで鑑賞。
死んだ恋人を忘れたくない思いと,新しい出逢いとの狭間で揺れるヒロインのデリケートな女心が,とても丁寧に描かれていて,女性監督ならではの感性が光る作品。
病死した恋人サム(イーキン・チェン)が描いた絵の風景を探して,彼の故郷,青島にやってきたマン(カリーナ・ラウ)。彼女はそこで郵便配達員をしている青年シャオリエ(リウ・イエ)と出逢う。
シャオリエはマンの風景探しを手伝い,二人の間の親密度は深まるが・・・・。
おそらく出逢ったときからマンに恋したシャオリエ。
死んだサムをいつまでも忘れたくないと思いながらも,
シャオリエの献身的な優しさに次第に惹かれてゆくマン。
逡巡とためらいの中,ゆっくりとフェイドアウトしてゆく古い恋と,痛みを癒してくれる新しい恋の芽生え。・・・まあ,ひとことで言えば,結局,それだけのお話なんだけど。
少女漫画のような,綺麗すぎるお話のようにも感じられるし,合間に「これって必要?」と,首をかしげたくなるような脇役のエピソードも交えながら,ストーリーはややテンポ悪く地味に進む。 それでも最後まで退屈せずに見通すことができたのは,主演の二人の演技,特に二人の繊細な感情を表す表情がとっても素晴らしく,それに見入ってしまったせいだろう。
マンを演じたカリーナ・ラウは,はかなげでさびしげな中にも,思わず抱きしめたくなるような可愛らしさがあって,こりゃ男性なら誰でも惚れるだろうな~と,ため息。
彼女は,恋人との過去をいつまでもひきずっている,と言うよりは,「ひきずっていたい」という面もあったんじゃないかなぁ。時とともに,彼との愛や記憶が薄れてゆくのが怖いのだ。恋人が執着していた風景を探し,「探し当てれば納得できそうなの・・・」と言いつつも,探し当てた地点で,何かが終わってしまいそうな予感におびえているようにも見えた。
そんな彼女がシャオリエに見せる表情。
最初は純粋に感謝や好意がこめられた彼女の笑顔が,次第に複雑で辛そうなものに変化していく。おそらくシャオリエの気持に気づき,自分も彼に惹かれていると感じ始めてから。
シャオリエを演じたリウ・イエ。
こういった,シャイで一途な役は,彼のもっとも得意とするところ。彼はどんな役でもこなせる役者さんだけど,やっぱりこんな健気キャラの彼が一番本来の魅力が発揮できるような気がしている。
彼が恋した女性は,
過去の恋人との思い出の中に生きている。
「思い出探し」のお手伝いを買って出た立場としては,彼女に自分の気持ちを告白するなんて,とてもできないけど,それでも好きでたまらなくて,危なっかしい彼女に手を差し伸べずにはいられなくて・・・・押し付けがましくはないけれど,いつも彼女を見守り,決して目を離さないシャオリエの愛し方。
繊細に変化するシャオリエの表情。
マンを元気づけようと見せる優しい愛情のこもった笑顔。
マンが喜んでくれた時の心底うれしそうな顔。
サムを忘れられない彼女に見せる寂しそうな表情。
そして,時折ふいに浮かぶ,マンを恋い焦がれる瞳が切ない。
サムが埋めたタイムカプセルの中身をいとおしむマンに,
柄にもなく意地悪を言ってみたり・・・・。
ああ,いいなぁー,こんな風にピュアにひたむきに愛されてみたいなぁ・・・と素直に思えてしまう・・・彼の顔を見ていると。
・・・・こんな薄味のロマンチックすぎる物語は,もう若くない身としては,いつもなら「ケ!」と一笑に伏してしまうのだが,リウ・イエの演じるシャオリエのあまりのいじらしさに惹かれ,彼を応援し続けることで,物語に感情移入できたかな。マンに対して,「早くふっ切ってシャオリエの気持ちに応えてあげなよー」とずっと念じ続けた1時間半だった。
いい具合にさびれた青島の風景は,石畳の坂道が多くって素敵だ。(青島というと,青島ビールしか知らなかったけど)この作品のために描き下ろしたという,台湾の絵本作家ジミーのイラストや,透明感と優しさにあふれた梅林茂の音楽も心地よかった。
余談だけど,マンの親戚の女性トンを演じたスー・ジンさんは,藍宇(ランユー)では,リウ・イエ演じる藍宇の恋人ハントン(=♂)の妻を演じた女優さんだ。つまり,藍宇ではリウ君の恋敵だったわけ。ちょっと最初見た時はわからなかったけど,このひとも綺麗な女優さんだねぇ。
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ななさん~、アップしたんですね(^○^)
写真を一杯貼ってくださっていたので、凄く懐かしく、色々思い出しながら、とっても楽しく拝見しました♪
ウブで純粋な青年をやらせたら、ほんと、リウ・イエ君は上手いですよねー☆
私ね、イーキン・チェンって実は知らなかったのです。で、ある時、山田太一さんの脚本で、薬師丸ひろこと、山本未来と、あと誰だか・・が3人でイーキン・チェンのファンミに香港に飛ぶ・・って2時間ドラマを見て、それで初めて知ったの。
その後最初に見たのがこの作品でした。
投稿: latifa | 2009年3月20日 (金) 19時55分
latifaさん,こんばんは!コメントありがとう~
これはリウ君を観るための作品ですよね。
彼はほんとに無償の,尽くす愛を演じると上手いです。
そういう表情が上手なんでしょうか。
それともそんな性格のひとなのかな?
