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2008年11月の記事

2008年11月29日 (土)

ジェイン・オースティンの読書会

Spe02
ジェイン・オースティンの著書はどれも未読。日本ではそんなに読まれていないのでは?欧米では広く親しまれている古典作家だそうで,作品のドラマ化,映画化も多い。映画「高慢と偏見」「いつか晴れた日に」は観た。

オースティンの物語は,どれも18世紀から19世紀の英国の田舎を舞台に,中流階級の家庭に起こる平凡な事件が淡々と描かれている。起伏の激しいストーリーではないが,丁寧で適格な人物描写や心理描写が魅力のひとつだと思う。(・・・実はオースティン原作の映画は,なぜかそんなに好きではない

すごいな~と思ったのは,「オースティン(=いちおう古典文学)の読書会」なるものが,簡単に成立するってこと。アメリカ人って読書家?これが日本なら,「現代ベストセラー作家(東野さんとか)の読書会」ならあり得そうだけど,たとえば「夏目漱石の読書会」なら,難しい(そんなに人が簡単に集まらない)と思うから。
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オースティンの物語に出てくる人物はその心理描写のリアルさ,巧みさのせいか,時代を超えて現代の人々の共感を呼ぶらしい。現に,読書会に集う6人の男女は,物語の登場人物の生きざまと,自分のそれとを重ね合わせて考えたり感じたりする。

読書会で取り上げる作品は,オースティンの代表作,「分別と多感」「高慢と偏見」「エマ」「マンスフィールド・パーク」「ノーサンガー僧院」「説得」の6つ。6人がそれぞれ一つずつ分担し,会場も持ち回り

・・・読書好きにとっては,なんだかすごく楽しそうな企画だわ。個人的には,宮部みゆきさんの作品とかでやってみたい。それよか,「お気に入りの監督作品について語る会」っていうのもいいんでは???
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この作品の魅力って,等身大でそれぞれにチャーミングな登場人物の魅力が大きいと思う。・・・夫に捨てられたり,恋に臆病だったり,反対に秘めた思いを抱えていたり,パートナーに不満を覚えていたり,みんな悩みを持っていて,オースティンの物語に自分の思いを投影し,時には癒され,時には一歩踏み出して,ささやかな問題解決をなしとげる6人のメンバーたち。

彼らの一挙一動に,ちょっとはらはらしたり,くすっと笑ったり,ほろりとしたり・・・みんな平凡だけど素敵だ。それにファッションが全員,何気にすごくお洒落だし。

特に,メンバー内の唯一の男性グリッグを演じたヒュー・ダンシーがいい。このひと,いつか眠りにつく前にでは,不遇な役どころだったせいもあって,パッとしないな~,と思ったのだけど,この作品や美しすぎる母(ここではゲイ役)を観て「なかなかいいじゃん」と思った。しゃべったり笑ったりするときに,表情に何ともいえない魅力が出るひとだ。・・・それに綺麗に調整された筋肉が美しい。
Cap015
あ,メンバーの一人,教師のプルーディーを誘惑する男子生徒の役で,トランスアメリカケヴィン・ゼガーズ君も出てる。こちらはセクシーな正統派イケメン。しかし,セクシーすぎる美貌が仇になってか,こういう役が定着しても何だかな~~(ノ_-。) 相変わらず,なんとも色っぽい目つきにドキドキしたけど。

最後はなんだか,イケメン語りに落ち着いてしまった・・・・やれやれ。取り上げられたオースティンの6つの物語を読んでいたら,より楽しめる作品なんだろうな~~。

猫の昼下がり

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ご無沙汰っす

久しぶりの猫ネタ~~

四国の我が家も,
さすがに最近はめっきり寒くなってまいりました。

おねしょの癖の治らないななちゃんは,今年の冬は
家族のお布団の中でなく,
炬燵の中に湯たんぽを入れてもらって
そこで寝ている毎日です。(←自業自得)
もう大丈夫だろうと油断をすると,たちまちやってくれるので
やっぱり一緒には寝れません・・・(つд⊂)エーン
それに年をとって,夜中のおしっこの回数も増えたみたいだし。

それでもなんとか元気に今年も冬を越せそうです。
今日のようにお天気のいい日は,よくお外に出かけます。
・・・ったって,弱虫&いじめられっこのななちゃん
おうちの周りを一周するだけですが・・・(情けない)
001
さ~,出発にゃ~

003
スリスリスリ~~

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おお,これは・・・

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ウマイ雨水にゃ!

