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2008年10月13日 (月)

欲望の翼

 

 

Cap044_2 
香港を舞台に繰り広げられる,若者たちの切ない群像劇
ウォン・カーウァイ監督の花様年華」「2046」へと続く,60年代3部作への序章となる作品。

 

もう今では決して実現しないだろう超豪華な出演陣。
主人公のヨディにレスリー・チャン
彼に翻弄される二人の女性にマギー・チャンカリーナ・ラウ
彼女たちに恋する青年にアンディ・ラウと,ジャッキー・チュン
ラストシーンだけに登場するギャンブラーにトニー・レオン
まあ,よくもこれだけ揃ったもんだ。
Cap063
青春群像劇,と言っても,この作品のDVDのジャケットのデザインのように,皆で一堂に会して,ワイワイガヤガヤとストーリーが進行するわけではない。5人の青年達の物語は,それぞれが1対1で進行し,誰もが叶わぬ思いを相手に対して抱いている。

核となるのはレスリーが演じたヨディの物語。
その頽廃的で妖しい魅力と気障な台詞で,女性の心を虜にするヨディ。しかし彼は,養子という生い立ちゆえか,傷つきやすい心を内に秘め,相手と真剣な愛情関係を結ぶことができない。彼を愛した女性たち・・・サッカースタジアムで働く堅実なスー(マギー・チャン)と,奔放な踊り子のミミ(カリーナ・ラウ)は,少し関係が深まると彼から捨てられる羽目になる。
Cap012_3
ヨディは女性の立場から見れば,ほんとに薄情でとんでもない色男なんだけど,レスリーが演じるこのヨディの魅力ときたら・・・・!
けだるく横柄な雰囲気とは裏腹に,哀しみや寂しさを滲ませたまなざし。そして,女心をわしづかみにする殺し文句の数々・・・・。彼の魅力,というか魔力に逆らえる女性なんていないのではないか?

ランニングにトランクス姿で,チャチャチャを踊る彼の,まあ色っぽいこと。レスリーの踊りは,ブエノスアイレスのしなやかなタンゴや,さらばわが愛の華麗な京劇でも見惚れてしまったが,この「トランクスでチャチャチャ」も,とってもキュートだった。

Cap065_2
ヨディを愛するスーとミミ。
彼女たちは捨てられても,なかなかヨディを思いきることができない。しかし,ヨディは,誰に愛を返すこともなく,自分を捨てた生母を探し求めている。・・・・そしてスーに恋心を抱く警官のタイド(アンディ・ラウ)と,ミミに焦がれているサブ(ジャッキー・チュン)。彼らの一方通行の想いもまた,相手に届くことはない。

 

劇中の誰もが,誰かに恋い焦がれていながら,その愛はみんな片思いで,報われることがない,というのがじれったく,切ない。生母を捜し当てたヨディもまた,彼女に会ってもらえない。傷ついた心を隠して,振り返ることなく歩いてゆくヨディの背中に漂う怒りと哀しみがやるせない。
Cap055_2
スーに恋する警官タイドを演じたアンディ・ラウ。
ヨディとは正反対のようなストイックなキャラで,夜の街を警らする彼は,傷心のスーに控えめに優しく手を差し伸べる。「話したくなったら,この時間に公衆電話に電話して」とスーに言うタイド。・・・・しかしスーが彼に電話をしたとき,タイドは警官をやめて船乗りになっていた。・・・ここでもまたすれ違い,ああ・・・。

 

制服姿のアンディは,帽子の影になって顔の下半分しか見えないことが多かった。彼の唇の形が完璧だってこと,改めて気づいた。(口角の上がり具合を見よ!)そしてその声が意外に甘くてきれいなことも。
船乗りになった彼は,フィリピンで偶然ヨディを助ける羽目になり,行きがかり上,彼の死をも見届ける。ヨディに振り回されながらも,さりげなく彼の生き方をいさめるようなことも言い,それでも最後まで彼を見捨てずに傍にとどまるのである。(涙が出るほどいい人だ・・・このタイド)

 

Cap094_2
しかし・・・愛し,愛されることって,なんて難しいんだろう・・・・。どうして,愛しても甲斐のない相手に,惹かれてしまうんだろう・・・。ひとは,結びつくよりも,すれ違い,傷つけあうことの方が多いのだろうか。

 

