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    ブロークバックマウンテンの名シーンの数々です。

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2009年2月 9日 (月)

いま,再びイニス/ブロークバックマウンテン番外編6

Cap069
いつごろからだろう・・・・?BBMを鑑賞するたびに,以前と違ってジャック・ツイストより,イニス・デルマーの方に感情移入するようになったのは。それはやはり,ヒースの死がきっかけだろうか。

もともとこの物語は,イニスが主人公の物語なのだけど,ジャックのほうが可哀想に思えて,ついついイニスに関しては醒めた目で見ていたのに,今となってはイニスが可哀想でたまらない思いに襲われる。
Cap035_2
ジャックの一生とイニスの一生・・・・どちらが可哀想かなんて,比べられるものではもちろんないと思うけれど。それでも叶わぬ夢と,望んだ形では報われなかった愛情を抱えて死んでしまったジャックのほうが,それまではいじらしくって,いとおしくってたまらなかった。でも,考えてみれば,自分のセクシャリティを長年受け入れられずに,暗闇の中でもがいていたイニスの人生もまた,なんと可哀想なことか。

Cap048
彼がその人生を通して,
少しずつ,そして確実に失っていったもの・・・・

平穏な結婚生活,世間からの信用,
仕事,収入,ガールフレンドとの関係。

それらを失ったからといって,その見返りに,ジャックとの生活を得たわけでもなく。そして,自分でもなぜこうなったかわからないままに,気がついたら最愛のジャックから「いっそ別れられたらいいのに」と愛想づかしめいたことを言われて逆上し,「お前のせいで俺の人生,ドツボだよ」とヤツあたりのように泣いたイニス。
Cap049
ジャックを思いきることも,居直って一緒に生きることもできなかったイニスの人生
は,中途半端の極みで,どんなにか辛かったろうと思う。そしてようやく一番大切なものに気づいた時には,それはもはや思い出となっていた,という悲劇。

冒頭からラストに至るまでの
イニスの表情の変化,ただよう雰囲気の変化。

不器用で無骨な感じは,若い頃から一貫して変わらないが,年を経るに従って,悩みのせいか,どんどんみじめでくたびれた感じになってゆく。彼の全身から,「後悔」や「葛藤」や「引け目」がにじみ出ているような哀れさに胸が詰まる。そして終盤になって,ジャックへの愛を自認してからのイニスは,ようやく悟りの境地に達したかのように,一種の枯れた雰囲気を漂わせる。
・・・・こんなイニスを,いったいヒース以外の誰が,こんなふうにしみじみと,演じられるというのだろう。本当に,ヒースの演じたイニスのように,心に訴えてやまない演技を他の誰ができるというのか。
Cap062
BBMの地点で,ヒースにオスカーをあげてほしかった。
もし今年,ダークナイトのジョーカー役でオスカーを受賞したとしても,もらって一番うれしい本人は,もうこの世にいないんだもの。とは言え,やはりヒースのジョーカーの素晴らしさが世界的に評価されるのは,なんと喜ばしいことか。・・・・・ジョーカーとの出会いが初ヒースという方は,これをきっかけに,ジョーカーの名演技に勝るとも劣らない,BBMのイニスの演技もぜひご覧になっていただきたい・・・・。

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ブロークバックマウンテン」カテゴリの記事

コメント

こんばんは!
ななさんの記事を読んで涙がでました。
BBM観ながら、コメントしています。
ヒース作品は、観てる時はいいのですが終わった後無性に淋しくなります。
そんな時、こんな愛情いっぱいのお話を読むと救われます。
沢山の方が同じお気持ちだと思うと、気持ちが楽になるのです…。
ありがとうございます。

百香さん こんばんは
コメントありがとうございます。
BBMを観ながらコメントされてるんですね。それはなおさら感慨深いものが。
>ヒース作品は、観てる時はいいのですが終わった後無性に淋しくなります。
わかります,同じですもの。
彼の才能に毎回驚かされると同時に
もう彼の新作が出ることはないのだという悔しさや悲しさ。
・・・たまりませんね,もう。
ダークナイトのジョーカーの演技はヒースの生涯で最高のものかもしれませんが
私はやっぱり,ヒースが演じたキャラの中では
イニス・デルマーが一番いとおしいです。