004
おっとっと・・・・

ここから先は「ついてくるんじゃねぇ!」とばかり
縁側の下に入ってしまって,行方を見失ってしまった・・・。
毎日こんな調子で,
きらく~に時間をつぶしてるんだろうな~。

仕事に追われる毎日,たまにはこんな風に
怪猫もとい飼い猫の,のんびりまったりした生態を
ぼーっと観察するのも,なかなかいいもんです・・・・。

2008年11月24日 (月)

アナザー・カントリー

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英国パブリックスクール(イートン校らしい)が舞台の,元祖美青年映画・・・・。1983年製作。若い頃のルパート・エヴェレットと,コリン・ファースに会えます。ふたりとも・・・・なんて美しい。ざっと20年前だもんねー。

物語は,ロシアに亡命している老スパイが,訪ねてきたジャーナリストに1930年代の欺瞞に満ちた英国の姿を語るシーンから始まる。(実在のスパイ,ガイ・バージェスがモデルだそうだ)彼が語ったのは,当時のパブリックスクールの内情・・・特にそこで繰り広げられた熾烈な階級闘争だった。
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そう,この物語,キャッチコピーが一生,女は愛さないだったりするから,同性愛が一番のテーマのようにも思われがちだけど,観てみればわかるように,英国のパブリックスクールの中での階級闘争がより大きなテーマだろう。

英国は階級社会で,特権階級とそうでない階級とは,進む道も歴然とした違いがあり,名門家庭や裕福な家庭の子弟は幼少時から,将来エリートコースを歩むべく育てられるらしい。(今もそうなのかしら?)彼らは12・13歳になるとパブリックスクールに入学し,18〜19歳で卒業すると,オックスフォードやケンブリッジ大学などの名門校に進み,ゆくゆくは外交官などの政府高官や弁護士,企業家のような,社会の指導者の役目を果たす要職に就く。
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つまり,パブリックスクールは,階層によって職業がかなり明確に分かれている英国では,さらなる支配階級の再生産を行う学校なわけで,学校そのものが「階級社会の縮図」のような色合いを持っている。

下級生は上級生に絶対服従で,上級生の「世話係」を勤めさせられる。また,校内の自治会の最高組織である代表( 通称"God")に選ばれることは,将来のエリートコース邁進を約束されたようなもの。その他にも幹事と呼ばれる監督生や,寮長などの地位?があり,最上級生になれば,それらの地位をめぐって,駆け引きや足の引っ張り合い(つまり階級闘争)が行われることもある。
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主人公のガイは,次期代表の座を望み,将来は仏大使に・・・という夢を抱いていたが,同性愛者の彼は,年下のハーコートと秘かに恋仲になったことが理由で,階級闘争の座から転落する。

この時代,英国では同性愛が犯罪だったにもかかわらず,パブリックスクールは同性愛の温床であり,(そりゃ,思春期の男の子ばかりを,閉鎖的な世界に何年間も閉じ込めておくのだもの,同性愛が生まれない方がおかしいかも。)それがバレて自殺する生徒も登場する。
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最後までエリート志向は捨てきれず,代表候補の座を追われたことに対して怒りを覚えるガイだけど,同時に「自分は同性愛者で,ハーコートを愛してる」という自覚もきっちり目覚め,彼を巻きこむまいとして,自分の保身を犠牲にする。そして,自分のセクシャリティが受け入れられない社会の仕組みそのものに復讐したかったのか,親友のジャド(コリン・ファース)が傾倒している共産主義の思想へと向かう・・・・。これが,彼がスパイになり,最終的には祖国を捨てた理由だった(と思う)。

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ガイの親友ジャドは,マルクスの信奉者であり,階級社会や宗教に敵対する思想を持つ。その意味では彼もまたパブリックスクール内では異端者だ。だからガイと気が合ったのだろう。・・・・・彼を演じたコリン・ファースは,若くてスレンダーだけど,この頃からすでに老成した雰囲気がある・・・・でも素敵,なんて知的でストイック。そして歩き方がほんと綺麗。伸びた背筋,ゆったりとした足運び,ポケットに片手をつっこんで頭を高く上げて・・・・漂う気品に見とれてしまう。
Cap118
この作品,テーマはあまり共感できない・・・というか,世界が違いすぎて入り込めない難しさがあるし,べつに切なさも感動もそんなに感じない。(そりゃ,モーリスの方がよほど心に響く。)しかし,英国上流社会のスノッブで格調の高い雰囲気や,オックスフォードで撮影したという美しいキャンパスの風景や,上品で美しい青年たちは十分楽しめる作品だ。テーマ曲にホルストの「木星」が使われているのも嬉しい。

・・・・ほんと,見事に男性(それも大半が美青年)しか出てこないのが,なんと言っても嬉しいではないか。

そして,私の一番のお勧めポイントは,もちろんルパートとコリンの美しさ。特に,この頃のルパートの美しさは神がかっていますよ〜。

2008年11月22日 (土)

レッドクリフ Part I

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三国志について全く詳しくないのだけど,十分楽しめた。・・・・字幕にやたら画数の多い漢字(それも見慣れてないもの)が出てくるので,ちょっと脳が疲れたが。

