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2008年11月 7日 (金)

レオン 完全版

Para2_1
解説:  「ニキータ」のリュック・ベッソンが初めてアメリカで製作したバイオレンス・アクション。ニューヨークを舞台に,凄腕の殺し屋レオンと12歳の少女マチルダの純愛と戦いを描く。大都会の片隅で出会った孤独なふたりの葛藤と,壮絶なアクション・シーンがほどよくブレンドされた佳作。(allcinema ONLINE)

Cap017
ブーリン家の姉妹
で妖しい眼差しのナタリー・ポートマンを見て,彼女が少女の頃に演じたマチルダにまた会いたくなった・・・完全版というのは初見。

こうして改めて見返してみても,お話は結構シンプル。麻薬取締局に家族を皆殺しにされた少女マチルダが,同じアパートメントに住んでいた殺し屋のレオンの部屋に逃げ込んだことが発端となり,レオンとマチルダの奇妙な共同生活が始まる・・・。
Cap024
この作品の魅力って,レオンとマチルダのそれぞれのキャラの持ち味と,そんな二人がいっしょにいる時に生じる切ないケミストリーによる点が大きいような気がする。二人はどちらもアンバランスな内面を抱えていて,そこが強烈な個性になっているタイプだ。

腕は超一流でも,生きることには不器用で,寡黙なレオン。瞬時にそして正確に,人を殺すことができる俊敏さ,老練さを持ちながら,観葉植物とミルクを愛し,時には子供のような無邪気な笑みも見せるレオン。
Cap007
そして,繊細さと大胆さを持ち,少女のあどけなさと,大人の女性のコケティッシュさを同居させているマチルダ。まだ胸もふくらんでいず,ショートパンツから伸びた足は,小鹿のようにみずみずしいのに,その表情が,時にはどきりとするくらい妖艶だったりするマチルダ。頬の高さで切り揃えた彼女のスタイリッシュなボブは,ある時は可愛らしく,またある時はセクシーに見えたりする。

寡黙な一匹狼の殺し屋と,
背伸びした12歳の少女の出会い。

・・・お揃いの円い毛糸の帽子・・・丸いサングラス・・・レオンの黒いロングコートと,マチルダの黒いリボンのチョーカー。・・・乾杯するミルクのグラス・・・観葉植物。
Cap010
彼らのファッションや小道具は,どれも印象的なものばかりで,そしてまた個性的な取り合わせばかり。特にマチルダの服装って,キュートでクールだ。

マチルダの,レオンに対する愛。父親ほど年の離れた相手なのに,痛々しく感じるほどまっすぐで,迷いがない。それを素直に受け止めることができずに,うろたえ,戸惑うレオンが,滑稽にもいとおしくも見えてくる。孤独な殺し屋になって初めて「守りたい」と思った相手・・・レオンにとってマチルダとはそんな存在だったのだろう。

完全版は,マチルダがレオンに愛を告白するシーンや,レオンの過去の話,マチルダをレオンが訓練するところ,などが収録されていた。それはそれで物語の深みは増しているが,やはりカットされた部分がない方が,物語はスマートなのかな?とも思う。

そして,この作品で忘れてはいけないのが,主演の二人と同じくらい,強烈な個性を放つ悪役スタンフィールドを演じたゲイリー・オールドマン。初めてTVでこれを観たとき,バイオレンス映画にそんなに慣れてなかった私は,このスタンの放つ不気味さに震えあがった記憶がある。(ゲイリー・オールドマン,この作品が初見)
Cap041_2
パッと見は優男なのに,ヤクを服用するときの,完全にイッちゃってるリアクションや,半端でないキレっぷりは,ほんとに怖い。このひとの悪役のときの怪演ぶりは定評があるけど,なんといってもこのスタンが凄い!相手をいたぶりながら殺すことに快感を覚えるような彼は,絶対に,絶対に敵に回したくないタイプだ。