おお、ヒースの記事が!!しかも、BBMです・・
嬉しい限りです。ありがとうございます。
私にとっては、ヒースはイニスです。今も。
そして最近BBMをみることはなくなってしまったけど、やはりいつもBBMに帰っていくのですな。
私もジャックにどうしても気持ちが入ってしまうのですが、でもイニスもすごいわかる。どうしていいかわからなくて止まっていることしかできないとき、周りだけはどんどん動いてしまうときがあります。
うう、イニスのヒースを見ると胸が締め付けられるようです

ロボさん こんばんは
ロボさんにとってもヒースはイニスですよね。
そしてもちろんジェイクはジャックで・・・
>最近BBMをみることはなくなってしまったけど、
>やはりいつもBBMに帰っていく・・・
私はこのあいだ,また久々に全編通して観ましたよ~
そして,ジョーカーとイニスを比べてみて
あらためてヒースってすごいなぁって。
>ジャックにどうしても気持ちが入ってしまうのですが、でもイニスもすごいわかる。
本来の自分とは違うことをしている辛さとか
袋小路の行き止まりの中で,おっしゃるように周囲はどんどん動いて行って
取り残されてしまう・・・そんなドツボな気分ですよね。イニスの辛さって。
そんなときって誰でも大なり小なりあるかも。
原作者のプルーがイメージしていた以上のイニス像を
ヒースは作り上げたのかもしれませんね。

初めてまして。昔の記事へのコメント、失礼します。

さっきブロークバックマウンテンを見終えました。
実は、ななさんのブログ、ずっと前から見させていただいています。きっかけは、多分、ヒースさんが亡くなったことだったと思います。いろいろ調べていて、たどり着きました。
なので、ブロークバックマウンテンもななさんの記事で既に涙済み(笑)だったんです。
実際、見るときもななさんの記事を思いながらストーリーを追ったのですが、それでも分かっていながら、シャツのシーンでは鳥肌と涙でした。

ななさんの『誰に感情移入するかで印象が変わる』という記事。まさしくその通りだなと思いました。見る前は、ジャックとイニスについてグルグルと想いを巡らせていたのですが、見てみると女性陣、アルマやラリーン、キャシーにまでも感情移入する部分があって…。すごく心を動かされる作品だと思いました。

ジャックの最期は胸が潰れるくらい苦しかったけど、父親の言葉に救われた気がします。
自分が家族の墓に向かないと思っていたジャック。きっと、同性愛ということを申し訳なく思っていたんじゃないかなぁ。でも、父親はジャックを家族の墓に埋葬すると言った。それは息子のすべてを受け入れた言葉だったと思います。
自分なりの考えなので、違うかもしれませんが…(汗)


時が流れるように穏やかに進んでいくストーリーでしたが、その中にはどんな表現よりも心を打つ愛の形や心の葛藤、苦しみや悲しみや喜びがあって、これからも忘れられない作品になりそうです。ヒースさんがもうこの世にいないことは残念で仕方ないですが、今は心の中で、たくさんの感動を与えてくれたキャストの方に拍手を贈りたいです。
ななさんの記事からも作品への愛をたくさん感じて、何度もウルウルさせられました。
ヒースさんが考えた、素敵なシャツのアイディアも教えてくださり、本当にありがとうございました。

かっちんさん こんばんは そしてはじめましてnew
ご訪問とっても嬉しいです。この作品に関するコメントは特に。
ブロークバックマウンテンは,私の映画好き人生の原点ともなった作品です。到底忘れることができない,そして出会えたことを心から有り難いと思った,かけがえのない作品です。

>見る前はジャックとイニスについて
>グルグルと想いを巡らせていたのですが、
>見てみると女性陣、アルマやラリーン、キャシーにまでも
>感情移入する部分があって…。
そうですよね,この物語って,ジャックとイニスの恋だけがテーマではなく,あの時代のあの土地での決して許されない同性愛そのものがテーマなので,主人公の二人だけではなく,彼らが愛し合ったことによって苦しんだり傷ついたりした周囲の人たちのことも,手抜きをせずに丁寧に繊細に描いてくれたリー監督の手腕が光りますよね。だからこそ,この作品は単なる同性愛映画の範疇を超えて,傑作になり得たのたろうと思います。