なんだかとっても誠実そうで,プライベートの彼の性格も気になります。
イーキンさんって初見です。
上品で,知的な役の似合う男性ですね。
ところで今日,ワルキューレ観ました!
トーマス・クレッチマン,すごくよかったー
後でそっちに伺いますね!
投稿: なな | 2009年3月20日 (金) 21時53分
こんばんは~♪
きゃ~~、楽しみにお待ちしておりました。
素敵な写真がいっぱいですね(嬉)
>「ひきずっていたい」という面もあったんじゃないかなぁ。
ほんまですよねえ。しがみついてるみたいでしたものね。でも、その気持ちもよくわかるけれど・・
わりと淡々と、そして少女漫画のように進むお話でありながら、やっぱり若い二人の表情がむちゃくちゃ雄弁なので、つい見入ってしまいました。アニメーションも、青島の街並みもとても良かったですね♪
リウ君情報、いろいろとありがとうございます♪早く日本語版DVDが出てくれたらいいのに・・という作品がたくさんですね。
善い人をやってもどこかに胡散臭さや自己愛が滲んでしまう・・という人は多いけれど、リウ君の場合全然それが感じられないのと、繊細でも弱々しい感じがしないのがいいですねぇ(嬉)
私もあんな眼で見つめてほしいわ~とミーハーできる役者さんに久々に出会えて幸せです。
投稿: 武田 | 2009年3月20日 (金) 22時36分
こんにちは♪
だいぶ前に観た作品ですが、かなり印象に残っています。
>マンに対して,「早くふっ切ってシャオリエの気持ちに応えてあげなよー」とずっと念じ続けた1時間半だった。
私もそう思っていました。2人が結ばれるのでは?と思える場面がいくつかあり、期待させておいて何よ!と、最後の方で憤慨してしまった私です。(笑)
ななさんがアップしてくださったたくさんの写真から、情緒溢れる風景を思い出しています。
ジミーさんの絵も大好きなので、また機会があれば観るつもりです。
投稿: 孔雀の森 | 2009年3月21日 (土) 07時42分
武田さん おはようございます!
改めて観てみると,なかなか心に沁みる作品でした。
ストーリーはどうってことないと思うのですが,
やはりシャオリエとマンの魅力ですよね。
>若い二人の表情がむちゃくちゃ雄弁なので、つい見入ってしまいました。
気持ちを表す台詞がほとんど無かったのに
(もっとあってもよかった気が・・・)
カリーナもリウ君も表情だけで気持ちを語っていましたね。
>善い人をやっても
>どこかに胡散臭さや自己愛が滲んでしまう・・という人は多いけれど、
>リウ君の場合全然それが感じられないのと、
>繊細でも弱々しい感じがしないのがいいですねぇ(嬉)
そうですよねー,人目を意識した「善いひと」ぶりではなくて
純粋に100%善意の塊で,
それが自然とにじみ出てる,っていうキャラを演じてくれますね。
素顔のリウ君も実際にそんな人なら,ますます嬉しくなってしまう。
私にとっては,彼は究極の「癒し系」の男性ですね。
彼の出演作のDVD,一つでも多く観たいですー!
「藍宇」はレンタル屋にはまず置いてないので
購入されることをお勧めします~。メイキングも素晴らしいし,
リウ君のインタビューもたくさん入ってました。
投稿: なな | 2009年3月21日 (土) 10時01分
孔雀の森さん おはようございます!
あっさりしてるのに,不思議な余韻が残る綺麗なお話ですよね。
展開がもどかしくって,ちょっとイラっとくる点もありますが・・・(*゚▽゚)ノ
>2人が結ばれるのでは?と思える場面がいくつかあり、期待させておいて何よ!と、最後の方で憤慨してしまった私です。(笑)
そうそう,あの髪をカットする場面とか,シャオリエの部屋での場面とか
「そこでなんとかなっちゃえ~~(爆)」と思いましたわ。
ラストシーンでやっと・・・・という感じでしたが
抱擁シーンとか見せてくれる前に終わっちゃったねぇ。
ジミーさんの絵もそうですが,全体的にお洒落で芸術性の高い作品でもありましたね。
投稿: なな | 2009年3月21日 (土) 10時21分