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2008年10月 1日 (水)

山の郵便配達

Postmen1_2
藍宇リィウ・イエの,映画初出演の作品ということで鑑賞。
1999年に中国金鶏賞を取った,地味だけど静かな感動の余韻がいつまでも後を引く作品だ。 原題は,「あの山 あの人 あの犬」だそうだが,確かに深く険しい山峡の風景と,そこに生きる素朴な郵便配達の父子,そして彼らの愛犬の,三者が主役の物語だった。

舞台は,80年初頭の中国・湖南省西部の山間地帯。

Cap022
引退する父の仕事を受け継ぐ息子の,初仕事につきそう父。一度の配達に,なんと二泊三日を要する過酷な道中,ずっと留守がちだった父に,それまでよそよそしい思いを抱いていた息子は,次第に父の寡黙で真実味あふれる生き方や,仕事への思い,家族への思いを感じ取るようになる・・・・。

この映画って,キャストの役名がない。「父」「息子」「母」・・・という具合だ。犬だけは「次男坊」という名前をもらってるけど。ストーリーもシンプルそのもので,彼ら父子の,二泊三日の郵便配達の様子を,淡々と映し出す・・ただそれだけだ。
・・・・それだけなのに,なぜ,こんなにも,
何でもないシーンまでが
しみじみと心に響くのだろうか。

父役のトン・ルゥジョンは,
素朴でいかにも普通の枯れた父親,という感じ。
Cap031_2 
息子と初めて二人きりの旅に出た
彼の様々な思い。


知らぬ間にたくましく成長した息子の姿に感慨を深め,かつて自分が肩車した息子に,今度は自分が背負われて川を渡る時,その背でこっそりと涙を流す父。・・・そして,生涯かけて自分が全うしてきた仕事を,心残すことなく,確かに息子に伝えたい,という思い。
折にふれて息子に注がれる,父のまなざしの静かな優しさ。
家族に対しても,仕事に対しても,深い愛情を抱いてきたことが感じられる。

Cap011
そして息子役のリィウ・イエこれがデビュー作だという彼は,このときはまだ,中央演劇学院の学生だったそうで。

彼の演じた「息子」は,藍宇(ランユー)とはまったく別人の,いかにも純朴な,土臭さと瑞々しさが共存してるような青年なのだけれど,はにかんだような笑顔の可愛らしさは,やはりこのひとの最大のチャームポイント。黙っていると憂い顔ともいえる彼が,ぱっと屈託なく笑う時,その顔に陽がさしたかのような明るさが広がる。

それに藍宇のときは,相方の胡軍(フー・ジュン)さんも背が高かったからそんなに気付かなかったけど,この作品で小柄な「父親」と並ぶと,その背の高さが際立つ。(東洋人ばなれした足の長さだ・・・いや中国の男性は足が長いのか???)

親には孝を尽くす・・・というお国柄のせいか,それとも,もともと優しい気立てのせいなのか,父に親しみは抱いてなくても,従順に従い,時折気遣いも見せる息子。しかし父の愛を確信したことがなかった彼は,これまで一度も「父さん」と呼んだことはなかった。

その彼が,自分が誕生した時のエピソードを父から聞かされ(このエピソードがまた心に沁みる)ごく自然に「父さん・・・」と呼ぶようになる。

Cap027
そして,ある意味,主役級の存在感のある犬の「次男坊」

もう,この犬がめちゃくちゃ・・・いい!
なんとも健気で,お利口で・・・(この役を演じた犬も演技派だ)
一人っ子政策のせいだろうか,犬に「次男坊」と名付けるのも,飼い主の家族のお茶目さと,犬への深い愛情が感じられる。

父の仕事の完璧な相棒として,郵便配達には欠かせぬ存在になっていた次男坊。息子が一人で初仕事に出かけようとした朝,次男坊は息子についてゆこうとしなかった。まだ,彼を一人前の郵便配達と認めてなかったのだ。それで父が仕方なく息子と一緒に行くことになったのだけど。

Cap034
しかし,父子の「引き継ぎ」の旅をしっかり見届けた次男坊は,次回からは一人で仕事に行く息子についてゆく。
このときの犬の演技(?)が素晴らしい。
今度こそ見送りにまわった父親に向かって,一度は名残惜しげに駆け戻ってくる次男坊。しかし父に背を押され,意を決したかのように,遠ざかる息子を追って一目散に走ってゆく。・・・・これからは息子の道中を助けるために。

父の思いを受け止めて,しっかりした足取りで出発する息子。
そのお伴をする次男坊と,その後ろ姿をいつまでも見送る父。
父の気持ち,息子の気持ち,犬の気持ち・・・・
そのどれに思いをはせても,切ないような優しいような,
なんとも言えない思いがこみあげてきたラストだった。

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映画 や行」カテゴリの記事

コメント

こんばんは

すみません、お久しぶりになってしまいましたσ(^◇^;)