生母に捨てられた,というトラウマから,愛に臆病になっていたヨディが好んで話す,のない鳥の話。その生涯を通して飛び続け,疲れたら風の中で眠り,地上に降りるのは死ぬときだけ」という鳥の話は,ヨディ自身の,安らぎのない人生を象徴しているようで哀しい。彼が汽車の中で撃たれて息を引き取るときの,「鳥は最初から死んでいたんだ・・・」という言葉は,何を表わしていたのだろう。

 

それまで,おそらく大勢の人を傷つけて生きてきただろうヨディ。それでも憎み切ることができない,不思議な哀れさと魅力を持つヨディ。彼がたったひとりで逝くことなく,その臨終の場に,誠実なタイドがいてくれたことが,せめてもの救いのように,私には思えた。
Cap109_2
そして,なぜか最後のシーンに
唐突に登場するトニー・レオン。

身を屈めないと頭が天井につきそうな部屋のなかで,宵闇の中,出勤前の身支度をする彼。何の台詞も説明もないのだが,彼のさりげない仕草の全てが,なんだかやけに格好いい。 最後に,窓の外にポイと無造作に煙草を投げ捨てて部屋の灯りを消す仕草までが,惚れぼれするくらい,キマっていた。
これは続編へつなぐつもりだったのか・・・意味深なシーンである。たったこれだけの登場で,意味不明であるにも関わらず,仕上げに極上のひと筆が加筆されたような感じを与えるのは,さすがトニー・レオンのオーラのなせるわざだろうか。

 

全編を通して,香港の,そしてフィリピンの,むせかえるような湿度を感じる映画だ。登場人物の汗や吐息や,土砂降りの雨や,黒々と濡れた夜の舗道・・・・。ラテン・ミュージックの哀切な調べ・・・・。

そしてそれぞれに孤独を抱えた若者たちの危うさ・・・・。彼らの誰もが魅力的で,いとおしく思えてならなかった。

 

評判通りの傑作・・・たまらなく心に焼きつく作品である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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映画 や行」カテゴリの記事

コメント

ななさん、TBありがとうございました!
この作品はねぇ〜もう愛が大きすぎて冷静な感想を語れません。(笑)
ななさんのおっしゃる通り登場人物が誰一人としてしあわせな結末を迎えていないのが切ないんですよね・・・。
おバカながら精一杯の気持ちをヨディにぶつけるミミの一途さが心に残ります。
ヨディへの思いを断ち切れず苦しむスーとは対照的でしたね。
あのうっそうと繁る森林の中をゆったりと走る列車。
あのシーンを思い出すだけで亜熱帯独特のねっとりとした空気を
感じてしまいます。

ななさん、こんにちは! コメントとTBをありがとうございました。
これは名作ですね。文句なしで。
数年前、映画館で観られるラストチャンス(最終上映)があったのに行けなかったことが悔やまれます。
「トランクスでチャチャチャ」あれは名シーンですね~。
山田詠美さんが「日本人では誰も出せないカッコよさ!」と絶賛されたそうです。
王家衛も、レスリーの死後あのシーンを観て涙したとか・・・。
で、やっぱりあのラストのトニーよね~。意味不明な(笑)。

トニーとカーリンの結婚の記事、TBさせていただきました。
届いてるといいな。。
ではでは、また来ますね!

sabunoriさん こんばんは!
すごくいい!作品でしたね。そして,おっしゃる通り
どこがいいのか,その魅力を一言ではとても語りつくせないです。
これから何度も観て,少しずつその魅力に酔いしれていきたい・・・
そんな思いがしますねぇ・・・。恋人にたいするような気持ちですね。
>おバカながら精一杯の気持ちをヨディにぶつけるミミの一途さが心に残ります。
そうそう,彼女が一番自分の感情に正直で・・・
その他の人物は,みなストイックな面があって,それはそれで切なかったですが。
>あのうっそうと繁る森林の中をゆったりと走る列車。
鉄橋の上を悠々と走っていましたね。バックに流れる音楽もとても印象的。
どのシーンを思い出しても,やるせない不思議な感情にとらわれます。


真紅さま こんばんは
TBふたつ,ありがとうございました!無事届きました。
トニーとカーリンの結婚記事を見て,二人の共演作をあれこれ思い出すと
感慨深いものがありますね~,・・・にしてもお似合いです。