お話は一言で言えば,皇帝の座を狙う悪い武将(曹操)VS同盟を結んで対抗する二人の武将(劉備と孫権)の戦いの物語。そして見どころは何といっても,劉備孫権に仕える武道に秀でた勇猛な将軍たちと,天才軍師である,諸葛孔明と周瑜の活躍。時間の限られた映画の枠の中で,各人の強烈な個性を十分に描き尽くすことは不可能だが,それでもそれぞれの持ち味や得意技,魅力などはよく伝わってきた。

最初は登場人物の名前や所属が混乱したが,ご親切にも,誰かが新しく登場するたびに,名前と所属を説明する字幕が入る(某大河ドラマみたい)ので有り難かった。さすがに中盤になってもそのサービスが続くと,ちょっとうっとおしくなったりしたけど。・・・もういいよ~,覚えたよ,名前~(^-^;)
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目元涼しく爽やかイケメンの金城さん
が,孔明のイメージかどうかはともかく,砂ぼこりと血しぶきの舞い上がる戦闘シーンで,合間に映し出される彼の麗顔は,私にはとっても癒し効果があった。
そして音曲を愛する風雅さを持ち,頭脳明晰で冷悧な周瑜はトニー・レオンのハマり役。戦闘を指揮するだけでなく,アクションまで見せてくれるが,強面(こわもて)でも大柄でもない彼に,騎馬戦は少し似合ってなかったかも。
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劉備に仕える猛者たち
の,それぞれの立ち回りがなんとも見事。重い武具に身を包み,身の丈を越える武器を振り回すアクションは重量感たっぷり!劇中の台詞ではないが,彼らが敵をなぎ倒すさまは,いかにも痛快の極みだ。
槍の趙雲。
薙刀(矛?)の関羽。
そして肉弾戦の張飛。
羽根扇と白鳩の孔明。

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クライマックスの戦闘シーンでは,一人ずつちゃんと見せ場が順番に用意されてあり,スローモーションを多用してくれるので,芸術的といっていいほど美しい彼らのアクションが堪能できた。武器も動きもものすごく新鮮で,私は口をぽかーんと開けて見入ってしまった。ああ,何度でも観たい・・・彼らのアクション。

個人的には,藍宇でハントンを演じた胡軍(フー・ジュン)さんの趙雲がお気に入り。赤子を背中にひっかついで闘う決死の脱出劇や,疾走する馬に乗ったまま槍をキャッチするシーンに萌え~男だねぇ~~,たくましくって,とっても素敵!

あと,いかにも三国志の絵本からそのまま出てきました,という風貌(あご髭がすごい)の関羽の強さ!もはや人間離れしてる。なんか・・・中国の英雄って・・・桁が違うとつくづく感心。
 
それと,三国志の面白さって,アクションもだけど,頭脳戦を味わうことに醍醐味があるのかな。敵の動きを読み,最適な兵法を指揮する軍師の度量と才覚が,まさに戦の明暗を分ける。この Part I は,陸での騎馬戦が中心で,Part Ⅱは,いよいよ水軍による戦いが開始される模様。二部構成にしてほしくはなかったというのが本音ではあるが,完結編の公開は来年の4月らしいし,そう待ちくたびれるほどでもないかな?今から公開が楽しみだ。
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三国志ファンにとってはエンタメ色が強すぎるとか,いろいろ突っ込みもあるかもしれないけど,三国志に明るくない私には,とっても満足できる作品だった。

2008年11月21日 (金)

中国の植物学者の娘たち

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あらすじ: 厳格な植物学者の父親とアン(リー・シャオラン)が暮らす植物園に、実習生としてやってきたミン(ミレーヌ・ジャンパノイ)。両親を亡くし孤児院で育ったミンと、母を亡くして以来、父親と2人きりで生きてきたアンは姉妹のように心を寄せ合う。やがて2人の関係は許されない愛へと高まってゆくが、そんなある日アンの兄が現れる。(シネマトゥデイ) 

一番心に残ったのは,この時代の中国では,同性愛が極刑になるほどの犯罪だったんだな〜という事実だ。犯罪って・・・・藍宇(ランユー)の原作でも「同性愛は犯罪」だという文があって「へええ」と思ったものだが,まさか,死刑に相当する罪になるとは!
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主人公の二人の少女が惹かれあったのは,互いの孤独な境遇が似ていたから。肉体の結びつきよりも先に生じたのは,魂の結びつきだった。

世間から隔離された植物園で,厳格な父親の助手を勤めるだけが人生だったアンと,孤児院育ちの天涯孤独なミン。 あるときは薬草を求めて山に登り,あるときは蒸気のたちこめる温室で,二人きりで仕事をするうちに,彼女たちは互いにかけがえのない存在となってゆく。