>父親はジャックを家族の墓に埋葬すると言った。
>それは息子のすべてを受け入れた言葉だったと思います。
ジャックが生きているうちは,受け入れるそぶりをみせることができなかった父親(実は息子を愛していたと思うんですが)が,ジャックの死後にようやく息子のすべてを受け入れる勇気を持つことができたのだと,私も思います。原作はちょっと違う気もしましたが,映画の描写ではそう感じました。こういう描き方も凄いですよね,リー監督!

ヒースに関しては,彼の作品を見返すにつけて,彼がこのまま生存していたら,ものすごく偉大な俳優になったのではないか,と惜しまれてなりません。役作りに対する情熱と才能は,若いころのロバート・デ・ニーロにも匹敵するのでは?と「ダークナイト」の彼の演技を見て思いました。BBMの原作者のアニー・プルーが本か何かをジェイクとヒースにプレゼントしたときに,ジェイクには「ジェイクへ」とサインしたのですが,ヒースには間違ってつい,「イニスへ」とサインしたそうです。それほど,ヒースの演技は,プルーにとってもイニスそのものを体現していたのでしょう。

ほんとうにコメントありがとうございました。ブロークバックマウンテンは,私にとってやはり生涯の一本であり,これに近い作品はあれど,これを越える作品はないと確信しております。


こんばんは。また来てしまいました。

原作者の方がヒースさんに『イニスへ』とサインしてしまったというエピソード、教えてくださってありがとうございます。ヒースさんの演技に対する深い思いに、すこし触れられた気がしました。感動です。
それだけに、もう会えないことが余計悲しいです(泣)ブロークバックマウンテンを見てから、改めてヒースさんの死を実感し、でも嘘のようでもあり、虚無感や悲しみが自分の中に広がっています。と同時に、イニスとジャックの運命についても考え続けてしまって、仕事も手につかず夜も眠れません(汗)
こんなに『物語』の世界に心奪われたのは初めてで、正直とまどっています。(作られたストーリーだなんて思えないんだよなぁ。)今夜も寝れそうにないです…

ななさんのブログを読むと、すこし気持ちが落ち着きます。またコメントしてしまうかもしれません。その時はごめんなさい(^^;)

かっちんさん またまたありがとうございます。

ブロークバックマウンテンに出会ってしまったら,そしてその世界に囚われてしまったなら,誰でも数カ月は,あの「山」から降りることができなくなりますね。私も5年前にちょうど同じ症状になり,そのころは世間の「BBM祭り」はピークを過ぎていたので,いろんなサイトやブログにひそかにお邪魔して,皆さんの感想を読み漁ったものです。はい,私も数カ月,この物語のことばかり考えて,仕事が手に付きませんでしたよ。

この作品のあと,「藍宇」という中国の映画に出会い,これもまた10年にわたる同性愛のお話でBBMと似た要素もあったのでそちらにもハマり,それは今も続いています。しかし,「藍宇」の場合は,主に登場人物の魅力に囚われてしまったのですが,ブロークバックは,物語そのものについて無限に考えさせられる魔力を持っていると思います。

いったい彼らはどうすればよかったんだろう?
あのような道しか残されてなかったのだろうか?
二人の出会いは,結果的には彼らにとって
本当にいいことだったのか?

そんなことを,エンドレスにいつまでも考え続けたものですね。とくに恋人たちにとって,あのような幕切れで終わっている物語なので,なんとかイニスの気持ちをジャックに伝えてあげたかったとかなんとか,こちらとしては悶々としてしまうわけです。映画も原作も余分なことを全く語らずに終わってますから,その分自分で考えて気持ちを静めずにはいられなくなるんですよね。

これほど深く,またこれほど長く鑑賞後の余韻を引っ張る作品は初めてです。一度囚われてしまったなら,いっそ諦めてどっぷりと浸るしかなかったですが,それでもこの作品に出会えたことはとても幸せなことだったと思ってます。

またコメントに来てくださいね~,私もあの時の感動や余韻が蘇って嬉しいので。


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