>「トランクスでチャチャチャ」あれは名シーンですね~。
あのシーンのレスリーの,あだっぽさや可愛さにくらくらきました。
日本人だけでなく,世界中を探しても,あれは誰も真似できないような・・・
>王家衛も、レスリーの死後あのシーンを観て涙したとか・・・。
生きていれば,きっとトニーと並んで,
今も素晴らしい仕事をしていたと思うとつくづく惜しまれますよね。
でもこの作品に今頃出逢って感動している私のように
彼の魅力って,その作品が残る限り,永遠なんですよね・・・。


ななさん、こんばんは~!
暫く留守にしていたので、遅くなってしまってゴメンなさい!

いやぁ~ななさんの記事と沢山の写真を見ていたら、またこの映画の事をありありと思い浮かべてしまいました。

それにしても豪華な出演者。映像も内容も良いし・・きっとあと数十年後にも、ずっと残る作品の一つですよね。

そういえばここのところNHKのBS2で、レスリーの出演作が立て続けに夜9時から放映されていますね(見てませんが)
私は、男達の挽歌とか、チャイニーズゴーストストーリーを見てレスリーが好きになったんです。懐かしいです・・

latifaさん こんにちは!
古いですが,名作ですよね!出演陣の豪華なこと!
もう今ではギャラの関係で,これだけのキャストをそろえることは
不可能ですよね・・・。夢のような作品ですわ。

>そういえばここのところNHKのBS2で、レスリーの出演作が立て続けに夜9時から放映されていますね(見てませんが)
そうなんですか~!NHKでレスリー祭りをやってるのかな?
私は去年初めて彼の「ブエノ~」と出会ったのですよね。
「なんて魅力のあるひとだろう(キューピー顔だけど)」って思った時は
もうすでに彼はこの世にいず・・・
実はゲイだった彼からは,性別を超越したエロスを感じます。
「男たちの挽歌」DVD持ってますけどまだ見てないんです・・・
そのうち観たら,また記事をアップするかもです。


こんにちは~
ななさんのレビューを拝見しながら内容
思い出しておりました。ああいう役柄でしたが、レスリーだからこそ、わかってあげたい、理解してあげたい・・・という
気になるんですよね・・。母性本能くすぐられるというか・・。
過去作品観るたびに、いろんな意味で、残念だな・・と思います。
ラブ・コメ風の「君さえいれば」の彼はかわいらしいので
機会があれば是非~~。歌も歌っています。
あ・・・私は、「さらばわが愛」が未見なの。
有名作だからチェックしないといけないよね・・・。
で・・アンディの唇の形の件↑
今まで気付かなかったわ~~私。
うん!!今度は注意深く観なくては・・・。
教えてもらって良かったわ~~~♪

みみこさん こんばんは!
そうなの~,レスリーだからこそ,どんなに「悪い男」でも
かばってあげたくなるのよ~,赦してあげたくなるのよね~ヾ(´ε`*)ゝ

>過去作品観るたびに、いろんな意味で、残念だな・・と思います。
ほんとよね・・・どんな事情があったにせよ,その才能が惜しまれます。
もうあのレスリーをスクリーンで新たに観ることはできないんですものね。
そこらへんは,ヒースとかぶるものもあるなぁ(´Д⊂グスン
「君さえいれば」は他のブロガーさんからもプッシュされてます。
レンタル屋に置いてないけど,また探してみようっと。
アンディの唇・・薄くって形が完璧でした。
彼って目力がすごいからいつもは目の方に気を取られちゃうのだけど
この警官役のときは帽子で目が隠れてたから,口元に目がいっちゃった~

はぁはぁ・・・出遅れてごめんなさい!
お知らせ見て、コメ返もせず飛んで来ちゃいました~~~。

アンディの完璧な造り、発見していただけましたか~?
ファンの間ではどこをとっても、彫刻のような完璧さと言われております。(本人はワシ鼻が嫌いらしい・・・)
と、アンディ賛歌から入ってしまいましたが~
この作品は名作だと思います。
画面から伝わる、若者たちそれぞれの、なんともいえないけだるさ。切なくも美しい・・・

列車が走るだけなのに、泣けそうになるのはどうして?