同性愛映画ではあるけれど,エロティックな場面は最小限に抑えてあるので,上品な官能の香りは全編に漂ってはいるが,いやらしさは皆無である。ベトナムで撮影されたという映像はむしろ,幻想的な名画のような美しさがあり,アンとミンの二人の,たおやかでみずみずしい美しさには,思わずため息が・・・・。二胡を使った流れるような音楽や,吐息とともに囁かれる中国語・・・・とにかく全てが美しい。
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二人がいつまでも一緒にいられますように」という願いを込めて大空に放たれる鳩の群れ。ただアンと一緒にいたいという理由だけで,アンの兄の求婚を承知するミンの思いの深さ。二人の少女の互いを想う気持ちは,いかにも純粋で美しく思え,それに比べて,彼女たちをまるで所有物のように扱う男性たち・・・父親と兄・・・・には嫌悪しか感じない。

・・・・そして,あろうことか,父親の訴えによって逮捕される二人。それまで描かれてきた,美しくイノセントな世界から,いきなり奈落の底に突き落とされるような,ラストへの残酷な展開。
Cap061
刑が宣告されたときに,法廷で最後に見かわす二人のまなざし。すべてを受け入れた二人の表情は,あくまで静かで,後悔や悲しみの影はなく,神々しくさえ見えた。

親しかった山院の僧侶と,ミンの孤児院の保母の手によって,二人の遺灰は生前二人が慣れ親しんだ湖に撒かれる。「二人の遺灰を合わせて撒いてほしい。そうすれば安らかに眠れるから・・・」というミンの遺言は,ブロークバックマウンテンのジャックの遺言を思い出させる。
Cap054
愛は,はたして人の手で裁かれてよいものだろうか。


法や偏見によって断ち切られる絆,
「一緒に生きたい,ただそれだけ」という,二人の切ない願い
二人きりで過ごした桃源郷のような美しい自然の存在

そんな点もブロークバックマウンテンを思い起こさせる物語だった。

2008年11月18日 (火)

「秋の童話」DVDボックス買っちゃった

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韓国ドラマは,最終回までに飽きてリタイアすることが多い私が,これと「悲しき恋歌」だけは最後まで観た。・・・・「その手にのるもんか」と思っても,ついつい毎回泣いてしまうドラマだ。
これはひとつ,記念に手元に置いておくのも悪くないと思い,中古をネットで購入。秋の夜長に毎晩1話ずつ観て,やはり同じシーンで目頭を熱くしている今日この頃である。

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出生時に産院で入れ替わる,という不慮の事故により,実は血が繋がっていないのに兄妹として育てられたジュンソ(ソン・スンホン)とウンソ(ソン・ヘギョ)の悲恋物語。その秘密が明らかになり,生家から引き離される少女時代のウンソが健気で,もう第1回目から大いに泣ける。

成人してから巡り会い愛し合う二人。しかし韓ドラお約束の三角関係もしくは四角関係のせいで,二人の想いはなかなか成就しない。いつもはそういう展開になった地点で飽きたりする私だけど,このドラマに関しては,ウンソに片思いするテソクを演じたウォンビンに感情移入してしまって,後半部分も目が離せなかった。(ジュンソの婚約者ユミのうっとおしさからも別の意味で目が離せなかったけど(#゚Д゚)y-~~イライラ)
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ホテルの御曹司でプレイボーイのテソクが,初めて本気で愛した相手がウンソ。彼のそれまでのキャラには似合わない「尽くす愛」に泣ける。白血病になって余命いくばくもないウンソに捧げる,テソクの無償の愛。「ウンソ,ジュンソじゃなくてテソクにしなよ~」と心の中で何度叫んだことか。

出生の秘密,許されない愛,不治の病・・・・と泣ける韓ドラの王道をきっちり押さえているが,とにかく俳優さんたちの演技がどれも素晴らしく,美しい風景や音楽にも心癒される。
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それにしても,こうして久々に見返してみると, 韓国ドラマの俳優さんってほんと「よく泣く」し,「泣き方がうまい」。主要人物はみな,男も女も実によく泣く。すぐに泣く。・・・・特にこの「秋の童話」は他のドラマと比べても,みんな盛大に泣いていたような気がする。それも号泣というのではなく,いつの間にかぽろぽろと静かに涙を流し,目が腫れたり鼻が赤くなったりするわけでもなく,泣き顔も見とれるくらい綺麗。・・・・うーん。泣き慣れてる???

日本じゃ男優さんはそんなに簡単には泣かないので,韓国ドラマを見るたびに,あちらの男優さんの涙が,実に新鮮に思える・・・・のは私だけだろうか? 目の前であんなに綺麗な涙を流されたら,ハートがとろけてしまいそう。(単純)
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最近の韓国ドラマは,なぜかレンタルする気がしない。やはり,ソン・スンホンさんやウォンビンさんやクォン・サンウさん,チャン・ドンゴンさん,イ・ビョンホンさんが出ていた時期のドラマが好きだ。・・・・・今現在ドラマで活躍している俳優さんたちはみな若すぎるように思えるし。

2008年11月15日 (土)

イースタン・プロミス

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ロンドンに暗躍するロシアン・マフィアをめぐる,限りなくダークな犯罪バイオレンス。