それにしても,ベッソン監督の最高傑作と言われている本作は,やはり何度観ても,エンタメ性,ドラマ性,キャラ立ち,アクション,情感・・・・どれもが満足できる作品だ。そして,お目当てのナタリーは,やはり子役のときから飛びぬけて素晴らしい才能の女優さんだな~と思った。切ない泣き顔,キュートな笑い顔,そして獲物を狙うときのような精悍な表情,ぞくりとするくらい大人っぽい表情・・・・くるくる変わる彼女の表情の演技は,子役とは思えないくらい多彩で,見事だった。

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映画 ら行」カテゴリの記事

コメント

こんにちは!
この映画、大好きなんだけど完全版があるとは知らなかった・・・
マチルダとレオンのふれあいがいいね。
二人の間には強い絆、愛があった。
マチルダ役のナタリーはボブカットも似合ってて、女の色気をかんじました。

にしてもゲイリー・オールドマンのキレっぷりはすごかったねー。
最後のシーンもぐっときたし、エンディングのスティングの曲も合っていて、いうことなし。

アイマックさん コメントありがとう!
私も完全版あるって今回初めて知りました。
けっこう追加シーン多いですよ~
追加シーンは,レオンとマチルダの心の交流がほとんどでしたが。
ちょっとくどいかな~?というくらいあるので
カットした公開版の方が,かえって思わせぶりでよかったわ。
ゲイリー・オールドマン・・・卑劣で不気味な表情がすごい強烈で・・・。
あの頃は気の弱かった私は,彼がマチルダの家族を殺害するシーンは
目をふさいで観てました。
大人に成長したナタリーを知っているから余計に
少女のころから美人で演技もうまかったんだな~と今回確認できました。

ななさん、こんにちわ!(^ー^*)
この映画大好きな映画のひとつです☆
凄腕なのに生きることに不器用なレオン演じるジャン・レノの味のあるパフォーマンスが良いですし、子供なのに背伸びした演技のナタリー・ポートマンも最高です♪
ナタリー・ポートマンはこの映画を観たときから大好きな女優さんのひとり。
そうそう、ゲイリー・オールドマンのキレぶりも最高ですよね(o^-')b
スタイリッシュなアクションもカッコイイです!
ななさんの記事で、この映画の良いところをみんな語ってくれているので、
久しぶりに観たくなりました~☆彡
また来ますネ(^^)ノ

ななさん こんにちは♪
こちらへもお邪魔しました!
おぉ~っ『レオン完全版』ですね~☆
完全版はまだ観たことないんです。

それにしてもナタリー・ポートマンってこの時まだほんとにお子チャマなのにもかかわず色っぽいのね~って改めて感じました。
逆にある意味、今より色気ありそう(笑)

大人の男性と少女と言ってもまだ子供との恋愛ということでこの当時は衝撃的でしたね。
名作はいつの時代も色褪せないですね!
ベッソン監督、最近では2年前の『アンジェラ』ですかねぇ。
う~ん、あれはイマイチでした。

こんばんは、ホーギーです。
「レオン」懐かしいですね。この作品は、大好きです。
やはりジャン・レノは、この作品が一番カッコイイと思います。
そして、ナタリー・ポートマンのキュートでちょっとセクシーな演技にビックリしました。マチルダの演技のイメージが強すぎて
その後、彼女の演技が、あまり評価されないのが、かわいそうな気がします。
それから、この映画で強烈なインパクトだったのが、ゲーリー・オールドマンですね。この時の演技のせいで、「ダークナイト」の
時も、いつ悪役に変貌するかハラハラしたくらいです。
完全版は観たことがないので、今度観てみたいと思います。

ところで、先日tessさんのブログへ始めてコメントされていましたね。その際に私のブログから来ましたとのコメントを見て、とても嬉しく思いました。ありがとうございました。

tessさん こんばんは
遊びに来ていただいて,とっても嬉しいでーす(◎´∀`)ノ
tessさんもこの作品,お気に入りですか~
私も大好きなんですが,「ブーリン家」を観て
ほんと久々にこれを観たくなっちゃいました。
レンタル店に行ったら,「完全版」なるものがあったので
早速借りてしまいました。
細かいことは忘れていましたが,それでもどれが追加シーンかくらいは
ちゃんと判別できるくらい,あらすじも覚えていましたね~。
でもびっくりしたのは,「ナタリーってほんとチャーミングだったんだなー」って。
いや,今も美しいんですが,このときの彼女のアンバランスな魅力は
この年齢の彼女しか出せなかったような気もします。
何度見ても,傑作でした。 