この映画、凄く印象に残る映画でした。
もう何年も前にスカパーで見たのですが、未だに
脳裏に記憶が焼き付いています。

父親を背中に背負い川を渡る息子。
父親泣いてましたよね。一人前になった息子の事が嬉しいやら
頼もしいやらで泣いたのだろうと

むちゃ、地味な映画でしたが傑作だと思います。心に染みました。

これは大好きな映画です~。見た直後よりも、さらに最近になって
よかったよなぁ~。。この映画は、としみじみ思ったりします。
中国のこの山並み、村の風景、いろんな想いが込みあげてきたことを思い出します。
そうそう、あのワンの演技?は良かったですよね~。
あんな風に撮れるってことも素晴らしいと思ったし。
無性にまた見たくなりました♪

ななさ~~ん!私はこの映画は、もう本当にめちゃめちゃ大好きなんですよ。映画館で号泣しまくり、ヤバかった映画です。ななさんの記事を読みながら、色々なシーンが蘇り、また涙目になってしまいました。いやぁ~ほんと良い映画だわ!!

藍宇は、恥ずかしながら知らなかったのですが、ななさんのリンクされている記事を読んで見てみたくなっちゃいました!
リウ・イエ君出演の映画って、なんか偶然なんですが、色々見ちゃってるんです。「恋の風景」「小さな中国のお針子」「ジャスミンの花開く」「PROMISE」

(ここから暫し時間が経過(^^;))
以前彼の出演映画リストみたいのちょっと記事にしたことあったな・・・と、今、自分ちを捜して来たら、なんと!2001年 藍宇/ランユー 情熱の嵐 と、しっかり書いているのに、全くこの映画の事を記憶してなかった自分・・・(x_x)
彼、足が長いです!なんか素朴な田舎の少年的なお顔なのに、スタイルはモデル風というのがミスマッチで魅力的な人ですね。

おひさしぶりです。衛星映画劇場でですが、二度観て二度とも嗚咽しましたねえ。
latifaさんも書かれてますが、私も『PROMISE』で「この俳優、誰だろう。上手いなあ、味があるなあ、でもかなり若いようだけど…」と真田氏よりもちゃんどんごーんよりも目を引いて、それがリゥ・イェ君でこの作品の息子役の役者だったと知って、驚きもし、納得もし。
あのときはほほがそげたメイクのせいもあって、佐々木倉之助氏みたいな面差しに見えてしまいましたが、いずれ中国映画界を背負って立つ看板俳優になることでしょうね。

アニーさん,こんばんは
こちらこそ,すっかりご無沙汰しております。
そうですか~スカバーでご覧になったのですね。
私はこれを急に見たくなって,探したのですがDVDは廃盤?なのか
新品は扱ってなくて中古をネットで買いました。
買ってよかったと今ではつくづく思います。
何度でも見たい名作です。

>むちゃ、地味な映画でしたが傑作だと思います。
ほんとに,こういう種類の感動(うまく言葉になりませんが)を与えてくれる作品って,他にそんなにないような気もします。
静かに心の琴線に触れてくるんですよね。
押し付けがましくないのだけど,じわじわ来ます。

メルさん こんばんは!
TB,コメントありがとうございました!

秘境としかいいようのない,不便きわまるあの中国の山間地帯の美しさや
村人の素朴な生き様に,心が洗われるような気がしましたね。
あれがわずか20年前の光景というのだから,驚きです。
あんな江戸時代の飛脚のような(走らないけど)配達の仕方・・・
あれでも公務員なのかぁ~~,と妙に感心しましたよ。
犬の名前「次男坊」というのもツボでした。
セリフは少ないけど,父や息子の絶妙な表情の演技によって
彼らの心の中の変化がうまく描かれていたのも見事でした。

latifaさん,劇場で号泣されたのですか~
私もこれ,劇場で観たかったです。
大画面で見たら,きっと私も号泣してたかも。
さりげなくたくさん,泣かせるツボがあるんですよね。
あの父の息子への想いとか,盲目の老婆とのやり取りとか・・・
私はラストの「次男坊」の健気さと,見送る父親の表情に泣けましたわ。
リウ・イエ君(君をつけたくなりますよね)の作品,たくさんご覧になっててうらやましいです。私は「藍宇」で彼のいじらしさに泣けてファンになったのですが,彼の他作品はそれまで見てなかったです・・・あ,「PROMISE」は途中まで観たのだけど,あの黒服のひとが彼とは思いもよらず・・・また見直してみようと思います。
「藍宇」いいですよ。・・・あり得ないくらい純情なゲイのお話ですが。恋人役のフー・ジュンさんは「レッドクリフ」で趙雲を演じていますね。
「恋の風景」も近々鑑賞予定です。リウ・イエ君,子犬のような無邪気な瞳のせいか「ちょっと不遇な善いひと」を演じることが多いですが,本人は悪役とかもやってみたいとか・・・。