・・・・これは,ヴィゴの映画だ。
それだけは間違いない。

ヴィゴ・モーテンセン。
名前の響きからして,北欧のミステリアスな香りのする男(父親がデンマーク人)。 ストイックなバイオレンス・アクションがこの上なく似合う男。そして,この「イースタン・プロミス」のヴィゴは,過去作品のどのヴィゴ゙と比べても,めちゃめちゃクールで渋くてカッコよかった。いや,あのカッコよさをなんと形容したらいいのか,うまく言葉が見つからないのだけど,刻まれたシワの一本一本,細かな表情の一つ一つに至るまで,すべてが無駄なくキマっているというか・・・。
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オールバック,つり目のサングラス,彫像のように完璧な身体は,ロシアン・マフィアの世界では「履歴書」代わりになる多くのタトゥーに彩られている。ボスの息子の片腕的存在である彼の仕事ぶりは,迅速で迷いがない。

この物語は,「知られざるロシアン・マフィアの世界」を垣間見ることができる。祖国の貧困から逃れるために欧州へやってきたロシア女性たちを食い物にする非道さや,仲間に制裁を加える際の残虐さ。題名のない子守唄を思い出す。・・・・とにかく全編にわたって,残酷なシーンも多い。しかし,銃を使わずに,ナイフが武器,というのはけっこう怖いもんだなぁ・・・・

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ニコライの所属する社会は,一般人なら,ふつうは覗く機会のない裏社会。
しかし,身元不明のロシアの少女の遺児を取り上げたことから,アンナはその世界に巻き込まれてゆく。日のあたる表社会と,ダークな裏社会の,光と影の交錯から,いったい何が生まれるのか・・・・緊張感あふれる展開には,最後まで目が離せない。

その気になれば,どんな残酷な暴力もやってのけるほどのニコライが,唯一アンナにだけは見せる優しさ・・・・。その理由は,彼の正体が明かされるラスト近くで,納得がいくのだが。

ニコライの正体と,彼の選んだ道の行方・・・・ミイラ取りがミイラになった物語のような気もしたけど。裏社会,特にロシアン・マフィアのような,その奥に何が待っているかわからない得体の知れない世界にひとたび足を踏み入れたならば,・・・・・もう決して堅気には後戻りはできないということか。

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ニコライを取り巻く深い闇。その中の一筋の光明にも感じられる,アンナとのためらいがちなキスシーンが切ない。

公衆浴場での,ヴィゴの全裸格闘シーンは必見。これを観るだけでも,この作品は十分値打ちがある。壮絶だし,観ているこちらも痛みを感じてしまいそうなバトルシーンなのだが,・・・・美しい。ヴィゴの身体にも見とれるが,「殺らなければ殺られる」という,はりつめた緊迫感に圧倒された。

・・・・それにしても,ヴィゴはカッコよすぎ。近寄ってはいけない男の魅力全開である。謎,哀愁,孤独,そして強靭さ・・・・任侠映画のダークヒーローに必要不可欠な濃いフェロモンに酔ってしまった。クローネンバーク作品の味わい方は不慣れだが,暴力と孤独に満ちた世界の中に描かれる美学のようなもの・・・そんな魅力を感じた。

2008年11月12日 (水)

花蓮の夏

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抱きしめたくなるくらい,みずみずしく切ない作品だ・・・これは,大人への分岐点にさしかかった,三人の若者の,答えの出ないやるせない青春の物語。

幼馴染の親友同士のジェンシンとショウヘン,そして二人の間に割って入る形になった少女ホイジャ・・・・。この三人の関係は,とてもひとことでは言い表せないほど,デリケートで複雑。

三人は,恒星・惑星・彗星にたとえられている。惑星であるジェンシンは,不動の恒星=ショウヘンを愛し,思いは常に,彼を中心にしてその周囲を回っている。そしてその二人の間に唐突に出現する彗星のようなホイジャは,それまでの彼らの関係を大きく変える。

作品のテーマの一つにはおそらく,「セクシャリティ(性的指向)の自覚への目覚め」があるのだろう。思春期になって初めて生まれる,「異性に惹かれるか,同性に惹かれるか?」という問題。完全な異性愛者のホイジャは何の迷いもないが,自分がゲイであることに気づいたジェンシンと,親友の想いを受けて混乱するショウヘンの心は,激しく揺れる。
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ホイジャとキスした時に初めて,自分が女性を愛せないとわかって愕然とし,ショウヘンへの思いに気づいてうろたえるジェンシン。彼は図書館で,人目を忍んで「性別とは」という本に手を伸ばし,自分の隣に眠るショウヘンの,屈託のない寝顔をまじまじと見つめる。・・・葛藤,狼狽,うしろめたさ,そしてショウヘンにこの思いを告白すれば,二人の関係がどうなるのかを恐れる気持ち・・・・彼の心には,そんな様々な思いが浮かんでいたのだろうか?