トニーのシーン、この続編も少しは撮られていたみたいなんですが・・・お流れになってしまいました。残念でなりません。。。

マリーさん こんばんは
この映画,アンディのあらたな魅力を発見できて
得した気分になりましたよ~
>ファンの間ではどこをとっても、彫刻のような完璧さと言われております・・・
そうですね~,今までアクションやってるアンディを観る機会が多かったので
静止してる彼の美しさに気づいていませんでした。
あの唇・・・女性より美しいですよ~。
マリーさんが惚れるのも納得です!
>列車が走るだけなのに、泣けそうになるのはどうして?
カーウァイ監督の世界って,そうなんですよね~。BGMも効果的なんだろうけど
「ブエノスアイレス」でもイグアスの滝の映像だけで泣きそうになりました。
トニーはたったあれだけのシーンなのに,思わせぶりで余韻たっぷりな終わり方で・・・
あれだけだったことで,かえって強烈な印象を残したような気も・・・。

またまたこんにちは♪
レスリーの魅力がたまらなかったですね。
そしてこのキャスト!今まで私が観た中で一番豪華なような気がします。
おっしゃるように、熱気と湿気でむせかえるようでしたね。
その中で繰り広げられる人間模様は、それぞれが独特で
インパクトがありました。
『欲望の翼』ときくといつも反射的にあの音楽が頭の中に流れてきます。
同時にあの列車がゴトゴト走り去っていきます。
またいろいろな中国語圏の作品についてお話したいですね。
私の方にもリンクさせていただいてよろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします♪

孔雀の森さん こんばんは!
ほんとに溜息がでるような豪華キャスト・・・
今ならギャラが高額すぎて全員勢ぞろいなんかできないですよね。
レスリーはもういないし・・・(涙)
ブエノスアイレスのレスリーも大好きですが
この「欲望」のレスリーの魅力もまた格別ですよね~
>『欲望の翼』ときくといつも反射的にあの音楽が頭の中に流れてきます。
>同時にあの列車がゴトゴト走り去っていきます。
忘れられない音楽と景色ですよね。
私は「脚のない鳥の話」が切なくて,その話を思い出すたびに
こみあげてくるものがあります。

リンク,さっそくさせていただきますね~
そちらにもしていただけるなんて,嬉しいです。
まだまだお邪魔したい作品たくさんありますので
これからもよろしく!

ななさん、こんばんは☆
先日は嬉しいコメントをいただき、ありがとうございました。
いろんな記事に心を奪われましたが、ついここに・・・
レスリー、このヨディはレスリーなのかヨディなのかもう境界がわからないほどにはまっていましたよね。
レスリーでなくてはダメだった役・・
タイドにめろめろの私ですが(笑)、やっぱりレスリーの魅力は飛びぬけてますね。
久々にあの熱帯な時間に自分をおきたくなってしまいました♪

武田さん こんばんは!
大好きな作品にコメントいただいてとっても嬉しい!

ものすごく豪華な群像劇のこの作品・・・・
けれどおっしゃるように,これは「レスリー」のための物語のような気もします。
>レスリー、このヨディはレスリーなのかヨディなのかもう境界がわからないほどにはまっていましたよね。
素のままで演じたの?と思うくらい自然で,危うい魅力にあふれていましたよね。
「ブエノスアイレス」のウィン役も,同じように感じました。
かわいくチャーミングなキャラのレスリーも悪くはないけど
こういう気だるげなキャラのレスリーって,たまりません~~
武田さんはタイドにメロメロなんですね~
私も,人間的に惹かれるのは断然タイドですねー。
ヨディと並ぶと,タイドの誠実さや善良さが際立ちますね。


ななさん、こんばんは。
相当に出遅れた感、というよりも、何を今更、なタイミングでトニーと香港映画にどっぷり…
いっそ、彼らを知ることなく、その魅力にも気づけなかったままのほうが、
わたしの昨今はどれだけ平穏な心境だったことだろうと思うくらいです。
そんな中で、この作品は特に大好きな1本になりました。

短いシーンなのに、すっかり空気を攫って終わるようなトニーの仕草の1つ1つに見蕩れ、
これは他に誰ができるだろうと思いつつ、
それでも、映画自体はレスリーのための映画だったなぁと思います。
「そんな男は傷つくだけだからやめなさい」と
友達になら言いそうなのに、
自分が彼の前にいたら、すぐに参ってしまいそうなヨディ。
彼が演じたからこそ、こんなに心惹かれるのでしょうね。
この作品について、登場する1人1人について、
語り始めたら、終われなくなりそうです。