よろ川長TOMさん こんばんは!
コメント,ありがとうございます!
この作品って,男性の目線だと,父や息子の気持ちが
より深く共感できるのでしょうね。
父親と息子の絆や確執というものは,
女性には計り知れないものがあるような気も・・・。
「PROMISE」は,劇場で観たけど,チャン・ドンゴンの猪走りとか
その他もろもろの点で白けてしまって,珍しく劇場を途中退席したんですよ。
でも,リウ・イエの哀愁ただよう存在感はなぜか印象に残っていて
ほんと,この「山の郵便~」の素朴な息子役とは別人だけど
才能豊かな素晴らしい俳優さんだと,応援する気持ちでいっぱいですね。
彼見たさに,「PROMISE」をもう一度,今度は最後まで観てみるつもりです。

ななさん、こんばんは。
ななさんからTBとコメントをいただき、懐かしくこの映画を思い出しました。そうかー。この映画に出ていた男の子が、この間ななさんがレビューしていた「藍宇」という作品に出ていたんですね。
そして、ななさんも書いてますが、やはり、次男坊ですよね~。メチャクチャ賢くって可愛い。シェパードをいつか飼ってみたいと思っている私には、理想の犬でしたわ。

mayumiさん こんばんは

そうなんですよ~,この男の子(立派な青年ですけど)が
「藍宇 」のいじらしい主人公を演じていたんですが
「山の郵便配達」の彼は「藍宇」よりたくましくって素朴な感じですね。
dog次男坊~~~最高です!
シェパードっていいですよね。
そういえば「アイ・アム・レジェンド」の賢いサムちゃんも
シェパードだったな~。この次男坊もサムに負けてないですね。

風に飛ばされた手紙を父親と次男坊が追いかけるシーンが凄く印象的でした。
『ライフ・イズ・ビューティフル』同様に自分の父親を想う映画でしたよね。

ちなみに似たようなテーマの邦画の『村の写真集』もいい映画でしたよ。

にゃむばななさん こんばんは!
あの父と次男坊が手紙を追いかけるシーン,よかったですね~
父はともかく,犬までが使命感を持ってるんだな~って感心しましたわ。
「村の写真館」って,徳島県が舞台の映画ですよね。
私の住んでる県ですわ。舞台になった池田町とか西祖谷山村とかは
仕事の関係で何年か滞在してたところです。(・・・秘境です)
だのに映画は未見です。(ちなみに「眉山」も未見)


イランカラプテ(こんにちは、はじめまして)。湖南省の那山那人那狗(あの山あの人あの犬)山の郵便配達を検索中に「虎猫の気まぐれシネマ日記」を寄り道しました。
NHKBS「山の郵便配達」を見たのは7年前で両眼手術の直後でしたが、湖南省西部の山間地帯の美しい景色と心に染みて来る静かな音楽、父と息子と次男坊のさり気ない会話は今も私の心に響鳴しています。中国映画が大好きになりました。
虎猫の気まぐれシネマ日記 ななさんへ

美幌音楽人さま,いらっしゃいませ。new
お立ち寄りくださり,ありがとうございます。
中国映画の中に描かれる人情の素朴さ,温かさ
そして大自然の豊かさには,他の国の映画にはない大地のような強さを感じます。
私が中国映画を好きになったのはチャン・イーモウ監督の
「紅夢」という作品でした。
中国作品はエンタメ系ももちろん「レッドクリフ」のような
楽しめるものが多いですが
この「山の郵便配達」に代表される,庶民が主役の
素朴な作品がやはりとても秀逸だと感じます。
また,お立ち寄りくださいませ。

ななさん、こんばんは。
「山の郵便配達」・・とっても素敵な心温まる映画でした。こういうの大好きです^^リィウ君、はまってました(今までで1番好きな映画です、って3本しか観てないけど^^;)
父親と息子の関係がいいですねェ(涙)
いつの間にか大きく頼もしくなった息子の背中で涙する父親。もう、私も泣けました~。
一緒に郵便配達をしながら、段々とお互いを理解し合い、認め合い、そして仕事を引き継ぎ独り立ちするときの朝の、父親と息子と、そして次男坊の名演技にまたまた涙がとまりませんでした。。
もともと、父親と息子やバディものが大好きなので、
ななさん、ありがとうございました^^
ここにお邪魔しなかったら出会えない映画でした。
で、「藍宇」ですね!何とかあちこち探しまわってみます。。

ちーさん ご覧になったのですね。
わが愛するリウ君のデビュー作にして
彼の並々ならぬ才能の片鱗を窺わせる珠玉の作品です。
中国の秘境ってどんなん~~!とか思いませんでした?
父親役の俳優さん,谷から落ちたこともあったそうで・・・
撮影の苦労も偲ばれる作品ですが
この作品の魅力って,やっぱり人間の原点でもある
素朴な人情なんですよねぇ
だからこんな地味な作品でも,万人の心を打つのかもしれません。
中国映画はこんな作品,上手いですよねぇ
監督も役者も。
ちーさんのお気に召して何よりです。
「藍宇」は本編もですがメイキングがそれにも増して素晴らしいので
DVDを購入することをお勧めしますが
同性愛に抵抗があるなら,無理にお勧めはしません。

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