初めはジェンシンに惹かれたものの,彼のショウヘンへの秘めた想いに気づき,それを柔軟な心で受け止めるホイジャ。やがて彼女はショウヘンと交際するようになるが,そのことはジェンシンをひどく苦しませる。「僕とホイジャとどっちが好き?」と二者択一ゲームにかこつけてショウヘンに尋ねるジェンシン。あれは彼のぎりぎりのところに立った,精一杯の愛の告白だったのかもしれない。そのくせ,彼はショウヘン の答えを聞くのが怖くて,即座にその場を逃げ出してしまう・・・・。

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ショウヘンは・・・・,あのジェンシンの問いかけによって,初めて彼の気持ちに気づいたのだろうか。そして,彼はのちにホイジャに打ち明けているように,「どちらかを選ぶ」ことは不可能だったのだ。ショウヘンにとってジェンシンの存在は,唯一無二のもので,絶対に失いたくない絆だったから。
 
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子供の時から,嫌われ者の自分の傍に,どんなときもいてくれた優等生のジェンシン。そして,いつだってジェンシンの姿を,落ち着きなく目で追っていたショウヘン。それは彼がたくましいバスケ部のエースと成長してからも変わらない。ジェンシンがいないと,途端に不安そうな表情になり,昔も今も,「カン・ジェンシーン!」と繰り返し駄々っ子のように呼び続けるショウヘン。

ショウヘンは,
ジェンシンがいないと生きていけない
のだ,きっと。

大学生になって,ホイジャと恋人になってからも,ジェンシンが自分から距離を置こうとすると必ず彼はジェンシンに付きまとい,「構っておくれ」サインを出し続ける。それは,はたから見ても大人げなく,自分勝手な言動のようにも見えるけれど,ホイジャのことがあってもなお,ジェンシンだけは絶対に離したくない・・・・というショウヘンの必死の思いが,その表情からひしひしと伝わってくる。
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でも,だからと言って,ジェンシンとまったく同じ性質の愛を抱いているとも思えないショウヘンが,自分からジェンシンを抱いたのはなぜなのか?叶わない思いに絶望し,離れていこうとするジェンシンを引き留めたかったのか?それとも,自分にとって,かけがえのない存在であるジェンシンの気持ちに,何らかの形で答えたかったのだろうか。

だから,肉体的には結ばれた後も,
ジェンシンの憂いは晴れない。

・・・だって,ショウヘンの気持ちがはっきりと見えないから。そして,自分のセクシャリティが明らかになった今,少年のころのような屈託のない親友関係に戻ることは,もはや不可能だと感じていたから。

人影のない砂浜で,寄せては返す潮騒の音をバックに繰り広げられるラストシーンには,胸がいっぱいになった。「やっぱり,もう会わない」と言うジェンシン。それを聞いて逆上するショウヘン。初めての本気の取っ組み合い。・・・・そして,「(何があっても)俺たちは親友だ」というショウヘンの言葉。ジェンシンの涙。

思春期のセクシャリティって,突然に目覚めたり,まだ定まっていなかったり,流動的だったり,とても危うく,繊細なものではないかと思う。
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最も身近で大切な相手とのセクシャリティのズレ。愛や執着が深いほど,すれ違いや傷つけあうリスクも大きい関係。
この3人の三角関係は,まさにそんな痛みを抱えた関係。

それでも彼らは一緒にいることを選んだ。
愛とエロスと友情が,混然一体となった不思議な関係。それでも,一緒にいたいから。たとえ愛の形が違っていたとしても,離れることはできないほど,互いを想っているから・・・・。

Cap123
ジェンシンの,ショウヘンへの愛。ショウヘンのジェンシンへの愛。・・・・そして全てを理解し,彼ら二人を癒す役割を果たそうとするホイジャの愛。
三人ともが,それぞれに満たされない思いを抱えながら,それでも互いを思いやっていけるならそれにまさるものはないのかもしれない。・・・そう,少なくとも,いまは。
今後さらに大人への階段を一歩ずつ登るたびに,彼らの関係は,これからどんな方向へと変わってゆくのだろうか。
Cap093
この物語って,大好きなイノセント・ラブを思い出させる。あれもまた,幼馴染の二人の青年(一人はゲイ)と,彼らを愛するひとりの女性の物語だった。

主演のブライアン・チャンとジョゼフ・チャンが美しい。
まったく異なるタイプのイケメンであることが,かえって互いを引き立て合っている感じ。物語自体も十分魅力的ではあるが,若く美しい二人が演じたことで,より一層この作品の魅力は増したことだろう。特にブライアンの,涼しげな眼もととはアンバランスな,ちょっとぽってりした震える上唇がセクシーだ。
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もひとつオマケ。ただし,こんなシーンはありませんのであしからず。こんなイメージの作品でもありません。・・・しかしなんでなんだ??おまけにショウヘンがジェンシンを縛ろうとしてるし~。

2008年11月 7日 (金)