悠雅さん こんばんは

アジア映画をあまりご覧にならなかった悠雅さんが
香港映画とトニーレオン祭りをなさっていると聞いて
なんだか嬉しいなぁー

ついでに台湾映画や中国映画にもハマってくださいませ。
あ,ついでに韓国映画も。
邦画も最近は決して負けてないとは思うのですが
中国・香港・韓国の俳優さんの演技力のレベル(特に若手)は
日本人よりずっと高いところにあるんじゃないかと思うわたしです。

この作品のトニー・レオンの存在感ひとつとっても
こんなオーラの出せる俳優さんは日本にはいませんもの。
それに,トニーだけでなく,レスリーにもアンディにも感じることですが
やはりアジア男性の醸し出す「しなやかな色気」は
西洋の殿方とは一味違うもので
同じアジア人種の血が騒ぐのですよ。

この作品のレスリー・・・ほんと彼氏にするには最低の男なのかもしれませんが
私ももしかれに遭遇したら
どんなリスクを負っても愛してしまいそうな
そんな麻薬のような抗いがたい魅力を感じてしまいます。

はじめまして。スーダラといいます。
10年前の記事に大変恐縮ですが、最近デジタルリマスター版で初めて見て、検索を辿ってこちらに行きついた次第です。

>彼がたったひとりで逝くことなく,その臨終の場に,誠実なタイドがいてくれたことが,
>せめてもの救いのように,私には思えた。

というのは、とても新鮮で、そして、とても優しい視点ですね。本当にそうだと思いました。

そして、全ての登場人物が皆孤独で、そして愚かで、その孤独や愚かさをこそ愛おしく思えるのは王家衛ならではだと思いました。

>そしてそれぞれに孤独を抱えた若者たちの危うさ・・・・。彼らの誰もが魅力的で,
>いとおしく思えてならなかった。

本当にそうですね。
彼らの愚かさが愛おしく、高みからそれを見守るのではなく、彼らと同じ孤独や愚かさに身を任せたいと思いました。

永く劇場での初見を待ち続けた甲斐のある傑作でした。

ありがとうございました。

こちらのテキストの直リンクを貼らせていただきました。
事後のご連絡となり大変恐縮です。
問題がありましたら、直ちに削除しますので、ご連絡ください。
http://cinemanokodoku.com/2018/02/25/daysofbeingwild-2/

スーダラさん ご訪問ありがとうございます。

コメントをいただいて、改めてこの作品を再見したくなりました。
(DVDは持っています。)
魅力的で個性的な名優揃いのまるで奇跡のような作品でしたね。
そしてウォン・カーウァイ監督の独特の空気。
登場人物の中でもやはりレスリーの演じたヨディとアンディの演じたタイドが
いつまでも忘れられません。
カーウァイ監督の作品は、
人と人が繋がり合おうとしても、
それでもどうしても埋められない孤独が描かれていて
とても共感できます。切ないけど美しいです。
相思相愛なんてほんとうは夢物語に近いのかもしれません。
みんな誰かに多かれ少なかれ片思いして、両思いでも温度差があって
妥協したり諦めたりしながら、他者への優しさをも学んでいくのではないかと。

リンクの件は問題ありません。紹介してくださってありがとうございます。
貴ブログも拝見しましたが、
流行ではなくご自分の本当にお好きな作品ばかり掲載されていて素敵ですね。

全ての恋愛は片思いなのではないかと、彼の映画を見るといつもそう思います。

>みんな誰かに多かれ少なかれ片思いして、両思いでも温度差があって
>妥協したり諦めたりしながら、他者への優しさをも学んでいくのではないかと。

僕らはみんな「恋する惑星」の住人で、そのことを優しく可愛くスタイリッシュに見せることに関して彼の右に出る人はいないのではないかと思います。

諸々ありがとうございます。また来ます。

スーダラさん

なつかしいカーウァイ監督の魅力を思い出させていただいてありがとうございました。
ブエノスアイレスや天使の涙 恋する惑星、そして花様年華。
どれも大好きです。
彼の作品の中の男女はすれ違ったり片恋だったり、そんな切なさがいいです。
そしてトニー・レオンやレスリー・チャン、レオン・ライなどの中国の男優さんの魅力も。

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