なぎささん,こんばんは
コメントありがとう!
完全版って,けっこう追加シーン多かったです。
マチルダがレオンにはっきり愛の告白してます。レオンは困ってましたが・・・
それと,レオンがマチルダに「殺し屋」としての実地訓練をするシーンなど。
やはり少々長すぎる気もするので,公開版の方がシャープでいいですね。
12歳のマチルダから発する色気・・・あれはインパクトありましたね~
>逆にある意味、今より色気ありそう(笑)
成長した今はかえって,普通に可愛らしくなった感じですね。
ブーリン家のアンの上目遣いの射るようなまなざしに,
レオンの頃の感じを思い出しましたが・・・
ベッソン監督はこの頃が花だしたね,きっと。
「アンジェラ」はスルーしちゃった・・・てへ。(;´▽`A``

ホーギーさん こんばんは
コメント,ありがとうございます!
この作品のジャン・レノ,ほんと一番素敵ですね
お顔もちょっと細面です・・・。
>マチルダの演技のイメージが強すぎて
>その後、彼女の演技が、あまり評価されないのが、かわいそうな気がします。
そうかもしれませんね。この作品の彼女の存在感は強烈でした。
その後は,これほど彼女が魅力的に見える役には恵まれてないような・・・。
それでも,あらためてこれを観てみると,子役なのにもかかわらず
その成熟した演技力に舌を巻きました。・・・天性の女優ですね。
ゲイリー・オールドマンも,怪演俳優にもかかわらず大好きだったのですが
そうそう,あのダークナイトでの地味な善人キャラに驚きましたね!
>・・いつ悪役に変貌するかハラハラしたくらいです。
あはは,悪党の表情に豹変する役が多かったですからね,彼。
気をもんだのは,きっとホーギーさんだけではなかったと思いますよ。

tessさんのブログへは,ときどきお邪魔しています。ホーギーさんのお宅でtessさんのブログの存在を知ることができて,こちらこそ感謝してますよ~。


こんばんは、ななさん。
ご訪問ありがとうございました。

私はハリウッド版もこの完全版も劇場で観ました。
何度観てもいい作品なんですが、そうですか、ななさんはちょっとくどい感じがしたのですね。でも本当はベッソン監督にはこの作品にはいろんな思いが詰まって作られたんだと思いますよ。またいつかその話も記事にしてみようと思っています。

ナタリーはすっかり大人な女優になりましたよね。マチルダの頃から子供ながらも、魅了する部分はあったのですが、今ならマチルダ版レオンも観てみたい気もします。

ゲイリー・オールドマンもレオンを観て、興味がわきましたね。『不滅の恋 ベートヴェン』や『ドラキュラ』を観てさらにこの人のすごさに圧倒されました。

ななさん、リンクの件ありがとうございます。
私の方でもリンクさせて頂きました。
記事の更新がカメのごとく遅いですが、これからもよろしくお願いします。

こんにちは~! (=゚ω゚)ノ ヨッ

いやはや、レオンの記事が来るとは...。ちょっとビックリ。
私も好きな映画なのですが、これはダンナの人生ベスト映画なのです。
(ナタリー・ポートマンがタイプなのか?)

ダンナと付き合い出した頃、新宿で一緒に観たのですが、終幕間際、隣で彼が号泣しているのを見て、
なんてピュアな人なの~!
と感動した覚えがあります。
彼の実家にはまだ、この「完全版」のビデオがあるんですよ。

なんて話をかくと、自分のことを書かれるのが嫌いなダンナなので、怒られてしまいそうですが(;^_^A
彼の望む生き方が、レオンみたいなのなんでしょうね。たしかに不器用さ加減とかレオンに似てるような気がします。私は、マチルダのようには可愛くも美しくもないけど!(爆)

私のベスト映画はもちろん、『ブロークバック・マウンテン』ですけどね。これを越えられる映画に出会えるか、残りの人生の楽しみの一つです。

だらだら語ってすいません。ちょっとノロケ入ってるし。(汗)
では、また!