レオン 完全版

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解説:  「ニキータ」のリュック・ベッソンが初めてアメリカで製作したバイオレンス・アクション。ニューヨークを舞台に,凄腕の殺し屋レオンと12歳の少女マチルダの純愛と戦いを描く。大都会の片隅で出会った孤独なふたりの葛藤と,壮絶なアクション・シーンがほどよくブレンドされた佳作。(allcinema ONLINE)

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ブーリン家の姉妹
で妖しい眼差しのナタリー・ポートマンを見て,彼女が少女の頃に演じたマチルダにまた会いたくなった・・・完全版というのは初見。

こうして改めて見返してみても,お話は結構シンプル。麻薬取締局に家族を皆殺しにされた少女マチルダが,同じアパートメントに住んでいた殺し屋のレオンの部屋に逃げ込んだことが発端となり,レオンとマチルダの奇妙な共同生活が始まる・・・。
Cap024
この作品の魅力って,レオンとマチルダのそれぞれのキャラの持ち味と,そんな二人がいっしょにいる時に生じる切ないケミストリーによる点が大きいような気がする。二人はどちらもアンバランスな内面を抱えていて,そこが強烈な個性になっているタイプだ。

腕は超一流でも,生きることには不器用で,寡黙なレオン。瞬時にそして正確に,人を殺すことができる俊敏さ,老練さを持ちながら,観葉植物とミルクを愛し,時には子供のような無邪気な笑みも見せるレオン。
Cap007
そして,繊細さと大胆さを持ち,少女のあどけなさと,大人の女性のコケティッシュさを同居させているマチルダ。まだ胸もふくらんでいず,ショートパンツから伸びた足は,小鹿のようにみずみずしいのに,その表情が,時にはどきりとするくらい妖艶だったりするマチルダ。頬の高さで切り揃えた彼女のスタイリッシュなボブは,ある時は可愛らしく,またある時はセクシーに見えたりする。

寡黙な一匹狼の殺し屋と,
背伸びした12歳の少女の出会い。

・・・お揃いの円い毛糸の帽子・・・丸いサングラス・・・レオンの黒いロングコートと,マチルダの黒いリボンのチョーカー。・・・乾杯するミルクのグラス・・・観葉植物。
Cap010
彼らのファッションや小道具は,どれも印象的なものばかりで,そしてまた個性的な取り合わせばかり。特にマチルダの服装って,キュートでクールだ。

マチルダの,レオンに対する愛。父親ほど年の離れた相手なのに,痛々しく感じるほどまっすぐで,迷いがない。それを素直に受け止めることができずに,うろたえ,戸惑うレオンが,滑稽にもいとおしくも見えてくる。孤独な殺し屋になって初めて「守りたい」と思った相手・・・レオンにとってマチルダとはそんな存在だったのだろう。

完全版は,マチルダがレオンに愛を告白するシーンや,レオンの過去の話,マチルダをレオンが訓練するところ,などが収録されていた。それはそれで物語の深みは増しているが,やはりカットされた部分がない方が,物語はスマートなのかな?とも思う。

そして,この作品で忘れてはいけないのが,主演の二人と同じくらい,強烈な個性を放つ悪役スタンフィールドを演じたゲイリー・オールドマン。初めてTVでこれを観たとき,バイオレンス映画にそんなに慣れてなかった私は,このスタンの放つ不気味さに震えあがった記憶がある。(ゲイリー・オールドマン,この作品が初見)
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パッと見は優男なのに,ヤクを服用するときの,完全にイッちゃってるリアクションや,半端でないキレっぷりは,ほんとに怖い。このひとの悪役のときの怪演ぶりは定評があるけど,なんといってもこのスタンが凄い!相手をいたぶりながら殺すことに快感を覚えるような彼は,絶対に,絶対に敵に回したくないタイプだ。


それにしても,ベッソン監督の最高傑作と言われている本作は,やはり何度観ても,エンタメ性,ドラマ性,キャラ立ち,アクション,情感・・・・どれもが満足できる作品だ。そして,お目当てのナタリーは,やはり子役のときから飛びぬけて素晴らしい才能の女優さんだな~と思った。切ない泣き顔,キュートな笑い顔,そして獲物を狙うときのような精悍な表情,ぞくりとするくらい大人っぽい表情・・・・くるくる変わる彼女の表情の演技は,子役とは思えないくらい多彩で,見事だった。

2008年11月 1日 (土)

ブーリン家の姉妹

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ヘンリー8世の愛憎うずまく嫁遍歴は,「ヘンリー8世と6人の妻たち」という言葉でも有名だけど,その中でも特に知名度の高い(何しろ,王をしてバチカンに絶縁状を叩きつけさせた女性だから)アン・ブーリン。彼女の一族や,姉妹のことは今まであまり知らなかったけど。

あらすじ: 16世紀、イングランド国王ヘンリー8世(エリック・バナ)には男子の世継ぎがなかった。いら立つヘンリーが愛人を求めていることを知った、野心家のブーリン卿(マーク・ライアンス)は聡明な長女のアン(ナタリー・ポートマン)を愛人候補に仕立てる。だが王が目に留めたのは、結婚したばかりの気だての良い次女メアリー(スカーレット・ヨハンソン)だった。(シネマトゥデイ)
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いや~,スカーレットが演じる妹のメアリーが,最初から最後まで,めちゃくちゃ善いひとで,びっくりした。(スカーレットがそんなキャラを演じたから余計に・・・)
美しく才気あふれる姉のアンの陰になって,地味でつつましく,優しい女性メアリー。夫もいたのに,運命を受け入れて王を愛するようになるメアリー。・・・・しかし念願の男の子まで産んだのに,王の歓心は今度はフランス帰りのアンへと移ってしまうのだ。
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対するアン(ナタリー・ポートマン)は野心家で,したたか。自己愛の強い人物で,常に高い望みを抱くタイプ。父や叔父に「王の愛人になれ」と勧められたときから,既にその心に野心の炎をメラメラと燃やしていた彼女は,おとなしい妹を出し抜いて王の心を奪う時も,良心の呵責なぞ感じない。(このシーンはとっても彼女が憎たらしく見えた)

しかし,この物語で誰よりも腹がたった相手は,子供たちを政略の道具としてしか見ていない,姉妹の父親のブーリン卿と,叔父のトーマス・ハワードだ。姉妹の母,エリザベス(クリスティン・スコット・トーマス)も,最後にキレて夫をビンタし,「みんなあんたのせいよ!」と叔父(=自分の弟)を面罵していたけど。・・・・あのシーンは少しスカッとした。
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政略の道具として最初にアンに白羽の矢を立てたものの,図らずもメアリーの方が寵愛を受けるようになると,今度はメアリーを夫から引き離してまで(夫も哀れだったな~)王のもとに侍らせ,メアリーが妊娠して王とベットを共にできなくなると,今度はフランスに追いやっていたアンをピンチヒッターのように呼び戻す・・・・。おまけに姉妹の兄弟ジョージ(ジム・スタージェス)にも政略結婚を強いるし・・・。まったく,どこまで子供の人生を振り回すんじゃい!って感じだ。( ゚皿゚)キーッ!!

ラスベガスをぶっつぶせで,チャーミングな天才数学青年を演じていたジム・スタージェスに,重厚なコスチュームの時代劇はイマイチ似合ってなかったような・・・・・。それに,すごく哀れな最期を遂げるのもかわいそう。
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一方,もうひとり若手イケメンでは,エディ・レッドメインが,後にメアリーと結婚するシャイなスタフォード卿を演じていたが,こちらは中世のコスチュームがとっても似合っていた。イギリスの俳優さんって,やはりこういう衣装がよく似合う。

「明日はわが身」の裏切りや寵愛の座からの転落,明暗はそれこそクルクルと変わり,そんなどろどろした思惑の中で,この姉妹は,気の毒にも翻弄されているようにしか見えなかった。中盤はほんと憎たらしく思えるほど自信にあふれていたアンも,王子を産めず,罪びととして裁かれるようになったときに,哀れなほどうろたえ,取り乱した様を見せる。
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そして,やりたい放題で時には自己中にも見えるヘンリー王・・・・実際に,国王至上法などどいう都合のいい法律も作っちゃった御仁なのだが,この物語では,隙あらば「一族の娘を差し出して皇太子を産ませよう!」と陰謀をめぐらせている大勢の臣下にとっては国王もまた,一つの駒にしか見えてなかったりして・・・・。王のその時その時の妻に対する行動は,現代の私たちから見ると「許せん!」のだが,苦悩するエリック・バナの顔を観てると気の毒な気も・・・・。

それにしても,ヘンリーをエリック・バナが演じる必然性って・・・・???彼がハマっていたのって,他を威圧するような堂々とした体格のみじゃないかい?彼って,どうしても私の中では,トロイのときの理想的な夫ヘクトルのイメージがあるので,冷酷な役ってやってほしくない・・・・。

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せめてもの救いは,それまでの確執にも関わらず,姉妹のきずなが回復したことと,アンの娘,エリザベスの黄金時代をほのめかすラストかな・・・・。穏やかで多くを求めないけれど,芯の強いものをもったメアリーが,エリザベスを抱いて宮廷を去る時の毅然とした足取り。

・・・この作品,ヨハンソンは美味しい役だ~~~。彼女がいじらしく,またカッコよく見えるシーン,多かった!あ,でも原題が「ブーリン家のもうひとりの姉妹」だから,もともと彼女が主役なわけか!ある意味これは,歴史の表舞台に立たず,その存在をあまり知られてないメアリー・ブーリンの物語だろう。
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衣裳の豪華さには溜息がでたが,(絢爛・・・というのではなく,暗めの映像に合わせてシックな色遣い)メアリーとアンの娘時代の色違いのドレス・・・素敵だった~。

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