ケビンさん こんばんは!
リンクの件,快諾してしださってありがとうございます!
これからもよろしくお願いいたします。
で,この「レオン」ですが,「完全版」も劇場公開されたんですね~それは知らなかったです~。どちらもご覧になられてうらやましい!
私は今回初めてこの完全版を観て,それまでのカット版であれこれ想像していたマチルダの気持ちなどが,あまりにも詳しく追加されていたので,嬉しかったのですが,やや個人的には食傷気味になったのかもしれません。彼女の気持ちをあれこれ憶測できる余地のあったカット版の方が奥ゆかしく感じてしまって・・・でも,訓練シーンの追加などは,とても面白かったですね。
ゲイリー・オールドマン,この「レオン」ですっかり顔を覚えてしまったのですが,私も「ベートーベン~」ですっかり彼の虜に。最近作では「ダークナイト」がいいですね~,彼は。

ゆきちさん,こんばんは,コメントありがとう!
>いやはや、レオンの記事が来るとは...。ちょっとビックリ。
最近は劇場鑑賞作品が途絶えているので,DVDばかりなのですが,なぜか新作よりも,「超」旧作に惹かれる毎日です。過去の名作,傑作漁りをしています・・・新作に好みのがない,というだけの理由ですが。
で,この「レオン」,なんとゆきちさんのダーリンのベストシネマだったとは!
これをベストにするってことは,ゆきちさんのご主人は,ストイックでロマンチックな人なのでは???そしてきっと,ゆきちさんはナタリーにどこか似ている点があるのでせう(* ̄ー ̄*)ふっふっふ・・・しかし・・・これ見て号泣って・・・ピュアだね~旦那さま。
私はこれ大好きだけど,泣いたことは・・・ないなぁ。泣くより,その独特の世界観に酔う,という感じですね~。

>私のベスト映画はもちろん、『ブロークバック・マウンテン』ですけどね。
>これを越えられる映画に出会えるか、残りの人生の楽しみの一つです。
わたしももちろんそうですよ~。これを超える映画って,きっとないです。
二番手に来る作品はもう見つかりましたが・・・
記事にもしてる「藍宇(ランユー)情熱の嵐」です。中国の映画だし,DVDの入手が困難(買うしかない)なのですが,機会があればゆきちさんにも観てもらいたいな~。感じる切なさが,驚くくらいBBMに似てますよ~。


今BS(Dlife)でレオンって映画見てます!!
面白いです!!

また全部見たら来ますね!

見終わりました
レオン死んだんですね・・・
号泣です(T_T)

多分私がみたのは完全版です
完全版いがいにレオンの映画があるのですか?
教えてください!

ゆみさん こんばんは

コメントありがとうございます。
この作品は何度観ても感動しますね。
ドキドキもするし切なくもなるし。
レオン…死んじゃうんですよ,そこがまた哀しいんですが。
完全版以外のレオンはなんというか「普通版」?ありますね。
そちらのほうが一般的ですね。
完全版はいろいろカットされたシーンが付け足されて少し長め。
ストーリーは変わりませんがね。

ではぜひ普通版もみたいですね!
借りてきてみます(笑)

今かりれますか?

ゆみさん こんばんは

「完全版」と表記してないのが
きっと「普通版」だと思います。
でも普通版って完全版よりはやや短いですよ。
もともとはそちらが一般的ですから
私もつい最近までは普通版しか知りませんでした。

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いっとき、バイオレンス・ハードがハードゆえ、見られませんでしたが、久しぶりに観たら、やはり、良くて大いに感動。エンディングの、スティングが歌う『シェープ・オブ・マイ・ハート』なぞ、ほとんど反則です (;_;)そして、過去レビューを観たら、あまりにも言いたいことまんまで、( ̄Д ̄;) ガーンしかも「だけど、想像の余地がある、オリジナル版の方が好き」に、ヨロヨロ… となって、しまいました。だけど、偶然とは、いえ、ここまで駒が揃うこと… リュック・ベッソン監督がハリウッド・デビュー用として、公私共の友人、... [続きを読む]

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